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元スレ先輩「男くんはよくわたしに差し入れを持ってきますが」
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先輩「もしかしてわたしに好意があるんですか?」
男「う……」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」 もぐもぐ
男(……何でこのタイミングでその質問が来ますか先輩)
先輩「……」
男「……」
先輩「……?」
男「えーっと」
先輩「はい」
男「……その、ですね」
男「う……」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」 もぐもぐ
男(……何でこのタイミングでその質問が来ますか先輩)
先輩「……」
男「……」
先輩「……?」
男「えーっと」
先輩「はい」
男「……その、ですね」
先輩「判りました」
男「判るんですか」
先輩「どう答えようとしてたにせよ、
その躊躇の時間が内心を吐露してますよね?」
男「――はい」
先輩「理解しました」
男「え?」
先輩「……」 もぐもぐ
男「……その」
先輩「コロッケパンごちそうさまでした」
男「はい」
先輩「では、備品の確認に出掛けましょう」
男「……」
男「判るんですか」
先輩「どう答えようとしてたにせよ、
その躊躇の時間が内心を吐露してますよね?」
男「――はい」
先輩「理解しました」
男「え?」
先輩「……」 もぐもぐ
男「……その」
先輩「コロッケパンごちそうさまでした」
男「はい」
先輩「では、備品の確認に出掛けましょう」
男「……」
――理科準備室
先輩「B-3、鍵OK」
男「B-3、鍵OK」
先輩「次行きましょうか」
男「はい」
カツン、カツン
先輩「……まだ暮れるのは早いですね」
男「寒いっすね」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「その」
先輩「なんです?」
男「さっきのなんですけど」
先輩「B-3、鍵OK」
男「B-3、鍵OK」
先輩「次行きましょうか」
男「はい」
カツン、カツン
先輩「……まだ暮れるのは早いですね」
男「寒いっすね」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「その」
先輩「なんです?」
男「さっきのなんですけど」
先輩「はい」
男「俺、先輩のこと好きなんですけど」
先輩「理解しました」
男「……えっと」
先輩「資料室および準備室、鍵OK」
男「――鍵OK」
先輩「……」
男「……」
カツン、カツン
先輩「男くんの告白を理解し、受領しました」
男「……はい」
先輩「それで良しとしておいて下さい」
男「……うう」
先輩「だめですか?」
男「う、了解です」
先輩「よろしい」
男「俺、先輩のこと好きなんですけど」
先輩「理解しました」
男「……えっと」
先輩「資料室および準備室、鍵OK」
男「――鍵OK」
先輩「……」
男「……」
カツン、カツン
先輩「男くんの告白を理解し、受領しました」
男「……はい」
先輩「それで良しとしておいて下さい」
男「……うう」
先輩「だめですか?」
男「う、了解です」
先輩「よろしい」
――翌日、執行部室
からからから
男「こんにちはっす」
先輩「こんにちは」
男「今日は何かあります?」
先輩「部室連の管理規定会議の草案の印刷です」
カタカタカタ
男「草案なんていつ作ったんです?」
先輩「あと15分で出来ます」
カタカタカタカチョ
男「……」
先輩「……」
男「なんで変な音が混じるんすか?」
先輩「このPC、キーボードのTが欠けて
斜めになっているんです」
男「はぁ」
からからから
男「こんにちはっす」
先輩「こんにちは」
男「今日は何かあります?」
先輩「部室連の管理規定会議の草案の印刷です」
カタカタカタ
男「草案なんていつ作ったんです?」
先輩「あと15分で出来ます」
カタカタカタカチョ
男「……」
先輩「……」
男「なんで変な音が混じるんすか?」
先輩「このPC、キーボードのTが欠けて
斜めになっているんです」
男「はぁ」
カタカチョカタカタ
先輩「別に実用に当たって差し支えはありません」
男「まぁ、そうでしょうけど」
先輩「……」
男「……で、なんで草案作ってるんですか?」
先輩「草案があると会議が手早く終わります」
男「そりゃそうですけど、そういうのは会長がするでしょ?」
先輩「会長はそう言うことをしない人です」
男「まぁ、そうですけどっ」
先輩「他人がやらないので自分もやらない。
その論理で始まるのは、限りないサボタージュの
エコーループです。それは不毛ですよ」
男「理解は出来ますけれど」
先輩「よろしい」
男「――」
先輩「別に実用に当たって差し支えはありません」
男「まぁ、そうでしょうけど」
先輩「……」
男「……で、なんで草案作ってるんですか?」
先輩「草案があると会議が手早く終わります」
男「そりゃそうですけど、そういうのは会長がするでしょ?」
先輩「会長はそう言うことをしない人です」
男「まぁ、そうですけどっ」
先輩「他人がやらないので自分もやらない。
その論理で始まるのは、限りないサボタージュの
エコーループです。それは不毛ですよ」
男「理解は出来ますけれど」
先輩「よろしい」
男「――」
カチャカタカタン
先輩「出来ました」
男「印刷しちゃいますか。職員室で?」
先輩「いえ、資料室がよいでしょう。
……まぁ、作業は終わりましたし。
もうちょっと放課後が深くなってからが良いでしょうね。
あそこは何かと騒がしい場所ですから」
男「ですね。待つのも馬鹿らしいし」
先輩「……」
男「……何してるんですか?」
先輩「いえ、時間を潰そうと」
男「潰そうと?」
先輩「座ってました」
男「……変な先輩」
先輩「そうですか? 立っているより自然です」
男「そうですけど」
先輩「出来ました」
男「印刷しちゃいますか。職員室で?」
先輩「いえ、資料室がよいでしょう。
……まぁ、作業は終わりましたし。
もうちょっと放課後が深くなってからが良いでしょうね。
あそこは何かと騒がしい場所ですから」
男「ですね。待つのも馬鹿らしいし」
先輩「……」
男「……何してるんですか?」
先輩「いえ、時間を潰そうと」
男「潰そうと?」
先輩「座ってました」
男「……変な先輩」
先輩「そうですか? 立っているより自然です」
男「そうですけど」
男「先輩。……オレオ食べます?」
先輩「頂きます」
男「はい」
先輩「では」 パリパリ、クシャ
男「……」
先輩「頂きます」 もぐもぐ
男(先輩が食べてるのは、なんか和むんだよなぁ。
不機嫌そうとかみんな云うけど。
そんな事ねーと思うんだけどな-)
先輩「……」じぃっ
男「どうぞどうぞ」
先輩「良いのですか?」
男「残り全部食べてください」
先輩「頂きます」
男「はい」
先輩「では」 パリパリ、クシャ
男「……」
先輩「頂きます」 もぐもぐ
男(先輩が食べてるのは、なんか和むんだよなぁ。
不機嫌そうとかみんな云うけど。
そんな事ねーと思うんだけどな-)
先輩「……」じぃっ
男「どうぞどうぞ」
先輩「良いのですか?」
男「残り全部食べてください」
先輩「頂きます」 もぐもぐ
男「……」
先輩「わたしは燃費が悪いんです」
男「そうみたいですね。細いのに」
先輩「小さくはありません。平均の範囲内です」
男「はぁ……」
先輩「……お茶が欲しく思うので買ってきます」
男「あ、俺行ってきます」
先輩「いいえ。わたしが奢ります。
男君はここで留守番しててください。
番ですよ?」
男「はぁ」
先輩「いってきます」
男「いってらっしゃい」
がらがら
男「……」
先輩「わたしは燃費が悪いんです」
男「そうみたいですね。細いのに」
先輩「小さくはありません。平均の範囲内です」
男「はぁ……」
先輩「……お茶が欲しく思うので買ってきます」
男「あ、俺行ってきます」
先輩「いいえ。わたしが奢ります。
男君はここで留守番しててください。
番ですよ?」
男「はぁ」
先輩「いってきます」
男「いってらっしゃい」
がらがら
男「なんか……」
男(微妙に距離、おかれてるのか?)
男(いや、先輩はいつもあんなもんだよなぁ……)
男「んー。んっぅ」
男「――うっわ、ちゃんとした資料。
いったい何時仕事してるんだ、あの人」
男(いつでもきびきびしてるから
下級生が怯えるんだよなー。あの人。
いや離してみても怯える可能性あるけど。
愛想ないから。ぷくくっ)
からから
先輩「戻りました」
男(微妙に距離、おかれてるのか?)
男(いや、先輩はいつもあんなもんだよなぁ……)
男「んー。んっぅ」
男「――うっわ、ちゃんとした資料。
いったい何時仕事してるんだ、あの人」
男(いつでもきびきびしてるから
下級生が怯えるんだよなー。あの人。
いや離してみても怯える可能性あるけど。
愛想ないから。ぷくくっ)
からから
先輩「戻りました」
男「お帰りなさい」
先輩「男くんの分は、ミルクティーです」
男「はぁ、ありがとうございます」
先輩「……」こくこく
男「頂きます」
先輩「……どうぞどうぞ。
いつも差し入れもらってますからね」
男「いえ、それは良いんですけどね」
先輩「男くんは」
男「……なんです?」
先輩「……」
男「……」
先輩「なんでもないようです」
男「さいですか」
先輩「男くんの分は、ミルクティーです」
男「はぁ、ありがとうございます」
先輩「……」こくこく
男「頂きます」
先輩「……どうぞどうぞ。
いつも差し入れもらってますからね」
男「いえ、それは良いんですけどね」
先輩「男くんは」
男「……なんです?」
先輩「……」
男「……」
先輩「なんでもないようです」
男「さいですか」
――資料準備室、複合プリンタ
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「そっちでホチキスで留めてください」
男「ほいですよ」
先輩「はい」
男「……よっと」
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「やはり職員室のよりこちらの方が早いですね」
男「いや、それはここのが高性能なんじゃなくて
職員室のが信じられないくらいボロいだけですよ?」
先輩「見てるとイライラします」
男「あー。それは判りますね」
先輩「遅いプリンタは害悪です」
男「ごもっとも」
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「そっちでホチキスで留めてください」
男「ほいですよ」
先輩「はい」
男「……よっと」
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「やはり職員室のよりこちらの方が早いですね」
男「いや、それはここのが高性能なんじゃなくて
職員室のが信じられないくらいボロいだけですよ?」
先輩「見てるとイライラします」
男「あー。それは判りますね」
先輩「遅いプリンタは害悪です」
男「ごもっとも」
先輩「……」
男「……」
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「はい、どぞ」
男「後何種です?」
先輩「2種です」
男「了解」
とんとん、ぱちん。ぱちん。
先輩「男くんは、良くできた後輩ですね」
男「?」
先輩「……」
男(褒められたのかな?)「ありがとうございます」
先輩「はい」
男「……」
ぱちん。ぱちん。
男「……」
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「はい、どぞ」
男「後何種です?」
先輩「2種です」
男「了解」
とんとん、ぱちん。ぱちん。
先輩「男くんは、良くできた後輩ですね」
男「?」
先輩「……」
男(褒められたのかな?)「ありがとうございます」
先輩「はい」
男「……」
ぱちん。ぱちん。
――昼休み、食堂
男「と、ゆーことがあった」
男友「……保留、ねぇ」
男「保留なのか、やっぱり」
男友「無視されたと表現するよりはいんじゃね?」
男「無視、って訳じゃないと思うんですけど」
男友「本当のところは先輩のみぞ知るわけだ」
男「どうなんかなー」
男友「悩むな」
男「悩むよっ」
男友「悩んでも勝率は変わらん。全ては御仏の結縁の
奇なるところのおぼしめしだ」
男「なんだよ。生臭坊主」
男「と、ゆーことがあった」
男友「……保留、ねぇ」
男「保留なのか、やっぱり」
男友「無視されたと表現するよりはいんじゃね?」
男「無視、って訳じゃないと思うんですけど」
男友「本当のところは先輩のみぞ知るわけだ」
男「どうなんかなー」
男友「悩むな」
男「悩むよっ」
男友「悩んでも勝率は変わらん。全ては御仏の結縁の
奇なるところのおぼしめしだ」
男「なんだよ。生臭坊主」
男友「俺は坊主じゃない」
男「将来は継ぐんだろう、生臭坊主」
男友「うちの宗派は妻帯が認められてるんだ」
男「二股三つ股OKな宗派なんてあるかよ」
男友「人生経験を積んでこそ有徳の僧となれる。南無」
男「うっわ、なんか適当云ってる」
男友「煩悩即これ菩提」
男「おまえ、なんでハゲなのにもてるんだろうな」
男友「ハゲではない。剃っているのだ。
剃髪だ。最新モードだぞ? 2500年くらい前の」
男「おおざっぱな話だな、おい」
男友「まぁ、なんだ」
男「うん」
男「将来は継ぐんだろう、生臭坊主」
男友「うちの宗派は妻帯が認められてるんだ」
男「二股三つ股OKな宗派なんてあるかよ」
男友「人生経験を積んでこそ有徳の僧となれる。南無」
男「うっわ、なんか適当云ってる」
男友「煩悩即これ菩提」
男「おまえ、なんでハゲなのにもてるんだろうな」
男友「ハゲではない。剃っているのだ。
剃髪だ。最新モードだぞ? 2500年くらい前の」
男「おおざっぱな話だな、おい」
男友「まぁ、なんだ」
男「うん」
男友「速攻で城塞攻略が出来なければ
時間をかけるしか無かろう?」
男「時間か……」
男友「お前みたいに暗い眼鏡はそういうの得意だろう」
男「暗いとか童貞とか云うな」
男友「このような場合、もっとも効果を発揮するのは
……む。しばし待て」
ドーマン! セーマン! ドーマン!セーマン♪
直グニ呼ビマショ陰陽師 レッツゴー♪
男「最悪の着信音だな」
男友「あー。ミハル-? うん。大丈夫だ。
開けてあるよ。……ん? うん。はははっ。
そんなに気にするなよ。おやすいご用さっ」
男「うっわ、爽やかだ。……まぶしいっ」
男友「そうそう。たまたま手に入ったからね。
そう。おっけー。んじゃ交換しようか」
時間をかけるしか無かろう?」
男「時間か……」
男友「お前みたいに暗い眼鏡はそういうの得意だろう」
男「暗いとか童貞とか云うな」
男友「このような場合、もっとも効果を発揮するのは
……む。しばし待て」
ドーマン! セーマン! ドーマン!セーマン♪
直グニ呼ビマショ陰陽師 レッツゴー♪
男「最悪の着信音だな」
男友「あー。ミハル-? うん。大丈夫だ。
開けてあるよ。……ん? うん。はははっ。
そんなに気にするなよ。おやすいご用さっ」
男「うっわ、爽やかだ。……まぶしいっ」
男友「そうそう。たまたま手に入ったからね。
そう。おっけー。んじゃ交換しようか」
男友「ん。判った。じゃぁ、そだねー。
15時くらいにまたTell入れるわ。
……うん、もちもちっすよ?
ああ、それは期待しちゃうな。
いえいえ、めっそうもない。
いつでもミハルにやられてますよ。ええ。
ははははっ。じゃぁ、また後でっ」
ぽぴっ
男「……」
男友「ふむ、どこまで話したっけ。
……畢竟、お前の問題点というものはだな」
男「いや、お前すごいわ」
男友「どうした?」
男「その切り替えの早さ、尊敬する」
男友「用いては用に従う。禅の思想だ」
男「……マジですごい」
15時くらいにまたTell入れるわ。
……うん、もちもちっすよ?
ああ、それは期待しちゃうな。
いえいえ、めっそうもない。
いつでもミハルにやられてますよ。ええ。
ははははっ。じゃぁ、また後でっ」
ぽぴっ
男「……」
男友「ふむ、どこまで話したっけ。
……畢竟、お前の問題点というものはだな」
男「いや、お前すごいわ」
男友「どうした?」
男「その切り替えの早さ、尊敬する」
男友「用いては用に従う。禅の思想だ」
男「……マジですごい」
男友「こちらのことは良い。いまはとりあえず
男と先輩の先行きだろ?」
男「お、おう」
男友「まぁ、そういう距離感なら仕方ない。
ヒット&アウェイだな」
男「ヒットは良いとして、逃げて良いのか?」
男友「逃げろ。でも逃げすぎるな。
脇を締めろ、えぐり込め。
ジョー。立つんだジョー」
男「……難しい」
男友「俺の小ネタはスルーか」
男「反応に困る」
男友「お前は幸い馬鹿じゃねぇわけだし。
考えながらその辺やってみるべきだ」
男「うーん」
男友「意思表示はしたんだから、後はし続けるのが大事だな」
男「そういうものか。……判った」
男と先輩の先行きだろ?」
男「お、おう」
男友「まぁ、そういう距離感なら仕方ない。
ヒット&アウェイだな」
男「ヒットは良いとして、逃げて良いのか?」
男友「逃げろ。でも逃げすぎるな。
脇を締めろ、えぐり込め。
ジョー。立つんだジョー」
男「……難しい」
男友「俺の小ネタはスルーか」
男「反応に困る」
男友「お前は幸い馬鹿じゃねぇわけだし。
考えながらその辺やってみるべきだ」
男「うーん」
男友「意思表示はしたんだから、後はし続けるのが大事だな」
男「そういうものか。……判った」
――週明け、昼休みの執行部室
からから……
男「いますかー?」
先輩「男くんです」
男「お邪魔します。よいです?」
先輩「こっそりで」
男「ほいほい、こっそり了解」
先輩「……別に悪いことはしてないのですが」
男「まぁ、昼休みにこの部屋勝手に占領ってのもね。
食堂のみんなに申し訳ないだろうし」
先輩「役得です。享受しましょう」
男「先輩、ご飯は?」
先輩「購買のパンです」 がさがさ
男「飲み物もあるんです?」
からから……
男「いますかー?」
先輩「男くんです」
男「お邪魔します。よいです?」
先輩「こっそりで」
男「ほいほい、こっそり了解」
先輩「……別に悪いことはしてないのですが」
男「まぁ、昼休みにこの部屋勝手に占領ってのもね。
食堂のみんなに申し訳ないだろうし」
先輩「役得です。享受しましょう」
男「先輩、ご飯は?」
先輩「購買のパンです」 がさがさ
男「飲み物もあるんです?」
先輩「ありますよ? 今日は紅茶です」
男「ところで」
先輩「はい?」
男「駅前で買ってきたフライドポテトがあるんですが」
先輩「……」
男「舌が火傷しそうなほど熱いヤツ」
先輩「……」
男「食います?」
先輩「頂きます」
男「はい、どうぞ」
先輩「これは熱いですね。用心せねば」
男「ナプキンこっちに置きますよっと」
男「ところで」
先輩「はい?」
男「駅前で買ってきたフライドポテトがあるんですが」
先輩「……」
男「舌が火傷しそうなほど熱いヤツ」
先輩「……」
男「食います?」
先輩「頂きます」
男「はい、どうぞ」
先輩「これは熱いですね。用心せねば」
男「ナプキンこっちに置きますよっと」
先輩「では、遠慮無く」 もぐもぐ
男「じゃ、俺も飯にします。頂きます」
先輩「いただきます」 ぺこり
男「……」ちらっ
先輩「……」 もぐ
男「……」
先輩「美味しいですよ?」
男「あ、はい。どうぞどうぞ」
男(なんか、こうやって差し入れするのが
意思表示だっつーのが、
情けない気分ではあるんだけど。
これも貢いでいるって云うのかねぇ)
先輩「……」じぃ
男「へ?」
男「じゃ、俺も飯にします。頂きます」
先輩「いただきます」 ぺこり
男「……」ちらっ
先輩「……」 もぐ
男「……」
先輩「美味しいですよ?」
男「あ、はい。どうぞどうぞ」
男(なんか、こうやって差し入れするのが
意思表示だっつーのが、
情けない気分ではあるんだけど。
これも貢いでいるって云うのかねぇ)
先輩「……」じぃ
男「へ?」
先輩「いえ……」もぐ
男「……」
がさがさ
先輩「男くんにはフライドポテトをもらったので
卵サンドをあげましょう」
男「良いんですか?」
先輩「良いです。差し上げます」
男「んじゃ、頂きます」
先輩「……」
男(あーん、で食べさせてくれるイベントとか)
先輩「……」もぐもぐ
男(ありませんよねー)
先輩「……」こくこく
男「卵サンド、美味しいですね」
男「……」
がさがさ
先輩「男くんにはフライドポテトをもらったので
卵サンドをあげましょう」
男「良いんですか?」
先輩「良いです。差し上げます」
男「んじゃ、頂きます」
先輩「……」
男(あーん、で食べさせてくれるイベントとか)
先輩「……」もぐもぐ
男(ありませんよねー)
先輩「……」こくこく
男「卵サンド、美味しいですね」
先輩「購買のサンドイッチは大抵いまひとつ
迫力に欠けるのですが、卵サンドに限っては
その迫力の無さが、良い具合にプラスの風情になっています。
つまり“しょんぼり美味しい”という類ですね」
男「しょんぼり美味しい……」
先輩「ちなみにレタスサンドはその対極です。
迫力の無さがむしろマイナス方向に働いた
“しょんぼり不味い”です」
男「はぁ……」
先輩「レタスサンドは罠アイテムです」
男「了解です」
先輩「……」こくん
男(やっぱ変な先輩だ。
でもそれなのに可愛く見えるんだから。
我ながら末期というか……)
先輩「美味しかったです、ごちそうさま」
男「いえいえ、お粗末様です」
先輩「……男くん?」
男「はい?」
迫力に欠けるのですが、卵サンドに限っては
その迫力の無さが、良い具合にプラスの風情になっています。
つまり“しょんぼり美味しい”という類ですね」
男「しょんぼり美味しい……」
先輩「ちなみにレタスサンドはその対極です。
迫力の無さがむしろマイナス方向に働いた
“しょんぼり不味い”です」
男「はぁ……」
先輩「レタスサンドは罠アイテムです」
男「了解です」
先輩「……」こくん
男(やっぱ変な先輩だ。
でもそれなのに可愛く見えるんだから。
我ながら末期というか……)
先輩「美味しかったです、ごちそうさま」
男「いえいえ、お粗末様です」
先輩「……男くん?」
男「はい?」
先輩「胸触ります?」
男「え゛?」
先輩「――」
男「――」
先輩「――」
男「――」
先輩「……困りましたね」
男「いや、こっちこそ。ってかなんですか」がたりっ
先輩「大騒ぎしないでください」
男「~っ。うぅ、はい」
先輩「つまり、わたしの胸に触らないか?
と云う問いかけであり誘いです」
男「いや、えー。え゛~!?」
男「え゛?」
先輩「――」
男「――」
先輩「――」
男「――」
先輩「……困りましたね」
男「いや、こっちこそ。ってかなんですか」がたりっ
先輩「大騒ぎしないでください」
男「~っ。うぅ、はい」
先輩「つまり、わたしの胸に触らないか?
と云う問いかけであり誘いです」
男「いや、えー。え゛~!?」
先輩「……うーん」
男「悩まないでください。意味はわかりました。
いや、よく判りませんけど。
そうじゃなくてっ。
つまり、なんでその発言に至ったかが
全然まったく判りませんけどっ」
先輩「ふむ」
男「なんでそんなに落ち着いてますかっ」
先輩「いや、自分の発言が巻き起こしてしまった
男くんの動揺にかえって落ち着いてしまいました」
男「んな理不尽な」
先輩「つまり、ですね」
男「はい」
先輩「男くんにはいつも差し入れをいただいています。
これには何かお返しをしたい」
男「はぁ」
先輩「ですから胸なんかどうかと思ったのです」
男「悩まないでください。意味はわかりました。
いや、よく判りませんけど。
そうじゃなくてっ。
つまり、なんでその発言に至ったかが
全然まったく判りませんけどっ」
先輩「ふむ」
男「なんでそんなに落ち着いてますかっ」
先輩「いや、自分の発言が巻き起こしてしまった
男くんの動揺にかえって落ち着いてしまいました」
男「んな理不尽な」
先輩「つまり、ですね」
男「はい」
先輩「男くんにはいつも差し入れをいただいています。
これには何かお返しをしたい」
男「はぁ」
先輩「ですから胸なんかどうかと思ったのです」
男「――」
先輩「そんなに無言にならないで下さい。
引かれているのかと思うと些か傷つきます」
男「や、その」
先輩「たかが脂肪のかたまりじゃないですか。
ラードや背脂みたいなものです」
男「それ、女性の台詞じゃないです」
先輩「喜んで貰えるかと考えたのですが」
男「なんの罠かと疑いまくりですよ」
先輩「ただのお返しですよ」
男「……」
先輩「ふむ」 じぃっ
男「なんですか?」
先輩「そんなに無言にならないで下さい。
引かれているのかと思うと些か傷つきます」
男「や、その」
先輩「たかが脂肪のかたまりじゃないですか。
ラードや背脂みたいなものです」
男「それ、女性の台詞じゃないです」
先輩「喜んで貰えるかと考えたのですが」
男「なんの罠かと疑いまくりですよ」
先輩「ただのお返しですよ」
男「……」
先輩「ふむ」 じぃっ
男「なんですか?」
先輩「いや、もしかして。
男くんはお返しでそんな事をするのは潔くない。
男性としていかがなものだろう――
と、このように考えているのではないかと」
男(考えてましたーっ)
先輩「難しく考えすぎですよ」
男「簡単に考えても結論変わりません」
先輩「触ってから考えれば良いではないですか」
男「先輩はそういう人だったわけですかっ!?」
先輩「そうです」こくり
男「首肯せんで下さいよっ。副会長っ」
先輩「触りませんか?」
男「勘弁してください」
先輩「度胸がないと云われてしまいますよ?」
男「度胸より大事なものがあると思いたい派閥です」
男くんはお返しでそんな事をするのは潔くない。
男性としていかがなものだろう――
と、このように考えているのではないかと」
男(考えてましたーっ)
先輩「難しく考えすぎですよ」
男「簡単に考えても結論変わりません」
先輩「触ってから考えれば良いではないですか」
男「先輩はそういう人だったわけですかっ!?」
先輩「そうです」こくり
男「首肯せんで下さいよっ。副会長っ」
先輩「触りませんか?」
男「勘弁してください」
先輩「度胸がないと云われてしまいますよ?」
男「度胸より大事なものがあると思いたい派閥です」
先輩「ふぅ……」
男「……先輩?」
先輩「これでごまかせると色々お互い良いかな、
と思ったのですが」
男「――」
先輩「やっぱり、答えが先に欲しいと?」
男「もちろん」
先輩「……」
男「……」
先輩「……ふむ」
男「もっかい云いますけれど。
俺、先輩のことが好きです。
付き合って欲しいです」
先輩「それは、理解し、受領しました」
男「はい」
先輩「でも」
男「……先輩?」
先輩「これでごまかせると色々お互い良いかな、
と思ったのですが」
男「――」
先輩「やっぱり、答えが先に欲しいと?」
男「もちろん」
先輩「……」
男「……」
先輩「……ふむ」
男「もっかい云いますけれど。
俺、先輩のことが好きです。
付き合って欲しいです」
先輩「それは、理解し、受領しました」
男「はい」
先輩「でも」
先輩「でも――。
やめておいた方が良いと思います」
男「なんでですか……?」
先輩「わたしは異性と恋愛的な文脈で
交際するつもりはないからです」
男「……」
先輩「男くんは、わたしの知っている中で
もっとも出来の良い後輩で、
性格が温かくて人当たりも良いでしょう。
他にいくらでも適当な相手が居ます」
男「そういう物じゃないでしょう」
先輩「はい」
男「……俺は先輩が良いです」
先輩「はい」
男「何でそう言うことを言いますか」
やめておいた方が良いと思います」
男「なんでですか……?」
先輩「わたしは異性と恋愛的な文脈で
交際するつもりはないからです」
男「……」
先輩「男くんは、わたしの知っている中で
もっとも出来の良い後輩で、
性格が温かくて人当たりも良いでしょう。
他にいくらでも適当な相手が居ます」
男「そういう物じゃないでしょう」
先輩「はい」
男「……俺は先輩が良いです」
先輩「はい」
男「何でそう言うことを言いますか」
先輩「まさにそれが理由です」
男「?」
先輩「……」
男「……先輩?」
先輩「男くんのご家庭には、車はありますか?」
男「車? はい。えっと、上の兄貴がこないだ買いました。
軽自動車だけど、すごく喜んでいます」
先輩「なら、説明もしやすいですね」
男「どういうことです?」
先輩「車を購入して、嬉しい。
ドライブに出掛けよう。
都心までやってきた。華やかでいいなぁ。
喉が渇いたからそこらの喫茶店で珈琲でも飲もうか」
男「……?」
先輩「しかし、そこで思い知る。
“駐車場がないと自分は喫茶店には入れない”事を」
男「?」
先輩「……」
男「……先輩?」
先輩「男くんのご家庭には、車はありますか?」
男「車? はい。えっと、上の兄貴がこないだ買いました。
軽自動車だけど、すごく喜んでいます」
先輩「なら、説明もしやすいですね」
男「どういうことです?」
先輩「車を購入して、嬉しい。
ドライブに出掛けよう。
都心までやってきた。華やかでいいなぁ。
喉が渇いたからそこらの喫茶店で珈琲でも飲もうか」
男「……?」
先輩「しかし、そこで思い知る。
“駐車場がないと自分は喫茶店には入れない”事を」
男「えっと、それってどういう話なんですか?」
先輩「車は生活を便利にします。
時には楽しみも与えてくれる。
でも、それなのに、人を限りなく不便にもする。
電車で遊びに行った時は
あんなにも簡単にできた様々なこと
途中で気が向いた店でお茶を飲む、
食事をする、買い物をする。
それなのに、それらは急に
満足に出来ないようになってしまう。
全てが“駐車”というキーワードで制約される。
活動範囲が広がったはずなのに、
移動範囲が広がったはずなのに
なぜか“車”と“駐車場”という場所から、
透明の鎖でも出ているかのように
行動範囲が設定されている自分が居る。
車を活動の中心に据えて考え始める自分。
それは選択自由度という意味でまさに本末転倒です」
男「……」
先輩「車は生活を便利にします。
時には楽しみも与えてくれる。
でも、それなのに、人を限りなく不便にもする。
電車で遊びに行った時は
あんなにも簡単にできた様々なこと
途中で気が向いた店でお茶を飲む、
食事をする、買い物をする。
それなのに、それらは急に
満足に出来ないようになってしまう。
全てが“駐車”というキーワードで制約される。
活動範囲が広がったはずなのに、
移動範囲が広がったはずなのに
なぜか“車”と“駐車場”という場所から、
透明の鎖でも出ているかのように
行動範囲が設定されている自分が居る。
車を活動の中心に据えて考え始める自分。
それは選択自由度という意味でまさに本末転倒です」
男「……」
先輩「また例えばランニングコストの問題もあります。
ランニングコストは車種や
車の利用の仕方にも関係しますが、
駐車場代やガソリン代に始まり、
車検整備費用、自賠責保険料など圧縮の難しいものもあり、
その金額は一説には最低でも
年間40万円前後になるとも云われています」
男「……良く、判りません」
先輩「それが、所有すると云うことの真実です」
男「所有……」
先輩「所有することによって、
様々なデメリットやリスクが発生して、
結局思ったほど自由にはなれないものです」
男「そんな事はないと思います」
ランニングコストは車種や
車の利用の仕方にも関係しますが、
駐車場代やガソリン代に始まり、
車検整備費用、自賠責保険料など圧縮の難しいものもあり、
その金額は一説には最低でも
年間40万円前後になるとも云われています」
男「……良く、判りません」
先輩「それが、所有すると云うことの真実です」
男「所有……」
先輩「所有することによって、
様々なデメリットやリスクが発生して、
結局思ったほど自由にはなれないものです」
男「そんな事はないと思います」
先輩「でも、正しい考察かと推察しています。
男くんはわたしを所有しても、
思ったほどのメリットは得られないと思います」
男「別に所有したいわけじゃないです」
先輩「では、リースで良いでしょう?」
男「リース?」
先輩「レンタカーのように必要な時に借りればいい。
ランニングコストもかからないし、
所有でない以上責任も軽く、
また契約も厳密でなくて良い。
様々なオプションもあり、車種もその都度変えられます。
これは非常に便利な制度だと云えます」
男「そうゆうのってなんかっ」
男くんはわたしを所有しても、
思ったほどのメリットは得られないと思います」
男「別に所有したいわけじゃないです」
先輩「では、リースで良いでしょう?」
男「リース?」
先輩「レンタカーのように必要な時に借りればいい。
ランニングコストもかからないし、
所有でない以上責任も軽く、
また契約も厳密でなくて良い。
様々なオプションもあり、車種もその都度変えられます。
これは非常に便利な制度だと云えます」
男「そうゆうのってなんかっ」
先輩「わたしのことをリースしたいというのなら
それはそれで検討します。
一緒に遊びに行ったり、
一緒に勉強したり、
食事をしたり、
相談に乗ったり。
全部リースで対応できますよ。
他に好きな女の子が出来た時もトラブルがありません」
男「そういうお金のやりとりのようなのは好きじゃないです」
先輩「説明が足りませんでしたね。
対価が欲しいという話ではありません。
男くんは優秀でお気に入りの後輩ですから
なにかを請求しようなんて考えてません。
ただ、わたしを所有しても良いことはないですから
一時的な契約で十分ではないか、
と云う話をしているんです」
男「……」
先輩「不機嫌にさせてしまいましたね。
ごめんなさい。謝罪します」
男「……」
それはそれで検討します。
一緒に遊びに行ったり、
一緒に勉強したり、
食事をしたり、
相談に乗ったり。
全部リースで対応できますよ。
他に好きな女の子が出来た時もトラブルがありません」
男「そういうお金のやりとりのようなのは好きじゃないです」
先輩「説明が足りませんでしたね。
対価が欲しいという話ではありません。
男くんは優秀でお気に入りの後輩ですから
なにかを請求しようなんて考えてません。
ただ、わたしを所有しても良いことはないですから
一時的な契約で十分ではないか、
と云う話をしているんです」
男「……」
先輩「不機嫌にさせてしまいましたね。
ごめんなさい。謝罪します」
男「……」
先輩「お詫びに胸にでも触りますか?」
男「だから、そういうのは嫌です。
ちゃんと付き合ってもいない
人にそう言うことはしませんっ」
先輩「ええ、知ってます。
じゃなければこんな申し出、
怖くて男くん以外にはなかなか出来ません」
男「……」
先輩「わたしは可愛げ無いですよ。
世にツンデレなどというブームがあるそうですが、
わたしは表も裏もこのままです。
ニーズに応えられないと思うのです」
男「俺、子供扱いされてます?」
先輩「少しだけ」
男「聞き分けないな、と思ってます?」
先輩「少しだけ」
男「だから、そういうのは嫌です。
ちゃんと付き合ってもいない
人にそう言うことはしませんっ」
先輩「ええ、知ってます。
じゃなければこんな申し出、
怖くて男くん以外にはなかなか出来ません」
男「……」
先輩「わたしは可愛げ無いですよ。
世にツンデレなどというブームがあるそうですが、
わたしは表も裏もこのままです。
ニーズに応えられないと思うのです」
男「俺、子供扱いされてます?」
先輩「少しだけ」
男「聞き分けないな、と思ってます?」
先輩「少しだけ」
男「……了解。んじゃ、この話は一旦打ち切ります」
先輩「助かります」
男「別に諦めた訳じゃないんですけど」
先輩「友人関係。――もしくは同じ生徒会の
先輩と後輩で良いではないですか。
どうしてもと云うならリースで
学外にテイクアウトも受け付けます。
胸くらいなら触っても良いですよ?」
男「だーかーらー」
先輩「照れている顔も可愛いですね」
男「……」
先輩「気が変わるまで、ちゃんと居ますよ」
男「変わらないです」
先輩「その約束を信じるには
わたし達は少し歳を取りすぎていて、
その約束を誓うにはまだ少しだけ幼いんです」
先輩「助かります」
男「別に諦めた訳じゃないんですけど」
先輩「友人関係。――もしくは同じ生徒会の
先輩と後輩で良いではないですか。
どうしてもと云うならリースで
学外にテイクアウトも受け付けます。
胸くらいなら触っても良いですよ?」
男「だーかーらー」
先輩「照れている顔も可愛いですね」
男「……」
先輩「気が変わるまで、ちゃんと居ますよ」
男「変わらないです」
先輩「その約束を信じるには
わたし達は少し歳を取りすぎていて、
その約束を誓うにはまだ少しだけ幼いんです」
――夕方、ケロケロバーガー
男「って訳で、ふられた」
男友「いや、すっげぇな。超打撃力だな。
達磨大師もびっくりだ。南無」
男「……」
男友「拙僧が聞いた断り台詞の中でも
間違いなく三本の指にの出来だぞ。
是非メモしておこう。そうしよう。何かの時に使えそうだ」
男「マジで勘弁して下さい」
男友「特に“他に好きな女の子が出来た時も、
トラブルがありません”って秀逸だよな。
なんか、“興味も好意もありません”を
迂遠かつ誤解の余地無く伝えるという離れ業だ。
公案でもここまで出来が良いのはなかなか」
男「えぐるなよ」
男友「抉ったのは先輩だ。俺のはただの再生だ」
男「えぐられてるんだよ」
男「って訳で、ふられた」
男友「いや、すっげぇな。超打撃力だな。
達磨大師もびっくりだ。南無」
男「……」
男友「拙僧が聞いた断り台詞の中でも
間違いなく三本の指にの出来だぞ。
是非メモしておこう。そうしよう。何かの時に使えそうだ」
男「マジで勘弁して下さい」
男友「特に“他に好きな女の子が出来た時も、
トラブルがありません”って秀逸だよな。
なんか、“興味も好意もありません”を
迂遠かつ誤解の余地無く伝えるという離れ業だ。
公案でもここまで出来が良いのはなかなか」
男「えぐるなよ」
男友「抉ったのは先輩だ。俺のはただの再生だ」
男「えぐられてるんだよ」
男友「ふむ……」
男「なんだよ」
男友「ケロケロテキサス美味ぇな」
男「BBQソースなんてほっとけ」
男友「おっぱい触りたかったのか?」
男「それが重要な質問なのかよ?」
男友「もちろん。理趣経にもあるとおり
見淸淨句是菩薩位ってやつだ」
男「なんだよそれ」
男友「あー。つまりだな。えろい気持ちを持って
好きな女のおっぱいをみちゃうのはこれもはや
菩薩の境地であると、そういう話だ」
男「で、おまえ。おれが揉みたくなかった
って云ったらどうするんだよ」
男友「このインポ野郎と罵って校内で触れ歩く」
男「なんだよ」
男友「ケロケロテキサス美味ぇな」
男「BBQソースなんてほっとけ」
男友「おっぱい触りたかったのか?」
男「それが重要な質問なのかよ?」
男友「もちろん。理趣経にもあるとおり
見淸淨句是菩薩位ってやつだ」
男「なんだよそれ」
男友「あー。つまりだな。えろい気持ちを持って
好きな女のおっぱいをみちゃうのはこれもはや
菩薩の境地であると、そういう話だ」
男「で、おまえ。おれが揉みたくなかった
って云ったらどうするんだよ」
男友「このインポ野郎と罵って校内で触れ歩く」
男「――触りたかったですよ? そりゃ」 ふいっ
男友「このエロ野郎。変態むっつりスケベめっ」
男「何が云いたいんだ、お前はっ!
両面待ちのダブルトラップかよっ!?」
男友「いや、お前贅沢だなぁ、と」
男「ふられてんだぞ」
男友「おまえ、先輩に惚れてたんだろ?」
男「そうだよ悪いかよっ」
男友「その先輩は、お前を丁寧に
ふってくれたんじゃねぇの?」
男「裏も表もきっちり焼かれて
サニーサイドアップどころかターンオーバーだよ」
男友「確かにお前、矢傷と切り傷でぼろぼろだろうけど」
男「わりぃか」
男友「このエロ野郎。変態むっつりスケベめっ」
男「何が云いたいんだ、お前はっ!
両面待ちのダブルトラップかよっ!?」
男友「いや、お前贅沢だなぁ、と」
男「ふられてんだぞ」
男友「おまえ、先輩に惚れてたんだろ?」
男「そうだよ悪いかよっ」
男友「その先輩は、お前を丁寧に
ふってくれたんじゃねぇの?」
男「裏も表もきっちり焼かれて
サニーサイドアップどころかターンオーバーだよ」
男友「確かにお前、矢傷と切り傷でぼろぼろだろうけど」
男「わりぃか」
男友「その傷が、他の男についてたらどうすんの?」
男「――え」
男友「お前が諦めてくれるならデートでも
勉強会でもこれからのお友達づきあいでも
胸を触らせることでも、何でもやらせてやるって。
――そう言う台詞を、先輩が他の男に言う想像って
したことある?」
男「……」
男友「で、その傷、他の男にくれてやるつもりあるの?」
男「ない」
男友「独占欲、自覚したか?」
男「……した」
男友「相当格好悪いな」
男「うん」
男友「その格好悪さも菩薩の位だと諦めるべき」
男「おまえ、本当に坊主に向いてるな」
男「――え」
男友「お前が諦めてくれるならデートでも
勉強会でもこれからのお友達づきあいでも
胸を触らせることでも、何でもやらせてやるって。
――そう言う台詞を、先輩が他の男に言う想像って
したことある?」
男「……」
男友「で、その傷、他の男にくれてやるつもりあるの?」
男「ない」
男友「独占欲、自覚したか?」
男「……した」
男友「相当格好悪いな」
男「うん」
男友「その格好悪さも菩薩の位だと諦めるべき」
男「おまえ、本当に坊主に向いてるな」
――晩夏、文化祭準備の執行部室
先輩「男くん。暗幕の配当どうなってましたっけ?」
男「この」ぺらっ「予定表です」
三年生男子「予備は……36枚か」
先輩「そうなりますね」
男「はい」
三年生男子「委員の方には何枚借りられる?」
先輩「割り当てどおり、五枚です」
三年生男子「余っているならもうちょっと
都合してくれてもいいじゃないか」
先輩「――」
男「出来ません。この余剰枚数は、
暗幕がすでに劣化していて破けていることも
計算にれてあります。
つまり正規配布が駄目だった場合の
正しく“予備”ですから」
三年生男子「でも、こっちの出し物でも
もっと欲しいんだよな。そもそも申請8でだしてんだけど?」
先輩「男くん。暗幕の配当どうなってましたっけ?」
男「この」ぺらっ「予定表です」
三年生男子「予備は……36枚か」
先輩「そうなりますね」
男「はい」
三年生男子「委員の方には何枚借りられる?」
先輩「割り当てどおり、五枚です」
三年生男子「余っているならもうちょっと
都合してくれてもいいじゃないか」
先輩「――」
男「出来ません。この余剰枚数は、
暗幕がすでに劣化していて破けていることも
計算にれてあります。
つまり正規配布が駄目だった場合の
正しく“予備”ですから」
三年生男子「でも、こっちの出し物でも
もっと欲しいんだよな。そもそも申請8でだしてんだけど?」
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