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    元スレ咲「え? どの学年が一番強いかって??」

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    251 = 1 :

    @対局室

    (ん……今……咲さんの声が聞こえたような……)

     和、思念波、受信ッ!!

    (大丈夫ですよ……咲さん……!)

     和、微笑ッ!!

    (この状況……たとえ勝つことは論外であっても……負けないことくらいは……できます……心配しなくても……それくらい……私にも見えていますよ……!!)

    「カンッ!!」ゴッ

     和手牌:2222345⑤⑥⑦/⑨⑨⑨⑨:嶺上ツモ?:ドラ一・?

     末原手牌:111345六七八⑦⑧西西:待ち⑥・⑨ドラ一

     灼手牌:34678二二三四[五]七八九:待ち2・5:ドラ一

     久手牌:一一四五六②③④④⑥[5]67:待ち⑤:ドラ一

    末原(う……うちの和了り牌を暗槓やと!!? そらないで!! もう泣いたろか!!!?)

    (和のカン……! 珍しい……そりゃ……オーラスでラスなんだから他家のリーチに対してカンドラとか裏ドラとか気にしているような場面でもないけれど……一体何を狙っているの……?)

    (原村和のカン……? 高校に入ってからの牌譜では一度も見たことなかったけど……どういうこと……?)

    (咲さんと……約束したんです……こんなところで……負けられません……!!)ゴゴゴゴゴゴゴ

    252 = 129 :

    この展開は読めていた
    しかしいい

    253 = 1 :

    @実況室

    すばら「和ああああああ!! 末原選手の和了り牌を握りつぶす形での暗槓ですっ!! これなら……これなら振り込まずに且つテンパイに取れる……!!! すばらですっ!!」

    初瀬「しかし……原村選手の手は役なし……いくらカンをしたからと言って……この点差をひっくり返して逆転するのは不可能です」

    「初瀬さん、それは違います」

    初瀬「え? で、でも……あの手で和了ろうと思ったらツモるかリーチをかけるしかありません。逆転するには最低でも倍満直撃……松実玄選手じゃあるまいし、カンドラを増やしたところで……役無しの手が一瞬で倍満になるなんてありえません」

    「だーかーらー。誰が逆転しなきゃいけねえんだよ。原村和はラス親だろ? ここで勝つ必要はねえんだよ。あれは……勝つためのカンじゃねえ……負けないためのカンだ」

    初瀬「負けない……? 負けないって……それってつまり勝つこと……いや……!? そうですか!! そういうことですか……!!」

    すばら「どういうことですか、初瀬さん!!?」

    初瀬「リーチです!! リーチをかければいいんですよ!!! そうすれば……」

    すばら「おおおお!! 四家立直……!!!! 流局……!!!!!」

    「そういうことです。カンで和了り牌を握り潰し……嶺上から安牌をツモれば、その牌でリーチをかけ、この絶望的な局面を無に帰すことができます」

    「原村らしいじゃねえか。地味でセコいが……圧倒的に正しい。悪くねえわな」

    すばら「あ……あああああ!!? しかし……その頼みの綱の嶺上牌が……!!!?」

    254 = 147 :

    四家立直で流そうと思ったらトリロンで流れたことはある

    255 = 1 :

    @混成チーム控え室

    すばら『和……!! 頼みの嶺上牌で竹井選手の和了り牌を掴まされましたああああああああ!!!!!』

    まこ「さすが久……そして和じゃな。二人とも最高じゃあ」

     和手牌:2222345⑤⑥⑦/⑨⑨⑨⑨:嶺上ツモ[⑤]:ドラ一・⑥

     末原手牌:111345六七八⑦⑧西西:待ち⑥・⑨ドラ一・⑥

     灼手牌:34678二二三四[五]七八九:待ち2・5:ドラ一・⑥

     久手牌:一一四五六②③④④⑥[5]67:待ち⑤:ドラ一・⑥

    「嶺上安牌でリーチやったら四家立直で流れてたんやけどな。竹井さん……さすがにここまで見抜いてのリーチやったわけやないやろうけど……」

    竜華「つくづくあくどい待ちをする人やわ……清澄の部長さんは」

    (も……もう先輩の和了りが遠過ぎて……生きるって辛いわ……)

    かじゅ「しかし、原村和がどこまで正確に他家の手を把握しているのかはわからないが、これで二・五索は切れるようになった」

    池田「カンをしたことで鷺森さんの一発が消えた……鷺森さんは原村から和了っても確実には逆転できない……状況が状況なら裏ドラ期待の一か八かで和了ってもいいけど……まだツモれる可能性がある以上……当然の和了り拒否だし!!」

    「じゃあ……勝負は南四局一本場に持ち越し……? リー棒が四本も供託されたら……逆転される可能性が高くなっちゃうよ……。って……あれ? 原村さん……また手が止まった……?」

    (……ここで二・五索を切るようなら……咲はやれない……)

    小走「ふん。どうせ猛スピードで計算してるんだろ……期待値を、な」

    256 = 1 :

    @三年選抜控え室

     ――――――

    『もいっこ……カンですッ!!』ゴゴッ

    久・灼・末原(!!!?)

     ――――――

    豊音「わあああああ!!! 連槓!!!? 原村さんの連槓!!? ちょーレア!! ちょープレミア!! そしてなんかすごいことになってる!!!?」

     和手牌:345⑤[⑤]⑥⑦/2222/⑨⑨⑨⑨:嶺上ツモ?:ドラ一・⑥・?

     末原手牌:111345六七八⑦⑧西西:待ち⑥・⑨ドラ一・⑥

     灼手牌:34678二二三四[五]七八九:待ち2・5:ドラ一・⑥

     久手牌:一一四五六②③④④⑥[5]67:待ち⑤:ドラ一・⑥

    257 = 1 :

    初美「どうして二・五索でリーチを掛けなかったんですかねー。それならその瞬間に流局だったですよー?」

    「そちらのほうが……期待値が低かった、ということかしら」

    セーラ「期待値? なんの期待値や?」

    姫子「二・五索を切れるっていうんは……モニターを見てる私たちやからわかることとです。原村和には鷺森灼の手の高さまでは見抜けんかった……やからもう一度確実な安全牌を手に入れるためにカンをした……そういうこととですか?」

    「まあ……もちろんそれもあっとね。ばってん……そういうマイナスの期待値だけやないやろ……さっきの暗槓……あれで赤とカンドラがついて……役無しやった手が二飜高くなりよった。その意味ば考えてみんしゃい」

    シロ(まあ……私なら嶺上を二度もツモるとかダルいから二・五索リーチで流局にするけどさ……)

    すばら『あああああああ!!!? こ……これは……二つ目のカンドラが……!!!!』

    洋榎「ほほう……オモロいやんけ……あの一年……!!」

    美穂子(上埜さん……!!)

    258 = 1 :

    @二年選抜控え室

    「和ちゃん……! ドラいっぱいだよ……!!」

     和手牌:345⑤[⑤]⑥⑦/2222/⑨⑨⑨⑨:嶺上ツモ?:ドラ一・⑥・⑤

     末原手牌:111345六七八⑦⑧西西:待ち⑥・⑨ドラ一・⑥・⑤

     灼手牌:34678二二三四[五]七八九:待ち2・5:ドラ一・⑥・⑤

     久手牌:一一四五六②③④④⑥[5]67:待ち⑤:ドラ一・⑥・⑤

    259 = 86 :

    これはアツい

    260 = 1 :

    かおりん「原村さん……!! 役がなかったのに……カンした途端に赤一ドラ三……! すごいです!!」

    「やけど……いくらドラが乗ったかて役無しやったら意味ないやろ。リーチ掛けたら場は流れるわけやし……宝の持ち腐れやで……こんなん」

    小蒔「いや……もしかして原村さん……ここからリーチをかけずにツモで和了りを目指す気なのでは……?」

    「んなアホな……!? 三人全員が勝負手張ってリーチしとるんやで!? あれがそないな危ない橋渡るような……あっ……!? でも……原村ならありえるで!! なんたってあの薄墨に対して無警戒やったんやからな!!」

    「この二連槓で、今の原村さんの手の内には他家の和了り牌が全部で十二枚。他家同士で持ち合ってる分や河……それにドラ表示牌も含めると、末原姐さんと清澄の部長さんと鷺森さん……みんな和了り牌はあと一枚しか残っとらへん」

    透華「一方の原村和は……嶺上牌を捨てて五・八筒待ちに取れば、和了り牌は残り四枚。ツモれば親満確定プラスリー棒三本ですわ。確率的にはリーチかけずに勝負してもいい場面ですわね」

    尭深(……あれ……そう言えば……これって……)

    「騒ぐのはいいが……お前たち、大事なことを失念していないか? ノノカのあの手……この場面……最も大いなる可能性を!!」

    261 = 1 :

    @一年選抜控え室

    すばら『和の手が……!!! ついに嶺上牌を掴みます……!!!!』

     和手牌:345⑤[⑤]⑥⑦/2222/⑨⑨⑨⑨:嶺上ツモ?:ドラ一・⑥・⑤

    穏乃「うおおおおお行っけえええええ和あああああああああ!!!!」

    「シズ邪魔ああ!!! モニターに張り付くのやめて!!! 見えないっ!!!」

    「ちょっとちょっとー!! これってもしかしてあれだよねー!!?」

    友香「あれでー!! あれでー!!! あれしかないんでーーー!!!」

    モモ「おっぱいさん……すごいっす……!! 行けっす!! ぶちかますっす!!!」

    「ホンマどえらいやつやな……原村和……!! 頼むで……行ったれええ!!!」

    南浦「和了り牌はあと四枚……!! 可能性はゼロじゃない……!!!」

    優希「何を言ってるじょ、数絵!! 四枚中三枚は端から眼中にないじょ……!! 狙うはただ一枚……!! どうせなら最高の一発を決めてやるといいじぇ……のどちゃん!!!」

    「和ちゃん……!!! 私の力……受け取って……!!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

    すばら『あああああああこれはあああああああ!!!!!?』

    全員「うわあああああああああああああああああ!!!!!!!?」

    262 = 137 :

    これは熱いな

    263 = 183 :

    クライマックスやで

    264 = 1 :

    @対局室

    (なんだか……妙に……身体が熱いですね……!!)ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

     和手牌:345⑤[⑤]⑥⑦/2222/⑨⑨⑨⑨:嶺上ツモ?:ドラ一・⑥・⑤

    (咲さん……カン違いしないでくださいね……別に……あなたのオカルトを認めたわけじゃないんですから……! 私はただ……これが……この場で最良の選択だと思うから……カンしただけなんですよ……!)

     和、嶺上牌に手を伸ばすッ!!

    (だから……咲さん……もし……ここで私が和了れても……そんなのは……ただの偶然です……!!!)

     掴――嶺上牌ッ!!!

    (こんなのは……ただの……価値ある……偶然なんですから……!!!)

       久『人はそれを、運命とか必然と呼ぶものよ』

    (そうですね……部長……!! 確かに……私と咲さんが出会えたことは……部長の言う通り……運命だったのかもしれません……!!)ゴゴゴゴゴゴッ

     果たして――嶺上牌は……ッ!!!

    265 = 95 :

    カン違い

    266 = 1 :

    (そう思えてしまうような……本当に……これは……なかなかの偶然ですね……!!!!!)

     その花は――和の頬と同じ……!!

    「ツモ……!!!」

     赤く……!!

    「赤二……ドラ四…………!!!」

     熱く燃えて――!!!!


















                …………嶺上開花ッ!!!」

    267 = 147 :

    あったかくない……

    268 = 75 :

    寒いよぉ

    269 = 1 :

    @実況室

    すばら「嶺上開花おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

     ――――――

    『8000オールです……!!!』

     和手牌:345⑤[⑤]⑥⑦/2222/⑨⑨⑨⑨:嶺上ツモ[⑤]:ドラ一・⑥・⑤

    和:104600(29700) 灼:96300(2400) 久:94300(-9000) 末:104800(-23100)

     ――――――

    すばら「とととと、とんでもないことになりましたあああああああ!!!!!」

    初瀬「これで……原村選手――もとい一年選抜が……104600点……!!!」

    「しかし……トップは依然混成チームです」

    「だが、その混成の点数は……104800点だ!!」

    すばら「その差たったの200点んんんんん!!!!! 一年選抜・大将・和っ!!! この土壇場でそれまでの劣勢をひっくり返し……ぴたりとトップの背後につけましたあああああ!!! すばらあああああああああああ!!」

    初瀬「手牌を一枚でも切ったら負けが確定する絶望的な状況から、他家の和了り牌を握りつぶす形での二連槓……そして嶺上開花……!! しかも役無しだった手にドラを重ねて一瞬で親倍……!! まるで宮永咲選手のようですね!!」

    270 :

    先鋒と次鋒が一番面白かったな

    271 = 1 :

    「いやいや初瀬ちゃん、その喩えはちといただけねえなぁ」

    初瀬「え?」

    「確かに、連槓からの嶺上開花は宮永咲選手の得意技。しかし……原村選手のあれは……果たして宮永咲選手のそれと同じでしょうか」

    「相手の待ち牌を的確に抱える鋭い読み……それにあの最悪の状況からたった一つの正解を導き出せる冷静さと計算高さ……点差状況と和了率に応じて柔軟に……且つ考えうる限り最良で最適な打牌ができる。
     あれこそ……デジタルの神の化身――原村和の打ち方だ。宮永咲とは似ても似つかねえよ。原村に言わせりゃ、嶺上はただの『偶然』。それ以上でも以下でもねえ」

    「原村選手の狙いは、あくまで四家立直でした。
     そこに、たまたまカンドラが乗って赤五が入った。瞬時に計画を修正し、期待値を計算、二・五索切りリーチで流局に持ち込めたところを、より安全な牌を手に入れるため、もしくはツモ狙いのダマ……更には僅かに存在する嶺上開花の可能性を考慮して、連槓した。
     あれは……いかに宮永咲選手でも真似できないでしょう。というか、宮永咲選手のカンではまずカンドラが乗りませんからね」

    初瀬「こ……これは失言でした。撤回します。原村選手……本当にすばらな嶺上開花でしたっ!!」

    すばら「ええええ!? 初瀬さん、それは私の台詞ですよっ!!!!?」

    272 :

    末原さんマジ戦犯体質

    273 = 147 :

    >>270
    そりゃこんだけ長いと後半ダレるのはしゃーない

    274 = 1 :

    @対局室

    (嶺上開花ですか……ドラ期待でリーチ後に暗槓するときに……たまたま和了れることはあっても……これほど明確に嶺上開花を意識してカンをし……なおかつ和了るなんて……こんなことは今までにありませんでしたね……)

     和、あまりの偶然に、しばしの間、倒した手牌を崩すことができず、放心。

    (これが……嶺上開花……森林限界を超えた高い山の上……その頂にある美しい花園……これが……咲さんの見ている景色……これが咲さんの花ですか……!!)

     和、ツモった赤五筒をそっと撫でる。 

    (もし……咲さんがこの美しい花を咲かせるために……あれだけ異常な頻度でカンをするというのなら……そんなオカルトも悪くありません……無論……嶺上開花は偶然の産物ですけど……)

     和、一息ついて、さっと手牌を崩し、自動卓の中に落とす。

    「あら……いいの? もうちょっとくらい余韻に浸ってても、誰も文句は言わないわよ。珍しいものを見たのは、こちらも同じだしね」

    「いえ……まだ対局の途中です。それに、こんな偶然できた和了りを珍しがっていつまでも眺めるのは……マナー違反ですから」

    「けれど、こんな偶然、一生に一度かもしれないわよ? それでもいいの?」

    275 :

    まだトップや

    276 = 1 :

    「部長……確かに、人生や勝負はたった一度きりかもしれません。しかし、出会いは何度だって訪れます。親しい友人と別れたあとに、違う誰かに出会ったり、そうかと思えばまた昔の友人と意外な形で再会をしたり……。
     人生は長いです。私は、この偶然の出会いが一度きりだとは……思っていません」

    「出会い……か。そうね、お互い、いい出会いに恵まれるといいわね」

    「私はもう十分に恵まれていますよ。部長……今日この場を作ってくれた部長には……感謝してもしきれません」

    「堅苦しいこと言わないでよ、なんだか恥ずかしいわ。それより……もう終わったみたいな口ぶりじゃない。勝負はまだまだこれからよ?」

    「そういう風に聞こえたのなら、謝ります。すいません。個人的には……むしろこれからが始まりくらいな気分なんですけど。まだ……私は咲さんとの約束を果たしていませんから……!」

    「そう……じゃあ、最後まで楽しみましょう。行くわよ、和っ!!」

    「はい……負けません……!!」

    277 :

    これで魔王覚醒!!とか痛すぎわワロタwwwwww
    しかもお株も奪われるし

    278 = 93 :

    末原さん演出家だからな

    279 = 1 :

    @混成チーム控え室

    すばら『さあ……!! トップから四位までが一万点差以内にひしめく大接戦……!!! 次で……次で決着がつくのでしょうか!!!? もうどこが勝ってもおかしくありません!!! 勝負は大詰めも大詰め……南四局一本場です!!!』

    (先輩……末原先輩……!!!)

    竜華「上重さん、そんな涙目になっとらんで、笑って見守ろうや。末ちゃんなら大丈夫やって。同じチームなんやから、それくらい知っとるやろ?」

    「清水谷さん……」

    「ホンマ、大会での末原さんのしぶとさは異常やで。姫松で目立つんはもちろん洋榎さんやけど……うちが一番戦いたくないんは末原さんや。きっと……この場もなんとかしてくれはるよ」

    「園城寺さん……。そうですね……後輩のうちが……弱気になっとったらあかんですよね……ありがとうございます」

    かじゅ「末原さん……ここまで和了りこそないが、上重さんの作ったリードをぎりぎりのところで守り通している。このまま終わるとは思えない」

    まこ「じゃが……こりゃあ身内贔屓じゃが……この状況……いよいよ和に手が付けられなくなるかもしれんのう……」

    池田「にゃああああ……!! 末原さん……頑張ってだしっ!!」

    「うん……! みんなで応援すれば……きっと勝ってくれるよ……!!」

    小走「そうだな……あの顔はやってくれそうな顔だ。畢竟……最後の最後で勝利を物にするのは……なんの力もない凡人のほうだったりするものだ。末原恭子……その闘牌……しかと見届けさせてもらおう!」

    「…………ガンバ…………」

    280 = 14 :

    末原さんの蚊帳の外っぷりが高一最強さんの比じゃないんですが

    281 = 1 :

    @対局室

    南四局一本場・親:和

    (オーラス……一本場……点数は減ったけど……親のツモだから勝利条件はさっきと変わらない……けれど……状況は一変した……)タンッ

    (和……和の勝利条件は単純よね……なんでもいい……和了ればその時点で勝ち……たとえ流局してもテンパイしていればノーテン罰符で勝てる可能性だってある……)タンッ

    (倍満直撃でなければ一発逆転ができなかったさっきまでとは……まるで比べ物にならない……この対局が始まったときから原村和が背負っていた大差が……限りなくゼロになった……)タンッ

    (これで……和を縛るものは何もなくなった……点差の枷も……ラス親で連荘しなければならないという重圧も……さっきの嶺上開花ですべて振り払った……天使は……完全に解き放たれたわ……)タンッ

    (一方こっちは……逆転するために満貫くらいの点数がほしいところ……)タンッ

    (私と鷺森さんの手が重くなっている中……和だけが……自由に羽を広げ……天高く飛んでいく……)タンッ

    (こちらは……その速さに……!!)タンッ

    (ついていけない……!!)タンッ

    「リーチ……」チャ

    ・久(速い……!!)

    末原(………………)

    282 = 1 :

    @実況室

    すばら「和あああああ!! 逆転に繋がるリーのみをテンパイ!!! 当然の即リーでトップ混成チームに王手をかけましたあああああ!!」

    「門前で進めてもこのスピード……さっきまでの重たい打牌が嘘のようだぜ」

    初瀬「まるで羽が生えたようですね……これが全中を制した原村選手の最高速……!!」

    「他方、二年選抜と三年選抜には苦しい展開です。この状態の原村選手を止められるのは……もう末原さんしか残っていないでしょう……」

    すばら「ああああ!!!? これは……!! こんなことがあるんでしょうか!! 混成チーム大将・末原選手……この局面でまさかの……!!!」

    284 :

    なんでや!末原さんも和了すれば勝ちやろ!

    285 = 1 :

    @対局室

    南四局一本場・親:和

    末原(出会いと……別れか……なんや……懐かしいこと思い出してまうな……)タンッ

       漫『う……上重漫です! よろしくお願いします!!』

    末原(なんや……えらいちんちくりんが入ってきたと思ったわ……今年のいじられ担当はこいつやな……くらいにしか思わへんかった……)タンッ

     ――回想・姫松高校麻雀部・一年前春――

    「ロ……ロンです! 12000は12300……っ!」

    末原「ちょ……またそんなデカいの張っとったんか……!?」

    由子「上重さんはこれでプラ五万……恭子ちゃんのトビ終了なのよー」

    絹恵(この人……めっちゃ強いやん……!! さすが名門校やで……一年生でこんな人ばっかやったら……おねーちゃんが卒業するまでに……うちレギュラー取れるやろか……)

    洋榎「おー。やっとんなー。なんや、恭子トビやん、だっさー」

    絹恵「おねーちゃん……!!」

    (愛宕洋榎さんや……!! 一年で姫松のレギュラーになった特待生……!!)

    末原「見た目と違てむっちゃ強いでー、この子。洋榎も打ってみるか?」

    286 = 1 :

    「い……いや! そんな! 今のはたまたまですからっ! うちなんて普段はラスばっかなんです、ホンマにっ!」

    由子「そうは見えへんかったのよー? 普通はこんだけプラスになったら浮き足立つもんなのよー。でも、上重さんは最後まで落ち着いとったのよー。まるで大勝ちに慣れとるみたいやったのよー」

    「そ……それは、ホンマにたまたまなんです。うち……なんか波が激しくて……中学の頃からたまに大勝ちすることあって……五回に一回くらいなんですけど……」

    末原「25000持ちで五回に一回プラ五万取れるんやったら……残り四回のうち二回はトんでもええって話やな」

    「そ……そうですか? そんな風に考えてみたことはなかったですけど……」

    洋榎「まっ! 細かいことはどうでもええわ! 強いか弱いかなんて打てばわかるやろ!!」

    由子「じゃ、ラスの恭子ちゃんが抜けなのよー」

    「え、えっと……! よ……よろしくお願いします!!」

    絹恵「(お……おねーちゃんと家以外で初めて打つ……!!)よろしくお願いしますっ!!」

    洋榎「安心してええでー、一年坊。手加減はせえへんからなー」

    漫・絹恵「はいっ!!」

    287 = 1 :

    末原(上重漫……さっきの話が本当やったら……これが噂に聞く能力持ちなんか……?
     姫松にはあんまおらんタイプやな……たまにやけど爆発的に勝つ力……もし……その割合を上げて……そうでないときも極力失点を抑えるような打ち方ができれば……ええ戦力になるかもしれへんな……)

    洋榎「ロンやっ! タンピン三色ドラドラ……18000!!」

    「ひゃああああ……」

    末原(へぼっ!!
     これは……純粋な技量やったら断然洋榎の妹のほうが上やな……っちゅうか……こんなド下手がさっきはプラ五万取ったんか……半端ない爆運やで……やけど……こら底上げするんは大変そうや……ま、育成ゲームみたいでオモロいかもな……)

     ――――――

    末原(漫ちゃん……あれからよう頑張ったわ……使い物になるまでほんのちょっと時間かかったけどな……)

    288 = 1 :

     ――回想・姫松高校屋上・五ヶ月前――――

    「卒業式……三年生のみなさん笑うてはりましたね……」

    末原「目出度い日やもん。漫ちゃんもいつまでもメソメソせんと……しゃきっとしいや。そやないと夜の送別会がきついで。漫ちゃん一発芸担当やんか」

    「もう……ホンマ泣きそうですわ……」

    末原「ちなみに、なにやるん?」

    「愛宕先輩の物真似です」

    末原「えー!? なんやそれ!! 見たい見たい!!」

    「それは送別会のお楽しみっちゅうことで……」

    末原「なんやねん、ケチケチすんなやー……」

    「…………」

     三月、春はまだ――風は冷たく。

    289 = 1 :

    「…………先輩」

    末原「ん……?」

    「先輩と……こうして一緒におれるんも……あと一年しかないんですね……」

    末原「……せやな」

    「一緒に大会に出れるんやって……夏のインターハイまでですよね……」

    末原「なんや……漫ちゃん、うちとお別れするんが寂しいの?」

    「そら寂しいですよ。先輩には入部したときからお世話になりっぱなしでした……姫松で一番うちと打ってくれた相手やって……先輩やし……」

    末原「そうやったっけか……ほな……うちが一番多く打った相手も……漫ちゃんやんな……」

    「せやから……うち……夏のインターハイ……死ぬ気で頑張りますよ……」

    末原「なんや……気が早いな。先にスプリングもあるやろ」

    「先輩と……少しでも長く一緒におりたいんです。インターハイ……決勝まで行きましょう……そしたら……ほんの何日かですけど……先輩と過ごせる時間が長くなります……」

    末原「別に引退してもたまには部活に顔出すわ。なんや……インターハイ終わったら、うちらはお別れなんか?」

    「そんなことは……ないですけど。でも……それくらいの覚悟で……挑みます。先輩……うち……絶対勝ちますから……見とってください……」

    末原「ほな、夏を楽しみに待っとるわ……」

    290 = 1 :

     *

    みさき『先鋒戦終了!! 安定した力を見せ付けたのはやはりこの人、辻垣内智葉! 清澄・有珠山、ともに健闘しましたが力及ばず。一方、姫松は大きく出遅れる形となりました。この結果をどう思いますか、野依プロ』

    理沙『ッ…………頑張った……!!』

    末原(せやな……漫ちゃん……よう頑張ったで。不発やったのに……ちゃんと一位との差を五万点以内に抑えたやん……去年の個人戦三位とそこまで打てれば十分や……あとは……うちらに任せとき……!)

     *

    みさき『出ました嶺上開花っ!! 清澄高校一年・宮永咲……この土壇場で姫松を抜き去り二位通過を果たしました!! 決勝に駒を進めたのはシード校・臨海女子と初出場・清澄高校です!! この結果をどう思いますか、野依プロ』

    理沙『ッ…………すごい……!!』

    末原(ああ……しもたぁ……足りんかったか……せっかく前半で二位になったんやけどな……いけると思ったんやけどな……現実は……厳しいで……)

     ――――――

    末原(インターハイ……負けても……不思議と悲しくはあらへんかったな……洋榎も由子もそうや……控え室帰ったらケロッとしとった……ボロボロ泣いとったんはむしろ漫ちゃんと絹ちゃんやったっけ……)

    末原(今日も……漫ちゃん……負けたら泣くんやろか……嫌やわ……漫ちゃんは……アホみたいに笑うてるときが……一番可愛いねん……また……あのときみたいに……あの子を泣かせるわけにはいかへんよな……)

    291 = 1 :

     ――回想・姫松高校屋上・二週間前――

    「あ……先輩、こんなとこにおったんですか」

    末原「漫ちゃん……? どうしたん? 今日はミーティングだけで……さっき解散したやん」

    「いや……個人的に先輩と話したくて……探してました」

    末原「なんや、告白でもする気かいな」

    「先輩……赤阪監督代行から聞きました。去年……うちをレギュラーに推してくれたの……先輩やって」

    末原「……あのババア、善野監督が復帰してやっとオサラバやと思たら……とんだ置き土産やな」

    「やっぱ……ホンマなんですか?」

    末原「いやいや、うちはただデータを客観的に進言しただけやって。上重の総合収支は部内トップですーて」

    「やけど……それってうちの標準ルールとはちゃいますやん……わざわざ統計とってくれはったってことですよね?」

    末原「チームのためや。勝つ可能性が上がるんやったら、それくらいの手間は掛けるんが当然やろ」

    「末原先輩……」

    末原「なんやねん……まーたそないな泣きそうな顔して。別に漫ちゃんがレギュラーになったんは、うちのおかげとかやないよ。去年も今年も、漫ちゃんがレギュラーになれたんは、漫ちゃん自身が頑張ったからやろ」

    292 = 1 :

    「でも……! うちは……全国でなんも結果を残せませんでした……!! 先輩に目をかけていただいたのに……なにも……うちは恩返しできませんでした……!! 本当に……すいませんでした……!!」

    末原「そんな……漫ちゃんが謝るようなことちゃうやろ……準々決勝も準決勝も相手強かったしな。清澄の化け物一年とか、神代とか、辻垣内とか」

    「けど……! うちが……ちゃんと勝ててれば……姫松は決勝に行けてました……!!」

    末原「チームで戦ったんや。漫ちゃん一人の勝ち負けの問題ちゃうよ」

    「やって……準決勝……姫松でマイナスやったんはうちだけやないですか……」

    末原「アホ。それこそ気にするとこちゃうわ。誰だって負けることはあんねん。それに……漫ちゃんは対宮永照用の秘密兵器やったんやから、決勝までは不発で構へんかったんよ。点を取り返せんかったうちら三年が不甲斐なかったんや」

    「先輩……」

    末原「漫ちゃんには来年がある。そこでぶちかませばええやん」

    「来年……ですか……先輩がおらんようになったら……うちなんてレギュラー入りも危ういような気ぃしますわ……」

    末原「なに言うてんの。漫ちゃんは強いんやから、自信持ちや。善野監督やって、ちゃんと漫ちゃんの実力と努力を見てくれはる」

    「あんな結果で……自信なんて……持てませんよ……!!」

    末原「な……何も泣くことあらへんやん……」

    「やって……うち……ホンマに……先輩に申し訳なくて…………」

    293 = 1 :

    末原「…………しゃーないな。ほな、今から一緒に街、行こか!!」

    「えっ……!?」

    末原「デートしよ。ほんで、漫ちゃんのそのダサい髪型なんとかしよ!!」

    「な……なにをいきなり!?」

    末原「強くなるにはまず見た目から変わらんとなっ! 赤阪のババアも言っとったやろ!!」

    「え? えええっ!?」

    末原「うちの行きつけの美容院に連れてったるわ。そうと決まれば早速おでかけやっ!」

    「えっ、ちょ、先輩……!?」

    末原「なんや、漫ちゃん、うちとデートするんがそんなに嫌か?」

    「そ……そんなことありませんけど……」

    末原「ならええやん。今日だけは、麻雀のこと忘れて、うちと目一杯遊ぼ。な?」

    「は……はいっ!!」

     ――――――

    294 = 1 :

    末原(と……あかんあかん……軽く走馬灯やわ……なんや……うち……もしかしてこの戦いが終わったら死ぬんかいな……勘弁してや……まだ……うちは漫ちゃんと遊び足りないねん……)

    「リーチ……」チャ

    ・久(速い……!!)

    末原(………………来た……!)ニヤッ

     末原、笑みッ!!!

    末原(リー棒……出しよったな……? 助かったで……これで鳴いて速攻とかやったら……さすがに無理やったかもしらん……やけど……そのリー棒と……積み棒……!! おかげでこっちも首の皮一枚……繋がったわ……!!!)ツモッ

     末原手牌:一二二三三四④⑤⑥⑦⑦⑧⑨:ツモ⑦:ドラ①

    末原(漫ちゃん……しっかり見ててや……!! これが……漫ちゃんの大好きな先輩……漫ちゃんを大好きな先輩……名門姫松・大将――末原恭子の麻雀やで……!!!)

    すばら『ああああ!!!? これは……!! こんなことがあるんでしょうか!! 混成チーム大将・末原選手……この局面でまさかの……!!!』

     末原、打、一萬ッ!!!

    すばら『和了り拒否いいいいいいいいいいいいい!!!!!!』

    295 = 98 :

    やはり末漫は最高である

    296 = 1 :

    @混成チーム控え室

    すばら『和了り拒否いいいいいいいいいいいいい!!!!!!』

    「せ……!! 先輩!!!?」

    「なんでやねん!!!?」

    竜華「ど……どういうことや末ちゃん!!?」

    かじゅ「まったく意図がわからない……!!」

    まこ「こんなん本人以外誰もわからんじゃろ……!!」

    池田「小走さん、ここは一つ解説をお願いしますっ!!!」

    小走「悪いな、池田。ニワカのすることなど私にはわからんよ」

    「末原さん……和了る気がないわけじゃなさそうだし……一萬を落としたってことは……一盃口を見てる……? 高めを……狙ってる……? どうして……?」

    (……なるほど……)

    297 = 1 :

    @三年選抜控え室

     ――――――

    すばら『末原選手……!! 信じられません……!!! 一体何を考えているのか……と……一巡回ってまたツモ和了……!!!!?』

     末原手牌:二二三三四④⑤⑥⑦⑦⑦⑧⑨:ツモ四:ドラ①

    すばら『が……しかし九筒を落としたあああああ!! これで二度目の和了り拒否だあああああ!!!!!?』

     ――――――

    美穂子「どういうことでしょうか……」

    「まるでわからないわね……洋榎さん、いかがかしら?」

    洋榎「んー、恭子はここまで焼き鳥やしなー……あないな安手で勝ったらダサい思ったんちゃうかー?」

    セーラ「つまり、洋榎さんにもわからへんっちゅうことやんな」

    豊音「これがオーラスで……和了れば勝ちって場面じゃなければ……まあ普通に高めを狙っているように見えるけど……」

    シロ(ツモのみ役無しだった手が……これで一盃口確定……六筒ツモならタンピンツモ一盃口……1300・2600か……)

    初美「高めですかー……カッコつけるならせめて倍満くらいは和了りたいところですねー」

    姫子「あの……ちょっと思ったとですけど……これ……なんか部長の打ち方と似てませんか……? なんというか……この対局の外ば意識しとるというか……」

    「うちが姫子のことば考えて打つのと同じようなことをやっとるんか……? ばってん……この対抗戦はこれで終わりとね……一体……あの人は誰のいつの対局ば見据えて打っとるんやろか……」

    298 = 1 :

    @二年選抜控え室

    すばら『さすがに今度は和了りならず……!!!』

     末原手牌:二二三三四四④⑤⑥⑦⑦⑦⑧:ツモ④:ドラ①

    すばら『あああああっと!!! ここで……ここで平和崩しの八筒切りいいいいいい!!!? またしても不可解な打牌です!! 一体何がどうなっているんでしょうか!!?』

     末原手牌:二二三三四四④④⑤⑥⑦⑦⑦:ドラ①

     ――――――

    絹恵「フリテン解消……? やけど……これやったら断ヤオ一盃口……ツモっても4000……平和が消えたからさっきより点が下がったで……!? どういうことですか……末原先輩……!!」

    「ちょ……待ってや! 絹ちゃん、今なんて言うた!?」

    「フリテン解消……そう言うたねっ!」

    かおりん「えっと……! どういうことですか……!?」

    透華「さっきまでの形だとツモでしか和了ることができなかったのが……今は待ちが変わって出和了りができるようになったということですわ!」

    神代「ということは……ただ手を高めたかっただけではなく……末原さんには誰か直撃を取りたい人がいるということでしょうか……?」

    「で……でも……!! なんでこの場面で誰かを削る必要があるの……? 末原さんはトップなんだから……もう和了ればそれで勝てるわけで……!!」

    「衣には……少しわかる。あれは……この場だけを見ている打ち方ではない。もっと先の何かを見据えている打ち方だ。目先の勝利を捨ててでも成し遂げたい何かが……譲れない想いがあるのだろう」

    尭深(……直撃……削る……もしかして……)

    299 = 1 :

    @対局室

    末原(さて……やっとここまで来たで……!!)

     末原手牌:二二三三四四④④⑤⑥⑦⑦⑦:ツモ③:ドラ①

    末原(これ以上は……さすがに無能力のうちには無理や……! ホンマやったら……あと一つ……どうにかしたかったんやけど……こうなったらもう一発で直撃を取る……!
     でなければ……まだ一枚しか見えてへんアレで直撃を取ったる……! 原村和の点数を9200点以上削るには……それしかあらへん……!! それで……うちの目的は達成や……!!)

    末原(リーチかけてもうたら……フリテンの可能性もある……やけど……どの道一発頼みの運勝負なんや……行くしかないやろ……! もう……ここしかチャンスがないねん……!
     うちと漫ちゃんが……一緒のチームで麻雀を打てるチャンスなんて……これが最後やねん……!!)

    末原(漫ちゃん……きっと……うちの代の送別会では……漫ちゃんがうちに花束くれるやんな……! ごっつう嬉しいわ……!! けど……なんも花をあげたいんは下級生のほうだけとちゃうで……!
     うちも……今までずっと頑張ってきた漫ちゃんに……こんなうちに最後までついてきてくれた漫ちゃんに……花をあげたいんや……花を……持たせたいんや……!!!)

    末原(漫ちゃん……! うちの花……受け取ってくれるやんな……! ちゃんと……来年の姫松を……絹ちゃんと一緒に引っ張ってってくれるやんな……!!)

    末原(ほんで……いつか漫ちゃんが……辛くて……なんもかんも投げ出したくなって……メゲそうになったとき……! ちらっとでええからうちのあげた花のことを思い出してな……!!
     そしたら……きっと元気出ると思うねん……!! なんぼ苦しい状況になっても……笑って前に進めると思うねん……!!)

    末原(それが……繋がるってもんやろ……!! 漫ちゃんの……これからの戦いやすさに……!!!)

    末原「ほな……これで終わりにしよか……!! リーチやッ!!」ゴッ

     末原手牌:二二三三四四③④④⑤⑥⑦⑦:ドラ①

    300 = 1 :

    (トップが追っかけリーチ……? 鳴いて速攻でもなく……ダマでもなく……? 役がなかったとしか考えられないけど……それにしては手ができるのが遅過ぎるような……)タンッ

    (姫松の末原さん……もしかして……何か私には想像もできないようなことをしてる……? この局面で……? 人のことは言えないけれど……大した度胸だわ……!!)タンッ

    末原(よし……鷺森と竹井久からは出えへんかった……これで……あとは原村和が一発で振り込んでくれば……!!!)

    @一年選抜控え室

     ――――――

    すばら『とうとう末原選手がリーチを掛けてきたあああああ!! これでもう和了り拒否はしないでしょうが……とおおおお!! その一発目に和が掴まされましたあああああ……!!』

     末原手牌:二二三三四四③④④⑤⑥⑦⑦:待ち②・⑤:ドラ①

     和手牌:②②②12388六七北北北:ツモ②:ドラ①

     ――――――


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