元スレ叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」
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251 = 245 :
叔母「君に害があったなら怒れば良いし、特に気にしないなら笑って冗談で済ませばいい」チラ
受付「」ちーん
叔母「この馬鹿のように、馬鹿騒ぎして、馬鹿みたいにホテル内で、馬鹿に遊ぶのも馬鹿っぽいけどいい手だとは思う」
受付「…そんなにバカバカ言われちゃ本当に馬鹿になっちゃぅぅ…」
叔母「もう手遅れだろ」シュボッ
男「そ、それでケル君は?」
叔母「受け付け横のスタッフルーム」
受付「男くぅ~ん…今のケルケル君、多分、素面になって落ち込んでるから慰めてやっておくれ~…」
男「ええっ? お、俺がですか? ケル君も会いにくいんじゃ…」
受付「うんにゃ、酒の過ち程度でケルケル君はへこたれないって。よっと!」シュタ
受付「なにやら悩み事があるらしいのよ、それでヤケ酒したっぽいのよね…」
男「悩み事?」
叔母「ん。実は私からも頼みたい」
叔母「天真爛漫な彼がここまで大荒れしたんだ。我々年上より、年の近い君の方が話しやすいだろう」
受付「んだからお願い! 今度なにかおごってあげるから! これでケルケル君に辞められたらシフト増えちゃう! そんなのヤダーッ!」
男「優しいのか身勝手なのかハッキリして下さいよ…」
男(でも、俺自身も気になってるのは事実だし…)
252 = 245 :
~~~
清掃「……………」ズゥウウウン…
男(しゃれにならないぐらい落ち込んでる…まるで見たこと無い表情をして…)
清掃「ぁ…オトコ…」ビクッ
清掃「ごっ、ごめんね! 本当にごめんなさいです!」ペコペコ
男「いや、うん、叔母さんから話は聞いたし、俺としては全然平気だから…」
清掃「………」ギュッ
男「あ、あのさ、ケル君?」
清掃「ハイッ!」バッ
男「………」ピク
清掃「…っ…っ…」
男「ゲーム、しよっか?」
清掃「エ?」
男「最近ハマってる奴ある? 俺、ゲーム苦手だけどケル君がやってるの見てるだけで楽しいんだよね」
男「どう? やる? 疲れてるなら、今日はもうやめとく?」
清掃「……………」ぽけー
男「うん?」ニコ
253 = 245 :
清掃「……や、やるです……」コクコク
男「よっしゃ。じゃあ俺の部屋に行こうか、…待って、その姿のままじゃ駄目! ちゃんと着替えてからだよッ!?」
~~~
清掃「あ。それさっきやったよ」ドゴォーン!
男「動き読まれたー!? つ、強すぎる…!? つか、俺のキャラと全く違う動きしてるんだけど!?」
清掃「エヘヘー」ニッコニコ
男「このゲームならケル君相手でも食い下がれると思ったのに…修行が足りなかった…」
清掃「でもオトコすごい。キャラの特徴いっぱい把握してるし、記憶力イイのね!」
男「えっ? ま、まあ…それだけ…それだけが俺の取り柄だしね」テレテレ
清掃「でも探求力ナッシングよ? キャラ把握だけじゃダメ、プレイヤースキルもっと学習!」
男「肝に銘じます…し、しかし趣味を何処まで極めるか判断付きにくいというか…」ムムム
清掃「………」
清掃「…あ、あの、オトコ」くいくいっ
男「ん、どうした?」
清掃「その、…ありがと…です、よ?」
男「えっ? な、なにがかな?」
清掃「きぃ使ってくれて嬉しい…ケルケル、色々あって落ち込んでたから…」
254 = 245 :
清掃「オトコが一緒ゲームしてくれて、とっても楽しかった、ううん、ちがう、そうじゃなくて…」
男「うん」
清掃「………」じぃー
清掃「オトコ。…質問あるの、聞いてくれる?」
男「もちろん。良いよ、なんだってきいて良いから」
清掃「…ありがと」
【それは彼の家族の問題だった】
清掃「新しいお母さん出来るらしいの」
【遠い故郷の出来事で。彼には電話一本でしか伝えられなかった】
清掃「おとうさんは決めてた。もうボクに聞くまえに、とっくに決めてた」
【――彼はここでの収入の殆どを実家へ仕送りしていて】
【例え、趣味で故郷の国を離れたとしても、彼は一人の家族としてみんなを想っていたのに】
清掃「…すごく、いっぱい、たくさん悲しかった」
清掃「もう家族じゃ無いって、勝手に一人で頑張れって、そう言われちゃった気がした」
男「それは…」
清掃「ウン。大丈夫、ケルケルの考えすぎだって、ちゃんとわかってる」
255 = 245 :
【でも彼はお酒に頼るほど思い悩んだのを、俺は知っている】
清掃「遠いんだもん。伝えたかったとしてもいっぱいお金払わなくちゃダメだし、電話だってたくさんお金がかかっちゃう」
男「……うん」
清掃「でも、ね」ギュッ
清掃「―――会いたかった、ちゃんと顔を見て、お話ししたかったよ…」
【でも、でも、でも、と】
【彼の中ではあり得た可能性が何度も呟かれてるようだった】
【現実的に見ようとする自分と、希望に縋ろうとする自分が鬩ぎ合っている】
男(ああ、…わからない、わけがない)
【彼の悩みは自分自身、結構身に染みた話題だった。離婚調停中の親を持つ身だったから】
男(…だから一つだけ、こんな可能性もあると言ってみたい)
男「ケル君」
清掃「あ…ご、ごめんね! 変なこと言っちゃって、だからソノ、質問ってのは…っ」
男「唐突にごめん。実は俺の親、近々に離婚するんだ」
清掃「えっ、あっ! う、う~…」
男「ああ、もしかしてもう叔母さんから聞いてた?」
清掃「…う、うん」コクコク
256 = 245 :
男「そっか。でもね、そんなに悲しくないんだ、俺個人としてはさ」
清掃「どうして?! 大事な家族がばらばらになっちゃうんだよ!?」ガタッ
男「おぉう!? ――そうだね、でも悲しくなんかない、これっぽっちも」
男「悲しくなんて、なってやらないんだ」
清掃「……?」
男「子が親をわかったように言うのも気分が悪いけど、この際ハッキリぶっちゃけるけども」
男「――――笑っちゃうぐらい、ほんっっと身勝手な人たち過ぎるんだよなァ…!?」ギラァッ
清掃(ヤダ! 普段オトコがしたこと無い顔よ! こわい!)ガクガクガク
男「両親共働きでろくに朝昼晩と一緒に飯喰ったことないし、まあそれは良いよ。こっちの我が儘だ」
男「でも、子供がせっせと努力を重ねて勝ち取った学年一位と最優秀生徒やら何やら!」
男「普段あっちがブツクサと人の上立てと要求する癖に、いざ取ったら取ったでまったくの無関心!」
男「かァーッ! ほんっとマジで子供のこと単なる跡継ぎでしか想ってないんじゃ無いの!?」
男「と、中学の頃は本気でそう思ってました」スッキリ
清掃「ハ、ハイ」
男「……。でもね、最近は違うんだ、そうとも思えなくなってきてる」
清掃「? どうして?」
257 = 245 :
男「…離婚の話がちらほら見え始めたとき、珍しく両親が家で揃ったんだ」
男「あれは中学卒業の…半年前かな、もうとっくに互いに愛想を尽かしてたんだろうけど」
【その日。生まれて初めて両親の夫婦喧嘩を見た】
【熱くて、目を開けてられないぐらいのドロドロとした、異様な光景】
【それをドアの隙間から覗いていた俺は、驚いたと同時に、ただ一つだけ思ったんだ】
男「どうして【今まで誰にも言わなかったんだろう?】 いつから誰一人信頼せず独り抱え込んで来たんだろうって」
男「…それぐらいしょーもない喧嘩内容だったから」
男(でも、それが普通なんだと今では分かる。両親は一般人と変わらない、ただの人間だと)
男「ただただ、俺の両親の周りは、本音を言えない人たちばっかりだったんだなぁっと…」
男「もうちょっと自分らしく居られる場所があれば…きっと…」ハッ
清掃「………」ジッ
男「ご、ごめん。話が少し断線してた、うん、ごめん」ポリポリ
清掃「いいよ。聞いてる、ケルケル聞いてるから」クイッ
清掃「ラストまで話して、オトコ」
男「あ、ありがと」テレ
男「だからね、ケル君。離婚で悲しい思いなんて絶対しない。そんなの自業自得だってさ」
258 = 245 :
男「あの人たちは他人に、近しい人に、自分の想いを伝えることを怠った」
男「…自分の悩みを家族に言わなかった、独り抱えて黙ってた。それは駄目だと…」チラ
清掃「!」
男「そうだよ、ケル君が俺に言ってくれただろ? バイク二人乗りの時にさ」ニコ
清掃「…うん、言った…言ってたよケルケル…っ」ギュッ
男「相手を深く知らずいるのは楽だし、一人で生きた方がきっと穏やかだろうね」
男「…でも」
『おかえり』
『…た、ただいま』
男「―――素直に言葉を言ったり言われたりとか、そっちのほうが凄く楽しいじゃん?」
清掃「そう、そうだよオトコ! ボクも素直に言ったほうが好き!」フンスーッ
男「そうそう。だから君のお父さんにもハッキリ言った方が良い、じゃないかな…」
男「じゃなかったら、ケル君に電話なんてしないよ。否定される可能性を敢えてやってるんだからさ」
清掃「ザッツライ! ダディって小心者? みたいなけつ穴ちいせぇー男だもん!」フンフンッ
男「うん。あとでその言葉教えたであろう受付さん怒っておくね」
清掃「な、なんだか…なんだかケルケル超元気でてきたんですけど!? ナニコレ!? why!?」
男「おお…! 確かに、何時ものパワフルなケル君に見えなくもない…!」
259 = 245 :
清掃「Powerfulkerukeru!? なにそれテラつよそう! ふんぬぅうぅぅうぅぅ~~っ!!」グググ
パァンッ!
清掃「決めた! 今からダディに電話する! やっぱいっぱい怒る! 直接こいって文句いう!」
男「おう! 行ってこいケル君!」ニッ
清掃「ありがとオトコ! もう、なんだろっ、愛してる! ラブユーチュッチュ!」シュバァッ!
男「………」フリフリ
パタン
男(なんて、わかったような事をよくもまあ言えるな、俺も)スッ…
【壊れていく家族をそのままに、本音を語れなかったのは俺自身なのに】
【子供に何が出来る。離婚を引き留めるなど無理だ。そんな力は俺には無いと】
男(だって、最初から期待されてないんじゃどうしようもないだろ)
男(…ああ、寒気がする。頭が痛い。数十分間の俺を消し去りたい、嫌だ、もう嫌だ)
【何を努力しても、想像しても、他人から期待される人間になんてなれやしないのに】
男(浮かれるな。偶然上手くいっただけ。何度も続かない。自信をつけるな)
260 = 245 :
男(お前は人の悩みを聞ける大した人間か? 違う、その逆だ。教養の無いちっぽけな人間だろ)
男(ああ、恥ずかしい。自分を殴りたい。もう二度と自分を期待するな…次はきっと大失敗するんじゃないか――)
「ありがとう、男君」
男「――えっ?」バッ
叔母「ん? だから、ありがとうと言ったんだけど…?」
男「………」ボーゼン
叔母「……」キョトン
男「…なぜ、叔母さんがここに…?」ダラダラダラダラ
叔母「え? さっきから居たんだが、…もしかしてずっと無視されてた?」
男(ええッッ!? 完ッ全ッに自分の世界入ってた…!? こりゃ恥っずぅーーー!!)カァァァァ
叔母「…じゃあ出直すか」スタ
男「いや良いですってば!? 全然ここ居てくださいよ!!」
叔母「本当に?」チラ
男「まったくもってかまいません! それでッ!? ありがとうとはどういったことで!?」
叔母「う、うん。ケルケル君のことだよ、さっき廊下で元気に走り抜けていく姿を見たから」
叔母「ああ、君が上手くやってくれたんだなと。だからお礼。ありがとうって、君にね」
261 = 245 :
男「お、俺はそんな大したことなんて…単に話を聞いて、思ったことを言っただけで…」
叔母「……、煙草すう? 最後の一本だけど…」ヒョイ
男「は、はい?」
叔母「やっぱり吸わないか。いやなんとなく君らしくないなぁと、ふと思ったから」シュボッ
男「………」
叔母「ほら君らしくない。君の部屋で煙草吸ってることに何も言わない」グリグリ
シュウウウ…
男「…俺らしさって、なんですか」ボソリ
叔母「ん。そうだなあ、私が知っている男くんはとにかく…うん…とにかく小姑っぽい?」
男「………」ズーン
叔母「ほ、褒めてるからっ。でもごめん! 気に障ったのなら謝るから!」
男「い、いえ、別に…」
叔母「うーん…」ポリポリ
叔母「…君は年齢しては落ち着きもあるし、よく考えて行動してるから偉いと思う」
叔母「私よりもきっと大人に近い大人なんだろうと、常々思うんだ」
男「は、はあ…ありがとうございます…」
叔母「でも子供だろ?」スッパリ
男「…………」ピク
叔母「君はまだ成人もしてない。大人っぽいけど大人じゃない、だから…」
叔母「人から期待されて、それを達成できたら嬉しがらないとダメだってば」
262 = 245 :
男「喜ばないと、ダメ?」
叔母「期待されたら喜ばないとね」
男「そっ、そんな期待されて喜ぶ人間ですかね俺…!?」
叔母「料理を作る君は凄く楽しそう見えるけど」
男「うぐッ」
叔母「ケルケル君だって受付だって、君の世話焼きっぷりには凄く期待してる。だからケルケル君も、素直に悩みを打ち明けるんだと思う」
叔母「それに、私も」スッ
ぽんぽん
叔母「もう一度言うよ。――ありがとう、君は本当に凄い、私の自慢の甥っ子だ」ナデナデ
男「……」
ぶるっ
叔母「それが君に対する私の素直な感想だよ」
男(あぁ…この人は、本当に…)ギュッ
【どうして何時も、こんな恥ずかしい言葉をさらっと言うのだろう】
【どうして何時も、こんなにも欲しかった言葉を言ってくれるのだろう】
【………。やだ! 泣きそう! やだやだ待て待て待てッ! 堪えろ俺ぇーッ!】
男「…叔母さん」
叔母「ん?」
男「煙草、買ってきますから…お金ください…今から行ってきますから…」
叔母「ん。そっか」
叔母「ありがと」ニッ
男「はい…っ!」ニッ
263 = 245 :
~~~
受付「へっ?」
男「えっ?」
叔母「………」ポトリ
清掃「エ? 言った、よね? 新しいお母さん、は【ダディがなるマミィだって】」
男「ちょッ、ちょっと待って! えっ、なにっ、お父さんがお母さんてどいうことッ!?」
受付「あぁ~~~なる、ほど~~~……」
叔母「世界は広いな…」しんみり
男「俺だけ理解置いてかれてる! わかんないわかんない! 理屈意味不明ですけど!」
受付「ウン。つまり、ケルケル君のお父さんは…」
叔母「性転換手術でお母さんになる、と」フゥー
清掃「ダディ悩んでたのケルケルもう知ってたけどタイヘンな手術なのに一人で決めてー!」プンプン
男「……………………」(思考停止)
受付「ありゃ、キャパ超えちゃったか。言うてもここのラブホの客にだって居るよ?」
叔母「ああ、彼らンンッ! 彼女らは、非常に清潔に部屋を使ってくれる上客だ」
受付「もしかして酔っ払ったとき、メイド服だったのもアレ?」
清掃「ザッツライ! どんな気持ちか確かめたかったの!」
叔母「それで? 少しは分かった?」
清掃「ウーン……ケルケルおっぱい大きい人好きだから……うーん……」
264 = 245 :
受付「やっぱそうだよネ! んな簡単にセクシャリティ変わっちゃ全国の男みんなホモだ!」スタスタ
叔母「しかしそれじゃお前は一生モテないな…」スタスタ
受付「唐突に暴言吐かれて戸惑う私なんですけど!?」
叔母「ケルケル君に酒飲ませたのお前だろ。しかも部屋のビールという話を聞いた」
受付「巫女さんの仕事いってきまぁーーががががががが!?」
男「………」チーン
「オトコ、オトコ」つんつん
男「はっっっ!??!」
清掃「大丈夫? ヘイキ? 気分悪い?」
男「えっ!? いやっ、うん! 大丈夫だよ…全然…ちょっと気を失ってただけだから…」
清掃「そんなにショックだった? ケルケルのダディ、女の人になるの?」
男「ちょ、ちょっとね…衝撃が凄いというか…ケルケル君はヘイキなの…?」
清掃「タイの友達にいるから! えーとえと、ひぃふぅ…みぃ…? たくさん!」ニッコニコ
男(なんたる…これがカルチャーショック…)
清掃「…ダディ、やさしい人よ? 嫌いならないでほしいよ…」シュン
男「も、もちろん! ケル君の家族が悪い人なわけがない! でしょ!?」
265 = 245 :
清掃「うん!」ニコ
男「あ、あと…それと、おめでとう。ちゃんと話できたみたいで、こっちも嬉しいよ」
清掃「………」じぃー
男「ケル君?」
清掃「ケルケルね、本当はダディの手術反対するつもりだったの」
『《すっ、好きな人できちゃったんだよなぁ!? こんな話ケルディにしか出来ないよ!》』
『《反対なら言ってくれ…でも、パパ…この年で恋しちゃってぇ…えへへ…ムゴォホン! だから!》』
『《好きな人の為に、素直な自分を出すために、…まずお前に一番相談したかったんだよォ…っ》』
清掃「だってさ! ケラケラケラ! ほんとダディちっさいよねー!」ケタケタ
男(ほんっと凄いなケル君の懐の深さは…)
清掃「そうまで言われたらケルケルも認めなきゃ。マミィも居なくなってたくさん時間たったし」
清掃「オトコが言ってくれた、素直に、我慢しない。そう言ってくれたから、もういいの」ニコ
男「…そっか」
清掃「うん! あのねあのね、そういえばケルケルの質問してないの覚えてる?」
男「え? ああ、確かに。俺の話で終わっちゃってたな、そういや…」
清掃「なら今してもオッケ?」キラキラキラ
男「今に?! ま、まあ別にかまわないけど…」
266 = 245 :
清掃「わー! よかった、じゃあ今からするね!」スッ
男(一体どんな質問を…)ドキドキ
ぎゅっ
男「………えっ?」
清掃「んん~~~」ぎゅううっ
男「ケル君!? これは何っ!? 一体…!?」
清掃「どお? なにか感じる? ハグって恥ずかしい? 特別なキモチ沸いちゃう?」
男「わっ沸かないよ全然!? それが聞きたいことなの!?」
清掃「そうよ!」ニッ
清掃「ありとあらゆる方法でダディの気持ち知る為よ! 情け容赦ないね、ケルケルは!」
男「…ほんっとケル君は凄いよ…」トホホ
清掃「よっと。ありがとねオトコ! そのオトコらしさに完敗よ!」パッ
男「そう、お役に立てたようで…それで、お父さんの気持ちって理解できた…?」
清掃「んーーー…」
清掃「ちょっぴりだけ!」ビシッ
男「そっか。なら良かった、……ん?」
清掃「んじゃケルケル仕事あるからバーイ! 漫画の感想あとでねー!」
男「あ、うん! あとでまた…!」
267 = 245 :
ポツーン
男「り、理解できたって話だよな、うん。それだけって話だろう…」
清掃「♪」ヒョコ
男「うおっ?」びくっ
清掃「んふふーオットコ~! またねー!」フリフリ
ヒョイ
男「…多分…そう、だよね…?」
第七話 終
268 = 245 :
一週間以内に… 次は叔母さんメインで
ではではノシ
269 :
久しぶりー
また濃厚な…乙です
270 :
良かった続くのか
271 :
てっきり女装に目覚めて実は男性が好きだったみたいな話だと思ったら…
性転換は予想つかないは…濃厚すぎる…けど嫌いじゃない
272 :
ケルケルルート
ケルケル女性化ルート
が解禁されました
やったー続ききたー
18禁版は>>253で分岐
ホモーCG
メイド服プレイCG
273 :
>>272
巫女服も似合いそうだし巫女服CG追加で
274 :
男「――え、手紙?」
『とっくの前に届いてるハズなんだが? 読んでねーの?』
男「んー…いやまったく…」
『確かに送ったんだがなあ…あのクソからの手紙だし、忘れるわけないし』
男(なるほど。パ、ンンッ! 親父からの手紙か)
男「あ。もしかして叔母さんのところ送った?」
『たりめーだろ。ラブホの住所に生々しい手紙届けに行く郵便屋がかわいそーだわ』
男「全くその通りだ…」
『そっちあんのか? なら確かめに行ってこいよ。アホからの電話超うるせえから、読んだら折返しあっち電話しろ』
男「はいはい、了解。…んで、近状は?」
『はあ? 阿呆か、大人がやることに探り入れんじゃねーよ。ガキは勝手に青春謳歌しとけっつーの』
男「…………」
『聞こえてんのかー?』
男「…聞こえてるって」
『なら返事しろ。――まったく、いちいち似てきやがったな、アイツと』
男「アイツ?」
『テメーの父親だよ、さっきの無言っぷりが腹立つぐらい似てたわ』
275 = 274 :
男「……。それは、」
男「それは叔母さんとも、似てるってこと?」
『……………』
男「………? もしもし? ちゃんと聞こえてんの?」
『あれ? あれあれあれ? あっれ~~~~~??』
『なに? なんなの? それどういう意味での質問?』
男「えっ!? べ、別に、とくに深い意味は…」
『お前もしかして親父の妹と、寝た?』
男「……………は?」
『ウッソ~~~!! お前って奴はほんっと私の息子だって今更! 確信! した、スゲーなオイ!』
男「ちょ、待て待て待て待て…ッッ…アンタなに言ってんだマジでよ…っ!?」
『愛しい我が子を褒めてる』
男「褒めてねーよ! つか、やめろよォ…! 例え冗談でも、親とそういった話これっぽっちもしたくねェ! 実の子供に下ネタNGだろ!」
『なんだ違うのか。…ま! んな度胸ねえよな! 知ってた!』
男「なら息子に下ネタ振るなと知っててくれ…」
『不思議なこと言い出すもんだから疑いもするわ。…お前らしくもない』
男「…俺らしくない?」
『良いか? 親らしいこと殆どやってない私もテメーの母親だ。一応、言っとくぞ』
『――あんま馴染みすぎると、後が辛いぞ。ほどほどにしとけ』
276 = 274 :
男「なん、だよ……それどういう意味、」
『仕事が残ってる、もう切るぞ。手紙の件忘れるなよ』
男「あッ!? オイって!」
ピッ ツーツー…
男「どいうことだよ、まったく」ピッ
男(俺らしくない? アンタが俺の何を知ってるってんだ、ふん!)ポイッ
男(それに、あとが辛いとか……意味分かんねーよ)
次の日 44号室
男「…はぁ」トントントン…
受付「あ。ため息だ」
清掃「ケルケル数えてたけど十回以上で諦めたよ?」
叔母「今のは29回目」
清掃「数えてた! ほわぁ~…ownerすごかですなぁ~…!キラキラキラ
受付「え…きっちり数えてたんスか…ちょっとキモいっすね、オーナー」
叔母「ご飯できるまで暇だったから」ぐー
受付「なら手伝えば良いのにネ☆ っていう私も手伝う気ゼロッスけど!」ニパー
男「別に良いですって、むしろそこで大人しくしてて欲しいぐらいですから」コトコト
清掃「前にケルケルたちお手伝いしたら凄かったネ! 戦場だった!」
男「惨状って言いたい感じ? …いや、戦場でも間違ってなかったなあ…」
277 = 274 :
受付「ここ火災保険下りるんスか?」
叔母「原因による。先日のアレだったなら確実に下りない。100パーセント」
受付「んじゃダメだ! 頑張れファイトだよ男くーん!」ブンブン
男「はいはい。言われなくても美味しい晩飯用意しますって」
トントントン カチャカチャ…
受付「にしても…」
受付(――なんか雰囲気おかしいよね、彼。どーおもうケルケルくん)ヒソヒソ
清掃(ため息は幸せ逃げちゃうよ! デイオフよ!)
受付(幸福にも休暇が存在していた…!? すなわち、お姉さんが幸せになるため有給残数を増やすべきッスねオーナー!)
叔母(永久に休みたいなら飛ばすが、その首)
受付(ひぇぇッ)
清掃(でもでもどうしたんだろ? オトコ、確かにゲンキないよ?)
叔母(そうだね。手際の良い彼なのに、ここまで時間がかかるのは初めて見るよ)
受付(むむむ~…)ジィー
男「…はぁ…」
受付(む! わかった! こりゃ恋のお悩みッショ!)ピコーン
叔母&清掃(コイ?)キョトン
278 = 274 :
受付(恋ッス! 恋愛絡みの悩み事! くんずほぐれず酒池肉林、魔の密林真っくろくろの人間関係図が高校生ではお約束!)
清掃(な、なんだか凄いの…そんなところオトコ毎日通ってるの…っ?)ガクガク
叔母(彼に彼女が? …ならなぜ私が知らないんだ)ムス
受付(何気に構いたがりッスよねオーナー、知ってたけど)ムホホ
叔母(か、彼の監督役としては知っておくべきだろっ?)
受付(まあそれに、彼女が居るって決まったわけじゃないデショ? 片思いやら度胸が無い、はたまた―――)
受付(――世間から認められない相手って可能性のあり得るし)
清掃「…認められない…」
叔母「相手……?」
受付(ん? んー? なんだか二人とも真に受けてちゃってる感じッスけど、単なるウチの勘っすよー?)
清掃(オトコがもしかしたら…そんなっ…でもでも…)モジモジ
叔母(叔母として、彼にはきちんとした高校生活を送らせると誓ったからには…っ)
受付(ちょっとー?)チョンチョン
清掃&叔母「――こうしちゃ居られないッッ!!」ガタタンッッ!!
男「どぅあッ!?」ビク
279 = 274 :
受付「お、おお…!? ふ、二人ともまずは落ち着い、」
清掃「イロイロ準備するよ! ケルケル行ってくるー!」ダダァッ
男「ケル君どこいくの!?」
叔母「……覚悟を、責任者として覚悟が足りなかったんだ……」ユラァ スタ…スタ…
男「お、叔母さんもっ?」
キィ パタン…
男「一体どうしたんですかアレは…」
受付(そんなのウチが知りたいんだけど…)
受付「…あのさ。男くん」
男「は、はい?」
受付「もしかして恋しちゃったりしてる? それに悩んでたり?」
男「は? 恋? …そんな余裕あるわけないでしょ」
受付「わぁ~まったくもって高校生っぽくない発言だぁ~」
男「……高校生は恋愛で悩まなくちゃダメなんですか……?」
受付「いいや、君らしくて良いとお姉さん的には高評価かも?」
男「そ、そうですか?」
受付「うん。でもそーいうの考えないとあとで人生苦労するよ、恋愛下手になるから」
280 = 274 :
男「肝に銘じます…」ションボリ
受付(うむ。この子は自分から恋愛しないタイプだ。なら勘違いか)
受付(はてさて、まったく。あの二人はどー動くのやら…厄介なことにならないとイイケド…)ウーン…
男「できましたよ、二人の分もったいないから俺らで食べちゃいましょうか」
受付「わー! やったー!」ケロッ
~~~
男(何か…)ガサゴソガサ
清掃「……」サッサッ
叔母「……」キュキュッ
男(何か凄く、見られてるというか。あの二人から視線をもらってるというか…)
男(なんだろう。何かしてしまったか? 俺、二人に変なところ見せてしまった?)
清掃「オーナー、窓拭き終わり?」
叔母「大体は」キュッキュッ
男「あ、こっちのゴミの分別も終わりました。ケル君、資源ゴミって何曜日だっけ?」
清掃「………」じぃー
叔母「………」じぃー
男「……あ、あの…二人とも……?」ダラダラ
281 = 274 :
清掃「水曜日よ! んじゃケルケルあっち掃除してくるね!」
叔母「引き続き分別頼むよ。それじゃ私はあっち行ってくる」
スタスタ スタスタ
男「あっ、はい…」
ぽつーん
男(やっぱり何か変だ。どう見たって二人して俺に余所余所しい)
男(急にどうしたって言うんだ。原因なんて思い当たらない…)
男(早く叔母さんに手紙のこと、聞かなくちゃいけないのに。タイミングが図りづらい…図りづらい…?)
『――あんま馴染みすぎると、後が辛いぞ。ほどほどにしとけ』
男「………」
受付「オーナー居なくなった?」ヒョッコリ
男「……あなた本当に自由な人っすね、マジで」
受付「あっははー、だって月一度の大掃除なんてやってらんないじゃーん」
男「いつか本当にクビになりますよ…?」
受付「またまた冗談いわないでよ~! …冗談だよね?」
男「知りません。でも、クビになってもご飯ぐらい作ってあげなくもないです」スタスタ
受付「ほんとぉ~! やったー!」ワーイ
男(…そうだ、悩んでたって仕方ない。行動だ、自分から動いてみるべきだ)
282 = 274 :
~~~
男「って、叔母さん何処まで行ったんだ? この階じゃ無いなら、上か?」
男(階段で上がろう。ん、縛った雑誌が踊り場に置きっ放しだ。回収忘れかな)ヒョイ
『男の娘特集! ~見つけられる? ボクのスカートの中の織田財宝~』
男「う、う~んッ? なんだろう、このっ、……うーん…ッ?」
清掃「ずいぶんマニアックね!」
男「だァいッッ!? け、ケル君がなぜここに!?」ビッックーンッッ!
清掃「掃除中よ?」キョトン
男「し、知ってるよ! だからって急に背後に居ないで、心臓に悪いから…!」
清掃「ソーリ! ごめんね! でもでもぉ、オトコってばぁ~」キラリン
清掃「――ゴミの中からソッチ系雑誌かくして持って行くなんてえっちね!」
男「待って、その勘違い待って、凄すぎてまったく言葉出てこない!」
清掃「チガウノ?」コテン
男「違うよ!? これだけ踊り場に放置してあったから回収しようとしただけ!」
清掃「ふーん、そうなんだ。ケルケルわかるよ、大丈夫! バッチシね!」グッ
男「いらぬ優しさ発揮しないッ!」
清掃「頑なねオトコ…そういうのキライ? あっ、フゼンってやつなの…?」サー…
男「ち、違うってば…! こういった本はっ、別にキライじゃ無いし…高校生として普通に興味あるし…」モゴモゴ
283 = 274 :
清掃「ウンウン」キラキラ
男「……。ちょっと待って、雑誌系の回収ってケル君が担当だったよね?」
清掃「エッ!」
男「既にこの階は終わった、と俺は認識してたんだけど。…これは?」スッ
清掃「……ンン~♪」ダラダラダラ
男「俺以上にうそヘタクソだねケル君…」
清掃「ゴメンナサイ…そうですボク、忘れてたみたい…」
男「いや、良いよ。後で俺が持って行くから、ケル君は上の階の掃除に向かって」
清掃「………」じぃー
男「うん。ちゃんとゴミ捨て場に! 持って行くから、そんな目で見ない!」
清掃「そ、そう? エート、その、オトコ…」
男「な、なに? まだなにか用?」
清掃「んん。オトコはそーいうの興味ナシ? 全然気にならない?」
男「…こういう雑誌には興味あるが、この特集にはいまいちピンと来ないな…」
清掃「どうして?」じぃー
男「ええっ? だってこれはいわゆる…特殊な性癖というか、一般的に公言できないような方向性であって…」
清掃「ウンウン」
男「あっ、でも――別にそういった人たちを軽視してるわけじゃ無いよ? ただ、自分の趣向に向かないって話で…」
284 = 274 :
清掃「そか。オトコは認められないのね、そっち系は」
男「まあ簡潔に言えば…」
清掃「でもね、オトコ」ずいっ
男「はいッ?」
清掃「世の中いっぱい愛の種類ある。たとえ認められなくっても、愛があればイチコロ。ケルケルの友達にだっていっぱいたよ!」
男「け、ケル君…?」
清掃「こーだからこーだと頑なダメ! オトコそーいう所あるとケルケル思う!」
男「は、はい! ごめんなさい…っ?」
清掃「わかってくれた? ケルケルの思い、知ってくれた?」
男「う、うん…なんとなくだけど、ケル君が言いたいことは理解できたと思う…」
清掃「ならイイヨ! ケルケル満足!」ニコニコ
男「…でも急にこんなこと聞いてどうしたっていうのさ、ケル君」
清掃「ウン? ケルケル心配だったから、オトコ最近悩んでる感じだったし!」
男「えっ?」
清掃「もしかしたらオトコがオトコ好きになった可能性考えてた」
男「予想以上にブッ飛んだこと考えてたねッ!」
清掃「そお? ガンコなオトコなら悩むと思ってた」
285 = 274 :
清掃「だからケルケル、ちゃんと友達としてオトコの恋応援したい。悩んでるなら、相談して欲しい。ケルケルできることやってあげたい」
清掃「――オトコが好きになった相手なら、絶対良い子のハズだし! 是非あってみたいし!」
男「ケル君…も、もしやこの雑誌もケル君がわざと放置して…?」
清掃「イエス! アキバでこの前かってきました!」ビシッ
清掃「とにかくそう言いたかった。理解してもらえてよかったよ、一息付けた」ふぃー
男「と、とりあえず納得してもらえたようで。それに、別に誰を好きになったとか、そういう悩みじゃ無いんだけどね…」
清掃「エッ! そうだったのー!?」
男「うん。でもありがとう、ケル君が一生懸命考えてくれたことは素直に嬉しい」
清掃「で、でも…ならケルケルやったことオトコに迷惑だったよね…ごめん…」
男「そうでもないよ? いっぱしに恋愛してない俺が言うのもアレだけど、うん、愛に境目なんて無いって、俺なりに理解できたつもり」
清掃「う、うん」シュン
男「そうだなぁ、もし仮に将来そういった関係ができるなら―――」
男「―――ケル君みたいな話しやすい人が良いな、俺的に」(悪意0)
286 = 274 :
清掃「………………………」
男「なーんて、あっ! 気に障ったらゴメン! へ、変なこと言った…?」
清掃「ううん。そーでもないよ、オトコがそーーだってケルケル知ってるし」
男「えっ、あ、うん?」
清掃「オトコ約束して」
男「約束?」
清掃「今後ゼッタイそーいうの言わない、ケルケル以外に言っちゃダメ。わかった?」
男「…ちょっとケル君怒ってる?」
清掃「ヤクソク!」
男「はい! 約束ねッ!」ビクン
清掃「ウム。じゃあケルケル掃除始めるから、オトコもフォクシィみたいにサボらないように」
男「い、いえっさー…」
清掃「…………」じぃー
清掃「ケルケル。違うこと心配なってきたよ、放っておけないねオトコは」ハフゥ
男「ど、どういうこと?」
清掃「ヒミツ」ベー
たたっ
男「…何故に彼はああいった行為が似合うのだろう、不思議だ…」ボンヤリ
男(って、ぼーっとしてる暇ない! 叔母さん探さないと!)
287 = 274 :
~~~
男(スィートランドホテルにはケル君と、タンコブ出来た受付さんだけだった)
男「すると、居るのはここだよな…」スッ
ぴんぽーん
叔母「はい」ガチャ
男「…敢えて言いますけど、まずインターフォンで相手を確認しドア開けてください。不用心ですよ」
叔母「お、男くんっ? なぜここに…! あっ! 一緒に住むの…?」
男「違います。探してここまで来たんですよ、叔母さんに用事があって」
叔母「…………………」
男「上がってもいいですか?」
叔母「え? あ、うん、いや! 待って、五時間後になら…」
男「五時間後!?」
叔母「三時間後?」
男「たいして変わらない! なんでそんな時間を、あっ!? まさか、嘘、また…!?」
叔母「えぇえ~…? なんのコトだろう~…?」ソローリ
男「そっとドアを閉じようとするなーッ! アンタっ、部屋がまた汚くなってるんでしょうが…!?」ガッ
叔母「暴れるとご近所に迷惑だから…顔を覚えられたら今後一緒に住みにくくなっちゃうから…っ」ギリギリギリ
男「先の心配より今の心配でしょうが! 大家にバレたら叔母さんが住めなくなるんですけど!?」
288 = 274 :
室内
ゴチャーッ
男「……なんたる、惨状……」ゴゴゴゴゴ
叔母「言うほど汚れてないと思うけど…」
男「片付けた以前ぐらい元通りなんですけど…!?」
叔母「スミマセン」
男「ハァ~…ホテル掃除の前に、ここを片付けなきゃダメじゃ無いですか…」
叔母「そう、思ったから一人でやってたんだ」スッ
男「え? あ、ゴミ袋に…金鋏? 金鋏!?」
叔母「ああ。キッチン用」ガッチンガッチン
男「イヤァッ! 聞きたくなァいッ! 水場周りで金鋏を使用しなきゃ駄目な状況なんて聞きたくなァい!」
叔母(これが受付が言ってた乙女系反応…)ぽやぽや
男「うぐぐッ、こうだと知ってれば除菌殺菌抗菌道具一式持ってくれば良かった…っ」
叔母「それで用事って何?」
男「当の本人がこれだもんなァ…! くッ、良いですよ! 掃除は今度にします、先に用事を済ませてたいですし!」
男「――はぁ、それで質問があるんですよ。叔母さんに」ジッ
叔母「質問?」
男「…………、なんで最近俺のことみてるんですか?」
289 = 274 :
叔母「ミテナイヨ」
男「やっぱ血筋って重要ですね。下手くそすぎますよ、嘘が」
叔母「うっ…」
男「教えてください。なにか、俺しましたか? 問題あるならちゃんと聞きますから、きちんと言ってください」
叔母「………」ダラダラ
男「言い辛い、ことなんですか?」
叔母「少し、そうかも」
男「……」
男「そう、なんですか。なら別に、無理して言わなくて良いです」フィ
叔母「あ…」
男「すみません。なら用事は終わりです、もう帰りますね、俺」
叔母「ま、待って。そうじゃない、違うんだよ男くん!」
男「……」
叔母「違う…と言っても…本当にただ、私から言っていいものなのかわからなくて…」
男「俺、信用できませんか。叔母さんにとって、信頼できないですか」
叔母「…っ」
男「前にじ、自慢の甥っ子だって言ってくれたこと、凄く嬉しかった。だから…」
男「……やっぱり忘れてください。変なこといってすみません、俺もう帰ります」
がしっ ぐいー!
290 = 274 :
男「わあっ!?」
叔母「わ、私にとって君は大事な家族だと…! 大切に思ってることは事実だから!」
男「えっ? あっ、ハイ…!!」
叔母「勘違いしないで、君は大切な家族だということ。預かった時から心に決めてるし、三年間責任もって見届けようと思ってる」
男「あ、ありがとうございます…!」
叔母「でも」
男(でも?)
叔母「――君がっ、私のことを家族としてみてないじゃないか…!!」くっ…
男「……」
男(んーっ?)
叔母「悩んでいるんだろう…私としたことが、責任者として十代の性欲を軽んじたばかりに…無防備な姿をさらし続けた…」
男「待って、オイ、待て」
叔母「良いんだ、嘘をつかなくても私は知ってるから。君がちくいち胸を見てるって」
男「それはちょっと否定できませんけど本当に待って!?」
叔母「認められない相手を好きになるぐらい…君のセクシャリティを歪ませた叔母を許してくれ…」サメザメ
男「ラブホテルに住まわせてる人のセリフじゃ無いなあ!?」
291 = 274 :
男「叔母さん本気でなに言ってるんです!? お、俺が貴女を家族としてみてないって…一体どういう…!?」
叔母「えっ? 毎夜と私でこう…」シュッシュッ
男「してないわッ!!!」
叔母「え、嘘、じゃあネタはなに?」キョトン
男「今話すことでもないッ! 叔母さん、そっちこそ勘違いしないで下さいよ!?」
男「俺はまったく貴女を家族以外で見たことありません! さっき言ってくれた、そのっ、大切な家族…的な…感じですから!」
叔母「だからこそ燃える的な…」
男「まったく隙がねえ勘違いだよ!」
叔母「え、え、じゃあ違う? 私の勘違い? 全然いっしょ住めるぐらい普通?」
男「標準が分かりづらいですけど、まあ、余裕で住めるでしょうね…」
叔母「―――………」
男「お、叔母さん? わかってくれましたか?」
叔母「…ああ、そう。うん、わかった」
男「本当ですか? まったくも~突然変なこと言わないで下さいよ、びっくりした」
叔母「そう、か。ごめん、君によからぬ疑惑を抱いてしまって。すっごい胸見るからもう我慢の限界だと思ってて…」
男「それはもう今後気をつけますッ!」
292 = 274 :
叔母「うん。そういうことなら素直に言えるね、ごめんね。でも…」
叔母「…良かった、君が家族のままで」
男「………」チク
男(ん? あれ? なんだ今、一瞬…変な感じが…)サワサワ
叔母「どうして乳首触ってるの?」
男「触るかばっきゃろいッッ!」
叔母(ばっきゃろい……)
男「ご、ごほん。しかし誤解が解けたようでなによりです! …あ、でも、そういやケル君も変な誤解してたけど…」
男「どうして俺が『認められない相手』が居ると勘違いを?」
叔母「ん。その言葉で全て納得がいった、もうクビにするか」
男「……その言葉で俺も全ての原因を察したんですが、待って下さい、勘違いしたのは叔母さん達ですし」
叔母「でも君に迷惑が…」
男「い、いやいや。誤解が解けたなら問題なしですって!」
叔母「そう。君がそういうのなら」
男「………」
叔母「………」
シーン
293 = 274 :
男「あ、えーっと! あはは、じゃあ俺はそろそろ…!」
叔母「帰るの?」
男「え、ええ、晩ご飯の準備もありますし、だから、そのっ、えっとー…」
叔母「ん」
男「…腕を放してもらえないと、帰られないんですけど…?」
叔母「………」ぱっ
男「あ、ありがとうございます」
男「うっ、それと叔母さんの分も用意してますから、後で食べに来て下さいね…! 受付さんのこと怒りすぎないように、あとそれとっ、」
叔母「男くん」スッ
男「掃除もあとでやりにきま―――」グイッ
ぎゅっ
男「――え?」
叔母「………」ぎゅうう
男「なんっ、ですか、コレ急に…?」
叔母「黙ってて」
男「は、はひっ!」
叔母「…………」ぎゅっ
チッチッチッチッチッ… カチン チッチッチッチッ…
294 = 274 :
叔母「ん」スッ
男「…今の、なんですか…?」
叔母「え、ハグ? 知らない?」シュボッ
男「ご存じですけど…」
叔母「親愛を込めてハグらせてもらった。君が嫌がるか、性癖歪ませちゃうかもと、今までやらなかったんだ」
男「もっと他の躊躇う理由ありませんでした?」
叔母「今ではどうでもいい。…見た感じ、悪い気はしてなさそうだから」ニッ
男「うッ!? 嫌がるなんて、別に、俺は特になにも…」フィッ
叔母「嬉しかったよ」フゥー
男「えっ?」
叔母「君が『大切な家族』だって、私のことを言ってくれて。私は本当に嬉しかった」
男「……じ、事実ですからっ」
叔母「ん。だからハグした、これからもして良い?」
男「えっ!?」
叔母「了承得られなくてもするけど。私はよく兄貴にしてたよ、クッソ嫌がられてたけど無理矢理してた」
男「ぜ、全然想像できない…あの親父が…」
叔母「くっく。それにもう一人のほうも、」
男「もう一人?」
叔母「……。いや、なんでもない」
295 = 274 :
叔母「さて。そろそろ日も暮れるし、帰った方が良いよ。それともやっぱりここに居る?」
男「か、帰りますって。あとでご飯食べに来て下さいね、…あ!!!!」
叔母「わ! どうしたの?」
男「叔母さんが兄貴って言って思い出しました…!」
男「――て、手紙ですよ手紙! 俺の親父から手紙届いてませんか!?」
叔母「兄貴から? え、えっと、来てたかな…?」クル
ゴチャーッ
叔母「来てると思う?」
男「もういいです…今度と言いましたけど、今から掃除しましょうか…」トホホ
叔母「お礼にハグするから」スッ
男「お礼も何も挨拶代わりしようと考えてるでしょうが…!」ググググ
叔母「おー、その嫌がり方すごく兄貴に似てる」マジマジ
男「と、とっとと探しますよ!!」
~~~
296 = 274 :
手紙は案外、すぐに見つかった。
底の見えぬ汚部屋で絶望に染まった俺と叔母さんだったのだが、
途中で参加した受付さんとケル君のお陰で迅速に片付いたのだ。
男「えっと、なになに?」ガサガサ
見慣れたシンプルな封筒を開封し、これまた質素な手紙を取り出す。
合理的な性格の親父らしいと、半ば懐かしく思いながら文面に目を通していく。
叔母「なんて書いてあった?」
しばし斜め読みを続けたところで、ふと、気になる単語に目がとまった。
堅苦しい几帳面な筆質に埋もれた一つの言葉。
なかば理解できず、何度も何度も、視線を往復さえ脳が把握するのを促すが――
清掃「オトコ?」
受付「どったの?」
297 = 274 :
――ついぞ手紙の意味を理解し終わっても、俺の口は開かなかった。
そんな俺の頭の中では彼女の、俺の母親である親の言葉が回り続けていた。
『――あんま馴染みすぎると、後が辛いぞ。ほどほどにしとけ』
この助言を今になって痛感する。
俺はきっと優しくなりすぎた。だからこんなにも苦しくなっている。
分かっていたのに、こんなこと嫌だって知っていたのに。
『この手紙が届いた一週間後、離婚調停が済む。アメリカに来い』
もはや俺には辛いことしか残っていない。
第八話 終
298 = 274 :
できるだけ早く来ます ノシ
299 :
楽しみにしてるが無理せんといて
300 :
舞ってる
みんなの評価 : ○
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