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    元スレ阿良々木「・・・・・・学園都市?」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×5
    タグ : - とある魔術の禁書目録 ×3+ - 化物語 ×3+ - 学園都市 ×3+ 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    2 :

    CV平野綾

    3 = 1 :

    遡ること2時間前

    穏やかな秋の昼間、陽気な陽射しが優しく降り注ぐ、一種の気だるさの吹き溜まりのような時間。

    「うわああああんっ!!!買ってくれなきゃやーだー!!!」

    「お前もう誰だよ!!!」

    忍野忍―――もはや、駄々をこねているただの金髪幼女は僕のパーカーの裾を掴みながら泣きじゃくっている。

    初期設定からこっち、無口なミステリアスキャラを通し、その風格は見た目こそ幼女ではあったが

    凛々しくも神々しかった。

    「ダブルチョコレートも食ーべーたーいー!!!」

    「あぁ!!はいはい、分かった。もう分かったから!買ってやるから!これで最後な!」

    4 :

    哀川翔
    名倉純

    5 = 1 :

    それが今ではこれだ。

    見る影もない。

    ていうか、何個食べるんだよこの幼い幼女。

    重複表現を駆使しても果たして、この忍の愛らしい幼女っぷりを言い表すことは難しいだろう。

    幼女を女性として、攻略可能なアダルティのカテゴリーで見てしまうのはさすがに人としての倫理を問われてしまう。

    僕が忍に向ける感情は損得抜きで、小動物に向けるレベルの愛情なのだった。

    だからこそ甘やかしてしまうのだけど。

    6 :

    おお?初めて見た気がする化物

    7 :

    なんでも混ぜればいいってもんじゃない

    8 = 1 :

    ―――戦場ヶ原や羽川との受験勉強(まぁ僕が一方的に教わるだけの家庭教師なのだけれど)が

    休みの毎週日曜日は常にこんな感じの日が続く。

    春休みからこちら、伝説の吸血鬼のバトル、蟹、蝸牛、猿、蛇、猫、蜂、鳥といった怪異のあれこれを乗り越えてきた

    百戦錬磨の阿良々木暦の現在の相手はキャラ設定の崩壊した幼女なのであった。

    公式設定に対して物議を醸す必要は大いにあるだろう。

    9 = 1 :

    「ところでお前様、じゅ・けん・べ・んきょ・う、というのはどうなのじゃ?」

    ミスドからの帰り道にふと質問してきた。
    それにしてもこいつ、元貴族のなごりというか、さすがというか食べ方なんかの挙動の一個一個の動作の完成度は高い。

    ここまでキャラが崩壊している以上、完成度の低さを補うための完成度の高さといえなくもない・・・・・・が、
    せめて、描写されるような目立ったところで見せて貰いたいものだ。

    「ああ、その前に忍、ドラマCDや傾物語でも言及されたからって、無理してそのしゃべり方挟まなくてもいいと思うぞ」

    「シリーズ最新刊が発売する毎に儂のパーソナリティが揺らいでおるでな、ここは傷物語のアニメ化も考慮してひとまず合わせてみたのじゃが・・・・・・」

    自覚はあったんだな。

    「それに儂としては、ほれ、キャラ的に今は砕けておるが、結構シリアス系のクールな感じじゃろ?おそらく声質的には涼宮ハルヒになると思うんじゃ」

    「なるほどな、確かにドラマCDのままいけばそうなるよな。でもいいんじゃないか?快活な感じはお前に合ってるし」

    まぁ。
    現在進行形じゃあ、泉こなたあたりも捨てがたい気がするんだけれどな。

    10 :

    今更過ぎ

    11 = 1 :

    「ああ、すまん。話逸れたな。受験勉強なら、概ね良好だよ」

    もっとも、学年上位の戦場ヶ原と学年トップの羽川に教えてもらっておいて概ね良好であるでは失礼かもしれないが、
    僕の学力自体は学年を通しても上の中くらいにまでに向上している。
    ただ志望大学を考慮するともう少しってところなので、慎ましい自己評価をせざる得ない。

    「かかか、そうか」

    凄惨でもなく、あどけない顔で目を細めながら忍は笑った。
    春休みのときや最近よく見せてくれる忍のこういう顔は、人間の女の子らしく僕は好きだった。
    毎週日曜日―――ここに来る度に他の誰とも違う、忍相手だからこそ話せるような雑談に興じるのは
    僕にとって楽しい時間になっていた。

    12 = 1 :

    「お前はどうなんだよ?」

    「なんじゃいきなり?」

    「いや、ここ2ヶ月ちょい夏休みが終わってからこっち、なんで決まって毎週日曜日にミスドに来なきゃいけないのかな?って」

    ミスドが食べたければ家まで買って帰るし(それだとパサつくんじゃ!ってことで却下された)
    昼間から動くのは仮にも吸血鬼のお前には辛いんじゃ・・・(夜寝溜めするもん!って言われた)
    今日は予定があるからというと(うわああああんっ!ばかああああああっ!とグズられた)

    僕としてはこいつのことだから何か考えあってのことなのだろうけれどそれが掴めない。
    最初はミスドのポイントかと思ったけれど、こいつそういうところには全く興味ないみたいだしな。

    「あー」

    そんなことかと言わんばかりの反応が返ってきた

    13 :

    >>9
    メタるな

    14 = 1 :

    「お前様が日々寝る間も惜しみ、身を削りながらも頑張っておる姿を儂は誰よりも傍で見てきたからの。それに感情や思考すらも影の中にいると伝わってくるんじゃよ。ストレスなんて特にじゃ」

    ふむ、なるほどな。

    「儂としては、そんなお前様が少しでも息抜きをしてくれればよいと思っての、ただそれだけじゃ」

    そういうと忍はまたあどけなく笑った。

    掛け値なしの心の篭った言葉だった。

    甘ったるかったり、素っ気なかったりとは別の、こちらの意識を引くためだけのものでなく

    ただ心のままに受け取れるような忍なりの好意。

    みぞおちを締め付けられる。

    ・・・・・・

    15 = 1 :

    「どうした、お前様?何を黙っておる?」

    僕の中で何かが弾けたのはいうまでもない。

    この場合のお相手は普段なら八九寺が担うはずだ。

    そうあのロリちっぱいでなければ成立することのない、一巻に一回以上は必ず行われるもはや神聖なる儀式。

    読者の皆様の期待もあってか僕としてもそれに十二分に応えることが主人公のあるべき姿であると自負している。

    いっそこれからは、ハードルを上げて、十二本の刀集めの旅に彼女と赴きたいくらいだ。実は七花八裂を夜な夜な火憐ちゃんと練習している。

    だがしかし、それは八九寺相手だからこそ許されるものであって、

    他に―――例えば羽川なんかにすれば

    僕は間違いなく人生のピリオドを迎えることになるだろう。

    同じ意味では火燐ちゃんや月火ちゃんもそうだろう。

    16 = 1 :

    神原なんかは喜びそうなものだけれど、あれもあれで「責任とってくれ」という重い流れで冗談ではなくなるだろうし。

    千石相手には、もはや責任云々の問題じゃない。

    アニメ化物語のDVDやブルーレイが回収されてしまう。

    僕はいつだって全年齢対象版の主人公なのだ。

    というか、そもそも実の妹に欲情するなんて人間のクズだと僕は考える。

    妹と3ラウンドに渡る歯磨きをしたのだって、妹の歯周病を気にかける兄が妹を想う心からの行動だったわけなのだから。

    現在のドロデレ状態の戦場ヶ原なら・・・・・・いやあれは例外だ。

    戦場ヶ原が更正して極端ではあるけれど、恋に恋する女の子らしくなったことには僕はかなり嬉しく思っている。

    だが、生々しいほどに極端に積極的すぎるのだ。

    とても言葉で表現できるものじゃない、ツンドロ、ドロデレ恐るべし。

    17 :

    構わん続けろ

    18 = 1 :

    でもだからこそだろう!だからこその八九寺真宵なのだ!彼女でなければ駄目なのだ!

    八九寺真宵―――リュックサックを背負ったツインテール似合う小学五年生

    蝸牛に会い―――蝸牛に遭って迷っていた少女

    そして今は自縛霊から二階級特進を果たして浮遊霊の少女

    しかし、僕は彼女というキャラに、その存在に身を心を委ねすぎていたのかもしれない。

    八九寺でなければいけないと思い込んでいたのかもしれない。

    そうやって狭められた視野で人を評価できるほどのできた人間でもない僕が恐れ多くもおこがましいほどに

    他人への繋がりや可能性を無意識に拒絶し決め付けていたのかもしれない。

    19 = 1 :

    浅はかだった。

    穴があったら入りたいほどに恥ずかしいことだ。

    忸怩たる思いもここに極まった。

    でも僕はそれに気がついた、否!気づかされたのだ!

    これからはそれに向き合って生きていこう、自分の狭い視野ではなく、他人を尊重できる広い視野を持とう。

    この世界の可能性に対する感謝の心を常に持とう。

    そして主人公としてかくあるべき行動をしなければなるまい。

    さて前振りは終わった。

    ここからは新生・阿良々木暦らしく振舞おうではないか!

    では!!!

    「しーーーーーーーーのーーーーぶーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

    僕は思いっきり忍に抱きついた。

    20 = 1 :

    「きゃあああああああああ!!!!!!!」

    忍の悲鳴が木霊する。
    もはや僕にとって可能性を信じて行動することに迷いなんてなかった。

    アニメへの配慮や都の条例への配慮なんてものは二の次だった。

    忍の謙虚で控えめな体を撫で回し、穴があったら入りたいと先ほど願ったほどの羞恥心を
    曝け出すがごとく忍のワンピースの中に顔をもぐりこませ、忍の童話に出てくる妖精のような体に頬擦りし、おへそのあたりで顔をうずめる。

    「きゃあああああああああ!!!!!!!」

    忍自身が僕の影と繋がっている為、逃げるに逃げられないのをいいことに

    僕は更なる行動に出る。

    ワンピースを脱がしにかかった・・・・・・ところで、上からものすごい衝撃が下りてきた。

    思いっきり忍に殴られた。しかも肘で後頭部を強打された。

    顔面がアスファルトの地面にめり込む。

    忍には今朝血を飲ませたばかりなので、忍の吸血鬼性も上がっている。

    追撃というか止めの一撃と言わんばかりに地面に伏した僕の身体に踵落としが決まる。

    21 = 1 :

    「何をするんだ忍!!」

    「何をしたのか自分考えろ!!バカぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

    忍は息を切らし、涙目になりながら叫ぶ。

    僕自身なぜ拒絶されたのか理解が追いつかない。

    「一番アニメ化してはならんのはお前様じゃあああああ!!!うわあああああんっ!!!」

    大体こいつ夏休み終わりには貞操なんて気にしたことないとかほざいてたのに、実際はこの仕打ちである。

    僕はこの世の不条理に耐えられそうになかった。

    僕の純情という幻想は右手を使わなくても現実の前に打ちのめされる。

    嘆息すらも禁じえないロリを愛することができない世界に絶望した!

    22 :

    なかなか学園都市はいらんな
    つづけて

    23 = 1 :

    「えっと、ごめんな忍。まさかそこまで露骨に拒絶されるとは思わなくて・・・・・・」

    「・・・・・・ん・・・ぐすん」

    割とガチで忍が泣き出したため、頭を撫でながら落ち着かせることに成功

    「歩けるか?」

    「・・・・・・ん」

    そういって忍は立ち上がると、僕と再び帰路についた。

    「・・・その、儂もすまなかった・・・・・・。動揺してしまったとはいえ、あるじ様に手を上げてしまったの・・・・・・」

    途中、僕と忍は北白蛇神社の入り口の階段に腰掛けていた。

    「いや、それなら僕も気が動転していたとはいえ、ごめん」

    沈黙・・・。

    何だろうこの初体験を直前に控えたカップルみたいな空気は。

    甘いような苦いような。

    酔いそうになる。

    24 = 1 :

    「・・・儂もな、お前様が・・・その・・・・・・あれじゃ・・・本当に望んでおるというならな・・・その・・・・・・」

    妙にボソボソと喋り、頬を赤らめ恥じるような忍の顔つきや仕草に目がくらみかけた。

    何この子ラブリーすぎる!!

    「あー!!!そうだ忍!!!何か飲みたくないか!?僕喉渇いちゃってさぁ!!」

    これ以上この空気に耐えられそうにない!!

    甲斐性なんていうものは僕には欠片もないからだ。

    「ふぇ!?あ、ああ!!飲みたい!!」

    忍といっしょに自販機の前まで歩く。

    それにしても八九寺なら、冗談で済むはずの展開が他の人だとこうまでギャグに徹することができなくなるなんて・・・・・・。

    買い終えて、北白蛇神社の入り口まで戻ろうとしたとき

    目的地とした神社の入り口で大きなリュックにツインテールが目印―――八九寺真宵を発見した。

    25 = 1 :

    自販機から神社の入り口までは百メートルほどの距離もある。

    それでも普段の僕なら、彼女との物理的距離など星と星の間ほどに離れていようとも、光の速さでかけつけて、

    彼女と熱い信頼で結ばれた上で成り立つ交流―――ただ僕が一方的に抱きつくだけなのだが、そうするはずだった。

    ぶっちゃけ、忍が影の中に居ようと居まいと。引きずってでも。

    ただ先ほどのこともあるので、半ば冷静な僕であった。

    だからこそ気づけたのだろう。その違和感に。

    八九寺は神社へと向かう登りの階段を走って登っていったのだった。

    まぁあいつが街を彷徨うルートに関して僕自身それを全て把握しているわけではないけれど。

    それでも

    「あの小娘、確か八九寺じゃったか?」

    忍がいつになく重い口調になる。

    「ああ、でもあいつ神社に何の用なんだろうな?」

    僕の中の違和感というのはそれに尽きた。漠然としたものだ。

    26 = 1 :

    神社と八九寺という因果関係に心当たりがないといった。

    それにあいつを巡る話は何も蝸牛のことだけでなく、夏休み最終日の八月二十日。忍と時間移動をした際のあれこれもある。

    それに北白蛇神社自体、千石のこともあったり、忍野の言うところの『妖怪大戦争になるほどの吹き溜まり』だったりと

    何かと怪異絡みで縁のある場所なのだ。

    ただ千石のことも解決済みだし、そういった悪いものの吹き溜まりだったとしても

    そのエネルギーを全部使って忍と時間移動を行ったので、実際のところ今は害のないただの神社なのだけれど・・・。

    「お前様よ、儂は影に入る」

    「あ?なんだよいきなり?」

    「胸騒ぎがする。いいからとっとと追うぞ。何事もなければ、またあの娘を今度こそ人気のない神社でやっちまえばよかろうよ」

    そう言い終えた後の忍の顔も声も笑ってはいなかった。

    27 = 1 :

    僕は全速力で追いかけた。

    普通の人が上っていったというのであれば、もう追いついていてもいい頃合だろうが

    さすがは二階級特進を豪語する浮遊霊だ。

    ようやくその背中が見える頃には八九寺は階段を登り終えていた。

    僕もすぐに後を追い登り終える。

    「八九寺いいいいいいい!!!!!!」

    同時に叫んだが、その姿はなく、反応もなかった。

    28 = 1 :

    「ふぅ、これはこれは・・・・・・」

    いつの間にか忍が影から出ている、が、その顔色は良くなかった。

    「この神社自体は何も悪いものだけが吹き溜まるような場所というだけではない」

    僕が説明を求める前に語り始めた。ゆっくりとしかし重く冷たい口調で。

    「以前そのようになったのは完全体であった儂がこの街に来たことが原因だったというだけなのは知っておるな?」

    まぁ怪異に良いも悪いもないし、怪異はただそこにあるだけじゃ、と付け加えた。

    「あぁ、でも今はそんなことないはずだろう? 忍野のお札やら時間移動のときつかった霊的エネルギーやらで」

    「そうじゃな、しかしお前様。この神社は怪異のようなものが吹き溜まるのは以前からで、用はこの場所自体がそれらを引き寄せやすい場所なんじゃ」

    「それは分かって・・・」

    「例えば時間移動をここから始めて、別の時間軸のこの場所に辿り着いたじゃろう? じゃが、目的地だけならあくまで同じような条件が揃った場所であれば門として作用するからある程度選べるんじゃよ。」

    「つまり以前のここと同じ条件が揃っていれば、ここから例えば別の時間軸の別の場所へもいけるのか?」

    「ドラえもんほど上手くは指定できんがの、まぁここも門としては作用するじゃろ」

    そして忍はキメ顔でこう言った。

    「そう、ここが門として作用した。つまり誰かが別の場所から、ここまでの門を開いたということじゃ」

    29 = 1 :

    「そもそもここは怪異やそこまではいかなくても霊的なものを惹きつけるような場所じゃからな、浮遊霊であっても例外ではなかろうよ」

    ましてあの娘は一度怪異に遭っているのだから。

    「それにじゃ、門を開いた後の痕跡が残っておる。お前様には分からんじゃろうが、以前までと同じくらいの霊的エネルギーなら満ちておるし」

    「でもどうしてそんなことが分かったんだよ?」と言いそうになったが封殺された。

    八九寺はそれに惹きつけられ、巻き込まれ、そして行方不明になったということらしい。

    「大方、門を開いたやつは痕跡が残るほど莫大なエネルギーを持っていたんじゃろうな。それこそ全盛期の完全体の儂以上に」

    完全体の忍以上と聞いた途端、僕の身体は強張った。

    一人で世界を滅ぼせるような吸血鬼以上。 そんなものがあるのだろうか?

    「じゃが不幸中の幸いじゃな。霊的エネルギーも十分にあるし、尚且つ門を開いて時間も立っておらんなら追いかけることができるかもしれん。どうする?」

    忍は腕を組み、強気に言い放った。
    頼もしい幼女である。

    「そんなもん決まってるだろ!!」

    こうして再び僕は時間移動をすることになる。

    30 = 1 :

    時間移動は滞りなく終わった。

    忍が前回同様に「呪文の詠唱が必要なんじゃ!気分が乗らんじゃろ!?」と言うので放っておくと

    「黄昏よりも暗きもの、血の流れよりも赤きも・・・・・ふぐぅ!!!」

    口を塞いで強制終了させた。

    「ネタが俗過ぎるんだよ!!街を吹っ飛ばす気か!!」

    というやり取りがあった。

    それを考慮しなければならないかもしれない。

    呪文なんて無闇に唱えたからか分からない。

    分かることは一つだけ、僕たちが移動した先が見たこともないほどに都会的だったということだ。

    31 = 1 :

    回想終了

    ここで一番最初のやり取りまで戻るわけだ。

    「時間移動ってのはパラレルワールドに飛んだってことで、つまりあったかもしれない可能性の世界なんだよな?」

    僕はもはや何が何やら分からなかった。

    「そうじゃな、少なくともあったかもしれない世界っていうのが今目の前に広がっておるんじゃろ」

    あったかもしれない別の世界。

    東京のど真ん中でも見たことが無いような高いビル、風力発電を行っているであろうたくさんの風車、未来都市的移動手段のモノレールがビルとビル間を縫っている世界。

    行き交う人々も僕たちのいた世界とは変わらず、少し垢抜けている都会感がある。

    どこでどう初期値からの過程を間違えばこのような世界観が繰り広げられるのだろう。

    というかここ、今現在僕と忍の立つ場所は東京都立川市の駅前がベースのようでその名残もあるのだが、

    名残があるだけで全く別物だった。

    「何かもう完全に文化圏が違うような気がするけど、これお前本当に八九寺見つけてもとの世界に帰れるんだろうな?」

    「・・・・・・・それは、んー大丈夫じゃろ!多分!!」

    あーあ、軽いなぁ本当にもう!

    どんどん不安で満たされていく。

    32 = 1 :

    「ひとまずあれだ、ここでじっとしていても仕方がないな」

    「そうじゃの、ひとまず前回同様にこの世界のことを調べてみんことにはどうしようもない。・・・・・と、そうじゃ」

    思い出したように忍はワンピースの中を弄ると「念の為じゃ」といって怪異のみを斬る大太刀『心渡』を出した。

    それを僕に渡す。

    「まぁ前回のようにゾンビで溢れるような感じはせんが、一応保険代わりにお前様が持っておれ」

    ジーンズにパーカー、そこに日本刀を腰に下げるファッションは前衛的すぎる。

    若干周囲の人の目も痛い。

    「これ普通に銃刀法違反じゃねーの?」

    「かまわんじゃろ?むしろこれくらいキャラ立てせんと都会じゃ個性を確立できぬぞ? 怪しいどころか、ぱないかっこええの!!」

    33 = 1 :

    ~風紀委員第百七十七支部~

    初春はPCに向かい、ジャッジメントの今日の業務について確認していた。

    公園の清掃に迷子になった犬の捜索、平穏な依頼である。

    これなら早々に切り上げて帰宅できると思った矢先。

    ピーッ!ピーッ!

    その緊急を表す警告音に表情が変わる。

    「はい、風紀委員第百七十七支部」

    「第七学区にて学園都市不法侵入者を発見しました。至急調査をお願いします」

    通信が終了してすぐに初春はショートカットキーを駆使してその旨を同僚に伝える。

    「もしもし白井さんですか? アンチスキルからの緊急信号です」

    34 = 1 :

    「分かんねー」

    「お前様!お前様!!みて!みて!新作のゴールデンショコラポンデリングじゃって!!ぱないの!!」

    僕と忍はひとまず公園を見つけたのでそこのベンチに座っていた。

    途中ミスタードーナッツがあり、何やら僕の住んでいる地域では売ってない新作が目白押しだったところを

    忍が駄々をこねたので買い与えた。

    店員さんに聞いたところ

    「この紙幣はお使いになれますよ、それにしても外の紙幣なんて本でしか見たことありませんでした、とミサカは偽札ではないかと疑念をもって調べ上げます」

    だそうで、どうやらお金は使えるみたいだ。

    35 = 1 :

    で、現在僕の片手には椰子の実サイダーなるものが握られている。

    すぐ目の前の自販機のレパートリーはひどく、スープカレー系のジュースやいちごおでんなるものなどで

    一番ましなものがこれだった。

    こんな怪しい飲み物を飲まなくてはいけないくらい現在の僕の状況は砂漠化しているわけで、

    「学園都市?この世界の日本ってどうなってるんだよ」

    コンビニで地図やらガイドブック的なものを購入して分かったことは、ここが学園都市と呼ばれていて、

    現在自分たちがいる場所が第七学区という場所だということだけだ。

    八九寺の手がかりすら全く掴めていない。

    36 = 1 :

    「お、お前、様・・・・・・」

    「なんだよ、生き別れの家族に今まさに感動の初対面したようなノリで呼びやがって」

    「フレンチクルーラーに自分の好みトッピングができるんじゃて!!しかも20種類!!もう一回行こ!!!」

    「ほんと順応はえーな!!!」

    確かにフレンチクルーラーは別味があってもいいと思うけどさ!

    とりあえず、忍が食べ終わったらひとまず図書館にでも行ってみよう。

    ここのことが何も分からないのでは動くことさえ難しい。

    37 = 17 :

    しえーん

    38 = 1 :

    「見つけましたわ!!!」

    行動の指針を考え終わり、缶を捨てに行こうとした直後目の前に女の子が現れた。

    やや赤茶のツインテールにどこか幼さも残るもののキリッとした顔立ちの女の子。

    「ジャッジメントの白井黒子ですの!!あなたを学園都市への不法侵入の容疑で拘束いたします!!」

    えーっと?

    ジャッジメント?不法侵入?拘束?

    「ちょ!!待ってくれ!!僕たちは決して怪しいものじゃ!!」

    「はて?日本刀を腰にぶら下げて、金髪の幼女を連れまわすような殿方を怪しいと言わずしてなんと表現すると?」

    「おっしゃる通りだー!!」

    外見は人を判断するためにあるんだよなー!!

    ほらー!!忍さーん!!怪しさでインフレしてるみたいですよー!!

    39 :

    忍ちゃんはムララギさんが抱きついても喜ぶだけ

    40 = 1 :

    キャラ立て失敗じゃねーか!!

    ヒュン!!

    風切音が聞こえたと同時に気がつけば目の前にまで距離を詰められていた

    「え・・・・・なっ!っうわ!!」

    続いて足払い、地面へ伏すのは本日二度目である。

    起き上がろうと身体を動かすも、動かなかった。

    動けるには確かに動けるかもしれないが、衣服のあらゆる箇所に細い杭のようなものが刺さっていて

    それが僕と地面を固定していた。

    41 = 1 :

    「他愛もない。外部からの侵入者などと騒がれていた割りに装備は日本刀一本なんてなめられたものですの」

    そう言うと彼女はポケットの中から小さい端末を取り出す。

    「もしもし初春? 監視カメラの映像の男は確保しましたの。至急アンチスキルにも連絡を・・・って、は?侵入者は一人じゃない? それってどういう・・・ぐっ!!ぁ!!」

    「こういうことじゃ!!」

    爆発的な速度でベンチから走ってきた忍は彼女を蹴り飛ばす。

    えぐる様に脇腹にヒットした一撃に軋むような生々しい音が聞こえた。

    「はっ!どうやったか知らんが咄嗟に上手くいなしたか」

    おそらく忍は全力で蹴った。

    忍の性格上この場面だとこいつは容赦はしないだろうし。

    そしてたとえ八歳の幼女の姿で吸血鬼の残りカスとはいえど、その力はブラック羽川を凌駕する。

    その蹴りをいなされたことに僕は驚いた。

    「お前様も無様に伏せっておるでないわ、服ならあとで儂が直してやるからとっとと起きろ」

    42 :

    これはいい期待

    43 = 1 :

    僕はパーカーを脱ぎ捨て起き上がる。

    ジーンズには多少ロックンロールなダメージが加わったがこの際気にして入られない。

    彼女も起き上がり再びテレポートで距離を詰めようと、まずは自分の蹴り飛ばした幼女の方から身柄を

    確保しようと試みる・・・が、

    「悪い!!」

    テレポートをされる前に僕は吸血鬼の全力をもって距離を詰め、彼女の手を捻りそのまま羽交い絞めにした。

    「なっ・・・!」

    女の子を地面に伏せさせるというのもそれはそれでSっ気の強いマニア垂涎のシチュなのだろうが

    とりあえず、そうはせずに彼女のポケットから手錠を取り出し、それで動けなくはしておいた。

    実に紳士的である。

    「お前様、女の子のスカートのポケットを羽交い絞めにしながら弄るのは絵的にひどかったぞ」

    「言ってる場合じゃなかったろうが!!」

    44 = 1 :

    よくよく考えるとあれだよな。

    中学生くらいの女の子相手に手錠プレイもなかなかそそる絵面ではあるよな。

    「くっ・・・!!能力者用の手錠でテレポートが・・・」

    「能力者?」

    僕はその言葉を拾う。能力者、さっきの消えたことと何か関係があるのだろうか?

    直後、

    「ちぇすとー!!!!!」

    先ほどの忍の蹴りとは比にならないほどの、爆撃のような蹴りが飛んできた。

    爆撃のような?というか公園の地面にひびをいれ、着弾したところには半径十メートル近くの円状の深い凹みができた。

    声を辿ってギリギリで回避した僕だったが、それより何より気になったのはその声だった。

    薄々考えていた。

    ここはどうあってもパラレルワールドなのだ。

    ならば、知り合いもいるだろうと。

    しかしよりによってこいつかよ。

    45 = 1 :

    『栂の木二中のファイヤーシスターズ』、自称『正義の味方』

    僕の妹―――阿良々木 火憐が目の前にいた。

    「ジャッジメントだぜ!!!んでどいつだー!!!不法侵入者ぁー!!!」

    どうやら攻撃した対象が何者なのかも確認できていなかったらしい。

    わが妹ながら相変わらずのバカである。

    「かかか!お前様の大きい妹御とはの!」

    笑い事ではない。

    火憐ちゃんが蜂に遭ったとき、

    コンディションは瞬きすれば二度と目を覚ませないほどの高熱で

    僕は今と同じくらいの吸血鬼性を帯びた上でガチ喧嘩をしたが、

    普通に死にそうになったのは記憶に新しい。

    痛みを伴って記憶したからこそ鮮明に覚えている。

    47 :

    書き溜めありなのか

    48 = 1 :

    で、さっきの登場である。

    何の原理でどうやって蹴れば、公園の地面にクレーターを作ることができるのだろうか?

    まぁこいつならナチュラルにやりそうだから原理なんて無いかもしれないけどな。

    「火憐さん・・・あなたの目の前にいますの・・・・・・」

    「なにー!!・・・・・・って!!兄ちゃんじゃねえか!!!」

    僕のことを正しく兄として認識できるくらいにはこちらの世界の火憐ちゃんの頭も働くらしい。

    「お兄さん? 火憐さんのお兄様ですの?」

    「ああ!!そうだぜー!!まさか兄ちゃんが不法侵入者だったとはなー!! 兄ちゃんならできると思ったよー!!」

    知能指数の低さが喋る度に露呈されている。

    もうやだこの子恥ずかしい!!

    「おい、火憐ちゃん。聞きたいことが山ほどにあるから、ひとまずこの場をって・・・忍!?!?!?」

    忍のタックルが僕に炸裂した。

    瞬間、僕の居たところに凄まじい熱量を帯びたものが打ち込まれる。火憐ちゃんの蹴りとはまた別格の危険なもの。

    49 = 1 :

    「黒子ー!!! 助けにきたわよー!!!」

    「お!お姉さま!!」

    「おーう!美琴じゃねーか!」

    先ほどの女の子のお姉さんらしく、ついでに三人とも同じ制服を着ているってことは同じ学校か。

    この状況が姉妹愛による救出劇ならば、神原のような夏の陽だまりに放置されたおにぎりのようなやつが聞けば鼻血ものなのだろう。

    少女はスカートの下に短パンを履いている。

    前衛的なシティファッションなのかもしれない。

    パンチラがないことは残念だが、しかしそこは僕レベルになると、短パンから覗く太ももの健康的な曲線で欲情できる。

    眼福だ!!

    50 = 42 :

    ムララ木さんどこ行っても暢気だなw


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