元スレQB「シャワーでも浴びておいで」さやか「な、何…?」
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51 :
なんだか、きゅうべいがすごいかわいいショタに思えてきた
52 = 24 :
猿ったか
54 = 1 :
――――――――――――
――ある日のパトロールの帰り道
マミ「鹿目さん、何か願い事は見つかった?」
まどか「うーん…」
マミ「まぁ、そういうものよね。いざ考えろって言われたら」
まどか「マミさんは、どんな願い事をしたんですか?」
マミ「……」
立ち止まるマミ
まどか「いや、どうしても聞きたいって訳じゃなくて…」
マミ「私の場合は、考えている余裕さえなかったってだけ」
QB(あの時は手っ取り早くて好都合だとしか思わなかった…
結果的にマミは僕に感謝してるけど…。僕は君に謝らないといけない…)
さやか「…ねぇマミさん。願い事って、自分の為の事柄でなきゃ、駄目なのかな」
マミ「え?」
さやか「例えば…例えばの話なんだけどさ…
あたしなんかよりよほど困ってる人がいて、その人の為に願い事をするのは…」
55 = 1 :
まどか「それって上条君のこと?」
さやか「た、例え話だって言ってるじゃんか!」
QB「悪いけど…君には頼んでないよ、美樹さやか」
さやか「な…何よ、どういうことよ、それ」
QB「僕は初めに会った時から『まどかに』魔法少女になって欲しいってお願いしてるんだ
ごめんね、君は魔法少女にしてあげられない」
さやか「ちょっと、なんでよ!」
QB(魂を犠牲にするのはまどかだけでいい…君が生み出せるエネルギーには、
君を不幸にしてまで手に入れるほどの価値なんてないんだよ…)
まどか「そうだよ、キュゥべえ…私だけ願い事を叶えてもらうのは
ちょっとずるいっていうか…さやかちゃんに悪いよ…」
QB「困ったな…」
さやか「ねぇ、どーーしても、あたしは魔法少女になれないの?」
QB「…一応素質はあると思うけど」
さやか「だったらなんでまどかだけなのさ! あたしだって契約してくれたっていいじゃんか!」
56 = 1 :
まどか「さやかちゃん、落ち着いて…」
さやか「え? あ、あはは」
QB「そんなに…危険な戦いに明け暮れる『魔法少女』になりたい?」
さやか「えっ…いや、あたしは魔法少女になるっていうより、何ていうかその、
叶えたい願いがある、っていうか…なんだけど…」
QB「それなら尚更よくないよ。まして、その願いがもし本当に他人の為のものなら」
さやか「…」
まどか「…」
マミ「キュゥべえ? あなた最近変よ」
QB「え?」
マミ「疲れてるの? いつものあなたは、そんなに冷たい言い方をする子じゃないわ」
QB「別に…僕は当たり前のことを言っているだけだよ」
マミ「そう? 私の後輩をあんまり脅かさないでね」
QB「…わかった」
57 = 1 :
――その後、まどかの部屋
まどか「うーん…」
衣装のアイディアを描いたノートを眺めながら
QB「何を考え込んでるんだい?」
まどか「うん…私って昔から得意なこととか、人に自慢できるような才能とか、何もなくて
誰かの役に立ったこともないし…
だから、マミさんみたいにかっこよくて素敵な人になれたら嬉しいなぁって」
QB「…そう」
まどか「でも、マミさんも危ないことだから慎重に考えろって言ってたし
それにキュゥべえも、さやかちゃんにあんな風だったし…
私なんかが魔法少女になっていいのかな…」
QB「…じゃあ、1つヒントをあげる。具体的な助言はルール違反だけど」
まどか「うん」
QB「君は恐ろしいほどの潜在能力を秘めている。君が契約によって生み出す魔力の強大さは
僕にも想像がつかない…
これほどの資質を持つ子には今まで会ったことがないよ」
まどか「何言ってるのよもう…嘘でしょ」
58 = 1 :
QB「いや、本当だよ。君が僕と契約すれば、マミよりずっと強い魔法少女になるだろう」
まどか「なーんかイメージ湧かないなぁ」
QB「…そうだね。僕も常々不思議に思うよ」
まどか「あはは」
QB(契約すれば間違いなく世界最強の魔法少女…そして地球史上最悪の魔女になる
こんな平凡な子がどうして…?)
まどか「そうだ、キュゥべえは願い事とかないの?」
QB「え…?」
まどか「ちょっと、参考程度に…なんとなく聞いてみたいなって」
QB「願い事ねぇ…」
まどか「…」
QB「…うん。僕の願い事は、ちょっと複雑すぎるかな」
まどか「どんな…?」
QB「病気なんだ」
59 = 1 :
まどか「えっ…」
QB「治したい気持ちはあるんだけど、治ると同時に、
僕にとって大きなものを1つ失うことになる。それは死ぬのと同じくらい怖いことで…
だから、言い方を変えると『死にたい。けど死ぬのは嫌』――そういう、願い」
まどか「…ごめんね、変なこと聞いちゃったみたいで」
QB「気にしなくていいよ。僕は願い事を聞かれることなんて普通ないから、
こういう話をするのもたまには面白いじゃないか。ありがとう、まどか」
まどか「…うん。ねぇ、キュゥべえ」
QB「何だい」
まどか「また、今度でもいいかな…決めるの。私、やっぱりまだ
自分でも何をお願いすればいいのかよくわかんなくて…」
QB「…ああ」
まどか「ありがとう。それじゃあ、明日も早いから、もう寝るね」
QB「わかった。おやすみ」
まどか「おやすみ」
眠りに就くまどか
60 = 1 :
QB「…」
QB(やっぱり馬鹿だな、僕って奴は)
まどかの寝顔を見下ろす
QB(結局は自分の傷口を広げることになるだけなのに…
人類が同じ過ちを繰り返す理由だってわかってるくせに…
問題を先延ばしにしても無意味だ。これから海に突き落とす子に
くだらない希望を与えてはいけない。お互い選択の余地だってない
だったらせめて…この子の悲鳴を聞かないように、
断末魔の表情を見ないように、目を閉じたまま手を下そう…)
まどかの寝息が聞こえる
QB(今夜は、眠れない)
63 = 1 :
―――――――――
――翌日、放課後
見滝原の病院の前
まどか「あれ?」
まどかが病院の外壁を見つめる
さやか「ん、どうしたの?」
まどか「あそこ…何か」
QB(…あれは)
QB「グリーフシードだ…孵化しかかってる!」
まどか「嘘、なんでこんな所に!?」
QB「よりによって病院で…! すぐに逃げないと2人とも結界に飲み込まれる!」
さやか「またあの迷路が…?」
QB「結界を見たことがあるのかい…?」
さやか「あ、うん。キュゥべえが気絶してる時に迷い込んじゃったんだ」
QB(あの場所に魔女がいたんだ…それでマミが近くに来ていたのか)
64 = 1 :
さやか「まどか、マミさんの携帯聞いてる?」
まどか「ううん…」
さやか「まずったな…。まどか、先行ってマミさんを呼んで来て
あたしはこいつを見張ってる」
まどか「そんな!」
QB「無茶だよ! 君1人で残るなんて、眠っているライオンの檻に入っていくようなものだ!」
さやか「あの迷路が出来上がったら、こいつの居所もわからなくなっちゃうんでしょ?
放っておけないよ、こんな場所で!」
QB(…マミが間に合わなかった時のことを考えたら
中に行かせるのはまどかの方がいい…
いや、でもいざとなった時にまどかが魔女に怯えて契約できず
そのまま殺されてしまったりしたら、それこそ最悪中の最悪だ…!)
QB「まどか、先に行ってくれ。さやかには僕がついてる
マミならここまで来れば、テレパシーで僕の位置がわかる
ここでさやかと一緒にグリーフシードを見張っていれば
最短距離で結界を抜けられるようにマミを誘導できるから」
さやか「ありがとう…キュゥべえ」
まどか「私、すぐにマミさんを連れて来るから!」
まどかは鞄を置いて走り出した
65 = 1 :
結界が出来上がる
――魔女結界内部
QB「…怖いかい、さやか」
さやか「そりゃまぁ、当然でしょ…」
QB「ごめんね。偉そうなこと言っといて、実際に魔女と戦えるような力もなくて」
さやか「いいのいいの、そんなこと。むしろ、もしマミさんが間に合わなかったら
あたしは戦うつもりだよ」
QB「…」
さやか「昨日あんたに説教されて、あれからじっくり考えたんだ
たった一度の願い事を、自分以外の人の為に使っちゃっていいのかどうか」
QB「好きな人かい…?」
さやか「いや…別に、好きだからとか、そういうつもりじゃなくて」
QB「仮にその人の為に願い事を叶えて魔法少女になったとしても
君の恋が実るとは限らない
後になって『やっぱりやめたい』って言っても、もう元には戻れないんだよ」
66 = 1 :
さやか「…平気だよ。あたし、決めたんだから…
『絶対に後悔しない』って。だから、例えどんなことがあったって――」
QB「『後悔しない』と決めた、だから『後悔せずに済む』――その根拠は何だい?」
さやか「…! それは…それは、あたしが決めたことだから」
QB(諦めるつもりは少しもないみたいだね…
まだわからないけど、さやかはこう見えて意外と繊細な気がする…
今はこんなに明るくて元気だけど、魔法少女になったら
自分の苦しみを自分の中で消化できずに、すぐに魔女になってしまうだろう
『魔女』…そうだ。今のうちに本当のことを教えれば引き下がるかもしれない)
QB「実はね、さやか。魔法少女は――(待て…僕は何を考えているんだ!?)」
さやか「え?」
QB(駄目だ、さやかがまどかに黙っててくれるとは思えない
今まどかに知られたら、計画そのものが台無しだ)
さやか「キュゥべえ、今何て言おうとしたの?」
QB「魔法少女は…大変だよ」
さやか「そんなのわかってる…あたしだって半端な気持ちでここにいないから」
67 = 1 :
QB「さやか、魔女との戦いは文字通り命懸けだ
いつも死と隣り合わせで、怪我もいっぱいするだろうし…
それでいて、学校のみんなや家族に理解してもらうのはものすごく難しい」
さやか「…」
QB「だから、君が魔法少女になるのは、どうしようもなくなった時の、最後の手段だ」
さやか「それでも――」
QB「…」
さやか「マミさんだって、毎日戦ってるじゃん。あんなにかっこよく、魔女をやっつけてるじゃん…」
声が震え出す
QB「マミは元々素質があったし、それにベテランなんだよ
誰でもすぐにあんな風になれると思ったら大間違いだ」
さやか「じゃあ、まどかは!?」
目に涙が滲んでいる
QB「…」
さやか「あんたはまどかに契約させようとしてるじゃん…
あたしのことまるで眼中にないみたいにさ!
あたしとまどかの一体何がそんなに違うって言うのよ!」
68 = 1 :
QB「さやか…誤解しないで欲しいんだ」
さやか「…」
言いたいことを我慢するさやか
QB「原因はわからないけど、まどかには特殊な才能がある
急に言われてもピンと来ないかもしれないけど、
あれほどの素質を持ってる子はどこを探しても他にいないんだよ
まどかが魔法少女になったら、あのマミだって到底足元にも及ばないほどだ」
さやか「まどかが…?」
QB「そうだよ」
さやか「…結局、あんたは人の夢を叶える為に来た訳じゃないんだね」
QB「うん…ごめんね」
さやか「…」
QB(契約によって叶えられる夢や希望は、君達が支払う代償と釣り合わない…
もう、泣かないで。悲しませたくてこんなことをやってるんじゃないんだ…)
さやか「…わかった。ごめん、キュゥべえ。あたしが馬鹿だったね
頼まれてもいないのに、1人で勝手に悩んで、勝手に決めてさ…」
涙を袖で拭きながら
69 = 1 :
QB「そ、そんな、とんでもない…君が安易な気持ちで
魔法少女になろうとした訳じゃないことぐらい、わかってるつもりだ…
それに、動機は他にあるとはいえ、戦う決意をしてくれたこと、
僕は嬉しかったし、大いに敬意を表する…」
さやか「でも――」
QB「…何だい」
さやか「いざという時は、契約させて。あたし自身の身を守る為にも」
QB「…ああ。わかってる」
しばらく後――
グリーフシードが動き出す
QB「まずい、孵化が始まる」
さやか「う、うわあ…」
QB「大丈夫、マミはすぐそこまで来てる。今テレパシーで呼ぶから!」
70 = 1 :
QB(マミ、グリーフシードが動き始めた。孵化が始まる。急いで!)
マミ(オーケー、わかったわ。今日という今日は速攻で片付けるわよ)
QB(どうしたんだろう…なんだかやけに嬉しそうだ)
ズドンズドン
そう遠くない位置から激しい銃声が届く
扉を破って、マミとまどかが駆けつけた
マミ「お待たせ」
さやか「ふぅ、間に合った…」
QB「気をつけて。出て来るよ」
お菓子の箱から魔女が現れた
マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせてもらうわよ!」
ズドドドドドド
マミの容赦ない連射に魔女が見る見る弱っていく
さやか「やった!」
71 = 1 :
マミが魔法の糸で魔女を捕縛した
大砲を召還
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ドン
QB(さすがだ…)
砲弾は魔女に命中した
しかし魔女は滅びず、その体内から肥大化した本体が現れた
マミ「あ…」
大きな魔女がマミの頭に食らいつく
QB(何だって…!)
まどか「…!」
さやか「…!」
ガブ…
マミの変身が解けた
QB「マ…マミ!!」
72 = 1 :
マミの死体を貪り食う魔女
QB「嘘だ…マミが食べられた…! 嘘だ…!!」
まどか「…!!」
さやか「マ、マミさん…!」
魔女が顔を上げる
QB(まずい、2人が怯えてる…今すぐどっちかだけでも契約しないと
まどかが殺される…! まどかだけはまずい!)
QB「ど、どっちでも構わない。契約だ…今すぐ僕と契約を!」
まどか達は声を失っている
QB「しっかりして! 今あいつを倒せるのは君達しかいないんだよ! 早く!」
さやか「…わかった…マミさんの仇は、あたしが取る…!」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「よ…くも、マミさんを!!」
QB「ありがとう…さあ、願い事を…!」
73 = 1 :
ほむら「その必要はないわ」
ほむらが駆けつける
QB「!!」
ほむら「こいつを仕留めるのは、私」
QB(暁美ほむら…! マミが殺されるのを近くで待っていたのか…!)
ほむらは魔女の攻撃をことごとくかわすと、
口に大量の爆弾を放り込んだ
魔女は内部から破壊されて消滅した
胃の中のマミが灰になって落ちる
ほむら「…命拾いしたわね、あなた達」
まどかさやか「…!」
ほむら「目に焼き付けておきなさい。魔法少女になるって、そういうことよ」
結界が消えた
QB(マミ…)
泣いているまどか達を尻目に、ほむらがグリーフシードを拾い上げる
さやか「…返してよ」
75 = 1 :
ほむら「…?」
さやか「返せよ。それは…それは、マミさんのものだ!」
QB「マミ…」グスン
ほむら(泣いている…?)
ほむら「…」
QB「うっ…うっ…マミが…マミが死んだ…!」
さやか「返せって言ってるだろ! 返せよ、マミさんに!」
ほむら(インキュベーターが『泣く』なんて…)
さやか「返せったら!!」
ようやくさやかを見るほむら
ほむら「…そうよ。これは魔法少女の為のもの。あなた達には、触る資格などない」
さやか「くっ…」
QB(マミ…君なら勝てるはずの相手だったじゃないか
どうして死んだんだ…どうして今日に限って油断していたんだ…
ああ、こんなことになるなら、あの時さやかを魔法少女にすればよかった…!
僕のせいだ…僕がマミを死なせてしまったんだ…!)
76 = 1 :
ほむら(どうなっているの…? 私がこの時間軸に来てからたったこれだけの期間で
インキュベーターがあんな演技を覚えたとでもいうの…?)
去っていくほむら
QB(僕らはマミを見殺しにした暁美ほむらに助けられて、亡骸に寄り添うことさえできない…)
さやか「うっ…うっ…マミさん…」
まどか「…」
QB(……。そうだ…一度魔法少女になったら、後は『死ぬ』か『魔女』か、だ…
忘れるな、これは当然の結果なんだ…。立ち上がらないと…
僕が次にやるべきことは、マミの後任を探すことだ…
まずは近くの魔法少女を召還しよう…それがいい)
QB「さやか…マミのことは、残念だった
でも、これでわかったろう…戦死って、惨いものなんだ」
さやか「…うっ…うっ」
さやかは頭を抱えるように泣きじゃくっている
QB(もう見たくないよ…こんなの…!
幸せが待ってると信じて、嬉しそうに笑いながら夢を叶えて…
でもその先にあるのはいつもこんな悲惨な結果だ…残酷すぎる)
まどかが放心状態で泣き続けている
77 = 10 :
ほむほむ
78 :
ほむ……?
79 = 61 :
まどまど...
80 = 1 :
――――――――――
――数日後、さやかの部屋
さやか「…何しに来たの」
QB「マミのこと以外で何か悩んでるようだったから、気になってね」
さやか「…はぁ」
QB「…君が上条恭介と会ってる所、見てたんだ」
さやか「覗きか…」
QB「いや…」
さやか「はぁ…まー見られて減るもんでもないけどさー…」
QB「君が前に言ってた願いって、やっぱり恭介のことかい?」
さやか「…うん。まぁねー…」
QB「彼のことは、気の毒に思う……」
さやか「…どうして、恭介なんだろう」
QB「仕方ないよ。悔しいけど、世の中は理不尽なことだらけだ」
さやか「…どうして…マミさんだったんだろう」
81 = 1 :
QB「…」
さやか「あたしさ、あの時のこと、今でも忘れられないんだよね」
なじるような目でキュゥべえを見るさやか
QB「あれは…確かに僕の責任だ。結界に入った時点で、いや…君の決意を知った時点で
君の願いを聞いていれば、マミを死なせずに済んだかもしれない…」
さやか「…」
QB(お願いだ、そんな目で見ないでくれ…君を危険にさらしたくなかっただけなんだ
あのマミがやられるなんて思わなかったんだ。マミに任せればいいと思ったんだ…)
さやか「…ごめん。あんたに当たるつもりはなかったのに」
QB「ううん。悪いのは僕だから…」
さやか「恭介のこと、怒らせちゃったんだ…少しでも励ましたくて、
恭介に元気になってほしくて、いつも帰りにCD屋寄って…」
QB「うん…」
さやか「…迷惑だって言われちゃった。馬鹿だよね、あたしって…
いっつも人の気持ちも知らないで、出しゃばって、困らせて…」
QB「さやかは、人に優しすぎる…」
82 = 1 :
さやか「…そんなんじゃないよ。あたし本当は自分のことしか考えてない
誰かに褒められたかったり、ただかっこつけたいだけだったり…
相手の為だと思って頑張っても、やっぱどっかで見返りを求めてる…
あたしって、嫌な子だ…」
QB「…さやか」
さやか「…?」
QB「誰かが辛い思いをしてるからって、君が楽しく生きることに負い目を感じる必要はないんだよ」
さやか「…何よ、それ」
QB「誰だって幸せになりたいものじゃないかな…その為に誰かを守ろうとしたり、
励まそうとするのは、ずるいことでも何でもないと思う…」
さやか「…」
QB(…僕は最低だ。これからさやかの親友であるまどかを魔女にしようとしてるくせに
宇宙の為とはいえ、沢山の少女を騙して、絶望の底に投げ落として来たくせに…)
さやか「あのさ。もう1回だけ、確認していいかな…」
涙声で
QB「いいよ…」
さやか「自分が幸せになる為に頑張ることって、間違ってないんだよね…?」
83 = 1 :
QB「…ああ。きっと」
さやか「あたし…魔法少女になるよ」
QB「!」
さやか「恭介の手を治すことにあたしの願いを使う…
それから、マミさんの代わりに戦って、みんなを守る…!」
QB「さやか、それは…」
さやか「あんた今言ったよね、キュゥべえ…? それでいいって…」
QB「魔法少女になったら、君はきっと不幸になってしまう」
さやか「黙って見てるほうがよっぽど不幸だよ! マミさんが殺されて、恭介が荒んでいって…
今、誰も魔女を倒さなかったら、今度殺されるのはまどかや仁美かもしれない…!
恭介の手が治らなかったら、あたしはあいつのバイオリンを一生聴けない!
そんなの…絶対やだ」
QB「…その決断が、誰かを傷つけることになってもいいの?」
さやか「誰も傷つけないよ…絶対に。あたしは誰のことも死なせない
友達も家族も、誰一人悲しませたりなんかしない」
QB(君は幼すぎる…。マミがどんなに無理していたかわからないのかい?
まして、君は多分マミ以上に苦しむことになる…それでソウルジェムはすぐに濁って…)
84 = 1 :
さやか「……」
QB(…言えない)
QB「…わかったよ。君の言葉を信じる…」
さやか「じゃあ…いいの?」
QB「…」コクリ
泣きながら笑うさやか
QB(この顔だ…見てられないんだ。あまりにも無邪気で、無知で…)
キュゥべえは目を閉じた
QB「さあ…願い事を言ってごらん」
さやか「あたしは…、動かなくなった恭介の手を、元通りに治したい…
今までみたいに、立派にバイオリンを弾きこなす恭介に戻って欲しい!」
QB「…わかった。君の祈りは遂げられる…
見て。ソウルジェムが生まれるよ。しっかり手に取って
それが君の運命だ。君の祈りの結晶。魔法少女の証だ」
さやかはソウルジェムを両手で包んだ
85 = 1 :
QB(どうして僕は、自分の首を絞めてばかりいるんだろう
さやかと契約なんてしたら、回収効率そのものだって悪くなるに違いないのに…
いや、むしろ好機と取るべきなんだろうか?
まどかは壊れていくさやかを救う為に進んで契約しに来るかもしれない――)
さやかが倒れ込む
QB(何にしても急いだほうがいい…1ヶ月? いや、念の為2週間としよう
2週間でまどかと契約するんだ。さやかが魔女になってからでは、
まどかは魔法少女になることを本格的に拒否し出すだろう…
これは僕の責任だ。苦しまなきゃ…苦労して、目的を果たさなきゃ…!
その為には、さやかを死なせてはいけない。絶対に――!)
QB「さやか…早速だけど、僕からでよければ戦い方を簡単に教える…
動けるようになったら、ついておいで」
86 = 78 :
本編とはちょっと違いつつもやはり嫌な予感しかしない流れ
87 = 10 :
さやさや……
88 :
きゅっぷい
89 = 1 :
―――――――――――
夜道を歩いていくさやか達
QB(厄介なことになったな…まどかの件も悠長にはやってられないけど、
当分はさやかから目を離すほうが危険だ)
さやか「ねぇキュゥべえ。キュゥべえは、マミさんや他の魔法少女にも
こういうことやってたの?」
QB「何のことだい?」
さやか「ほら、戦い方を教えるとかって…新人教育みたいな」
QB「…君が初めてだよ」
さやか「じゃあ、どうしてあたしだけ急に?」
QB「特殊な状況なんだ。詳しいことは言えないけど、君に死なれたらすごく困るんだよ」
さやか「え…」
QB「僕自身には戦う力はないけど、何としても君を守らないと…」
さやか「ちょ、まさかあんた、あたしのことが…!」
QB「…君は犬や猫に本気で恋をしたことがあるのかい?」
さやか「じょ、冗談だってば! やだなーもう」
90 = 1 :
QB「あはは」
さやか「…キュゥべえが普通に笑ってるとこ、なんか久しぶりに見た気がするなー」
QB「…? まだ出会ってからそんなに経ってないじゃないか」
さやか「いや、何ていうか…あんたっていつも何か考えてるみたいで
笑うのも無理に笑ってるっていうか、そういう感じじゃん?」
QB「そんなことはないよ」
さやか「うっそだー。何か隠してるんでしょ。悩み事かー?」
QB(自分は隠し事が下手なのに、こういう所は鋭いんだなぁ…)
QB「悩みの1つや2つ、誰にでもあるじゃないか。さやかだってそうだろう?」
さやか「まぁねー。でも、1人で抱え込むといいことないぞ
困ったことがあるなら、言ってくれればこのさやかちゃんが一肌脱いじゃうからね!」
QB「呆れて物が言えないよ、全く…まずは君自身の問題を解決したらどうだい」
さやか「大丈夫だって。きっと全部上手く行くって、あたし信じてるから
1つはあんたのおかげだけどさ」
QB「…僕に感謝しているのなら、それだけはやめてほしいな」
91 = 1 :
さやか「え? どうしてよ?」
QB「君を魔法少女にしたからだ。何度も言うように、これは恨まれても仕方のないことだ…」
さやか「またそんなこと言ってる。その性格どうにかならないもんかねぇ
そんなんじゃ女の子にモテないぞ」
QB「はいはい」
さやか「そういえばさ、キュゥべえ。あんたには願い事とかあるの?」
QB「…無いことはないね」
さやか「へぇ。それは是非とも聞いてみたいものですなぁ」
QB「まどかにも同じことを聞かれたよ。なぜそんなに気になるんだい?」
さやか「キュゥべえは他人の願いを叶えて回ってる訳でしょ?
それで、あんた自身はどうなのかなーって…いつも悩んでばっかだし」
QB「何ていうのかな…」
さやか「やっぱり、好きな人のこととか?」
QB「はぁ。君と一緒にしないでくれよ」
さやか「あはは、その言い方はひどいなー」
93 = 10 :
さやさやかっこいい
94 :
つーか、ネタもなしエロもなしとかVIPじゃなくて他でやれよ
96 = 1 :
QB「ごめんごめん。…そうだね、好きというのとは違うけど
ずっと頭の片隅に残ってて、僕を悩まし続けてる子なら、いるよ」
さやか「わーお! 誰誰?」
QB「さやかの知らない子さ」
さやか「その子も、魔法少女? って、んな訳ないか
あんたにとって人間は動物と一緒なんだもんねー」
QB「…魔法少女だったよ」
さやか「え…」
QB「今思えば、性格はさやかに似てたんじゃないかな。君みたいにお喋りではなかったけど」
さやか「あ…っと…ひょっとして、その子…死んじゃった、とか…」
QB「…いや? 生きてるよ」
さやか「…えっと、その、なんか…ごめん」
QB「全く。さっきの君の言葉をそっくりそのまま返さないといけないね
その性格はどうにかならないのかい?」
さやか「うっ…もう、こいつめ」
QB「僕に気を遣う必要はないよ。そのうち、嫌でも自分のことで精一杯になるだろうから」
97 = 1 :
さやか「…わかりましたよーだ。あ、そうだ。それで、戦い方っていうのは?」
QB「うん。ソウルジェムの反応はどうだい?」
さやか「えっと…うん。さっきから近くに魔女がいることは確かなんだけど…」
QB「いきなり手ごわい魔女は避けたいところだ。もちろんグリーフシードも欲しいけど、
まずは1人でいる使い魔を相手にしたいね」
さやか「あ、こっちだ…うん、反応が強くなった」
QB「…魔女と戦う気かい?」
さやか「当たり前だよ。あたしが魔法少女になったのはその為でもあるんだし
それに、あんたが守ってくれるんでしょ?」
QB「そうは言ったけど、実際に身を守るのは君自身だ。行くなら、しっかり気を引き締めて」
さやか「わかってる」
――廃工場の前
さやか「ここだ…間違いないよ」
QB「うん…ねぇ、さやか。聞こえる? 人の声がする」
さやか「本当だ…中に誰かいる。しかもいっぱい…」
98 = 10 :
さやさや
99 = 1 :
QB「魔女に憑かれてる可能性が高いね。助けるなら今しかないよ」
さやか「よーし…」
さやかは一度呼吸を整えてから変身した
QB「君には魔力が備わっている。身体能力は常人とは比べ物にならないはず
ただ、飛び道具がないのが欠点だ。邪魔な使い魔はその剣で斬り捨てて、
一直線に奇襲をかけよう。魔女の懐に入ったら、もう撤退はできない。倒すだけだ」
さやか「やってみる…」
QB「頑張って」
結界に入っていく――
――魔女結界
QB「あ! 見て、あれ!」
さやか「?」
まどかが使い魔に囲まれている
さやか「まどか!!」
QB「さやか、お願いだ! まどかを助けて!!」
100 = 10 :
さやさやきゅべきゅべ
みんなの評価 : ★★★×6
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