元スレ平沢進「東京のヒラサワです」翠星石「まきますか?まきませんか?」平沢進「違います」
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251 = 229 :
平沢進「やはり自分も自身を疑わしく思っていたと」
翠星石「ぎくっ。…まあ、ちょびっとだけですぅ、ちょびっとだけ!翠星石の能力は攻撃向きじゃありませんし、水銀燈は真紅ともタメを張るようなヤツですし…」
翠星石「あの時は集中してて分かりませんでしたが、思い返すとアイツ全然本気を出してなかったみたいですし…気まぐれか何か知らねーですが撤退してくれて助かったですぅ」
平沢進「逃げるなと煽り文句を飛ばした癖してよくもまあ」
翠星石「あ、あれは怒ってたので仕方ねーんです!」
252 = 229 :
翠星石「…なにはともあれ!無事で済んだんですから結果オーライですぅ」
翠星石「それに、あんな風に世界樹の枝まで次々繰り出せられたなんて驚き桃の木ですぅ。やっぱり、ヒラサワと契約したのはラッキーでしたね!」
平沢進「こちらは荒めの人形劇を観ているだけで腹の虫が暴れだしたためかなりアンラッキーな状態に。空きっ腹という加護を与える指輪など、今時どの界隈でも流行らない」
翠星石「あー、それは翠星石が力をたくさん使ったからですね。でも、普通だったらもっとよろよろしててもおかしくないんですよ?お腹がすいたぐらいで済んで、やっぱそっちもラッキーですぅ!契約者の身体を慮る翠星石に感謝するですよ」
平沢進「腹の虫を衰弱させる能力を発揮されて感謝するほどに私は被虐的思想に染まってはおらず。ついでに私はまだ慮られるほどに足腰が衰弱しているわけではない」
253 = 229 :
翠星石「もーまたひねくれて…そんなら、明日の朝はベーグル焼いてやるです。翠星石特製の美味しくて栄養たっぷりの甘々ベーグルですよ!それを食べれば、きっとヒラサワも元気ハツラツ間違いなしですぅ!」
平沢進「えー」
翠星石「えーじゃねぇです!さっきのスコーン美味しかったですよね?ふふん、聞かなくてもわかるですよ!なにせこの翠星石が作ったんですから!ベーグルもおんなじぐらい美味しいのを作ってやるから期待しとけですぅ!」
平沢進「腹の虫がさっそく早朝の胃もたれの気配に怯えている。今のうちから社会的な信用の薄い神仏に一応の祈りを捧げておくべきか」
翠星石「ベーグルで胃もたれとか古今東西に至るまで聞いたことねーですぅ!無用な心配のほうが胃にダメージを負うですよ」
254 = 229 :
翠星石「まったく…ふぁあ~あ」
翠星石「……頑張ったのでなんだか眠くなってきたですね。ココアでも飲んで、もう今日は寝るですぅ」
平沢進「あ、そう。では、これ」スッ
翠星石「え?あ、ありがとですぅ…これホントにココアですか?甘い匂いのするコーヒーとかじゃねーでしょうね」
平沢進「そんな食品添加物を溶解度以上に溶かし込んだような飲料は我が家にはない。香水を角砂糖の代わりに使うような習慣もこの地域には伝わっていない」
翠星石「………信じますよ?じゃ…」ゴク…
翠星石「…え!?ホントに普通に美味しいココアですぅ!」
平沢進「驚愕するポイントが明らかに異常。人形の劇中描写的誇大表現だとしても不自然」
翠星石「いや、だってヒラサワが素直にココアをくれるなんて…」
255 = 229 :
翠星石(……もしかして、ヒラサワの楽器を守ったお礼なんでしょうか…やっぱヘンだけど良いところあるじゃねーですか)
平沢進「黙り込む人形に不気味さを感じるようになるとは。完全に薔薇蔓人形たちの毒棘に規定観念を毒された模様」
翠星石「う、うるせーです。翠星石だって時には黙って考えるんですぅ。考えたこと何でも口にだす訳じゃねーんですぅ」
平沢進「へえ。人形の口と電子頭脳は脊椎反射の如く打てば取り敢えず響く仕組みで繋がっているのかと」
翠星石「失敬ですね!ちゃんと考えて喋ってるですよ。翠星石のこの小さく見える頭脳には外からは分からなくても無限の可能性が詰まってるんですぅ!」
平沢進「……」
翠星石「そんな顔するなですぅ!はいはい無限は言い過ぎでした!」
平沢進「分かればよろしい」
翠星石「む~…」
256 = 229 :
翠星石「はあ。じゃあもう寝るです。おやす…」
平沢進「あ、そういえば」
翠星石「ん?まだ何かあるですか?」
平沢進「翠の人形の手許にゲームの参加チケットはあるようだが、今のところ受け手ばかり。この度ヒラサワという糧食を得た訳だが、攻め手に回ろうという気分はおありか?」
翠星石「…つまり、アリスゲームに参加する気があるのか、って事です?」
平沢進「人形語に訳すると、そう」
翠星石「…翠星石は他のドールを倒すつもりはねーです。アリスに成りたくないわけじゃないですが…姉妹を倒してまで成りたいなんて思わねーんです」
平沢進「へえ」
257 = 229 :
翠星石「アリスゲームは、お父様が考え出した闘いですぅ。だから従うのが当然…と思っている姉妹もいるかもです。でも、翠星石にはよく分からないんです。あんなに優しかったお父様が、ただ闘うように命じるなんて…」
平沢進「……」
翠星石「分からないままで、姉妹を倒してしまうなんて取り返しのつかないことをしたくねーんですぅ。…それにアリスゲームを完遂しようとしたら、蒼星石も倒すことになるです」
翠星石「出来る出来ないかは置いといて、翠星石はそれだけは絶対ぜったい何があろうとしないです。…それに、翠星石はケンカがもともときらいですし!」
平沢進「なるほど」
翠星石「ええっと……あとは…」
翠星石「…ヒラサワはどうしたいですか?」
258 = 229 :
翠星石「…アリスを目指すために闘うって契約者が言うなら、翠星石は……」
平沢進「御免こうむる。アリスとかいう者を待つのは奇妙奇天烈なお茶会の出席者だけでよろしい。私はそうした茶会に出席する気はさらさらない」
翠星石「…ぷっ」
平沢進「はい?」
翠星石「いや…どうせんなこと言うだろうなーと思ってただけですぅ!あははは!!」
平沢進「…あ、そう」
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翠星石「あはははっ……こほん。てなワケで、ヒラサワ。志も大いに語ったことですし改めてよろしくですぅ!ほら、握手しましょう、あくしゅ!」
平沢進「はい。よろしく」
翠星石「よろ……って!何でストーンの脚を代わりに差し出してるですか!!ストーンをマスターにした憶えはねーですぅ!」
平沢進「いや、ストーンがミクロな活動電位で、日頃の奉仕に対する感謝の念を伝えたいと言ってきたので」
翠星石「んなこと後でいーですぅ!はいはい、ストーンどーもですっ…と!さあ、ヒラサワ!握手するです!」
260 = 229 :
平沢進「残念ながら左手にはストーン、右手にはソリッド・エアーが握られている為人形が手を出す隙間は存在しない」
翠星石「む~…こういうとこはどこまでいってもカタクナなやろーですね…こうなったら…えーいっ!」バッ
平沢進「うわっ」
翠星石「ふっふーん!翠星石のオリンピック並の大ジャンプ、大・大・大成功ですぅ!」プラーン
平沢進「ヒラサワの右手はジャンプ時にその身を揺らす背面跳び棒でなければ人形劇に用いられる操り棒でもない。…因みに公園のぶら下がり棒でもない」
261 = 229 :
翠星石「ち、ちげーですよ!遊びじゃねーです!結果としてぶら下がっちまってるだけですぅ!これは握手ですよ!心からの握手!」プラーン
平沢進「へえ、そう」
翠星石「そうなんです!!」
平沢進「ふーん」
翠星石「むー…」
翠星石「…ちょっと締まらないですが…とにかく!これからもよろしくですよ!ヒラサワ!」プラーン
平沢進「はい」
262 = 229 :
…………
バサバサ…
水銀燈「……」ストッ
水銀燈「………!」キョロキョロ
水銀燈「…いたわね。金糸雀、貴女一体どういうつもり?」
金糸雀「あら、水銀燈?お久しぶりね。どういうつもり…って、一体な~んのことかしら?」
水銀燈「惚けないでよ。さっき私のジャマをしたでしょ?」
水銀燈「アリスゲームに明白な決め事があるわけじゃないけれど…。無粋な横槍を入れたんだから、何かよっぽどの理由があるんでしょうね。言い訳は無いのかしら?」
金糸雀「カナは何のことだかさっぱりなのかしらー?アリスゲームに手を出した覚えなんてこれっぽちもないものー」
263 = 229 :
水銀燈「は?貴女ねぇ……」
金糸雀「知ーらない♪ 知ーらない♪ 知ーらないのかしら♪」
水銀燈「ああもう煩いったら…はぁ。まあいいわ。メインディッシュを先に頂いて、他をデザートとして取っておくのも悪くないかもね」
金糸雀「うんうん!それがいいのかしら!(ゴメンね真紅!)」
水銀燈「ちっ…。まったく、偉そうな顔しちゃって」バサッ
金糸雀「またねー!かしら!」
水銀燈「…貴女も?…今日はホントにスッキリしないわねぇ」ヒューン
264 = 229 :
金糸雀「………」
金糸雀「行っちゃったわね…ふぅ」
金糸雀「他人のアリスゲームに手を出すつもりはなかったけど…」
金糸雀「あの歌手さんの楽器に傷がつくと思うと…つい手が出ちゃったのかしら。やっぱりカナも音楽を嗜む者として、無用に楽器が傷つく様は見ていられないのよ…」
金糸雀「…あ!でもよく考えたらカナがあの楽器の時間のゼンマイを戻すだけで、いくらでも直せたのかしら…」
金糸雀「いやでも、直せるなら壊れてもいいってわけじゃないし…うーー!!」
金糸雀「頭がこんがらがってきたのかしら!今日のところはひとまず退散なのかしら!翠星石、またまた運を拾ったわね!カナは必ず帰ってくるわよ!!」ヒューン
265 = 229 :
一旦ここまでです
今回はホントに微妙な気がするので好きにご批判ご意見ご質問お願いします
266 :
楽器っていうからレーザーハープかテスラコイルでも壊れるところだったのかと
267 :
掛け合いほんとすき
268 = 229 :
レーザーハープとかのつもりでしたすみません描写不足で…
269 :
師匠普通にベースとか使ってなかったっけ
270 :
タルボとかいうマニアックなチョイスのギターを重い重いと文句言いながら長年愛用してたゾ
今は何使ってたっけ
271 :
アルミ製品のあとにもなんか作ったって自慢してた気がするんだが何だっけな
光子だっけ
272 :
光子(フォトン)というギターを今は使ってらっしゃる…のかな?すみません勉強不足で…
平沢さんは謎の多機能シンセなど普通の楽器も使ってるんですが、一目で楽器だと分からないものの印象が強くて頭の中では全部そっちのイメージで書いてました申し訳ない…
ということで短いですがちょっとだけ再開します
273 = 272 :
翠星石「…これで終わりです…っと!」
翠星石「ふひー。ようやっと水銀燈の羽の掃除が終わったです。まったく、帰った後にも面倒事を残すなんてとんでもないヤローですね」
翠星石「あとはこの窓…んー、真紅か金糸雀にしか直せないですが…金糸雀はアレですし、真紅に声掛けるしかねぇですか…」
平沢進「普通に修理屋を呼ぶという手もある」ヌッ
翠星石「どわぁっ!?びっくりしたです……でも、それじゃヒラサワが損ばっかりじゃねーですか。こっちは悪くないのに、損だけするなんてゴメンですぅ」
274 = 272 :
平沢進「世の中は損得が等価分に分かれて分配されるわけではないので。損がたまにこちらへその無邪気な顔を向けてきたところで致し方ない」
翠星石「ふーん…そんなもんですかね」
平沢進「そんなもの」
翠星石「…じゃあ、窓はとりあえず修理屋ってことにしとくですか。水銀燈のヤツ!後で覚えとけですよ」
平沢進「窓は翠の人形が割ったとか言ってたような」
翠星石「ぎくっ!それは気のせいです!気のせい!」
平沢進「あそう。では気という曖昧模糊な漂流物の所為ということで」
275 = 272 :
翠星石「うんうん!そうです!窓は割れるためにあるんですから仕方ねーです!」
平沢進「割れるために生まれてきたとは一体どんな業を背負ってきたというのか。一度教会にて精算すべき罪の見積もりをすべきかもしれない」
翠星石「そ、そこまでは必要ねーですぅ。窓一枚直すのにいくらかかるかの電気屋でのお見積もりで十分ですぅ」
平沢進「まあ、確かに」
翠星石「えーっと、あとは…あ、そうでした!そこの多肉植物が鉢からはみ出てかけてるですぅ。翠星石も手伝うので一緒に植え替えをするですよ。…ヒラサワ、植え替えの仕方とか分かるですよね?」
276 = 272 :
平沢進「失敬な。でなければ我が家に植え物がこれほどに居座るはずもなく」
翠星石「そりゃそうですね。じゃあ、さっそくスコップと土を持ってくるですぅ。あと、大きめの鉢植と…」
平沢進「はあ。しかし多肉食な植え物の糧食は既に尽きてしまっていたような」
翠星石「あ、もう土がねーんですか。多肉植物は必要な土が特殊ですから、代用するわけにも行きませんし…うーんと」
平沢進「では、また後日にということで」
翠星石「むっ!それはダメですぅ!後日だとか言ってると気づいたら一年後とかになってるのは良くあることですぅ!ヒトにとって一年はあっという間なんですから!」
平沢進「いや、植え替えという些事を一年間意識外に置くというのは良くあることではない」
277 = 272 :
翠星石「問答無用ですぅ!こうなったら、何としてでも今日、この子のおうちを新調してやるですぅ!えーとえーと…」
平沢進「その合金鋼かのごとき強情さだけは称賛に値する」
翠星石「うーん……って!悩む必要なんてなかったですぅ!」
平沢進「はあ。そのまま悩み続ければいつか植え物の裏にある緑色の真理に到達できたかもしれないというのに」
翠星石「真理なんて知る気はさらさらねーですぅ!そんなもん知ってもまた他のことで悩み出すに違いねーです…って、んな話じゃなかったです!」
翠星石「ふっふーん。今から普通に買いに行けばいいんですよ!あのヘンテコ自転車に乗って!」
平沢進「…それも即時即応という真理の一形態かもしれない」
278 = 272 :
ホームセンター
ガヤガヤ……
翠星石「むーっ!何ですか、このカゴは!外がぜんぜん見えねーじゃねーですか!」ヒソヒソ
平沢進「何って、買い物カゴ」
翠星石「むきーっ!翠星石は売り物じゃねーです!」
平沢進「衆目の中に人形を抱えたおっさんを晒す気はないので。それに、カゴの網目から目を凝らせばモノが見えないということもないだろう」
翠星石「そりゃ、ちょびっとは見えますけど…んー!やっぱ詳しくは見えねーです!これじゃ、せっかく来たのに土やら何やらのアドバイスができねーじゃねーですか!」
279 = 272 :
平沢進「いや、普通にこうしてカゴに入れたものの説明を読めばいいだけなのでは」ガサッ
翠星石「……あ。そうですね。確かにそれで事足りるですぅ。んーと、1.5Lの『サボテンノビノビ』…ネーミングセンスはともかくとして、これじゃちょっと足りねーんじゃねーですか?」
平沢進「そう。だから二つ買う」ドサッ
翠星石「うわっ!あ、危ねーじゃねーですか!翠星石のパーソナルスペースをもう少し尊重するですぅ」
平沢進「カゴ一つ程度の個人領域を尊重するほどに私は器用ではない。せめて部屋一つ分程度の幅をとるべき」
翠星石「今の翠星石にはここが部屋なんですから仕方ねーです!…えーと、鉢植えはあそこのクリーム色のがいいですぅ。あの色合いならヒラサワの館に合うハズですよ!」
280 = 272 :
平沢進「あ、そう」ガサッ
翠星石「どわっ!ま、前が見えねーです!翠星石の頭は鉢植え掛け棒じゃねーです!」
平沢進「うわっ。カゴの中に何やら見慣れぬ新人形が。これはお洒落気取りの高慢な門番として知られる…ノーム?」
翠星石「むきーっ!!自分でやっといて驚いたフリすんなですぅ!翠星石をあんなサンタもどきと同列に語るなですぅ!」
平沢進「お静かに。レジストリならぬキャッシュ・レジスターが近づいてきたので、喋るまじない人形から物言わぬ普通人形に戻りたまえ。ついでに隣の麦藁カゴに逃避したまえ」
翠星石「はいはい、分かってるですぅ!隙を見計らって……とお!」ピョン
平沢進「はい、良くできました」
281 = 272 :
「ありがとうございましたー」
ピンポンピンポーン…
翠星石「…ふぅ。任務達成ですね!ヒラサワ!」
平沢進「お静かに。私は衆目の中で一人で亡霊に健気に話しかける自閉症的霊能力老人の演技をする気はない。すれ違う人々に「お気はたしかか?」という目で見られることで心の安寧を得るタイプの人間でもない」
翠星石「わ、分かったですよ。…でも、あの自転車に乗ってるだけでもビミョーに衆目を集めてる気がするですぅ。というか確実に二度見されてるですぅ」
平沢進「人とは、自らの知りえないものは存在して欲しくないために、二度見ることでそれらを既知の存在へと作り変えるのだから当然。一度見た時は知らぬものでも、パッと振り向いて見直せばそれは既に知っているものとなる」
翠星石「えー、そんな屁理屈考えてるとは思えねーですけど…。とにかく、あんまり目立っていいことはねーですからね。この辺りに他のローゼンメイデンが来てないって保証はねーんですし…」
282 = 272 :
「ありがとうございました~」
チャランチャラン♪…
「うにゅー!うにゅーなのっ!ヒナ、早く食べたいのーっ!」
「ひ、ヒナちゃん!ちょっと静かにしてね。ほら、みんなこっち見てるからっ!し、視線が痛いよぉー」
「あっ!のり、ご、ごめんなさいなの!ヒナ、ちゃんとお家まで我慢するの…」
「うふふ…えらいわね、ヒナちゃん。じゃあ早く帰らないとねっ」
「!…はーいなの!しゅっぱつしんこー!なのーっ!」
ワイワイキャッキャッ…
平沢進「…あ」翠星石「…え?」
283 = 272 :
一旦ここまでです なんて短いんだ…(呆れ)
284 :
積み重ねることが大事なのである
285 :
大丈夫。うちのスレよりよっぽど速い
286 :
とても短くて恐縮ですがちょっとだけ更新します
287 = 286 :
のり「ひ、ヒナちゃん、また声が大きくなってるわよ!ほら、しー!しーっ!」
雛苺「あっ!ご、ごめんなの!お家までお口にチャックするのー!」
……
平沢進「へえ。あれが例のキリシタンの苺と」
翠星石「ええ。あんなうるせーのチビ苺しかいねぇですぅ。一緒にいるのは…指輪はしてないので契約者本人ではないみたいですね。ということは、契約者の友達とか、家族とか…?」
平沢進「苺の苗床が何処だろうと誰であろうとそこまで大きな問題というわけではない。では帰るとし…」
翠星石「…いや!待つです、ヒラサワ!」
288 = 286 :
平沢進「いや、待たない」
翠星石「いいから待つです!これはチャンスですぅ!雛苺がアリスゲームをやる気があるかは…正直ギモンですが、一応確かめてみるべきですよ。その気がないとはっきり分かれば、チビ苺については何にも気にしなくて済むようになりますし」
平沢進「はあ。もしも大人しく引き下がらず、積極的にその毒蔓の先を向けてきたら?」
翠星石「えーっと、その時は……適当にあしらって帰るです!流石に翠星石はチビ苺ぐらいに遅れは取らねーです。ちょちょいのちょいではっ倒してやるですよ」
翠星石「そこで、もう近寄るんじゃねーですよ、って言って放ってくれば、たぶんもう万事OKになるはず…」
平沢進「なるほど。一分以上の隙のあるごく普通の作戦」
翠星石「イヤミ言うなですぅ!とにかく、話をしてみないと分からねーことなんですから。…でも、こんな人の多いところじゃムリですね。絶対他のヤツに気づかれるですぅ」
289 = 286 :
平沢進「私にも、観客も演者も揃った文字通りの人形劇を白昼から行う気はない。そういうものは劇場か、近世に生まれた新興邪教TVにて行うべき。若干最近は廃れ気味だけど」
翠星石「そりゃそうですぅ。うーん、じゃ、人気の少ない所に移動するのを待ちましょうか…」
平沢進「平然と準犯罪的思想を持ち出す人形に戦慄」
翠星石「う、うるせーです!翠星石はハンザイ者じゃ……ん、ハンザイ?……あっ!名案を思いついたですぅ!」
平沢進「うわっ。この底意地の悪い面は明らかに犯罪行為に赴く直前の前科者」
翠星石「ち、ちげーですって!…でも、今回はそこまで外れてないのがビミョーに癪ですぅ。だからといって、ハンザイを犯すわけじゃねーですよ。どちらかと言えばええと……そう!探偵!探偵の真似をするですよ!」
290 = 286 :
平沢進「浮気調査か何か?」
翠星石「んな安っぽいもんじゃねーです!尾行ですよ、尾行!雛苺たちのアジトを見つけ出してやるんですぅ。契約者の顔まで知っちまえば雛苺はもう棘を抜かれたサボテンですよ!戦場においては常に先手を取ったものが勝利者となるのです!」
平沢進「戦地よりもやはり浮気調査に近しいものを感じる。しかし、コレで追うのか。凄まじく気も足も進まないが」
翠星石「うー、確かにリカン弁当は隠密性はマイナスですけど…今は追いかけられる足がそれしか無いんですから。大丈夫、きっと上手くいくです。翠星石と天運に任せとけですぅ!」
平沢進「どちらも甚だ疑わしい。あとリカンベント」
291 = 286 :
のり「ふんふんふふーん…♪」
雛苺「…のり、すごいゴキゲンなの。そんなに嬉しい?」ヒソヒソ
のり「え?…ええ!ジュンくんが友達を家に連れてきたなんて本当に久しぶりだから…。それに、トモエちゃんはずっと昔から仲良くしてくれてた子だもの。ヒナちゃんも嬉しいでしょ?」
雛苺「うん!ヒナも嬉しいの!トモエが来てくれたのも、それでのりが喜んでくれてるのも、とってもとっても嬉しいのー!」
のり「あらあら、もー!ヒナちゃんったらかわいいんだから~」
…………
翠星石「…ヒラサワ!いい調子ですよ!あっちは急ぐとか何とか言っといてやたらのんびりしてますから着いてくだけなら余裕ですぅ!あとはバレないようにさえしてれば万事オッケーですね」
平沢進「しかし、バレないようにする努力のしようがない。現状のように一本道で追いかけるとなれば、いかに隠遁行為を行おうとしたところで振り向かれれば終幕。壁の中に隠遁する術を人形が備えているとかなら別だけど」
翠星石「そんなジュツねーです!それに、ここまで来たのに…。あんぱんも買って探偵気分上々なんですよ?今さら諦められるわけないですぅ」
292 = 286 :
平沢進「餡の詰まった蒸した小麦粉は探偵の象徴にあらず。どちらかと言えば錆び付いた価値観に基づいた刑事事件のセオリーであって」
翠星石「探偵も刑事も犯人を追うってことではそんな変わらねーからいいんですよ!今の翠星石は、ホームズやらとタメを張るレベルの超有名探偵気分爆発中なんですから水さすなです!初歩的なことだよ、ワトソンくん …ですぅ!」
平沢進「やかましい。ワトスンかもしれない助手と舞台で公然と量産された決め台詞について苦悩する時間帯ではない。しかもその声量では苺の蔓センサーに引っかかる。隠密性を重視すべきとの言はどこへ行ったのか。オハイオあたり?」
翠星石「あっ!し、しまったです!ヒラサワ、そういうのはもっと早く言って…」
雛苺「………うゆ?」クルッ
翠星石「げっ!?」
平沢進「ほらみたことか」
293 = 286 :
雛苺「………」( ???? )ジーッ
翠星石(み、見てます!めっちゃ見てるですぅ!)ヒソヒソ
平沢進「なにを動揺しているのか。末妹の視線にビビるとは。特異で複雑な家庭環境だったのなら仕様がないかもしれないが」
翠星石「べ、別にチビ苺にビビってるわけじゃ…!それにアイツは別に末の妹ってわけでもねーですぅ」
平沢進「へえ。あれより幼い妹がいるとしたら最早嬰児なのではなかろうか」
翠星石「たしかに…じゃねーです!確かにチビ苺はお子ちゃま並のトントンチキですけど、流石に赤ん坊並の妹とかはいねーですよ!というかローゼンメイデンは別に姉妹で見た目年齢の順番になってるわけでもねーですし!」
294 = 286 :
平沢進「姉妹に対し、コンビニに行くような手軽さで暴言を吐く人形に閉口。やはり特異で歪んだ家庭環境だったのだろうか」
翠星石「ひ、ヒラサワが言い出したことじゃねーですか!ぜんぶ翠星石のせいにすんなです!」
平沢進「………」
翠星石「って!文字通り閉口してんじゃねーですぅ!む~っ!」
雛苺「……ゆ……」
翠星石(…って!や、やべーです!んなこと言ってる場合じゃなかったですぅ。アイツ今にも叫びそうです!こうなったら無理やり口封じするしかねーですね!ほら、ヒラサワ!喋れなくなる魔術だか呪術だかを今こそ行使するですぅ!)ヒソヒソ
平沢進「だから私は祈祷師でもなければ陰陽師でもないと。大体、苺がマンドラゴラのごとく叫んだところで怯む理由がない。素知らぬ素振りで通りすがるだけ」
295 = 286 :
翠星石(で、でも、もし翠星石に気づいてたら!逆にこっちを追っかけてくるかもですぅ!平凡な街で突然自転車でデッドヒートし始めるなんてゴメンですよ!)ヒソヒソ
平沢進「リカンベントは脳を破裂させる程度の衝撃を受ける代わりにそれなりの速度が出るので大丈夫。今回は脳が二人分乗っているため燃料にも不安はない」
翠星石(何フキツな冗談言ってるですか!そんな場合じゃ…)
雛苺「ゆ……ゆ……!!」
翠星石(あー!もうダメですぅ……!)
雛苺「み、見てのりっ!UMAなのぉっ!!」
翠星石「…はぁ?」平沢進「はい?」
296 = 286 :
のり「え?ど、どうしたのヒナちゃん。…あ!すごい乗り物があるわねぇ。あれがどうかしたの?」
翠星石(げっ!やっぱり気づかれ…!?)
雛苺「乗り物じゃないの!あのヘンなのはぜったいゆーまなのっ!まえテレビで見たもん!夕方にこっそり近づいてきて、バクって頭から近くのひとを丸かじりにする、こっわーいオバケなのっ!ジュンもそうだって言ってたもん!」
平沢進「……」
のり「え、ど、どうかな…(もう、ジュンくんったら!)」
のり「あ、あのね!ほら、あそこに人が乗ってるでしょ?私も今まで見たことは無かったけど、ああいう乗り物は外国とかだとたまーに走ってたりするの。だから、テレビやジュンくんが言ってたUMAは、別の人?なんじゃないかな…」
雛苺「えー、だって!鉄の足が二本あって頭をぐるぐる回転させながら襲ってくるオバケだって…!」
297 = 286 :
のり「えっと…そ、それなら、自転車やバイクも同じでしょ?」
雛苺「……た、たしかにそうなの…でも!あれは明らかにでぃてぃーるがおかしいのっ!フツーじゃないのっ!」
翠星石「それは確かにですぅ」ボソッ
のり「か、海外のものだと結構信じられないような見た目のものも多いのよー。ほら、虹色のアイスとか、ドーナツとか、大体海外から来たものでしょ?派手だからって別に変なものってわけじゃないんだよー」
平沢進「リカンベントは米国式過剰華美の一種ではない。甚だ心外」ボソッ
雛苺「そ、そうなの……」
雛苺「…分かったの!」クルッ
翠星石「っ!?」ビクッ
雛苺「ヘンだとか言ってごめんなさいなの、UMAさんっ!」
翠星石「……」平沢進「……」
298 = 286 :
のり「だ、だからUMAじゃなくってね…って、あっ!」
のり「ひ、ヒナちゃん!また私たち声が大きくなっちゃってる!し、静かにしないと!ね、ねっ!」
雛苺「あっ!ご、ごめんなさいなの!ひ、ヒナもうお家に着くまでお口をぎゅっとおさえて開かないようにするの!」
タッタッタッ…
翠星石「………」
翠星石「……なんか気が抜けたですね」
平沢進「…生気ある人形から気が抜けてはただの人形」
299 = 286 :
翠星石「ふー、チビ苺がアホで助かったですぅ。自転車のカタチばっかり騒いで、こっちには全然目が向かなかったですね。あれで気づかれなかったなんて、ちょっと信じ難いですけど…。UMA様々ですぅ」
翠星石「それに、とかなんとか言ってるウチに…契約者の家ってここなんじゃないです?」
平沢進「らしい。たった今桜田という何の変哲もない表札のかかった何の変哲もない館に何の変哲もない人形持ちの娘が入って行ったし」
翠星石「連呼しすぎですぅ。会ったばっかの人を貶しすぎじゃないですか?ヒラサワって苗字だってそこまで変哲があるわけじゃねーですよ」
平沢進「そう。だから何の変哲もないという言葉は陰口ではない。ただの何の変哲もない台詞にすぎない」
翠星石「頭こんがらがるからいい加減やめるですぅ!もう…さてっと。じゃ、ヒラサワ、ちょっと肩借りるですよ」ピョン
平沢進「あ、こら」
300 = 286 :
翠星石「うーんっ!…こっからじゃ全然中が見えねーですね…窓にもカーテンが掛かってますし…こうなったら、どうにかして中に入るしかねーです」
翠星石「やっぱりアレですかね?庭から大声で「火事だーっ!!」って叫んでヤツらが慌てて家から飛び出してきたところをふん縛って袋叩きに…」
平沢進「純然たる犯罪的思考を自慢げに披露しだす人形に閉口。AIが社会の人間に触れ知識を吸収すると言動が犯罪者的になるというが、それと同類の現象かも」
翠星石「翠星石をロボットと一緒にするなですぅ!冗談ですよ、冗談!ただ、マンガとかの強盗の手口を真似ただけで…」
平沢進「やはり犯罪者の先触れを覗かせている。それにAIとロボットとは領域がやや重なっているだけで別物である」
翠星石「う、うるせーです!んなこといっても、ピンポン押してはいどうぞ、って入れてくれるはずもありませんし…他に名案があるですか?」
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