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    元スレ女騎士「私は女であることなど捨てたのだ」

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    401 = 193 :

    兵士AB「「…………は?」」

    医師「……おいおい騎士さんよ、そりゃ冗談でも許されんレベルだぞ」

    騎士「冗談ではない」

    兵士B「だったら何故」

    騎士「……姫は王妃を愛しておられる」

    医師「…私怨か?」

    騎士「それも無いとは言えん。 が、」

    騎士「……王妃は姫を愛してなどいない」

    医師「なっ、…だからって」

    騎士「…今までの魔物の襲撃……全て王妃の企てだ」

    兵士AB「「!?」」

    402 = 233 :

    ならば私怨だ

    403 :

    力技で堕とすよりも、ロウラクされて自分の意思で溺れていく方が好きだな
    そんなの滅多にないけど

    404 = 193 :

    騎士「私が怪我をし、最初に町に行った帰り……魔物と王妃が会話するのを見た」

    兵士A「…見間違いということは」

    騎士「一応でも主である者の顔と声を間違える配下があるか。 夜目も効く」

    騎士「次の日からは国の魔物の住処の正確な位置を調べて回った」

    騎士「魔物の住処の調査は王妃が禁止していたのは知ってのとおりだ」

    騎士「そして今日、魔物の襲撃」

    兵士A「……分かっていた、と言うのですか」

    騎士「正確な日時を把握していたわけではない。
        その為に、姫に土産を買い、いつでも私の部屋に誘えるようにした」

    兵士B「意図的に、姫を兵舎に…」

    騎士「……襲撃に乗じて王妃を狙いに行ったが、行く道行く道で魔物に邪魔されたのだ」

    騎士「王妃を守るように、な」

    兵士A「……」

    405 = 193 :

    騎士「おかしな話だ、魔物のくせに人の多い兵舎も医療塔も襲わんのだ」

    騎士「……王妃の、姫だけを狙った企てだ」

    騎士「だから明日、正面から、この手で」

    兵士A「……」

    兵士B「……」

    兵士A「…だったら、魔物だけを殺せば」

    騎士「魔物など世界中にいる。
        根絶やしにでもしない限り、王妃はまた別の魔物に話を持ちかけるだろう」

    兵士A「……」

    407 = 193 :

    兵士B「王妃の事を国中に知らせるのは」

    騎士「愛されていないなど、姫が知って幸せになれるとでも言うのか」

    兵士B「それは…」

    騎士「姫が王妃を愛し、また愛されていると……
        "優しい母"としての王妃を、姫の中に残すことが…姫にとって一番の選択だ」

    騎士「だから、私が」

    兵士A「…しかし、王妃様を殺めるなど…自ら死にに行くようなものです」

    騎士「構わない。 姫の為なら、私の命など」

    兵士A「…ッ」

    408 :

    409 = 193 :

    兵士B「…だったら、俺が行きますよ」

    騎士「阿呆か。 お前には妻子がいるだろう」

    兵士A「でしたら!」

    騎士「駄目だ。 私の後任には別の兵が来るだろう、が、姫はお前に任せたい」

    兵士A「……ッ」

    騎士「…私の持っていた土地。 それもお前らにやる。
        書類はあとお前らの印を押すだけだ、昼間のうちにに提出しておけ」

    騎士「あと、明日……護衛が終わり次第王妃の処へ向かう。
        それまでに、昔使っていた古い方の裏口に馬をつないでおいてくれ。 あそこは警備が手薄だ」

    騎士「最後に、この件が終わった後、事情を訊かれると思うが……」

    騎士「お前たちは関わっていないと。 知らぬ存ぜぬを決め通せ」

    騎士「……これは上官としての最後の命令だ」

    騎士「…話は以上。 お前たち、部屋に戻っていいぞ」

    410 = 193 :

     バタン

    騎士「……」

    騎士「…よく出来た部下たちだ」

    医師「……本気なのか」

    騎士「ん、ああ」

    医師「死ぬんだぞ」

    騎士「分かっている。 王妃を殺し、兵から逃げ切れても、
        魔物の住処に行き、まぁできる限りのことはするが、当然生きては帰れんだろうな」

    騎士「…っと、そう言えば死んだら私の金はお前にやると言っていたな」

    騎士「休み中に半分を施設に寄付しておいたからその残りを――」

    医師「んなもんいらねえよ!!!」

    412 = 392 :

    414 :

    支援しとく

    416 = 193 :

    騎士「……だったら兵士Cや兵士Dにでも」

    医師「そういう意味じゃねえ!」

    医師「俺は! お前に死んでほしくないんだよ!!」

    騎士「……」

    騎士「…何を言うかと思えば」

    騎士「もう決めたことだ。 土地もやった、金もやる」

    騎士「あとは王妃を殺し魔物も殺し殺される、それだけだ」

    騎士「もう何も残ら―――んっ!?」

    騎士「…っ、……んっ…ふ……!!」

    417 :

    >>412
    うん・・・うまいよ・・・うまいけど・・・今すぐ消してくるんだ・・・

    419 = 193 :

    騎士「……ッ、…ぷ、は……ッ!」 ドンッ

    騎士「はっ、はっ…! …き、貴様!! 何をする!!」

    医師「俺はずっとお前のことが――!!」

     ドスッ

    医師「うぐっ、」

    騎士「……ッ」

    騎士「…10年前も言っただろう」

    騎士「それには、……応えられない」

    医師「、待っ――――」

     バタン

    420 = 193 :

    医師「……くそっ…」

    医師(…馬鹿か俺は)

    医師(あんなこと言ってもあいつを苦しめるだけじゃないか)

    医師「……」

    医師(…10年前、か)

    医師(まだ、そんなこと覚えていたのか)


    騎士「……」

    騎士「……いいんだ、これで」

    421 = 406 :

    ここから騎士無双か

    422 :

    もしもし
    支援する

    423 = 193 :


    いつも通りの朝
    まだ日も昇らぬ時間に起き、軽く口をすすいでから兵用食堂に降りる

    兵士Aと兵士Bに会うと、浮かぬ顔で何かを言いたそうだった
    それを無視し、空いてる席を探す

    今日のミルクは味が濃いな、と思いつつ
    寝ぼけた顔の兵士たちが出入りするのをぼうっと見ていた

    朝食を済ませると、手早く鎧を装備し、訓練所へ向かう
    聖堂から僅かに漏れる讃美歌を耳にしながら、点呼を取り号令をし、隊に分かれ訓練を始める

    訓練用の刃引きした剣を交える
    兵士Aの剣にはまだ迷いが見えた、が、兵士Bは、いつもより力強く思えた
    所帯を持つ分、心持は兵士Bの方が強いのかもしれない

    424 = 193 :


    訓練が終わると、男たちは汗を流す
    その間に書類や報告など雑務をこなす

    裸の男の集団の中に女の自分一人が入ると姦淫される危険があるからと止められている
    こんな筋肉と傷に覆われた身体のどこに色気があるのかと疑問に思う

    そんな物好きほとんど居ないだろうな、と思ったが、新米のころにあったことを思い出した
    結局返り討ちにしたそいつは、確か3年前の内乱鎮圧の時に目の前で串刺しになり死んでいった


    汗を流し、一足遅れて姫の部屋に着く、と、姫はソファに腰かけ眠っていた
    小さな寝息に合わせ肩が上下する

    ふと見ると、先日渡した指輪が革紐で首から掛けられていた
    やはり大きかったかと少し反省する

    425 = 193 :

    足音を立てぬよう静かに、姫に歩み寄る
    兵士Aと兵士Bは部屋の外、侍女は奥の寝室で掃除をしていた

    ――今なら……

    姫の白く肌理細やかな頬を撫でる
    そっと指を滑らし、桃色の柔らかな唇に触れる

    ――奪って、しまおうか

    ゆっくりと顔を近づける
    が、姫の息が直に感じるところで、ぴたりと止まった

    昨夜、医師に無理やり口付されたのを思い出したからである

    ――あれと同じではないか

    軽く自分の頭を小突く

    それに、自分に姫を触る資格などないのだろう
    今までも、そしてこれからも殺しを続ける自分に

    426 = 193 :


    姫が起きると、またいつも通りの他愛のない話をする

    王妃の話をするときの姫は
    まるで天使がほほ笑んでいるかのように愛らしかった

    この笑顔は自分に向けられているのでなく
    王妃に向けられている

    その王妃も、この笑顔を受け入れようとはしないのだろう

    それでも
    姫が王妃を愛しているのなら

    その王妃のままで

    427 = 408 :

    王位簒奪して王妃を俺の愛で改心させたい。

    428 = 193 :


    夕食と湯浴みを済ませた姫はベッドに入る
    蝋燭一本の明かりの中、また他愛のない話を始める

    入団当初の事を訊かれた
    そう言えば、入団してから8年か

    "もう"と言うべきか"まだ"と言うべきかは分からないが
    それも今日で終わり

    おやすみなさい、とだけ言えばいいのだ
    それなのに、躊躇してしまった

    ――馬鹿か

    もう迷っても遅い

    429 :

    >>423
    そのミルクはまさか…と思った、薄汚れた俺支援

    430 = 193 :

    兵士A「隊長」

    部屋を出ると、兵士Aが言った
    それに続く、馬の準備ができました、とは口にはしなかった

    後は任せたと言い、その場を後にする

    長く暗い廊下を歩く
    その足音は静かな廊下によく響いた

    謁見することになっている広間に入ると、そこはとても明るかった
    揺れる蝋の炎に一瞬目がくらむ

    ―― 5、10、……20人、か

    物陰に、少なくともそれだけの王妃の衛兵が居る、気配がする
    奥にはまだ居るだろう

    広間に王妃が姿を現すと、跪き、頭を下げる

    431 :

    医師・・・切ない 支援

    432 = 193 :

    王妃「頭を上げて」

    改めて見ると、なるほどやはり美しい顔立ちをしているな、と思った
    絶世の美女、と呼ばれるのも不思議ではない

    王妃「……それで、話というのは」

    大きく息をを吐く
    そして、王妃を真直ぐに見る

    騎士「貴方を、殺しに」



    広間には殺気が立ち込めた

    433 = 193 :

    王妃「……それは、どうして?」

    騎士「貴方が魔物に、姫を襲わせるからです」

    王妃「……そう」

    王妃「……やはり、知っていたのね」

    騎士「…何故、姫を。 姫は王妃、貴女の子ではないのですか」

    王妃「そう。 違いなく、私が腹を痛めて産んだ子」

    王妃「だからこそ。 姫は、美しい王妃になれたでしょうね」

    王妃「私はそれを許すことができない」

    王妃「私は姫が、あの女が、私より美しくなるのを許せない」

    騎士「……」

    435 = 193 :

    王妃「心底あの女を殺したいと思っていた。
        だけど、王妃という立場である私が子殺しなんて出来る筈もない」

    王妃「だから魔物の残党を誘った。
        まさか、私と魔物に繋がりがあるなど誰も思いもしないでしょう」

    王妃「邪魔なのはあの女だけ。
        だから怪我人の多い医療塔も休む兵の多い兵舎も襲わせなかった。
        有能な兵を殺しても、国の力が弱くなるだけですものね」

    王妃「そして貴女も」

    騎士「……」

    騎士「魔物が、何故そこまで動くのか……金ですか?土地ですか?」

    王妃「……ふふ」

    王妃「……国民の」

    王妃「 命 」

    騎士「!?」

    436 = 193 :

    王妃「もし、あの女を殺すことができたら」

    王妃「町を襲ってもかまわない。 派兵もさせない」

    王妃「私の権限で、ね」

    騎士「……貴様」

    王妃「あちら、喜んで承諾されたわ」

    騎士「貴様、己の嫉妬の為に無関係な国民を巻き込むのか!? 民の命を何だと思っている!!」

    王妃「安い代償。
        ……貴女、誰に向かって言っているの。 王妃の前よ、慎みなさい」

    騎士「…もう貴様を王妃だとは思わん!!
        嫉妬に溺れた醜い女め、私がその首飛ばしてくれる!!」

    王妃「私が醜い? …戦いに埋もれた惨めな女が、ふざけた事を!!」

    王妃「兵士どもッ!! この女を殺せッ!! 殺すのだ!!!」

    440 = 417 :

    凄い良いけど、直属の兵士はそれを知った上で命令聞いてるの?

    441 = 349 :

    王妃はソウルキャリバー3のオーレリアだな

    442 = 193 :



     ガチュン ズルズル   ドシャッ

    王妃「……」

    王妃「……な、」

    騎士「……」

    王妃「何故、だ……、兵、が…!!」


    広間は静まり返っていた
    横たわる40の兵

    立っているのは、血まみれの鎧の女と
    その場にそぐわない、ドレスを着た女だけだった

    王妃の近衛兵隊はこんなものか、と呟き、歩み寄る

    王妃「ひっ……!」

    443 :

    王妃の息がかかっているんだろう

    444 = 193 :

    顔をゆがめ、後ずさる
    剣を拾い上げ、震える手で刃を向けてきた

    騎士「……剣を握るのは、初めてですか?」

    そう言い、王妃の剣を軽く弾き飛ばす
    カラン、と虚しく、乾いた音が響いた

    王妃「…あ、…あ……」

    騎士「……」

    騎士「なんと惨めで醜い姿か、王妃よ」

    王妃「……、わ、私は、」

    王妃「私は、私は、」

    王妃「私は私は私はぁああああああああああああああああああああああ!!!!!」


    王妃「―――あ゛」

    445 = 233 :

    ザシュ

    446 = 193 :

    発狂した王妃の心臓"付近"を貫く
    剣を抜くと、じわりじわりとドレスを赤く染めていった

    どうだ、王妃
    苦しかろう
    苦しめ
    痛みを味わえ
    存分に

    血を噴き出し、崩れ落ちるように倒れる
    うめき声をあげながら、空に向かって手を伸ばした

    その手は、何を掴むでもなく

    ぱたり、と力尽きた


    「……騎士…?」

    騎士「!」

    447 = 193 :

    ――何故、姫がここに

    姫には見られたくなかった
    この血だらけの醜い有様を、見られたくなかった

    兵士C「姫様どう……うわ!? 何だこの有様ッ」

    兵士D「!! 王妃様!!」

    運が無いな、と心底思った

    窓を突き破り、庭を駆ける
    兵士Aが用意してくれているであろう馬の所まで

    ――これで、いいんだ

    ――これで

    姫の、泣き叫ぶ声が
    脳に、何度も何度も響き渡った

    449 = 193 :


    「王妃様がお亡くなりになったらしい」

    立ち寄った村の住民の間ではそんな話がされていた

    「マジかよ。 病気か?」
    「いや、殺されたらしい」

    「誰に」
    「知るかよ……だが、衛兵もやられたらしいしな…」

    「強いんだろうな。 きっとデカくてガッチガチなやつだ」
    「おっかねー」

    騎士「……」

    城からかなり離れている、というわけではないが、噂というのは早く伝わるのだなと思った
    城の使いがここまで来るのも時間の問題である


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