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元スレあかり「君と好きな人が百年続きますように」

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―――――
ちなつ「あ、あかりちゃん!」
待ち合わせの場所に着くまでには、お母さんの言う通り雪はすっかり止んでしまっていた。
青空こそまだ見えないものの、もうすぐこの辺りも晴れるだろう。
駅前、ワックのお店前。
しばらく待つ間もなく、私を呼ぶ声が聞こえてばっと声のほうを見た。
あかり「あれ、ちなつちゃん……」
ちなつ「あかりちゃん、早いね……」
―――――
ちなつ「あ、あかりちゃん!」
待ち合わせの場所に着くまでには、お母さんの言う通り雪はすっかり止んでしまっていた。
青空こそまだ見えないものの、もうすぐこの辺りも晴れるだろう。
駅前、ワックのお店前。
しばらく待つ間もなく、私を呼ぶ声が聞こえてばっと声のほうを見た。
あかり「あれ、ちなつちゃん……」
ちなつ「あかりちゃん、早いね……」
息を切らせながら駆け寄ってきたちなつちゃんは、私の傍まで来ると「待った?」と
首を傾げる。
私も「ううん、あかりも今来たとこだよぉ」と答えると、ちなつちゃんは一瞬きょとんと
したあとにぷっと噴出した。
あかり「えっ、ど、どうしたの?」
ちなつ「……だ、だって、こんな会話……」
よくある寒い恋愛ドラマの定番だよね、なんて。
ちなつちゃんはおかしそうに笑いながらそう言うから。
ちなつ「まるでデートみたい」
あかり「……そ、そうだね」
首を傾げる。
私も「ううん、あかりも今来たとこだよぉ」と答えると、ちなつちゃんは一瞬きょとんと
したあとにぷっと噴出した。
あかり「えっ、ど、どうしたの?」
ちなつ「……だ、だって、こんな会話……」
よくある寒い恋愛ドラマの定番だよね、なんて。
ちなつちゃんはおかしそうに笑いながらそう言うから。
ちなつ「まるでデートみたい」
あかり「……そ、そうだね」
ちなつちゃんがなにも意識していないことなんて、ちゃんとわかっている。
私はだから、笑うしかなかった。
ちなつ「あかりちゃん、どこ行きたい?」
いつものように、隣同士に並んで歩き始める。
変わらない距離。
手と手がぶつからない程度の、私たちの間。
あかり「あかりはどこでもいいかなぁ」
ちなつ「だよねー、ちゃんと決めとけばよかったね」
あかり「ほんとだねぇ」
私はだから、笑うしかなかった。
ちなつ「あかりちゃん、どこ行きたい?」
いつものように、隣同士に並んで歩き始める。
変わらない距離。
手と手がぶつからない程度の、私たちの間。
あかり「あかりはどこでもいいかなぁ」
ちなつ「だよねー、ちゃんと決めとけばよかったね」
あかり「ほんとだねぇ」
俯きがちに、ちなつちゃんの横顔を盗み見る。
その楽しそうな顔に、私はほっとした。
本当は、結衣ちゃんといたかったはずなのに。
けれどあかりのそんな考えは、ちなつちゃんの手の冷たさでどこかへと飛ばされて
しまった。
あかり「ち、ちなつちゃん?」
ちなつ「クリスマスなんだし、繋いじゃおう」
その楽しそうな顔に、私はほっとした。
本当は、結衣ちゃんといたかったはずなのに。
けれどあかりのそんな考えは、ちなつちゃんの手の冷たさでどこかへと飛ばされて
しまった。
あかり「ち、ちなつちゃん?」
ちなつ「クリスマスなんだし、繋いじゃおう」
手袋をはめていない手と手はお互い冷たいはずなのに、ちなつちゃんに握られると
まだ少し残っていた二人分の熱で、温かかった。
ふと周囲を見ると手を繋いで歩くたくさんの人たちの姿。
その中にあかりたちも紛れ込めているのだとすれば、ちなつちゃんがそんなつもりは
なかったとしても、嬉しい。
あかり「……えへへ」
ちなつ「どうしたの、あかりちゃん?」
急に笑い出した私に、ちなつちゃんが怪訝そうな目を向ける。
私は「ううん」と首を振って、握る手の力をちょっとだけ強めてみた。
まだ少し残っていた二人分の熱で、温かかった。
ふと周囲を見ると手を繋いで歩くたくさんの人たちの姿。
その中にあかりたちも紛れ込めているのだとすれば、ちなつちゃんがそんなつもりは
なかったとしても、嬉しい。
あかり「……えへへ」
ちなつ「どうしたの、あかりちゃん?」
急に笑い出した私に、ちなつちゃんが怪訝そうな目を向ける。
私は「ううん」と首を振って、握る手の力をちょっとだけ強めてみた。
ちなつちゃんが、すぐ隣にいる。
たぶん、今までよりもずっと近くに、ちなつちゃんがいる。
ドキドキと高鳴る心臓の音が届きそうなくらい近くに。
ひどいよね、あかり。
結衣ちゃんとちなつちゃんのこと、応援しなきゃいけないのに。
あかりは今、すごく幸せだって、思っちゃうの。
たぶん、今までよりもずっと近くに、ちなつちゃんがいる。
ドキドキと高鳴る心臓の音が届きそうなくらい近くに。
ひどいよね、あかり。
結衣ちゃんとちなつちゃんのこと、応援しなきゃいけないのに。
あかりは今、すごく幸せだって、思っちゃうの。
ちなつ「あ、晴れてきた」
ふと立ち止まったちなつちゃんが、言った。
地面を薄っすら覆っていた雪も、じきに溶けてしまうだろう。
幸せな気持ちも全部溶けてしまったら、いっそどれだけ楽だろう。
ちなつ「よしっ、ならあかりちゃん!」
あかり「へ?」
ちなつ「どうせお金もないんだし、適当に駅前のお店まわるだけまわろうよ!」
いつもと変わらないけどね。
ちなつちゃんはそう言って笑った。
ちなつちゃんにとっては、いつもと変わらない。それで、良かった。
だけど、クリスマスの今日だけでも、ちなつちゃんにとっても特別な日であってほしいと、
そう思ってしまう私がいることもわかっていた。
ふと立ち止まったちなつちゃんが、言った。
地面を薄っすら覆っていた雪も、じきに溶けてしまうだろう。
幸せな気持ちも全部溶けてしまったら、いっそどれだけ楽だろう。
ちなつ「よしっ、ならあかりちゃん!」
あかり「へ?」
ちなつ「どうせお金もないんだし、適当に駅前のお店まわるだけまわろうよ!」
いつもと変わらないけどね。
ちなつちゃんはそう言って笑った。
ちなつちゃんにとっては、いつもと変わらない。それで、良かった。
だけど、クリスマスの今日だけでも、ちなつちゃんにとっても特別な日であってほしいと、
そう思ってしまう私がいることもわかっていた。
私から、私へのクリスマスプレゼント。
今だけでも、ちなつちゃんへの気持ちを、ちなつちゃんの隣で噛締めていたい。
なんて。
諦めきれなくなっちゃいそうだよ、ちなつちゃん。
今だけでも、ちなつちゃんへの気持ちを、ちなつちゃんの隣で噛締めていたい。
なんて。
諦めきれなくなっちゃいそうだよ、ちなつちゃん。
◆
ちなつ「あ、ごめんちょっとトイレ行って来る」
あかり「うん、いってらっしゃい」
お昼も過ぎて、歩きつかれた私たちは駅前のワックに戻って腰を落ち着けていた。
普段は人の少ない時間帯のはずなのに、クリスマスのせいか人がたくさんいて、店内は
暖房のせいもあり少しむっとしていた。
あかり「……」
私はちなつちゃんの背中が見えなくなると、ポケットから携帯を取り出した。
京子ちゃんから一件だけ、メールが来ていた。
『件名:クリスマスパーティー!
本文:いま結衣の家いるんだけどあかりも来れたら来いよー!』
ぱたん、とメールごと携帯を閉じた。
京子ちゃん、結衣ちゃん家で暇だって騒いでるのかなぁ、なんてぼんやり考えた。
きっと同じようなメールがちなつちゃんにも届いてるはずだ。
ちなつ「あ、ごめんちょっとトイレ行って来る」
あかり「うん、いってらっしゃい」
お昼も過ぎて、歩きつかれた私たちは駅前のワックに戻って腰を落ち着けていた。
普段は人の少ない時間帯のはずなのに、クリスマスのせいか人がたくさんいて、店内は
暖房のせいもあり少しむっとしていた。
あかり「……」
私はちなつちゃんの背中が見えなくなると、ポケットから携帯を取り出した。
京子ちゃんから一件だけ、メールが来ていた。
『件名:クリスマスパーティー!
本文:いま結衣の家いるんだけどあかりも来れたら来いよー!』
ぱたん、とメールごと携帯を閉じた。
京子ちゃん、結衣ちゃん家で暇だって騒いでるのかなぁ、なんてぼんやり考えた。
きっと同じようなメールがちなつちゃんにも届いてるはずだ。
ちなつちゃんのことが好きだった。
たぶんもう、どうしようもないくらい。
それならあかりは、ちなつちゃんがメールを見て「行きたい」と言ってほしい。
結衣ちゃんのとこに行きたいと、ちなつちゃんがそう言えば私は「うん、行こっか」と
言ってちなつちゃんを結衣ちゃんのところにかえせてしまえるはずだ。
なのに、戻ってきたちなつちゃんはなにも言わなかった。
ちなつ「ここ暑いね……外出る?」
あかり「う、うん……」
たぶんもう、どうしようもないくらい。
それならあかりは、ちなつちゃんがメールを見て「行きたい」と言ってほしい。
結衣ちゃんのとこに行きたいと、ちなつちゃんがそう言えば私は「うん、行こっか」と
言ってちなつちゃんを結衣ちゃんのところにかえせてしまえるはずだ。
なのに、戻ってきたちなつちゃんはなにも言わなかった。
ちなつ「ここ暑いね……外出る?」
あかり「う、うん……」
コートとマフラーを着込んで、外に出る。
火照っていた身体から冷たい空気が熱を奪っていってくれるのがわかって、
心地よかった。
あかり「……ちなつちゃん」
ちなつ「うん?」
言いかけて、言葉に詰まった。
行って欲しくない、結衣ちゃんのところに。
今日初めて、はっきりと、私はそんなことを思ってしまって。
あかり「……次、どこ行く?」
だから私は、言えない言葉の代わりに、そう言ってしまう。
ちなつちゃんが「お店見てまわるの飽きちゃったよね」と苦笑した。
火照っていた身体から冷たい空気が熱を奪っていってくれるのがわかって、
心地よかった。
あかり「……ちなつちゃん」
ちなつ「うん?」
言いかけて、言葉に詰まった。
行って欲しくない、結衣ちゃんのところに。
今日初めて、はっきりと、私はそんなことを思ってしまって。
あかり「……次、どこ行く?」
だから私は、言えない言葉の代わりに、そう言ってしまう。
ちなつちゃんが「お店見てまわるの飽きちゃったよね」と苦笑した。
ちなつ「あ、でも」
とりあえずというように歩き出しながら、ちなつちゃんが思い出したように言った。
自然と繋がる手。
私の手を握って、ちなつちゃんが「買いたいものあるかも」と。
あかり「買いたいもの?」
ちなつ「うん、みんなにプレゼント!」
そういえば、あかりもなにも買っていなかった。
小学生の頃はお小遣いなんてなかったし、プレゼントだって贈られる側だったから
考えもつかなかったのだ。
とりあえずというように歩き出しながら、ちなつちゃんが思い出したように言った。
自然と繋がる手。
私の手を握って、ちなつちゃんが「買いたいものあるかも」と。
あかり「買いたいもの?」
ちなつ「うん、みんなにプレゼント!」
そういえば、あかりもなにも買っていなかった。
小学生の頃はお小遣いなんてなかったし、プレゼントだって贈られる側だったから
考えもつかなかったのだ。
ちなつ「せっかくあかりちゃんと遊ぶんだからあかりちゃんにも選ぶの手伝ってもらいたいなって」
付き合ってくれる?とちなつちゃんが言うから、私はこくんと頷いた。
京子ちゃんのメールと、結衣ちゃんのことが頭を過ったけれど。
あかりはひどいね。
自分の決心さえ、曲げそうになってしまっている。
ちなつちゃんと繋いだこの手を離したくなんてない。
あかり「さっき、よさそうなお店あったよね。そこ行こっかぁ」
ちなつ「うん、ありがとあかりちゃん」
お礼なんて、言われることはなにもしていないのに。
「……えへへ、どういたしまして」
嘘を吐いて吐いてついて、私は重くなっていくばかりだ。
付き合ってくれる?とちなつちゃんが言うから、私はこくんと頷いた。
京子ちゃんのメールと、結衣ちゃんのことが頭を過ったけれど。
あかりはひどいね。
自分の決心さえ、曲げそうになってしまっている。
ちなつちゃんと繋いだこの手を離したくなんてない。
あかり「さっき、よさそうなお店あったよね。そこ行こっかぁ」
ちなつ「うん、ありがとあかりちゃん」
お礼なんて、言われることはなにもしていないのに。
「……えへへ、どういたしまして」
嘘を吐いて吐いてついて、私は重くなっていくばかりだ。
―――――
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ちなつ「あかりちゃん、これなんてどうかな!」
あかり「え、どれ……ってちなつちゃん、それはこわいよ!」
ちなつ「京子先輩なら喜びそうだと思ったんだけどなあ」
さっき一度だけ覗いた雑貨屋さん。
落ち着いた雰囲気のお店だなぁという第一印象とは裏腹に、ごちゃごちゃと珍しいものが
たくさん置かれていて楽しかった。
可愛いものや面白いものもいっぱいで、京子ちゃんたちと一緒に来たらもっと楽しいかな、なんて
考えて。
あかり「……」
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ちなつ「あかりちゃん、これなんてどうかな!」
あかり「え、どれ……ってちなつちゃん、それはこわいよ!」
ちなつ「京子先輩なら喜びそうだと思ったんだけどなあ」
さっき一度だけ覗いた雑貨屋さん。
落ち着いた雰囲気のお店だなぁという第一印象とは裏腹に、ごちゃごちゃと珍しいものが
たくさん置かれていて楽しかった。
可愛いものや面白いものもいっぱいで、京子ちゃんたちと一緒に来たらもっと楽しいかな、なんて
考えて。
あかり「……」
ふっと、視線を伏せた。
やわらかな木の床は、少し湿っているように見えた。
あかりは。
ちなつ「あっ」
いつのまにか奥まで行ってしまっていたちなつちゃんの声が聞こえて、はっと顔を上げた。
ちなつちゃんに駆け寄ると、「これ、あかりちゃんに合いそうじゃない?」と私の手に
何かを乗せた。
やわらかな木の床は、少し湿っているように見えた。
あかりは。
ちなつ「あっ」
いつのまにか奥まで行ってしまっていたちなつちゃんの声が聞こえて、はっと顔を上げた。
ちなつちゃんに駆け寄ると、「これ、あかりちゃんに合いそうじゃない?」と私の手に
何かを乗せた。
クマの、付け耳。
あかり「あかり、使わないよぉー……」
ちなつ「あかりちゃんには似合うよ!」
あかり「そ、それってどういう意味かな!?」
クマさんは大好きだけど、クマさんになりたいとは思わないよ。
うぅ、と肩を落としていると、ちなつちゃんが「はいっ」と私の手からクマ耳を
取り上げて頭につけてしまった。
ちなつ「うん、すっごい似合ってるよあかりちゃん!」
そう言って満足そうに笑うちなつちゃんに。
私は少しだけ、泣きそうになってしまった。
あかり「あかり、使わないよぉー……」
ちなつ「あかりちゃんには似合うよ!」
あかり「そ、それってどういう意味かな!?」
クマさんは大好きだけど、クマさんになりたいとは思わないよ。
うぅ、と肩を落としていると、ちなつちゃんが「はいっ」と私の手からクマ耳を
取り上げて頭につけてしまった。
ちなつ「うん、すっごい似合ってるよあかりちゃん!」
そう言って満足そうに笑うちなつちゃんに。
私は少しだけ、泣きそうになってしまった。
ちなつちゃんが「さ、次はー」と私から視線を逸らしてくれてよかった。
クマさんの耳をとる振りをして、ごしごしと目許をこすった。
あかりは、ちなつちゃんに。
ちなつ「うーん……」
次のコーナーに移って悩むように唸っていたちなつちゃんが、ふと私を見た。
「あかりちゃん」と名前を呼ぶ。
結衣ちゃんのプレゼントかな。なんとなく、そう思った。
ちなつ「……なにが、いいかな」
クマさんの耳をとる振りをして、ごしごしと目許をこすった。
あかりは、ちなつちゃんに。
ちなつ「うーん……」
次のコーナーに移って悩むように唸っていたちなつちゃんが、ふと私を見た。
「あかりちゃん」と名前を呼ぶ。
結衣ちゃんのプレゼントかな。なんとなく、そう思った。
ちなつ「……なにが、いいかな」
私が隣に立って商品棚を覗き込むと、ちなつちゃんがぽそりと呟いた。
もうちなつちゃんの視線は私になんてない。
並んでいるのは、マグカップ。
ちなつちゃんが本当に買いたかったのは、きっとこれなのだろう。
結衣ちゃんへの、プレゼント。いつになく真剣な横顔を見て、思う。
あかり「……」
私は、棚の一番奥からモノトーン調のマグカップを引っ張り出した。
「これなんてどうかな」
ちなつちゃんに差し出して。
結衣ちゃん、こんなの好きそうだと思うなぁ。
そんな言葉は、もうあかりには言えなかった。
もうちなつちゃんの視線は私になんてない。
並んでいるのは、マグカップ。
ちなつちゃんが本当に買いたかったのは、きっとこれなのだろう。
結衣ちゃんへの、プレゼント。いつになく真剣な横顔を見て、思う。
あかり「……」
私は、棚の一番奥からモノトーン調のマグカップを引っ張り出した。
「これなんてどうかな」
ちなつちゃんに差し出して。
結衣ちゃん、こんなの好きそうだと思うなぁ。
そんな言葉は、もうあかりには言えなかった。
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「ありがとうございましたー」
温かい店内から一歩外に出ると、ちなつちゃんは「よかったあ」と
白い息を大きく吐いて言った。
ちなつ「私一人じゃ絶対にすぐ決まらなかったよ」
あかり「えへへ……そっかぁ」
ちなつちゃんがほかほかしたように言って、私も笑う。
大事そうに抱えた袋に、ぼんやり思った。
やっぱりちなつちゃんは本当に結衣ちゃんのことが好きなんだなぁ、なんて。
また曇りかけてきた空。
さっきからしきりにちなつちゃんは時間を気にしているようだった。
もうそろそろ、暗くなってしまう。
「ありがとうございましたー」
温かい店内から一歩外に出ると、ちなつちゃんは「よかったあ」と
白い息を大きく吐いて言った。
ちなつ「私一人じゃ絶対にすぐ決まらなかったよ」
あかり「えへへ……そっかぁ」
ちなつちゃんがほかほかしたように言って、私も笑う。
大事そうに抱えた袋に、ぼんやり思った。
やっぱりちなつちゃんは本当に結衣ちゃんのことが好きなんだなぁ、なんて。
また曇りかけてきた空。
さっきからしきりにちなつちゃんは時間を気にしているようだった。
もうそろそろ、暗くなってしまう。
もうすぐで帰らなくちゃいけない時間。それでもまだ、時間はある。
ちなつちゃんだって、京子ちゃんからのメールに気付いていないはずがない。
今買ったプレゼントだって、すぐに結衣ちゃんに渡したいはずだ。
もう、帰ろっか。
私がそう言えば、ちなつちゃんだって結衣ちゃんのところに行ける。
なのに、声が出なかった。
ちなつ「また雪、降ってきそうだね」
うん、と小さく頷いた。
それからふと、ちなつちゃんの手の感触。
気が付くと、私は何かを握らされていた。
ちなつちゃんだって、京子ちゃんからのメールに気付いていないはずがない。
今買ったプレゼントだって、すぐに結衣ちゃんに渡したいはずだ。
もう、帰ろっか。
私がそう言えば、ちなつちゃんだって結衣ちゃんのところに行ける。
なのに、声が出なかった。
ちなつ「また雪、降ってきそうだね」
うん、と小さく頷いた。
それからふと、ちなつちゃんの手の感触。
気が付くと、私は何かを握らされていた。
あかり「……ちなつちゃん?」
ちなつ「あかりちゃんへのプレゼント」
びっくりして、ちなつちゃんを見た。
ちなつちゃんは照れたように笑っていた。
開けた手からことんと出てきたのは、もちろんクマさんの付け耳でもなんでもなかった。
淡い赤色の花を模した髪留め。
「あかりちゃんは使わないかもしれないけど」とちなつちゃんは言って。
ちなつ「その裏に書いてある言葉、気に入っちゃって」
ちなつ「あかりちゃんへのプレゼント」
びっくりして、ちなつちゃんを見た。
ちなつちゃんは照れたように笑っていた。
開けた手からことんと出てきたのは、もちろんクマさんの付け耳でもなんでもなかった。
淡い赤色の花を模した髪留め。
「あかりちゃんは使わないかもしれないけど」とちなつちゃんは言って。
ちなつ「その裏に書いてある言葉、気に入っちゃって」
『ハナミズキ
ありがとうを伝える花』
ちなつ「あかりちゃん、いつも結衣先輩の話、聞いてくれてありがとね」
ありがとうを伝える花』
ちなつ「あかりちゃん、いつも結衣先輩の話、聞いてくれてありがとね」
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