私的良スレ書庫
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元スレ貴音「荒野の女王」
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いや、ガンマンだけに我慢ならんのだろう
生きて居るうちから銃を置くなんて腰抜けがッ!
生きて居るうちから銃を置くなんて腰抜けがッ!
黒井「……確かにホワイトクロス・ピースメーカーだ」
黒井は銃把に白い十字架が刻まれ、細工の美しい銃を手に満足そうに頷いた。
ガンベルトもおそろいの模様でセットである。
黒井「これだけか?」
伊織「他に何があるっていうのよ」
黒井「ゴールデンクロス・ピースメーカーだ」
伊織「無いわよそんなもの。金庫の中はみたでしょ?
疑うんならいくらでも調べて良いわよ」
黒井「いや、そんな時間は無い。
それにゴールデンクロスがここにないのは本当なんだろうな」
伊織はほっと溜息をついた。
伊織「だったらさっさとビルから出て行ってくれる?」
黒井「ここにないのは本当だろうが、だがゴールデンクロスの動向がこの辺りで途絶えたのはこちら側も掴んでいる情報だ。
水瀬財閥がそのことについて何も知らないとはとても思えんなぁ!」
伊織「知らないの。……本当に知らないの」
黒井「いや……知っているはずだ」
黒井は人質として連れてきていた真美と亜美にまたもや銃口を向けた。
伊織「そ、そんな脅しがいつまでも通用すると思ったら大間違いよ!」
黒井「私が人質を二人連れてきた理由……それを知りたいのかね?」
伊織の額に汗が浮かぶ。
黒井「さぁ……早く――」
社長「手を上げたまえ」
黒井は背後からかかった声に硬直した。
素早く振り返った冬馬たちが銃を構える。
ドアの辺りに高木社長、律子、小鳥の三人が立っておりそれぞれが銃を構えていた。
社長「早く手を――」
黒井「つまらん」
社長「……」
黒井「いつからこんなにもつまらない男になった?」
黒井は振り返りながらホワイトクロス・ピースメーカーをガンベルトごと高木社長の足元に投げてた。
小鳥「……この銃は……」
律子「もう一つの銃も床に置きなさい!」
黒井「勘違いをするな小娘。
高木、取れ!」
社長「言う通りにすると……そう思うのかね?」
黒井「思うさ。どうやらお前の隣にいる二人は素人のお荷物……我々と打ち合えば死人が多く出るのはそっちだ。
だから私とお前の一騎打ちで勝負を決めようじゃ無いか。
約束する。お前が決闘を受けるなら他の者には手出しをせずにここを去ると!」
高木社長は随分と長い間無言を貫き通した。
そして、観念したように息を吐き出し銃口を下げる。
社長「約束だぞ。私が決闘を受ければ他の者には手を出さない」
黒井「あぁ、約束だ」
社長は足元のガンベルトに手を伸ばし、腰に巻き始めた。
律子「だ、大丈夫なんですか!?
社長はもう数年前に引退したはずじゃ――」
社長「なに、感覚は忘れてないさ」
小鳥「でも社長……」
社長「いいから……黙っておいてくれたまえ」
社長はまえに進み出た。
黒井「……やっと決着が着くのか……長かったぞ。
貴様が引退と同時にホワイトクロスをどこぞへと隠し、私との勝負から逃げ出したときは腰が抜けたぞ」
社長「先に断言しておく……私は負ける」
黒井「……手を抜いたら容赦しないぞ。お前のショットは天才だ。私が長年積み重ねてきた物が撃ち砕かれてもおかしくないほどの天才的なドロースピードだ。
お前が才能で勝ち上がってきたのなら私は努力でここまで登ってきた。
……見てみろ」
黒井は腰にあるブラッククロス・ピースメーカーを指で撫でた。
銃把だけしか見えていないが、その存在感は異常でった。
黒井が構えをとったことにより空気が重たくなったと感じるほどである。
http://www.youtube.com/watch?v=CqABkG1JpHM
リアルにもすげえおっさんがいるぞ
リアルにもすげえおっさんがいるぞ
黒井「……感じるだろ。この銃の重みを。何百、何千と人を撃ってきたこの銃の歴史の重みを。
私も撃ってきた。より早く、より早くと!
そしたらいつの日かこの銃に悪魔が取り憑いた。
いや、最初から取り憑いていたのかもしれんが……私が銃を抜くときにその悪魔の手が……私の手を触るんだ。
そしたらどうだ。私は誰よりも早く撃っている」
社長「……馬鹿な」
冬馬「合図はおれがする。天上に向かって一発撃つからその銃声が合図だ」
黒井「よし」
社長「……よし」
冬馬が拳銃の撃鉄を起こし天上へと向けた。
静寂が訪れる。
社長と黒井は腰にささった銃に手を添え、臨戦態勢をとっている。
伊織「……こんなの……こんなの間違ってるわ!」
冬馬が持つ銃の引き金が引かれた。
黒井「見ろ高木――コレが悪魔のショットだ」
>>211
何だこれ・・・
何だこれ・・・
黒井の肘から先が完全に消失した。
そして、再び現われたときは一瞬であり、銃が向けられていた。
その銃が火を吹く。
伊織「……あぁ……」
真美「社長が!」
亜美「撃たれちゃったYO……」
社長は右の鎖骨と肩の骨のつなぎ目を撃たれ、その場に崩れ落ちた。
社長はガンベルトから銃を抜くことすら出来ていなかった。
黒井「……なんだその……ふぬけたドローは!」
高木「コレが今の私の全力だ」
黒井は大きく息を吸い込み、怒鳴ろうとし……それを止めた。
大きく溜息を吐き、天上を見上げて再度溜息を吐く。
黒井「そうか。それが今のお前か。
……分かった」
黒井はそういって真美に銃口を向けた。
黒井「水瀬財閥のお嬢さん。取引の再開だ」
社長「なっ!? 約束が違うのではないのかね!?」
黒井「ふぬけと守るべきような約束はない!」
社長「勝負に不満があるのかもしれんが、私は全力を出した!
約束くらい守ってくれても良いのではないのかね!」
黒井「……何が全力だ。
手加減までさせておいて……それが私は許せない。
私はお前の心臓を撃ち抜くつもりだった……だがいざ勝負をして見たらどうだ?
私が抜いたときお前はまだ銃に手を触れたばかりだったでは無いか……手を抜くにしても酷すぎる……あのドロースピードは子供にも劣るスピードだ」
社長「……全力だったんだ。信じてくれ」
黒井「信じられんなぁ。もうお前と話すことは何もない!
……さあ、水瀬財閥のお嬢さん……ゴールデンクロス・ピースメーカーはどこに?
今の私は気が短いぞ!」
冬馬「落ち着けよ。約束は約束だろ。ここは引くべきじゃないのか」
黒井「お前もデュエリストならいつか分かる時が来る……頂に至ったときの孤独が」
冬馬「なにを――」
黒井「競うべき相手が欲しいんだ。
もう私には……ゴールデンクロスしか残っていない!」
>>216
ニコ動であがってた?
ニコ動であがってた?
伊織「ゴールデンクロスはただの銃よ! それに……シルバークロスもあるわ!」
黒井「四条貴音か? ……アレは駄目だ……ショットから魂を感じられない。
早いが……早いだけだ」
伊織「ゴールデンクロスを手に入れたからって求めるような相手が現われるわけじゃ無い……そんなことも分からないの!?」
黒井「……目星はついている。ジャックだ。
ゴールデンクロス・ピースメーカーの最後の持ち主とされるデュエリスト。こいつを探し出す。短期間に100以上の勝負を繰り広げ、全てに勝利し無慈悲なジャックとして恐れられたこいつなら……私の相手に相応しいはずだ。
さあ言え!」
鬼気迫る迫力に真美は腰を抜かし、その場にへたり込んだ。
黒井「……一発撃ってみるか」
伊織「ま、待って! ゴールデンクロスの場所は本当に知らないの!」
黒井「そう言う言葉遊びみたいなのはもう要らないのだよ。
ゴールデンクロスの隠し場所は知らない。だが、大体の予想はついている……なんて言ってみろ……その時は……」
伊織の表情に動揺が走ったのを黒井は見逃さなかった。
社長「待て!」
黒井「……お前と話すことはもう何もないと言ったはずだ。次はないぞ」
社長「ジャックもゴールデンクロスも……その情報は私が知っている」
伊織「社長!」
社長「もう良いんだ。ここまでの協力……感謝する。
これはこういう世界で生きる人間の運命だ。彼もここで死人が出るよりこの選択を望むだろう。黒井は本気だ。いずれ辿り着く結果でもある」
伊織「でも……でも」
黒井「聞かせてみろ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
P「どうなってるんだこれは!」
二日後、血相を変えた集団が765プロの事務所に飛び込んで来た。
伊織「見ての通りよ」
P「伊織、ここにいたか。一体何が起こったんだ?
街の中は慌ただしいし水瀬財閥は警察に包囲されている……途中で社長が撃たれたって噂も聞いたんだが本当か!?」
真美「ごめんね兄ちゃん……真美達が掴まったせいなんだ……」
Pたちを出迎えたのは、律子、小鳥に加え、いつもは水瀬財閥のビルにいる真美、亜美、伊織の三人であった。
P「……いや。俺の所為だよ。社長の容態は?」
亜美「怪我は大したことないんだけど歳だから……ちょっと回復は遅いかも。
命に別状は無いYO。今は仮説病院に入院してる」
伊織「黒井がビルで立てこもっているから……水瀬財閥の技術資料を盾に」
P「それってまずくないか?」
伊織「海水を真水に帰る技術は先達からの応用も多いしまた一から作るとなると……もしも資料が破棄されるようなことがあれば日本は今の人口を維持出来ないかもね。
といっても、機械の方が破壊される訳じゃないからそれほど被害は出ないと思うけど。
技術は現場でも生きてるわけだし」
P「そうでも被害は未知数だし損失は尋常じゃ無いだろ」
伊織「……どうとでもなるわよ」
P「……まぁ、いいや。
とりあえず社長がいる仮説病院とやらに案内してくれないか?」
真美「うん、こっちだYO」
そして、真美の後ろに続いて歩いていていたPであったが、そのPは前触れもなく倒れた。
真美「っ!? 兄ちゃん!?」
春香「プロデューサーさん!」
すぐさま周りの者が駆け寄りその異常に気付く。
貴音「これは! 凄い熱です!」
響「何でこんな熱が……あっ!」
美希「銃で撃たれたからに決まってるの」
千早「あまりに普通にしていたので気がつけませんでした」
貴音「早く病院に運びましょう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
仮設病院
春香「それで、プロデューサーさんの容態は?」
亜美「面会謝絶!」
春香「そ、そんなに悪いんですか?」
真美「いや→感染症だって。
弾は変な場所に入ってたのを切開して取り出しただけだから。
命には全く別状は無いYO」
春香「よ、よかった~」
伊織「そういうこと! ハイ解散! かいさーん!」
真美「あとは病院にお任せ下さい!」
亜美「三名様お帰りになられま→す!」
春香「えぇ!?」
千早「ちょ、そんなに押さなくても」
あずさ「あらあら~」
いきなり閉め出されることになり困惑する三人であったが、あっという間に病院から押し出されてしまった。
春香「な、なんなのこの扱い」
千早「……変ね」
あずさ「プロデューサーの言っていたピースメーカーの件と良い……まだまだ裏がありそうね~」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
小鳥「失礼しまーす」
律子「同じく」
その日の深夜、プロデューサーが眠る病室に忍び込む影が二つあった。
小鳥「プロデューサーさん? 起きてますかー」
律子「……起きてませんね」
小鳥「……と言うことはこの話は話せなかったとしても仕方が無かったと言うことで」
律子「じゃあ帰りましょう」
P「……起きてますけど」
律子「うぇ!? プロデューサー!」
P「その反応はおかしいだろ」
律子「す、すいません。……起こしてしまって。それでは」
P「待てよ。何か言うことがあるだろ。」
律子「無いですけど」
P「伊織たちもおかしかった。
それに黒井社長が下手に立てこもっている理由も……何となく分かってる。
あんな場所に立てこもっても時間の問題だ。なにか短期的な要求があることくらい分かるさ」
小鳥「……黒井社長の直々の指名が来ています。プロデューサーさんに。
ゴールデンクロス・ピースメーカーを持って来い……だそうです」
律子「ちょっと律子さん!」
小鳥「こうなってはもう仕方が無いでしょ。これからの判断は全てプロデューサーさんに任せましょう」
律子はしばらく葛藤して顔を上げた。。
律子「……先程もプロデューサー殿が言った通り、立てこもっている黒井社長にも限界は来ます。黒井社長の要求を無視する……と言う選択肢もあるんですよ」
P「その場合は色々と被害が出そうだけどな」
律子「誰も責めませんよ。あんな狂人、放って置けば良いんです」
小鳥「プロデューサーさん、好きな様にして下さい。この話を知っているのは私たちを含めて伊織たち3人。
この5人はプロデューサーさんが黒井社長の下へ行かなかったとしても責める気は全くありませんから」
P「アーザスッ!
……とりあえず今は保留と言うことで良いですか? 明日の午後以降には答えを出しますから。
いまは……体が重くて重くて……とても何かが出来る感じじゃないんです」
律子「そうですよね。ごめんなさい、こんな夜に押しかけて」
P「吃驚しましたよ。夜這いに来たのかと思った」
律子「……傷が悪化して死ね」
P「……めんご」
小鳥「それだけ元気なら大丈夫そうですね。じゃあ、失礼します」
律子「安静にしておくんですよ。押しかけてきた人間が言う台詞じゃ無いですけど」
P「そうだな。帰れ帰れ」
Pは小鳥たちの背中を見送って溜息を吐く。
そして、閉じられたドアを数分間じっと見つめ続けていた。
P「……夜の病院だってだけでちびりそうだな。そう思わないか?」
閉じられていたドアが再び開く。
やよい「……そうですねぇ」
P「やよいか……意外だな。誰かが来そうな予感はしていたんだが」
やよい「あの、プロデューサー。手を上げてもらえますかぁ?」
やよいの手に握られている銃がプロデューサーに向いた。
>>235
律子なに言ってんの
律子なに言ってんの
P「右手だけで良いか? 左は怪我をしてて上がらないんだ」
やよい「はい。問題ありません」
P「……やよいは冗談が上手いなぁ」
やよい「えへへー。冗談じゃ無いですよぉ?
私、黒井社長にプロデューサーを連れてくるように頼まれちゃいましたので」
P「俺は行くよ。黒井社長の元に」
やよい「へ?」
P「今からいくから、やよいも帰って自分の仕事をしろよ」
やよい「…………うぅー、プロデューサー……ご、ごめんなさい」
やよいは声を押し殺すように泣き始めた。
やよい「く、黒井社長に家族を傷付けられたくなかったらプロデューサーを連れてこいって……ほ、保安官の仕事も選挙制だから……人をいっぱい使ってこの仕事も出来無くさせてやるって言われて……それで――」
P「やよいは冗談が上手いな。
だけど、冗談で銃を向けるくらいはこの業界ではまだまだ軽いジョークだからな。
今度はもうちょっと捻ったシチュエーションを用意しろよ?」
やよい「プロデューサー!」ポロポロ
P「じゃあ行くか。二人でビルに乗り込む丁度良い口実じゃ無いか。
そのまえに……先に事務所に寄って良いか?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
やよい「だ、大丈夫ですか~?」
P「体が重いよ。長風呂したときの感覚に似てる」
Pは鍵を使って事務所の扉を開いた。
やよい「ここにピースメーカーが?」
P「そうだよ」
Pを椅子を振り上げながらやよいの方を向いた。
やよい「わわっ! ぷ、プロデューサーやっぱ怒ってます!?」
P「ちょっと、そこ退いてくれ」
やよいは言われたように横に避けた。
Pは椅子を壁に叩きつけ始める。
そして、穴を開けるとそこに手を入れた。
P「この事務所を建てたときに埋め込んだんだよ」
Pが穴の中から手を抜くと、ガンベルトにささった金色の十字架が描かれている銃……ゴールデンクロス・ピースメーカーが現われた。
やよい「これがピースメーカーですかぁ?」
P「高そうな銃だろ?」
貴音「そうですね」
Pとやよいは驚いて入り口に目を向けた。
そこにはフェアリーの面々が立っていた。
P「驚かすなよ」
貴音「ゴールデンクロス・ピースメーカー……無慈悲なジャックと言われる決闘者と共に消えたと聞いていましたが……あなたがジャック……と言うことですか?」
P「どう見てもジャックじゃ無いだろ。どう見ても赤羽根とかメガネマンとかそんな感じの顔だろ」
響「確かにジャックはないぞ」
美希「ジャックはただの渾名なの。名前を名乗らずに暴れてたからごろつきって言う意味のジャックって呼ばれるようになったんだよ」
響「く、くわしいね」
美希「この業界にいたらこれくらい当然だと思うなー」
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