元スレP「涼ちん♪」 涼「」
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301 = 99 :
数日後
涼「……はぁ」
涼「今日は、久しぶりのセルフプロデュースかぁ……何をしたらいいか、思いつかないや」
涼「……」
―――
『本当にすまん、涼ちゃん! 今日だけはどうしても、765プロの方に顔を出さないといけなくなったんだ』
『人手が足りてないらしくてな……だから今日は、自分でレッスンをしてくれないか?』
―――
涼(……そう言い残して、プロデューサーさんは、765プロにいるあるアイドルのライブ会場まで行っちゃった)
涼(しかたない、とはいえ……やっぱり、ちょっとさみしいな……)
涼「……」
涼「……ライブ、見に行ってみようかな?」
302 = 99 :
野外ライブ会場
涼(ほ、ほんとに来ちゃったよ……それにしても)
ウォオォオオオ!!
涼「……っ! す、すごい熱気……!」
涼「とはいえ、それもそうだよね。なんせ、今日ここでやってるのは……」
やよい『いぇーい! それじゃあ、次の曲いっちゃうよーっ!!』
やよいちゃーん!!!!
かわいいぃいいいい!!!! 結婚してぇえええ!!
やよい『うっうー! ありがとーございまーっす!』
やよい『キラメキラリ!!』
涼「……高槻やよいさん……」
涼「プロデューサーさんがプロデュースしたっていう、765プロの超有名アイドルだ……」
303 = 115 :
このロリコンどもめ
305 = 275 :
犯罪者ばかりですね
306 = 99 :
キラメキラリ♪ ずっとチュッと♪
ワァァ!!
―――
P「……うん、なんとか一段落着いたかな」
律子「そうですね。すみません、わざわざこっちに来てもらっちゃって」
P「ああいや、いいんだよ。やよいのコンサートは裏方まで全員、体力勝負だしな。それはわかってるからさ」
涼「……」コソコソ
涼「あ、いたいた。プロデューサーさんと、律子姉ちゃんだ」
涼(スタッフの人に頼んだら、意外なほどすんなり中に入れてもらえちゃった)
涼(僕がプロデューサーさんのプロデュースを受けてるアイドルだって、知ってたからかな?)
涼「……」
涼「……何の話をしてるんだろ?」
308 = 99 :
律子「……涼の調子は、どうですか?」
P「見たところ、絶好調さ。涼ちゃんには才能もある。きっと努力すれば、いけるところまでいけるぞ」
律子「いけるところ、というと……ランクA?」
P「……道さえ間違えなければ、そこまでいったって全然おかしくはない……と、思う」
律子「へえ、あの涼が……ふふっ、なんだか意外かも。やっぱりあのとき、無理矢理にでも765プロに入れておくんだったかな」
P「涼ちゃんは最初は、765プロに入りたかったんだっけ?」
律子「ええ、まぁ……ま、私に見る目がなかったというかなんというか……色々あって、876プロに所属することになったんです」
P「……律子としては、やっぱり心配か?」
律子「ぜーんぜん! むしろ、どんどん逆境に追い込まれればいいんですよ、あの子は」
P「あはは……厳しい姉ちゃんだな」
涼「うぅ……ここからじゃ、あんまり聞こえないよ」
涼(……プロデューサーさんと律子姉ちゃん。楽しそうに話してるな……)
ズキ
涼「……っ!」
涼(……今のは……嫉妬、なのかな。それとも……)
309 = 115 :
かわええのう
310 = 99 :
律子「……あの、千早の件ですけど……」
P「……ああ、大丈夫。そっちも心配ないさ。ちゃんとあと――で」
律子「重ね重ね、すみません……私がついていってやれれば……」
P「……」
涼「……あれ? ふたりの顔が……なんか、暗くなってる?」
涼(き、気になる……! もうちょっと、近づいてみよっかな……)
ソローリ
涼「うぅ……も、もうちょっと……!」
やよい「あれっ?」
涼「もう少しで、聞こえそうな……感じなんだけど」
やよい「そこにいるのは、涼さんですよねっ! おはようございまーっす!!」
涼「!!?」
311 = 99 :
涼「うわああああ!!!」
どんがらがっしゃーん!
P・律子「!?」
涼「あいたたた……お、驚きすぎてこけちゃったよ……」
やよい「ご、ごごごめんなさいっ! うう……ビックリさせるつもりはなかったんですけどー……」
P「りょ、涼ちゃん!? どうしてここに……!?」
涼「ぁ……あ、あははは……」
律子「……あんた、もしかして……さっきからずっと?」
涼「う、うん……ごめんなさい。つい、来ちゃいました……」
312 = 275 :
ほっしゅ
313 = 112 :
涼ちんなら掘って良し、掘られてよし
314 = 102 :
うむ
315 = 99 :
P「……俺達の話、聞こえちゃってたか?」
涼「あ、いえ……ほとんどなんにも……」
P「……そうか。まあ、それならいい」
涼「あのっ! ご、ごめんなさいプロデューサーさんっ! 私、レッスンしないでこんなところ――
P「そのことはいい。とりあえず、これが終わるまで、外で待っていてくれ」
涼「っ! はい……わかり、ました……」
涼(プロデューサーさんの顔、こわい……や、やっぱり怒ってる……?)
涼(……とにかく、言われたとおり……外に行ってよう……)トボトボ
やよい「あ、あのー……」
P「……またせたな、やよい。えっと、次の曲の衣装は……」
やよい「あの、プロデューサー! 今の人が、さっき話してた涼さんですよねっ!?」
P「……うん」
やよい「それならっ、ここで待っててもらってもー……!」
P「……そういうわけにもいかないよ。一応、部外者だしな。そんなことより、やよいは今は自分のコンサートに集中するんだ」
やよい「……はーい……」
316 = 99 :
―――
P「……おまたせ」
涼「あ、プロデューサーさん……」
P「さっきはすまなかったな……、追い出すような形になっちゃって」
涼「……」
フルフル
涼「いいんです、私が勝手に入っちゃったのがいけなかったんですから……」
P「……」
涼「……やよいさんのコンサート、すごかったですね」
P「ん、すごいって?」
涼「あんなの、初めて見ました。熱気も歓声もすごくて……」
P「ああ、涼ちゃんは初めて見たんだっけ。やよいのライブは、いつもこんな感じでパワフルなんだよ」
涼「……やよいさん、何時間も踊りっぱなし、歌いっぱなしなのに……全然、疲れた様子も見せてなかった」
P「ははは……たぶん、やれと言ったら、あと三時間は笑顔で踊れるだろうな」
涼「……」
317 = 275 :
しえん
318 = 99 :
涼「やっぱり、すごいなあ……。765プロの先輩達も、プロデューサーさんも」
P「みんながすごい、ってのは俺も同意だけど……俺がすごいってなんだ? 関係ないだろ」
涼「……いいえ、関係あります。プロデューサーさんはすごいです」
涼「真さんやあずささん、やよいさん……こんなに有名なアイドル達をプロデュースしたんですから」
P「……俺だけの力で、ここまで大きくなったんじゃないさ」
P「765プロが強い秘訣、それは前にも言ったとおり……仲間同士の絆の強さ、だからさ」
涼「仲間……」
P「俺だけの力でも、みんなだけの力でも……ここまで来ることはできなかった」
P「もちろん努力だってたくさんした。時間をかけて、たくさんのレッスンもした。運だって……多少は良かったと思う」
P「それでも、今いるメンバーのうち、たったひとりでも欠けていたら……絶対に、こんなに大きくはなっていなかったよ」
涼「……」
涼(そう語るプロデューサーさんの顔は……なんだか、娘の成長を喜ぶ、お父さんみたいな表情で)
涼(そんな嬉しそうな顔を見ながら、僕は……)
涼(プロデューサーさんの居場所は、仲間は……やっぱり、765プロなんだ、って……思ってしまった)
319 = 99 :
涼「……」ジワ
P「っ! 涼ちゃん……」
涼「……」
ゴシゴシ
涼「す、すみません……嘘です、今の涙は、嘘……」
P「嘘ってそんな……」
涼「……プロデューサーさんは、いつか……」
P「え?」
涼(――このときだ)
涼(このとき、こんなことを聞かなければ、よかったんだ)
涼(でも、そんなことがわかるのは……もう少し、あとのことで……)
涼(このときの僕は、ある種の期待を込めて……、こう聞いてしまったんだ)
涼「……765プロに、帰っちゃうですよね?」
P「……っ」
322 = 99 :
涼(プロデューサーさんが、765プロに帰ってしまう)
涼(それは決して避けられないことだけど……。それでも、そんなことはまだまだ、先の話だよって……)
涼(そんな未来のことは考えなくてもいいんだよ、って……そう言ってくれると、期待してたんだ)
P「……」
涼「……な、なんで……なんにも……言わないんですか?」
P「涼ちゃん……俺は……」
涼「それじゃあずっと、876プロにいてくれるんですか?」
P「……いや……それは、できない……」
涼「……っ! じゃ、じゃあ……なんでもいい、なんでもいいから……!」
P「……」
涼「……私を……安心、させてよぉ……!」
涼(それでも、プロデューサーさんはただ黙っているばかりで、僕には何も、声をかけてはくれなかった)
涼(そのとき僕は、ようやく自覚した。僕はもう、本当に……プロデューサーさんのことが好きで好きで、好きすぎて)
涼(夢子ちゃんの言う通り……ひとりじゃ、なんにもできない……弱い人間になっちゃってたんだ、ということに)
323 = 99 :
少し休憩
326 = 99 :
数日後 涼ちんのお部屋
チュンチュン……
涼「……」
ムクッ
涼「……はぁ……。ついにこの日が来ちゃったよ……」
涼(今日は、オーディションの最終審査日……)
涼(今日の結果次第で、ランクアップできるかもしれないって、プロデューサーさんは言っていたっけ)
涼(でも、もう……なんか、どうでもよく……なっちゃった)
涼(イケメンになるために、僕はアイドルになった)
涼(女の子アイドルとしてトップに立つことができれば、男の子アイドルとしてデビューさせてくれるっていう、社長の言葉を信じて)
涼(それでも、今の僕はどうだろう? プロデューサーさんに、女の子としての自分を褒められて、それがとっても嬉しくて……)
涼(……今でも、イケメンになりたい、って……本当に、そう思っているのかな)
328 :
ムクッ
329 = 160 :
りゅんりゅん♪
330 = 99 :
876プロ事務所
ガチャ
涼「……おはようございます」
P「あ、ああ。おはよう、涼ちゃん……」
涼「……」
涼(あれからプロデューサーさんとは、仕事上での最低限の話しかしていない)
涼(プロデューサーさんは、何か話してくれようとはするんだけど……僕が、ことごとくそれから逃げてしまったんだ)
P「ゴホン! ……今日は、ついにオーディション最終日だな。調子はどうだ?」
涼「……普通、です……」
P「そ、そうか……いや、いつも通り、普通が一番だな! あはは……」
涼「……」
P「はは……は……」
涼「……」
涼(本当に……なんて女々しいんだろう、僕って人間は……)
332 = 99 :
オーディション会場
夢子「……あっ! 来たわね、涼!」
涼「夢子ちゃん……」
夢子「……なによ、その顔。調子でも悪いわけ?」
涼「う、ううん……大丈夫、なんにも心配、ないから」
夢子「し、心配なんてしてないわよっ! ただ、私は……」
涼「……ねえ、夢子ちゃん。どうして私に、そこまでこだわるの?」
夢子「え?」
涼「……私、夢子ちゃんに……何か、気にさわるようなこと、しちゃったかな……?」
夢子「……」
334 = 99 :
夢子「……はぁ~……」
涼「えっ、な、なんでため息?」
夢子「バカみたい、って思ったのよ……本当にね」
涼「バカ、って……そんな言い方……!」
夢子「ああ、違う違う。あなたのことじゃないわ。バカなのは、私」
涼「……どういうこと?」
夢子「……同期の、同ランクくらいのアイドルの中でも、私はね……涼が、一番の強敵だって思っていたのよ」
夢子「ライバル視、と言えば聞こえはいいけど……どんな手段を使ってでも、あなたには勝ちたいって思ってた」
夢子「……ま、あのプロデューサーがいたから、結局素の実力で勝負することになっちゃったんだけどね」
涼「……? それって、どういう……」
夢子「そんなことはどうでもいいのよ……とにかく。そんな前までの、ちょっと気合入れちゃってた自分が、バカみたいだって思ったの」
涼「……」
夢子「今のあなた、最低よ。まるで勝つ気が感じられない」
涼「……っ!」
夢子「本気じゃないなら、アイドルなんてやめちゃえばいいのよ。遊び感覚で勝てるほど、甘い世界じゃないんだから」
336 = 99 :
スタッフ「……エントリーナンバー2、桜井夢子さん。そろそろ本番ですので、準備をお願いします」
夢子「はい♪ ……それじゃ、お先に行ってくるわね」
涼「夢子ちゃん……わ、私は……」
夢子「……中途半端な言葉なら、何も言わないで」
涼「……」
バタン……
涼「中途半端……か……。本当、そのとおりだよね……」
涼(最近の僕は、アイドルというより……、ただ恋してるだけの、男でも女でもない、中途半端な存在だったんだ……)
涼(……なんのために頑張ってるんだろう。なんのために、アイドルを続けているんだろう……)
――……君に笑顔で、アイドルを続けて欲しいからさ……――
涼「……」グッ
涼(プロデューサーさん……)
涼(……プロデューサーさんに、会いたい……!)
338 = 99 :
―――
P「……くそ、なんだか落ち着かないな……」ソワソワ
P「涼ちんの出番は……もう、そろそろか。ちゃんと力を出し切れてるといいんだけ――
バッターン!
涼「……はぁ、はぁ……!」
P「!?」
涼「プロデューサーさんっ!」
P「な、なんでここにいるんだ!? オーディションは……!?」
涼「わ、私の出番まで、あとちょっとだけ……んっ……時間はありますから……!」
P「とは言っても、こんな場所に来るほどの余裕は……」
涼「だからっ! はやく、はやくって……急いできたんですっ!!」
339 = 275 :
し
え
ん
340 :
てす
341 = 99 :
P「……一体、どうして……」
涼「プロデューサーさんにっ、聞きたいことがあるんですっ!」
P「……」
涼「それに答えてもらうまではっ、私、ここを動きませんっ! オーディションにも出ません!」
P「な、何を言っているんだ! そんなこと許されるわけないだろうっ!」
涼「だからお願いですっ! 答えてくださいっ!! すぐに、あなたの本心を……!」
P「……」
涼「……はぁ、はぁ……」
P「……わかった。質問に答えるよ。なんでも聞いてくれ」
涼「あ、ありがとう……ございます……」
P「……」
涼「……あの……プロデューサーさんは……」
涼「いつまで、私のそばに……いてくれるんですか?」
342 = 99 :
P「……っ……。それは……」
涼「いつかは……いなくなってしまうこと、わかってます」
P「……」
涼「だけど、あのときプロデューサーさんは……なんにも、言ってくれなかったから……」
涼「私は、不安になっちゃったんです……!」
バタバタ
スタッフ「……あ、いたいた! 秋月さん、もうそろそろ出番ですよっ」
涼「……プロデューサーさんっ!!」
スタッフ「ほら、こっちへ……」
涼「ごめんなさい、もう少し、もう少しだけだから……!」
P「……涼ちゃん。俺が……876プロにいられるのはな……」
涼「……」
ドックン…… ドックン……
P「……明日が、最後なんだ」
涼「……っ!!」
344 = 99 :
涼「……そ、そんな……!」
スタッフ「……秋月さん?」
涼「……」
P「……さあ、行って来るんだ」
涼「……っ……はい……。すみません、スタッフさん。おまたせしました……今、行きます」
スタスタ
涼「……」チラ
P「……」
涼「……っ」ダダッ
スタッフ「ああ、そんなに急がなくても」
P「……」
P「……涼ちゃん……」
P「俺は……どうすればよかったんだ……」
345 = 295 :
Dazzling World……
「目が眩むほどに輝いている世界」、か…
超支援
346 = 99 :
スタッフ「それでは……エントリーナンバー3、876プロダクション所属、秋月涼さん。オーデションを始めます」
涼「……はいっ。よろしくお願いします」
――♪
――……いま 目指してく 私だけのストーリー……――
涼(……プロデューサーさん……)
涼(もう、お別れは……こんなに、目の前まで、来ていたなんて……)
――……BRAND NEW TOUCH 始めよう SAY “HELLO!!”……――
涼(……もう、何も見えない。思い出ルーレットも、真っ赤に染まって全部BADだ……)
涼(これで……最後なのに……)
347 = 99 :
オーディション終了後
涼(オーディションが、終わった)
涼(結果は……)
涼「……」
夢子「……涼……」
涼「……おめでとう、夢子ちゃん。本番の収録も、頑張ってね」
夢子「……ええ、言われなくても」
涼「……」
夢子「あの、さっきはその……ちょっと言いすぎたわ。ごめんなさい」
涼「……ふふっ、そんなに私、ひどい顔してる? 夢子ちゃんがつい心配しちゃうくらい」
夢子「……」
涼「でも、気にしないで。私が中途半端だったのは、本当だから……」
349 = 99 :
涼「……それじゃ、私、もう……帰るね」
夢子「りょ、涼っ! ちょっと待って!」
涼「……?」
夢子「……確かに、今のあなたは、どうしようもなく最低な顔してる」
涼「あはは……直球だね」
夢子「でも……あなたなら、きっとまた上がってこれるわ」
涼「……励ましてくれてるの?」
夢子「……違うわよ。これは、私のために言ってるの」
夢子「あなたはね、私が実力を認めたのよ……たとえ一瞬でもね」
涼「……」
夢子「だから私に、恥をかかせたままにしないでちょうだい。何をしてでも、どんな手段を使ってでも、這い上がってくるのよ」
涼「……っ」
夢子「……それじゃあ、またね。バイバイ」
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