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元スレあかり「君と好きな人が百年続きますように」

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どうしよう、と言うようにちなつちゃんの視線が揺れているのがわかった。
行って仲直りしてしまえば、いつもどおりのちなつちゃんに戻ってくれる。
けれど仲直りしなければ、もう少しあかりだけがちなつちゃんの傍にいられる。
そんな、どうしようもないくらいひどい考えが、私の心を占めていた。
ちなつ「……あかりちゃん、私、結衣先輩のお見舞い行く」
あかり「……」
うん、と頷くには少し時間かかって。
これでちなつちゃんが笑ってくれると思うと嬉しかったけれど、それとは逆の気持ちも
溢れ出てきて、私の顔がへんになってないか心配になってしまった。
行って仲直りしてしまえば、いつもどおりのちなつちゃんに戻ってくれる。
けれど仲直りしなければ、もう少しあかりだけがちなつちゃんの傍にいられる。
そんな、どうしようもないくらいひどい考えが、私の心を占めていた。
ちなつ「……あかりちゃん、私、結衣先輩のお見舞い行く」
あかり「……」
うん、と頷くには少し時間かかって。
これでちなつちゃんが笑ってくれると思うと嬉しかったけれど、それとは逆の気持ちも
溢れ出てきて、私の顔がへんになってないか心配になってしまった。
外に出ると、冷たい風が痛いほどに強く吹いていた。
ちなつちゃんが「すごい風……」とぽつり呟いた。
あかり「飛ばされちゃいそうだよぉ」
ちなつ「紅葉、全部飛んでっちゃってるね」
その言葉通り、ふと顔を上げると通学路を覆っていた木々のそのほとんどが、
葉を落としてしまっていた。
もう冬なのだとあらためて感じる。
並んで歩きながら、私たちは「さむいさむい」と言い合った。
私も、きっとちなつちゃんも別のことを考えていたから、中身のある話なんて
できるはずもなくて。
ちなつちゃんが「すごい風……」とぽつり呟いた。
あかり「飛ばされちゃいそうだよぉ」
ちなつ「紅葉、全部飛んでっちゃってるね」
その言葉通り、ふと顔を上げると通学路を覆っていた木々のそのほとんどが、
葉を落としてしまっていた。
もう冬なのだとあらためて感じる。
並んで歩きながら、私たちは「さむいさむい」と言い合った。
私も、きっとちなつちゃんも別のことを考えていたから、中身のある話なんて
できるはずもなくて。
あかり「……」
ちなつ「……」
結局最後は無言になってしまって、結衣ちゃんの住む部屋の前に辿り着いた私たちは
無言のまま立ち止まった。
ちなつ「……緊張してきた」
ちなつちゃんがそう言って、大きく深呼吸。
ケンカをした後、ケンカをした人と会うのは誰だって緊張もするし怖い。
私は「大丈夫だよぉ」と笑ってみせる。
あかり「京子ちゃんもいるから……」
ちなつ「……うん」
ちなつ「……」
結局最後は無言になってしまって、結衣ちゃんの住む部屋の前に辿り着いた私たちは
無言のまま立ち止まった。
ちなつ「……緊張してきた」
ちなつちゃんがそう言って、大きく深呼吸。
ケンカをした後、ケンカをした人と会うのは誰だって緊張もするし怖い。
私は「大丈夫だよぉ」と笑ってみせる。
あかり「京子ちゃんもいるから……」
ちなつ「……うん」
ここで結衣ちゃんと謝って仲直りしてしまえば、京子ちゃんに対するちなつちゃんの気持ちだって
すっきりするはずだ。
ちなつ「じゃ、じゃあ」
しばらくぐっとドアを見詰めたまま動かなかったちなつちゃんがとうとうチャイムに向かって
手を伸ばしたのは、深呼吸6回目のことだった。
ちなつちゃんと結衣ちゃんだから、仲直りできないはずなんてない。
だから私はつい。
あかり「ちなつちゃん、待って」
すっきりするはずだ。
ちなつ「じゃ、じゃあ」
しばらくぐっとドアを見詰めたまま動かなかったちなつちゃんがとうとうチャイムに向かって
手を伸ばしたのは、深呼吸6回目のことだった。
ちなつちゃんと結衣ちゃんだから、仲直りできないはずなんてない。
だから私はつい。
あかり「ちなつちゃん、待って」
ちなつ「えっ、なに?」
あかり「……あかり、やっぱり帰るね」
色々な気持ちがごちゃ混ぜになっているせいで、今の私はちなつちゃんに対してどんな
態度をとればいいかわからなくなってしまっていた。
本当はきっと、ちゃんとちなつちゃんの傍についていてあげなきゃいけないのだろうけど。
またちなつちゃんが結衣ちゃんのことばかりで笑顔を見せるのだと思うと、
今日だけは、傍にいてあげたいとは思えなくて。
ちなつ「な、なんでよ!?」
あかり「あかりもちょっと熱っぽいっていうか……」
えへへ、と笑ってみせる。
ちなつちゃんが私の額に触れて、「ほんとだ」と呟いて。
あかり「……あかり、やっぱり帰るね」
色々な気持ちがごちゃ混ぜになっているせいで、今の私はちなつちゃんに対してどんな
態度をとればいいかわからなくなってしまっていた。
本当はきっと、ちゃんとちなつちゃんの傍についていてあげなきゃいけないのだろうけど。
またちなつちゃんが結衣ちゃんのことばかりで笑顔を見せるのだと思うと、
今日だけは、傍にいてあげたいとは思えなくて。
ちなつ「な、なんでよ!?」
あかり「あかりもちょっと熱っぽいっていうか……」
えへへ、と笑ってみせる。
ちなつちゃんが私の額に触れて、「ほんとだ」と呟いて。
ああ、あかり、今日は嘘吐きっぱなし。
熱っぽいというのも、本当はちなつちゃんに触れられたからなのに。
ちなつ「一人で帰れる?私、あかりちゃん送って……」
あかり「いいよぉ、ちなつちゃんは結衣ちゃんのお見舞いでしょ」
ちなつ「う、うん……」
そっと、ちなつちゃんの手がおろされる。
私はほっとしながら、「ごめんね」
ちなつ「ううん!あ、あかりちゃんは気をつけて帰ってね!」
あかり「うん、気をつけるね」
にこにこと笑って、私はちなつちゃんに手を振った。
ちなつちゃんは心配そうな顔をしたまま私に手を振り替えしてきて。
けどきっと、私を心配しているのではなくって結衣ちゃんとのことを心配しているのだ。
そんなふうに思ってしまうのだから、あかり、本当に熱でもあるのかなぁ。
熱っぽいというのも、本当はちなつちゃんに触れられたからなのに。
ちなつ「一人で帰れる?私、あかりちゃん送って……」
あかり「いいよぉ、ちなつちゃんは結衣ちゃんのお見舞いでしょ」
ちなつ「う、うん……」
そっと、ちなつちゃんの手がおろされる。
私はほっとしながら、「ごめんね」
ちなつ「ううん!あ、あかりちゃんは気をつけて帰ってね!」
あかり「うん、気をつけるね」
にこにこと笑って、私はちなつちゃんに手を振った。
ちなつちゃんは心配そうな顔をしたまま私に手を振り替えしてきて。
けどきっと、私を心配しているのではなくって結衣ちゃんとのことを心配しているのだ。
そんなふうに思ってしまうのだから、あかり、本当に熱でもあるのかなぁ。
あかり「……」
ふと、立ち止まった。
熱があるついでに、いっそ。
あかり「ちなつちゃん!」
まだドアの前で迷っているらしかったちなつちゃんが、私のほうに顔を向けた。
私は、そんなちなつちゃんに言った。
これも全部、熱のせいにしてしまえばいい。
あかり「クリスマスの日、空けとくよ。もし結衣ちゃんと仲直りできなかったら
あかりと過ごすことになっちゃうよぉ!」
返事は、聞かずに私は走り出す。
ちなつちゃんがなにか、私の背中に言葉を投げ掛けたのはわかったけれど。
ふと、立ち止まった。
熱があるついでに、いっそ。
あかり「ちなつちゃん!」
まだドアの前で迷っているらしかったちなつちゃんが、私のほうに顔を向けた。
私は、そんなちなつちゃんに言った。
これも全部、熱のせいにしてしまえばいい。
あかり「クリスマスの日、空けとくよ。もし結衣ちゃんと仲直りできなかったら
あかりと過ごすことになっちゃうよぉ!」
返事は、聞かずに私は走り出す。
ちなつちゃんがなにか、私の背中に言葉を投げ掛けたのはわかったけれど。
◆
あかり「……」
家に着いた私は、お姉ちゃんが出かけているのをいいことに「ただいま」と一言、
言うだけ言って部屋に入りベッドに倒れこんだ。
言葉ってすごいなぁ、なんて思う。
熱っぽいって言ったら本当にこんなにも身体が重くなっちゃうんだから。
もう外は薄っすら暗くなっていて、それと同じように部屋の中もぼんやりとしていた。
電気は点けずに、携帯を確認する。
なんだかこんなふうにしていると、ますます大人になったみたい。
そんなふうに思ってみて、苦笑を漏らす。
あかり「……」
家に着いた私は、お姉ちゃんが出かけているのをいいことに「ただいま」と一言、
言うだけ言って部屋に入りベッドに倒れこんだ。
言葉ってすごいなぁ、なんて思う。
熱っぽいって言ったら本当にこんなにも身体が重くなっちゃうんだから。
もう外は薄っすら暗くなっていて、それと同じように部屋の中もぼんやりとしていた。
電気は点けずに、携帯を確認する。
なんだかこんなふうにしていると、ますます大人になったみたい。
そんなふうに思ってみて、苦笑を漏らす。
そういえばこの前、お姉ちゃんが「あかりがだんだん大人になってくみたいでちょっと怖いなあ」と
言っていたことを思い出した。
あかりだって、いつまでも子供じゃないもん。
そのときはそう言って膨れてみせた私だけど。
本当のことをいえば大人になるのがどういうことか、よくわからないし、あかりがもし
このまま大人になってしまったら、嘘吐きのひどい人間になってしまいそうな気がした。
あかり「……仲直り、できてるかな」
ぽそりと呟いた。
ちなつちゃん、仲直りできてるかな、結衣ちゃんと。
きっと、大丈夫だろうけど。
もし、「クリスマスの日、空けとくよ」という言葉がちなつちゃんに届いていたとしても、
私がちなつちゃんと一緒にいられるはずなんてない。
変な意地なんて、張らなきゃ良かったな。
言っていたことを思い出した。
あかりだって、いつまでも子供じゃないもん。
そのときはそう言って膨れてみせた私だけど。
本当のことをいえば大人になるのがどういうことか、よくわからないし、あかりがもし
このまま大人になってしまったら、嘘吐きのひどい人間になってしまいそうな気がした。
あかり「……仲直り、できてるかな」
ぽそりと呟いた。
ちなつちゃん、仲直りできてるかな、結衣ちゃんと。
きっと、大丈夫だろうけど。
もし、「クリスマスの日、空けとくよ」という言葉がちなつちゃんに届いていたとしても、
私がちなつちゃんと一緒にいられるはずなんてない。
変な意地なんて、張らなきゃ良かったな。
そんな取り止めもないことを、ぐだぐだと頭の中で繰り返す。
うとうととしはじめて、私は目を閉じた。
とりあえず制服だけでも、着替えなきゃ――
そんなことを思っても、身体はもう動いてくれない。
私の意志に反するかのように、眠りの海へ沈んでいく。
あかり「……」
ちなつちゃんの手が、ふと欲しくなった。
帰り際、ふと私の額におかれたちなつちゃんの手が、すごくすごく恋しくて。
それくらい私の身体は熱を発していた。
うとうととしはじめて、私は目を閉じた。
とりあえず制服だけでも、着替えなきゃ――
そんなことを思っても、身体はもう動いてくれない。
私の意志に反するかのように、眠りの海へ沈んでいく。
あかり「……」
ちなつちゃんの手が、ふと欲しくなった。
帰り際、ふと私の額におかれたちなつちゃんの手が、すごくすごく恋しくて。
それくらい私の身体は熱を発していた。
――――― ――
あかり、と名前を呼ばれて目を覚ました。
ぼんやりした視界に、お姉ちゃんの心配そうな顔が映る。
あかね「着替えずに寝ちゃったらだめよー」
あかり「……うん」
ごしごしと目をこすり、身体を起こす。
さっきよりもだいぶ、身体のだるさはマシになっていた。
ただ、外はもうすっかり真っ暗で、電気を点けていないあかりの部屋は開けっ放しに
されたドアから入る廊下の光だけが頼りだった。
あかね「熱でもあるの?」
あかり「……うん」
額に当てられたお姉ちゃんの手は冷たかったのに、どうしても気持ちよく感じられなかった。
私はいやいやするように頭を振ると、お姉ちゃんの手から逃れた。
あかり、と名前を呼ばれて目を覚ました。
ぼんやりした視界に、お姉ちゃんの心配そうな顔が映る。
あかね「着替えずに寝ちゃったらだめよー」
あかり「……うん」
ごしごしと目をこすり、身体を起こす。
さっきよりもだいぶ、身体のだるさはマシになっていた。
ただ、外はもうすっかり真っ暗で、電気を点けていないあかりの部屋は開けっ放しに
されたドアから入る廊下の光だけが頼りだった。
あかね「熱でもあるの?」
あかり「……うん」
額に当てられたお姉ちゃんの手は冷たかったのに、どうしても気持ちよく感じられなかった。
私はいやいやするように頭を振ると、お姉ちゃんの手から逃れた。
あかね「……もうご飯の時間だけど、どうする?」
あかり「……ごめんね、今は食べたくない」
あかね「なら、お母さんに言ってあかりの分置いといてもらうわね」
あかり「……うん」
おやすみ。
お姉ちゃんがふふっと笑って立ち上がる。
私も「おやすみ」と小さく返して。
あのね、お姉ちゃん。
呼び止めてみた。
「どうしたの?」とお姉ちゃんが振り向く。
あかり「……ごめんね、今は食べたくない」
あかね「なら、お母さんに言ってあかりの分置いといてもらうわね」
あかり「……うん」
おやすみ。
お姉ちゃんがふふっと笑って立ち上がる。
私も「おやすみ」と小さく返して。
あのね、お姉ちゃん。
呼び止めてみた。
「どうしたの?」とお姉ちゃんが振り向く。
あかり「……あかりね、今日ね、いっぱい嘘、吐いちゃった」
あかね「……そう」
あかり「……自分でも、びっくりするくらい……」
ちなつちゃんのことでいっぱい色々嫌な気持ちにもなって、嫌な気持ちにさせるようなことも
しちゃって、こんなはずじゃなかったのに。
大人になれれば、嘘なんて吐かずにいられるのかなぁ。
こんな気持ちに、ならずにいられるのかなぁ。
ぐっと布団の裾を握り締めた私に、お姉ちゃんは。
昔みたいに「ふふっ」と笑ってぎゅっとしてくれた。
あかり「お、お姉ちゃん?」
あかね「嘘吐くことはね、自分を守るために必要なことなんだから、しかたないの。
本当に大切なとき、ちゃんと正直にいられればいいんだから、あかりは大丈夫」
あかね「……そう」
あかり「……自分でも、びっくりするくらい……」
ちなつちゃんのことでいっぱい色々嫌な気持ちにもなって、嫌な気持ちにさせるようなことも
しちゃって、こんなはずじゃなかったのに。
大人になれれば、嘘なんて吐かずにいられるのかなぁ。
こんな気持ちに、ならずにいられるのかなぁ。
ぐっと布団の裾を握り締めた私に、お姉ちゃんは。
昔みたいに「ふふっ」と笑ってぎゅっとしてくれた。
あかり「お、お姉ちゃん?」
あかね「嘘吐くことはね、自分を守るために必要なことなんだから、しかたないの。
本当に大切なとき、ちゃんと正直にいられればいいんだから、あかりは大丈夫」
>>199
明後日来やがれ
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