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    元スレ女「人様のお墓に立ちションですか」

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    51 :

    ほほう

    52 :

    「こんな真冬の、こんな丑三つ時の、こんな墓地」

    「あんたには失礼な表現になるが、よっぽど頭のおかしいやつしかそんな時分に訪れない」

    「言葉が跳ね返ってますよ」

    「丑の刻参りは人に儀式をしている姿を決して見られてはいけない」

    「だからあんたはわざわざこの時間を選んでやってきたんだ」

    53 = 52 :

    「…………」

    「死んでしまえばいいっと思ってた人がいたんです」

    「やっぱり…!」

    「その者の身体を確かに消滅させることはできました」

    「けれど、魂だけはどうも消滅しきらないようです」

    「毎晩、毎晩、ここに通いつめても、しぶとくこの世に縋り付いているんです」

    54 = 52 :

    「な、何を言ってるんだ」

    「丑の刻参りは、その姿を誰かに見られたら呪いが自分自身に跳ね返ると言われています」

    コツ…コツ…

    「ちょ、まって、ストップ!!」

    「そして、丑の刻参りを目撃した人はすぐさま逃げなければならないと言われています。何故だかわかりますか?」

    「ちょっと止まれ!!尿!!尿かけるぞおらぁああああ!!!」

    「目撃者を殺せば跳ね返りがなくなるからです」

    55 = 52 :

    「俺は見てない!!本当だ!!信じてくれ!!」

    「知られてしまえば同じことです」

    「もう底無しの精神状態だって以前言ってましたよね」

    「本当に底無しかどうか、試してみましょうか」

    グググ……

    「ぐお……」

    「ふふふふっ」

    56 :

    おちんちん握ってるのかな?

    57 :

    >>54
    跳ね返りっておしっこの跳ね返りかな?

    58 :

    「さむしろに 衣かたしき 今宵もや われを待つらむ 宇治の橋姫」

    昔から橋は"この世とあの世を繋ぐ場所"だと考えられていた。

    嫉妬に狂い丑の刻参りを果たした宇治の橋姫の逸話により、宇治橋に縁切りの風習が生まれたのは皮肉なことであろう。

    死を象徴する墓地において、生の価値をあの子に教えてもらったことも、また皮肉なことなのだろう。

    この世とあの世を繋ぐ橋。

    自分とあの子を繋ぐ墓。

    もしも。

    あの子の呪いの対象を、見抜く知恵と勇気があったなら。

    次回「罰当たりですよ!こんなところで!んっ……でも、見かけによらずに……ああっ…」

    どんなに寒くても、暗くても、怖くても、今日も君のいる墓地に向かうよ。

    59 :

    「ぐおお…」

    「ふふ…」

    「息が……」

    「ふぅ…ふぅ…」

    「息が……」

    「はぁ…はぁ…」

    「息ができる」

    「うぅ…よいしょー!」

    「こらしょー!どっこらしょー!!」

    「そっちの方が苦しそうだぞ?」

    「はぁ!はぁ!」

    パサッ

    「今日はここくらいまでにしてあげます。死を前にして生のありがたさを実感したでしょう」

    「握力3くらいの実感した沸かなかったんだけど」

    「どうせ卓球部ですもん」

    「それは関係ない」

    60 = 59 :

    「丑の刻参りって神社でするものですし、よくテレビで見かけるような白装束や特別な髪型などが必要なんじゃないでしょうか」

    「こんな現代的なぬくぬくのコート着たまま人を呪おうだなんて贅沢ですよ」

    「えっ、でも中は裸体じゃ…」

    「隙あらば露出魔にしようとするのやめてもらえます?」

    61 :

    まあ、そもそも始末するなら初日にしないとな

    62 :

    「なんか重大な隠し事があるんじゃないかと中2心がワクワクしていたと言うのに」

    「丑の刻参りを疑われるなんて思ってもみなかったです」

    「なんだか安心したら小便したくなってきた」

    「はいひあ。いってらっしゃい」

    「漏れそうだからもうここでする。見たいならご自由に」

    「私も用事があるのでしたいならご自由に。よく飽きませんね」

    「なんだかマスゲームをしてるみたいな気分になるんだよ。オセロみたいに黒く塗りつぶしていくというか」

    「挟まれたお墓がひっくり返って死者が蘇らなければいいですね」

    「今どき死体の埋まっている墓なんかないだろう」ジー

    「会話しながら平然とチャックを下ろすのもないでしょう」

    63 = 62 :

    「さて、放出するか。ここからだと女が普通に見えるな」

    「音が響くのは恥ずかしいが、それよりも尿音を聞かれる興奮がまさるな」

    「うう、とかいってる間に出る…」

    ジャー…

    「ああ…というか大事なこと聞けてなかったじゃないか」

    「あいつ、結局どうしてこんな時間に…」

    「って、お、おい、あいつ、まさか」

    64 = 62 :

    「どうされました?」

    「ズボン、びしょびしょじゃないですか」

    「急いで尿を引っ込めようとして」

    「放尿の途中で我慢するプレイにでも目覚めたのですか?ますます上級者ですね…」

    「そうじゃない。そうじゃなくて…」

    「そうじゃないんですか」

    「本当に、すみませんでした」

    「何がですか?」

    「だって…」

    「あんたがお祈りしているその墓」



    「俺があの時小便をかけてた墓じゃないか」

    65 = 62 :

    「……はぁ」

    「らしくないですね」

    「らしくない?」

    「急に罪悪感に苛まれちゃって。出会った夜の変態度を忘れたんですか」

    「だ、だって……」

    「つまらないですね。まぁ、世界はつまらないと思っている二人ですものね。面白いわけがないですね」

    「は、墓参りに来てただなんて」

    「墓地ですから、普通はその用事くらいしかありません」

    「家族の墓なのか?」

    「私が殺してしまったんです」

    「えっ?」

    「私、殺人者です。陽の光のもとを歩くことはもうありません」

    66 = 62 :

    「…………」

    「やっぱり隠し事をしてる」

    「殺人を犯したなら刑務所にいるはずだろう」

    「逃走中かもしれませんよ?」

    「君が人を殺すわけもない」

    「まさか私だって私が人を殺すだなんて、人を殺すまでは夢にも思いませんでした」

    「煙にまいて…」

    「けれど、たしかにそうですね。あなたの言う通り、あなたに大切なことは話していないし、話すつもりもありません」

    「何故だ?」

    「何故って……」

    「真夜中の墓地に放尿する出会ったばかりの男性に、心を開く女性ってゲームの世界以外にいますか?」

    「多分ゲームでもいない」

    「はい」

    「はい」

    67 = 62 :

    「俺はさ」

    「はい」

    「実は、これといった悩みがないんだよ」

    「お父さんも、お母さんも、必要なものは買ってくれるし、時には厳しく叱ってくれるし、それでもいつでも愛情を感じるし」

    「学校での友達だって、お腹がよじれるくらいに笑わせ合う関係だし」

    「墓で放尿をしても同情されるような苦しみなんて抱えていないんだ。ただ」

    「…………」

    「ずっと好きな人がいて、その恋が叶わなかった」

    「その恋の代わりになるような女性からも好かれるような自分ではなかった」

    「それだけ」

    「…………」

    「風が吹くと桶屋が儲かるってのと似てる。もてなくて墓標に尿をかける」

    「いや、なんだろうな。本当に。まして、女性に言うことじゃ……」

    「赤くなってますよ」

    68 = 62 :

    「え、え?」

    「あなたの顔、とても赤くなってます」

    「尿だの小便だの散々言って立ちションしてた人が、どうしてこんなに綺麗な話をする時が1番恥ずかしそうなんでしょうか」

    「うるさいな」

    「全然同情なんかしませんけどね。思い通りにいかない腹いせに罰当たりな行為をするような人だから、思い通りにいかなかったんでしょう」

    「運とかツキって存在すると思いますよ。それは周囲の『なぜだかこの人を応援したい』っていう気持ちのようなものだと思いますが」

    「私とあなたにはまるで存在していないようですが」

    69 = 62 :

    「お互い用もすみました。そろそろお開きとしましょう」

    「あなたの過去を聞かせてくださってありがとうございます」

    「今が汚ければ汚いほどに、思い出は綺麗だったという証に思います。裏切られた人は全て、信じた人であったのと同じように」

    「私も今を呪い続けます。まぁ、綺麗な思い出なんてろくになかったんですけどね」

    「それではお元気で。元気にならなくとも、心配はしませんけど」

    70 = 62 :

    「俺は」

    「俺は!」

    「もう謝らなくてもいいです…」

    「世界で1番、不謹慎な存在になってやる!!!!」

    「はい?」

    「そばにいるだけで、こんなことしたら先生に怒られるんじゃないかって恐怖の100倍の気持ちを味わわせられるくらいに」

    「不謹慎なぁあああ!!!存在にぃぃいいい!!!!」

    「のわぁああああああ!!!!!!!」

    タッタッタッタ……

    「…………」

    「そばにいる存在が、私じゃないことを願いますが…」

    71 = 62 :

    「今日も寒いです」

    カン カン

    「…………」

    ポン カン

    「何の音でしょうか」

    スパン!

    「痛っ!」

    「よう!おまたせ!」

    「待ってないです。何しにきたんですか」

    「俺と、卓球しようぜ!!!」

    72 = 62 :

    「ラケットも2つ分持ってきた」

    「…………」

    「鳥肌が立ちました」

    「そんなに感動することかよ」

    「いや、気持ち悪さで」

    「いいから。運動して身体をあたためないと」

    「あの、どこでやるんですか?」

    「ここでに決まってるだろ。ほら、ラケット」

    「あの、何を開き直ったふりをしているかは知りませんが、私はあなたの不謹慎に付き合うつもりなど…」

    「ほい!」ポン

    「わっ、いきなり、やっ!」ポン

    「ほい」ポン

    「ちょっと、こんなこと、あっ」ポン

    「上手上手。俺よりうまかったりして」

    73 = 62 :

    「はい。アウト。この暗さだと見失ったら大変だな」

    「あの、やめましょう。気が乗りません」

    「こっちのサーブね。はい」

    「きゃっ!だからやらないって」

    「口ではそういいつつ身体は反応しちゃってるぜ?」

    「罰当たりですよ!こんなところで!んっ……でも、見かけによらずに……ああっ…」

    「これでもレギュラーに選ばれてたからな。今じゃ幽霊部員だけど」

    「一体どうして」

    「3サイズと引き換えに教えてやろう」

    「自分の3サイズなんて知りませんよ」

    「男はちゃんと測ってるんだけどな」

    「3サイズを?」

    「14cmだった。大きいときで」

    「なにが?」

    「ナニが。あっ、またアウトだぞ」

    74 = 62 :

    「はぁ…はぁ…」

    「疲れました…寒くて息がすぐあがります」

    「不謹慎なことをした気分はどうだ?」

    「うーん、あまり実感がわかないものですね」

    「卓球をした気分はどうだ?」

    「実力差があって悔しいです」

    「精進したまえ」

    「幽霊部員に言われたくないです」

    「幽霊部員に言っても仕方ないか」

    「なんですと」

    75 :

    「…………」

    「…………」

    「…………」

    「よっこらセック」

    「好きな異性の話などはないのですが、好きな先生がいました」

    「(危ねぇ大事な話をしはじめる雰囲気を壊すところだった)」

    「中学時代の女性の担任です。明るくて、やさしくて、快活で、なにより容貌が美しいひとでした」

    「たまたま二人きりになったことがあるんです。私は憧れている女性といるのが気まずくて、部屋から出ようとしたのですが、先生から話してくれたんです」

    「学校の先生は、学校が嫌いだった人がなるべきなのに、学校が好きだった人しか先生になろうとしないと」

    「その先生も学校が昔嫌いだった時期があったそうです。だからこそ、理想の先生像を思い浮かべたり、学校が嫌いそうな生徒の気持ちにもよりそうことだげきるとおっしゃっていました」

    76 = 75 :

    「私は先生がますます好きになりました。私もいつか、学校の先生になろうとしました」

    「しかし、先生の受け持つクラスでいじめがおこってしまいました。被害者は誰だと思いますか?」

    「もしかして、あんたか?」

    「その答えを期待していましたが、不正解なんです。被害者は、先生でした」

    「先生は、日に日に疲れていく様子が見えました。そして卑屈に馴染もうとしたり、無理やり笑う回数も増えていきました」

    「学校が大嫌いだった頃の先生に戻ったかのようにみえました」

    「そして、私の夢から学校の先生はなくなりました」

    「以上です」

    「後味悪っ」

    「そうでしょう」

    「でも話してくれてありがとう」

    「あら、こちらこそ」

    77 = 75 :

    「今日はもう帰りましょうか」

    「ああ、そうしよう。もう遅いしな」

    「それをいうなら会った時点で丑三つ時でしたけどね」

    「そろそろひきこもりが眠りにつく時間だ。じゃあ、また明日」

    「明日もここに来るんですか?」

    「来るよそりゃ」

    「何をしに?」

    「何もしない」

    「それは、いいですね」

    「いいだろ」

    「私も明日、ここにきて何もしない予定です」

    「うん。じゃあまた」

    「また」

    78 = 75 :

    今日は寝ます。おやすみなさい。

    79 :

    起きろ

    80 :

    物凄く気になる
    はよ

    81 :

    「こんばんわ」

    「こんばんわ」

    「あっ、髪型少し変わったな」

    「変えてないです。というか、こんなに暗いのにわかるわけないじゃないですか」

    「今日は曇り気味だからな。夜の天気なんて、ろくに気にしたことなかったけど」

    「なんで髪型変えたなんて言ったんですか」

    「見てるってことを伝えることに意味があると思って」

    「床屋に行った帰り道、前髪が切られすぎたことを気に病んでしまうんだけど、翌日学校に行ってみると自分が髪を切ったことにすら気づかないやつさえいる」

    「女同士ならそんなことないですけどね」

    「自分にとってだけは自分の変化というのはとても大きいものだ。だから、たとえ髪を切って無くても毎日全く同じ髪型というのは自分ではないと思うものじゃないか」

    「そうですね。たしかに、変えたって言われると今日は髪の調子がいいのかななんて思っちゃいますね」

    「あなたがそんな恋愛テクニックを使うとは思いませんでしたけど」

    「でも、なんか昨日までとは違う感じに思ったんだけどな」

    「もしかしたら、あなたの私を見る目が変わったんじゃないでしょうか」

    「ん、どういう意味だ?」

    「さ、さぁ、そのくらい自分で考えて下さい。せっかく昨日爪も切ったようですし」

    「……うぉっ!よく気づいたな!俺でさえ忘れてた!」

    82 = 81 :

    「自分が思ってることを相手もそうだと思い込むことはよくないことですね」

    「どういうこと?」

    「世界は簡単に裏切るということです」

    「なるほどなるほど」

    「本当にわかったんですか」

    「世界って言葉不思議だよな」

    「どんなところがでしょう」

    「よく使うじゃん。世界が広がった、とか、世界が悪い、とか、世界を救う、とか。どの範囲までを指してるんだろうって」

    「曖昧で、漠然とした言葉の割には、みんなちゃんと同じ範囲を想定して使えてる気がしてさ」

    「たしかにそうかもしれませんね」

    「日本なのか、六大陸なのか、地球なのか、宇宙まで含むのか。死後の世界まで含むのか」

    「よくわかんなくなってさ、結局最後は"自分"って言葉に置き換えるとしっくりくるんだよ」

    「"自分が広がった""自分が悪い""自分を救う"」

    「周囲に目を向けなくたって、自分の喜怒哀楽の原因は、やっぱり半径1m以内の自分の中にあるんだよ」

    「よく考えてますね、世界のこと」

    「自分のこと、だな。おかげで、社会のなかじゃめちゃめちゃ孤独な存在だ」

    83 = 81 :

    「孤独っていうのも不思議な言葉ですね」

    「今日は国語の授業をするのか」

    「あなたが5教科にすぐ飽きないか心配ですが」

    「一人で何ができるかで、その人の孤独具合が決まると思う」

    「一人でご飯を食べてるから、友達がいないということですか?」

    「そういう場合もあるだろうけどさ」

    「一人でボーリング行ったことある?」

    「友達ともないです」

    「一人で焼肉行ったことある?」

    「友達ともないです」

    「一人でカラオケ行ったことある?」

    「友達とも……」

    「えっ、ないの!?」

    「あ、あるんですか!?」

    「え、う、うん…どうだったかな…」

    「いいですよ気を遣わなくて……で、何の話でしたっけ」

    「孤独から遠ければ遠い人ほど、これらのことができるというわけさ」

    「自分を認めてくれる恋人がいる人や、周囲が羨むような容姿を持って生まれた人は、独りで行動しても平気なんだよ」

    「すみませんねいつも自分の殻に閉じこもってばかりで」

    「べ、べつにあんたがどうだと言ったわけじゃないさ」

    「深夜のお墓で一人だって平気な人はどうなんですか」

    「それは、うーん」

    「モテますか?」

    「モテるモテる」

    「あなたと一緒だから説得力無いです」

    「ちくしょお慰めようとしたのに」

    「うふふ」

    84 = 81 :

    「そういえばさ」

    「はい」

    「どうして敬語なの?」

    「最初そうだったので」

    「俺は最初からタメ口じゃなかったっけ」

    「普通初対面の人とは敬語で話すものですよ」

    「でも今初対面じゃないじゃん」

    「たしかに、そうだわ」

    「えっ」

    「ほら、違和感あるでしょ」

    「別にいいけど」

    「まぁ敬語だと距離感も置けますしね」

    「ちょっとちょっと、俺ら連れションの中じゃん」

    「その様なことは決してございません」

    「うわ、さらに距離感開いた」

    85 = 81 :

    「でも、話している限り私の方が年齢高い感じはしますね」

    「そんなこたぁない」

    「まぁまぁ、女性の方が精神年齢が5才高いとも言うじゃないですか」

    「その考えってどうなの」

    「どうなんでしょうね」

    「あんた何歳なんだろう」

    「これで私があなたより年上だったら、あなたはもう次のターンから微妙に敬語を使い始める気まずい展開になるかもしれません」

    「うわ部活で同じ新入部員だと思って話しかけたら先輩だった時にあるパターンだ……」

    「別に私は言うのは構いませんよ。年齢にかかわらずそのままタメ口で話されることも」

    「うーん、服装はコートにズボンかぁ……女子大生なのかなぁ」

    「不登校のJCかJKかも」

    「ああ!たしかに!」

    「いやそこは納得した表情しないでください」

    「この時間に起きてるようだから、昼間勤務のOLではないよな。でも夜勤のナースかも」

    「うーん……もしかしたら……たしかに……」

    「絞り込めそうですか?」

    「寝込んでいるところを夜通し世話してくれるメイドの服装をした妹がいいな」

    「いつの間にあなたの願望の話になったのでしょう」

    86 :

    「あんたは俺の年齢わかる?」

    「高校3年生が受験勉強もせずに、大事な冬の時期にこんなところで油を売ってていいのかなとおもっています」

    「あれ!?話したっけ!?」

    「あなたのズボンは学校の制服でしょう。カバンに校章も入っているし」

    「どうして三年生だって」

    「女性は色んなものを見ていますよ」

    「うう、参った……」

    「あんた、やっぱり年上?」

    「教えましょうか?」

    「うーーーん……」

    「じゃあ、精神年齢を」

    「そうですねぇ」

    「じゃあ、23歳で」

    「なら、高3?」

    「肉体も23歳かもしれません」

    「23歳のJKってこと?それはそれで興奮……」

    「どうしてそうなるんですか…性への執着度合いは中学生と変わらないですね…」

    87 = 86 :

    「受験勉強、しなくていいんですか?」

    「しないとまずい」

    「でもしてないんですか?」

    「そうだな」

    「不思議ですよね。受験勉強なんて、絶対にしたほうがいいに決まってるじゃないですか。なのに、ただめんどくさいという理由でやりたくないんですよね」

    「あんたは勉強好き?」

    「まぁ、運動よりは」

    「体育の授業、男子生徒で嫌いなの俺だけだったろうな」

    「『体育の授業だけを楽しみに学校来てる』みたいな友達も多いよ」

    「バレーボールのサーブもろくに入らない、敵のアタックも打ち返せない、俺からしたらプチ地獄だったよ」

    「でも卓球は得意だったんでしょう?」

    「玉遊びには自信がある。今はピンポン玉2つで毎晩遊んでるぜ」

    「下ネタ中にすみませんが、自分が褒められそうな話題になったから、恥ずかしくて誤魔化したでしょう?」

    「え、いや、別に…」

    「あなたには得意なこともたくさんあるのに、あなたの性格がそれを押し隠そうとしてる、みたいなことがとても多いと思いますよ。あなたには人より優れた能力や感性があると思います」

    「う、ええ…うーん……」

    「おやおや、やはりレシーブは苦手なようですね?」

    88 = 86 :

    >>80
    寝ちゃおうか迷ってましたが、嬉しくて書きました。
    読んでくれている人、ありがとう。
    完結するまで書きます。
    今日はおやすみなさい。

    91 :

    「そういえば、もうお墓参りしなくていいのか?」

    「こうやって今日もお墓に来てるじゃないですか」

    「あの、あんたの家族のお墓に祈らなくていいのかってこと」

    「家族かどうかはさておき、しばらく放置しておくことにしたんです」

    「そっか」

    「墓標に対して波阿弥陀仏を唱えることを、やはり祈ると表現するのですかね」

    「拝む、だと少し違う感じもするよな」

    「そうですね」

    「それにしても、ちょっと眠くなってきたな」

    「今日はもう帰りましょうか」

    92 = 91 :

    「おやすみなさい」

    「おやすみ」

    「…………」

    「かえる、かぁ」

    「どうしました?」

    「俺は今からお家に帰る」

    「はい」

    「死者の魂が、帰宅の帰るだと現世へ戻ってくるイメージなのに」

    「生還や帰還の還るだと、常世へ行くイメージ」

    「つまり…?」

    「俺は今、寝ぼけているということだ」

    「そうかもしれませんね。今度こそおやすみなさい」

    「おやすみ」

    93 = 91 :

    「…………」

    「やっぱり何もないなんてこと、ないと思いますよ」

    「今のあなたをここまで絶望させるくらいに、あなたの中にある美しい思い出のヒロインは素敵な人なのでしょうか」

    「ずっと遠くで見ていたのでしょうか。それとも、ずっとそばにいて手を出さずにいたのでしょうか」

    「ふふっ、こんなんじゃ嫉妬深き宇治の橋姫みたいになってしまいますね」

    「もしもあなたが結ばれるようなことがあったら、もう真夜中に立ちションするような迷惑行為は終わるのでしょうか」

    「それとも、やはり立ちションは単なる性癖で、これからまた再開するのでしょうか」

    「まったく。あなたのせいで、1人の時間に考えることがまともではなくなってしまいましたよ」

    「はぁ。いずれにしても」

    私はわかっています。

    これは、終わりのある物語だということを。

    絶望が終わらない苦しみよりは、希望が終わってしまう悲しみを私は選ぶでしょう。

    あなたが、同情なのか、哀れみなのか、些細な好奇心なのかはわかりませんが、私にかまってくれることの恩返しとして。

    私も、気まぐれを動機にして、残りの時間にあなたの役に少しでも立てたらと思います。

    次回「な、何してるって……墓ニーだよ…」

    さて、今日は、どんな不謹慎なことをするんですか?

    94 :

    くそ、なんでこんなくだらないのに変にシリアスで続きが気になるんだ

    95 :

    終わったらもう1回読む必要ありそうだなこれ

    96 :

    「今夜も冷えるな」パチ

    「そうですね」パチ

    「マッチを擦ったら温かいご飯の夢を見れないかな」パチ

    「マッチを買うお金でおにぎりでも買ったらどうでしょう」パチ

    「夢がないなぁ。うう、それにしても冷える」パチ

    「家に帰ったらどうですか」パチ

    「勝ったら帰ろうかな」パチ

    「それじゃあ一生帰れないかもしれませんね」パチ

    「うわっ、また角取られた」

    97 = 96 :

    「それにしてもよくオセロなんて持ってきましたね」

    「折りたたみ式だからな、案ずるな」

    「いや、墓地にそぐわないという意味なのですが」

    「じゃあ墓地にそぐうボードゲームってなんだよ!!」

    「何故ボードゲームにこだわるのでしょうか。何故半ギレなのでしょうか」

    「あーあ。負けたから仕方ない。罰ゲームを甘んじて受け入れよう」

    「そんな話ありましたっけ」

    「何したい?」

    「えー、じゃあ…でこぴんとか?」

    「手繋ぐとかじゃなくていいの?髪に触れさせてくださいとか。ほらほら、照れてないで…痛っ!!」

    「セクハラです」

    「いててて…」

    「それに、これは罰ゲームですから…」ゴニョゴニョ…

    98 = 96 :

    「人狼ってゲームしってる?」

    「そういうのが流行ってたということだけは」

    「人狼、村人、占い師とか色んな役割があるんだ」

    「やったことあるんですか?」

    「それが一度もない。世間であれだけ流行ってたのに、ちっともやったことない」

    「それなりに面白いんでしょうね」

    「悔しくないか?」

    「別に。今更ルール覚えるのもめんどうですし」

    「だから、イメージでやってみようではないか」

    「イメージで?」

    99 = 96 :

    「じゃーんけーん」

    「わっ、ポン!」

    「俺の勝ち。俺人狼ね」

    「それじゃあ、私は占い師で…」

    「グルルル…」

    「あれ、これって最初に正体明かしていいんでしたっk」

    「アオーーーン!!!!!!!!」

    「ひぇっ!?なにっ!?」

    「アオーーン!!キャンッ!キャンッ!」

    「ガルルル……ワァゥウ……」

    「きょ、今日満月じゃありませんよ!!」

    「というか、犬の鳴き真似とてもお上手なんですね…」

    「バウッ!!バウバウッ!!!」

    「やめて、くださ…恥ずかしい…」

    「お腹いたい…んふふっ…」

    「バウッ!!!」

    100 = 96 :

    「ひい…ひい…

    「んふっ……ふぅふぅ……」

    「……久しぶりにこんなに笑って?が筋肉痛になりそうです」

    「くぅーん♪」

    「別に撫でたりしてあげませんからね」

    「なんだい」チッ

    「あっ、元に戻ってしまいました」

    「俺の勝ちだな」

    「今回は完全敗北でした」

    「占い師はどうした」

    「未来を視ようとする前に狼が襲ってきましたから」

    「いつか来る時のことばかり考えてたら、今に足元をすくわれるっていう教訓を学んだな」

    「はい、そうかもしれませんね」

    「でだ」

    「はい?」

    「罰ゲームは何をしようかなぁ…」ニタァ…


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