元スレP「765プロと言う通過点」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×6
1 :
俺は765プロのプロデューサーだ
トップアイドルこそは輩出出来なかったが
所属しているアイドルをそれなりの知名度まで押し上げる事に成功した
社長は俺にアメリカでの研修を提案してくれた
俺はその話を快諾し、単身アメリカへと渡った
2 :
ツヅケタマエ
4 = 1 :
事務所には新人ではあるがプロデューサーが新しく加わり
律子もプロデューサーとして成長していたので安心して任せられると思ったのだ
アメリカでの1年は苦労と挫折の繰り返しだった
だが、着実に力が付いていた事を実感できる充実した毎日でもあった
5 = 1 :
そして1年の研修が終わった後…
どう言った訳かアメリカのレコード会社でのプロデュース業務を命じられた
765プロへ確認すると社長もその件に関しては了承していた
俺は社長の言葉を信じ、今出来る事を精一杯やりながら毎日を過ごした
6 = 1 :
そして…アメリカに渡ってから3年と言う月日が経ったのだ
プロデューサーとしての力量にも自信が付き、やはり日本で仕事をしたいと考えていたので俺は日本に帰る事となった
765プロに戻るのでは無く、独立する事を決めていた
7 = 1 :
日本での事務所の物件はもう押さえてある
後は帰ってから準備をするだけだ
そして…今日俺は懐かしい日本の地に足を踏み入れたのだ
新たな道へ…俺は踏み出した
9 :
期待
できればもう少し1レス毎の投下量増やしてくれると読みやすいです
10 = 1 :
日本に帰ってまずは新しい事務所を整えた
最低限いつでも仕事を始められる準備だけはしておきたかったからだ
アメリカでの蓄えが少しはあるが、油断は出来ない
こちらでのコネは一切無いからだ
11 = 1 :
ごめん
この時間帯は落ちやすいと思うから今だけ許して
12 = 9 :
そういうことか…
余計なこと言って悪かった
適度に支援しながら読むよ
13 = 1 :
俺はまず765プロに向かった
業務提携を結びたかったからだ
一人では何も出来ないので、最初は765プロを頼るしか無かった
問題ない。社長はきっと俺を受け入れてくれるはず
そう思いながら懐かしいビルに入り、古ぼけたドアを開けたのだ
その先には昔のままの765プロの風景があった
だが、俺はこの風景に不安を覚えた
時刻は午後14時
誰もいないのである
14 = 2 :
頑張れ
15 = 1 :
もちろん全員が出払っていると言う可能性もある
だが、余りにも生気が無い
すぐに理解した
この事務所は機能していない
もしかするとすでに新しい場所へと移転している可能性もある
スマートフォンで765プロを検索…そして検索結果は…
765プロ倒産について書かれた記事であったのだ
16 = 1 :
全く意味が理解出来ない
倒産と言う言葉の意味を思い出すのに少し時間がかかってしまった
そして倒産の意味を思い出した時、入り口のドアが開いた
「あの、プロデューサーさん…ですか?」
「はい、お久しぶりです。音無さん」
事務員の音無小鳥さんだった
3年経った今も変わらず綺麗だ
左手の薬指には指輪が光っていた
17 = 1 :
「ご結婚されていたんですね」
「はい」
「お祝いする事が出来なくて申し訳ありません」
「いえ、これはつい先月の事ですから…」
彼女は苦笑いで答える
それは俺が知っている彼女の笑い方では無かった
19 :
しえんた
20 = 1 :
「あの、765プロは倒産してしまったんですか?」
「はい、残念な事ですが2年ほど前に…」
俺が研修を終えた後の事だったらしい
「音無さんはここへはどう言ったご用で来られたんですか?」
「実は…このビル、取り壊されるんです。だから最後の思い出に…写真でも…」
21 = 1 :
目から涙がこぼれている…
倒産した当時の苦労を考えるといたたまれない気持ちになった
「あの、俺に撮らせてください。音無さんも撮っておきたいですから」
「もう私は音無じゃありませんよ」
「じゃあ、小鳥さん」
「はい、お願いします」
22 = 1 :
俺は彼女も含めて何枚も写真を撮った
何一つ逃さない様に、この風景を一つでも多く残す為に
「最後に二人で並んで撮りませんか?」
彼女はそう提案してきた
椅子の上に本を何冊か積んで高さを調整し、タイマー撮影をした
23 = 1 :
寄り添って並んでいる画像を確認すると
「まるで夫婦みたいですね」
彼女が笑った
旦那さんに申し訳ない気持ちになる
「でも…これで本当に終わりなんですね…」
彼女の肩が震える
そしてすぐに嗚咽をもらし始めた
24 = 1 :
俺はどうすれば良いか分からない
彼女は既婚者だ。他人である俺が簡単に触れて良い身体ではない
だが、そう考えている間に彼女は俺の胸へと飛び込んできた
俺はそれを振り払う事が出来るはずも無く…
彼女を抱き締め、泣き止むのを待った
旦那さんに申し訳ない気持ちになる
26 = 1 :
しばらくすると彼女は身体を離した
「小鳥さんは…事務員とかはやってないんですか?」
「こんな俺をご時世だから…本当は何かやりたいんですけどね」
先程と同じ苦笑い
今の俺に出来る事と言えば…
「一ヶ月、待っててくれませんか?」
「一ヶ月…ですか?」
27 = 1 :
「俺、独立したので事務所があるんです。まだ仕事も取ってないんですけど…それまでに準備を整えて小鳥さんを事務員に迎えたいんです」
「そんなに無理なさらなくても…パートでも探しますから」
「俺一人だと事務までは流石に出来ないんです。だからお願いします」
頭を下げ頼み込んだ
この人をこのまま行かせたく無かった
29 = 1 :
帰って来て最初に再会した仲間を失いたく無かった
「わかりました。でも、無理はしないでくださいね?」
この笑顔は俺の知っている彼女の笑顔だった
連絡先を伝えてから彼女と別れ
俺は事務所へと戻った
そして懐かしい風景を思い出し
一人で泣いた
30 :
>>22
しつけーよ。頭おかしいだろ
31 :
面白そうだな支援
33 = 1 :
翌日、俺は961プロへと向かった
961社長と話をしておきたかったからだ
元765プロの俺と会ってくれるかは賭けの部分もあったのだが、すんなりと社長室に通された
「まあ、かけたまえ」
黒井社長は当時と変わらず若々しく、眼光の鋭さもそのままだ
34 :
支
35 = 1 :
「まさか私にお会い頂けるとは思いませんでした」
「アメリカに渡っていたみたいじゃないか。どうだったね?」
「はい、少しは使い物になるプロデューサーに近付けたかと思います」
「そうかね。それは頼もしい限りだ」
威圧的な物言いは変わってはいなかったが、少しの違和感を感じた
36 = 1 :
「君が私に聞きたい事は大体分かる」
ここに来た理由…それは765プロ倒産の原因を知りたかったからだ
765と961は敵対状態であった
だから俺は単純にこの件に961が絡んでいる可能性があると踏んだのだ
だが、黒井社長の口から発せられた言葉は
「残念だが私はこの件に一切関与していない」
37 = 1 :
765プロ倒産の原因は961では無かった
あの時小鳥さんに聞けば分かったのかもしれない
だが、泣きじゃくる彼女にこれ以上辛い思いをさせたく無かったのだ
「だが、私の知っている範囲で良ければ話はするが、どうだね?」
「よろしくお願いします…」
俺はそう答えるしか無かった
39 :
黒ちゃんがどこか優しいぞ
40 = 1 :
「君が去った3年前…その瞬間からゆっくりと崩壊が始まったのだよ」
俺がアメリカに行った直後?
そんな早い段階からだなんて…
「まず、君が去った月の終わりに如月千早が事務所を去った」
「千早が?何故です」
「新しく入ったプロデューサーとソリが合わないと聞いている。そして君以外の人とは組みたく無かったともね」
41 = 1 :
「千早が居なくなったら…売り上げが激減してしまうじゃないか…」
彼女のCDの売り上げは竜宮小町以上だ。その彼女が居なくなれば、その痛手はかなりのものになる」
「その後の話としては…君は素晴らしいプロデューサーでは無かったが、やはりそれなりに出来る男だったと言う訳だ」
「どう言う意味です?」
42 :
ふむ
43 = 1 :
「どう言う意味です?」
言っている意味が分からなかった
「新人と秋月律子では君の穴は埋められなかったと言う事だ。それによってアイドルたちの信頼を失った」
「その後は…どうなったんです?」
「お互いが信じられない状態が長く続き、仕事も減り、衰退の一歩を辿って行ったのだよ」
44 :
なかなかいい 支援
46 = 1 :
「たったそれだけの事で…」
「たったそれだけの事だ。それすらが彼等には出来なかったのだよ」
「そんな…」
「そして、資金繰りに困った765プロは竜宮小町を876プロに売り払った。多額の移籍金を得るためにな」
竜宮小町は765プロの看板だ
それを売り払うなんて…信じられない
47 :
黒井はいいおっさん
48 :
三年もたつと人って変わるんだな
49 = 1 :
「辛いのは分かるが君は知っておいた方がいい。だから今は耐えて聞くんだ。良いな?」
「はい…」
頭がどうにかなりそうだった
自分の無力さにも腹が立った
「そして…更に765プロは私に星井美希、我那覇響、四条貴音を売り払ったのだ」
「そんな…そんなバカな事が…あるわけ」
「事実だ。3人はウチでプロジェクト・フェアリーとしての活動を再開している」
50 :
黒ちゃんは色々拗らせちゃってるけど良いおっちゃん
みんなの評価 : ★★★×6
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