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元スレ先輩「男くんはよくわたしに差し入れを持ってきますが」

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スレッド評価: スレッド評価について
みんなの評価 : ★★★×5
タグ : - 科学者 + - Dグレ + - MW + - アマガミ + - ヤンデレ + - 先輩 + - 幼馴染 + - 悟空 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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1 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:24:58.49 ID:kpIhVSoR0 (+125,+30,-55)
先輩「もしかしてわたしに好意があるんですか?」
「う……」

先輩「……」
「……」

先輩「……」 もぐもぐ
(……何でこのタイミングでその質問が来ますか先輩)

先輩「……」
「……」

先輩「……?」
「えーっと」

先輩「はい」
「……その、ですね」
2 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:26:17.63 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-100)
先輩「判りました」
「判るんですか」

先輩「どう答えようとしてたにせよ、
 その躊躇の時間が内心を吐露してますよね?」

「――はい」

先輩「理解しました」
「え?」

先輩「……」 もぐもぐ
「……その」

先輩「コロッケパンごちそうさまでした」
「はい」

先輩「では、備品の確認に出掛けましょう」
「……」
3 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:27:34.18 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-95)
――理科準備室

先輩「B-3、鍵OK」
「B-3、鍵OK」

先輩「次行きましょうか」
「はい」

カツン、カツン

先輩「……まだ暮れるのは早いですね」
「寒いっすね」

先輩「……」
「……」

先輩「……」
「その」

先輩「なんです?」
「さっきのなんですけど」
4 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:29:19.92 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-144)
先輩「はい」
「俺、先輩のこと好きなんですけど」

先輩「理解しました」
「……えっと」

先輩「資料室および準備室、鍵OK」
「――鍵OK」

先輩「……」
「……」

カツン、カツン

先輩「男くんの告白を理解し、受領しました」
「……はい」

先輩「それで良しとしておいて下さい」
「……うう」

先輩「だめですか?」
「う、了解です」

先輩「よろしい」
5 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:30:42.17 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-153)
――翌日、執行部室

からからから

「こんにちはっす」
先輩「こんにちは」

「今日は何かあります?」
先輩「部室連の管理規定会議の草案の印刷です」

カタカタカタ

「草案なんていつ作ったんです?」
先輩「あと15分で出来ます」

カタカタカタカチョ

「……」
先輩「……」

「なんで変な音が混じるんすか?」
先輩「このPC、キーボードのTが欠けて
 斜めになっているんです」

「はぁ」
6 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:34:21.27 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-125)
カタカチョカタカタ

先輩「別に実用に当たって差し支えはありません」
「まぁ、そうでしょうけど」

先輩「……」
「……で、なんで草案作ってるんですか?」

先輩「草案があると会議が手早く終わります」
「そりゃそうですけど、そういうのは会長がするでしょ?」

先輩「会長はそう言うことをしない人です」
「まぁ、そうですけどっ」

先輩「他人がやらないので自分もやらない。
 その論理で始まるのは、限りないサボタージュの
 エコーループです。それは不毛ですよ」

「理解は出来ますけれど」

先輩「よろしい」
「――」
7 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:36:56.23 ID:0IRZsViQP (+33,+30,-112)
カチャカタカタン

先輩「出来ました」
「印刷しちゃいますか。職員室で?」

先輩「いえ、資料室がよいでしょう。
 ……まぁ、作業は終わりましたし。
 もうちょっと放課後が深くなってからが良いでしょうね。
 あそこは何かと騒がしい場所ですから」

「ですね。待つのも馬鹿らしいし」

先輩「……」
「……何してるんですか?」

先輩「いえ、時間を潰そうと」
「潰そうと?」

先輩「座ってました」
「……変な先輩」

先輩「そうですか? 立っているより自然です」
「そうですけど」
8 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:39:45.86 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-78)
「先輩。……オレオ食べます?」
先輩「頂きます」

「はい」
先輩「では」 パリパリ、クシャ

「……」
先輩「頂きます」 もぐもぐ

(先輩が食べてるのは、なんか和むんだよなぁ。
 不機嫌そうとかみんな云うけど。
 そんな事ねーと思うんだけどな-)

先輩「……」じぃっ
「どうぞどうぞ」

先輩「良いのですか?」
「残り全部食べてください」
9 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:43:57.12 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-114)
先輩「頂きます」 もぐもぐ
「……」

先輩「わたしは燃費が悪いんです」
「そうみたいですね。細いのに」

先輩「小さくはありません。平均の範囲内です」
「はぁ……」

先輩「……お茶が欲しく思うので買ってきます」
「あ、俺行ってきます」

先輩「いいえ。わたしが奢ります。
 男君はここで留守番しててください。
 番ですよ?」

「はぁ」

先輩「いってきます」
「いってらっしゃい」

がらがら
10 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:45:42.17 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-104)
「なんか……」

(微妙に距離、おかれてるのか?)

(いや、先輩はいつもあんなもんだよなぁ……)

「んー。んっぅ」

「――うっわ、ちゃんとした資料。
 いったい何時仕事してるんだ、あの人」

(いつでもきびきびしてるから
 下級生が怯えるんだよなー。あの人。
 いや離してみても怯える可能性あるけど。
 愛想ないから。ぷくくっ)

からから

先輩「戻りました」
11 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:47:45.65 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-87)
「お帰りなさい」

先輩「男くんの分は、ミルクティーです」
「はぁ、ありがとうございます」

先輩「……」こくこく
「頂きます」

先輩「……どうぞどうぞ。
 いつも差し入れもらってますからね」

「いえ、それは良いんですけどね」

先輩「男くんは」
「……なんです?」

先輩「……」
「……」

先輩「なんでもないようです」
「さいですか」
12 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:51:44.56 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-121)
――資料準備室、複合プリンタ

うぃんがしょーっうぃんがしょーっ

先輩「そっちでホチキスで留めてください」
「ほいですよ」

先輩「はい」
「……よっと」

うぃんがしょーっうぃんがしょーっ

先輩「やはり職員室のよりこちらの方が早いですね」

「いや、それはここのが高性能なんじゃなくて
 職員室のが信じられないくらいボロいだけですよ?」

先輩「見てるとイライラします」
「あー。それは判りますね」

先輩「遅いプリンタは害悪です」
「ごもっとも」
13 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:54:34.06 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-131)
先輩「……」
「……」

うぃんがしょーっうぃんがしょーっ

先輩「はい、どぞ」
「後何種です?」

先輩「2種です」
「了解」

とんとん、ぱちん。ぱちん。

先輩「男くんは、良くできた後輩ですね」
「?」

先輩「……」
(褒められたのかな?)「ありがとうございます」

先輩「はい」
「……」

ぱちん。ぱちん。
14 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 21:56:55.35 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-142)
――昼休み、食堂

「と、ゆーことがあった」

男友「……保留、ねぇ」
「保留なのか、やっぱり」

男友「無視されたと表現するよりはいんじゃね?」
「無視、って訳じゃないと思うんですけど」

男友「本当のところは先輩のみぞ知るわけだ」
「どうなんかなー」

男友「悩むな」
「悩むよっ」

男友「悩んでも勝率は変わらん。全ては御仏の結縁の
 奇なるところのおぼしめしだ」

「なんだよ。生臭坊主」
15 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:01:21.53 ID:0IRZsViQP (+25,+30,-190)
男友「俺は坊主じゃない」
「将来は継ぐんだろう、生臭坊主」

男友「うちの宗派は妻帯が認められてるんだ」
「二股三つ股OKな宗派なんてあるかよ」

男友「人生経験を積んでこそ有徳の僧となれる。南無」
「うっわ、なんか適当云ってる」

男友「煩悩即これ菩提」
「おまえ、なんでハゲなのにもてるんだろうな」

男友「ハゲではない。剃っているのだ。
 剃髪だ。最新モードだぞ? 2500年くらい前の」

「おおざっぱな話だな、おい」

男友「まぁ、なんだ」
「うん」
16 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:07:43.47 ID:Vt2p8GWyO (+2,+17,+0)
いいね

支援
17 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:12:12.25 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-216)
男友「速攻で城塞攻略が出来なければ
 時間をかけるしか無かろう?」
「時間か……」

男友「お前みたいに暗い眼鏡はそういうの得意だろう」
「暗いとか童貞とか云うな」

男友「このような場合、もっとも効果を発揮するのは
 ……む。しばし待て」
 ドーマン! セーマン! ドーマン!セーマン♪
 直グニ呼ビマショ陰陽師 レッツゴー♪

「最悪の着信音だな」

男友「あー。ミハル-? うん。大丈夫だ。
 開けてあるよ。……ん? うん。はははっ。
 そんなに気にするなよ。おやすいご用さっ」

「うっわ、爽やかだ。……まぶしいっ」

男友「そうそう。たまたま手に入ったからね。
 そう。おっけー。んじゃ交換しようか」
18 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:14:29.11 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-149)
男友「ん。判った。じゃぁ、そだねー。
 15時くらいにまたTell入れるわ。
 ……うん、もちもちっすよ?
 ああ、それは期待しちゃうな。
 いえいえ、めっそうもない。
 いつでもミハルにやられてますよ。ええ。
 ははははっ。じゃぁ、また後でっ」

ぽぴっ

「……」

男友「ふむ、どこまで話したっけ。
 ……畢竟、お前の問題点というものはだな」

「いや、お前すごいわ」
男友「どうした?」

「その切り替えの早さ、尊敬する」
男友「用いては用に従う。禅の思想だ」

「……マジですごい」
19 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:17:07.63 ID:0IRZsViQP (+33,+30,-160)
男友「こちらのことは良い。いまはとりあえず
 男と先輩の先行きだろ?」
「お、おう」

男友「まぁ、そういう距離感なら仕方ない。
 ヒット&アウェイだな」
「ヒットは良いとして、逃げて良いのか?」

男友「逃げろ。でも逃げすぎるな。
 脇を締めろ、えぐり込め。
 ジョー。立つんだジョー」
「……難しい」

男友「俺の小ネタはスルーか」
「反応に困る」

男友「お前は幸い馬鹿じゃねぇわけだし。
 考えながらその辺やってみるべきだ」

「うーん」

男友「意思表示はしたんだから、後はし続けるのが大事だな」
「そういうものか。……判った」
20 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:21:01.36 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-129)
――週明け、昼休みの執行部室

からから……

「いますかー?」

先輩「男くんです」
「お邪魔します。よいです?」

先輩「こっそりで」
「ほいほい、こっそり了解」

先輩「……別に悪いことはしてないのですが」
「まぁ、昼休みにこの部屋勝手に占領ってのもね。
 食堂のみんなに申し訳ないだろうし」

先輩「役得です。享受しましょう」
「先輩、ご飯は?」

先輩「購買のパンです」 がさがさ
「飲み物もあるんです?」
21 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:23:31.55 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-116)
先輩「ありますよ? 今日は紅茶です」
「ところで」

先輩「はい?」
「駅前で買ってきたフライドポテトがあるんですが」

先輩「……」
「舌が火傷しそうなほど熱いヤツ」

先輩「……」
「食います?」

先輩「頂きます」
「はい、どうぞ」

先輩「これは熱いですね。用心せねば」
「ナプキンこっちに置きますよっと」
22 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:25:44.86 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-75)
先輩「では、遠慮無く」 もぐもぐ
「じゃ、俺も飯にします。頂きます」

先輩「いただきます」 ぺこり
「……」ちらっ

先輩「……」 もぐ
「……」

先輩「美味しいですよ?」
「あ、はい。どうぞどうぞ」

(なんか、こうやって差し入れするのが
 意思表示だっつーのが、
 情けない気分ではあるんだけど。
 これも貢いでいるって云うのかねぇ)

先輩「……」じぃ
「へ?」
23 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:26:51.06 ID:/jAsIbVrO (+29,+29,-16)
先輩「ここに線をひきますぅー」

「その線を消しますぅー」
24 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:29:38.32 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-90)
先輩「いえ……」もぐ
「……」

がさがさ

先輩「男くんにはフライドポテトをもらったので
 卵サンドをあげましょう」
「良いんですか?」

先輩「良いです。差し上げます」
「んじゃ、頂きます」

先輩「……」
(あーん、で食べさせてくれるイベントとか)

先輩「……」もぐもぐ
(ありませんよねー)

先輩「……」こくこく
「卵サンド、美味しいですね」
25 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:34:05.27 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-154)
先輩「購買のサンドイッチは大抵いまひとつ
 迫力に欠けるのですが、卵サンドに限っては
 その迫力の無さが、良い具合にプラスの風情になっています。
 つまり“しょんぼり美味しい”という類ですね」

「しょんぼり美味しい……」

先輩「ちなみにレタスサンドはその対極です。
 迫力の無さがむしろマイナス方向に働いた
 “しょんぼり不味い”です」

「はぁ……」

先輩「レタスサンドは罠アイテムです」
「了解です」

先輩「……」こくん
(やっぱ変な先輩だ。
 でもそれなのに可愛く見えるんだから。
 我ながら末期というか……)

先輩「美味しかったです、ごちそうさま」
「いえいえ、お粗末様です」

先輩「……男くん?」
「はい?」
26 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:37:03.65 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-70)
先輩「胸触ります?」
「え゛?」

先輩「――」
「――」

先輩「――」
「――」

先輩「……困りましたね」
「いや、こっちこそ。ってかなんですか」がたりっ

先輩「大騒ぎしないでください」
「~っ。うぅ、はい」

先輩「つまり、わたしの胸に触らないか?
 と云う問いかけであり誘いです」

「いや、えー。え゛~!?」
27 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:37:57.04 ID:AQ8ynU2sO (+9,+21,+0)
試運転
28 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:41:03.66 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-142)
先輩「……うーん」

「悩まないでください。意味はわかりました。
 いや、よく判りませんけど。
 そうじゃなくてっ。
 つまり、なんでその発言に至ったかが
 全然まったく判りませんけどっ」

先輩「ふむ」
「なんでそんなに落ち着いてますかっ」

先輩「いや、自分の発言が巻き起こしてしまった
 男くんの動揺にかえって落ち着いてしまいました」
「んな理不尽な」

先輩「つまり、ですね」
「はい」

先輩「男くんにはいつも差し入れをいただいています。
 これには何かお返しをしたい」
「はぁ」

先輩「ですから胸なんかどうかと思ったのです」
29 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:44:03.74 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-90)
「――」

先輩「そんなに無言にならないで下さい。
 引かれているのかと思うと些か傷つきます」

「や、その」
先輩「たかが脂肪のかたまりじゃないですか。
 ラードや背脂みたいなものです」

「それ、女性の台詞じゃないです」

先輩「喜んで貰えるかと考えたのですが」
「なんの罠かと疑いまくりですよ」

先輩「ただのお返しですよ」
「……」

先輩「ふむ」 じぃっ
「なんですか?」
30 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:47:05.78 ID:99aKPM7MO (-20,-8,-1)
支援
31 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:48:06.68 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-163)
先輩「いや、もしかして。
 男くんはお返しでそんな事をするのは潔くない。
 男性としていかがなものだろう――
 と、このように考えているのではないかと」

(考えてましたーっ)

先輩「難しく考えすぎですよ」
「簡単に考えても結論変わりません」

先輩「触ってから考えれば良いではないですか」
「先輩はそういう人だったわけですかっ!?」

先輩「そうです」こくり
「首肯せんで下さいよっ。副会長っ」

先輩「触りませんか?」
「勘弁してください」

先輩「度胸がないと云われてしまいますよ?」
「度胸より大事なものがあると思いたい派閥です」
32 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:51:33.11 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-98)
先輩「ふぅ……」
「……先輩?」

先輩「これでごまかせると色々お互い良いかな、
 と思ったのですが」
「――」

先輩「やっぱり、答えが先に欲しいと?」
「もちろん」

先輩「……」
「……」

先輩「……ふむ」
「もっかい云いますけれど。
 俺、先輩のことが好きです。
 付き合って欲しいです」

先輩「それは、理解し、受領しました」
「はい」

先輩「でも」
33 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:56:11.87 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-118)
先輩「でも――。
 やめておいた方が良いと思います」

「なんでですか……?」

先輩「わたしは異性と恋愛的な文脈で
 交際するつもりはないからです」

「……」

先輩「男くんは、わたしの知っている中で
 もっとも出来の良い後輩で、
 性格が温かくて人当たりも良いでしょう。
 他にいくらでも適当な相手が居ます」

「そういう物じゃないでしょう」

先輩「はい」
「……俺は先輩が良いです」

先輩「はい」
「何でそう言うことを言いますか」
34 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:58:49.24 ID:xTmbnctbO (-23,-8,-1)
支援
35 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 22:59:46.84 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-143)
先輩「まさにそれが理由です」
「?」

先輩「……」
「……先輩?」

先輩「男くんのご家庭には、車はありますか?」

「車? はい。えっと、上の兄貴がこないだ買いました。
 軽自動車だけど、すごく喜んでいます」

先輩「なら、説明もしやすいですね」
「どういうことです?」

先輩「車を購入して、嬉しい。
 ドライブに出掛けよう。
 都心までやってきた。華やかでいいなぁ。
 喉が渇いたからそこらの喫茶店で珈琲でも飲もうか」

「……?」

先輩「しかし、そこで思い知る。
 “駐車場がないと自分は喫茶店には入れない”事を」
36 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:01:24.19 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-152)
「えっと、それってどういう話なんですか?」

先輩「車は生活を便利にします。
 時には楽しみも与えてくれる。
 でも、それなのに、人を限りなく不便にもする。
 電車で遊びに行った時は
 あんなにも簡単にできた様々なこと
 途中で気が向いた店でお茶を飲む、
 食事をする、買い物をする。
 それなのに、それらは急に
 満足に出来ないようになってしまう。
 全てが“駐車”というキーワードで制約される。
 活動範囲が広がったはずなのに、
 移動範囲が広がったはずなのに
 なぜか“車”と“駐車場”という場所から、
 透明の鎖でも出ているかのように
 行動範囲が設定されている自分が居る。
 車を活動の中心に据えて考え始める自分。
 それは選択自由度という意味でまさに本末転倒です」

「……」
37 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:02:47.37 ID:AQ8ynU2sO (-4,+7,-1)
しえ
38 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:03:31.87 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-175)
先輩「また例えばランニングコストの問題もあります。
 ランニングコストは車種や
 車の利用の仕方にも関係しますが、
 駐車場代やガソリン代に始まり、
 車検整備費用、自賠責保険料など圧縮の難しいものもあり、
 その金額は一説には最低でも
 年間40万円前後になるとも云われています」

「……良く、判りません」

先輩「それが、所有すると云うことの真実です」

「所有……」

先輩「所有することによって、
 様々なデメリットやリスクが発生して、
 結局思ったほど自由にはなれないものです」

「そんな事はないと思います」
39 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:05:17.45 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-129)
先輩「でも、正しい考察かと推察しています。
 男くんはわたしを所有しても、
 思ったほどのメリットは得られないと思います」

「別に所有したいわけじゃないです」

先輩「では、リースで良いでしょう?」

「リース?」

先輩「レンタカーのように必要な時に借りればいい。
 ランニングコストもかからないし、
 所有でない以上責任も軽く、
 また契約も厳密でなくて良い。
 様々なオプションもあり、車種もその都度変えられます。
 これは非常に便利な制度だと云えます」

「そうゆうのってなんかっ」

40 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:08:46.55 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-148)
先輩「わたしのことをリースしたいというのなら
 それはそれで検討します。
 一緒に遊びに行ったり、
 一緒に勉強したり、
 食事をしたり、
 相談に乗ったり。
 全部リースで対応できますよ。
 他に好きな女の子が出来た時もトラブルがありません」

「そういうお金のやりとりのようなのは好きじゃないです」

先輩「説明が足りませんでしたね。
 対価が欲しいという話ではありません。
 男くんは優秀でお気に入りの後輩ですから
 なにかを請求しようなんて考えてません。
 ただ、わたしを所有しても良いことはないですから
 一時的な契約で十分ではないか、
 と云う話をしているんです」

「……」

先輩「不機嫌にさせてしまいましたね。
 ごめんなさい。謝罪します」

「……」
41 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:10:22.04 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-153)
先輩「お詫びに胸にでも触りますか?」

「だから、そういうのは嫌です。
 ちゃんと付き合ってもいない
 人にそう言うことはしませんっ」

先輩「ええ、知ってます。
 じゃなければこんな申し出、
 怖くて男くん以外にはなかなか出来ません」

「……」

先輩「わたしは可愛げ無いですよ。
 世にツンデレなどというブームがあるそうですが、
 わたしは表も裏もこのままです。
 ニーズに応えられないと思うのです」

「俺、子供扱いされてます?」

先輩「少しだけ」

「聞き分けないな、と思ってます?」

先輩「少しだけ」
42 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:12:32.59 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-144)
「……了解。んじゃ、この話は一旦打ち切ります」
先輩「助かります」

「別に諦めた訳じゃないんですけど」

先輩「友人関係。――もしくは同じ生徒会の
 先輩と後輩で良いではないですか。
 どうしてもと云うならリースで
 学外にテイクアウトも受け付けます。
 胸くらいなら触っても良いですよ?」

「だーかーらー」

先輩「照れている顔も可愛いですね」

「……」

先輩「気が変わるまで、ちゃんと居ますよ」
「変わらないです」

先輩「その約束を信じるには
 わたし達は少し歳を取りすぎていて、
 その約束を誓うにはまだ少しだけ幼いんです」
43 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:16:28.94 ID:vPW7PCTuO (+18,+28,-3)
これは、なかなか…支援
44 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:23:36.32 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-164)
――夕方、ケロケロバーガー

「って訳で、ふられた」

男友「いや、すっげぇな。超打撃力だな。
 達磨大師もびっくりだ。南無」

「……」

男友「拙僧が聞いた断り台詞の中でも
 間違いなく三本の指にの出来だぞ。
 是非メモしておこう。そうしよう。何かの時に使えそうだ」

「マジで勘弁して下さい」

男友「特に“他に好きな女の子が出来た時も、
 トラブルがありません”って秀逸だよな。
 なんか、“興味も好意もありません”を
 迂遠かつ誤解の余地無く伝えるという離れ業だ。
 公案でもここまで出来が良いのはなかなか」

「えぐるなよ」

男友「抉ったのは先輩だ。俺のはただの再生だ」

「えぐられてるんだよ」
45 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:26:36.03 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-195)
男友「ふむ……」
「なんだよ」

男友「ケロケロテキサス美味ぇな」
「BBQソースなんてほっとけ」

男友「おっぱい触りたかったのか?」
「それが重要な質問なのかよ?」

男友「もちろん。理趣経にもあるとおり
 見淸淨句是菩薩位ってやつだ」

「なんだよそれ」

男友「あー。つまりだな。えろい気持ちを持って
 好きな女のおっぱいをみちゃうのはこれもはや
 菩薩の境地であると、そういう話だ」

「で、おまえ。おれが揉みたくなかった
 って云ったらどうするんだよ」

男友「このインポ野郎と罵って校内で触れ歩く」
46 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:32:24.99 ID:0IRZsViQP (+28,+30,-170)
「――触りたかったですよ? そりゃ」 ふいっ

男友「このエロ野郎。変態むっつりスケベめっ」

「何が云いたいんだ、お前はっ!
 両面待ちのダブルトラップかよっ!?」

男友「いや、お前贅沢だなぁ、と」
「ふられてんだぞ」

男友「おまえ、先輩に惚れてたんだろ?」
「そうだよ悪いかよっ」

男友「その先輩は、お前を丁寧に
 ふってくれたんじゃねぇの?」

「裏も表もきっちり焼かれて
 サニーサイドアップどころかターンオーバーだよ」

男友「確かにお前、矢傷と切り傷でぼろぼろだろうけど」
「わりぃか」
47 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:34:37.49 ID:0IRZsViQP (+35,+30,-199)
男友「その傷が、他の男についてたらどうすんの?」
「――え」

男友「お前が諦めてくれるならデートでも
 勉強会でもこれからのお友達づきあいでも
 胸を触らせることでも、何でもやらせてやるって。
 ――そう言う台詞を、先輩が他の男に言う想像って
 したことある?」

「……」

男友「で、その傷、他の男にくれてやるつもりあるの?」

「ない」

男友「独占欲、自覚したか?」
「……した」

男友「相当格好悪いな」
「うん」

男友「その格好悪さも菩薩の位だと諦めるべき」
「おまえ、本当に坊主に向いてるな」
48 : 以下、名無しにか - 2010/01/31(日) 23:53:18.57 ID:xTmbnctbO (+19,+29,+0)
あげるてやるさ何度でも
49 : 以下、名無しにか - 2010/02/01(月) 00:13:40.80 ID:mlkmggmT0 (+0,+15,-12)
しえん
50 : 以下、名無しにか - 2010/02/01(月) 00:17:40.44 ID:1Bq+cX16P (+50,+30,-253)
――晩夏、文化祭準備の執行部室

先輩「男くん。暗幕の配当どうなってましたっけ?」
「この」ぺらっ「予定表です」

三年生「予備は……36枚か」

先輩「そうなりますね」
「はい」

三年生「委員の方には何枚借りられる?」
先輩「割り当てどおり、五枚です」

三年生「余っているならもうちょっと
 都合してくれてもいいじゃないか」

先輩「――」
「出来ません。この余剰枚数は、
 暗幕がすでに劣化していて破けていることも
 計算にれてあります。
 つまり正規配布が駄目だった場合の
 正しく“予備”ですから」

三年生「でも、こっちの出し物でも
 もっと欲しいんだよな。そもそも申請8でだしてんだけど?」
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