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    元スレ八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「またね」

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    301 :

    Twitterは結構更新されてるんだけどなぁ・・・
    終わらせてくれると良いんだが

    302 :

    こんな糞スレさっさと落とせよ

    303 :

    大変永らくお待たせしました。10時頃、更新開始します!

    304 :

    良かった

    305 = 1 :











    午前午後と探索を続け、時刻は既に夕方7時過ぎ。
    あれから部屋を全て探索し、通路も含めてあらゆる場所を探し尽くした。だが……



    「……やはり無いですね、どこにも」



    一つ溜め息を吐き、少しだけ残念そうな表情でご飯を食べる楓さん。
    あまり落胆した様子じゃないのは、恐らく見つかるとは思っていなかったからだろう。楓さんに限らず、凛や鷺沢さんも。

    ちなみに夕食会場には既に全員が揃っている。さすがに昼から酒というのは自重したのか、大人組には酔っぱらった様子はまだ無い。いや、もう日本酒あけてるから時間の問題なんだけども。



    早苗「ったく、これだから探偵は頼りにならないわね。やれやれだわ」

    八幡「それじゃ、刑事さんは何か手がかりでも掴んだんすか」

    早苗「いや全くこれっぽっちも」



    ですよねー! むしろ清々しいくらいの開き直りであった。



    「これから、どうしようか」

    文香「そう、ですね……ここまで手がかりも無いと、さすがに…」



    うーんと、一同がメシを突きながらも頭を悩ませる。

    だが悲しいかな、その温度差が違うのが微妙に分かる。向こうの未成年側はそんなでもないけど、こっちとかトーンがガチである。マジで重要案件なんですね……


    306 = 1 :




    早苗「まぁ仕方ないわ。一応リミット的にはまだ二日ある事だし、今夜はとりあえず……」

    八幡「……とりあえず?」

    早苗「飲むわよっ!!!」



    ですよねぇー!! 分かってた、八幡分かってた……


    その後2時間程だろうか。やんややんやと騒ぎつつ(主に大人組が)、姦しい戯れも程々に、前乗り二日目の夕食は終了した。……なんでああいう宴会場ってカラオケ常備してあるんですかね。いや、多くは語らないけども。

    宴会場から出た時点で、未成年組は各々が部屋へ。案の定俺は大人組の二次会へと誘われたが、何とかかんとか頼み倒して遠慮した。単純に嫌だったという理由もあるが、うちの探偵さんの言う作戦会議があるからな。ここで連行されるわけにもいかない。単純に嫌だっていう理由がデカいが。

    しかし楓さんは付いて行っていたようだったが、大丈夫なのか? まさか言った本人が忘れていたりはしないだろうな……


    多少不安になりながらも自室で待機していると、先に凛と鷺沢さんが尋ねてきた。この2人も何と言うか律儀だな。



    「楓さんはまだ来てないんだ」

    八幡「ああ。忘れて飲んだくれてなきゃいいが」

    「さすがにそれは……」



    無い。とは言い切らない辺り凛にも不安が見て取れる。ってか表情に出てる。



    文香「二次会に少しだけ顔を出して…その後に来るつもり、なのでしょうか……?」

    八幡「まぁ、もう少し待って……ん」



    と、そこで携帯が振動している事に気付く。恐らくメール。楓さんか?



    八幡「………………………………」

    「ど、どうしたの?」



    携帯を見て動かなくなってしまった俺に、凛は心配するかのように尋ねてくる。俺は無言で携帯の画面を2人へと向けてやった。


    307 = 1 :




    「……『申し訳ありませんが、早苗刑事に逮捕されてしまったので、あと30分程待っていて貰えますか?』……ね」

    文香「……文章に反して、随分と楽しそうに乾杯する写真が添付されていますね…」



    ミイラ取りがミイラに……じゃねぇな。確実に確信犯だろこれ!



    八幡「本当に30分で来るのかも怪しいな……」

    「さすがに、それは……」



    無い。とはやっぱり言えないようだった。
    楓さんの信頼度ェ……



    八幡「……」

    「……」

    文香「……」



    そして、沈黙。

    え、何、このまま30分待機?



    八幡「……とりあえず、トランプでもやるか?」

    「なんで持ってるの……」



    ツッコミつつ、特に反対意見は出さない凛。まぁ、ヒマだしね……
    あと別に、これは俺が用意したわけではないぞ。泊まりで撮影だっつーから、小町が勝手に押し付けてきただけで。べ、別にお前らとトランプがしたかったんじゃないんだからねっ!


    とまぁその後三人で何故かトランプに興じるという意味不明な時間を過ごし、楓さんがやって来たのはババ抜き3回七並べ2回を終えもう飽きつつある時であった。一時間近くかかったぞオイ……


    308 = 1 :




    「ごめんなさい、最初は怪しまれない為に顔だけ出すつもりだったんだけど……ね?」



    いや、ね? じゃない。そんなに可愛くウインクしてもダメ。ってか大丈夫? もう大分お酔いになられてますよね??



    八幡「そんなんで作戦会議できます?」

    「大丈夫。それよりも、比企谷くんこそ大丈夫? いつもより顔が白いけれど。まるで女の子みたい」

    八幡「そっちは鷺沢さんです」



    まるでっていうか女の子である。完全に出来上がってるじゃねぇか!

    水を飲ませ、落ち着かせ、何とか人物の判別が出来るようになった所で、ようやく本題へと入る。ただ面子のテンションが大分どうでもよくなってきているのは秘密だ。



    「……ふぅ。それで、今後の方針なんですけれど、私に一つ考えがあるの」

    八幡「考え?」



    今更そんなキリッとした表情になっても遅いですよとか、余計な雑念は頭から追い払い、探偵さんの言葉を待つ。



    「とりあえず整理しましょうか。昨日今日と、武蔵の詮索をずっと続けていたわけですけど、結局見つからないまま……つまり、可能性としては大きくわけて二つ考えられます」



    ピースを作るように、二本の指を立てる楓さん。



    文香「二つ……ですか?」

    「ええ。誰かが武蔵を持ち出したと仮定した上で、の二つですけど」



    今日は二人一組による各部屋の捜索(+早苗さんの個人捜査)。そして昨日の事件発覚後にも、各自の自室を念のため軽く調査した。勿論、そこにも剣聖武蔵の姿は無かった。

    旅館の方にも確認し、考えられる所は全て探した。その上で、楓さんが上げる二つの可能性……


    309 = 1 :




    「まず一つは、あまり考えたくない事ですが……」

    八幡「……」

    「……あまり、考えたくはない事なんですが…………」

    八幡「分かりましたから進めてください」



    あくまで仮定の話だってのに、自分の考えにそんなに落ち込まないで頂きたい。



    「……既に無い、つまり飲んでしまったか、処分してしまったという可能性、ですね」



    どんより、本当に、そんな事実を認めたくないという風に言う楓さん。



    「ただあの暗闇の間だけで全て飲み干すというのは難しいと思うので、何かに移し替えたか……」

    文香「水道に、流したとか……」

    「……」

    「ま、まぁ確かに、それなら中身の処分は楽かもね」



    また楓さんの表情が哀しげになってきたので、凛が取り繕うように話を進める。



    「……瓶の方も、ラベルさえ剥がしてしまえば恐らく分からないと思うわ。一階の厨房の近くの廊下に空瓶置き場があったから、あそこに置かれたら気付かないでしょうね」

    文香「なるほど……確かに大広間からもそう遠くありませんね…」



    ふむふむと、思案するように頷く鷺沢さん。まさにその姿はさながら安楽椅子探偵のようにも見える。



    八幡「ただそうなってくると……」

    「ええ。やっぱり、動機が分からないのよね」



    そう、動機。これが一番の謎だと言ってもいいだろう。
    移し替えたならまだしも、処分したとすれば本当に意味が分からない。もはやただの嫌がらせだ。普通に考えれば、そんな事をしたがる奴がいるとは思えないだろう。


    310 = 1 :




    「一応、動機についての予想は無いことは無いんですが……」

    「そうなの?」

    「…………」



    視線を下げ、考え込むようにする楓さん。だが、すぐに顔を上げ笑みを浮かべる。



    「まぁ、とりあえずそれは置いておいて、もう一つの可能性の話をしましょうか」

    文香「……」 こくっ



    神妙な顔つきで頷く鷺沢さん。

    なんだかいつも以上に食い気味に話を聞いてるな。もしかして思った以上に推理している楓さんにミステリーを嗜む者として何か揺り動かされたのだろうか。その瞳には、心なし期待が見て取れる。



    「もう一つは……隠し持っている、という可能性です」

    「隠し持っている……?」



    楓さんのそのシンプルな言葉に、少し拍子抜けしたように反芻する凛。



    「それは、そうかもしれないけど……でも、殆どの場所は探したよね?」



    凛の言い分は最も。さっきも言った通り、昨日、今日と、俺たちは探せる場所は粗方探し尽くした。



    「ええ。でも、まだ探してない所もあるわよね? 例えば……」



    そこで、ジッと楓さんの視線がある一点へと注がれる。
    皆がそこへ同じく視線を向けてみれば、あるのは一つの旅行鞄。

    つまりは、俺の荷物。



    「……それそれ個人の荷物までは、調査はしていないでしょう?」



    不適に笑う楓さん。

    そう、その通りだ。確かに俺たちは各部屋の捜索はしたが、さすがに鞄などの荷物の中までは見ていない。というより、あえてしなかったと言った方が正しいか。



    「そこまではしたくない、という気持ちが全員にありましたからね。私もそこまでするべきではないと思っています」


    311 = 1 :




    もしも荷物の調査を、なんて言い出せば、それは疑っている事に他ならない。そこまでする必要な無いと、暗に全員が思っていた。無闇に人間関係を乱すのは得策ではない。……まぁ、その発想自体無い奴らも数名いそうではあるが。



    「だから、これは最初に言ったようにただの可能性。実際に私物のチェックをしようなんて言いませんよ」

    「楓さん……」

    「しようがないですからね……ふふ」

    「…………」



    頼むからセルフで上げて落とすスタイルをやめて頂きたい。



    文香「それでは、先程言っていた方針というのは……?」

    「ええ」



    楓さんの推理によってまとめた情報。可能性は二つ。
    誰かが既に処分してしまったか、隠し持っているか。

    だが、捜査としては私物のチェックをしない以上、これ以上手を付けようがない。

    そこで楓さんが提案したのが……



    「直接勝負と行きましょう」

    「…………え?」



    素っ頓狂な声、というのが正しいだろう。凛だけではない、鷺沢さんも、さすがに予想外だったの目を丸くしている。



    「直接、っていうのは……」

    「アリバイ確認をした時に嘘をついていた方たちへ、何故嘘を付いたのか訊くんです。分かりやすいでしょう?」

    「分かりやすいっていうか……」



    むしろドストレート過ぎるくらいである。それ私物のチェックさせてくださいってのと殆ど変わらない所が、むしろ酷くなってる気がするんですが……


    312 = 1 :




    「そうかしら?」



    だが、楓さんはどこ吹く風。



    「私なら、遠回しに疑われるより、面と向かって話を訊かれた方が嬉しいです」



    笑顔でそんな事を言うんだから、ああ、何でか知らんが、とても探偵っぽいと思ってしまった。安楽椅子とは程遠い調査だけどな……



    文香「それでは、やるんですね……」

    「ええ。この事件、明日で決着をつけましょう」

    「あ、明日中に終わらせるの?」

    「だって、最後の一日は気持ちよくお休みしたいじゃない?」




    まぁ、それについては同意。
    なんだかんだ、探偵ごっこも面白いと言えば面白いが、やっぱ折角の温泉旅館だ。ゆっくりしたいという気持ちもある。むしろそっちのが俺はデカい。それしか無いまである。




    「それじゃあ、明日へ備えて……」

    八幡「…………」

    「今日はもう寝ましょう♪」

    八幡「はいはい、分かってまs…………え?」



    ん? あれ、今、なんてった?



    八幡「今日は飲まないんすか……?」



    恐る恐るの確認。まさか、楓さんがそんな事を言うなんて……!


    313 = 1 :




    「たまには身体を労うのも大事かと思ったんですが……あら、もしかして、比企谷くんは飲みたかったのかしら?」

    八幡「ま、まさか。どうせ俺はソフトドリンクですし、むしろ良かっ…」

    「そう、飲みたかったのね。じゃあしょうがないですね♪」

    八幡「は?」



    と、どこからともなくビニール袋を取り出す楓さん。中には飲み物たっくさん!?



    「そうですかー比企谷くんが飲みたいのならしょうがないですねー♪」 ぷしゅっ

    八幡「いや言ってない一言も言ってないってか何もう開けてんですかあなたはってあーーもうやっぱこうなるのか!」

    「……もう諦めなよ」

    文香「……今夜も、長くなりそうです」



    こうして、二日目の夜も更けてゆく。

    なんでだろうね。全然全く一滴たりとも飲んでないのに、お酒が嫌いになりそうだ。



    なんだか、無償に暖かいMAXコーヒが恋しくなった。





    314 = 1 :











    日付は変わり、三日目の朝。
    相変わらず天気は悪い。こういう時ばかりは天気予報の正確さが嫌になるな。

    なんだかんだで撮影開始まで今日を合わせあと二日となった。高垣探偵団の団長こと迷探偵(誤字に非ず)楓さんは、今日で決着をつけると言う。果たして、そう上手くいくのだろうか。



    「さて、それじゃあまずはレナさんから行きましょうか」



    朝飯を終え、二階の談話室にて密談を交わす探偵団の面々。
    なんでも、楓さんは既に容疑者……って言うとアレだが、兵藤さん、幸子、莉嘉たち三人へと声をかけていたそうだ。いつの間に……



    「全員まとめて、ではないんだね」

    「もちろん。全員集まるのは、犯人が発覚した時と決まってますからね」

    文香「……」 こくっこくっ



    また鷺沢さんが大きく頷いている。まぁ、推理ものとしちゃ鉄板だもんな。
    それにしても鷺沢さんはどこかイキイキとしているように見える。心なし、気持ち、というレベルだが。

    もしかしたら、この人が一番この捜査を楽しんでるんじゃないだろうか……



    八幡「それじゃ、これからレナさんの部屋へ行くんすか」

    「いいえ、他の場所で落ち合う事になっているわ」


    315 = 1 :




    他の場所?
    誰か別の部屋へ呼び出したのか、まさか俺の部屋じゃないだろうな……と、少し不安に駆られていると、楓さんは天井、というより、上を指出し意味深に笑う。



    「行けば分かりますよ♪」



    ……ちょいと不安が増したが、まぁ、それもいつもの事か。

    先を行く楓さんの後へ付いて行き、凛と鷺沢もそれに習う。
    一同は階段を上り三階へ。マジで俺の部屋かとビクビクしたが、そこは普通にスルー。そのまま楓さんは更に奥へと歩みを進めて行く。

    まさか、三階の談話室ってオチか? それとも、この先にあるとすれば……

    と、俺の思考が予測をつけた辺りで、丁度楓さんが歩みを止める。そこはアイドルたちの誰かの部屋の前でもなければ、談話室でもない。



    レナ「あら。来たみたいね」



    兵藤さんが待っていたのは、ある意味では俺が一番楽しみにしていた場所。

    つまりは、ゲームコーナーだった。



    八幡「なんでまた、こんな所で……」



    俺が訝しげな視線を向けると、しかし楓さん本人も首をかしげ、はて? という表情を造る。



    「さぁ? この場所を指定したのはレナさんですから、私にも分からないわね」

    八幡「兵藤さんがここを?」



    それが本当なら、いよいよマジで分からんな。なんでゲームコーナー??
    選んだのが楓さんなら、まだ何となくとか、お遊び気分でとか、とりあえずよく分からん感性で納得できそうなものだが(普通に失礼)。

    こちらの疑問が伝わったのか、苦笑する兵藤さん。


    316 = 1 :




    レナ「ああ、この場所に呼んだのはちょっと理由があってね」

    八幡「理由」

    レナ「ええ。……率直に言って、あなた達は私を疑っているんでしょう?」

    「!」



    その言葉で、高垣探偵団に動揺が走る。いや、まぁ面子で呼び出してる時点でそりゃ予測もつくだろうけども……



    「疑っている、という程ではないんです。ただ……」

    レナ「ただ?」

    八幡「アリバイを確認した時、携帯を取りに行くとおっしゃいましたよね。本当は持っていたのに」



    遠回しに言うような事でもないので、はっきりと告げる。
    しかし、兵藤さんの表情に特に変化は見られない。まるでやましい事は無いと、そう言わんばかりの余裕だ。



    八幡「暗闇の中で間違って兵藤さんの巾着に触れてしまいまして。恐らくあれは携帯電話でしょう?」

    レナ「…………」

    八幡「なんで嘘をついたんです?」



    俺の核心を突くかのような質問に、兵藤さんはフッと小さく笑みを零し「なるほどね……」と呟いた。



    レナ「……確かに、あの時は嘘をついた。それは認めるわ」

    「!」

    文香「それでは……」

    レナ「でも、それとこれとは話は別よ? 武蔵を持ち出したのは私じゃない。その主張は変わらないわ」



    肩をすくめるようにし、あくまで自分ではないと言う兵藤さん。
    まぁ、確かに嘘をついた事でそれが持ち出した証拠には繋がらないわな。



    「では、何故あんな嘘を?」

    レナ「言う必要がある? 黙秘権を主張するわ」

    「……理由を教えて貰えないのであれば、はいそうですかとは引き下がれないわね」


    317 = 1 :




    ジッと、それからお互いを見つめながら黙ってしまう二人。
    なんというか、まるでドラマのワンシーンのようだ。さすがは現役アイドル、絵になる。……実際はただの酒を取っただ取らないだの残念なやり取りなのだが。

    そしてどれくらいの間があっただろう。先に口を開いたのは兵藤さんだった。



    レナ「……そうね、それじゃあ、一つ勝負をしましょうか」



    その表情は、まさに不適な笑みと言ったところ。挑発的とも言える。



    「勝負?」

    レナ「ええ。こうなるんじゃないかと思って、この場所へ呼んだの」



    そう言って、兵藤さんはゲームコーナーの奥へと進んで行ってしまう。
    慌てて後を追う俺たちだったが、その先にあったのは……なるほど、そういうことか。



    レナ「もしも私に勝つことができたら、潔く理由を説明するわ」



    キラキラと光輝く筐体に、ジャラジャラと音を鳴らす無数のメダル。
    回転するルーレット、弾かれる銀色の玉……

    所謂メダルコーナー。そうだった。兵藤レナさん、この人は”元ディーラー”。

    であれば、この場所にいるのはむしろ自然だとも言える。



    レナ「簡単なゲームコーナーではあるけど、それでも、勝負をつけるには充分ね」



    そう言って銀色に輝くメダルを弾き玩ぶ姿は、なんとも様になる。

    ……しかし、まさかの展開。よもや勝負をする流れになるとは思わなんだ。
    何と言うか、コナン君で言う所のシリアス回じゃなくて少年探偵団の回だった、みたいな。……いやこの例えも大分謎だな。



    「ふむ……なるほど」



    そして隣を見れば、腕を組み思案する楓さん。一応忠告しておくか。



    八幡「楓さん。相手はあの兵藤さんです。そこの所をよく考えてくださいよ」

    「受けて立ちます」

    八幡「楓さん今の俺の話聞いてましたか何で即答なんですか話聞いてませんでしたかよく考えてくださいって言いましたよね俺」


    318 = 1 :




    いやどうせ受けるとは思ったけどさぁ! もうちょっと聞く耳持とう!?



    「大丈夫ですよ。きっと何とかなります」



    何故か余裕たっぷりにウインクまでしてみせる楓さん。
    相変わらず楽観的というか飄々としているというか、一体その自身はどこからやってくるのやら。



    八幡「けど、何も相手の得意分野で勝負を受けなくても……」

    レナ「安心して。そこはちゃんとハンデをつけるから」



    ハンデとな……それを聞いて少し安心する。
    賭け事に関しちゃ、恐らく高垣探偵団に勝てそうな団員はいない。中でも一番団長が頼りなさそうってどうなのこれ。声だけは賭け事にめっちゃ強そうだけども。



    レナ「それじゃあ、とりあえずルール説明を始めるわね」



    そう言うと兵藤さんは、あらかじめ用意していたのかメダルの入ったカップをどこからともなく取り出し、近くの格ゲーの筐体へと並べ始める。

    置かれたカップは五つ。



    レナ「ルールは単純。一人百枚ずつメダルを持ち寄って、それを最終的にどれだけ増やせるかで勝負。一番多かった者が優勝よ。制限時間は……一時間もあればいいかしら」

    「……? 一人百枚ずつ、ですか?」

    レナ「ええ。だから、厳密には一対四という事になるわね」

    八幡「!」


    319 = 1 :




    それは、また何とも分かりやすいハンデだな。
    要はこちらの四人の内の誰かが一人でも兵藤さんのメダル数を上回ればいいわけだ。ハンデとしてはかなり大きい。

    ……けど、何故だろう。それでも不思議と勝てる気がしない。こっちのメンバーの実力が未知数すぎるのも理由ではあるが。



    レナ「どう? 何か異論はあるかしら」



    念のため振り返り、凛と鷺沢さんを見るが、二人も特に異論は無いようで無言で頷く。俺も特には無いが……どのみち最終決定権はこの人にある。



    八幡「どうですか。高垣探偵」

    「大丈夫です。それでいきましょう。…………今の呼び方でもう一回呼んでもらえるかしら?」



    呼ばねーっつの。

    かくして火蓋は切って落とされた。GAME START!!






    × × ×






    八幡「凛。メダルくれ」

    「早っ!?」



    ゲーム開始から15分経過。俺は既に無一文であった。世知辛い世の中だぜ……


    320 = 1 :




    「一体何したらそんなにすぐに無くなるの……」

    八幡「ポーカー。最初は調子良かったんだがな。気付いたらカップが空だった」

    「……最初は『はなから使わない方が勝てる可能性あんじゃねーか?』とか言ってたのに」



    おっかしーよなー、グラブルだったら結構稼げるのによ。やっぱダブルアップが無かったのが痛かったか。

    しかしこうしていると、いつだったか奉仕部+その他と行ったゲームセンターを思い出す。あの時も小町にせびてたなぁ……あれ、もしかして俺ギャンブル駄目系男子?



    「私は良いけど、でもルール的にどうなの?」



    と、チラリと兵藤さんを見やる凛。
    確かにそう言われてみると微妙なとこか。こっちは四人だし、始まった時点で一人に全部あげてしまえば四百枚になる。そう考えるとかなりズルい。

    しかしレナさんもここまで早く脱落するとは思ってなかったのか、苦笑しつつ救済処置を与えてくれた。



    レナ「それじゃあ、十枚だけなら分けていい事にするわ。一人一回までね」

    八幡「なんかすいません……」



    何とも情けない挑戦者であった。
    しかし十枚であと何ができるだろう……



    「はい、十枚」

    八幡「おう。サンキュ」



    アイドルに養われるプロデューサーの図がそこにあった。悪い気はせん。むしろ理想だ。
    この現場を小町に見られたら、兄を甘やかさないでください、とかまた言われんだろうな。ま、今日はいないもんねー!

    ちなみに凛はと言うと、定番のメダル落としをずっとやっているようだ。タイミングを見計らってメダルを落とし、押し出すやつ。見た所、少し増えているようなのでまずまずと言ったところか。我ながらすかんぴんのくせに謎の上から目線。


    321 = 1 :




    「あんまりゲームセンターとか来たこと無いし、初めてやったんだけど……結構難しいものだね」



    と、そうは言いつつ下手ではない。もう少しでジャックポットのチャンスだ。こういう妙に要領が良い所は凛らしいな……性格はどちらかと言えば不器用な方なのに。



    八幡「そういや、楓さんは何してるんだ」

    「さっき、あっちのパチンコ台の方で見かけたけど……」

    八幡「その台詞だけだとかなり嫌なパワーワードだな」



    でも楓さんだったらパチ屋にいてもそんなに驚かない気もする……いやでもやっぱり嫌だわ。



    「あ、戻ってきたよ」



    凛の視線の先を見ると、こちらへ歩いてくる楓さんがいた。持ってるカップの中身は見えないが、その表情は妙に上機嫌に見える。

    もしや、これは良い結果が……?



    「……私の戦いは、ここまでのようです」

    「こっちも早い!?」



    やっぱりだった……こんなに分かりやすい展開があっただろうか。いや、全く全然人のことは言えないんだけどな。



    「おかしいわね。最初は調子が良かったんだけれど、いつの間にか空になっていたの」

    「……どこかで聞いたような台詞だね」



    凛の視線が痛い。と、とりあえず口笛を吹いて誤摩化しとこう。

    そして例によって凛から楓さんへ十枚譲渡。今度は助手のお世話になる探偵の姿がそこにはあった。


    322 = 1 :




    「ありがとう、ミス・ワトソン」

    「それまだ続いてたんだ……」



    と言いつつ嫌そうではないんだから素直じゃない奴である。
    というか、凛はどこか楓さんを尊敬してる節があるからな。その奔放さに呆れてはいても、同時に憧れのようなものも持っているのだろう。

    それも、分からない話ではない。



    「えい」

    「か、楓さん! そこじゃなくて、もっとメダルが密集した所を狙って…」



    ……たぶん。

    その後は俺も楓さんも凛の隣で同じメダル落としをプレイすること30分。10枚でどうにか粘りに粘ったが、制限時間を残し再び0枚になってしまった。ちなみに楓さんはもっと早い段階で見るだけになっていた。

    そして、期待の凛もあまり振るわない様子。



    「うーん……中々増えないね」

    八幡「まぁ、この手のゲームは元々辛い調整になってるしな」



    基本的に時間を潰して遊ぶゲームみたいなもんだから、たまに当たってメダルが増えても、結局ジリジリと少しずつ減って行く。その繰り返しだ。



    「なんともいじらしいわね……こう、台を少し揺らしたら落ちないかしら」

    八幡「思いっきりイカサマですからやめてください……」



    賭け狂うどころか普通に迷惑行為です。

    そしてその後も凛は奮闘するも、特に大当たりがあるわけでもなくゲーム終了。
    ここからは集計タイムだ。


    323 = 1 :




    「えっと、六十四枚……かな」



    凛の最終結果、六十四枚。何ともリアルな数字だ。
    むしろ、初めてやったにしては上出来な記録と言える。



    八幡「俺は0です」

    「私もです♪」



    凛が数えてる間は何とも言えない緊張感があったのに、俺たちは一言で結果報告が終わってしまった。なんとも虚しいものである。そしてなんで楓さんは無駄にそんなに自身たっぷりなんだ。



    レナ「それじゃあ、次は私ね」 ドンッ! ←カップを置く音

    八幡「終了。解散」

    「諦め早っ!?」



    いや無理でしょ。何よ今の音。何枚あったらそんなワンピースの効果音みたいな音出るの?



    「ダメよ比企谷くん。最後まで希望を持たないと」

    八幡「あんな漫画盛りのご飯みたいにカップからメダルが見えててもですか」



    やべぇよ、元ディーラーなめてたよ……まさかこんなお遊びみたいなゲームまで上手いとは。さっき見た感じだとスロットやってたし、やっぱその手のが得意なんか。

    負けは見えつつあるが、一応兵藤さんがメダルを数えるのを待つ。枚数は多いが、手際はかなり良いので思いの外早く終わった。



    レナ「六百八十二枚ね」

    八幡「…………」



    完敗。そらもー清々しい程の完敗であった。


    324 = 1 :




    八幡「……楓さん。負けちゃいましたけど」

    「ええ。……良い勝負でしたね」

    八幡「俺が言うのも何ですけど貴女が一番勝負できてなかったです」



    っていうか、そういうこっちゃない。



    レナ「あら。でももう一人挑戦者がいるんじゃなくて?」



    と、そこで兵藤さんの台詞で思い出す。
    そうだった。あまりの影の薄さで忘れていたが、高垣探偵団にはもう一人、安楽椅子探偵がいたではないか。



    文香「おまたせ、致しました」

    八幡「鷺沢さん……?」



    ヒーローは遅れてやってくるものとばかりに、妙に格好良く登場する鷺沢さん。正直制限時間ちょっと超えてたんじゃないかとかちょっと思う所はあるがそこは置いておくことにする。

    それよりも気になるのは、その両手に抱えたメダルいっぱいのカップだ。



    「す、凄いメダルの数」

    文香「先程数えましたら……千と五十九枚、ありました」

    「千!?」



    まさかのダークホース。鷺沢さんにこんな特技があったとは……!」



    八幡「ちなみに、何のゲームやったんすか」

    文香「入り口の方にあった、ジャンケンマンというゲームを……」



    まさかのジャンケンゲームだったーー!

    いや、確かにあれもダブルアップがあるから上手くいけば稼げるけども……それにしたって豪運
    である。撮影出発前に鷹富士さんか依田と握手でもしてきました?


    325 = 1 :




    レナ「……やるわね。私の完敗だわ」



    苦笑する兵藤さん。この展開はさすがに予想外だっただろうな……



    レナ「結構本気でやったんだけどね……でも、負けは負け。約束通り話すわ」

    「!」

    レナ「何故、携帯電話を取りに行ったなんて嘘をついたか……」



    兵藤さんのその言葉で、場に緊張が走る。

    そうだ。なんかゲームに夢中になってたおかげで忘れそうだったが、元々これはそういう理由で始めた勝負だった。別にただ遊んでいたわけではない。わけではないんだ。



    レナ「本当はあの時、急いで部屋に戻らないといけない用事があったのよ」

    「用事、と言いますと?」

    レナ「…………」

    八幡「……?」



    兵藤さんは何故かチラッと俺の方を見ると、とても言いにくそうに言い淀む。
    その表情は何と言うか、恥ずかしそう……?



    レナ「楓さん。ちょっと……」

    「?」



    ちょいちょいと手招きし、楓さんを近くに呼ぶ。
    他の者へ聴こえないようにと、耳元で口を隠しながら囁くそれは、いわゆる耳打ち。



    レナ「……………」

    「はい?」

    レナ「だ、だから………………ったのよ……」

    「……ああ!」


    326 = 1 :




    ぽん、と手を打ち、納得したかのように笑顔を浮かべる楓さん。



    「なるほど。ブラj…」

    レナ「ちょーーっとぉ!!? 耳打ちした意味ないでしょ!!」



    何かを言いかけた楓さんの口を、瞬時に塞ぎにかかる兵藤さん。その顔は真っ赤っかで、非情に何と言うか、普段の大人な雰囲気とのギャップがあって素晴らしいですね。



    レナ「だから、すぐにでも部屋に戻りたくて……」

    「それは……確かに飛び出て行っても仕方ないかも」

    文香「他の方にも、言い辛いというのも、わかります……」

    レナ「そうでしょう?」



    と、今度は何故か女子勢そろってこしょこしょと何やら話し始める。俺、完全に蚊帳の外。
    そして密会が終わったのか、兵藤さんは一度咳払いをすると俺の方へ向き直る。その顔はまだ少し赤い。



    レナ「……というわけで女の子たちへは理由を説明したけど、納得して貰えるかしら」

    八幡「あー……まぁ、男の俺には言いにくい話だってことは理解しました」



    うんうんと頷く高垣探偵団女子s。
    であれば、俺が問い質すのも野暮というものだろう。正直めちゃくちゃ聞きたいが。



    レナ「なんなら、私物のチェックをしても構わないわよ?」

    八幡「いえ。楓さんたちも納得してるようですし、元々そこまでするつもりは無かったんで大丈夫です。……って言って良いですよね団長」



    「ええ。捜査へのご協力、ありがとうございました」



    まぁ捜査っつっても、ほぼ遊んでたようなもんだが。



    レナ「この後は、他のメンバーの所へ行くの?」

    「そうですね。時間は決めてあるので、次の方はお昼の後です」

    レナ「ふーん……」


    327 = 1 :




    と、そこで何故か笑みを浮かべる兵藤さん。
    一瞬捜査に同行したいとでも言うのかと思ったが、どうやら違うようだ。



    レナ「……お昼の時間まで、まだ一時間以上はあるわね」



    携帯電話で時間を確認しつつ、不適に笑う兵藤さん。その眼光は妙に鋭い。おっと、これはもしや……?



    レナ「どう? 捜査とは何の関係も無いけど、もう一勝負いかないかしら?」

    「受けて経ちます」

    八幡「いやだからなんで即答?」



    なんなの? 勝負を仕掛けられたら必ず受けなきゃいけない性分なの? ポケモントレーナーなの?
    ……たぶん、何となく楽しそうだからって理由だけなんだろうな、この人は……



    レナ「それじゃああっちの方にビリヤードがあるから、今度はそれで勝負しましょうか。……今度は負けないわよ」



    ニヤリと、とても楽しそうに笑顔を浮かべる兵藤さん。
    この人もこの人で、かなりの負けず嫌いのようだった。そりゃ、ギャンブルも強いわけだわな。



    文香「ビリヤードも初めての経験なのですが、大丈夫でしょうか……」

    「私も。プロデューサーはやったことある?」

    八幡「……まぁ、ナインボールくらいなら」



    その後は5人でただただ普通にビリヤードをやって遊んだが、まー兵藤さんは強かった。本当、相当悔しかったんだろうね……

    さて。昼飯を済ませたら、再び捜査開始だ。



    お次のターゲットは、あの自称・シロである。





    328 = 1 :

    今夜はここまでです! 予定ではあと2~3回の更新で楓さん編は終了です。
    もう久しぶり過ぎて話も忘れちゃってるかもしれませんが、まとまったら渋の方にも投下しますんで、よろしくお願いします。

    329 = 1 :

    そしてお知らせですが、楓さん編が終了後、渋谷凛のその後(+ラストエピローグ)を更新、8月9日に完全に完結予定です。
    最後の最後に駆け足ではありますが、何卒最後までお付き合いください。

    330 = 304 :

    乙乙
    長く続いたからな
    本当に面白かった

    ゲームセンターには何年行ってないだろう

    332 :

    メダルゲーなあ
    中学生ときぐらいすげー好きやった

    333 :

    10時頃更新します。
    あと2~3回で楓さん編終了と言いましたが、今日で一気に終わりまでいきます。

    334 :

    待ってます

    335 = 1 :

    すいません遅くなりました。更新します!

    336 :

    わーい

    337 = 1 :











    幸子「う、ううううう嘘なんてついてません! ボクは無実ですよ!!!」



    部屋中に響く輿水の叫び。
    ここまで分かりやすく狼狽されると、いっそ清々しいな。自称・女優を語るならもうちょい取り繕ってくれ……

    昼飯を終え、輿水の部屋へ来て既に10分程。だが、兵藤さんの時と同様に事情聴取を行ったところこの有様。



    「幸子ちゃん? 別に私たちは、貴女を疑っているわけじゃないの。ただ何で部屋へ行ったか、本当の理由を聞きたくて……」

    幸子「だ、だから、お手洗いに行っただけだって言ったじゃないですか! 嘘なんかじゃありませんよぉ!」



    と、ずっとこの調子である。

    ……まぁ、確かに嘘ついてるって証拠は無いんだよな。あからさまに怪しいだけで。



    「比企谷くん。ちょっと…」

    八幡「はい?」



    すると楓さん、俺の耳元に顔を近づけ、耳打ちをしてくる。いや、だからそういう行動をさ、あんまり気軽に青少年に対してやらないでくれますかね……!

    微妙に身体を傾け、少しでも距離を取る。断じてヘタレではない。


    338 = 1 :




    「どうにか、聞き出す方法は無いかしら?」

    八幡「いや、それを俺に訊くんすか」

    「だって、幸子ちゃんなら比企谷くんの方が対応が上手いと思って」



    一体どういう意味だそれは。おちょくるのは好きだが、果たしてそれは対応が上手いのに繋がるのか……?



    「ね? お願い」

    八幡「……まぁ、やれるだけやってみます」

    「その間に、私はちょっと……」



    と言って、楓さんはスッと引き下がる。
    なんか面倒毎を押し付けられた感があるが、これもプロデューサー……じゃなくて、高垣探偵団の仕事か。



    幸子「なんですか? さっきからコソコソと……」

    八幡「あー……輿水よ。お前はわざわざ部屋までトイレまで行ったと話したな?」

    幸子「え、ええ。それが?」



    相変わらずいちいち返答がしどろもどろである。ってかこれ大丈夫か? 俺セクハラで訴えられたりしない?



    八幡「だとすると、少し妙なんだよな」

    幸子「みょ、妙とは?」

    八幡「兵藤さんが言ってたんだよ。兵藤さんと莉嘉はお前と同じように部屋へ戻ったらしいが、行く時も戻る時もお前とは会わなかったってな」

    幸子「ぶぇっ!?」



    理由が違ったにしろ兵藤さんが部屋へ戻ったのは本当だった。そしてその兵藤さん曰く、部屋へ向かう時は莉嘉と一緒だったが、輿水はいなかったらしい。



    八幡「お前らの部屋は同じ階にあるのに、なんで道中一緒じゃなかったんだ?」

    幸子「そそそそそそ、それは……!」


    339 = 1 :

    あ、すいません。訂正なんですが、幸子と莉嘉は同室じゃありません。別室です。直すの忘れたまま前に投下してしまったので、脳内補完でお願いします……

    340 = 1 :




    明後日の方向を見ながら更に狼狽しまくる輿水。その目は泳ぎに泳いでいた。自分で問い詰めといてなんだがもう少し頑張れ自称・女優。



    幸子「……く、暗闇で気付かなかったんじゃ!」

    八幡「その時はもう既に明かりついてたよな」

    幸子「…………べ、別のルートを通って……!」

    八幡「この旅館は上の階に行く階段は一つしかないだろ」

    幸子「………………ちょ、ちょっとトイレに寄って…て……」

    八幡「そもそもトイレの為に部屋へ行ったんじゃないのか」



    発言の旅に縮こまっていく輿水。ここまで語るに落ちまくる奴も珍しい……
    ここまでくると、もはや嘘をついてるって言っているようなものだ。



    幸子「う、ううう……ボクじゃない、ボクじゃないんです!」

    八幡「いや、そう言われてもな……」



    せめて宴会場から抜け出した本当の理由を説明してくれれば助かるんだが、それも言いたくないようだし、困ったもんだ。
    そんなに苦渋の表情をされると、なんだかこっちが悪い事をしてるような気分になってくる。



    「……プロデューサー、その辺にしといてあげたら?」

    文香「少し、不憫に思えてきました……」



    見かねたのか、小さな声で告げてくる凛と鷺沢さん。まさかの高垣探偵団からの助け舟であった。まぁ、気持ちは分からんでもない。さっきまでうろちょろしていた楓さんも若干申し訳なさそうだ。



    幸子「う、うう……」

    「……ごめんなさい、幸子ちゃん」

    幸子「楓さん……?」

    「確かに私たちはあなたの証言を疑ってはいるけれど、それでも、貴女の事を犯人だとは思っていないわ。そこだけは信じて」


    341 = 1 :




    輿水へ歩み寄り、まるで子供を諭すかのように優しい声音で話しかける楓さん。
    ……まぁ、14歳と25歳だし実際大人と子供なんだが。



    「責め立てるつもりもないの。だから安心して頂戴」

    幸子「楓さん……」



    その言葉に、少しだけ気持ちが揺らいだような表情になる輿水。
    しかしすぐに思い直したのか、キュッと口を結び、眉を寄せ、珍しく決意するかのような強ばった顔になる。



    幸子「……すいません。嘘をついたことは認めます。……でもやっぱり、本当のことは言えないんです」

    八幡「…………」



    そこまでか。
    一体どんな理由があれば、ここまで口をつぐむというのか。



    「……そう。どうしても、教えてくれないわけね」

    幸子「はい。こればっかりは」

    「分かりました。…………それじゃあ、勝負をしましょう♪」

    幸子「はい。…………はい?」



    一転、ポカーンと間抜けな表情になる輿水。正直その反応は正しい。



    幸子「へ? え、勝負って……勝負というのはつまり、どういうことですか……?」



    輿水幸子は混乱している。頭上にはてなマークが見えるようである。
    それに対し、楓さんはとても楽しそうだ。さっきまでの優しい笑顔は何処へ……



    「さきほど兵藤さんともやってきたんです。私たち高垣探偵団が勝てば、ちゃんと事情を説明して貰う。幸子ちゃんが勝てば、私たちはもう何も訊かない。そういうことです」

    幸子「はぁ…………いやどういうことですか!?」


    342 = 1 :




    一瞬納得しかけたように見えたがすぐに我に返る。
    まぁ、普通に考えてよく分からん展開だよな……俺もよく分からん。さっきは勝負事好きな兵藤さんが相手だったし。そもそも言い出したのはあっちだし。



    「まぁ良いじゃないですか。要は、幸子ちゃんが勝てば良いんです」

    幸子「え、ええー……」

    八幡「諦めろ輿水。じゃないと話が進まない」



    普通に考えれば輿水がこの勝負を受ける義理は一切無いのだが、そこはそれ、さすがは輿水。盛大な溜め息と共に流れを受け入れたのか、陰鬱な表情で問うてくる。



    幸子「……それじゃあちなみに訊きますけど、勝負というのは何をするんですか?」

    「そうね……例えば」

    幸子「例えば?」

    「甘いもので早食い、とか?」

    幸子「そういうのはかな子さん辺りとやってくださいよ!」



    完全に今考えたなこの人。白くまでも買ってくる?



    「そういえば、肝心の勝負内容を考えてなかったわね……」

    八幡「さっきは向こうが用意しましたしね」



    その結果メダルゲームという相手の得意そうな種目で勝負する事になったのだが……まぁ、勝ったから結果オーライだな。

    と、そこで輿水がピーンと何か思いついたようにし、次第にその表情は笑みへと変わっていく。これはまた碌でもないことを考えてるな。



    幸子「分かりました。勝負は受けます」

    「!」

    幸子「ただし、勝負内容はボクが考えるというのが条件ですが」



    ニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべながら言い放つ輿水。やはりそうくるか。


    343 = 1 :




    「……その勝負内容というのは?」

    幸子「ふふーん、よくぞ訊いてくれました。ズバリ……」



    そこで輿水は言葉を切る。大仰に勿体ぶったかと思うと、右手を大きく頭上に掲げ、その後俺たちへと人差し指をさし、犯人はお前だ! と言わんばかりに突き出す。むしろそれはお前がやられそうなポーズなのだが。

    そして輿水は、妙に自信満々に言い放った。



    幸子「……題して! 『本当にカワイイのは誰か選手権』ですっ!」

    八幡「……………」

    「(プロデューサーが『割と真剣にこいつバカなんじゃないか?』みたいな目で見てる……)」



    こいつバカなんじゃないか?



    幸子「ルールは簡単です。貴女たち……えー……少年? 探偵団?」

    「高垣探偵団です」

    幸子「失礼。高垣探偵団が一人一人何か『カワイイ行動』をして、それをボクにカワイイと認めさせることが出来れば、貴女たちの勝ちとしましょう!」

    八幡「お前のさじ加減ひとつじゃねぇか」

    「受けて立ちます」

    八幡「楓さーーーん!?」



    もはや様式美と言っていいかもしれない。



    八幡「輿水が絡むとどうしてもバラエティ色が強くなるな……」

    幸子「どういう意味ですか!」



    ぷんすこと怒っているが言ったままの意味である。っていうか君、絶対自覚あるよね?



    幸子「ボクたちはアイドルなんですから、むしろこれ程おあつらえ向きな勝負も無いと思いますけどねぇ」

    八幡「……そんなら、もちろんお前もやるんだよな」

    幸子「へ?」


    344 = 1 :




    ここで主導権を握られるのは癪にs……じゃなくて、得策ではないので、俺も言わせてもらう。



    八幡「アイドルとして誰が一番カワイイ行動を取れるか、俺が見極めるとしよう」

    「なるほど。プロデューサーである比企谷くんは、確かに審査員には最適ね」

    幸子「ちょ、ちょっと! ボクはやるなんて一言も……」

    八幡「まさか、できないのか?」

    幸子「!?」



    大きく大きく、わざとらしーく溜め息を吐き、心底がっかりしたような目で輿水を見る。目つきは元々死んだようなもんだが。



    八幡「そうか、いつもあんだけ自分をカワイイと言っておきながら、勝つ自信は無いんだな」

    幸子「なっ、べ、別に、そういうわけじゃ……!」

    八幡「なら、やるんだな? そのカワイイ選手権とやらを」

    幸子「……や、やってやりますとも! フフーン! ボクが一番カワイイということを、証明してあげましょう!」



    チョロい。もの凄いチョロさである。プロデューサーちょっと心配よ?
    そもそも、いつの間にか勝負の判定権が俺にあるんだがそれは良いのだろうか……



    「……っていうか、これ私たちもやるの?」

    文香「…………」



    約2名ほどとばっちりを食らい死んだような表情を浮かべているが、まぁ、こういう流れだ。諦めてくれ。



    「ふふ……やるからには、全力でいきましょう」



    そして何であんたはそんなにやる気まんまんなんだ。

    とにもかくにも、勝負開始!





    345 = 1 :




    × × ×






    「えー、今回司会を努めさせて頂きます。当旅館の女将でございます。そして審査員兼解説の……」

    八幡「比企谷です。よろしくお願いします」



    ちょうど掃除で近くに来ていた女将さんに協力を仰ぎ、全然全くもって必要は無いとは思うが、こういう形で勝負が行われる事になった。場所は談話室。

    前乗りの際、念のためデジカムを持ってきていたので、折角だから回すことにした。輿水曰く雰囲気は大事とのこと。凛は最後まで抗議を申し立てていたがスルーされた。哀れなり。



    「今回公平を期すため、順番はくじ引きにで事前に決めております。持ち時間は5分ですが、短い分には特に問題はありません。あくまで『カワイイ』といかに思わせられるか、自由に表現して頂ければと思います」

    八幡「……慣れてますね」

    「宴会では司会は付き物ですので」



    にっこりとした笑顔で応える女将さん。面倒事に巻き込んで申し訳ないと思っていたが、もしかしなくても結構楽しんでらっしゃいます?



    「それでは早速参りましょう。エントリーナンバー1番。”お酒は飲んでも飲まれるな。それでもやっぱり飲まれちゃう”高垣楓さんです。どうぞ!」

    八幡「なんですか今の」



    恋する女は奇麗さ~♪ とどこからか曲が流れ、ソファに座っている我々の向かいに楓さんが現れる。ちなみに横で待機していただけで普通に全員同じ部屋にいる。カメラに映らなきゃいいんだよ映らなきゃ!


    346 = 1 :




    「えっと、それじゃ始めたいと思うのだけれど……」



    ちらっと、何故か俺の方を見る楓さん。



    「比企谷くん。ちょっとこっちへ来て貰ってもいいかしら?」

    八幡「はい?」

    「今からするのは、相手がいないと出来ないことだから…」

    八幡「…………」



    不安だ。めっちゃ不安。一体何をするつもりなんだこの人は……俺解説なんだけどなぁ……
    まぁ、ここで渋っても仕方が無いので協力はするが。

    横で待機している輿水に念のため視線で許可を求めると、グッと何故かサムズアップ。返答としては非情に分かりやすいが可愛さで言えばマイナスだぞそれ。

    ソファから立ち上がり、楓さんの近くへ歩み寄る。



    「それじゃあ、こちらの方へ」



    ふわっと、一瞬とても良い香りがした。

    楓さんは近くに来た俺の肩を引き寄せるように手を添え、壁の方へと誘う。いや、自然なエスコート過ぎて焦るっていうか壁……!?

    気付いた時に既に遅かった。そのまま導かれるように俺は背を壁に預け、そしてすぐに顔の横を、楓さんの細くも流麗な手が過る。これ……は…………!?



    ドンっ



    幸子「か、かかか、壁ドンですってぇ!!?」

    「ていうか顔近くない!?」

    「お静かにお願いします」



    そう、これぞまさに壁ドン。女子の憧れ。ただしイケメンに限る。その筋で有名な、あの壁ドンである。八幡は動揺している。……ってかいやマジで顔近ぇな!


    347 = 1 :




    八幡「か、楓さん。ちょっと、顔が近いというか…」

    「それはそうです。……近づけているんですから(イケボ)」



    ひぃぃいいいいい!!!

    な、なんだこれは! 妖艶な笑み、息遣いが分かりそうな程の距離、そして再び漂ってくる形容し難い良い香り……ど、ドキドキが止まらないよぉ! もしかして恋ですか? 八幡は動揺しt…



    「す、ストーっプ! 終わり! もう5分経ったでしょ? 経ったよね!?」

    「いえ、まだ2…」

    「経った! 経ったって!」



    珍しく張り上げるような凛の声で我に帰り、遮られてない方から慌てて抜け出す。た、助かった。あれ以上あの空間にいたら、危なく青春ラブコメが始まる所だった……始まっても一方通行で即終了するだろうけど。



    「さて、実際にやられてみてどうでしたか? 解説の比企谷さん」

    八幡「え? え、ええ、そうですね……」



    よれよれの疲労困憊になりながら、なんとか解説席に戻る。ダメージでか過ぎ……



    八幡「……とりあえず楓さんに訊きたいんですが、一体どういう意図であの行動を?」

    「えーっと、以前何かで見たんですが、男性はギャップ萌え、というものに弱いと聞きまして」



    思い出すように説明を始める楓さん。ギャップ萌え……まぁ間違ってはいないが、誰か入れ知恵でもしたんじゃないかと勘繰ってしまうな。



    「お恥ずかしい話ですが、私は普段あまり真面目とかクールな印象を持たれる事が少なく、どうしようもない人扱いされることが多いようで……何かカッコいい事をすれば、ギャップ萌え? になるかと思ったんです」

    八幡「……それはただ単にカッコいいと思われるだけなのでは」



    そして恥ずかしいと言う割にはなんだか嬉しそうなんだが、まぁそこは置いておく事にする。



    八幡「正直主旨とはちょっと違いますが……かなりのアピール力だったことは認めます」



    というか結構な破壊力である。正直まだ心臓が痛いし、もうやめて頂きたい。これで面白がって色んな人にやり始めたら被害者が続出するのが目に見えて想像できる。罪な女だ。


    348 = 1 :




    「でも私が普通に可愛らしいことをするよりは、与える印象は強かったんじゃないかしら」

    八幡「まぁ、確かに楓さんが可愛いことしてても『ふざけてるのかな?』とはなりますね」

    「中々辛辣なことをおっしゃいますね」



    そう思うならカッコいい行動がギャップにならないよう、普段からきちんとして頂きたいものである。

    次だ次!



    「高垣楓さん、ありがとうございました。……それでは次はエントリーナンバー2番。”叔父の書店でお手伝いをしていたらいつの間にかアイドルになっていた件”鷺沢文香さんです。どうぞ!」

    八幡「だから何なんですそれ」



    恋する女は奇麗さ~♪ とまたもどこからか曲が流れ、今度は鷺沢さんが現れる。この人がある意味一番想像できないな。一体何をやってくれるのやら。



    文香「よろしく…お願い致します……」



    ぺこりと、ご丁寧にも深くお辞儀をする。その時ふわっと前髪が一瞬舞い、少し緊張した様子の可愛らしい顔が垣間見えた。この時点で既に可愛い。



    文香「えっと、比企谷さん」

    八幡「はい?」

    文香「私も、協力してほしい事があるのですが……よろしいでしょうか……?」

    八幡「…………」



    またか。またこのパターンなのか……
    まぁ、楓さんを手伝った以上断ることも出来ないんだが。一応また輿水に視線で尋ねると、今度は両手で頭上に大きく丸を作。真顔で。だから、お前はもう少し可愛くできないんか。

    しぶしぶ再びソファから立ち上がり、鷺沢さんの元へと向かう。さすがに楓さん程のインパクトは無いと思うが、この人の場合何をするか未知数過ぎてな……やはり怖い。



    八幡「それで、俺はどうすれば?」

    文香「少々、お待ちください……」



    すると鷺沢さん、解説席とは別のソファにおもむろに腰掛ける。



    文香「……はい、こちらにどうぞ」

    八幡「は?」


    349 = 1 :




    ぽんぽん、と。まるで誘うように自らの膝を優しく叩く鷺沢さん。



    八幡「えっと……」



    え。いや、どうぞってのは、その……いやいや、まさかそんな、そんなはずは……

    ない。とは思うが、恐る恐る、俺は確認する。



    八幡「…………あの、どうぞ、っていうのは……?」

    文香「はい。……所謂、膝まくら、というものをしようかと」



    やっぱりだったーー!!!



    幸子「ひ、ひひひ、膝枕ですとぉ!!?」

    「そ、そういうのもありなの!?」

    「お静かにお願いします」



    いやいやいや、いかんでしょ、これは。マジで。本当に。



    文香「本当は、耳かきがあればそちらもしようかと思ったのですが……生憎と、持ち合わせていなかったもので……」

    八幡「なっ……」



    膝まくらに、耳かきまでしようとしてたのかこの人は!?
    楓さんのギャップ萌えとは逆の、盛りに盛った方向性での破壊力だ。鬼に金棒。鷺沢文香に膝まくらに耳かき……恐ろしい程のバフ盛り合わせである。孔明さんもビックリやで。



    文香「それでは改めて……こちらに、頭をどうぞ」



    またも、ぽんぽんと自らの膝へ誘う鷺沢さん。
    え、っていうか何、自らあそこに頭を置きに行けっていうの!? いやいやいや普通に考えて厳しいでしょう! 色んな意味で!

    だが、ふと考える。冷静になってよくよく考えてみれば、これは人生に一度あるか無いかのチャンスではないだろうか? あの、あの鷺沢文香に、合法的に膝まくらをして貰えるんだぞ? 違法な膝まくらってなんだよ。いや今はそんなんことはいい。そりゃ周囲に見られまくってる上に自分から頭を差し出しに行くというこの上ない羞恥はあるが、それを補ってあまりある幸福が、そこに待っているんだぞ? 鷺さんが、ほんのり頬を赤らめながら、膝まくらを良しとしてしているんだぞ? これは、これはこれは、行かなければ男が廃るってもんじゃあないのか!?(ここまでの思考約0.5秒)


    350 = 1 :




    気付けば、足はゆっくりと動き出そうとしていた。


    ゆっくりと、その柔らかそうな膝へ向かい、進もうとーー









    「……………………」









    ーー進もうと、した所で、凛と目が合った。

    ガン見だった。



    文香「比企谷さん……?」

    八幡「あ、いえ。…………遠慮しておきます」



    頭は一瞬で冷えきり、つとめて冷静に、丁重にお断りさせてもらった。

    超怖かった……



    「えー、では席に戻って頂いたところで、いかがでしたか比企谷さん」

    八幡「そうですね。色んな意味でドキドキが止まりませんでした」

    「高垣楓さんに続き、相当なアピール力であったと」

    八幡「ええ。男のロマンを突くという点においては中々の作戦だったと思います。可愛い行動かどうかは微妙な所ですが」



    壁ドンもそうだが可愛さアピールとはちょっと違う。ってかかなり違う。やってる人たちが可愛いのは認めるが、たぶんそこじゃない。求めているのはカワイイ行動だ。企画発案者の幸子が「何か思ってたのと違う……」と呟いている辺り、俺の認識は間違ってないんだろうな。俺を驚かせる企画か何かと勘違いしてない?



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