のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:127,062,858人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報

    元スレルナ「ルナのお友達になってくれる?」八幡「や、その友達とか良くわからないんで」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    ←前へ 1 2 3 4 5 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

    51 :

    一瞬、意識が飛んだが、俺は爆発の寸前に廊下へ引きずりだされたようだ。

    そうでなければ、あの爆発で生きていられるわけがない。

    爆発の衝撃で、頭がぼんやりする。

    そのせいか、目の前がピンク色だ。

    しかも、もぞもぞ動いてる……。

    あ、これ兎だ。

    ラビットさんが待機させていたと思われる巨大兎が、目の前にいた。

    しかし、凶悪な面構えだ。某海賊王のごとく、傷跡が目元にある。

    どこか親近感を覚えたので笑いかけたが、兎が一歩離れただけだった。

    なんだか、裏切られた気分。

    ラビ「なーに怖がらせてるのよ。ヒッキー」

    見上げると、ラビットさんが兎の上に乗っていた。

    ラビ「後はこの兎さんに乗って外に出るだけよ。急ぎなさい!」

    ラビットさんは俺に手を伸ばした。

    この手は、俺を助けようとしてくれているのだろうか。

    俺は戸惑いながらその手をつかんだ。

    ラビ「私の腰に手を回して、離さないで。兎さんは早いけどとっても揺れるのよ」

    八幡「ああ」ギュッ

    ラビ「……っ」カアア ←恥ずかしくなってきた

    八幡「?どうしたんだ」

    ラビ「二人乗りは初めてだから、慣れてないの!ほんとにそれだけよ!」

    八幡「な、ならいいんだが。嫌なら、違う所で掴まるぞ」

    ラビ「どこに掴まる気なのよ」

    八幡「この兎の毛とか」

    ラビ「十中八九、毛ごと振り落とされるわね」

    八幡「なら、これしかないか」

    ラビ「」コクコク

    八幡(無口なラビットさん、こええ)

    ラビ「いざとなったらこの廊下がバージンロードよね」

    八幡(平塚先生も学校の廊下でよく言っていたが、それはありえない。幻覚だぞ)

    52 = 51 :

    それから屋敷を突破するのに、時間は掛からなかった。

    というのは、単純に乗り込んだその兎が恐ろしく速かったからだ。

    たしかに、元の世界でも時速70kmはでるとかいう噂を聞いたが、この世界でも適用されるようだ。

    もう二度と、乗りたくないというのが本音である。

    といっても、道中ゾンビ、骸骨が現れたとき、通り過ぎるか踏み越えるかして、どうにか潜り抜けることができたのは、かの兎のおかげであるのも事実だ。

    そこで、感謝の証に撫でてやろうとしたが、危うくその手を噛まれかけた。

    ここに宣言しよう。兎とは害獣である。

    同意してくれるものはまだいないが、今度由比ヶ浜あたりに吹き込んでおこう。

    聞いたら怒るかもしれないが、こんな荒唐無稽な物語も信じてくれる数少ない生物の一つだと思っている。

    こういう奴がいなければ、世界は面白くない。

    舌のすべりもよくなってきたところで、現状を報告しよう。

    ラビットさん、俺、兎は屋敷をでたあと、森の中へ入っていった。

    陰鬱な雰囲気を醸し出しているその場所は、なぜだか心休まる場所だった。

    一方、ラビットさん、兎はこれまで以上に気を尖らせていた。

    話によると、ブラッドウルフと呼ばれる獣が出るらしい。

    一度は俺もその危機に晒されていたと聞いて、驚いた。

    ルナ様の話に出てきた「ワンワン」がブラッドウルフと誰が予想できようか。

    幼女、恐るべし。彼女の前では、あらゆる生物は可愛らしくなってしまう。

    いつか、材木座を連れてきてやりたいものだと、切に思った。

    ここでならあいつも、ゆるきゃらとして生きていけるかもしれない。

    おっと、話を戻そう。

    それから俺たちは、屋敷から距離をとりつつも野宿できる場所を探している。

    樹の「うろ」が寝床としては良いのだと、ラビットさんは言った。

    それを見つけてから、これからのことを話し合いましょう。

    ラビットさんは言外にそう伝えていた。

    だが、俺はただ眠りたかった。

    左足の傷から流れ出た血が、比企谷八幡という存在を薄めつつあった。

    53 = 51 :

    今夜はおわりです

    54 :

    モルのお友達になってくれる?
    おつです

    55 :

    小ネタ投下します
    オトヒメシャマヲオマモリイタシマス!

    56 = 55 :

    八幡「zzzzz」

    ラビ「起きなさい!寝床を見つけたのよ、私が!褒めてもいいのよ!」ユサユサ

    八幡(瞼動かすのめんどくせ。寝たふりだ、寝たふり。ほれ、いびきだ)

    八幡「ンゴー……」

    ラビ「……」

    八幡「ンゴゴッ」

    ラビ「あ、もしかしてそれゴーレム語?私知らないから、ちゃんと話して」

    八幡「どんな言語だよ。気になって目が覚めたぞ」パチッ

    ラビ「ンとゴとツだけで会話すると言われてるわね。最も習得難易度の低い言語の一つとして、よく挙げられるわ」

    八幡「難易度の割に、すごく不便そうだ」

    57 = 55 :

    ラビ「ゴーレム語じゃないのに、あなたと会話するには苦労したわ」ハァ

    八幡「雪ノ下式いつでも比企谷君バスターならやめてくれ。前なんて、○ーウィンが来た!の番組放送の話題から、真剣にスラウェシメガネザルと俺、どちらが優れているか議論したんだからな」

    ラビ「へぇ、サルね。ちなみにどっちに軍配が上がったのよ」

    八幡「惜しくも、スラウェシメガネザル君だ。一日あたりの食事量が少なかったところが決定的だった」

    ラビ「……」

    八幡「そういえば、今度のダーウィンはダンゴムシだったはずだが、アイツは予約すると言っていたな……」

    ラビ「ヨヤク?ときどきあんたの言ってる意味が良く分からないわね」

    八幡「その辺の話も後でしたほうがいいっぽいな」

    58 = 55 :

    ラビ「とにかく、そのユキノシタっていう人はきっとあんたのことが好きで素直になれないのよ!それか殺したいほど憎んでるわね!」

    八幡「まじか」

    ラビ「これはマジだと思うわ。私を信じなさい!」

    八幡「なら、もう転校するしかないな」

    ラビ「後者の可能性しか考えられないって、いったい何やらかしたのよ……」

    八幡「簡単に言えば、言葉のすれ違いってやつだ」

    ラビ「ふーん。いっそのこと、ゴーレム語でも習ったら?」

    八幡「考えとく。その場合は、雪ノ下にも「ンゴゴッ!」を言わせなければならないのが問題だ。多分、無理だろうな」

    ラビ(ユキノシタって人、頭がプーなのかしら?)

    59 :

    なぜ当たり前のようにラビットネクロマンサーが救ってるのかが判らないから微妙

    60 = 55 :

    今夜は終わりです
    ルナ関連の話をどうまとめるか、苦しんでるので小ネタが続くと思います
    おやすみなさい

    61 = 55 :

    >>59
    い、一応理由があるので、待ってくださると助かります
    ごめんなさい

    62 = 55 :

    八幡「うろの内部って意外と広いんだな……」

    あの害獣といい、この世界ではこのサイズがデフォなのだろうか

    うろの入り口を潜り抜けると、人二人が大の字になれるくらいのスペースがあった。

    その中央には、ついさっきまで兎に取り付けていたカンテラが置いてあった。

    ラビ「この森に長居はできないから、今夜はこれで十分よね」

    ラビットさんは、俺と反対側に座り背中を壁に預けた。

    「あんたも座りなさいよ。楽になれるわ」

    ラビットさんの視線は、俺の左足に注がれていた。

    森に入ってから、ハンカチを巻くだけの応急処置はしたので、出血は止まりつつある。

    できれば消毒もするべきなのだろうが、この状況では望むべくもない。

    俺は、左脚に体重をかけないように慎重に座り込んだ。

    顔を上げると、ラビットさんと目があった。

    見ていると、吸い込まれそうほど深い藍色の瞳。

    ここにきて俺は、ラビットさんが自分とは違う人種なのだと気づいた。

    彼女は、どでかい兎を操り、それを爆発させた。

    元の世界からみれば、化物に該当する。

    だけど、思惑はどうあれ自分を助けてくれた。

    もし、彼女がいなければ、死んでいただろう。

    彼女になんて、話しかけたらいい。

    今まで何を考えて、この人と話していた。

    答えは出ている。何も考えていなかった。

    彼女との関係なんて、どうでもよかった。

    とっととこの世界から消える予定だったから。

    でも、今は違う。

    この人に助けられてしまった。

    この人に感謝をしている。

    それは照れくさくて、どこか懐かしい感情であり、弱い自分の象徴だった。

    今だけは、これに縋ろう。

    八幡「ラビットさん、ありがとう」

    ラビ「どういたしまして」

    これが自分の見せる最後の弱みだ。

    もう二度と、こんな失態はおかすまい。

    63 = 55 :

    訂正
    >>62の前にこの文が抜けていました。失礼しました


    兎から降り、ラビットさんが指差す方を見ると、そこには朽ちた巨木があった。

    そして、根本のあたりにぽっかりと空洞があいている。

    あれが、「うろ」か。

    ラビ「兎さんには、出口の見張りをお願いするから、私たちは入りましょう」

    八幡「が……兎がブラッドウルフとやらに喰われることはないのか?」

    ラビ「だいじょうぶ、霊を喰う狼なんて聞いたことがないわ」

    八幡「?」

    ラビ「あら、あんた気づいてなかったの?これ兎さんの霊よ。乗っているときは実体化していたけど、幽体化もできるから、いつでも逃げられるし安心ね」

    八幡「……」

    ラビ「私を信じてないわね」

    八幡「まあな」

    ラビ「ま、あんたとは仲が良いわけでもないし。仕方ないわね」

    ラビットさんと俺はくだらない話をして、うろに向かった。

    64 = 55 :

    今日はおわりです

    65 :

    ラビットさんはその場で大きく伸びをして、小さな声で呻いた。

    ラビ「ふぅ。ま、私も今回のことで助けられたから、ヒッキーはそこまで気にしなくてもいいわ」

    八幡「どういうことだよ。俺は迷惑しかかけていないはずだが」

    ラビ「なによその自信、もっと申し訳なさそうに言いなさい。

       確かに迷惑だったけれど、私に与えられた命令はあんたを守れ、だったから、こうなるより他なかったと思うわ。
       
       つまり、これは約束された迷惑だってこと!」

    八幡「なるほど。だけど、命令だからってルナ様を…ころしたのはまずいんじゃないか」

    ラビ「ころしてなんかない!ちゃんとモルが庇うのをみてから爆発させたんだから!」

    ラビ「それにそれに、アレ以外の方法はなかったはず!モルとまともにぶつかって勝てる見込みなんてないもの。あんたを助けるには奇襲しかなかったの!」

    八幡「……それなら、ルナ様と会う前に逃げるように言ってくれたらよかったんじゃないか」

    ラビ「あんな早いタイミングでルナ様が友達になろうとするなんて思ってなかったのよ。
       
       で、でも気づいてからはちゃんと助ける準備に入ったじゃない!怒らないでよ」

    八幡「……」ジーッ

    ラビ「助けたのに責められるなんて憂鬱。どうしたらいいのよ。

       私がなにをすれば許してくれるのよ。あんたも契約を結べって言ってくるの?
       
       ええ、ルナ様と同じように酷い契約を結べばいいのよ!
       
       どうせラビットネクロマンサーなんて、これからも兎さん以外に話す相手がいない暗い青春を過ごすに決まってるわ。

       それくらいなら、契約して都合よくこき使われながらも、ふとした拍子に会話ができる喜びをかみしめる人生を選ぶんだから…」ガリガリ

    八幡「…わるかった。だから冗談でも、地面に魔方陣的ななにかを書くのはやめてくれ」

    ラビ「これが冗談にみえる?」

    八幡(san値が下がりそうな魔方陣だと思いましたまる)

    ……。

    66 = 65 :

    ラビ「すぅ、はぁ」

    八幡「口を大きく開いて、息をすって、はいて」

    ラビ「すぅ。はぁー」

    八幡「よし、もうあと1000回深呼吸な」

    ラビ「もう落ち着いたわよ!何回やらせる気!?」

    八幡「ようやくつっこんでくれたな」

    ラビ「?」

    八幡「すでに100回強は深呼吸をしてたんだぞ」

    ラビ「239回だと思ったんだけど、違ったかしら?」

    八幡「俺は途中で数えるのをやめたからな…。とにかく話を戻そう」

    ラビ「なんの話だっけ?」

    八幡「いや、命令のために、ルナ様の身を危険に晒したことだよ。ラビットさんみたいな従者にとって、命令はそんなに大切なのか?」

    ラビ「大切じゃない、まず逆らうことはできないと知りなさい。

       私に下されたのは、ただの「命令」じゃない。ルナ様と契約を結んだうえで、発令されたモノだもの。破れば、その魂は引き裂かれ、肉体はドロドロに崩れてしまうのよ。

       ……それでも、カードに閉じ込められていたあの地獄にくらべれば、さっさとそうなるべきだったと思うけどね」

    ラビットさんは俺から目線を外し、外の暗闇を眺めた。

    黒色以外何もない世界を見て、彼女は何を思っているのだろうか。

    八幡「できたらでいい。その『契約』について教えてくれないか?」

    ラビ「その質問をするということは、ヒッキーは契約を結んだことがないのね」

    八幡「ああ」

    ラビ「なら、教えてあげる。一応言っておくけど、あまり気分のいい話じゃないわよ」

    ラビットさんは深いため息をついた。

    67 :

    おもしろい

    68 :

    渋の千葉最強喧嘩師比企谷八幡面白いからみんな読んでね

    69 :

    マジキチスター2016年9月11日 21:47
    やはりゴミ山とクズが浜は総武高校の癌細胞はっきりわかるんだね

    え?三浦?あいつはHIVだ

    当たりが強くないゆきのんは詰まるところのただの美女何ですねわかります

    八幡兄妹ハーレムに、兄妹じゃないけどゆきのん入れようぜ

    70 :

    ぜひとも続きをください!!!!
    お待ちしてました!!&続きを全裸待機!!

    wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

    71 :

    アンチヘイトにしていく予定。
    ちなみに初投稿です。
    至らぬ点があると思いますが好きなように書いていくのでよろしくお願いします。
    あ、コメントは見るかわからないので書きたい人は書いていく感じでお願いします。
    時系列は文化祭後からで。
    良かったら評価とコメントお願いします。

    http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=7236224&uarea=tag

    72 :

    やはりゴミ山とクズが浜は総武高校の癌細胞はっきりわかるんだね

    え?三浦?あいつはHIVだ

    当たりが強くないゆきのんは詰まるところのただの美女何ですねわかります

    73 :

    作戦決行日

    とは言っても、天撃何発か撃っただけで滅亡したけどね。

    本当に気持ちよかったよ。
    久しぶりに全力を出したからね。

    地獄絵図だったよ。

    それに、戦車とか使ったところで
    俺らに効くわけないじゃん。

    それにしても、総武連中の反応は面白かったな。

    由比ガ浜は「ヒッキー何でこんなことするの?」
    とか言ってたけど、煩かったから
    槍を作り出してめった刺しにしたよ。

    ほかにも相模とか戸部とか海老名さんは
    めった刺しにして殺したわ。

    最期に葉山と雪ノ下だけど、
    2人そろって
    「お前さえいなければ!」
    って叫んで突進してきたけど。

    勿論、ほかのやつら以上に
    めった刺しにして殺したよ。

    本当に楽しかったです。

             天翼種代表 ハチマン

    74 :

    天翼を食らうものに食われたのは八幡だった……?
    続き投下します。

    75 = 74 :

    ラビットさんは、地面に書かれた魔方陣を一瞥した。

    ラビ「この契約の魔法陣がいつ編み出されたのかは分からないけれど

    私が物心ついたときには、すでにあったわ。

    それはおそらく、母が「ラビットネクロマンサー」で、契約を頻繁に行っていたからでしょうね。

    母は、契約した兎さんの霊を手足のように操っていた。

    それを見ると、私はとても誇らしかったし、羨ましかった。

    あんなふうに兎さんの霊を言うことを聞かせたいと、ずっと思ってた。

    小さな頃から、私は兎さんとその霊と遊んでいたから、いっそうね。

    そしてある日、母が兎さんの霊と契約するところを見せてあげると、言ってくれたの。

    母は「契約さえできるようになれば、あなたも意のままに従わせることできるようになります」と言ったわ。

    私は喜んでそれを見に行くことにした。

    そして、それを見てから、私は母を恐れるようになったわ。

    なぜって?母が、兎さんを殺したのをみてしまったからよ

    あのとき母は、私を家の地下室に案内した。

    そこは普段鍵がかかっていてね、私にとって、初めての場所だった。

    でも、そんなにいい場所でもなかった。

    蝋燭の火だけだから薄暗くて、入ってすぐに糞と獣の臭いが鼻をついたわ。

    目を凝らしてみると

    部屋の両側にちいさな檻がたくさんあってね。兎さんが一匹、一匹、入っていた。

    そして、中央にはこの魔方陣があったの。

    母は私に見ているように促してから、檻の中で閉じ込めていた兎さんを一匹、魔方陣の真ん中に持っていったわ。

    それから私の目の前で、兎さんに跨るようにして覆いかぶさってから、兎さんの首を両手でゆっくりと絞めはじめたの。

    目を疑ったわ。でも、怖くて声がかけられなかった。

    そうしている間に兎さんも暴れたんだけど、数分も経ったら動かなくなったわ。

    でも、時々足がぴくりと動いてね

    私は母に泣きついて助けるように言ったんだけど、聞き入れてもらえなかった。

    後で分かったけれど、もう既に兎さんは死んでいたの。

    それから、母が呪文を唱えると、魔方陣に兎さんの霊が現れた。

    兎さんは母を見たとたん、目を見開いて一目散に逃げようとしていた。

    けど、母が優しく話しかけるのよ。

    『私は、あなたを傷つけないわ。契約を結んでくれさえすればね』

    『ねえ、兎さん。

    もう二度とあんな目には遭いたくないでしょう?

    窒息して死んだのは、なによりも苦しかったはずでしょう?

    なら契約を結びなさい。

    私はラビットネクロマンサー。あなたの死後も、私のモノなの』

    76 = 74 :

    兎さんが、逃げても無駄だと悟るまで、そして契約すれば安全が確保されると思うまでそれは続いたわ。

    気が付いたら、兎さんの霊は魔方陣から消えていた。

    そのかわり、母の手には一枚のカードが握られていたわ。

    そしてそのカードには兎さんが映っていた。

    母は、呆然としていた私にこう言ったわ。

    『この兎の霊は『私から危害を加えない』という条件で契約を結んだ。

    契約によって、このカードに閉じ込めた兎の霊に、『命令できるのは一度きり』。

    命令が出されるまで、この兎の霊はカードの中で過ごすことになる。

    だが。命令をだせば、カードは砕け、兎の霊は命を果たすために召喚される。

    『兎の霊よ、私の娘と遊んであげて。娘の悲しみが晴れるまで』」

    母の言葉と共に召喚された兎さんはすぐに私に甘えてきた。

    私の周りをぐるぐる回りはじめて、鼻をこすりつけてきた。

    そのとき、私は気づいてしまった。

    今まで、仲良く遊んでいたと思っていた相手は、全部お母さんの命令で仕方なくだったって」

    それからラビットさんは、急に声を張り上げた

    ラビ「大体、分かったかしら!契約を結ぶ際の条件は相手によってさまざまで、主

    人様の生命力だの、召喚時は決闘させろだの、自由だわ。

    大抵は主人様のほうが、力が強いから、最低限の条件の場合が多いけどね。

    一方、主人様はその条件を満たしさえすれば、なんでも命令できる。

    これさえ覚えていれば大丈夫なんだから」

    八幡「契約については分かった。ラビットさん」

    八幡「あと一つ質問があるんだが……契約するには、殺さないとだめなのか?」

    ラビ「いいえ。母は、殺すほどの恐怖を与えたほうが、契約を結びやすいから、殺していたの。それに霊になったほうが、いろんな事ができるから…」

    ラビットさんは歯切れ悪く言った。

    ラビ「ねえ…ヒッキーはわたしを軽蔑したかしら?」

    八幡「ラビットさんもその母と同じように兎を殺しているのか?」

    ラビ「ちがうっ!私は老衰や怪我で死んだ子と、契約してる…」

    八幡「なら、それでいい」

    八幡「俺はラビットさんがどんなふうに兎と契約を結んでいるかは知らない。

    知りたいとも、思わない。ラビットさんもさっき言っていただろう。

    俺たちは仲が良いわけじゃない。そこまで分かり合う必要は、ないだろ……」

    ラビットさんは、一瞬なにかを口走りかけたが、諦めたように口をつぐんだ。

    77 = 74 :

    八幡(ラビットさんの話が正しいとすれば、ルナ様があのモルと呼ばれた骸骨やゾンビ軍団を動員できていたメカニズムが分かる。

       ルナ様が、それら全員をカードから呼び出していたんだ)

    八幡(ルナ様、どんだけカード持ってるんだよ。異世界の海馬社長か)

    八幡「ちなみに契約ってのは、いくらでも結べるのか?」

    ラビ「ええ、でもお勧めはしないわね」

    八幡「契約なんてしねえよ、どこぞの魔法少女じゃないからな。…その理由はなんだ?」

    ラビ「この契約の魔法自体の規模が大きくて、主人様の生命力を激しく消費するからよ。

    考えてもみなさい、対象をカード化して疑似的に亜空間に閉じ込めて、再度、亜空間から召喚しているの。こんなのを乱発していたら命を縮めるわ」

    八幡「ということは、ルナ様もまずいんじゃないか」

    ラビ「ルナ様は年に不相応なほど、強大な力を持っている。

    でも、泉がいつか枯れるように、ルナ様のそれも水底が見え始めていることは間違いないわね。」

    八幡「胸糞が悪い話だな。そのことをルナ様は知ってるのか?」

    ラビ「気づいていないわけがない。でも、それ以上に欲しいものがあるのではないかしら」

    八幡(友達…か)

    八幡「いや、待てよ。契約した相手に友達になれと命令すればいいじゃないか」

    ラビ「あんた、ルナ様がだした契約の相手(フォロワー)みた?ゾンビと骸骨よ。

       もう友達よ、死んでいるもの」

    八幡(そういえば、そうだった)
       
    八幡「その中でラビットさんはよく生き残れたな…」

    ラビ「あんたのおかげで助かったって、さっきから言ったでしょう。それは命令で『友達』になって、と言われずに済んだからってこと」

    八幡「なるほど。思った以上に危なかったんだなぁ」シミジミ

    ラビ「モル達に追われている今も、相当危険な状況なのを忘れてないかしら?」

    八幡「え」

    ラビ「あいつら、昼夜問わず追って来るはずよ。ヒッキーをころす、その命令を達成するまでね」

    八幡「」

    78 = 74 :

    八幡「」

    ラビ「え、えっと。私が守ってあげるから安心しなさいよ!逃げる速さなら負ける気がしないわ!」

    八幡「どこまで逃げればいいんだ?」

    ラビ「ゾンビはタフだし、とくにモルは不死身だから。死ぬまでずっとになるかしら」

    八幡「」

    八幡「ほかに方法はないのか!?」

    この年から逃亡生活はさすがに堪えた。いや、いつでも辛いだろうけど、まだ高校生だぞ。

    ラビ「あるにはあるけど、とんでもなく難易度が高いわね」

    八幡「なに?」

    ラビ「彼らと契約して、命令を上書きするのよ」

    八幡「俺を殺しにかかってるやつと契約なんてできるのか」

    ラビ「ええ、でもヒッキーにその力はないでしょうね。もちろん、私も」

    八幡「だめじゃねえか…」

    ラビ「モルを筆頭に、あれだけのゾンビたちと契約できるのは、私の知る限り一人しかいない」

    八幡「だれだ、頭でもなんでも下げるから、教えてくれ!」

    ラビ「ルナ様」

    八幡「……」

    ラビ「黙って泣かないでよ!難易度が高いっていったでしょ!」

    79 = 74 :

    今日はおわりです
    新パック前にケルベロスほしい…

    80 :

    過剰なストレスを感じたので明日投下します

    81 :

    八幡「…グスッ」

    八幡(……いや、待てよ。幾らゾンビでも元の世界までは追っかけてこられないだろ。

    つまり、異世界探査機さえ見つけてしまえば、俺は集団ストーカーから解放される)

    八幡(だが、肝心の異世界探査機はどこだ)

    八幡「なあ、ラビットさん。変な聞き方だが、最近『不審なもの』を見なかったか?特に…でかい鉄の卵みたいな物体だ」

    長径4m、短径2mの長楕円形の異世界探査機である。

    それが、気が付いたら煙のようになくなっていた。

    ラビ「ん、急にどうしたの?それってあんたの大切なもの?」

    八幡「いや、それさえあれば、この事態を切り抜けられるはずなんだ」

    ラビ「―へぇ、詳しく聞かせてもらってもいいかしら」

    ラビットさんの表情が一瞬、固まった。

    そのときの俺は、驚いたからだと思っていた。

    その予想はまったく、外れていた。

    82 = 81 :

    八幡「かくかくしかじかで。つまるところ、俺は異世界の漂流者で、その陽乃という女に騙されてここに来たんだ。そのために使ったのが、鉄の卵の形をした機械というわけだ」

    ラビ「」

    八幡(やっぱり、こういう反応だよな。まるで古文を聞いているときの由比ヶ浜みたいだ。目が虚ろになっている)

    ラビ「ねぇ」

    ラビ「あなたは、信じてほしいのかしら」

    ラビットさんはぽつりと言った。

    それを聞くと、むず痒くなるようないらだちが沸き上がった。

    八幡「別に信じてほしいわけじゃない。ただ話しただけだ」

    ラビ「それでいいの?」

    八幡「いいも悪いもないだろ。それは」

    ラビ「私の決めることだから」

    八幡「……」

    ラビ「あんたって、友達すくないでしょ」

    当たっているが、分かったような口をきくな。

    急に、ラビットさんが説教臭く感じた。

    八幡「そんなことより、その機械を見たかどうかを教えろ」

    ラビ「残念だけど、見たことはないわ。でも、私がカードから解放されたのはついさっきだから気が付かなかっただけかもしれないわね」

    ラビ「あんたを見つけたのはルナ様だから、知っていてもおかしくない。もしかしたら、隠し持っているかも」

    八幡「それを聞く前に、襲われたからな」

    ラビ「残された選択肢は二つね。私と一緒に逃げて、追いつかれるまで生きるか。それとも、ルナ様と対話して、契約を取り消すなり、その「いせかいたんさき」の居所を尋ねるか」

    ラビ「私は、あんたを助けろという命令を受けた。どちらの選択があんたを助けることになるかは判断できない」

    あんたが決めなさい、とその藍色の瞳が言っていた。

    それから目をそらして、左の足に巻かれたハンカチを眺めた。

    赤黒い血が、ハンカチ全体に広がっている。

    今度、あの骸骨に会ったら、これでは済まないだろう。

    なんせ、俺を殺すんだから。

    滅茶苦茶、痛いはずだ。

    ああ、死にたくない。

    考えると、元の世界はなんて安全なところだろうか。

    孤独がなんだ。

    鬱屈した毎日がなんだ。

    そんなことを考えて過ごすこと自体が幸せだったのだと、いまは思える。

    そんな元の世界に、俺は帰りたい。

    83 = 81 :

    >>82のラビの台詞で『契約を取り消す』ではなく『契約を上書き』でした
    失礼しました
    今日はおわりです

    84 :

    いちいちクロスさせんな
    ガイル女キャラだけで満足しろ
    チンコ脳のクソ八幡豚

    86 :

    そのID、俺ガイル原作以外の女性キャラが出ないクロス物でも同じ事言ってた
    多分日本語が不自由な人

    88 = 85 :

    >>87
    自己紹介乙

    89 :

    >>84
    女に飢えてるわけではなくシャドバssが少ないので書いてますね
    あと書いてほしくないならレスしない方が効果的ですよ
    誰にも読んでもらっていないと思っていたのでどんな形であれレスがもらえたことはうれしかったのです

    今日の夜、投下します

    90 :

    なんで触るかなぁ・・・

    91 :

    八幡「戻りてぇ」

    八幡「こんな世界で死ぬなんてごめんだ」

    ラビ「逃げた方が、長生きはできると思うわよ」

    八幡「それはそうだが」

    ラビ「逃げるのがかっこ悪いだなんて、思っているわけじゃないでしょうね!

    逃げて、逃げて、それでも幸せなことだってあると思うわ」

    八幡「今まで逃げて、幸せになれたことはねーよ。ずっと心のどこかで引きずっていくことになるんだぜ。これ以上背負うのはごめんだ」

    八幡「それに、この世界は色々と生き難い」

    ラビ「…そんな理由なの」

    八幡「あん?」

    ラビ「だって、それだって逃げじゃない。あんたはこれまで一度も元の世界に未練があると言っていない。ただのこの世界が厳しいから、もっと自分に優しい

    場所に戻るだけ。ちがうかしら?」

    八幡「...」

    ラビ「一応言っておくけど、私としては一緒に逃げてくれたほうがいいのよ。もしモル達と再び相対したら、きっとあんたと一緒に殺されるから。

       それでも私が案を出したのはあんたのためだけど、そんなくだらない理由で心中するつもりだとは思っていなかったわ」

    八幡「心中…だと?」

    ラビ「うふふ、私、これでもあんたに同情してしまっているのよ。
       
       ルナ様と出会ってしまった時点で、人生最大の危機だけれど
       
       あそこまで執着されているんだもの。救いようがないわ。
       
       聞けば、異世界からやってきて、その癖どこにも友達もいないんでしょう?
       
       呆れたけど、笑えなかったわ」

    ラビ「…カードに閉じ込められていた、私も一緒だから」

    ラビ「だから、あんたに夢を持たせてあげようと思ったのよ。
       
       それであんたが希望を持てるなら、いいと思った。
       
       それを見て、暗い喜びを感じられるから。

       でも、こんな『逃げ』は許さない」

    ラビ「すぐ死ぬなら、眩しくなるような希望を持ちなさい。そうしたら、私がいてあげるわよ」

    八幡「狂ってる…」

    ラビ「そうかもね。でも、あんたも永遠とも思える時間を暗くて狭い牢獄で過ごしてみなさい。

       狂わない人の方がどうかしているわ」

    ラビ「ねえ、今日、ルナ様から命令を与えられたとき、私は心の底から喜んだわ
       
       実を言うとそれは、牢獄から解放されたからじゃないの。
       
       ようやく私が、必要とされたからなの。これも、あんたからしてみればおかしいのよね」

    八幡「…」

    ラビ「もう無視しないでよ!

       …それでも、あんたの最期の瞬間まで、私は一緒にいるけどね。

       せめて明日は、最初に出会ったあの時みたいに希望に満ち溢れた姿を見せてよ」

       それは間違っているはずだ。
       
       俺は、あのときも希望に満ちてなんかいなかった。彼女にある種の期待を寄せてていたのは、事実であるが。

    ラビ「今日は、久しぶりに体を動かしたから、もう休ませてもらうわ。どうするかは、明日聞かせてもらうから」

    それからラビットさんは有無も言わさず、その場で腕を枕にして横たわった。

    一方で、俺は突き付けられた課題に悩むこととなる。

    92 :

    今日は終わりです
    明日が楽しみですね!

    93 :

    夜投下します
    とりあえずモルがお留守番をするようになりました

    94 :

    どこで生き方を間違えたのだろう。

    この問いは黒歴史と呼んでいる暗黒時代を,

    地べたを這いつくばるようにして必死に生きていたころ

    どうにもならぬことに涙を流しながら幾度となく自身に投げかけたものだ。

    さりとて、答えはでなかった。

    あのとき、はやる恋心を押さえつけていればクラス中の笑いものにならずにすんだのか。

    いや、告白したことで笑われるという時点で、生き方を間違っていた。

    ならば、入学当初、周りに上手く溶け込めなかったことが悪かったのだ。

    しかし、その原因は死んだ目と、厨二に片足つっこんでいたからである。

    つまり、父母の遺伝子と漫画が悪い。

    ここまで考えてから、過去の俺は慌てて思考を打ち切った。

    それなりに育んでくれた家族を否定することは、『いけないこと』だと思っていたのだ。

    また、漫画は孤独を紛らわすために買ったものだ。そのお金は親から出ている。

    それを恨むことは、できない。

    なら生き方の責任の所在は自分にあるのだと、考えるようになった。

    八幡「なら、こんな結末になったのも俺の責任か」

    八幡「…」

    八幡「ラビットさんは希望をもてと言っていたが、どうすればいい。

    死ぬことに、メリットでも見いだせって言うのか」

    もし、メリットがあるとすれば、それは現世の重荷から解放されることだろう。

    嫌悪も好意も怒りも憎悪すら向けられても、何一つとして責任を負うことはない。

    死が、すべてを無へと帰すのだ。

    八幡「だけど、死ぬために、これまで生きてきたつもりはなかったんだけどな」

    死ぬ

    死ぬ

    死ぬ

    言葉が脳内に響き渡ると、目の前の景色が急に遠くなっていった。

    今の自分の意識は頭のてっぺんから、目玉の奥を通り、首をゆっくりと下り、心臓にいた。

    自分の鼓動が痛いほどに、早くなるのを感じる。

    死が近づいていることを、肉体も認識した。

    恐怖が胃からせり上がって、幾度かこらえきれずに吐いた。

    だが吐いても吐いても、それが収まる様子はない。

    半ば自棄になり、手首を爪でかきむしったとき、滲んできた血をみると少し落ち着いた。

    まだ、生きているのだと、安心できたのだった。

    95 = 94 :

    疾走とエイラビショップにいじめられたのー!
    今日は終わりです

    96 :

    数分後

    うろの出口付近

    八幡(手首がやたらと痛む)

    八幡(かきむしったときは何も感じなかったのに、変だな)

    八幡(まぁ正気にかえっただけかもしれないが)

    ???「てめぇ、くっせえ血の匂いなんざぷんぷんさせてなんのつもりだぁ?そんなに糞狼どもの餌に志願したいのか。なら、森の奥まで案内してやるぜ」

    八幡「そういえば、ブラッドウルフがいるんだったな…って」

    大兎「あんだよ」

    気が付くと、隣にあの人相の悪い巨大兎が座り込んでいた。

    やつは耳をぴょんと立てて顔はまっすぐ前を向いている。

    だが、その赤い瞳はこちらをのぞき込んでいるのだった。

    八幡「まさか、今しゃべったのってお前…?」

    大兎「たりめーよ、ほかに誰がいるっつうんだ」

    隣の巨大兎が口をもごもごと動かした。

    八幡「兎ががががが、しゃべった」ボリボリボリザクッ

    大兎「腕を掻くのやめろ糞人間!本当に狼の群れにぶち込むぞゴラぁ!」

    八幡「あ、悪い。ストレスを感じたら血を見ると、安心することについさっき気づいたんだ」

    大兎「きんもちわりぃ性癖だなぁ…」

    八幡「自分の排せつ物を食う兎に言われる日が来るとは俺も落ちたもんだ」

    大兎「あ``?」

    八幡「な、なんでもないです」

    八幡(こいつ、嫌いだ。喋り方が中学生の頃、隣の席だった田中くんを思い出す。

    その平凡な名前から繰り出される、赤と金の縞々模様のモヒカンである超絶DQNスタイルにはクラスの誰もが一度は心中でつっこんだ、多分)

    97 = 96 :

    大兎「ふん、とにかくくっせぇから木に戻って、ご主人様と仲良くしとけや。こちとらお前のせいで、迷惑してんだ」

    八幡「べつにラピッドさんとは仲良くねえよ…です」

    大兎「仲良くねえ、だと?だけどもちろん、一発くらいヤッたことはあるよな?」

    八幡「ねえよ!」

    大兎「そうなのか…」

    八幡(出会って一日で合体とかは万年発情期の兎だけなんですぅ)

    八幡「それではこれで」

    大兎「あー、ちょっと待ちな」

    八幡「…なんすか」

    大兎「今夜はどうせ暇なんだ。なぁ糞人間、その傷を塞いだらまたここにこいよ。

    てめえみたいな奴と話すのも数年ぶりだから、楽しいかも知れねえ」

    大兎が頬にできた凶悪な傷跡を歪ませて、吐き捨てるように言った。

    まったく、言行が一致していないのだが、それをつっこめるほど俺はこの大兎に慣れていなかった。

    八幡「…憶えていたら、来ます」

    もちろん、来るつもりはさらさらない。

    真夜中化け物兎と話すくらいなら、忘れてそのまま眠ってしまうのが吉だ。

    大兎「もし来なかったら、明日ひどい目にあうぜ」ゲヘヘ

    そういえば、移動手段はコイツだった。

    ひどい目というには途中で振り落とすくらいはやるかもしれない。

    あんなスピードで、地面と接触したら間違いなく重傷を負う。

    つまり、行くしかなくなった。

    八幡(この世界に来てから、俺、手玉に取られまくりだな。

    元の世界では、陽乃さん以外にはある程度は抵抗できていたのに)

    これは決して、自身が無力であるからではない。

    周りがすべて陽乃さんクラスの変人なのだ。

    ルナ様然り、ラピッドさん然り、この害獣然り。

    これを陽乃さんに聞かれたら怒られそうだが、今はそれすらもいとおしいと思える。

    やっぱり、今日の俺は変だ。

    98 :

    うろの中

    八幡「ハンカチはもう使ってしまったし、さてどうやって傷を塞ごうか」

    声に出してみたが、答えは返ってこない。

    ラビ「すーすー」

    ラビットさんの方を一瞥したが、彼女は気持ちよさそうに寝息を立てていた。

    スカートがめくれて、黒のスパッツで薄く覆われた太腿が露わになっている。

    もし、屈みこめばスカートのなかも見えるだろう。

    そういえば、女性の下着を最後に見たのはいつだろうか。

    確か、、黒のレースさんに一年前に出会ったきりだ。

    被害者の名前は、川崎沙希。三年生になってからは、違うクラスになってしまったが同じ塾なので立ち話程度はしていた。

    あいつ、今でも勉強頑張ってるんだろうな。

    夜中まで勉強をして、眠いって愚痴を漏らしたときもあったし。

    俺がいなくなっても、あいつは頑張るだろう。

    でも、それで少しでもショックを受けるようなことがあれば、ウレシイと思ってしまうのは俺が屑だからだろう。

    99 = 98 :

    八幡「眠っているところ悪いんだが、ラビットさん」

    ラビ「…ん」

    八幡「怪我してしまった。できれば、ハンカチかティッシュ的なものをくれ」

    ラビ「てぃしゅ?」

    八幡「あと、お宅の兎が俺に用があると言ってるんだがどうにかしてくれ。

    間違いなく焼きを入れる気だ。田中君にやられたことがあるからわかるんだ。」

    ラビ「私の可愛い友達がそんなことするはずないじゃない」

    八幡「いやあの顔と言葉遣いは確実にする気だったな。

    俺の事、最初から糞人間扱いだったもの。脅しから話が始まったもの」

    ラビ「それってほんとうなの?あの子、いつも甘えてくるし、そんな乱暴な言葉遣いじゃないわ」

    八幡(あの害獣、ラビットさんの前では猫をかぶっているのか)

    一色といい害獣と言い、なぜ猫を被ったままでいてくれないのか。

    そういえば、遠い昔に一色にそれを尋ねたら

    『先輩が、それがいいって言ったんじゃないですかぁ』と拗ねられた。

    『先輩は、礼儀正しくてあほ可愛い私が好きなんですか?』

    べつに。

    『なら、それでいいじゃないですか。先輩の前だと、私も羽を伸ばせて楽なんですよ』

    俺は、その羽の体積だけ窮屈しているぞ。

    『先輩も負けじと羽を伸ばしたらどうですか。このままだと退化してペンギンになりますよ、足みじかいし』

    足が短いのは関係ないだろ。だが南極よりも過酷な世界で生きるには、ペンギンにならざるをえない。

    『はぁ、人間の先輩にはいつ出会えるんでしょうか』

    一色は、小さくため息をついた。

    ラビ「ヒッキー、急にぼーっとしないで」

    八幡「あ、ああ」

    ラビットさんの言葉が、俺を現実へ引き戻した。

    100 = 98 :

    今日は終わりです
    今更ですがシャドバssきましたね(歓喜)もうこのssの目標は達成されましたあとは閉じるのみ


    ←前へ 1 2 3 4 5 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS+一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について