元スレ紅莉栖「メールで告白しちゃう男の人って…」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
251 :
まっちょしぃも助手もいい子や
252 = 104 :
確かに、俺は鈴羽の父親捜索にあたるようになってから、ろくにラボに顔を出していなかった。
なるほど…俺が居ない間、ダルも紅莉栖もまゆりも、ラボに残って電話レンジを修理してくれていたのか。
…不甲斐ないな。 狂気のマッドサイエンティストよ。
岡部「う、うむ……それはすまなかった。 埋め合わせは必ずしよう」
紅莉栖「わ、わかればいい。 それじゃ、これからまたDメールの実験するんでしょ?」
当たり前だ。 やる事は一つ。
岡部「すぐにラボに戻る」
紅莉栖「…じゃあ、行って。 私はこのままホテルに帰る」
岡部「なに? 助手は一緒に来ないのか?」
なぜだ……?
紅莉栖「助手じゃない。 ってか……また助手か」
253 = 104 :
岡部「…ああ、助手は助手だろう。 この俺の助手なのだからな」
紅莉栖「…はあ、やっと名前で呼んでくれるようになったと思ったのに。 期待した私が馬鹿でした」
岡部「……いや、でも俺は、お前が助手で本当によかったと思うよ……」
紅莉栖「……現金すぎるぞ。 自分勝手なやつ」
本当に自分勝手だ。 申し訳ない。
岡部「そうだな」
紅莉栖は、ふい、と振り返るとラボとは反対方向に向かって歩き出す。
俺は、紅莉栖の背中に声をかけた。
岡部「助手よ」
彼女は立ち止まらない。
岡部「ありがとう。 気をつけて帰れよ」
紅莉栖の後ろ姿が、だんだんと小さくなっていった。
255 = 104 :
しばらくしてメールが届く。
frm.助手
Sub.ばか岡部www
『ここまでやってやったんだから、必ず阿万音さんとは上手くいきなさいよw
まあ、ダメだったら私が慰めてやらん事もないが…(笑)
っていうか死ね! 氏ねじゃなくて死ね! 爆発しろリア充!
また明日、ラボで』
岡部「……ううむ」
俺は携帯をしまい、ラボに駆け出した。
ありがとう、紅莉栖。
256 = 104 :
既に暗くなってしまった秋葉原の街を一気に駆け抜ける。
身体の疲れなど、この際無視する。
ラボの前に到着すると、ブラウン氏が店じまいの準備をしていた。
岡部「…ミスターブラウン、今日はもう閉店か?」
天王寺「おう、岡部。 オメェうちのバイトしらねーか? 後で顔出すって言って、まだ来てねぇんだよ」
ブラウン氏は、作業の手を止めて俺に向き直る。
天王寺「……」
急に黙ったかと思うと、あっちこっち見回しながら、コソコソと喋る。
変なクスリなら買わんぞ。 断じて。
天王寺「…なんかあいつ、今頃どっかで泣いてるんじゃねえかって気がしてよ…」
うわ……ブ、ブラウン氏がそんな事を言うと気味が悪いな。
天王寺「また明日になれば店に来るんだろうなぁ? バックレたら承知しねぇぞ…」
岡部「…う、うむ」
258 = 104 :
天王寺「まあ、気がするってだけなんだけどよ、俺の勘はこれで、結構当たっちまうんだよな…」
痛々しいな。 ムキムキのおっさんが勘だとか予感だとか。
そろそろ終わりにして、ブラウン氏がこれ以上、黒歴史を作り上げないようにしてやらなければ。
岡部「す、鈴羽なら俺が今から連れ戻す。 その代わり、ちょっと揺れるが勘弁してくれ」
天王寺「なにぃ? 岡部テメェ、またあのグラグラをやるつもりか」
岡部「…鈴羽を見つけるためだ。 その代わり、家賃増額でも何でもすればいい」
望むところだ。
天王寺「ああん? 話がさっぱり見えねぇな……」
いや……その、勘とやらで察してくれ。
ブラウン氏が黙って、俺の顔を睨む。
259 = 245 :
綯を泣かしたら承知しねぇからな
260 :
寝る前しえん
261 = 104 :
や、やっぱり……こわい…。
思わず目が泳ぐ。
ブラウン氏は、ひとしきり俺の顔を睨むと、軽くため息をついた。
天王寺「…チッ、本当にバイトを連れ戻すためなんだろうな? 嘘だったら、本当に家賃上げっからな」
ブラウン氏…。
天王寺「……しゃあねぇ。 とりあえず、お前に任すわ。 行け、どんだけでもグラグラやりやがれ」
岡部「わかった…約束する!! ありがとう、ミスターブラウン!」
天王寺「お、おう。 …それじゃ、もうちょっと店を開けとくからよ。 言っとくが、ビルは壊すなよ!」
やれだの壊すなだの。 忙しいおっさんだな。
いいおっさんだが。
聞くか聞かないかのところで俺は駆け出し、階段を2段飛ばしで駆け上がる。
262 = 145 :
萎えさんには逆に泣かされましたが
264 = 104 :
岡部「ダル!」
俺は、ラボに飛び込むなり叫んだ。
ダル「おいおい、なにやってんだお。 遅いぞオカリン。 牧瀬氏から話は聞いたん?」
岡部「ああ、待たせたな。 それで…」
ダル「うん、電話レンジ(仮)はいつでも使用可能だお。 あとは、阿万音氏のメールアドレスと送る文章があればおk」
岡部「そうか……ありがとう、ダル」
ダル「よせよ、オカリンに礼を言われるとむず痒いでござる。 礼なら、全部終わった後に、だぜ?」
そう言って照れたダルは、帽子を目深に被ってPCの画面に向き合う。
ダル「……鈴羽を……頼んだぞ」
岡部「…え?」
今のは、明らかにダルとは声色が違う。 壮年の男のような声だった。
ダル「ん? なんか言った?」
……こういう時だけイケメンになりやがって。 今の隠し芸は驚いたぞ。
鈴羽のメールアドレスを、うーぱの付箋に書いて渡すと、ダルはそれをPCから入力する。
265 = 104 :
しばらくして、まゆりもラボに戻ってきた。
ダル「あ、まゆ氏おかえり」
まゆり「トゥットゥルー♪ 紅莉栖ちゃんからメールが来たので戻ってきました。 オカリン、ちゃんと戻ってるねぇ。よかったー」
岡部「すまなかったな、まゆり。 お前にも迷惑をかけた…」
ダル「まゆ氏は、オカリンが血相変えて飛び出してった後、すぐに阿万音氏を探しに行ってくれてたのだぜ」
まゆり…。
岡部「そうだったのか……ありがとう、まゆり」
まゆり「ううん、いいの。 スズさんが居なくなって寂しそうにしてるオカリンなんて、見たくないからねぇ」
どいつもこいつも……。
後で全員50円払えよな。
視界がぼやけそうになるが、グッとこらえる。
266 = 104 :
岡部「よし、文章は打ち終えた…。送り先は、3時間前の鈴羽の携帯だ!」
ダル「え? なんだ、本人あてかよ。 オカリン、チキンすぐる」
まゆり「もーぅ、自分で会いにいきなよー。 オカリンの悪いとこだよー?」
いいんだ。 俺はチキンだから。
―――あとは、これを送るだけだ。
ダル「ま、それじゃ、電話レンジ(仮)起動するお!」
267 = 245 :
肆肆
268 :
スカイクラッドが脳内に流れるお
269 = 104 :
―――なんとしても、鈴羽を取り戻す。
まゆり「オカリン、スズさんによろしくね♪」
―――たとえ、それが自分勝手な事でも関係ない。
電話レンジ(仮)のターンテーブルが逆回転を開始する。
―――その辺にいる神様とやら。聞いているか? 罰を当てたけりゃ、好きなだけ俺に当てろ。 俺には、鈴羽が必要だ。
ダル「綺麗なターンテーブルだろ? 逆回転してんだぜ、これ」
―――だから、罰を当てられようと、何度でもねじ曲げてやる。
すぐさま、放電現象が始まる。
―――お前には負けない。 鈴羽は、どこへも行かせない。
岡部「いくぞ!」
―――鈴羽、待っててくれ。
俺は、送信ボタンを押した。
270 = 104 :
―――また、一緒に星を眺めよう。
―――また、一緒に歩こう。
―――また、一緒に笑おう。
岡部「届けえええええええええ!」
271 = 104 :
視界がグニャリ、と歪む。
ダルやまゆりの姿が見えなくなる。
モノクロの世界。
地面に立っているのか、宙に浮いているのかも解らない、不思議な感覚。
俺の身体は、白黒を漂う。
ふと、足許に地面の感覚が戻ってくる。
身体が、重力に引っ張られる。
白黒だった世界に色が付く。
岡部「…ここは」
ラボだった。 ダルやまゆりは居るが、鈴羽の姿は無い。
岡部「そんな……まさか」
失敗だった……?
俺が何か言ったところで、変わるものじゃなかったっていうのか……?
失敗した。
272 = 245 :
リンリン
273 :
おいついた
274 = 104 :
俺は、床に膝をつく。
岡部「くそぉっ!!」
床を叩く。 ガツッと鈍い音がして、手がビリビリと痺れた。
そうだ……まだ、何か手はないか…? なにか……。
ダル「うわ、びっくりした。オカリンなにやってるん?」
……え?
まゆり「はやくスズさんのところへ行ってあげなよー」
なに? なんだ? この二人の反応は。
―――まさか。
いい意味で、心臓が高鳴る。 俺は慌てて携帯を取り出した。
着信履歴だ、もしかすると、そこにこそ、答えがあるかもしれない。
震える指で、着信ボックスを開く。 …どうか、有ってくれ……頼む……。
岡部「……あ……っ」
俺は、思わず声をあげた。
276 = 104 :
frm.鈴羽
sub.岡部倫太郎へ
『なにこれ、ずるーい!
なんか、未来からメールが届いたんだけど(笑)
あたしもだよ、倫太郎。
ラジ館で待ってる。』
送信時刻は12分前。
しまった、これは大遅刻だ。
……なにやってんだよ、オカリン。
277 = 105 :
しえん
278 = 245 :
何気に登録名が鈴羽なのな
イイジャマイカ
279 = 104 :
俺は、呆気に取られたダルとまゆりを置いて、すぐさまラボを飛び出す。
外に出ると、まだ昼間の蒸し暑さが残っていた。
周囲の店は、殆ど店じまいをしたようで、街の明かりは少ない。
走りながら、ふと、空を見上げる。
夜空には、煌々とした月の輪郭が浮かんでいた。
俺は、ダルから借りて珍しくハマった厨二の塊のようなアニメの中の、一つの詩を思い出す。
『乙女、黒き夜、悲しみを弔い 独り、深き悲しみの帳に沈む。』
―――頬に暖かい風を受けて、俺は秋葉原の街をひた走る。
『されど、寄り添う月は、白銀に満ち、贖いの夜は、静かに去りぬ。』
―――鈴羽。
―――いま、むかえにいくぞ。
ポエリン乙。
おわり。
283 = 245 :
乙乙
284 :
ちょうど昨日pspシュタゲクリアしたとこだったから面白かった!乙!
285 = 104 :
エピローグはこの曲の中に詰まってるので、あえて書きませんでした。
よかったら聞いて下さい。
阿万音鈴羽で「君をつれて」
http://www.youtube.com/watch?v=_OO-BHfMIdk&sns=em
こんな時間なので、音量に気をつけて。
それでは、乙でした。
皆さん、本当にありがとう!!
286 = 268 :
乙
鈴オカは最高だぜ
288 = 273 :
乙
書き手としての印象もよかったし、何より面白かったです。
289 = 105 :
乙
世界一かわいかった
290 :
追いついてないが>>255まで読んだ。
ラボから追い出されたSS以来の名鈴羽ということを把握した。
とりあえず助手とまゆしぃを貶めてたヤツは全力で謝るべき。
291 :
世界一かわいいな
292 :
乙
今だーりんプレイ中だ。鈴羽可愛い
297 = 104 :
>>294
御名答です。
その通り。
ありがとう。
298 :
今読み終えた
乙
みんなの評価 : ★
類似してるかもしれないスレッド
- 紅莉栖「岡部ってもしかしてホモなのかしら」 (242) - [50%] - 2011/7/22 12:30 ★
- 紅莉栖「なかなか岡部と2人きりになれない……」 (194) - [50%] - 2011/8/17 2:00 ★
- 紅莉栖「岡部。熱中症ってゆっくり言ってみて。」 (175) - [48%] - 2011/7/8 23:15 ★
- 紅莉栖「岡部がツンデレ過ぎて生きるのが辛い」 (127) - [47%] - 2011/7/12 5:30 ★
- 春香「765プロが倒産してもう3年かぁ……」 (513) - [47%] - 2011/10/8 11:45 ★★
- ハルヒ「キョンってなんだか大人だな…」 (1001) - [46%] - 2009/2/8 7:32 ★★★×18
- 紅莉栖「ツンツンしすぎて岡部に愛想尽かされた……」 (202) - [46%] - 2012/5/14 9:30 ★
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について