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    元スレ伊織「メロディーズ・オブ・ライフ」

    SS覧 / PC版 /
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    みんなの評価 :
    タグ : - アイドルマスター + - 美希「イッツ・マイ・ライフ!」 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    52 = 5 :

    「お疲れさま、伊織。気をつけて帰れよ?」

    すっかり日が短くなった10月のある日
    20時過ぎの事務所では、アイツが書類の束と格闘してた
    まぁ、無理も無いわよね
    1人で8人の面倒を見なきゃならないんだから
    もっとも、最終的には13人まで増えちゃうんだけどね
    帰らずにアイツのことを見てた私の視線に気付いたのか、手を止めてこっちを見た

    「早くみんなにアイドルとして仕事してもらいたいからな。それに伊織とも約束したしな」

    「トップになろう、ってやつ?」

    「うん。だからこのくらいは苦にならないよ」

    そう言って笑ったあと、また手を動かし始めたアイツ
    私はちょっとだけ、頭を下げた

    53 = 11 :

    壁にでも話しかけとけよ

    54 = 5 :

    「わ、私に仕事ですかぁ!?」

    最初にチャンスを掴んだのは雪歩だった
    静岡ローカルの、お茶のCM

    「ああ!『萩茶」っていう銘柄のお茶のCMだ!」

    「お茶ですかぁ!う、嬉しいですぅ!」

    興味の無い人から見れば、取るに足らない仕事かもしれない
    だけどステップアップには違いないわ

    嬉しそうな雪歩の横顔を眺めながら、たぶん全員が同じ気持ちだったはず
    嬉しさと悔しさが入り混じった、そんな気持ち

    誰かを、特に仲間を蹴落とそうなんて気は、毛頭無い。当時もいまもね
    だけど、このときハッキリ自覚したわ

    「自分の居場所は自分で作るもの。そして自分で守るもの」

    ってね

    55 :

    書き溜め無しか
    おやすみ

    56 :

    いいよいいよ

    57 = 5 :

    「行ってきますぅ!」

    撮影に出かけるアイツと雪歩を事務所で見送りなから、取り残されてしまったような感覚を抱いてた
    たぶん、全員が

    「はーい!レッスンに行く時間よ!」

    律子がそう言ってみんなをうながしたけど、無理に元気な声を出してるのはよく分かった
    損な性格よね、律子も

    「せっかくチャンスが来たのに実力が足りない、なんてことになったら目も当てられないわ。だから頑張りましょう!」

    うん、その通りだわ
    運と実力の両方が備わってなきゃ、上になんて行けないもの
    いつか来る『チャンス』を信じて、私たちはそれぞれのレッスンに向かった

    58 = 5 :

    日増しに寒さを増していた11月の終わり
    一冊の雑誌を持った春香が、事務所に駆け込んできた
    ……そして転んだ

    「いたた……」

    「あらあら~。どうしたの春香ちゃん?そんなに慌てて」

    「こ、これ!これ見て下さい!」

    そう言いながら差し出した雑誌を、あずさが捲り始めた
    そして、あるページで指が止まった

    「あら~!あらあら~!」

    「どうしたのよあずさ?」

    そんなやり取りを聞きつけて、みんなが集まってくる

    「うふふ。これ、見て下さい」

    あずさが差し出したそのページには大きな文字で、

    「噂のCM美少女~ローカル編~」

    って書かれてた

    59 :

    紫煙

    60 = 5 :

    「雪歩だ!」

    案の定というか、真っ先に声を挙げたのは真だったわ
    合計4ページの特集記事の中の2ページ目に、雪歩はいた

    CMから抜き出したであろう写真の中には、両手で『萩茶』って書かれた湯呑みを持って微笑んでる雪歩
    『女の子』と『湯呑み』っていうコントラストが、ちょっと面白かった

    「萩原雪歩(765プロ)って書いてあるわね」

    律子に言われて視線を走らせると、確かにそう書かれてた

    「これって全国誌だよね?宣伝効果バッチリだよ、雪歩!」

    「え、えへへ……」

    戸惑いながらも嬉しそうな雪歩
    確かに『美少女』だわ
    ちょっとだけ悔しいけどね

    61 = 5 :

    そんな風に盛り上がってたとき、事務所の電話が鳴った

    「はい、765プロダクションでございます。はい。はい、萩原雪歩は、当プロダクションに所属しておりますが」

    その声に、全員の視線が雪歩に集まる

    「オーディション?萩原雪歩にですか?はい。それでは担当者におつなぎ致しますので、少々お待ち下さい」

    こっちを振り返り、プロデューサーを手招きしてる小鳥
    どうやら早くも、『宣伝効果』が表れたみたいね

    63 = 5 :

    「分かりました。では、宣材資料を送らせて頂きます。はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします!」

    電話を切ったアイツは満面の笑みを浮かべながら、親指を立てて見せた
    その指を下ろす間もなく、次の電話が鳴る

    「ありがとうございます、765プロダクションでございます。はい。プロデューサーは私ですが。
     ええ。当プロダクションには現在8名のアイドルが所属しております」

    物事が動き出すときって、こんな感じなのね
    いままで週に1回あるか無いかだったオーディションが、この日を境に急増した

    畑を耕してくれたのはアイツで、種を蒔いてくれたのが雪歩
    次は私自身が、自分の花を咲かせる番、ってワケね

    64 = 5 :

    4時まで休憩させて頂きます……
    申し訳ない

    65 :

    うん

    66 = 11 :

    ちと長くなりそうか

    67 = 5 :

    >>66
    いま1/4くらいかと
    無理せずに寝て下さい

    68 :

    春香美希雪歩の書いてた人ですね
    いおりんがくるとは嬉しい志宴

    69 = 5 :

    12月も半ばを過ぎた土曜日
    期末テストで休んでた私は、3日ぶりに事務所を訪れた

    「……誰よアンタ」

    入り口のドアを開けると、どう見ても小学生の女の子と目があった

    「おやおや~。またまた『ご新規さん』の登場ですな!」

    頭の右側で束ねたサイドボニーを揺らしながら、こっちに駆け寄ってくるその子

    「真美真美ー!新たなターゲットを発見したよー!」

    その声に導かれるように、事務所の奥からそっくりな顔がダッシュで近付いてくる

    「えっ?えっ?」

    事態が飲み込めない私の前に並んだ2つの同じ顔
    違うのはサイドポニーの左右と、服が暖色系か寒色系かってことぐらい

    70 = 5 :

    「双海姉妹の妹、亜美だよー!」

    「同じく姉の真美だよー!」

    「え、えっと……」

    この頃の私はまだ、ツッコミスキルも低かったのよね
    2つの顔を交互に見ながら、何も言えないでいたっけ

    「ねぇねぇ!お姉ちゃんの名前は?」

    真美と名乗った子がその場でピョンピョン飛び跳ねながら聞いてきた

    「え?み、水瀬伊織だけど……」

    「『みなせいおり』さんとおっしゃるのかね。ふーむ……なかなかの難題ですな」

    「腕の見せどころですな、真美」

    2人して腕組しながら、なにやら思案し始めた
    相変わらず何も言えないでいる私をよそに

    71 = 5 :

    「あっ!ひらめいた!真美ひらめいたよ!」

    「なになに~?」

    「んっふっふ~。『いおりん』なんてどうだい?」

    「わっ!いいじゃんいいじゃん!『いおりん』に決定だね!さっすが真美ぃ!」

    「……何が?」

    我ながら芸の無い質問よね……
    ちっとも頭が回らない私に、真美がまた飛び跳ねながら言った

    「だーかーらーっ!お姉ちゃんのニックネームだよ!」

    「……は?はっ!?」

    「よろしくね、いおりん!真美のことは『真美』って呼んでよね!」

    「亜美は『亜美』だよー!」

    いい根性してるわよね、この2人
    当時もいまも、ね

    72 = 5 :

    「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!だいたいアンタたちはなんで事務所にいるのよ!」

    「ねぇねぇ」

    「ここは芸能プロダクションで、託児所じゃないんだからねっ!」

    「ねぇねぇ」

    「それとも社長の子供とか?そんな話聞いたことも無いわよ!」

    「ねぇってばー」

    「うるっさいねぇ!何よ?」

    「そこに立ってると事務所に入れないの」

    「アンタ誰よ!?」

    「ミキだよ?」

    「ごめん、ぜんっぜん分かんないわ!」

    当時の私じゃ、あの状況は捌き切れないわ……
    完全にキャパオーバーよ……

    73 = 5 :

    「あっ!おはようミキミキー!」

    「おはようなの、亜美。真美もおはよう」

    「おっはよー!」

    私だけ部外者な空気……
    つーか小鳥ってば、このやり取りを見ながら笑いをかみ殺してたし

    「……アンタたち、誰?」

    「ミキたち昨日から765プロに入ったの。よろしくね、でこちゃん」

    「で、でこ…でこちゃん!?」

    「だって、おでこ可愛いんだもん。可愛いっていいことでしょ?そのうさちゃんも可愛いね」

    「あ、ありがとう…って、ちょっと待ちなさいよ!」

    「あふぅ…ミキ、5時間くらい寝るね?」
    なんだかよく分からないうちにまた3人増えてた
    ありがたいニックネームも2つ増えたわ

    75 = 5 :

    11人になってますます賑やかになった765プロ
    それに比例して、アイツの負担は増えていった
    この頃から律子は、自分の『進路』について考え始めてたみたいだけどね

    「アンタ、事務所で寝たの?」

    東京に初雪が舞った12月最後の日曜日
    珍しく最初に事務所にやって来た私が見たのは、ところどころ破れてるソファーに寝転がってるアイツの姿だった

    「おう、伊織か。おはよう」

    毛布から顔だけ出して、朝の挨拶
    その声は少し掠れてた

    「……なんか飲む?」

    「じゃあ、コーヒーをブラックで。悪いな」

    給湯室に向かう私の耳に、小さな咳払いが聞こえてきた

    76 = 5 :

    「風邪引いたんじゃない?大丈夫?」

    私の淹れたコーヒーを飲むアイツに、返答の分かりきってる質問をした

    「大丈夫」

    そう言って微笑んで、またマグカップに口を付けた

    まだ子供だった私に気の利いたことが言えるはずもなくて、それでもやっと絞り出したのが、

    「……無理しすぎなんじゃない?」

    なんていう、毒にも薬にもならない言葉だった
    それを聞いたアイツはまた微笑んで、

    「大丈夫だよ。ありがとう」

    って言った
    年の瀬の朝は静かで、遠くで走る電車の音が聞こえてきた

    77 = 5 :

    「今が大事なときときだからな」

    コーヒーを飲み終えたアイツが、ポツリと言った
    確かにその頃、小さな仕事が安定して入ってくるようになってた
    私が朝早く来たのも、9時から入ってた仕事の準備のため
    「いまが大事なとき」だってことは、765プロの全員が分かってた
    だけど……

    「その大事なときにアンタに身体を壊されたら、みんなが困るわ」

    言ってもどうしようも無いことなんだろうけど、言わずにはいられなかった

    「大丈夫だよ。それに……」

    アイツは空になったマグカップを見つめながら、まるで自分に言い聞かせるみたいに呟いた

    「これはお前らに対する、プロデューサーとしての俺の責任だからな」

    78 = 5 :

    言いたいことはよく分かるわ
    だけど、納得できるかは別問題なのよね

    「そのせいで身体を壊したら本末転倒じゃない!」

    「そうだけど……まぁ、あと正月明けまでは保つだろ」

    「正月明け?どういうこと?」

    「……いや、何でもない。とにかく、お前らは自分の仕事に集中してくれ」

    「悪いけど無理だわ」

    こんな場面で「はいそうですか」なんて言えるヤツは、765プロには1人もいないわ

    79 = 59 :

    紫煙

    80 = 5 :

    「困ったな……」

    本気で困ってるアイツの顔を見てると、いろんな意味で申し訳ない気持ちになってきた

    「ごめん…アンタを責めてるワケじゃなくて…その……むしろ感謝してて…だから心配で……」

    自分でも驚くくらい素直な言葉が、口から零れていく
    なんでだか分からないまま、眼には涙がたまっていく

    そんな私を見たアイツは、ますます困り顔になって……
    とうとう口を滑らせた
    たぶん、私を安心させるために

    「実は、律子がな……」

    そのとき初めて、私は律子の『決意』を知った

    81 = 5 :

    「律子が?」

    ーアイドルを辞めてプロデューサーになる

    そう聞かされた私は、直ぐには信じられなかった
    765プロで一番総合値が高いのは、律子か美希だと思ってたから
    そこに自己管理能力と向上心、それからセルフプロデュース力を上乗せすれば、ダントツで律子が一番だったハズ
    それなのに……

    「もともと裏方の仕事の面接を受けたみたいだしな、律子は」

    「え?そうなの?」

    アイツの話だと、765プロを開業する際に出された求人を見た律子は、事務職として応募してきたみたい
    だけど面接で応対した社長は、律子をアイドルとして採用した、ってワケね
    まぁ、人を見る目はありそうだもんね、社長は

    82 = 5 :

    「そういう経緯もあるし、プロデューサー1人って現状もある。それらを鑑みて、律子が自分で決めた」

    「そのことを知ってるのは?」

    「社長と小鳥さんと俺、それからお前」

    「……なるほどね」

    律子が自分で決めたことなら、私がとやかく言う筋合いじゃない
    それに律子なら、プロデューサーとしても優秀だと思ったから

    「分かったわ。アンタが無理してた理由もね」

    「別に律子に頼れるから無理してたワケじゃいさ
     さっきも言ったように、お前らに対する『責任』だ」

    そう言ってまた微笑んだアイツの顔を、真っ直ぐに見ることができなかった
    当時の私には、その感情がなんなのかよく分からなかったのよね

    83 = 5 :

    アイツが言ってた通り、正月明けに律子のプロデューサー就任が発表された
    私と同じようにみんな驚いてたけど、理由を聞いて納得したみたい
    髪をアップにしてスーツを着こんだ律子は、アイドルだったときと同じくらいキラキラして見えた

    「……律子…さんは誰を担当するの?」

    恐る恐る、って感じで聞いた美希
    当時からいまに至るまで、唯一の天敵なのよね

    「そうねぇ…アンタとマンツーマンで」

    「えっ!?」

    「何よその反応は。冗談よ」

    まだ転身したばっかりってこともあって、アイツの補佐をしながら仕事を学んでいくことにしたみたい
    すぐに追い越しちゃいそうな気がしたのは、私だけじゃないハズよ?

    84 :

    このシリーズ好きだわ

    85 = 5 :

    「CDデビュー、ですか?私が?」

    吉報がもたらされたのは2月24日
    偶然にも、千早の誕生日前日だった

    「ああ!お前がだ!」

    なんでも、千早のデモテープを聞いた関係者がその声に惚れ込んじゃったみたい

    「私の…声に……」

    俯いて呟いてる千早に、春香が声をかけた

    「千早ちゃん、笑って!」

    「えっ?」

    「こういうときは、笑うんだよ!」

    満面の笑みでそう言った春香の眼からは、涙が零れてた
    まぁ、親友だもんね、2人は
    私だって、やよいのCDデビューが決まったときにはトイレに隠れて泣いたもんよ

    86 = 5 :

    CDの発売日は3月24日
    これまた偶然にも、やよいの誕生日前日

    「た、高槻さんへの誕生日プレゼントになるかしら……?」

    カレンダーを見つめながら呟く千早
    ……なんか悔しかったわ
    やよいはやよいで

    「うっうー!いままでで最高のプレゼントですぅ!」

    なんて言いながら飛び跳ねてたし
    あー、もう!
    いま思い出しても悔しいわ、まったく!

    87 = 5 :

    「キ、キスシーンですって!?!?!?」

    私の声に、事務所にいた全員の視線が集まった

    徐々に春めいてきた3月の半ば
    私に届いたオファーは、某有名ミュージシャンのPV出演
    それだけなら歓迎すべきことなんだけど……

    「いや、キスシーンって言っても、唇と唇じゃないからな?
     共演者のほっぺたにチュッってするだけだから」

    「共演者って…男?」

    「まぁ…ラブソングのPVだしな」

    「うわぁ…伊織ちゃんが大人になっちゃいますぅ……」

    やよいの言葉に何人かが笑ってたみたいだけど、気にしてる余裕なんてなかったわ

    88 = 5 :

    「これも仕事だからな。我慢してくれ
     それにYouTubeでも公式配信されるPVみたいだから、大勢の人にお前をPRすることができる」

    それくらい分かってるのよ、頭ではね
    だけど…その……

    「職務上聞いておくけど、そういった経験は?」

    「あ、あるワケないでしょ、バカぁ!」

    「うーん…困ったな……」

    「アンタは困るだけで済むんでしょうけど 、私は済まないんだからねっ!」

    当時14歳だったんだもん

    「分かりましたチューします」

    なんて言えるワケないわ

    89 = 5 :

    「じゃあ…練習するか?」

    「は?」

    「撮影までに少しでも慣れておく必要があるだろ?」

    「練習って……相手は?」

    困った顔のまま事務所の中を見回したアイツ
    当然というべきか、1人のアイドルのところで視線が止まった

    「やっぱり真かなぁ?」

    「ボクですか?まぁ、別に構いませんけど」

    「………………いや、やっぱり止めとこう」

    「えっ?なんでですか?」

    真は気付いてなかったみたいだけど、あのとき真の後ろに立ってた雪歩の顔、いまでもたまに夢に見るわ……

    90 :

    シェーン

    91 = 5 :

    「真がダメとなるとなると…うーん……」

    「ボク、別にダメじゃないんですけど」

    「ま、真君はもうこの話題に参加しない方がいいって思うな、ミキ」

    何度も事務所の中を見回しながら、ウンウン唸ってたアイツ
    10周くらいしたあと、想定外の言葉を吐き出した

    「……消去法で俺か?」

    「……は?はぁ!?何言ってんのよアンタ!バカじゃないの!」

    「いや、消去法で……」

    「こ、この、変態!ド変態!!変態大人!!!」

    「さすがに傷付くぞ、それ……」

    結局、小一時間ほどの議論の結果、練習相手は一番背の高いあずさに決まった
    まぁ、いまとなっては笑い話よね

    93 = 5 :

    撮影のときの話はあんまり意味ない気がするのよね
    だってほっぺたにキスっていっても、ホントにするワケじゃなかったんだから
    上手い具合に角度を調整して、キスしてるように見せるだけ、ってワケ

    気合い入れて撮影に臨んだのに、なんだか拍子抜けしたのを覚えてるわ
    まぁ、あずさのほっぺたにキスできたのは役得だったかもね。にひひっ

    そのときのPVの監督から気に入られちゃって、そのあと何度も一緒に仕事することになったわ
    アイツからは、

    「お前の猫っかぶりは天才的だな……」

    って言われたけど、セルフプロデュースって言って欲しいもんだわ

    94 :

    このシリーズが一番好きだわ
    支援

    95 = 5 :

    PV撮影が終わってからちょうど一週間後の3月20日
    事務所に千早のデビューシングル、『蒼い鳥』の製品版が届いた
    それより前に販促用のサンプルCDで耳にしてはいたけど、実際に『商品』として売り出される物を見るのはやっぱり違うのよね

    「これが全国のショップに並ぶのよね……?」

    手に取ったジャケットを眺めながら、あずさが言った
    千早とは一時期一緒に住んでたこともある、言ってみれば『妹』みたいな存在だから、なおさら感慨深かったみたいね

    「私の声が…全国に……」

    当事者の千早も、まだ信じられない様子だったわ
    だけどそれは現実で、このCDは『歌姫 如月千早』としての産声になった
    いまでも千早の歌声は、日本中に響き続けてるんだから

    97 = 5 :

    そして3月24日
    仕事の合間に立ち寄ったCDショップで、『蒼い鳥』が並んでるのを確認した
    もちろん、何枚か購入したわよ?
    事務所に戻ったあと、その中の一枚にサインを書いて貰った

    ぎこちない手つきでサインする千早を見ながら、私も頑張ろうって気持ちになれた
    そして、それはいまでも大事に保管してあるわ
    なにしろ、『765プロのデビューシングル』でもあるわけだしね!

    発売当初は伸び悩んだ売り上げも、ラジオと有線から火が付いたおかげで右肩上がり
    夏までには10万枚近く売り上げることになったわ
    『たった10万枚か』なんて言うヤツとは、友達にはなれないわね

    98 = 5 :

    桜が咲いて中学3年生になると、今度は私の番だった
    出演したPVがYouTubeに公式配信されると、一週間も経たないうちに再生回数50万回を越えた
    さすがは人気ミュージシャン、ってとこね
    いまでも人気は衰えてないし、歌番組でもたまに一緒になるんだから

    そして目論見通りというか、

    「PVのあの女の子は誰?」

    って流れになったのよね
    コメント欄に

    「水瀬伊織よ!」

    って書き込みたくなったけど、それはさすがに自重しておいたわ

    99 = 5 :

    30分の休憩を……
    今回特に投下が遅くて申し訳ない

    100 :


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