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元スレP「涼ちん♪」 涼「」
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数日後
涼「……はぁ」
涼「今日は、久しぶりのセルフプロデュースかぁ……何をしたらいいか、思いつかないや」
涼「……」
―――
『本当にすまん、涼ちゃん! 今日だけはどうしても、765プロの方に顔を出さないといけなくなったんだ』
『人手が足りてないらしくてな……だから今日は、自分でレッスンをしてくれないか?』
―――
涼(……そう言い残して、プロデューサーさんは、765プロにいるあるアイドルのライブ会場まで行っちゃった)
涼(しかたない、とはいえ……やっぱり、ちょっとさみしいな……)
涼「……」
涼「……ライブ、見に行ってみようかな?」
涼「……はぁ」
涼「今日は、久しぶりのセルフプロデュースかぁ……何をしたらいいか、思いつかないや」
涼「……」
―――
『本当にすまん、涼ちゃん! 今日だけはどうしても、765プロの方に顔を出さないといけなくなったんだ』
『人手が足りてないらしくてな……だから今日は、自分でレッスンをしてくれないか?』
―――
涼(……そう言い残して、プロデューサーさんは、765プロにいるあるアイドルのライブ会場まで行っちゃった)
涼(しかたない、とはいえ……やっぱり、ちょっとさみしいな……)
涼「……」
涼「……ライブ、見に行ってみようかな?」
野外ライブ会場
涼(ほ、ほんとに来ちゃったよ……それにしても)
ウォオォオオオ!!
涼「……っ! す、すごい熱気……!」
涼「とはいえ、それもそうだよね。なんせ、今日ここでやってるのは……」
やよい『いぇーい! それじゃあ、次の曲いっちゃうよーっ!!』
やよいちゃーん!!!!
かわいいぃいいいい!!!! 結婚してぇえええ!!
やよい『うっうー! ありがとーございまーっす!』
やよい『キラメキラリ!!』
涼「……高槻やよいさん……」
涼「プロデューサーさんがプロデュースしたっていう、765プロの超有名アイドルだ……」
涼(ほ、ほんとに来ちゃったよ……それにしても)
ウォオォオオオ!!
涼「……っ! す、すごい熱気……!」
涼「とはいえ、それもそうだよね。なんせ、今日ここでやってるのは……」
やよい『いぇーい! それじゃあ、次の曲いっちゃうよーっ!!』
やよいちゃーん!!!!
かわいいぃいいいい!!!! 結婚してぇえええ!!
やよい『うっうー! ありがとーございまーっす!』
やよい『キラメキラリ!!』
涼「……高槻やよいさん……」
涼「プロデューサーさんがプロデュースしたっていう、765プロの超有名アイドルだ……」
キラメキラリ♪ ずっとチュッと♪
ワァァ!!
―――
P「……うん、なんとか一段落着いたかな」
律子「そうですね。すみません、わざわざこっちに来てもらっちゃって」
P「ああいや、いいんだよ。やよいのコンサートは裏方まで全員、体力勝負だしな。それはわかってるからさ」
涼「……」コソコソ
涼「あ、いたいた。プロデューサーさんと、律子姉ちゃんだ」
涼(スタッフの人に頼んだら、意外なほどすんなり中に入れてもらえちゃった)
涼(僕がプロデューサーさんのプロデュースを受けてるアイドルだって、知ってたからかな?)
涼「……」
涼「……何の話をしてるんだろ?」
律子「……涼の調子は、どうですか?」
P「見たところ、絶好調さ。涼ちゃんには才能もある。きっと努力すれば、いけるところまでいけるぞ」
律子「いけるところ、というと……ランクA?」
P「……道さえ間違えなければ、そこまでいったって全然おかしくはない……と、思う」
律子「へえ、あの涼が……ふふっ、なんだか意外かも。やっぱりあのとき、無理矢理にでも765プロに入れておくんだったかな」
P「涼ちゃんは最初は、765プロに入りたかったんだっけ?」
律子「ええ、まぁ……ま、私に見る目がなかったというかなんというか……色々あって、876プロに所属することになったんです」
P「……律子としては、やっぱり心配か?」
律子「ぜーんぜん! むしろ、どんどん逆境に追い込まれればいいんですよ、あの子は」
P「あはは……厳しい姉ちゃんだな」
涼「うぅ……ここからじゃ、あんまり聞こえないよ」
涼(……プロデューサーさんと律子姉ちゃん。楽しそうに話してるな……)
ズキ
涼「……っ!」
涼(……今のは……嫉妬、なのかな。それとも……)
P「見たところ、絶好調さ。涼ちゃんには才能もある。きっと努力すれば、いけるところまでいけるぞ」
律子「いけるところ、というと……ランクA?」
P「……道さえ間違えなければ、そこまでいったって全然おかしくはない……と、思う」
律子「へえ、あの涼が……ふふっ、なんだか意外かも。やっぱりあのとき、無理矢理にでも765プロに入れておくんだったかな」
P「涼ちゃんは最初は、765プロに入りたかったんだっけ?」
律子「ええ、まぁ……ま、私に見る目がなかったというかなんというか……色々あって、876プロに所属することになったんです」
P「……律子としては、やっぱり心配か?」
律子「ぜーんぜん! むしろ、どんどん逆境に追い込まれればいいんですよ、あの子は」
P「あはは……厳しい姉ちゃんだな」
涼「うぅ……ここからじゃ、あんまり聞こえないよ」
涼(……プロデューサーさんと律子姉ちゃん。楽しそうに話してるな……)
ズキ
涼「……っ!」
涼(……今のは……嫉妬、なのかな。それとも……)
律子「……あの、千早の件ですけど……」
P「……ああ、大丈夫。そっちも心配ないさ。ちゃんとあと――で」
律子「重ね重ね、すみません……私がついていってやれれば……」
P「……」
涼「……あれ? ふたりの顔が……なんか、暗くなってる?」
涼(き、気になる……! もうちょっと、近づいてみよっかな……)
ソローリ
涼「うぅ……も、もうちょっと……!」
やよい「あれっ?」
涼「もう少しで、聞こえそうな……感じなんだけど」
やよい「そこにいるのは、涼さんですよねっ! おはようございまーっす!!」
涼「!!?」
P「……ああ、大丈夫。そっちも心配ないさ。ちゃんとあと――で」
律子「重ね重ね、すみません……私がついていってやれれば……」
P「……」
涼「……あれ? ふたりの顔が……なんか、暗くなってる?」
涼(き、気になる……! もうちょっと、近づいてみよっかな……)
ソローリ
涼「うぅ……も、もうちょっと……!」
やよい「あれっ?」
涼「もう少しで、聞こえそうな……感じなんだけど」
やよい「そこにいるのは、涼さんですよねっ! おはようございまーっす!!」
涼「!!?」
涼「うわああああ!!!」
どんがらがっしゃーん!
P・律子「!?」
涼「あいたたた……お、驚きすぎてこけちゃったよ……」
やよい「ご、ごごごめんなさいっ! うう……ビックリさせるつもりはなかったんですけどー……」
P「りょ、涼ちゃん!? どうしてここに……!?」
涼「ぁ……あ、あははは……」
律子「……あんた、もしかして……さっきからずっと?」
涼「う、うん……ごめんなさい。つい、来ちゃいました……」
P「……俺達の話、聞こえちゃってたか?」
涼「あ、いえ……ほとんどなんにも……」
P「……そうか。まあ、それならいい」
涼「あのっ! ご、ごめんなさいプロデューサーさんっ! 私、レッスンしないでこんなところ――
P「そのことはいい。とりあえず、これが終わるまで、外で待っていてくれ」
涼「っ! はい……わかり、ました……」
涼(プロデューサーさんの顔、こわい……や、やっぱり怒ってる……?)
涼(……とにかく、言われたとおり……外に行ってよう……)トボトボ
やよい「あ、あのー……」
P「……またせたな、やよい。えっと、次の曲の衣装は……」
やよい「あの、プロデューサー! 今の人が、さっき話してた涼さんですよねっ!?」
P「……うん」
やよい「それならっ、ここで待っててもらってもー……!」
P「……そういうわけにもいかないよ。一応、部外者だしな。そんなことより、やよいは今は自分のコンサートに集中するんだ」
やよい「……はーい……」
涼「あ、いえ……ほとんどなんにも……」
P「……そうか。まあ、それならいい」
涼「あのっ! ご、ごめんなさいプロデューサーさんっ! 私、レッスンしないでこんなところ――
P「そのことはいい。とりあえず、これが終わるまで、外で待っていてくれ」
涼「っ! はい……わかり、ました……」
涼(プロデューサーさんの顔、こわい……や、やっぱり怒ってる……?)
涼(……とにかく、言われたとおり……外に行ってよう……)トボトボ
やよい「あ、あのー……」
P「……またせたな、やよい。えっと、次の曲の衣装は……」
やよい「あの、プロデューサー! 今の人が、さっき話してた涼さんですよねっ!?」
P「……うん」
やよい「それならっ、ここで待っててもらってもー……!」
P「……そういうわけにもいかないよ。一応、部外者だしな。そんなことより、やよいは今は自分のコンサートに集中するんだ」
やよい「……はーい……」
―――
P「……おまたせ」
涼「あ、プロデューサーさん……」
P「さっきはすまなかったな……、追い出すような形になっちゃって」
涼「……」
フルフル
涼「いいんです、私が勝手に入っちゃったのがいけなかったんですから……」
P「……」
涼「……やよいさんのコンサート、すごかったですね」
P「ん、すごいって?」
涼「あんなの、初めて見ました。熱気も歓声もすごくて……」
P「ああ、涼ちゃんは初めて見たんだっけ。やよいのライブは、いつもこんな感じでパワフルなんだよ」
涼「……やよいさん、何時間も踊りっぱなし、歌いっぱなしなのに……全然、疲れた様子も見せてなかった」
P「ははは……たぶん、やれと言ったら、あと三時間は笑顔で踊れるだろうな」
涼「……」
P「……おまたせ」
涼「あ、プロデューサーさん……」
P「さっきはすまなかったな……、追い出すような形になっちゃって」
涼「……」
フルフル
涼「いいんです、私が勝手に入っちゃったのがいけなかったんですから……」
P「……」
涼「……やよいさんのコンサート、すごかったですね」
P「ん、すごいって?」
涼「あんなの、初めて見ました。熱気も歓声もすごくて……」
P「ああ、涼ちゃんは初めて見たんだっけ。やよいのライブは、いつもこんな感じでパワフルなんだよ」
涼「……やよいさん、何時間も踊りっぱなし、歌いっぱなしなのに……全然、疲れた様子も見せてなかった」
P「ははは……たぶん、やれと言ったら、あと三時間は笑顔で踊れるだろうな」
涼「……」
涼「やっぱり、すごいなあ……。765プロの先輩達も、プロデューサーさんも」
P「みんながすごい、ってのは俺も同意だけど……俺がすごいってなんだ? 関係ないだろ」
涼「……いいえ、関係あります。プロデューサーさんはすごいです」
涼「真さんやあずささん、やよいさん……こんなに有名なアイドル達をプロデュースしたんですから」
P「……俺だけの力で、ここまで大きくなったんじゃないさ」
P「765プロが強い秘訣、それは前にも言ったとおり……仲間同士の絆の強さ、だからさ」
涼「仲間……」
P「俺だけの力でも、みんなだけの力でも……ここまで来ることはできなかった」
P「もちろん努力だってたくさんした。時間をかけて、たくさんのレッスンもした。運だって……多少は良かったと思う」
P「それでも、今いるメンバーのうち、たったひとりでも欠けていたら……絶対に、こんなに大きくはなっていなかったよ」
涼「……」
涼(そう語るプロデューサーさんの顔は……なんだか、娘の成長を喜ぶ、お父さんみたいな表情で)
涼(そんな嬉しそうな顔を見ながら、僕は……)
涼(プロデューサーさんの居場所は、仲間は……やっぱり、765プロなんだ、って……思ってしまった)
P「みんながすごい、ってのは俺も同意だけど……俺がすごいってなんだ? 関係ないだろ」
涼「……いいえ、関係あります。プロデューサーさんはすごいです」
涼「真さんやあずささん、やよいさん……こんなに有名なアイドル達をプロデュースしたんですから」
P「……俺だけの力で、ここまで大きくなったんじゃないさ」
P「765プロが強い秘訣、それは前にも言ったとおり……仲間同士の絆の強さ、だからさ」
涼「仲間……」
P「俺だけの力でも、みんなだけの力でも……ここまで来ることはできなかった」
P「もちろん努力だってたくさんした。時間をかけて、たくさんのレッスンもした。運だって……多少は良かったと思う」
P「それでも、今いるメンバーのうち、たったひとりでも欠けていたら……絶対に、こんなに大きくはなっていなかったよ」
涼「……」
涼(そう語るプロデューサーさんの顔は……なんだか、娘の成長を喜ぶ、お父さんみたいな表情で)
涼(そんな嬉しそうな顔を見ながら、僕は……)
涼(プロデューサーさんの居場所は、仲間は……やっぱり、765プロなんだ、って……思ってしまった)
涼「……」ジワ
P「っ! 涼ちゃん……」
涼「……」
ゴシゴシ
涼「す、すみません……嘘です、今の涙は、嘘……」
P「嘘ってそんな……」
涼「……プロデューサーさんは、いつか……」
P「え?」
涼(――このときだ)
涼(このとき、こんなことを聞かなければ、よかったんだ)
涼(でも、そんなことがわかるのは……もう少し、あとのことで……)
涼(このときの僕は、ある種の期待を込めて……、こう聞いてしまったんだ)
涼「……765プロに、帰っちゃうですよね?」
P「……っ」
P「っ! 涼ちゃん……」
涼「……」
ゴシゴシ
涼「す、すみません……嘘です、今の涙は、嘘……」
P「嘘ってそんな……」
涼「……プロデューサーさんは、いつか……」
P「え?」
涼(――このときだ)
涼(このとき、こんなことを聞かなければ、よかったんだ)
涼(でも、そんなことがわかるのは……もう少し、あとのことで……)
涼(このときの僕は、ある種の期待を込めて……、こう聞いてしまったんだ)
涼「……765プロに、帰っちゃうですよね?」
P「……っ」
涼(プロデューサーさんが、765プロに帰ってしまう)
涼(それは決して避けられないことだけど……。それでも、そんなことはまだまだ、先の話だよって……)
涼(そんな未来のことは考えなくてもいいんだよ、って……そう言ってくれると、期待してたんだ)
P「……」
涼「……な、なんで……なんにも……言わないんですか?」
P「涼ちゃん……俺は……」
涼「それじゃあずっと、876プロにいてくれるんですか?」
P「……いや……それは、できない……」
涼「……っ! じゃ、じゃあ……なんでもいい、なんでもいいから……!」
P「……」
涼「……私を……安心、させてよぉ……!」
涼(それでも、プロデューサーさんはただ黙っているばかりで、僕には何も、声をかけてはくれなかった)
涼(そのとき僕は、ようやく自覚した。僕はもう、本当に……プロデューサーさんのことが好きで好きで、好きすぎて)
涼(夢子ちゃんの言う通り……ひとりじゃ、なんにもできない……弱い人間になっちゃってたんだ、ということに)
数日後 涼ちんのお部屋
チュンチュン……
涼「……」
ムクッ
涼「……はぁ……。ついにこの日が来ちゃったよ……」
涼(今日は、オーディションの最終審査日……)
涼(今日の結果次第で、ランクアップできるかもしれないって、プロデューサーさんは言っていたっけ)
涼(でも、もう……なんか、どうでもよく……なっちゃった)
涼(イケメンになるために、僕はアイドルになった)
涼(女の子アイドルとしてトップに立つことができれば、男の子アイドルとしてデビューさせてくれるっていう、社長の言葉を信じて)
涼(それでも、今の僕はどうだろう? プロデューサーさんに、女の子としての自分を褒められて、それがとっても嬉しくて……)
涼(……今でも、イケメンになりたい、って……本当に、そう思っているのかな)
チュンチュン……
涼「……」
ムクッ
涼「……はぁ……。ついにこの日が来ちゃったよ……」
涼(今日は、オーディションの最終審査日……)
涼(今日の結果次第で、ランクアップできるかもしれないって、プロデューサーさんは言っていたっけ)
涼(でも、もう……なんか、どうでもよく……なっちゃった)
涼(イケメンになるために、僕はアイドルになった)
涼(女の子アイドルとしてトップに立つことができれば、男の子アイドルとしてデビューさせてくれるっていう、社長の言葉を信じて)
涼(それでも、今の僕はどうだろう? プロデューサーさんに、女の子としての自分を褒められて、それがとっても嬉しくて……)
涼(……今でも、イケメンになりたい、って……本当に、そう思っているのかな)
876プロ事務所
ガチャ
涼「……おはようございます」
P「あ、ああ。おはよう、涼ちゃん……」
涼「……」
涼(あれからプロデューサーさんとは、仕事上での最低限の話しかしていない)
涼(プロデューサーさんは、何か話してくれようとはするんだけど……僕が、ことごとくそれから逃げてしまったんだ)
P「ゴホン! ……今日は、ついにオーディション最終日だな。調子はどうだ?」
涼「……普通、です……」
P「そ、そうか……いや、いつも通り、普通が一番だな! あはは……」
涼「……」
P「はは……は……」
涼「……」
涼(本当に……なんて女々しいんだろう、僕って人間は……)
ガチャ
涼「……おはようございます」
P「あ、ああ。おはよう、涼ちゃん……」
涼「……」
涼(あれからプロデューサーさんとは、仕事上での最低限の話しかしていない)
涼(プロデューサーさんは、何か話してくれようとはするんだけど……僕が、ことごとくそれから逃げてしまったんだ)
P「ゴホン! ……今日は、ついにオーディション最終日だな。調子はどうだ?」
涼「……普通、です……」
P「そ、そうか……いや、いつも通り、普通が一番だな! あはは……」
涼「……」
P「はは……は……」
涼「……」
涼(本当に……なんて女々しいんだろう、僕って人間は……)
オーディション会場
夢子「……あっ! 来たわね、涼!」
涼「夢子ちゃん……」
夢子「……なによ、その顔。調子でも悪いわけ?」
涼「う、ううん……大丈夫、なんにも心配、ないから」
夢子「し、心配なんてしてないわよっ! ただ、私は……」
涼「……ねえ、夢子ちゃん。どうして私に、そこまでこだわるの?」
夢子「え?」
涼「……私、夢子ちゃんに……何か、気にさわるようなこと、しちゃったかな……?」
夢子「……」
夢子「……あっ! 来たわね、涼!」
涼「夢子ちゃん……」
夢子「……なによ、その顔。調子でも悪いわけ?」
涼「う、ううん……大丈夫、なんにも心配、ないから」
夢子「し、心配なんてしてないわよっ! ただ、私は……」
涼「……ねえ、夢子ちゃん。どうして私に、そこまでこだわるの?」
夢子「え?」
涼「……私、夢子ちゃんに……何か、気にさわるようなこと、しちゃったかな……?」
夢子「……」
夢子「……はぁ~……」
涼「えっ、な、なんでため息?」
夢子「バカみたい、って思ったのよ……本当にね」
涼「バカ、って……そんな言い方……!」
夢子「ああ、違う違う。あなたのことじゃないわ。バカなのは、私」
涼「……どういうこと?」
夢子「……同期の、同ランクくらいのアイドルの中でも、私はね……涼が、一番の強敵だって思っていたのよ」
夢子「ライバル視、と言えば聞こえはいいけど……どんな手段を使ってでも、あなたには勝ちたいって思ってた」
夢子「……ま、あのプロデューサーがいたから、結局素の実力で勝負することになっちゃったんだけどね」
涼「……? それって、どういう……」
夢子「そんなことはどうでもいいのよ……とにかく。そんな前までの、ちょっと気合入れちゃってた自分が、バカみたいだって思ったの」
涼「……」
夢子「今のあなた、最低よ。まるで勝つ気が感じられない」
涼「……っ!」
夢子「本気じゃないなら、アイドルなんてやめちゃえばいいのよ。遊び感覚で勝てるほど、甘い世界じゃないんだから」
涼「えっ、な、なんでため息?」
夢子「バカみたい、って思ったのよ……本当にね」
涼「バカ、って……そんな言い方……!」
夢子「ああ、違う違う。あなたのことじゃないわ。バカなのは、私」
涼「……どういうこと?」
夢子「……同期の、同ランクくらいのアイドルの中でも、私はね……涼が、一番の強敵だって思っていたのよ」
夢子「ライバル視、と言えば聞こえはいいけど……どんな手段を使ってでも、あなたには勝ちたいって思ってた」
夢子「……ま、あのプロデューサーがいたから、結局素の実力で勝負することになっちゃったんだけどね」
涼「……? それって、どういう……」
夢子「そんなことはどうでもいいのよ……とにかく。そんな前までの、ちょっと気合入れちゃってた自分が、バカみたいだって思ったの」
涼「……」
夢子「今のあなた、最低よ。まるで勝つ気が感じられない」
涼「……っ!」
夢子「本気じゃないなら、アイドルなんてやめちゃえばいいのよ。遊び感覚で勝てるほど、甘い世界じゃないんだから」
スタッフ「……エントリーナンバー2、桜井夢子さん。そろそろ本番ですので、準備をお願いします」
夢子「はい♪ ……それじゃ、お先に行ってくるわね」
涼「夢子ちゃん……わ、私は……」
夢子「……中途半端な言葉なら、何も言わないで」
涼「……」
バタン……
涼「中途半端……か……。本当、そのとおりだよね……」
涼(最近の僕は、アイドルというより……、ただ恋してるだけの、男でも女でもない、中途半端な存在だったんだ……)
涼(……なんのために頑張ってるんだろう。なんのために、アイドルを続けているんだろう……)
――……君に笑顔で、アイドルを続けて欲しいからさ……――
涼「……」グッ
涼(プロデューサーさん……)
涼(……プロデューサーさんに、会いたい……!)
夢子「はい♪ ……それじゃ、お先に行ってくるわね」
涼「夢子ちゃん……わ、私は……」
夢子「……中途半端な言葉なら、何も言わないで」
涼「……」
バタン……
涼「中途半端……か……。本当、そのとおりだよね……」
涼(最近の僕は、アイドルというより……、ただ恋してるだけの、男でも女でもない、中途半端な存在だったんだ……)
涼(……なんのために頑張ってるんだろう。なんのために、アイドルを続けているんだろう……)
――……君に笑顔で、アイドルを続けて欲しいからさ……――
涼「……」グッ
涼(プロデューサーさん……)
涼(……プロデューサーさんに、会いたい……!)
―――
P「……くそ、なんだか落ち着かないな……」ソワソワ
P「涼ちんの出番は……もう、そろそろか。ちゃんと力を出し切れてるといいんだけ――
バッターン!
涼「……はぁ、はぁ……!」
P「!?」
涼「プロデューサーさんっ!」
P「な、なんでここにいるんだ!? オーディションは……!?」
涼「わ、私の出番まで、あとちょっとだけ……んっ……時間はありますから……!」
P「とは言っても、こんな場所に来るほどの余裕は……」
涼「だからっ! はやく、はやくって……急いできたんですっ!!」
P「……くそ、なんだか落ち着かないな……」ソワソワ
P「涼ちんの出番は……もう、そろそろか。ちゃんと力を出し切れてるといいんだけ――
バッターン!
涼「……はぁ、はぁ……!」
P「!?」
涼「プロデューサーさんっ!」
P「な、なんでここにいるんだ!? オーディションは……!?」
涼「わ、私の出番まで、あとちょっとだけ……んっ……時間はありますから……!」
P「とは言っても、こんな場所に来るほどの余裕は……」
涼「だからっ! はやく、はやくって……急いできたんですっ!!」
P「……一体、どうして……」
涼「プロデューサーさんにっ、聞きたいことがあるんですっ!」
P「……」
涼「それに答えてもらうまではっ、私、ここを動きませんっ! オーディションにも出ません!」
P「な、何を言っているんだ! そんなこと許されるわけないだろうっ!」
涼「だからお願いですっ! 答えてくださいっ!! すぐに、あなたの本心を……!」
P「……」
涼「……はぁ、はぁ……」
P「……わかった。質問に答えるよ。なんでも聞いてくれ」
涼「あ、ありがとう……ございます……」
P「……」
涼「……あの……プロデューサーさんは……」
涼「いつまで、私のそばに……いてくれるんですか?」
P「……っ……。それは……」
涼「いつかは……いなくなってしまうこと、わかってます」
P「……」
涼「だけど、あのときプロデューサーさんは……なんにも、言ってくれなかったから……」
涼「私は、不安になっちゃったんです……!」
バタバタ
スタッフ「……あ、いたいた! 秋月さん、もうそろそろ出番ですよっ」
涼「……プロデューサーさんっ!!」
スタッフ「ほら、こっちへ……」
涼「ごめんなさい、もう少し、もう少しだけだから……!」
P「……涼ちゃん。俺が……876プロにいられるのはな……」
涼「……」
ドックン…… ドックン……
P「……明日が、最後なんだ」
涼「……っ!!」
涼「いつかは……いなくなってしまうこと、わかってます」
P「……」
涼「だけど、あのときプロデューサーさんは……なんにも、言ってくれなかったから……」
涼「私は、不安になっちゃったんです……!」
バタバタ
スタッフ「……あ、いたいた! 秋月さん、もうそろそろ出番ですよっ」
涼「……プロデューサーさんっ!!」
スタッフ「ほら、こっちへ……」
涼「ごめんなさい、もう少し、もう少しだけだから……!」
P「……涼ちゃん。俺が……876プロにいられるのはな……」
涼「……」
ドックン…… ドックン……
P「……明日が、最後なんだ」
涼「……っ!!」
涼「……そ、そんな……!」
スタッフ「……秋月さん?」
涼「……」
P「……さあ、行って来るんだ」
涼「……っ……はい……。すみません、スタッフさん。おまたせしました……今、行きます」
スタスタ
涼「……」チラ
P「……」
涼「……っ」ダダッ
スタッフ「ああ、そんなに急がなくても」
P「……」
P「……涼ちゃん……」
P「俺は……どうすればよかったんだ……」
Dazzling World……
「目が眩むほどに輝いている世界」、か…
超支援
「目が眩むほどに輝いている世界」、か…
超支援
スタッフ「それでは……エントリーナンバー3、876プロダクション所属、秋月涼さん。オーデションを始めます」
涼「……はいっ。よろしくお願いします」
――♪
――……いま 目指してく 私だけのストーリー……――
涼(……プロデューサーさん……)
涼(もう、お別れは……こんなに、目の前まで、来ていたなんて……)
――……BRAND NEW TOUCH 始めよう SAY “HELLO!!”……――
涼(……もう、何も見えない。思い出ルーレットも、真っ赤に染まって全部BADだ……)
涼(これで……最後なのに……)
オーディション終了後
涼(オーディションが、終わった)
涼(結果は……)
涼「……」
夢子「……涼……」
涼「……おめでとう、夢子ちゃん。本番の収録も、頑張ってね」
夢子「……ええ、言われなくても」
涼「……」
夢子「あの、さっきはその……ちょっと言いすぎたわ。ごめんなさい」
涼「……ふふっ、そんなに私、ひどい顔してる? 夢子ちゃんがつい心配しちゃうくらい」
夢子「……」
涼「でも、気にしないで。私が中途半端だったのは、本当だから……」
涼(オーディションが、終わった)
涼(結果は……)
涼「……」
夢子「……涼……」
涼「……おめでとう、夢子ちゃん。本番の収録も、頑張ってね」
夢子「……ええ、言われなくても」
涼「……」
夢子「あの、さっきはその……ちょっと言いすぎたわ。ごめんなさい」
涼「……ふふっ、そんなに私、ひどい顔してる? 夢子ちゃんがつい心配しちゃうくらい」
夢子「……」
涼「でも、気にしないで。私が中途半端だったのは、本当だから……」
涼「……それじゃ、私、もう……帰るね」
夢子「りょ、涼っ! ちょっと待って!」
涼「……?」
夢子「……確かに、今のあなたは、どうしようもなく最低な顔してる」
涼「あはは……直球だね」
夢子「でも……あなたなら、きっとまた上がってこれるわ」
涼「……励ましてくれてるの?」
夢子「……違うわよ。これは、私のために言ってるの」
夢子「あなたはね、私が実力を認めたのよ……たとえ一瞬でもね」
涼「……」
夢子「だから私に、恥をかかせたままにしないでちょうだい。何をしてでも、どんな手段を使ってでも、這い上がってくるのよ」
涼「……っ」
夢子「……それじゃあ、またね。バイバイ」
夢子「りょ、涼っ! ちょっと待って!」
涼「……?」
夢子「……確かに、今のあなたは、どうしようもなく最低な顔してる」
涼「あはは……直球だね」
夢子「でも……あなたなら、きっとまた上がってこれるわ」
涼「……励ましてくれてるの?」
夢子「……違うわよ。これは、私のために言ってるの」
夢子「あなたはね、私が実力を認めたのよ……たとえ一瞬でもね」
涼「……」
夢子「だから私に、恥をかかせたままにしないでちょうだい。何をしてでも、どんな手段を使ってでも、這い上がってくるのよ」
涼「……っ」
夢子「……それじゃあ、またね。バイバイ」
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