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    元スレP「かまいたち風の夜」

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    1 :

    http://www.youtube.com/watch?v=aRVXqUtkmVw&feature=context-chv

    空は広く青く広かった。

    雲ひとつ無くまさに快晴と断言できる。

    首を動かすと、真っ白な斜面を軽快に滑る人達が見えた。



    ズザシュッ! と、キレのいい効果音を伴って、粉雪が削り節みたいに顔にかかった。

    真上から真が覗き込んでくる。

    真っ黒なゴーグルがボーイッシュな髪形によく似合っていた。


    「プロデューサー大丈夫ですか? 思いっきり転んでましたけど……」

    P「冷たい。主に顔と耳が」

    雪面へ大の字にへばりついていた俺は、寝起きさながらにゆっくりと身を起こした。

    板とストックが4メートルほど下に突き刺さっているのが見える。

    リフトの上から笑い声が聞こえた。

    2 = 1 :

    「プロデューサーはどんくさいなぁ。自分初めてだけどもうパラレルできるぞ」

    得意げに目を輝かせて響がからかってきた。

    悔しい。最初は俺が教えてやったのに数時間で抜かされてしまった。


    P「響はダンスやってるからな」

    理由になってないな、と自分でも思いながら立ち上がる。


    冷たい風が汗ばんだ体に心地良い。

    遠くに見える尾根はどこまでも白く、雄大な気持ちになった。


    髪に絡んだ雪を払って、慎重に板を回収しようと足を持ち上げると

    春香「うわ! うわわわ! ど、どいてくださーい!」

    P「え?」

    声に驚きながら振り返ると、真と響が左右にスーっと別れたのが見えた。

    その間を春香が直滑降で……。

    3 :

    春香「ごめんなさい! 大丈夫ですか!?」

    P「俺たちは初心者コースに行こう。ここは危険だ」

    春香「は、はい……」


    あれだけのスピードでぶつかったのに怪我一つなかったのは幸運だった。

    見栄を張って上級者コースに来たのを後悔しながら、コブを迂回してノロノロとボーゲンで下る。

    4回転んだところで雪歩とやよいが雪だるまを作っているのが見えた。

    4 = 1 :

    日が落ちる前に全員を回収してペンションに向かう。

    送迎バスは白く排気ガスを吐きながら待機していた。


    今日は全員で旅行に来ている。いわゆる社員旅行だ。

    一番楽しみにしていた社長が来られなかったのは残念だが、みんな雪山を堪能していたようだ。


    滑り疲れて眠る者、興奮が冷めずに騒ぎ続ける者、雪合戦の勝敗について討論する者。

    色々だ。

    俺は筋肉痛の予兆に怯えながら、服の隙間に手を突っ込んで濡れた体を拭いていた。

    P「「ひゃうん!」

    溶けた雪がまだ残っていてパンツの隙間に入ってしまった。

    5 = 1 :

    美希「zzzzz」


    肩に軽い頭が乗った。

    綺麗な金髪は少しも濡れておらず、サラサラと音を立ててこぼれる。

    幸せそうな寝顔だった。


    起こさずに拭くのはいささか難しかったので、タオルを抜いて窓の外を見ると、凍りついた針葉樹の群れが見えた。

    強くなった風が雪を撒き散らして窓ガラスにへばりついて消える。


    いつの間にか出来あがった灰色の雲はのしかかる様でなんだか息苦しかった。

    たぶん暖房で鼻が詰まったんだろうけど。

    欠伸を噛み殺しながら思った。

    6 = 3 :

    ペンションに着くころにはすっかり暗くなっていた。


    雪国特有の角度の着いた屋根が目新しい。

    玄関脇に設置されたライトはオレンジ色で幻想的。

    なんだかラブホみたいだ。


    感想は自由だがそれを口に出したらどうなるのか、想像に難くないので黙っておいた。


    それでなくとも姦しい彼女達は、暴走しがちなテンションでどやどやとバスを降りていく。

    一通り忘れ物がないかチェックして俺も後を追った。

    7 = 1 :

    http://www.youtube.com/watch?v=GoCbkYnF5SE&feature=plcp


    白い壁紙と艶のあるフローリングが好印象だ。

    玄関先で雪を払って中に入ると、強力な暖房が素早く室内を暖め始めていた。


    一度荷物を置いてリビングに集合することにした。

    律子がカウンターから鍵を引っ張り出して順番に手渡している。

    亜美「兄ちゃん兄ちゃん! 探検とかしていいの!?」

    P「ダメに決まってるだろ。あんまり騒ぐと外に出しちゃうからな」

    真美「げ→! そんなの雪だるまになっちゃうじゃんYO!」

    律子「はいはい。アンタ達も早くシャツを着替えてきなさい。匂っても知らないわよ?」

    亜美真美「「う……」」

    さすが律子だ。一撃で双子を黙らせた。

    8 :

    あれって途中で落ちてたのか

    支援

    9 = 1 :

    やよい「あのー、私のお部屋はどこなんですか?」

    律子「ちょっと待っててね。……やよいは伊織と同室よ。左に曲がって一番奥。これがカギ」

    伊織「はいはい。行くわよ、やよい」

    もしかしたらトンでもない大荷物で来るんじゃないかと密かに心配していたのだが、
    キャリーバッグという一点を除けばごく普通の出で立ちで伊織が鍵を受け取る。

    淡い単色のナップサックを背負ったやよいと並んで階段を上っていった。

    10 = 3 :

    俺も続こうと野暮ったいスポーツバッグを持ち上げると、早くも談話室でくつろいでいる二人を見かけた。


    P「もう置いてきたの? 早いな」

    千早「ええ、私たちは滑ってませんから」


    複雑な紋様のソファーには千早と貴音が優雅に座っていた。

    茶色のテーブルにはカップが二つ。

    紅茶と緑茶だ。


    P「貴音も滑らなかったの?」

    貴音「はい、げれんでを見ながらのカツカレーは大変美味しゅうございました」

    P「さいですか……」

    どこまでもマイペースな二人はすぐに自分の世界に戻っていった。

    千早は書店のカバーをかけた文庫本に、貴音は茶柱をじっと見ていた。

    11 = 3 :

    階段は壁に沿って伸び、勾配はやや急だ。

    飾ってある小さな絵に気を取られた俺はうずくまる人影に直前まで気がつかなかった。

    P「おわ!」

    雪歩「はわわ……!ご、ごめんなさいぃ」


    ビバークできそうなほどの荷物に、押しつぶされるようにして雪歩がうめいた。

    寝袋と個人用テントがガッツリと固定されていて、このまま外に出ても生き残れそうだ。


    P「なんでこんなものまで?」

    雪歩「お父さんがどうしても持っていけって……」

    P「あぁ……」

    過保護なのだろう。

    もっとも俺に娘がいたら同じことをしないとは言い切れないので笑えないが。


    P「よいしょっと」

    雪歩「ありがとうございますぅ」

    二人がかりで危なっかしく階段を踏破した。

    12 = 1 :

    客室は全部二階となっている。

    階段を中央に左右に廊下は続いていた。

    きしみ一つ立てない真新しい造りは、吹き荒れる外界と完全に隔離されていてなんだかホッとする。


    あずさ「あらあら~、どっちだったかしら?」

    あずささんが困ったような、困ってないような、そんな声で廊下をうろついていた。


    P「あずささん。迷子ですか?」

    あずさ「えぇ、迷子というか……。迷子なんですけど」

    ペロっと舌を出して照れ笑い。可愛い。

    13 :

    おかえりー

    14 = 1 :

    ニヤつきそうになった表情を自制して、部屋割りを思い出す。

    階段から左手に折れると、廊下を挟んで4つの部屋がある。

    右奥がやよいと伊織でその向かいが響と貴音。


    やよいおの隣は美希と律子で、向かい合う部屋からは双子の騒がしい声が聞こえてきた。

    指を差して確認していると律子がドアを開けて飛び出してきた。

    律子「うるさーい!」

    亜美真美「「ひゃー! 鬼軍曹だー!」」

    あずさ「うふふふ……」

    15 = 1 :

    階段を上った正面が俺の部屋だ。

    右手側は一階からの吹き抜けになっているので、階段方面に客室はない。

    手前から順に、春香と千早、あずささんと小鳥さん、真と雪歩……のはずだ。たしか。

    脳内で地図を描く。

    こんな感じだ。

    ――――――――――――――――――――――――――――――――――――

    【やよいお】 【みきりつ】  【P 】 【はるちは】 【あずぴよ】 【まこゆき】

    【ひびたか】 【あみまみ】 【階段】 【       手摺り          】


    ―――――――――――――――l―――――――――――――――――――――

    P「あずささんの部屋はここのはずです」

    紳士精神を遺憾なく発揮してドアを開けると

    小鳥「ピヨォ!?」

    あられもない姿でした。

    16 = 1 :

    小鳥「変態紳士ですよそれは!」

    P「いやホントすいませんでした! 悪気はなかったんです!」


    誤解のないように言っておくが下着姿だった。

    もしかしたら逆に喜んでいるかもしれない……、と思わないでもなかったが、無論そんなことはなくて。

    顔を真っ赤にして怒られた。

    17 = 1 :

    P「あ、よいしょっと……」

    まだまだ若いつもりだが学生時代のようにはいかない。

    漏れた声に苦笑いが浮かんだ。


    内装はシンプルにベッドが二つと、引き出しのついたナイトテーブル。

    それにカーテンのついたクローゼットだけ。

    入り口横のドアを開けると、小さなユニットバスがあった。

    チラッと見た限りでは小鳥さんたちの部屋も同じだったので、客室は全部同じ作りなのだろう。


    真っ黒な窓ガラスに近寄ると、白い粉がへばりついた。

    分厚く重いカーテンに手をかけながら外を見るとすごい勢いで吹雪いている。

    鍵が掛かっているのを確認して、カーテンを閉めた。


    二重ガラスに防音効果はないようだ。

    断末魔のような風の悲鳴を聞いてそれを知った。

    18 = 1 :

    着替え終わるとカバンから枕を引っ張り出した。

    旅行に出かけるときはいつも持ってきているのだ。

    もう一つのベットに備え付けの枕を放り投げて、マイ枕の感触を確かめながら寝転がってみる。

    真っ白な天井を見ながら、真っ白な音に包まれていると手足の先がズンと重くなった。

    頭に黒いモヤが掛かってまぶたが自然と閉じていく。

    一つ息をついたところまでは覚えていた。

    19 :

    ぽい夜の続編?別ルート?

    20 = 1 :

    コンコン    コンコン

    P「う……」

    ノックの音で寝ていたことに気がついた。

    P「あ、やべ……」

    ずっしりと重い体は操縦がひどく億劫だ。


    P「すぐ行くから!」

    乾燥してしゃがれた声で呼びかけると廊下を移動する気配がした。

    寝転がったまま腕時計を見る。

    どうやら寝ていたのは10分程らしい。

    21 :

    またか

    22 = 1 :

    シーツをしわくちゃにしながらベッドから降りると、床に近いところの空気が冷たい。

    体をかきながら鍵を掴んでドアノブを握ると

    ゾクリ

    背筋が粟立った。


    よく分からない感覚だ。

    後ろからジッと見られているような、あるいは誰かが立っているような。


    恐る恐る首だけで振り返るとカーテンが少し開いていた。

    P「なーんだ」

    僅かな空気の対流で室内の温度が変化したのだろう。

    温まった背中に冷えた空気がぶつかっただけだ。

    説明がつけば子供みたいに怖がっていた自分がバカらしい。

    きっちりとカーテンを閉めて部屋を出た。

    24 = 1 :

    階段の下では談笑に花が咲いている。

    手摺り越しに覗き込むと楽しげに少女達が集っていた。


    寝ぼけて転げ落ちないように手摺りをつかんで階段を下りていると伊織に見つかった。

    伊織「なにやってたのよ。遅いじゃない」

    P「ごめんごめん、チョット寝てた」

    やよい「あ、プロデューサー。座りますか?」

    P「うん? いやいいよ。それより全員いるのかな?」


    ソファーの許容量を越えた人数が談話室を埋め尽くしている。

    カウンターにもたれかかるようにして見渡した。

    律子「3人はいま料理をしています。春香とあずささんと響ですね。
       それ以外は全員いますよ」

    P「了解」

    26 = 1 :

    ここのオーナーの小林さんは社長の知り合いだ。

    脱サラして今シーズンからペンションを開くことにしたそうだが、
    なにぶん初心者なもので勝手がわからないそうで。

    ならば、ということで試験的に宿泊させてもらうことになったのだ。

    ベッドメイクも掃除もこちらで行う。

    その分料金は格安だ。


    しかしこれをペンションと呼んでいいのだろうか?

    オーナーが来るのすら明日になるというのだから気分としては豪華な山小屋と大差ない。

    社長の友人らしいと言えばらしいが、なんとも自由な人である。

    イメージした小林さんはアロハを着ていた。会ったことないけど。

    27 = 1 :

    P「美希にはまた後で説明してくれると助かる」

    律子「はい……」

    真上を向いて寝ている美希を見て律子がメガネの位置を直した。

    P「それじゃあ一旦解散にするから」

    俺の言葉でざわざわと気配が動きだした。


    ふと思い出して、カップを片付けている雪歩に声をかける。

    P「そういやさっき起こしてくれたのって誰?」

    雪歩「え?」

    P「俺寝ちゃっててさ。ノックで起きたんだけど」

    雪歩「んと、ちょっとわからないですぅ。ごめんなさい」

    P「そっか。ありがと」

    俺は……


    D 部屋へ戻った

    28 :

    SS速報向きだと思う

    29 = 1 :

    じゃあ辞めます ごめんなさい

    31 :

    原作ってファミコン版とプレステ版どっちやった方が良いの?

    32 :

    待ってた

    34 :

    >>29
    ちょろっと言われてやめるくらいなら立てるなよ
    立てちゃった以上やりとげろ

    35 = 31 :

    いや続けてくれよ

    36 = 1 :

    俺は一度部屋に戻ることにした。

    時間まで寝よう。

    体力は出来るだけ温存するのが大人の知恵だ。


    オッサン臭いと自分でも思った。


    「プロデューサ~、ちょっと手伝ってもらえますか?」

    真の情けない声に振り返ると、ソファーを占領した美希を抱えようとしていた。

    P「おい無茶するなよ。そこで寝かせとけばいいんじゃないのか?」

    「だ、だめですよ! 風邪ひいちゃうじゃないですか!」

    それもそうかと頭を掻いて美希に近寄る。

    美希「zzzzzzzzz」

    P「あー、こりゃダメだわ。完全に寝てる」

    真の協力を得て美希を背負った。

    発育のいい体がもたれかかって、年齢に不釣合いな手応えを背中で感じた。

    37 = 1 :

    スペースを有効活用するためにバリアフリーは犠牲になったのだ。

    傾斜のキツイ階段を上りながら思った。

    「大丈夫ですか?」

    P「ん」

    短く返事をする。

    階段もそんなに長くはないので大丈夫だろう。

    踏み外さないように注意しながら足を送る。


    雪歩「て、手伝いましょうかぁ?」

    P「あぁ、いや。あとちょっとだから」

    増援部隊は心強かったが、そちらに気を取られてつまずかない様に気をつけた。

    38 = 1 :

    P「えーっと……」

    美希の部屋はどこだっけか。

    ドアはどれも同じ形で判然としない。

    脱力しきった美希は失礼ながらずっしりと重く息が上がりそうだ。

    美希「あふあふ……」

    おのれ、起きたら覚えてろよ。


    愚にもつかない独り言を呟いて俺は


    P「えーと……」



    C 適当に開けてみる

    39 :

    いやおもしろいから続けたまえ
    安価はなしがいいっす

    40 :

    こんばんは 前回に引き続き支援

    41 = 1 :

    うろ覚えでドアノブを回してみる。

    ガチッ

    当然のように鍵が掛かっていた。

    順番にドアノブを回しながら廊下を巡回する。


    ガチッ



    ガチッ



    ガチャッ

    よしここだ。

    開いた部屋は無人で、暗闇が大きく口をあけているようだった。

    42 = 1 :

    「あの……」

    P「え? なに?」

    疲れがモロに出てぶっきら棒になってしまった。

    こんなことじゃいけないと分かってはいるんだが、もう遅い。

    「いえ……」

    P「ごめん、乱暴だったな。反省してる」

    雪歩「そのお部屋私たちのなんです」

    廊下右手の端はまこゆき組か。

    P「う……、悪い。間違えた」

    適当に選んで間違えたも糞もないけど謝った。


    ずり下がった美希を背負いなおして



    B ここに置かしてもらえないか聞いた

    43 = 19 :

    いやくそスレとかいったけど嘘だよ?
    これ好きだよ?

    44 = 1 :

    背筋が突っ張って痛い。

    腰が嫌な音を立てる。

    腕の筋は限界まで引っ張られてプルプルしていた。


    P「ごめん、ちょっとだけでいいから置かしてくれないかな……?」

    「全然いいですよ!」

    雪歩「すぐ片付けますから」

    二人がカバンを端によけて、ベッドまでの道を作ってくれた。


    最後の力を振り絞って美希をゆっくりと寝かせると

    P「はぁ~、疲れた……」

    座り込んでしまった。

    「大丈夫ですか?」

    雪歩「なにか飲みたいものとかあれば……」

    P「大丈夫だけど、ちょっとだけ休ませて……」

    みっともない姿を見せてしまった。今更だろうけど。

    45 :

    >>44
    仕方ないいまサッカーしてるから

    46 = 1 :

    美希の眠りは深く、規則正しく胸が上下していた。

    美希「すー……。すー……」

    P「ここまで眠ってるのはさすがに珍しいな。よっぽど疲れたのかな」

    昼間なんどか見かけた姿を思い出す。

    見事なテクニックでゲレンデの注目を集めていた。


    「勝負しようって誘ったんですけど、一人のほうが楽しいって断られちゃったんですよね」

    残念そうに真が小声で言った。

    雪歩「私はやよいちゃん達と雪だるまとかカマクラを作ってましたから……」

    P「帰るときにちゃんと壊さないと怒られるぞ」

    わりと真面目にアドバイスした。


    段々と強まる風の音に窓を見ると斜面の雪がハッキリと見えた。

    固く凍った枝が張り出してこちらに届きそうだ。

    首を捻るとゴキリと鳴った。

    47 = 1 :

    起こさないように会話は小声に、そして次第に無言になった。

    「じゃあボクは下に行きますね」

    真がバネの利いた体躯を見せ付けるように立ち上がった。

    緩急のハッキリした動き、が立ち上がるという単純な一挙動にもよく現れていて感心した。


    雪歩「私は何かお手伝いすることがないか聞いてきます」

    対照的に流れるような動作で雪歩が言った。

    日本舞踊の楚々とした挙措が美々しい。

    静々と歩を進めた。


    さてどうしようか。

    人の部屋で長居する気にはならなかった。




    B 雪歩についていった

    48 = 1 :

    疲れはあったがそれ以上に空腹だった。
    考えてみれば昼間はずっと遊んでいてまともに食事を取っていない。

    早めに夕食を取りたくなったので俺も手伝うことにした。

    P「俺も手伝いに行くよ」

    雪歩「あ、はい」

    雪歩の後をつけるような形で歩く。

    雪歩をよく見ればスリッパで絨毯の上をすり足で歩いていた。

    頭の上下動は0で春香に教えてやって欲しいと思った。


    廊下→階段→談話室→厨房と、選択式ADVなら必然となるであろう煩雑な手順を一気にすっ飛ばして目的地に到着。

    P「ん?」

    雪歩「あれ?」

    厨房を覗き込んでる人影を見つけた。


    P「なにしてんの貴音」

    貴音「いつのまにかこんなところまで来てしまいました。まこと面妖な」

    目は厨房に釘付けで、貴音の意思によるものは明白だった。

    49 = 1 :

    繁盛している中華料理店の厨房はきっとこんな感じなんだろう。

    そう思わせるほどの活気がここにはあった。

    熱意と芳香と活気が充満している。


    「亜美! これ運んで!」

    亜美「アイアイサー!」

    春香「真美、食堂の準備終わってる?」

    真美「モチのロンだよ!」

    あずさ「やよいちゃん、悪いんだけどそろそろ出来上がるからみんなを呼んできてくれる?」

    やよい「はーい!」


    むわっとした熱気に押されて雪歩は顔を引っ込めた。

    逆に俺は匂いに釣られて首を伸ばす。

    真下には貴音の頭があった。

    同じレベルのようでなんだか悔しい。

    50 = 1 :

    春香「プロデューサーさん、もうすぐ出来ますからね」

    P「はーい」

    子供じみた返事で指をくわえた。

    貴音の涎がポタポタと垂れて絨毯に染みている。頭の位置が逆だったら大変なことになるところだった。

    あずさ「これ持ってってもらってもいいですか?……えーと、雪歩ちゃん」

    薄切りにされたてんこ盛りの牛肉は、二匹の獣を素通りして安全牌であるところの雪歩に渡った。

    P「肉……肉……」

    貴音「肉……肉……」

    肉々しい怨嗟の声に怯えながら雪歩は食堂へ逃げた。

    狩りの時間である。

    追跡はツーマンセル。貴音と目配せをして一直線に食堂へ追い詰めた。


    雪歩「ひぅ……」

    追いかけっこは食堂の隅であっけなく終わった。

    肉を抱え込んで獲物が震える。

    想像上の牙を伸ばしながら舌なめずりをした。


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