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    元スレまどか「付き合うならさやかちゃんだけど…」

    SS覧 / PC版 /
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    みんなの評価 : ★★★×5
    タグ : - 鹿目まどか + - まどほむ豚きもい + - まどカス + - デート + - 佐倉杏子 + - 巴マミ + - 暁美ほむら + - 砂糖よりも甘い後日談 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    552 = 69 :

    ほむら「はぁ…はぁ……あ、外…?」

    まどか「結局お化けっぽい人はほとんど居なかったなあ。
        事情があって人が足りないのかな?仕掛けだけでもけっこう怖かったけど」

    ほむら「あの…」

    まどか「ほむらちゃん、もういいの?」

    ほむら「うん。その……ごめんね。あんなに大きな口叩いておいて、恥ずかしい…」

    まどか「ううん、気にしないで。誰だって苦手なものはあるよ。恥ずかしくなんかない」

    ほむら「でも…」

    まどか「いいの。わたしも頼ってもらって嬉しかったし、それに…ほむらちゃん、とっても可愛かった」

    ほむら「なっ……やめてよ、もう…///」

    まどか「うぇひひ!これからもほむらちゃんのそういうところ、もっといっぱいいっぱい見たいなぁ?」

    ほむら「知らない!早く次に行きましょう!」

    まどか「あっ、待ってよほむらちゃん。ふふっ…」

    553 = 498 :

    スタッフ「ごちそう様でした!!」

    554 = 69 :

    まどか「あ、ほむらちゃんストップ。次はここだよ」

    ほむら「ここが? これって……」

    まどか「うん。メリーゴーランド」

    ほむら「へぇ……遊園地じゃ特に有名だけど、実物を見るのは初めてだわ」

    まどか「小さい子の乗り物だって思われてるけど、ちゃんと大人の人だって乗れるんだよ」

    ほむら「ここも、そんなに混んでないからすぐ乗れそうね」

    まどか「定番だけど、ジェットコースターとかに比べたら乗りたがる人は居ないから」

    ほむら「わりと恥ずかしいものね。でも、ちょっと乗ってみたいかも…」

    まどか「うぇひひ、実はわたしも。ね、これも一緒に乗ろうよ」

    ほむら「いいけど、メリーゴーランドに?
        えっと、二人乗りのは……あの馬車みたいなやつはどう?」

    まどか「だめだめ!それじゃコーヒーカップと変わらないよ。メリーゴーランドって言ったら、やっぱり…」

    ほむら「………?」

    555 = 498 :

    ほっしゅ

    556 = 502 :

    このSSのおかげで年がこせそうです

    557 = 69 :

    マモナク、ウゴキダシマス

    まどか「始まるって。ほら、ほむらちゃん、ちゃんとポール握っててね」

    ほむら「わかったけど、まどか。これって……」

    まどか「うん。メリーゴーランドって言ったら、やっぱりお馬さんだよね!」

    ほむら「子供用に作られてるせいか、ちょっとバランスが取りにくいわ。それに二人乗りなんて…」

    まどか「ちゃんとなにかにしがみ付いてれば大丈夫。
        わたしはポールとかないから、ほむらちゃんに抱きつかせてもらうね?」

    ほむら「う、うん……///」

    まどか「ほむらちゃん細くて背も高くてスタイルいいから、ぎゅってしやすいね。やわらかーい♪」

    ほむら「んんっ…くすぐったいわ。まどか、あんまり背中は…」

    まどか「気持ち良いなぁ」スリスリ

    ほむら「んっ。もう……」

    558 = 69 :

    ガタッ ゴウン、ゴウン…

    ほむら「あ……」

    まどか「どう?すごいでしょ」

    ほむら「うん。見えるものがちょっと違って、不思議な感じ」

    まどか「わたしもずっと前。今のたっくんぐらいの時に乗ったきりなんだけど、初めて乗ったときはすっごく興奮したよ」

    ほむら「子供が夢中になるのも、ちょっとわかる気がする」

    まどか「大人だって乗っちゃいけないわけじゃないよ。
        楽しみ方だって色々あるから。今のわたしみたいに、好きな人と一緒に乗るとか…」

    ほむら「キャッ!わぁ……見て、まどか。上下に動いてるわ。 あはっ!」

    まどか「好きな人の喜んでる顔が見られるとか、それだけで充分だもん」

    ほむら「まどか、落ちないようにね!」

    まどか「うん。ちゃんとしがみ付いてるから、大丈夫だよ」ギュッ

    まどか(ほむらちゃんの心臓、すっごくドキドキしてる……わたしとおんなじくらいかな?)

    559 = 498 :

    まどっち積極的なんやな

    560 = 85 :

    ほむほむが上下に動いてるよ
    ふぅ・・・

    561 = 69 :

    ほむら「はぁ…楽しかった……」

    まどか「うん。わたしも久しぶりに乗ると、昔を思い出して面白かったな」

    ほむら「初めてでも、そうでなくっても楽しめるのね」

    まどか「ずっと昔からあるのには、やっぱり人気と理由があるんだよ。きっと」

    ほむら「……また、乗りたいわね」

    まどか「…そうだね。今度はわたしが前で、ほむらちゃんが後ろがいいな」

    ほむら「ええ、また一緒にね。 次はどこに行く?」

    まどか「んー、そろそろお昼にしよっか?」

    ほむら「それもいいわね。早めに済ませておけば、その分空いてる時間に遊べるかも」

    まどか「うん。あっ、ほむらちゃん、あそこのレストラン入ろうよ!」

    563 = 69 :

    まどか「なに食べるか決めた?」

    ほむら「私はボンゴレビアンコ。ドリンクはホットコーヒーで」

    まどか「えーっと、それじゃわたしはオムハヤシにしようかな。それとクリームソーダ!」

    ほむら「クリームソーダ?」

    まどか「うん、好きなんだあ。…こ、子供っぽいかな……?」

    ほむら「ううん。まどからしくて、可愛くて良いと思う」

    まどか「ふぇっ!? あ…あ、ありがとう……///」

    ほむら「じゃあ店員さん呼ぶわね」

    まどか(わたしらしくって可愛いって言われた可愛いって言われた可愛いって言われた可愛いって言われた)プシューッ

    564 = 498 :

    夏場に飲むクリームソーダの美味さは異常支援

    565 = 179 :

    本編がずっと不穏な空気だったのもあって、この後日談は心が洗われるようで大変すばらしいものになっているな

    566 = 69 :

    店員「以上で御注文の品はお揃いでしょうか?」

    まどか「はい、ありがとうございます」

    ほむら「それじゃ、冷めないうちに食べましょうか」

    まどか「そだね…はむっ。うん、美味しい!」

    ほむら「ええ、こっちも。良い味してるわ」

    まどか「…………」モグモグ

    ほむら「…………」ホムホム

    まどか「…………」モグモグ

    まどか(はっ! これって……もしかして、チャンスなんじゃ!)

    567 :

    愛が愛を重すぎるって理解を拒み、憎しみに変わってしまう前に

    568 = 69 :

    まどか「ほ、ほむらちゃん。そのスパゲティ美味しい?」

    ほむら「ええ。さっきから言ってるけど、嘘じゃないわよ。良かったら食べてみる?」

    まどか「いいの!?」

    ほむら「別に構わないわよ。ちょっと待ってて、いま店員さんにもう一本フォークを…」

    まどか「ス、ストップ! いいよそんなの。代わりのフォーク要らない!」

    ほむら「そう?でもスプーンじゃ食べにくいし、そうなったら私のフォークしかないし……」

    まどか「ほ、ほ、ほ、ほむらちゃんさえよかったら、そのフォーク使ってもいいかな?」

    ほむら「え、それでいいの?いえ、私は構わないし、衛生的にも大きな問題は無いと思うけど」

    まどか「うんうん。わざわざ店員さんに持ってきてもらうのも申し訳ないし、わたしはそれでいいよ」

    ほむら「まどか……そんな小さな気遣いまで忘れないなんて…」

    まどか(やった、これで食べさせあいっこができる!)

    569 = 151 :

    やったー!

    570 = 498 :

    ほむほむ鈍過ぎってか理解が明後日の方向杉wwwwww

    571 = 502 :

    572 = 69 :

    まどか「じゃあ貰ってばっかりも悪いし、まずはわたしのお料理食べてよ。 はい、あ…あーん」

    ほむら「えっ!? …ちょ、ちょっと、まどか?それは……」

    まどか「ほむらちゃん。ほら、あーんって」

    ほむら「うぅ……あ、あーん///」パクッ

    まどか「ん、じゃあ、わたしも…あ、あーん///」

    ほむら「う、うん……はい、まどか」

    まどか「はむっ。……ん~、美味しいっ!」

    ほむら「え、ええ。あなたのも、美味しかったわ…」

    まどか「じゃあ次はクリームソーダも食べる?はい、あーん」

    ほむら「あ……もうっ、あーん!」パクッ

    573 = 498 :

    店員「・・・・・・眼福です!」

    574 = 69 :

    まどか「あー、美味しかったね。大満足!」

    ほむら「そうね。お腹いっぱい…」

    ほむら(美味しかったけど、途中から恥ずかしくて味が……)

    ほむら「さて…そろそろ店の中も混んできたし、出ましょうか」

    まどか「そうだね。まだまだ乗りものはたっくさんあるよ。いこっ!」

    ほむら「ええ。次はどこに行くの?」

    まどか「次はね、向こうの―――」

    576 = 69 :

    それから遊園地の中をたくさん、ほむらちゃんと回りました。

    ミラーハウスに入ったり、ゲームコーナーのようなところに行ったり、
    留守番をしてくれてるみんなへのお土産を見て回ったり、あとは一度だけジェットコースターにも乗ったりしました。

    ほむらちゃんも(一部を除いて)とっても楽しそうで、そんなほむらちゃんと一緒に居るだけでわたしも幸せです。

    ずっと夢見て憧れてたデートは、思ってたよりもずっと楽しくて。
    時間を忘れちゃうほどにわたしたちは歩いて、話して、一緒に笑いました。

    でも、楽しければ楽しいほど時間は早く過ぎてしまうもので―――

    まどか「ほむらちゃん、射的すっごく上手だったね!今日一番の点数だったって言ってたよ」

    ほむら「慣れてるだけよ。……それにしても、少し暗いわね。今は何時かしら?」

    まどか「あ…もうこんな時間。そんなに遊んだっけ……?」

    気が付けば太陽は随分傾いて、空は薄っすらと赤くなり始めていました。

    577 = 498 :

    一部を除いて……ほむほむよく我慢したな

    578 = 69 :

    冬なので陽が沈むのが早いとは言っても、太陽が沈めば夜は夜です。
    いくら魔法少女でも中学生の女の子だけで遠くの、よく知らない場所にいるものではありません。

    ほむら「そろそろ帰らないと、帰りが混むかも。御両親も心配するだろうし」

    まどか「うん、そうだね…」

    名残惜しいけど、ほむらちゃんの言うとおりです。

    ただでさえ、普段から魔女退治でパパたちに帰りが遅いと思われているのです。
    ちょっとの遅れくらいなら連絡すればなんとかなるけど、もしものことを思うと早く帰った方がいいでしょう。

    でも、その前に。最後に…

    まどか「帰る前に、一つだけ乗りたいものがあるの。よかったら付き合ってほしいな?」

    ほむら「ええ。一つぐらいなら大丈夫でしょうけど…どこに行くの?」

    わたしが考えたデートプランの締めくくり。
    これにほむらちゃんと乗って終わろうって、最初に決めてた場所へ。

    まどか「あれだよ」

    ほむら「あれって……?」

    わたしが指差した先では、大きな大きな丸い観覧車が、ゆっくりと回っていました。

    579 = 498 :

    >観覧車
    まどかはよく分かってるな

    580 = 70 :

    やる気満々だなw

    581 = 69 :

    運が良かったのか時間帯が良かったのか。
    観覧車はそこまで混んでなくて、すぐにわたしたちの番が来ました。

    まどか「ほら、ほむらちゃん。早く乗って」

    ほむら「え、ええ」

    扉が開いてからもゆっくりと動き続けるゴンドラに、急いで乗り込みます。
    ほむらちゃんは初めてのせいで慣れてないのか、おずおずといった風にわたしの後に続きました。

    わたしたちが乗って数秒後。扉がガコン、という音と共にスライドして閉まりました。
    ゴンドラは何事もなかったかのように動き続け、地面がゆっくり。でも確実に離れていきます。

    ほむら「これが観覧車……けっこう高く感じるのね」

    まどか「まだまだ高くなるんだよ。この観覧車は、たしか…70メートルちょっとだったかな?」

    ほむら「へえ…そんなに高いところから町を見渡せたら、きっと素敵なんでしょうね。楽しみだわ」

    ほむらちゃんが眼を細めながら、入って右手の座席に座りました。
    わたしも……ちょっぴり勇気を出して、ほむらちゃんの隣に座ります。

    ほむらちゃんはなんにも言わずにチラッとわたしを見て、少し微笑んで外の景色へと視線を戻しました。

    それが『隣に居てもいいんだよ』って言ってくれているように思えて、また少し嬉しくなっちゃうのでした。

    582 = 502 :

    ほむほむ

    583 = 498 :

    盛り上がってまいりました

    584 = 69 :

    ゴンドラが全体の四分の一ほどを過ぎました。

    空は更に赤みを帯び、町並みは随分遠くまで見渡せるようになっています。
    豆粒のような大きさ…というと少し言いすぎかもしれないけれど、遠くに小さく見滝原のショッピングセンターも見えます。

    ここからだからこそ見えるもの。
    道行く人の流れ。夕暮れに淡く輝く、車や建物の光。当たり前のように送られる営み。

    この平和すべてを、とは言わないけど。その内の少しでもわたしたちが守っているのだと思うと誇らしくなります。

    隣のほむらちゃんを、チラッと見てみます。
    ほむらちゃんは変わらない微笑を浮かべながら、さっきまでのわたしが見てた場所と同じ辺りを見ていました。

    ほむらちゃんも、わたしと同じことを考えてるのかな?

    そんなことを考えながら見つめていると、わたしの視線に気が付いたのでしょうか。
    ほむらちゃんの視線だけがこっちに向いて、少し首を傾げます。

    ほむら「どうかした?」

    まどか「ううん。いい眺めだなーって思ってたの」

    考えてみれば、ほむらちゃんの顔を見ながら良い眺めも何もないものだけど…
    あえて指摘することでもないと思ったのか、ほむらちゃんは『そう。私もよ』とだけ言って、また視線を外に戻しました。

    585 = 69 :

    それからしばらくの間は会話もなく、時間だけがゆっくりと過ぎていきました。

    傍から見れば味気ないと思うかもしれないけれど…わたしは、とっても満たされていました。

    好きな人と言葉を交わして触れ合ったりしなくても、同じ場所で、同じものを見て同じ事を思う。
    それがどれだけ幸せな事か、今のわたしなら十分に理解できます。

    ほむらちゃんも、こんな気持ちになってくれてるといいな。

    そう思ってほむらちゃんの横顔を見ていると、突然、ほむらちゃんが首ごとこっちを向きました。
    唐突に視線が合ったので、妙な気恥ずかしさに囚われてドキドキしていると、ほむらちゃんはニコッと笑って言いました。

    ほむら「今日はありがとう」

    唐突なお礼の言葉に、思わず首を傾げてしまいます。
    別に今日はお礼を言われるようなことはしていないはずだけど……?

    ほむら「私ね、今までこんな風に普通の女の子みたいに遊んだことってなかったの。
        何の心配も悩み事もなく、心の底から友達と笑いあえるなんて初めてだった」

    ほむら「今日は魔女のことも、今ままでのことも、これから先のことも何もかも忘れてまどかと楽しめたわ」

    ほむら「だから言わせて。 ありがとう」

    そう言ったほむらちゃんの笑顔は少しだけ、寂しげでした。

    586 = 179 :

    黄昏時の眺望に高所に狭い密室で2人きりとか…
    観覧車ってどんだけすげーアイテムなんだよ…

    587 = 69 :

    その笑顔を見てわたしは唐突に、自分がほむらちゃんの事をほとんど知らないのだと言うことに、今更ながら気付きました。

    ほむらちゃんは、未来から来たそうです。
    わたしを守るために魔法少女になって、何度も何度も違う時を生きてきたのだと。

    今回は色々と心配が無い時間軸に収まって安心した。と言っていたのですが、それでもこれまでの苦労は並大抵ではなかったのでしょう。

    ほむら「言いたかったのはそれだけ。 こんな時じゃないと、面と向かって言えそうにないから…ごめんね」

    ほむらちゃんは、あまり昔のことを話したがりません。

    大まかなことはともかく、詳しい話になればいつも適当に誤魔化されたり、はぐらかされます。
    それはもちろん、わたし達に聞かせるような楽しい話ではないと思っての、ほむらちゃんの気遣いでしょう。

    わたしもほむらちゃんの意思を尊重して訊かないでいましたし、今までもこれからもそれで良いと思っています。

    別に昔のことを無理にほじくり返さなくったって、ほむらちゃんの事を知ることはできるから。
    だから、他でもないほむらちゃんが"話したくない"のではなく"話さなくていい"と考えたなら、それでいいのです。

    588 = 69 :

    それになによりも、ほむらちゃんは今日、何もかも忘れられたと言ってくれました。

    それは他の誰でも無い、わたしを。『鹿目まどか』だけを見てくれていたということで…
    それだけでわたしは幸せです。これ以上に、嬉しいことはないのです。

    だから、そんなわたしには、今のほむらちゃんに返してあげられる言葉もなくって。 

    ただ一言

    まどか「また、何度でも来ようね」

    そう言っただけでした。それだけで十分だと思いました。

    ほむら「……うん」

    ほむらちゃんも、今度はにっこりと笑って頷いてくれました。

    590 = 498 :

    まどっちが既に良妻賢母の域に達している件について

    591 = 179 :

    天使だからな

    592 = 69 :

    そうしている間にも、時間は進んでいます。
    気が付けば、もう観覧車は最上部付近まで来ていました。

    まどか「ほら見て、ほむらちゃん。今が一番の見所だよ」

    先程にも増して壮観な景色は、昔見たそれとは少し違っていて。
    いつの間にか夕日で真っ赤に染まっていた町や、遠くに見える海には、不思議と胸が透くような爽やかさがありました。

    まどか「ね、すごいでしょ」

    ほむらちゃんは、どんな顔で見ているんだろう。
    ふと気になって隣を見ます。

    そこには―――


    まどか「綺麗……」


    燃えるような赤に全身を照らされながら眼を細める、とても美しい女の子がいました。

    593 = 69 :

    ほむら「ほんと。綺麗ね…」

    ほむらちゃんは外を向きながらわたしの言葉に同意して、ぼそりと呟きます。

    でも、違うのです。わたしが見ていたのはあなた。

    風も吹いていないのにサラサラと揺れる黒い髪。少し眩しそうに細めた目から覗く、紫がかった瞳。
    白い肌。ほっそりとした指。ほむらちゃんの全てが赤く染まって、背後の景色と調和して。

    それはまるで、一つの絵画を見ているような気分になってしまうのでした。


    ああ…わたしは本当に、ほむらちゃんの事を知らないんだなあ。

    うっとりとした顔で町並みを見下ろす彼女を見て、改めて心底そう思いました。

    にっこりと笑うほむらちゃん。無邪気にはしゃぐほむらちゃん。ちょっと拗ねたほむらちゃん。
    しがみつかれて照れたり、怖がって叫んじゃう。そんな普段のクールさとは程遠い、でも魅力的なほむらちゃん。

    今日だけでもこんなに色んなほむらちゃんが見られて、わたしは今まで、そんなほむらちゃんを知らなくって。
    それが嬉しくもあり、情けなくもありました。

    595 = 69 :

    でも、それでも一つだけ。少なくとも一つだけは変わらないと言えるものがあります。

    それは、わたしがほむらちゃんを好きでい続ける。ほむらちゃんを愛し続けるということです。

    ううん。それどころか、わたしがほむらちゃんを愛しいと思う気持ちは今、この瞬間にもますます大きくなって。
    心の器から溢れそうになった"好き"は、もう言葉では言い表せないほどになっていました。

    だから……



    まどか「んっ…」



    ちゅっ



    乾いているようで、すこし湿り気が混じったような。そんな音が、ゴンドラの中で短く静かに響きます。

    ほむら「……え?」

    ほむらちゃんは呆然とした表情で、頬に…キスをされた場所に、そっと手を当てました。

    まどか「…えへっ。キス、しちゃった」

    わたしも顔を真っ赤にしながら。そして心臓をドキドキ言わせながら、そう言うのが精一杯でした。

    596 = 502 :

    597 = 69 :

    ほむら「え…?えっ?えっ!?えぇっ!?」

    夕日にも負けないくらいに顔を真っ赤にしながら、
    身体ごとこっちに向いて手をわたわたさせて、ほむらちゃんは声をひっくり返らせます。

    そんなに恥ずかしがられると、こっちまでなんだかよけいに恥ずかしくなっちゃうわけで…

    だけど、そんな風に慌てるほむらちゃんも、初めて見るとっても可愛いほむらちゃんでした。

    ほむらちゃんの頬に触れた唇から辿る様に、まるで温かいココアを飲んだみたいに胸やお腹が暖かくなっていって。
    そのうち指先や髪の毛の一本一本まで幸せが染み渡るような、そんな気持ちがわたしを満たしていきます。

    こんな気持ちのまま、これからもわたしが知らないほむらちゃんをたくさん見ていけたらいいな。

    そう考えてしまうわたしの心は、まだまだ喜びと愛しさでいっぱいです。

    これから先、わたしたちには色んな壁が待ってるんだろうけど…
    きっとどれだけ時間が経っても、何度でも、この気持ちが色褪せることは無いって言い張れます。

    598 = 69 :

    一度だけじゃ、もう満足も我慢もできない。

    まるで魔法にかかったように辛抱堪らなくなったわたしは、人目に触れる危険も放り出して再びほむらちゃんに顔を近づけていきます。

    ほむら「あ……」

    さっきまで慌てていたほむらちゃんも一回だけピクッと震えたあと、潤ませた瞳を閉じました。

    胸の前で祈るように手を組んで、体は強張って、目尻に涙が滲むほどギュッと眼を閉じて。
    それでもほむらちゃんは一度も後ろへ退くことなく、黙って顔を少しだけ突き出してくれました。

    そんな彼女の姿がちょっとだけ弱々しく見えたけど、それでもやっぱり受け入れてくれたことが嬉しくて。

    でも、わたしが知らないほむらちゃんがまだまだ居る今は、恋人だって堂々と言える自信は無くって。

    わたしが胸を張って恋人見習いを卒業できたと思える時まで、ちゃんとしたキスは当分お預けです。

    600 = 69 :

    その時が来るのを待ち遠しくも楽しみにしながら、あなたへと贈る
    とびっきりの好きとありがとうを、どうか受け取ってください。


    まどか「大好きだよ」

    わたしは彼女の震えている肩をしっかりと抱いて、永遠の愛を誓うような気持ちでもう一度


    ちゅっ


    真っ赤に染まった愛しい人の頬に、そっと口付けをしました。



    地上まで、あと70メートル。

    もう少しだけ、二人っきりの時間が終わるまで。この魔法は解けそうにありません。





    おしまい


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