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元スレ唯「ムギちゃんのはつこい」

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1 :

「さ、今日も練習するぞ」

「えーもうちょっとだけお茶してようよー」

「ばか、学園祭もうすぐだろ。
  今練習しないでどうすんだよ」

「いーじゃんちょっとくらいー。
  ムギちゃーん、紅茶おかわりー」

「……」

「ムギちゃーん」

「……」

「ムギちゃん?」

2 :

ムギちゃんはしつこいに見えた

3 :

「ムギちゃんのはっこつに」見えた

5 = 1 :

「……」

「ムギちゃん!」ゆさゆさ

「はっ! な、何かしら?」

「それはこっちのセリフだよ。
  ボーッとしちゃって、どうしたの?」

「あ、ボーッとしちゃってた……?」

「してたよー、すごくしてた。
  何度呼んでも返事ないんだもん」

「あら、そう……ごめんなさい。
  それで、私を呼んだ用件は何?」

「練習しようって言ってたんだ」

「ああそうね、そろそろしなきゃね」

「うぉい」

6 = 1 :

「よし、じゃあ始めるぞっ」

「はーい」

「いいわよ」

「いくぞー、ワンツースリフォー」

ジャカジャカージャッカジャカジャカジャカジャカ

(……あれ?)

(なんか……)

(……変?)

ジャーン♪

9 = 1 :

「……」

「……」

「……」

「? どうしたの?」

「うーん、ムギ……
  キーボードの音、だいぶずれてたぞ」

「え、ほ、ホントに? ごめんなさい……」

「いやそんな謝んなくてもいいけどさ」

「でも珍しいな、ムギがこんなミスするなんて」

「具合悪いんじゃない?
  さっきもボーッとしてたし……」

「う、ううん、大丈夫……」

「無理することないぞ、
  体調悪いんなら遠慮なく休んでくれていいんだから」

「ほ、ほんとに大丈夫だから! もう一回やろ、もう一回」

「え、うん……」

10 :

なんだ俺か

11 = 1 :

しかしその日の演奏は散々なままで終わった。

「……ごめんなさい」

「いいっていいって、今日はたまたま調子が出なかっただけだろ。
  また今度、いつもみたいに上手くやってくれればいいから」

「……うん」

「澪ってムギには甘いよな、
  私達の時はすげえ怒るクセに」

「日頃の行いの差じゃない?
  ていうか『達』ってどういう意味」

「あ、私、戸締りしとくから……
  みんなは先に帰ってていいわよ」

「え、ああ、うん」

「えー、ムギちゃんも一緒に帰ろうよー」

「……ばか、ここは独りにさせてやれ」

「じゃあな、ムギ」

「うん……また明日」

12 :

「じゃあ唯ちゃん一緒に帰ろうか」

13 = 1 :

帰り道。

「今日のムギちゃん、おかしかったね」

「ああ、そうだなあ」

「体調悪いようには見えなかったけど……」

「とすると、なんか悩みでもあるのか」

「悩みかー……」

「でもムギに悩みごとなんて想像できねえな」

「それはムギに失礼だ……」

「もし悩みがあるとしたらさ、どんな悩みなんだろ」

「うーん……家のこととか?」

「あー、金持ちの家って複雑そうだよなー」

「成績が落ちたとか」

「それはないだろ、この前のテストでもクラスで上位だったし」

14 :

続けたまえ

15 = 1 :

「また太っちゃったとか」

「そう? 別に太ったようには見えないけど」

「外見からは分からなくても、
  1つ2つの数値の上下には過敏に反応してしまうのさ」

「そうか……それがストレスになって……
  太るのを気にするあまり食生活が乱れ……
  そして摂食障害……入院……退学……」

「いきなり話が飛躍したな、
  ていうか真面目に考えろ」

「考えろっつってもなあ」

「ムギちゃんから直接聞かないことには分かんないよ」

「まあ、そうだけどさ……」

「みんなーっ!」たったった

「あ、ムギちゃん」

「噂をすれば……」

16 = 1 :

「はあはあ……唯ちゃん、これ」

「あ、携帯!」

「部室に忘れてたわよ」

「ほんと? ありがとう、ムギちゃん!」

「ううん、いいの。気にしないで」

(さっきの話は今はしないほうがいいな)

「なあムギ、なんか悩みごt」

「オラァ!!」ボカッ

「ゲフッ」

「? なあに?」

「いやーなんでもないなんでもない……
  そうだ本屋寄ってかない? 本屋」

「お、いいね。確か今日は女性自身の発売日だし」

「そんなん読んでんのかよ」

「憂がね」

「……」

17 :

安易な百合にしないでね

18 :

えっ百合?

19 :

えっ百合じゃないの?

20 = 1 :

本屋。

「澪は何買うんだ」

「好きな作家の新刊が出ててさ、それをね」

「へえ」

「あー、あったあった」

「ほう、タイトルは……『16歳のはつこい』……
  いやあいかにも澪が好きそうな」

「う、うるさい……! いいだろ別に」

「……」

「ん? ムギ?」

「……」

「またボーッとしてら……おい、ムギ」

「……はっ!」

21 = 1 :

「どうしたんだよ、またボーッとしてたぞ」

「そ、そうだったかしら、ごめんなさい……
  それよりこれ、素敵なタイトルの本ね。
  私も買おうかしら」

「おお、ムギも澪ワールドにハマるか」

「なんだ澪ワールドって。
  ていうかムギも恋愛小説とか好きなんだな」

「好きっていうか、その……
  いいかな、って思って」

「ふうん」

「ところで唯はどこいった」

「女性自身買ってんじゃないか?
  ……ん?」

「……」

手に取ったハードカバーの表紙をじっと見つめる紬。
澪にはその紬の表情が、何か普通ではないように見えて……。

「…………」

22 = 12 :

恋ですね

23 = 18 :

これは男

24 :

気持ちはうれしいけどまじで困る
いくら金を積まれても流石に無理だわ…

25 = 1 :

「あ、みんないた」

「買ったのか、女性自身」

「うん」

「憂ちゃん、そういうの好きなんだな……」

「そうなんだよねー。
  休日なんかはお煎餅かじりながら
  楽しそうにワイドショーの芸能コーナー見てるよ」

「憂ちゃんの育てかたを見直した方がいいぞ」

「じゃあ、私達も会計済ませるか」

「え、あ、そうね……」

「りっちゃんは何も買わないの?」

「私はいいや。お金ないし」

「ふうん」

その日、3人は本を買い、
あとは何ごともなくそれぞれの家路についた。

26 = 1 :

翌日、放課後。

ガチャ
「ちょりーっす」

「おう」

「うぃーっす」

「ムギちゃんはまだ来てないの」

「うん、まだ」

「そういえばさ、
  昨日のムギちゃんなんか変だったけど、
  どうだった? 今日は」

澪と律と紬は3人とも同じクラス(1年2組)である。

「今日は今日でまた……なあ」

「え? ああ」

「えーなになに?」

27 :

もしもしは気持ち悪い奴ばっかだな

28 = 1 :

「昨日ムギが私と同じ小説買ったんだよ。
  で、今日は一日中、それを貪るように読んでた。
  授業中も、休み時間も」

「へえ~」

「それはそんなに熱中するような本なのか?」

「いや、私もまだ最初の方しか読んでないし……
  ていうか熱中するかどうかは人それぞれじゃない?」

「ふうん……で、それどういう小説なの?」

「16歳の女子高生の、初々しい初恋を描いた小説だよ。
  引っ込み思案な少女のひたむきな片想いの話……って
  あらすじには書いてあった」

「ほう」

「ボーッとしてて、演奏も手につかない……
  恋愛小説……片想い……
  それに熱中するムギちゃん……
  もはや導き出される答えはひとつ!!」

「いや唯、それは私も考えたけど……短絡的すぎるぞ」

「そうかなあ、これ以外ないと思うけど」

29 = 1 :

「何にせよ、ムギの口から直接聞かないことにはさ……」

「んー、そっか」

「なあなあなんだよ、
  何を2人で分かった気になってるんだよ、
  教えてくれよ」

「落ち着け」

「でも、どうやって聞き出す?」

「うーん……」

ガチャ
「遅れてごめんなさい!」

「あ、きた」

「よ、よう」

「今お茶の用意するわね♪」

「……なんかゴキゲンだね」

「……」

30 = 1 :

「そうだわ澪ちゃん、この小説とっても面白かった」

紬はカバンから例の小説を取り出した。

「ああ……今日一日中それ読んでたよな」

「うん、読み出したら止まらなくなっちゃって……
  なんていうのかな、
  主人公の気持ちに共感できることばっかりで」

(共感……)

「片想いの切ない気持ちがすっごくリアルで」

(切ない……)

「最後、想い人と結ばれたときは私まで幸せな気分になったわ」

「幸せ……ていうかオチを言うな!
  私まだ読んでないのに」

「あ、ご、ご、ごめんなさい!
  私ったらついテンションが上がっちゃってうっかり……」

「ああ、いやまあ、いいんだけどね……」

31 = 8 :

支援ぬ

32 = 1 :

「…………ああ、そういうことか」

「? なあに?」

「ムギ、好きな人いるんだろ!」

「こら――――っ!!」

「え? え? 好きな人……!?」

「あ、ち、違うんだ! 唯に好きな人がいて、な、唯!」

「え、ああああ、うん、そうなんだ! 実はね!」

「へえ、そうなの」

「それで、澪ちゃんに色々とアドバイスもらってたとこなんだー、
  あはははは……」

「へえー」

「律……ちょっとこっちに来なさい」

「はい……」

33 = 1 :

音楽室の隅っこ。

「おい……あんなダイレクトに聞いたらダメだろ」

「でもそれが一番手っ取り早いじゃん!」

「台無しになっちゃうだろ、色々と」

「何がだよ、気にしすぎだよ」

「おまえが気にしなすぎるんだよ」




「あの二人は何を話しているのかしら」

「さ、さあ……」

「ところで、唯ちゃんの好きな人って誰なの?」

「え、えーと……えー……
  ちゅ、中学の時に同じクラスだった人で……」

「へえ」

34 :

スレタイが「むぎちゃんはしつこい」に見えて仕方がない

36 = 12 :

唯ちゃん僕のことが好きなんだね
相思相愛で嬉しいよ!!

37 = 1 :

「い、今は別の高校でサッカーやってて……」

「その人とは仲が良いの?」

「う、うーん……電話とかメールとかしたり……
  あとサッカーの試合観に行ったりとかして……」

「そうなんだ。
  付き合ったりとかはしないの?」

「それを澪ちゃんに相談してたとこだよ、うん」

「あら、そうだったの」

「でもムギちゃんがこんな話に乗ってくるなんて珍しいね。
  まあ興味あるか~、高校生なら誰でも」

「え、あ、うん、そうね……」もじもじ

「……?」

「興味あるっていうか~、その、……」

「もしかしてムギちゃん……」

「……」

38 :

なんだこの漠然とした口調の違和感…

40 = 1 :

「ははーん」

「……、……」

「ムギちゃんも好きな人がいたりして……?」

「…………」もじもじ

「誰にも言わないから教えて、ね、ね」

「でもそんな……いない、いないわよ、うん」

「ウソだー、絶対いるでしょー……」

「いないってばあ……」

「誰にも言わないからさ……
  いるかいないかだけ教えて!
  それ以上は突っ込まないから!」

「ええ……」

「いる?」

「……」

「いるんだよね?」

「……………………」こくん

41 = 24 :

俺だったら嫌だなあ…(チラッ

42 = 1 :

「!!!!」

「だ、誰にも言わないでね……」

「う、うん……安心して」
 (まさかホントにいるとは思わなかった……)

「絶対秘密よ、ねっ」

「うん、大丈夫。私、口は堅いから」

「そう、ならいいんだけど……」

「恋に悩んだときはいつでも言ってね、
  相談くらいなら乗るから」

「う、うん……ありがとう」





「あの二人は何を話しているんだろ」

「よくは分からないけど
  問題の確信に迫るような会話をしている気がする」

43 = 1 :

「……」チラチラッ


「唯のアイコンタクト……」

「そろそろテーブルに戻るか……」



「よ、よう、何の話してたんだ」

「なんでもないよー、ね、ムギちゃん」

「ええ、なんでもないわ。
  りっちゃんと澪ちゃんこそ、隅っこで何の話してたの?」

「こっちこそ何でもないよ」

「アヤシイね」

「なんでもいいだろ、じゃあ早く練習するぞ」

「ふぇーい」

「あ、ごめんなさい、私その前にお手洗いに……」

「おう」

「すぐ戻るから……」
ガチャ

44 = 1 :

「……」

「……」

「……で?」

「ムギちゃん、好きな人いるんだって」

「おお、やっぱりか」

「でもそれ以上のことは分からないよ」

「いや、それだけでも大手柄だ、唯。
  ムギが悩んでたっぽいのはこのことで決まりだな」

「いやあ、でもムギがねえ、片想いねえ」

「想像もつかないな……相手が誰なのか」

「うーん……女子校だから男の人とは縁遠いはずなんだけど」

「校内で男っつったら」

「教師?」

45 = 1 :

「男の教師といえば……」

「古典の豊崎先生、物理の日笠先生、英語の佐藤先生、
  数学の竹達先生……あとは~」

「オッサン教師ばっかじゃん」

「流石に恋愛対象には……」

「あ、生物の米澤先生は?」

「えー、あの人は若いけど……
  なんかみんなから嫌われてんじゃん。
  生徒のこと変な目で見たりさ」

「うーん、じゃあダメか」

「いや……ムギのやつ、マゾっ気があるから……
  米澤から変な視線を送られているうち、それが快感に変わり、
  恋が芽生え……」

「嫌すぎるわ」

46 = 24 :

やる夫かと思ったら佐藤先生だった…

47 = 8 :

さるよけ支援

48 = 1 :

「うーん……あ」

「なんだ?」

「いやあ……
  ムギちゃんって女の子同士の恋愛が好きだから……
  そのー」

「ムギ自身も女の子が好き……ってことか?」

「考えられない?」

「可能性としちゃ捨てきれないけど……
  同性を好きだった場合、相手は誰になるんだろうな」

「……」

「……」

「?」

「……」

「……」

「え、私!?」

50 :

しえん


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