元スレ先輩「男くんはよくわたしに差し入れを持ってきますが」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★×5
1 :
先輩「もしかしてわたしに好意があるんですか?」
男「う……」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」 もぐもぐ
男(……何でこのタイミングでその質問が来ますか先輩)
先輩「……」
男「……」
先輩「……?」
男「えーっと」
先輩「はい」
男「……その、ですね」
2 :
先輩「判りました」
男「判るんですか」
先輩「どう答えようとしてたにせよ、
その躊躇の時間が内心を吐露してますよね?」
男「――はい」
先輩「理解しました」
男「え?」
先輩「……」 もぐもぐ
男「……その」
先輩「コロッケパンごちそうさまでした」
男「はい」
先輩「では、備品の確認に出掛けましょう」
男「……」
3 = 2 :
――理科準備室
先輩「B-3、鍵OK」
男「B-3、鍵OK」
先輩「次行きましょうか」
男「はい」
カツン、カツン
先輩「……まだ暮れるのは早いですね」
男「寒いっすね」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「その」
先輩「なんです?」
男「さっきのなんですけど」
4 = 2 :
先輩「はい」
男「俺、先輩のこと好きなんですけど」
先輩「理解しました」
男「……えっと」
先輩「資料室および準備室、鍵OK」
男「――鍵OK」
先輩「……」
男「……」
カツン、カツン
先輩「男くんの告白を理解し、受領しました」
男「……はい」
先輩「それで良しとしておいて下さい」
男「……うう」
先輩「だめですか?」
男「う、了解です」
先輩「よろしい」
5 = 2 :
――翌日、執行部室
からからから
男「こんにちはっす」
先輩「こんにちは」
男「今日は何かあります?」
先輩「部室連の管理規定会議の草案の印刷です」
カタカタカタ
男「草案なんていつ作ったんです?」
先輩「あと15分で出来ます」
カタカタカタカチョ
男「……」
先輩「……」
男「なんで変な音が混じるんすか?」
先輩「このPC、キーボードのTが欠けて
斜めになっているんです」
男「はぁ」
6 = 2 :
カタカチョカタカタ
先輩「別に実用に当たって差し支えはありません」
男「まぁ、そうでしょうけど」
先輩「……」
男「……で、なんで草案作ってるんですか?」
先輩「草案があると会議が手早く終わります」
男「そりゃそうですけど、そういうのは会長がするでしょ?」
先輩「会長はそう言うことをしない人です」
男「まぁ、そうですけどっ」
先輩「他人がやらないので自分もやらない。
その論理で始まるのは、限りないサボタージュの
エコーループです。それは不毛ですよ」
男「理解は出来ますけれど」
先輩「よろしい」
男「――」
7 = 2 :
カチャカタカタン
先輩「出来ました」
男「印刷しちゃいますか。職員室で?」
先輩「いえ、資料室がよいでしょう。
……まぁ、作業は終わりましたし。
もうちょっと放課後が深くなってからが良いでしょうね。
あそこは何かと騒がしい場所ですから」
男「ですね。待つのも馬鹿らしいし」
先輩「……」
男「……何してるんですか?」
先輩「いえ、時間を潰そうと」
男「潰そうと?」
先輩「座ってました」
男「……変な先輩」
先輩「そうですか? 立っているより自然です」
男「そうですけど」
8 = 2 :
男「先輩。……オレオ食べます?」
先輩「頂きます」
男「はい」
先輩「では」 パリパリ、クシャ
男「……」
先輩「頂きます」 もぐもぐ
男(先輩が食べてるのは、なんか和むんだよなぁ。
不機嫌そうとかみんな云うけど。
そんな事ねーと思うんだけどな-)
先輩「……」じぃっ
男「どうぞどうぞ」
先輩「良いのですか?」
男「残り全部食べてください」
9 = 2 :
先輩「頂きます」 もぐもぐ
男「……」
先輩「わたしは燃費が悪いんです」
男「そうみたいですね。細いのに」
先輩「小さくはありません。平均の範囲内です」
男「はぁ……」
先輩「……お茶が欲しく思うので買ってきます」
男「あ、俺行ってきます」
先輩「いいえ。わたしが奢ります。
男君はここで留守番しててください。
番ですよ?」
男「はぁ」
先輩「いってきます」
男「いってらっしゃい」
がらがら
10 = 2 :
男「なんか……」
男(微妙に距離、おかれてるのか?)
男(いや、先輩はいつもあんなもんだよなぁ……)
男「んー。んっぅ」
男「――うっわ、ちゃんとした資料。
いったい何時仕事してるんだ、あの人」
男(いつでもきびきびしてるから
下級生が怯えるんだよなー。あの人。
いや離してみても怯える可能性あるけど。
愛想ないから。ぷくくっ)
からから
先輩「戻りました」
11 = 2 :
男「お帰りなさい」
先輩「男くんの分は、ミルクティーです」
男「はぁ、ありがとうございます」
先輩「……」こくこく
男「頂きます」
先輩「……どうぞどうぞ。
いつも差し入れもらってますからね」
男「いえ、それは良いんですけどね」
先輩「男くんは」
男「……なんです?」
先輩「……」
男「……」
先輩「なんでもないようです」
男「さいですか」
12 = 2 :
――資料準備室、複合プリンタ
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「そっちでホチキスで留めてください」
男「ほいですよ」
先輩「はい」
男「……よっと」
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「やはり職員室のよりこちらの方が早いですね」
男「いや、それはここのが高性能なんじゃなくて
職員室のが信じられないくらいボロいだけですよ?」
先輩「見てるとイライラします」
男「あー。それは判りますね」
先輩「遅いプリンタは害悪です」
男「ごもっとも」
13 = 2 :
先輩「……」
男「……」
うぃんがしょーっうぃんがしょーっ
先輩「はい、どぞ」
男「後何種です?」
先輩「2種です」
男「了解」
とんとん、ぱちん。ぱちん。
先輩「男くんは、良くできた後輩ですね」
男「?」
先輩「……」
男(褒められたのかな?)「ありがとうございます」
先輩「はい」
男「……」
ぱちん。ぱちん。
14 = 2 :
――昼休み、食堂
男「と、ゆーことがあった」
男友「……保留、ねぇ」
男「保留なのか、やっぱり」
男友「無視されたと表現するよりはいんじゃね?」
男「無視、って訳じゃないと思うんですけど」
男友「本当のところは先輩のみぞ知るわけだ」
男「どうなんかなー」
男友「悩むな」
男「悩むよっ」
男友「悩んでも勝率は変わらん。全ては御仏の結縁の
奇なるところのおぼしめしだ」
男「なんだよ。生臭坊主」
15 = 2 :
男友「俺は坊主じゃない」
男「将来は継ぐんだろう、生臭坊主」
男友「うちの宗派は妻帯が認められてるんだ」
男「二股三つ股OKな宗派なんてあるかよ」
男友「人生経験を積んでこそ有徳の僧となれる。南無」
男「うっわ、なんか適当云ってる」
男友「煩悩即これ菩提」
男「おまえ、なんでハゲなのにもてるんだろうな」
男友「ハゲではない。剃っているのだ。
剃髪だ。最新モードだぞ? 2500年くらい前の」
男「おおざっぱな話だな、おい」
男友「まぁ、なんだ」
男「うん」
16 :
いいね
支援
17 = 2 :
男友「速攻で城塞攻略が出来なければ
時間をかけるしか無かろう?」
男「時間か……」
男友「お前みたいに暗い眼鏡はそういうの得意だろう」
男「暗いとか童貞とか云うな」
男友「このような場合、もっとも効果を発揮するのは
……む。しばし待て」
ドーマン! セーマン! ドーマン!セーマン♪
直グニ呼ビマショ陰陽師 レッツゴー♪
男「最悪の着信音だな」
男友「あー。ミハル-? うん。大丈夫だ。
開けてあるよ。……ん? うん。はははっ。
そんなに気にするなよ。おやすいご用さっ」
男「うっわ、爽やかだ。……まぶしいっ」
男友「そうそう。たまたま手に入ったからね。
そう。おっけー。んじゃ交換しようか」
18 = 2 :
男友「ん。判った。じゃぁ、そだねー。
15時くらいにまたTell入れるわ。
……うん、もちもちっすよ?
ああ、それは期待しちゃうな。
いえいえ、めっそうもない。
いつでもミハルにやられてますよ。ええ。
ははははっ。じゃぁ、また後でっ」
ぽぴっ
男「……」
男友「ふむ、どこまで話したっけ。
……畢竟、お前の問題点というものはだな」
男「いや、お前すごいわ」
男友「どうした?」
男「その切り替えの早さ、尊敬する」
男友「用いては用に従う。禅の思想だ」
男「……マジですごい」
19 = 2 :
男友「こちらのことは良い。いまはとりあえず
男と先輩の先行きだろ?」
男「お、おう」
男友「まぁ、そういう距離感なら仕方ない。
ヒット&アウェイだな」
男「ヒットは良いとして、逃げて良いのか?」
男友「逃げろ。でも逃げすぎるな。
脇を締めろ、えぐり込め。
ジョー。立つんだジョー」
男「……難しい」
男友「俺の小ネタはスルーか」
男「反応に困る」
男友「お前は幸い馬鹿じゃねぇわけだし。
考えながらその辺やってみるべきだ」
男「うーん」
男友「意思表示はしたんだから、後はし続けるのが大事だな」
男「そういうものか。……判った」
20 = 2 :
――週明け、昼休みの執行部室
からから……
男「いますかー?」
先輩「男くんです」
男「お邪魔します。よいです?」
先輩「こっそりで」
男「ほいほい、こっそり了解」
先輩「……別に悪いことはしてないのですが」
男「まぁ、昼休みにこの部屋勝手に占領ってのもね。
食堂のみんなに申し訳ないだろうし」
先輩「役得です。享受しましょう」
男「先輩、ご飯は?」
先輩「購買のパンです」 がさがさ
男「飲み物もあるんです?」
21 = 2 :
先輩「ありますよ? 今日は紅茶です」
男「ところで」
先輩「はい?」
男「駅前で買ってきたフライドポテトがあるんですが」
先輩「……」
男「舌が火傷しそうなほど熱いヤツ」
先輩「……」
男「食います?」
先輩「頂きます」
男「はい、どうぞ」
先輩「これは熱いですね。用心せねば」
男「ナプキンこっちに置きますよっと」
22 = 2 :
先輩「では、遠慮無く」 もぐもぐ
男「じゃ、俺も飯にします。頂きます」
先輩「いただきます」 ぺこり
男「……」ちらっ
先輩「……」 もぐ
男「……」
先輩「美味しいですよ?」
男「あ、はい。どうぞどうぞ」
男(なんか、こうやって差し入れするのが
意思表示だっつーのが、
情けない気分ではあるんだけど。
これも貢いでいるって云うのかねぇ)
先輩「……」じぃ
男「へ?」
23 :
先輩「ここに線をひきますぅー」
男「その線を消しますぅー」
24 = 2 :
先輩「いえ……」もぐ
男「……」
がさがさ
先輩「男くんにはフライドポテトをもらったので
卵サンドをあげましょう」
男「良いんですか?」
先輩「良いです。差し上げます」
男「んじゃ、頂きます」
先輩「……」
男(あーん、で食べさせてくれるイベントとか)
先輩「……」もぐもぐ
男(ありませんよねー)
先輩「……」こくこく
男「卵サンド、美味しいですね」
25 = 2 :
先輩「購買のサンドイッチは大抵いまひとつ
迫力に欠けるのですが、卵サンドに限っては
その迫力の無さが、良い具合にプラスの風情になっています。
つまり“しょんぼり美味しい”という類ですね」
男「しょんぼり美味しい……」
先輩「ちなみにレタスサンドはその対極です。
迫力の無さがむしろマイナス方向に働いた
“しょんぼり不味い”です」
男「はぁ……」
先輩「レタスサンドは罠アイテムです」
男「了解です」
先輩「……」こくん
男(やっぱ変な先輩だ。
でもそれなのに可愛く見えるんだから。
我ながら末期というか……)
先輩「美味しかったです、ごちそうさま」
男「いえいえ、お粗末様です」
先輩「……男くん?」
男「はい?」
26 = 2 :
先輩「胸触ります?」
男「え゛?」
先輩「――」
男「――」
先輩「――」
男「――」
先輩「……困りましたね」
男「いや、こっちこそ。ってかなんですか」がたりっ
先輩「大騒ぎしないでください」
男「~っ。うぅ、はい」
先輩「つまり、わたしの胸に触らないか?
と云う問いかけであり誘いです」
男「いや、えー。え゛~!?」
27 :
試運転
28 = 2 :
先輩「……うーん」
男「悩まないでください。意味はわかりました。
いや、よく判りませんけど。
そうじゃなくてっ。
つまり、なんでその発言に至ったかが
全然まったく判りませんけどっ」
先輩「ふむ」
男「なんでそんなに落ち着いてますかっ」
先輩「いや、自分の発言が巻き起こしてしまった
男くんの動揺にかえって落ち着いてしまいました」
男「んな理不尽な」
先輩「つまり、ですね」
男「はい」
先輩「男くんにはいつも差し入れをいただいています。
これには何かお返しをしたい」
男「はぁ」
先輩「ですから胸なんかどうかと思ったのです」
29 = 2 :
男「――」
先輩「そんなに無言にならないで下さい。
引かれているのかと思うと些か傷つきます」
男「や、その」
先輩「たかが脂肪のかたまりじゃないですか。
ラードや背脂みたいなものです」
男「それ、女性の台詞じゃないです」
先輩「喜んで貰えるかと考えたのですが」
男「なんの罠かと疑いまくりですよ」
先輩「ただのお返しですよ」
男「……」
先輩「ふむ」 じぃっ
男「なんですか?」
31 = 2 :
先輩「いや、もしかして。
男くんはお返しでそんな事をするのは潔くない。
男性としていかがなものだろう――
と、このように考えているのではないかと」
男(考えてましたーっ)
先輩「難しく考えすぎですよ」
男「簡単に考えても結論変わりません」
先輩「触ってから考えれば良いではないですか」
男「先輩はそういう人だったわけですかっ!?」
先輩「そうです」こくり
男「首肯せんで下さいよっ。副会長っ」
先輩「触りませんか?」
男「勘弁してください」
先輩「度胸がないと云われてしまいますよ?」
男「度胸より大事なものがあると思いたい派閥です」
32 = 2 :
先輩「ふぅ……」
男「……先輩?」
先輩「これでごまかせると色々お互い良いかな、
と思ったのですが」
男「――」
先輩「やっぱり、答えが先に欲しいと?」
男「もちろん」
先輩「……」
男「……」
先輩「……ふむ」
男「もっかい云いますけれど。
俺、先輩のことが好きです。
付き合って欲しいです」
先輩「それは、理解し、受領しました」
男「はい」
先輩「でも」
33 = 2 :
先輩「でも――。
やめておいた方が良いと思います」
男「なんでですか……?」
先輩「わたしは異性と恋愛的な文脈で
交際するつもりはないからです」
男「……」
先輩「男くんは、わたしの知っている中で
もっとも出来の良い後輩で、
性格が温かくて人当たりも良いでしょう。
他にいくらでも適当な相手が居ます」
男「そういう物じゃないでしょう」
先輩「はい」
男「……俺は先輩が良いです」
先輩「はい」
男「何でそう言うことを言いますか」
35 = 2 :
先輩「まさにそれが理由です」
男「?」
先輩「……」
男「……先輩?」
先輩「男くんのご家庭には、車はありますか?」
男「車? はい。えっと、上の兄貴がこないだ買いました。
軽自動車だけど、すごく喜んでいます」
先輩「なら、説明もしやすいですね」
男「どういうことです?」
先輩「車を購入して、嬉しい。
ドライブに出掛けよう。
都心までやってきた。華やかでいいなぁ。
喉が渇いたからそこらの喫茶店で珈琲でも飲もうか」
男「……?」
先輩「しかし、そこで思い知る。
“駐車場がないと自分は喫茶店には入れない”事を」
36 = 2 :
男「えっと、それってどういう話なんですか?」
先輩「車は生活を便利にします。
時には楽しみも与えてくれる。
でも、それなのに、人を限りなく不便にもする。
電車で遊びに行った時は
あんなにも簡単にできた様々なこと
途中で気が向いた店でお茶を飲む、
食事をする、買い物をする。
それなのに、それらは急に
満足に出来ないようになってしまう。
全てが“駐車”というキーワードで制約される。
活動範囲が広がったはずなのに、
移動範囲が広がったはずなのに
なぜか“車”と“駐車場”という場所から、
透明の鎖でも出ているかのように
行動範囲が設定されている自分が居る。
車を活動の中心に据えて考え始める自分。
それは選択自由度という意味でまさに本末転倒です」
男「……」
38 = 2 :
先輩「また例えばランニングコストの問題もあります。
ランニングコストは車種や
車の利用の仕方にも関係しますが、
駐車場代やガソリン代に始まり、
車検整備費用、自賠責保険料など圧縮の難しいものもあり、
その金額は一説には最低でも
年間40万円前後になるとも云われています」
男「……良く、判りません」
先輩「それが、所有すると云うことの真実です」
男「所有……」
先輩「所有することによって、
様々なデメリットやリスクが発生して、
結局思ったほど自由にはなれないものです」
男「そんな事はないと思います」
39 = 2 :
先輩「でも、正しい考察かと推察しています。
男くんはわたしを所有しても、
思ったほどのメリットは得られないと思います」
男「別に所有したいわけじゃないです」
先輩「では、リースで良いでしょう?」
男「リース?」
先輩「レンタカーのように必要な時に借りればいい。
ランニングコストもかからないし、
所有でない以上責任も軽く、
また契約も厳密でなくて良い。
様々なオプションもあり、車種もその都度変えられます。
これは非常に便利な制度だと云えます」
男「そうゆうのってなんかっ」
40 = 2 :
先輩「わたしのことをリースしたいというのなら
それはそれで検討します。
一緒に遊びに行ったり、
一緒に勉強したり、
食事をしたり、
相談に乗ったり。
全部リースで対応できますよ。
他に好きな女の子が出来た時もトラブルがありません」
男「そういうお金のやりとりのようなのは好きじゃないです」
先輩「説明が足りませんでしたね。
対価が欲しいという話ではありません。
男くんは優秀でお気に入りの後輩ですから
なにかを請求しようなんて考えてません。
ただ、わたしを所有しても良いことはないですから
一時的な契約で十分ではないか、
と云う話をしているんです」
男「……」
先輩「不機嫌にさせてしまいましたね。
ごめんなさい。謝罪します」
男「……」
41 = 2 :
先輩「お詫びに胸にでも触りますか?」
男「だから、そういうのは嫌です。
ちゃんと付き合ってもいない
人にそう言うことはしませんっ」
先輩「ええ、知ってます。
じゃなければこんな申し出、
怖くて男くん以外にはなかなか出来ません」
男「……」
先輩「わたしは可愛げ無いですよ。
世にツンデレなどというブームがあるそうですが、
わたしは表も裏もこのままです。
ニーズに応えられないと思うのです」
男「俺、子供扱いされてます?」
先輩「少しだけ」
男「聞き分けないな、と思ってます?」
先輩「少しだけ」
42 = 2 :
男「……了解。んじゃ、この話は一旦打ち切ります」
先輩「助かります」
男「別に諦めた訳じゃないんですけど」
先輩「友人関係。――もしくは同じ生徒会の
先輩と後輩で良いではないですか。
どうしてもと云うならリースで
学外にテイクアウトも受け付けます。
胸くらいなら触っても良いですよ?」
男「だーかーらー」
先輩「照れている顔も可愛いですね」
男「……」
先輩「気が変わるまで、ちゃんと居ますよ」
男「変わらないです」
先輩「その約束を信じるには
わたし達は少し歳を取りすぎていて、
その約束を誓うにはまだ少しだけ幼いんです」
43 :
これは、なかなか…支援
44 = 2 :
――夕方、ケロケロバーガー
男「って訳で、ふられた」
男友「いや、すっげぇな。超打撃力だな。
達磨大師もびっくりだ。南無」
男「……」
男友「拙僧が聞いた断り台詞の中でも
間違いなく三本の指にの出来だぞ。
是非メモしておこう。そうしよう。何かの時に使えそうだ」
男「マジで勘弁して下さい」
男友「特に“他に好きな女の子が出来た時も、
トラブルがありません”って秀逸だよな。
なんか、“興味も好意もありません”を
迂遠かつ誤解の余地無く伝えるという離れ業だ。
公案でもここまで出来が良いのはなかなか」
男「えぐるなよ」
男友「抉ったのは先輩だ。俺のはただの再生だ」
男「えぐられてるんだよ」
45 = 2 :
男友「ふむ……」
男「なんだよ」
男友「ケロケロテキサス美味ぇな」
男「BBQソースなんてほっとけ」
男友「おっぱい触りたかったのか?」
男「それが重要な質問なのかよ?」
男友「もちろん。理趣経にもあるとおり
見淸淨句是菩薩位ってやつだ」
男「なんだよそれ」
男友「あー。つまりだな。えろい気持ちを持って
好きな女のおっぱいをみちゃうのはこれもはや
菩薩の境地であると、そういう話だ」
男「で、おまえ。おれが揉みたくなかった
って云ったらどうするんだよ」
男友「このインポ野郎と罵って校内で触れ歩く」
46 = 2 :
男「――触りたかったですよ? そりゃ」 ふいっ
男友「このエロ野郎。変態むっつりスケベめっ」
男「何が云いたいんだ、お前はっ!
両面待ちのダブルトラップかよっ!?」
男友「いや、お前贅沢だなぁ、と」
男「ふられてんだぞ」
男友「おまえ、先輩に惚れてたんだろ?」
男「そうだよ悪いかよっ」
男友「その先輩は、お前を丁寧に
ふってくれたんじゃねぇの?」
男「裏も表もきっちり焼かれて
サニーサイドアップどころかターンオーバーだよ」
男友「確かにお前、矢傷と切り傷でぼろぼろだろうけど」
男「わりぃか」
47 = 2 :
男友「その傷が、他の男についてたらどうすんの?」
男「――え」
男友「お前が諦めてくれるならデートでも
勉強会でもこれからのお友達づきあいでも
胸を触らせることでも、何でもやらせてやるって。
――そう言う台詞を、先輩が他の男に言う想像って
したことある?」
男「……」
男友「で、その傷、他の男にくれてやるつもりあるの?」
男「ない」
男友「独占欲、自覚したか?」
男「……した」
男友「相当格好悪いな」
男「うん」
男友「その格好悪さも菩薩の位だと諦めるべき」
男「おまえ、本当に坊主に向いてるな」
48 = 34 :
あげるてやるさ何度でも
50 :
――晩夏、文化祭準備の執行部室
先輩「男くん。暗幕の配当どうなってましたっけ?」
男「この」ぺらっ「予定表です」
三年生男子「予備は……36枚か」
先輩「そうなりますね」
男「はい」
三年生男子「委員の方には何枚借りられる?」
先輩「割り当てどおり、五枚です」
三年生男子「余っているならもうちょっと
都合してくれてもいいじゃないか」
先輩「――」
男「出来ません。この余剰枚数は、
暗幕がすでに劣化していて破けていることも
計算にれてあります。
つまり正規配布が駄目だった場合の
正しく“予備”ですから」
三年生男子「でも、こっちの出し物でも
もっと欲しいんだよな。そもそも申請8でだしてんだけど?」
みんなの評価 : ★★★×5
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