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    元スレ先輩「男くんはよくわたしに差し入れを持ってきますが」

    SS覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×5
    タグ : - 科学者 + - Dグレ + - MW + - アマガミ + - ヤンデレ + - 先輩 + - 幼馴染 + - 悟空 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    先輩「もしかしてわたしに好意があるんですか?」
    「う……」

    先輩「……」
    「……」

    先輩「……」 もぐもぐ
    (……何でこのタイミングでその質問が来ますか先輩)

    先輩「……」
    「……」

    先輩「……?」
    「えーっと」

    先輩「はい」
    「……その、ですね」

    2 :

    先輩「判りました」
    「判るんですか」

    先輩「どう答えようとしてたにせよ、
     その躊躇の時間が内心を吐露してますよね?」

    「――はい」

    先輩「理解しました」
    「え?」

    先輩「……」 もぐもぐ
    「……その」

    先輩「コロッケパンごちそうさまでした」
    「はい」

    先輩「では、備品の確認に出掛けましょう」
    「……」

    3 = 2 :

    ――理科準備室

    先輩「B-3、鍵OK」
    「B-3、鍵OK」

    先輩「次行きましょうか」
    「はい」

    カツン、カツン

    先輩「……まだ暮れるのは早いですね」
    「寒いっすね」

    先輩「……」
    「……」

    先輩「……」
    「その」

    先輩「なんです?」
    「さっきのなんですけど」

    4 = 2 :

    先輩「はい」
    「俺、先輩のこと好きなんですけど」

    先輩「理解しました」
    「……えっと」

    先輩「資料室および準備室、鍵OK」
    「――鍵OK」

    先輩「……」
    「……」

    カツン、カツン

    先輩「男くんの告白を理解し、受領しました」
    「……はい」

    先輩「それで良しとしておいて下さい」
    「……うう」

    先輩「だめですか?」
    「う、了解です」

    先輩「よろしい」

    5 = 2 :

    ――翌日、執行部室

    からからから

    「こんにちはっす」
    先輩「こんにちは」

    「今日は何かあります?」
    先輩「部室連の管理規定会議の草案の印刷です」

    カタカタカタ

    「草案なんていつ作ったんです?」
    先輩「あと15分で出来ます」

    カタカタカタカチョ

    「……」
    先輩「……」

    「なんで変な音が混じるんすか?」
    先輩「このPC、キーボードのTが欠けて
     斜めになっているんです」

    「はぁ」

    6 = 2 :

    カタカチョカタカタ

    先輩「別に実用に当たって差し支えはありません」
    「まぁ、そうでしょうけど」

    先輩「……」
    「……で、なんで草案作ってるんですか?」

    先輩「草案があると会議が手早く終わります」
    「そりゃそうですけど、そういうのは会長がするでしょ?」

    先輩「会長はそう言うことをしない人です」
    「まぁ、そうですけどっ」

    先輩「他人がやらないので自分もやらない。
     その論理で始まるのは、限りないサボタージュの
     エコーループです。それは不毛ですよ」

    「理解は出来ますけれど」

    先輩「よろしい」
    「――」

    7 = 2 :

    カチャカタカタン

    先輩「出来ました」
    「印刷しちゃいますか。職員室で?」

    先輩「いえ、資料室がよいでしょう。
     ……まぁ、作業は終わりましたし。
     もうちょっと放課後が深くなってからが良いでしょうね。
     あそこは何かと騒がしい場所ですから」

    「ですね。待つのも馬鹿らしいし」

    先輩「……」
    「……何してるんですか?」

    先輩「いえ、時間を潰そうと」
    「潰そうと?」

    先輩「座ってました」
    「……変な先輩」

    先輩「そうですか? 立っているより自然です」
    「そうですけど」

    8 = 2 :

    「先輩。……オレオ食べます?」
    先輩「頂きます」

    「はい」
    先輩「では」 パリパリ、クシャ

    「……」
    先輩「頂きます」 もぐもぐ

    (先輩が食べてるのは、なんか和むんだよなぁ。
     不機嫌そうとかみんな云うけど。
     そんな事ねーと思うんだけどな-)

    先輩「……」じぃっ
    「どうぞどうぞ」

    先輩「良いのですか?」
    「残り全部食べてください」

    9 = 2 :

    先輩「頂きます」 もぐもぐ
    「……」

    先輩「わたしは燃費が悪いんです」
    「そうみたいですね。細いのに」

    先輩「小さくはありません。平均の範囲内です」
    「はぁ……」

    先輩「……お茶が欲しく思うので買ってきます」
    「あ、俺行ってきます」

    先輩「いいえ。わたしが奢ります。
     男君はここで留守番しててください。
     番ですよ?」

    「はぁ」

    先輩「いってきます」
    「いってらっしゃい」

    がらがら

    10 = 2 :

    「なんか……」

    (微妙に距離、おかれてるのか?)

    (いや、先輩はいつもあんなもんだよなぁ……)

    「んー。んっぅ」

    「――うっわ、ちゃんとした資料。
     いったい何時仕事してるんだ、あの人」

    (いつでもきびきびしてるから
     下級生が怯えるんだよなー。あの人。
     いや離してみても怯える可能性あるけど。
     愛想ないから。ぷくくっ)

    からから

    先輩「戻りました」

    11 = 2 :

    「お帰りなさい」

    先輩「男くんの分は、ミルクティーです」
    「はぁ、ありがとうございます」

    先輩「……」こくこく
    「頂きます」

    先輩「……どうぞどうぞ。
     いつも差し入れもらってますからね」

    「いえ、それは良いんですけどね」

    先輩「男くんは」
    「……なんです?」

    先輩「……」
    「……」

    先輩「なんでもないようです」
    「さいですか」

    12 = 2 :

    ――資料準備室、複合プリンタ

    うぃんがしょーっうぃんがしょーっ

    先輩「そっちでホチキスで留めてください」
    「ほいですよ」

    先輩「はい」
    「……よっと」

    うぃんがしょーっうぃんがしょーっ

    先輩「やはり職員室のよりこちらの方が早いですね」

    「いや、それはここのが高性能なんじゃなくて
     職員室のが信じられないくらいボロいだけですよ?」

    先輩「見てるとイライラします」
    「あー。それは判りますね」

    先輩「遅いプリンタは害悪です」
    「ごもっとも」

    13 = 2 :

    先輩「……」
    「……」

    うぃんがしょーっうぃんがしょーっ

    先輩「はい、どぞ」
    「後何種です?」

    先輩「2種です」
    「了解」

    とんとん、ぱちん。ぱちん。

    先輩「男くんは、良くできた後輩ですね」
    「?」

    先輩「……」
    (褒められたのかな?)「ありがとうございます」

    先輩「はい」
    「……」

    ぱちん。ぱちん。

    14 = 2 :

    ――昼休み、食堂

    「と、ゆーことがあった」

    男友「……保留、ねぇ」
    「保留なのか、やっぱり」

    男友「無視されたと表現するよりはいんじゃね?」
    「無視、って訳じゃないと思うんですけど」

    男友「本当のところは先輩のみぞ知るわけだ」
    「どうなんかなー」

    男友「悩むな」
    「悩むよっ」

    男友「悩んでも勝率は変わらん。全ては御仏の結縁の
     奇なるところのおぼしめしだ」

    「なんだよ。生臭坊主」

    15 = 2 :

    男友「俺は坊主じゃない」
    「将来は継ぐんだろう、生臭坊主」

    男友「うちの宗派は妻帯が認められてるんだ」
    「二股三つ股OKな宗派なんてあるかよ」

    男友「人生経験を積んでこそ有徳の僧となれる。南無」
    「うっわ、なんか適当云ってる」

    男友「煩悩即これ菩提」
    「おまえ、なんでハゲなのにもてるんだろうな」

    男友「ハゲではない。剃っているのだ。
     剃髪だ。最新モードだぞ? 2500年くらい前の」

    「おおざっぱな話だな、おい」

    男友「まぁ、なんだ」
    「うん」

    16 :

    いいね

    支援

    17 = 2 :

    男友「速攻で城塞攻略が出来なければ
     時間をかけるしか無かろう?」
    「時間か……」

    男友「お前みたいに暗い眼鏡はそういうの得意だろう」
    「暗いとか童貞とか云うな」

    男友「このような場合、もっとも効果を発揮するのは
     ……む。しばし待て」
     ドーマン! セーマン! ドーマン!セーマン♪
     直グニ呼ビマショ陰陽師 レッツゴー♪

    「最悪の着信音だな」

    男友「あー。ミハル-? うん。大丈夫だ。
     開けてあるよ。……ん? うん。はははっ。
     そんなに気にするなよ。おやすいご用さっ」

    「うっわ、爽やかだ。……まぶしいっ」

    男友「そうそう。たまたま手に入ったからね。
     そう。おっけー。んじゃ交換しようか」

    18 = 2 :

    男友「ん。判った。じゃぁ、そだねー。
     15時くらいにまたTell入れるわ。
     ……うん、もちもちっすよ?
     ああ、それは期待しちゃうな。
     いえいえ、めっそうもない。
     いつでもミハルにやられてますよ。ええ。
     ははははっ。じゃぁ、また後でっ」

    ぽぴっ

    「……」

    男友「ふむ、どこまで話したっけ。
     ……畢竟、お前の問題点というものはだな」

    「いや、お前すごいわ」
    男友「どうした?」

    「その切り替えの早さ、尊敬する」
    男友「用いては用に従う。禅の思想だ」

    「……マジですごい」

    19 = 2 :

    男友「こちらのことは良い。いまはとりあえず
     男と先輩の先行きだろ?」
    「お、おう」

    男友「まぁ、そういう距離感なら仕方ない。
     ヒット&アウェイだな」
    「ヒットは良いとして、逃げて良いのか?」

    男友「逃げろ。でも逃げすぎるな。
     脇を締めろ、えぐり込め。
     ジョー。立つんだジョー」
    「……難しい」

    男友「俺の小ネタはスルーか」
    「反応に困る」

    男友「お前は幸い馬鹿じゃねぇわけだし。
     考えながらその辺やってみるべきだ」

    「うーん」

    男友「意思表示はしたんだから、後はし続けるのが大事だな」
    「そういうものか。……判った」

    20 = 2 :

    ――週明け、昼休みの執行部室

    からから……

    「いますかー?」

    先輩「男くんです」
    「お邪魔します。よいです?」

    先輩「こっそりで」
    「ほいほい、こっそり了解」

    先輩「……別に悪いことはしてないのですが」
    「まぁ、昼休みにこの部屋勝手に占領ってのもね。
     食堂のみんなに申し訳ないだろうし」

    先輩「役得です。享受しましょう」
    「先輩、ご飯は?」

    先輩「購買のパンです」 がさがさ
    「飲み物もあるんです?」

    21 = 2 :

    先輩「ありますよ? 今日は紅茶です」
    「ところで」

    先輩「はい?」
    「駅前で買ってきたフライドポテトがあるんですが」

    先輩「……」
    「舌が火傷しそうなほど熱いヤツ」

    先輩「……」
    「食います?」

    先輩「頂きます」
    「はい、どうぞ」

    先輩「これは熱いですね。用心せねば」
    「ナプキンこっちに置きますよっと」

    22 = 2 :

    先輩「では、遠慮無く」 もぐもぐ
    「じゃ、俺も飯にします。頂きます」

    先輩「いただきます」 ぺこり
    「……」ちらっ

    先輩「……」 もぐ
    「……」

    先輩「美味しいですよ?」
    「あ、はい。どうぞどうぞ」

    (なんか、こうやって差し入れするのが
     意思表示だっつーのが、
     情けない気分ではあるんだけど。
     これも貢いでいるって云うのかねぇ)

    先輩「……」じぃ
    「へ?」

    23 :

    先輩「ここに線をひきますぅー」

    「その線を消しますぅー」

    24 = 2 :

    先輩「いえ……」もぐ
    「……」

    がさがさ

    先輩「男くんにはフライドポテトをもらったので
     卵サンドをあげましょう」
    「良いんですか?」

    先輩「良いです。差し上げます」
    「んじゃ、頂きます」

    先輩「……」
    (あーん、で食べさせてくれるイベントとか)

    先輩「……」もぐもぐ
    (ありませんよねー)

    先輩「……」こくこく
    「卵サンド、美味しいですね」

    25 = 2 :

    先輩「購買のサンドイッチは大抵いまひとつ
     迫力に欠けるのですが、卵サンドに限っては
     その迫力の無さが、良い具合にプラスの風情になっています。
     つまり“しょんぼり美味しい”という類ですね」

    「しょんぼり美味しい……」

    先輩「ちなみにレタスサンドはその対極です。
     迫力の無さがむしろマイナス方向に働いた
     “しょんぼり不味い”です」

    「はぁ……」

    先輩「レタスサンドは罠アイテムです」
    「了解です」

    先輩「……」こくん
    (やっぱ変な先輩だ。
     でもそれなのに可愛く見えるんだから。
     我ながら末期というか……)

    先輩「美味しかったです、ごちそうさま」
    「いえいえ、お粗末様です」

    先輩「……男くん?」
    「はい?」

    26 = 2 :

    先輩「胸触ります?」
    「え゛?」

    先輩「――」
    「――」

    先輩「――」
    「――」

    先輩「……困りましたね」
    「いや、こっちこそ。ってかなんですか」がたりっ

    先輩「大騒ぎしないでください」
    「~っ。うぅ、はい」

    先輩「つまり、わたしの胸に触らないか?
     と云う問いかけであり誘いです」

    「いや、えー。え゛~!?」

    27 :

    試運転

    28 = 2 :

    先輩「……うーん」

    「悩まないでください。意味はわかりました。
     いや、よく判りませんけど。
     そうじゃなくてっ。
     つまり、なんでその発言に至ったかが
     全然まったく判りませんけどっ」

    先輩「ふむ」
    「なんでそんなに落ち着いてますかっ」

    先輩「いや、自分の発言が巻き起こしてしまった
     男くんの動揺にかえって落ち着いてしまいました」
    「んな理不尽な」

    先輩「つまり、ですね」
    「はい」

    先輩「男くんにはいつも差し入れをいただいています。
     これには何かお返しをしたい」
    「はぁ」

    先輩「ですから胸なんかどうかと思ったのです」

    29 = 2 :

    「――」

    先輩「そんなに無言にならないで下さい。
     引かれているのかと思うと些か傷つきます」

    「や、その」
    先輩「たかが脂肪のかたまりじゃないですか。
     ラードや背脂みたいなものです」

    「それ、女性の台詞じゃないです」

    先輩「喜んで貰えるかと考えたのですが」
    「なんの罠かと疑いまくりですよ」

    先輩「ただのお返しですよ」
    「……」

    先輩「ふむ」 じぃっ
    「なんですか?」

    31 = 2 :

    先輩「いや、もしかして。
     男くんはお返しでそんな事をするのは潔くない。
     男性としていかがなものだろう――
     と、このように考えているのではないかと」

    (考えてましたーっ)

    先輩「難しく考えすぎですよ」
    「簡単に考えても結論変わりません」

    先輩「触ってから考えれば良いではないですか」
    「先輩はそういう人だったわけですかっ!?」

    先輩「そうです」こくり
    「首肯せんで下さいよっ。副会長っ」

    先輩「触りませんか?」
    「勘弁してください」

    先輩「度胸がないと云われてしまいますよ?」
    「度胸より大事なものがあると思いたい派閥です」

    32 = 2 :

    先輩「ふぅ……」
    「……先輩?」

    先輩「これでごまかせると色々お互い良いかな、
     と思ったのですが」
    「――」

    先輩「やっぱり、答えが先に欲しいと?」
    「もちろん」

    先輩「……」
    「……」

    先輩「……ふむ」
    「もっかい云いますけれど。
     俺、先輩のことが好きです。
     付き合って欲しいです」

    先輩「それは、理解し、受領しました」
    「はい」

    先輩「でも」

    33 = 2 :

    先輩「でも――。
     やめておいた方が良いと思います」

    「なんでですか……?」

    先輩「わたしは異性と恋愛的な文脈で
     交際するつもりはないからです」

    「……」

    先輩「男くんは、わたしの知っている中で
     もっとも出来の良い後輩で、
     性格が温かくて人当たりも良いでしょう。
     他にいくらでも適当な相手が居ます」

    「そういう物じゃないでしょう」

    先輩「はい」
    「……俺は先輩が良いです」

    先輩「はい」
    「何でそう言うことを言いますか」

    35 = 2 :

    先輩「まさにそれが理由です」
    「?」

    先輩「……」
    「……先輩?」

    先輩「男くんのご家庭には、車はありますか?」

    「車? はい。えっと、上の兄貴がこないだ買いました。
     軽自動車だけど、すごく喜んでいます」

    先輩「なら、説明もしやすいですね」
    「どういうことです?」

    先輩「車を購入して、嬉しい。
     ドライブに出掛けよう。
     都心までやってきた。華やかでいいなぁ。
     喉が渇いたからそこらの喫茶店で珈琲でも飲もうか」

    「……?」

    先輩「しかし、そこで思い知る。
     “駐車場がないと自分は喫茶店には入れない”事を」

    36 = 2 :

    「えっと、それってどういう話なんですか?」

    先輩「車は生活を便利にします。
     時には楽しみも与えてくれる。
     でも、それなのに、人を限りなく不便にもする。
     電車で遊びに行った時は
     あんなにも簡単にできた様々なこと
     途中で気が向いた店でお茶を飲む、
     食事をする、買い物をする。
     それなのに、それらは急に
     満足に出来ないようになってしまう。
     全てが“駐車”というキーワードで制約される。
     活動範囲が広がったはずなのに、
     移動範囲が広がったはずなのに
     なぜか“車”と“駐車場”という場所から、
     透明の鎖でも出ているかのように
     行動範囲が設定されている自分が居る。
     車を活動の中心に据えて考え始める自分。
     それは選択自由度という意味でまさに本末転倒です」

    「……」

    38 = 2 :

    先輩「また例えばランニングコストの問題もあります。
     ランニングコストは車種や
     車の利用の仕方にも関係しますが、
     駐車場代やガソリン代に始まり、
     車検整備費用、自賠責保険料など圧縮の難しいものもあり、
     その金額は一説には最低でも
     年間40万円前後になるとも云われています」

    「……良く、判りません」

    先輩「それが、所有すると云うことの真実です」

    「所有……」

    先輩「所有することによって、
     様々なデメリットやリスクが発生して、
     結局思ったほど自由にはなれないものです」

    「そんな事はないと思います」

    39 = 2 :

    先輩「でも、正しい考察かと推察しています。
     男くんはわたしを所有しても、
     思ったほどのメリットは得られないと思います」

    「別に所有したいわけじゃないです」

    先輩「では、リースで良いでしょう?」

    「リース?」

    先輩「レンタカーのように必要な時に借りればいい。
     ランニングコストもかからないし、
     所有でない以上責任も軽く、
     また契約も厳密でなくて良い。
     様々なオプションもあり、車種もその都度変えられます。
     これは非常に便利な制度だと云えます」

    「そうゆうのってなんかっ」

    40 = 2 :

    先輩「わたしのことをリースしたいというのなら
     それはそれで検討します。
     一緒に遊びに行ったり、
     一緒に勉強したり、
     食事をしたり、
     相談に乗ったり。
     全部リースで対応できますよ。
     他に好きな女の子が出来た時もトラブルがありません」

    「そういうお金のやりとりのようなのは好きじゃないです」

    先輩「説明が足りませんでしたね。
     対価が欲しいという話ではありません。
     男くんは優秀でお気に入りの後輩ですから
     なにかを請求しようなんて考えてません。
     ただ、わたしを所有しても良いことはないですから
     一時的な契約で十分ではないか、
     と云う話をしているんです」

    「……」

    先輩「不機嫌にさせてしまいましたね。
     ごめんなさい。謝罪します」

    「……」

    41 = 2 :

    先輩「お詫びに胸にでも触りますか?」

    「だから、そういうのは嫌です。
     ちゃんと付き合ってもいない
     人にそう言うことはしませんっ」

    先輩「ええ、知ってます。
     じゃなければこんな申し出、
     怖くて男くん以外にはなかなか出来ません」

    「……」

    先輩「わたしは可愛げ無いですよ。
     世にツンデレなどというブームがあるそうですが、
     わたしは表も裏もこのままです。
     ニーズに応えられないと思うのです」

    「俺、子供扱いされてます?」

    先輩「少しだけ」

    「聞き分けないな、と思ってます?」

    先輩「少しだけ」

    42 = 2 :

    「……了解。んじゃ、この話は一旦打ち切ります」
    先輩「助かります」

    「別に諦めた訳じゃないんですけど」

    先輩「友人関係。――もしくは同じ生徒会の
     先輩と後輩で良いではないですか。
     どうしてもと云うならリースで
     学外にテイクアウトも受け付けます。
     胸くらいなら触っても良いですよ?」

    「だーかーらー」

    先輩「照れている顔も可愛いですね」

    「……」

    先輩「気が変わるまで、ちゃんと居ますよ」
    「変わらないです」

    先輩「その約束を信じるには
     わたし達は少し歳を取りすぎていて、
     その約束を誓うにはまだ少しだけ幼いんです」

    43 :

    これは、なかなか…支援

    44 = 2 :

    ――夕方、ケロケロバーガー

    「って訳で、ふられた」

    男友「いや、すっげぇな。超打撃力だな。
     達磨大師もびっくりだ。南無」

    「……」

    男友「拙僧が聞いた断り台詞の中でも
     間違いなく三本の指にの出来だぞ。
     是非メモしておこう。そうしよう。何かの時に使えそうだ」

    「マジで勘弁して下さい」

    男友「特に“他に好きな女の子が出来た時も、
     トラブルがありません”って秀逸だよな。
     なんか、“興味も好意もありません”を
     迂遠かつ誤解の余地無く伝えるという離れ業だ。
     公案でもここまで出来が良いのはなかなか」

    「えぐるなよ」

    男友「抉ったのは先輩だ。俺のはただの再生だ」

    「えぐられてるんだよ」

    45 = 2 :

    男友「ふむ……」
    「なんだよ」

    男友「ケロケロテキサス美味ぇな」
    「BBQソースなんてほっとけ」

    男友「おっぱい触りたかったのか?」
    「それが重要な質問なのかよ?」

    男友「もちろん。理趣経にもあるとおり
     見淸淨句是菩薩位ってやつだ」

    「なんだよそれ」

    男友「あー。つまりだな。えろい気持ちを持って
     好きな女のおっぱいをみちゃうのはこれもはや
     菩薩の境地であると、そういう話だ」

    「で、おまえ。おれが揉みたくなかった
     って云ったらどうするんだよ」

    男友「このインポ野郎と罵って校内で触れ歩く」

    46 = 2 :

    「――触りたかったですよ? そりゃ」 ふいっ

    男友「このエロ野郎。変態むっつりスケベめっ」

    「何が云いたいんだ、お前はっ!
     両面待ちのダブルトラップかよっ!?」

    男友「いや、お前贅沢だなぁ、と」
    「ふられてんだぞ」

    男友「おまえ、先輩に惚れてたんだろ?」
    「そうだよ悪いかよっ」

    男友「その先輩は、お前を丁寧に
     ふってくれたんじゃねぇの?」

    「裏も表もきっちり焼かれて
     サニーサイドアップどころかターンオーバーだよ」

    男友「確かにお前、矢傷と切り傷でぼろぼろだろうけど」
    「わりぃか」

    47 = 2 :

    男友「その傷が、他の男についてたらどうすんの?」
    「――え」

    男友「お前が諦めてくれるならデートでも
     勉強会でもこれからのお友達づきあいでも
     胸を触らせることでも、何でもやらせてやるって。
     ――そう言う台詞を、先輩が他の男に言う想像って
     したことある?」

    「……」

    男友「で、その傷、他の男にくれてやるつもりあるの?」

    「ない」

    男友「独占欲、自覚したか?」
    「……した」

    男友「相当格好悪いな」
    「うん」

    男友「その格好悪さも菩薩の位だと諦めるべき」
    「おまえ、本当に坊主に向いてるな」

    48 = 34 :

    あげるてやるさ何度でも

    50 :

    ――晩夏、文化祭準備の執行部室

    先輩「男くん。暗幕の配当どうなってましたっけ?」
    「この」ぺらっ「予定表です」

    三年生「予備は……36枚か」

    先輩「そうなりますね」
    「はい」

    三年生「委員の方には何枚借りられる?」
    先輩「割り当てどおり、五枚です」

    三年生「余っているならもうちょっと
     都合してくれてもいいじゃないか」

    先輩「――」
    「出来ません。この余剰枚数は、
     暗幕がすでに劣化していて破けていることも
     計算にれてあります。
     つまり正規配布が駄目だった場合の
     正しく“予備”ですから」

    三年生「でも、こっちの出し物でも
     もっと欲しいんだよな。そもそも申請8でだしてんだけど?」


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