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元スレ貴音「荒野の女王」
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貴音「らぁめんを一つ」
その豊満な銀髪の女性はカウンターに腰を下ろしながら言った。
黒いウエスタンシャツにホットパンツ、ブーツとおそろいのガンベルトには実弾と銃が差し込まれている。
真「困りますよお客さん。この店では帽子を脱いでください」
貴音「……お許しを」
真「と言われましてもこの店のルールで――」
ボーイッシュな女の子は目を丸めた。
真「驚いたなぁ……まさか四条貴音さん?」
貴音は無言で人差し指を唇に当てた。
真「あ、すみません。つい興奮しちゃって……。
まあ、貴音さんなら逆に帽子を被っておいて貰った方がこちらとしてもありがたいです」
貴音「申し訳ありません。らぁめんを食べたらすぐに出て行きますので」
貴音はカウボーイハットを深く被り直した。
その豊満な銀髪の女性はカウンターに腰を下ろしながら言った。
黒いウエスタンシャツにホットパンツ、ブーツとおそろいのガンベルトには実弾と銃が差し込まれている。
真「困りますよお客さん。この店では帽子を脱いでください」
貴音「……お許しを」
真「と言われましてもこの店のルールで――」
ボーイッシュな女の子は目を丸めた。
真「驚いたなぁ……まさか四条貴音さん?」
貴音は無言で人差し指を唇に当てた。
真「あ、すみません。つい興奮しちゃって……。
まあ、貴音さんなら逆に帽子を被っておいて貰った方がこちらとしてもありがたいです」
貴音「申し訳ありません。らぁめんを食べたらすぐに出て行きますので」
貴音はカウボーイハットを深く被り直した。
真「だけど、有名人ってのも大変ですね」
貴音「あなたほどではないですよ。その年で立派に店を切り盛りしているとは……私にはとても出来ません」
真「僕は手伝いみたいなものですから。店長代理です」
貴音「店長とは代理で出来るものだったのですか……始めて知りました」
真「いや~、話すと長くなりますから簡単に言いますけど、とある娘さんと僕は友達なんです。
その娘さんは自分の引っ込み思案を直そうと店でウエイターなんかやってるんですけど、僕はその都度付き合わされて……というよりか心配で手伝いをしていたんです。
そしたらいつの間にか店長代理ですよ」
貴音「なるほど。ではあちらで平謝りしているのが例の娘さんとやらですか?」
貴音が視線を向けた先ではショートボブカットの少女が、テーブル席の男に向かって何度も頭を下げてる場面が繰り広げられていた。
どうやらうどんを男の頭へぶちまけたようで、それについて謝っているようである。
男は騒ぎ立てることもしていなかったので、店の中にでもこれに気がついていない者が数名いた。
真「……やっちゃったかー。まあ、そうです。ちょっとした男性恐怖症で……。
ああいったことで問題が起こったときに対処をするのも僕の役目ですけど、幸い感じの良さそうなお客さんでよかった。
あれなら雪歩の良い練習相手になるでしょう」
貴音「……雪歩。萩原雪歩?
……なるほど。大会社の娘さんでしたか」
真「口を滑らしちゃったかな~。
別にばれたらマズイというわけでも無いですけど」
貴音「しかし、飲食店は萩原組がたるき亭と連携して行っている事業のはず……引っ込み思案や男性恐怖症を治したいのであれば、萩原組の本業である建設関連の手伝いをした方が良いのでは?」
真「あんな場所に雪歩を放り込んだら死んじゃいますよ」
真がそう言ったときカウンターの奥の暖簾から盆に乗ったラーメンが突き出された。
屈強な腕だけがこちら側に出てきている。
真はそれを受け取ると貴音の前にそれを置いた。
真「おまちどおさま。ラーメンです」
貴音「……今のは?」
真「……厨房です。雪歩は絶対に近寄らない厨房です」
貴音「……そうですか」
真「あっ、つい興奮してて忘れてましたけど、飲み物はどうします?」
貴音「水を」
貴音はラーメンと水がそろうと箸に手を伸ばした。
その時である。
ごろつき「おい、ねぇちゃん。そんなものに金を掛けるくらいなら断然こっちの方が良いぜ」
薄汚れた服の男が酒瓶を片手に近づいて来たのは。
ごろつき「俺のおごりだ。飲めよ」
そういって男はバーボンをなみなみ注いだグラスを貴音に押しつけた。
真「お客さん――やめておいた方が良いですよ」
ごろつき「黙ってろ」
真はこの男が腰に引っ提げている物を見て一瞬で真意を悟っていた。
ガンベルトに差してある銃。つまり、この男も名を上げたいだけの馬鹿であると。
しかし西部劇なのか?
建設業とかたるき亭とか萩原組とか
あ、支援
建設業とかたるき亭とか萩原組とか
あ、支援
ごろつき「俺の酒が飲めねぇっていうのか? 俺のおごりだぜ?」
貴音はそんなことは眼中に無い様子でラーメンを啜り始めた。
真「貴音さん……」
貴音「これは素晴らしい味ですね。替え玉をしてもよろしいですか?」
真「いや、貴音さん……」
ごろつきは貴音のラーメンの上で酒瓶を逆さまにした。
ごろつき「もっとおいしくしておいてやったぜ。さあ、食べな」
貴音「……二度目は無いですよ。
さっさとこの場から失せて下さい……とうもろこしにも劣るゴミ粒に用はありませんので」
ごろつきの顔に朱が差した。
しかし、コレこそがもっともこの男が望んでいたことであった。
ごろつき「糞アマが……立てよ」
雪歩「こ、困りますぅ! 他のお客様に迷惑を掛けないで下さい!」
ごろつきに雪歩が声を張り上げた。
数メートル離れた場所から。
ごろつき「黙っとけ!」
雪歩「ひぃ!?」
真「っ! ちょっとお客さん! いい加減にしないと叩き出すぞ!」
雪歩は怒鳴り声だけで後ろに蹌踉めいた。
蹌踉めいて背中で後ろにいる人間とぶつかる。
P「おっと」
雪歩「ひぃぃぃ!?」
雪歩はロングスカートの中から取りだしたスコップを凄まじい勢いで振り回した。
スコップの先がPの喉元を掠めていく。
P「こ、殺す気か!?」
雪歩「す、すみません、すみません! 先はうどんを掛けちゃうし次はスコップで叩きかけちゃうし……こんな駄目駄目な私は穴を掘って埋まってますぅ!」
真「掘らないで! 直すの大変だから!」
P「俺も早く支払いを済ませたいし、穴を掘るのは後にして欲しいかな」
雪歩「ご、ごめんなさい」
P「なかなかエキサイティングな店だったよ」
Pはそう言うと貴音の隣で仁王立ちしている男に目を向け、驚いたような顔をした。
P「まさかこんな場所で会えるなんて……こんにちは、ファンなんです」
Pはそう言いながらごろつきの手を取り、大きく上下させる。
P「光栄だな~。噂は聞いてますよ」
ごろつきはまじまじとPを見つめた。
ごろつき「お前、まさか765プロのPか?」
P「そうですが」
ごろつき「離せこの玉無しやろう! チキンがうつっちまう!」
ごろつきは乱暴に手を振りほどいた。
ごろつき「それに自慢じゃ無いが俺は噂になるようなことなんて何もしてないぜ。
これから大物になるがな!」
今度はPがまじまじとごろつきの顔を見つめた。
P「……人違いだったか……よく見れば顔はふやけてるし腕は棒切れみたいだ。
何で見間違えたんだろ?」
ごろつきはPの言葉を理解しかねたようにぽかんとした。
Pはそれを尻目に上着を脱ぎゆっくりとごろつきの顔を拭き始めた。
今の時代には珍しいスーツである。
P「顔が汚れてる。だから俺が見間違えるハメになるんだ」
うどんの汁をたっぷりと吸った上着でごろつきの顔を拭く光景を周りの者は固唾を呑んで見ていた。
P「これで綺麗になっただろ……ん? あまり綺麗になってないな」
ごろつきの顔から血色が完全に失せ、素早く銃に手が伸びた。
次の瞬間には銃声が店内に響き渡る。
ごろつき「くっ……そがぁ!!」
ごろつきが手を押さえて叫んだ。
店の中で火を吹いた銃は一丁。
貴音の手にある物だけであった。
P「……驚いた。俺の脇腹に穴が開くんじゃないかと思ったよ。
良くそこから狙えたな」
貴音の撃った銃弾はごろつきがガンベルトから銃を抜いた瞬間に、その手を貫いていた。
一瞬の早業であるが、その正確さも驚嘆に値した。
貴音「この距離ならば目を瞑っていても当たります」
真「四条貴音になにいってるんだよ。当然じゃ無いか」
P「四条貴音? あの四条貴音か?」
Pはそう言いながら振り返り、貴音を見て驚きの表情を浮かべた。
ごろつきに見せた驚きの表情とは違う。
軽薄なものではなく迫真のものであった。
P「……シルバークロス・ピースメーカー……」
Pが見ているのは貴音が握っている銃であった。
銃身に細かな装飾がしてあり、銃把には見えにくいが銀色の十字架が刻み込まれているその銃を見て驚愕している。
貴音は一瞬眉根を動かし、銃を回転させるとガンベルトに差し込む。
貴音「なぜ、この銃の名前を?」
P「その銃は有名だからな。知らない奴は少ないだろ」
貴音「なるほど。……しかし、この銃を見てその名を口にした者は少ないですよ?
なぜこの銃がシルバークロスだと分かったのです?
銃把もろくに見えてなかったでしょう」
P「マニアなんだ」
貴音「……なるほど」
ごろつき「こ、この……」
ごろつきがPの背後でナイフを取り出し、それを振り上げた。
真「お帰り下さい!」
それを見た真がカウンターを飛び越えて蹴りを延髄に叩き込む。
ごろつきは白目を剥くと床に崩れ落ちた。
床に完全に崩れ落ちるのと同時に、暖簾から三人の屈強な男が飛び出してくる。
屈強な♂×3「そいやっ!!」
雪歩はもちろんだが、それを見た店の客たちはビクリと肩を振るわせた。
三人の男はごろつきを抱えるとそとに放り出し、風のように厨房へと戻っていった。
P「ありがとう。助かったよ」
真「あんまり助けたくなかったんだけどなぁ~」
P「嫌われてるな」
真「そりゃそうでしょ。女の子に闘わせてる765プロのプロデューサー……支払いを済ませたら早く出てってよ」
P「分かったよ。その前に……」
Pは名刺を貴音に差し出した。
貴音「これは?」
P「勧誘だ。765プロで一緒にやらないか?」
貴音「一応、貰っておきます」
P「真面目に考えてくれよ。もしその気になったらそこに書いてある番号に連絡をし――」
Pはそこで言葉を切った。
切らざるを得なかった。後頭部に感じた鉄の感触はどんなお喋り人間も黙らせる地元の民間療法である。
それが二つもとあってはPも黙らざるを得ないだろう。
美希「また貴音が変なのに絡まれてるの」
響「決闘で名を上げたい方か? それとも言い寄ってる方か?
こういう手合いはもういい加減にして欲しいぞ」
貴音「響……美希……」
P「いきなり銃とはご挨拶だな」
美希「こういうのは飽き飽きしてるから一々相手をするつもりはないの」
貴音「美希、この方は765プロのプロデューサーです。別に決闘をしようとしたりしていた訳ではありません」
美希「765プロの?」
Pは後頭部の銃が撃鉄を上げるのを肌で感じた。
P「どういうことかな」
美希「こういうことなの」
P「そういうことか」
響「それはさすがに不味いさー。
賞金首ならともかく一般人だからね」
美希「だってむかつくの」
響「分かるけど……」
P「……これ以上ここにいると血を見そうだな。
俺は見られないだろうけど」
貴音「そうですね」
P「さっさと退散するよ。先の話、良く考えて置いてくれよ」
Pは金をカウンターに置くと両手を挙げた状態で店を出た。
雪歩「……今の人って?」
真「765プロのプロデューサーだよ。雪歩は知らないの?」
雪歩「765プロなんて始めて聞いたよ」
真「765プロって言う組織的に賞金稼ぎやってる会社だよ。小規模だけど政府公認のね。
先の男はそこでプロデューサーをやってるんだ」
雪歩「賞金稼ぎさんだったんだ」
真「……いや、あいつは違うよ。
賞金首の情報を集めたり、それを捕まえるお膳立てをするまでがプロデューサーの仕事だから。
実際に賞金首を撃ってるのは会社に所属してる女の子だって話だ。
自分は安全な場所でのうのうとやりながら女の子に闘わせてるんだよ。あいつは」
雪歩「そんな人には見えなかったけど……助けてくれたし」
真「はぁ? いつそんな――」
美希「ミキ的にはその話はもうどうでも良いかなー。
とりあえず、水とおにぎりが欲しいの」
真「は、はい。急いでお持ちします」
響「こっちは水と食べ物は適当にこれで……」
響は硬貨をカウンターに並べた。
そして、雪歩に視線を向ける。
響「ああいった手合いに騙されたらだめだぞ。
あの男がやってることが全てだぞ。どんなにいい人に見えても自分は闘わずに女の子に闘わせてるってのは事実だからね。
最悪なタイプの臆病者さー」
貴音「……765プロのプロデューサー話で聞いていただけの時はそう思っていましたが……果たしてそうなのか……実際に会ってみて分からなくなりました」
響「どういうこと?」
貴音「先程もプロデューサーがわたくしに絡んでいた男を仲裁してくれた……ようにも見えました。
かなり無謀というか……自分が代わりに喧嘩を買って出るようなマネをして」
響「……ごろつき相手じゃね……」
貴音「相手は銃を持っていましたが、プロデューサーは持っていませんでした」
響「それって……」
響&美希「ただの馬鹿だよ」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Pは太陽が照りつけ、埃っぽい街を歩いていた。
春香「プロデューサーさん! どこに行ってたんですか! こっちですよ、こっち!」
千早「自分で集合時間を指定しておいて遅れるなんて」
P「すまんすまん。ちょっと銃口を突きつけられる事態になってな」
Pは日陰に佇む少女二人に近づいていった。
春香「え? ……どこでですか?」
春香は肩に担いだライフルを指で叩きながら言った。
P「問題を起こそうとするなよ、春香。この通り無事だったんだから」
千早「……くさ……プロデューサーくさいです。なんか辛いような甘いような独特な匂いが……」
P「多分店でうどんをぶっかけられたからだな」
千早「やっぱ一言いいにいった方が良いんじゃないですか?」
P「千早、お前まで問題を起こそうとするな。うどんの件は事故だから。
それに……珍しい奴にも会ったんだぞ」
春香「珍しい奴?」
P「あぁ、今をきらめくフェアリーの三人にな」
千早「フェアリー? 確か3人組の賞金稼ぎですよね」
春香「早撃ちで有名な四条貴音と……あと二人はどんなのでしたっけ?」
P「さぁ? あまり興味が無かったから俺も詳しくない。
……興味は湧いたけどな」
春香「……私も会ってみたくなりました」
千早「ちょっとくらい挨拶をしておくべきなのでは?」
P「おまえらの挨拶は洒落にならん。
とりあえず会社に戻るぞ。社長に報告をしておきたいこともあるし」
Pはそう言うと近くに繋いであった馬に飛び乗った。
春香と千早もそれにならう。
3匹の馬が駆ける道はどこまで行っても埃っぽく寂れていた。
地球規模の天変地異は日本のみならず世界各国を衰退させていた。
経済活動は縮小するところまで縮小し、日本では国民の8割が農業に従事している状態である。
そこまで低迷した日本は当然従来の公共サービスを提供出来ずにいた。
とりわけ、深刻な人員不足から無法者を取り締まることが出来ず、ついには賞金首制度が採用されるにまで至ったのだ。
そして生まれたのが賞金首を狩ることを生業とする賞金稼ぎであった。
今の日本ではこの賞金稼ぎと無法者が鎬を削り合っている状態なのである。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
765プロ事務所
P「ただいま戻りました」ガチャ
小鳥「お帰りなさい。今回は随分と長旅でしたね」
春香「そのかいはありましたよ! 見て下さい、小鳥さん!」
春香は袋を掲げて見せた。
春香「惚れ惚れとする重量ですよ」
小鳥「随分と稼いだのね」
千早「稼げた割に楽な仕事でした」
春香「私は割と大変だったよ……銃弾が脳天を掠めたときは禿げてないか何度も確認したもん」
小鳥「詳しく聞きたいけど、まずは食事にしたいでしょ? お風呂はすぐに沸かすから」
春香「お願いします! お金はあるのに途中、ろくな物を食べる場所が無くて……お腹がぺこぺこなんです」
P「俺は先に社長の所に行ってきます。いますよね?」
小鳥「いますよ。社長室に」
P「二人は先に食べててくれ」
千早「待っておきますから早く戻ってきて下さい。
ご飯は出来るだけ大人数で食べた方がおいしいですから!」
P「了解」
Pはそう言いながら奥の社長室へと向かった。
ノックをすると返事を待って入室する。
P「戻りました。……って律子もここにいたのか」
椅子に座っている高木社長と机の前に立ている律子が同時にPを見た。
律子「なんですかその言い方、いたら悪いみたいな」
P「そうだな。邪魔だからちょっと出てくれないか?」
律子「ずいぶんな言い方ですね」
P「ちょっと重要な話なんだ。今度食事をおごるからそう怒るなって」
律子「別に怒ってませんけどね。久々にあった同僚に向かってそれはないでしょう」
律子はブツブツと文句を言いながら部屋を出て行った。
社長「キミにしては紳士でない対応じゃ無いか。よっぽどの急用があるのかね?」
P「そうなんです。それも社長二人で内密な話があるんです」
社長「よしてくれよ、こんな密室で男二人での熱い雰囲気は――」
P「シルバークロス・ピースメーカーを見ました」
社長はそれを聞くと黙り込んだ。
P「アレは本物でした」
社長「今、それはどこに? 奪ったりはしなかったのかね?」
P「持ち主はフェアリーの四条貴音でした。悪そうな人間でも無かったので奪いはしませんでした。
それに、あの子から銃を奪うのは体に3カ所ほど穴が開くのを覚悟しないといけないので」
社長「四条貴音……早撃ちで有名なあの四条貴音かね……ピースメーカーを持つ人間ってのは早撃ちが好きだねぇ」
P「一応勧誘もして情報屋にあとをつけさせてます。
今後の動向次第でシルバークロス・ピースメーカーをどうするかを決めます」
社長「名銃と呼ばれるピースメーカーシリーズは4丁……どれも不遇なガンライフを送っているとしか言いようがない。
……シルバークロスを除いてはね」
P「はい。シルバークロスだけは他のピースメーカーシリーズと違い巨悪に立ち向かった逸話が多い銃です。
四条貴音がそれを持つに相応しい人間ならば良いですが、もしジンクスに傷がつくような人間ならば……その時はその時です」
社長「ジンクスといえども大切にしていきたいからね。得に、こんな世の中では」
P「とまあ、報告は以上です。今回儲けた分は音無さんに計上して貰うのでそちらに聞いて下さい」
社長「分かった。
それと、今回はもう次の仕事が用意してある。
律子くんが持って来たとびっきりでね。どうしようか悩んでいたところなんだよ」
P「悩むとは?」
社長「私の古い友人が悪さをしようとしているようでね。
少し手に余るかも知れないから手を出すのは控えようと思ってたところなんだ。
この仕事に手をつけるかどうかはキミの判断に任せようと思う」
P「……状況次第ですね。とりあえず、その仕事の内容を詳しく教えてもらえます?」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
Pはこの日、一人で町中をうろついていた。
飲食店に顔を覗かせては外に出るという行為を繰り返している。
そして、またもやPは飲食店に入ると、今度は回れ右をせずにゆっくりと部屋の隅のテーブルに近づいていった。
P「また会ったな」
貴音「……随分と早い再会になりましたね。
まあ、予想していましたが」
P「予想してたか」
響「げっ、765プロの……」
美希「消えるの。おにぎりが不味くなるの」
P「まあまあ、ここのお代は俺が持つから話をするくらいは良いじゃないか」
美希「結局座ってるの……」
響「図々しいにも程があるぞ」
貴音「始めに聞いておきますがここで会ったのは偶然ですか」
P「予想していたってことは俺がつけてた情報屋はばれてたってことか……白状すると偶然じゃ無い」
響「あれってそっちの差し金だったのか。相当いらいらしたぞ」
美希「そんなのいた?」
響「美希はほとんど寝てたから知らないだろうね」
P「まあ、ここで会ったのは偶然じゃ無いが、この街に来てるって知ったときは縁があるって感じたぞ。
あの話で良い答えが聞けるかと思って期待したりしてるんだが」
美希「あの話?」
P「あれ? 貴音は勧誘の話をお仲間にしてないのか?」
響「勧誘!? き、聞いてないぞ!
貴音、どういうこと!?」
貴音「そんな話もありましたね。すっかり忘れていました」
P「その様子じゃ勧誘の話は期待しない方が良いようだな」
貴音「わたくしはこの三人でやるのが気楽で良いので」
響「だ、だよね。
吃驚したぞ。おいてけぼりをくらうかと思って」
P「響は心配屋だなぁ」
響「うるさいぞ! それになんでさり気なく名前を読んでるの!? 教えたっけ!?」
P「俺のことはPって読んで良いよ」
響「な、馴れ馴れしい……」
P「HAHAHA!」
ハム蔵「ヂュ!」
P「HA?」
Pは響の頭に乗っかっている小動物をまじまじと見た。
P「……言いにくいけど……ネズミが頭に乗ってるぞ」
響「ネズミじゃ無い! ハムスターだぞ!」
P「ネズミだろ。
え? 飼ってるの? それ」
響「ハム蔵は自分の大切な家族だぞ」
P「ネズミがペットとか斬新だな」
響「だ、だからネズミじゃないんだって!」
P「具体的に何が違うんだ?」
響「しっぽの長さとか……そもそも愛らしさが違うぞ。どうやったらネズミと見間違えるの?」
P「へぇ、確かによく見たらネズミとは違った愛らしさがあるような気がする」
響「でしょ!」
P「食べ物は穀物とか?」
響「うん。得にひまわりの種なんか好きなんだぁ」
P「おいしいよな。ひまわりの種」
響「意外と人間も食べれるよね。あれ」
P「でもハムスターを連れて旅なんかしてたら大変じゃないか?」
響「なにが?」
P「上空から鳥が狙ってたりするだろ。心配にならないのか?」
響「来たら分かるし。ご飯も増えて一石二鳥さー」
美希「響……まんまとあっちのペースにのせられてるの」
響「はっ!? そう言う意図が!?」
P「ないよ。もう勧誘は諦めたし」
響「そうなのか? 粘らないんだね」
P「粘ってどうにかなるような相手だとは思ってないからな」
貴音「粘る必要も無いでしょうしね」
響「どういうこと?」
貴音「恐らくこの方の目的はわたくしたち……と言うよりもわたくしの持っている銃です」
Pが座っているテーブルの周りの空気が張り詰めた。
響「貴音が持ってる銃のことを知ってるのか……だったら近づいてくる理由も分かるぞ」
P「貴音の持ってる銃に興味が無いと言ったら嘘になるがな。
今日は別件なんだ」
貴音「興味があると言うことは否定なさらないのですね」
P「興味大ありだ。前も言ったけどマニアだからな。
知ってるだろ平和をもたらす銃、ピースメーカーの話は」
貴音「もちろん」
P「ピースメーカーと言ったらシルバークロスのことを差すことが多い。
でも、ピースメーカーはシルバークロスの他に3丁あるって知ってたか?」
貴音「そうなのですか?」
P「あぁ、他の三丁はピースメーカーの名前に相応しい働きをしてないから有名じゃ無いけどな」
貴音「で、その銃マニアであるあなたはこの銃をどうしようと?」
P「シルバークロス・ピースメーカーは平和を作る銃だ。
貴音がその銃を持つに相応しくないようだったら奪ってもっと相応しい人間に与えようと思ってる」
店全体の空気が凍り付いた。
響「……随分とはっきりと言ったね」
P「冗談だからな」
響「冗談なの!?」
P「だって丸腰の俺にそんなこと出来るわけ無いだろ。常識的に考えて」
美希「やりようはいくらでもあると思うけど、確かにそこの人じゃ無理かな」
P「そうそう。俺はシルバークロスの動向が気になってるだけだから。
だってシルバークロスって今までもデカイ仕事に携わってきてるだろ?
シルバークロスを追っていたら俺もデカイ仕事に一枚かめるかも知れないし」
響「うわー、凄くゲスっぽいぞ……」
美希「全くその通りなの」
P「まあまあ、そう言うなって。
だから今回はその将来に対するお礼ってことでこっちから仕事を持ってきたんだ」
美希「いらないの。仕事には困ってないし」
P「他のピースメーカーをお目にする機会かもしれないのに?」
美希「どういうこと?」
P「厳密に言えばピースメーカーじゃないんだけどな。シルバークロス・ピースメーカーの生みの親は他にも3丁の銃を作ったってのは話したよな。
その三丁っていうのはホワイトクロス・ピースメーカー、ゴールデンクロス・ピースメーカー、それに加えてブラッククロス・ピースブローカーってのがあるんだ」
美希「最後のだけ変な名前だね」
P「ブラッククロス・ピースブローカーは悪名が高い銃でな。制作者が銃の名前にバランスを持たせようとしてつけたって話で、様々な悪事に携わってきたとされる銃さ。
今回、そのブラッククロスにお目にかかれるかも知れない仕事がこっちにはあるんだ」
貴音「……そのような仕事……どこから?」
P「何というか……ブラッククロスの所持者はうちの社長の古い友人でね」
美希「やっぱ765プロは悪党なの」
P「待て待て、うちは悪事とは無縁の会社だぞ。
古い友人といってもつるんでいる訳じゃ無いしな。とっくの昔に袂は分かれた。
……黒井崇男って知ってるか?」
美希「……大物なの」
響「961プロの社長だよね。賞金稼ぎが表事業だけど裏でこそこそやってるって話があるぞ」
P「今回の仕事は黒井崇男が主犯」
響「え」
P「銀行を襲うらしい。手下20人を使って」
貴音「たしか765プロの総員は7人でしたね」
美希「ミキたちをいいように利用しようとしてるの」
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