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    元スレ叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」

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    101 = 84 :

    「ケル君…お、俺…」

    「──わかった、俺、ケル君に助けて欲しい。どうかお願いしたい」ペコーッ

    清掃「じゃあ行くよオトコ! はやく駐車場へレッツ!」ダダッ

    受付「ヘルメはボックスにスペアあるからねー」

    「は、はい! 受付さんもありがとうございました! 帰ったら好きなの作りますから!」

    パタン

    受付「まあ…」ポリポリ

    受付(あの時計、遅いんじゃなくて速いんだけどね。だから今は五時四十五分過ぎ)

    受付「じゃないと就業時間誤魔化せないし…ふわぁ…まあ親交深められた、良いお姉さんってことで」モゾリ

    シュボッ

    受付「…………………何時からそこに?」

    ~~~

    清掃「早くのってオトコ! 出発するよ! 今するよ!」ブィイン ブィイイイン

    「う、うん! 本当にありがとうケル君!」ドスン

    清掃「お礼は無事についてからってね! へへっ、今のかっこいい?」

    「タイミング考えてケル君! でもカッコイイよッ!」

    102 = 84 :

    ブィイイイイイイイン

    (うぐっ、凄い風と揺れだ…! 二人乗りが危険だと言われる理由がとてもよくわかる…!)ぎゅっ

    「け、ケル君! 有り難いけど、あまりスピードの出しすぎには気をつけて…!」グラングラン


    清掃「ぐー…」スヤー


    「ケル君!? ちょっとケル君!?」

    清掃「はっ!? じゅるる、もう着いちゃった!?」

    「違うよ寝てたよ完全に熟睡してたよ今っ!?」

    清掃「あ! だから学校に着いた夢みてたのかー!」てへ

    「その照れ隠しが出来てよかったね! あと一歩で夢のままで終わってたよ!」

    清掃「うぐぐ、朝までゲームしたから限界なのかも…」うつら…うつら…

    「えぇっ!?」

    清掃「大丈夫! こんなときに効くおまじないの言葉ある! それで元気なる!」

    (そ、それって故郷に伝わる系の、お婆ちゃんが教えてくれる感じのヤツかな…!?)

    清掃「ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりくつした!」

    「ねっからゲーム脳だなあ! ケル君はぁッ!」

    103 = 84 :

    清掃「うっ…じゅもんちがいます、間違えたよオトコ…もうねひほ…」スピー

    「ダメダメダメ! 寝たらその後は復活の呪文でも効かないからねッ!」

    清掃「うん、じゃあ眠らないようオトコも手伝って、一緒に言って」

    「いや、だから、俺はあんまり詳しくないんだって…っ」

    清掃「……。そっか、ならボクがんばる」

    「あ…」

    (違う、違うそうじゃなく、そんな悲しそうな顔をさせたかったワケじゃない)

    (興味がなかったことをいきなり、…押し付けられても困るだろ。俺だって仲良くなりたい、けれど)

    (自分に無かったものを、相手と仲良くなりたいってだけで増やしていくのは変じゃないか)

    (何時かは無理出る。限界が訪れる。その終わりを抱えたまま友達に、なんて、そんなの)

    「………」

    清掃「ぞたう、いびほ、ぜもむの、ねひぎ…」ボソボソ

    「ケル君、あのさ」

    清掃「ハーイ? なに?」ニッ

    「…。俺実は、夜遅くまでケル君が話してくれたゲームのやつ、殆ど意味がわからなかったんだ」

    清掃「じゃ帰ったらまた話すね!」

    「そゆことじゃないよケル君! そうじゃなく興味が持てないんだ、君が言ってることに…」

    104 = 84 :

    清掃「そうなの?」

    「君が楽しそうに話してること、俺にはちんぷんかんぶんで良くわからない」

    「…だから、それを聴き続けてるのはとても辛い、んだと思う、多分」

    「だから! だから…俺は…」

    清掃「………」

    清掃「すごいね、オトコ」

    「ええっ? な、なんで! 俺は君に酷いことを言ってる、のに」

    清掃「ううん、そうでもない。だってボクが言ってること、あんまり楽しくないの知ってる」

    清掃「それをハッキリとノーって言ってくれる。そんな人、オトコが初めてよ?」

    「俺が初めて…」ズーン

    清掃「違う違う褒めてる、褒めてるよオトコ! ボクはそんなハッキリと言えるオトコが凄いって言いたい!」

    清掃「いやならいやでいい、ダメならダメでいい、一番しちゃだめなのは───」

    清掃「───ひとり抱えて黙ってるコト」

    「…っ…」

    清掃「ボクはそう思う。だって、ムリなんてトモダチにしてほしくない。いやならいやって言って欲しいから」ニコ

    105 = 84 :

    「それで、君は良いの?」

    清掃「どうしてそんなこと訊くの? ボクはねオトコ、こんな話を出来たことが嬉しいんだよ!」

    清掃「だってすごい、やっと日本で友達できた感じ。正直にいってくれる、そんなトモダチが!」

    「ケル君…」

    清掃「好き。そういうの言えるオトコは好きよ、だからカッコイイ」

    清掃「だから自信を持ってチャレンジ。オトコならきっとたくさんいっぱいトモダチできるから!」

    「───……」

    「……………」ぎゅっ

    「ぞ、ぞ…ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりくつしたッッ!!」

    清掃「オトコ?」

    「む、昔から物覚えだけは良いと両親に褒められてたんだ。だから、もう一度だけ教えてくれ」

    「あと! さっきまでのこしゃくれたしゃべり方はもう辞める! だ、だって…」

    清掃「………」

    「…トモダチ、だから」テレ

    清掃「うんっ! ボクらトモダチ! じゃあいっくよー! オトコ!」

    106 = 84 :

    「おうよッ! ドンと来やがれってんだッッ!」

    清掃「一文字でも間違ったらじゅもんがちがいますだよ!」

    「まかせろォ!」


    「「せーのっ」」


    清掃&「──ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもッッ!」


    ブィイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッ!!!


    ~~~~~~


    「うう…」

    「緊張しすぎて早く登校しちゃった…こんな時間じゃ生徒どころかお姉ちゃんだって…」

    (入学式、ああもぉうイヤだイヤだ、心機一転なんて狙うんじゃなかった)


    『私の妹であるなら、きちんと品行方正で真面目に無事に卒業すること! わかった?』


    「…そんなコト言われても、あたしにどうしろっていうのよ」

    「あぁーもうッ! 漠然とじゃなく教師ならタメになるアドバイス教えなさいよね全く!」ズンズン

    107 = 84 :

    (はっ!? ま、また怒りっぽくなった。もうもうもう、この性格をバレないうちに本当にどうにかしなきゃ)

    「……」

    「ちゃんと友達、できるかなぁ」


    ──イイイイイイイイイイ──


    「ん? 何の音?」


    ──ブィイイイイイイイイイイイイイイイ──


    「え、後ろから」チラ


    ヴイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイッッッ!!!!!!


    「ひっ」


    清掃「ぞたういびほぜもむのねひぎだびにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオオオオオオ!!」
    「ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオオオオオオオ!!」


    ゴバアアアアアアッッ!!

    108 = 84 :

    ドンッ!! キキィ! どっがらがっしゃーーーーーん!!


    (う、後ろに乗ってた人飛んでったー!? ひ、人殺し、事故!? いやそれよりも…!)ダダッ

    「うう…」

    「あ、意識がある…きゅ、救急車を呼ばなきゃ…」ブルブルブル

    「…ぁぁ…」

    (どうしようどうしよう、こんなのどうればいいってのよ! 血は出てないみたいだけど、ってか同級生!?)

    「…じゅ…」

    「え、なにっ?」

    「復活の呪文を…」

    「ヤバイ! 頭打ってる系だわコレッ!」

    『もしもし、救急ですか、消防ですか』

    「あ、繋がってた──もしもし、それがそのっ……!? ひいいいいい!?」


    清掃「───ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオ!!」ダダダダダダ


    (外国人がこっち向かって母国語っぽいの言いながらで走ってきてるぅー!!)

    109 = 84 :

    ズサァッ…!

    清掃「オトコ!ぞたういびほぜもむのねひぎなひ、だよ。途中で間違ったよね!」

    「あ、あの…ちょっと…」

    「…ぞたう…」

    「ぞたういびほぜもむのねひぎなひにこおてぐじりばほさりぐつじもォオオオオオ!!」カッ!!

    「ひぃいいいいいい!!!?」

    清掃「ナイス! さあ学校はもう目の前だ、行っておいでオトコ!!」

    「ああ行ってくるッ! 有難う、我が友よ!」ダダッ

    清掃「うんっ! ファイトヨー!」ちゅっちゅっ

    「…………」ぽかーん

    清掃「さて、帰ろっと」ガチャン


    ドルゥン ドルゥン ぶびっ ブィイイン


    「……なん、なななん、なな…」

    『あのー? きこえてますかー?』


    第四話 終

    110 = 84 :

    気まぐれに更新ノシ

    次は二話連続です、宜しくお願いします

    111 :

    ケルケルくん好きだわ

    112 :

    でも台詞が大変そう

    113 :

    まだかー

    115 :

    一ヶ月たつぞ早くしてくれ

    116 :

    面白いのに出会えた!と喜ぶ
    でも放置される作品が多いの
    勿体無いな

    117 :

    まだかあ

    121 :

    しんで

    122 :

    もう死んでて書けないんだよ

    125 = 124 :

    「アレは絶対に幽霊の仕業なのでは!? 何とかして下さい受付さんッ!」

    受付「なんとか言われてもお姉さん困っちゃうんだけどなぁ、あ、ケルケル君?」

    清掃「ん? ハーイ! どしたのフォクシィ?」スタスタ

    受付「ちょっと聞いてよ、男くんってばまた幽霊みたんですって」

    清掃「ワオ! オトコってば運イイネ! ボクまだ一度も見れてない! テラクヤシイ!」ニコニコ

    「ちっとも思ってない顔で言わないでくれっ」

    受付「でも凄いよね。お姉さんも未だ音だけ、オーナーだって見たことないのに

    清掃「ownerは信じてないだけっぽいケド」キョトン

    受付「ありゃ信じる感情がそもそもないのさ。客だって騒いで問題になったのに」

    「問題なってる!?」

    受付「苦情たんまりよ、黙殺して証拠隠滅してるけど。だからキミが何時だって使えるわけじゃんか、住まわせてもらってるんだから文句いわなーい」

    清掃「掃除しなくて大変ラクチンね」ウンウン

    「だからケル君はそこでなんの掃除をしてたのか教えてくれ…ッ!」

    受付「でも水漏れ程度ならケルケル君が直せそうじゃない?」

    「程度ってなんですか? 今までそれ以上なことがあったんですかッ?」

    清掃「うん! まかせてオトコ、ボクならきっと安眠を保証できるよ! イッツオーライ!」

    126 = 124 :

    夜 44号室


    清掃「──バルブが緩んでたので治しましたケド、どうだろー?」ゴソゴソ

    「これで水漏れしない…?」

    清掃「平気と思うよ? パッキン傷んでたらバイしてくるし、ミズモレ程度なら安心楽ちんよ」にぱー

    「そっか~…」ホッ

    (……。冷静になってみると、何を水漏れ程度で幽霊幽霊と騒いでたのだろう。凄くケル君に申し訳ないなあ)

    「その、ありがとねケル君。俺の我が儘につき合わせちゃって」

    清掃「ノンノン、気にしないのがトモダチだから!」

    「ケル君…!」

    清掃「でもやっぱ、シャワールームの水漏れはチョット意味わかんない。アレ謎すぎだよ」ニコニコ

    「唐突に新情報出さないでッ!? シャワールームも!?」

    清掃「あ、あれ? 知らなかったの? むしろそっちの赤い液体ドロップを怖がってるとばかり…っ」アセアセ

    「ひょおおおああああああ!!」メキュメキュメキュ…

    清掃「ひぁー! オトコが見たことない顔になってくよー!」


    【怖すぎたので泊まってもらうことにしました。】

    127 = 124 :

    「け、消したの方がいいの? 前に電気は消さない方が良いって…」

    清掃「ヘイキ! ユーレイなんてボク信じないから! どーまんせーまんだよ、オトコ!」

    「う、うん、台詞はアレだけど度胸は頼もしいね…」

    ──パチン

    清掃「えへへ」ニコニコ

    「? どうしたの、うれしそうだね」

    清掃「とってもなつかしーフンイキなのです。ボク、故郷で兄弟たくさんで小さな部屋で寝てた!」

    清掃「今それをちょっと言いたかったの、オトコにね!」ニコ

    「ふーん、そうなんだ。ちなみにどれくらいの大きさだったの?」

    清掃「ここの三分の一ぐらい?」

    (やべぇ…軽く想像を超えてきたので、気安く感想を言いにくい…)

    清掃「ジャパンは高く細く家を造るからすごい」フンスー

    「そ、そうだね日本ってやるときゃやるよね…」

    清掃「あ。そういえばオトコはどうだったの?」もぞり

    「ん? なにが?」

    清掃「前の家ね。ココ来る前はどんな感じの部屋だった?」

    「──……」

    「いや、別にフツーの部屋だったよ、特に何も無い、かな」

    128 = 124 :

    清掃「そうなの?」

    「兄妹も居なかったし、両親も毎日仕事で家にも居なかったから、あれだね、中学生の頃は友達よび放題」

    清掃「……」

    「休日前になんて、男の友達と真夜中にお酒を飲んだりしてさ。べろんべろんに酔っぱらって大変だったよ」

    清掃「……」

    「え、えと、そんな感じだったんだけど…?」チ、チラリ

    清掃「すっごい楽しそう! ケルケルも一緒にいたかったそこ!」ぱぁああ

    「あ、うん! お酒は懲り懲りだけど、今度はココで一緒にやろうよ」

    清掃「うん! やろうよ、ね!」ニコニコ


    ぽちょん


    「今の音って、」ババッ

    清掃「──オトコ、静かに」シッ

    ぽちょん

    「シャワールームから、だよなコレ…うわっ…どうしようどうしよう本当に…!」

    清掃「大丈夫、安心して。ボクが居るからヘイキ」スサササッ

    清掃「ボクが見るよ、怖くないしヘイキだし、オトコはそこで待っててね」コソーッ

    (ケルケル君…っ!)

    清掃「どまーんせまんッ! わるいごはいねがァーッッ!」がぱぁ

    (色々間違ってるけど威勢は格好いいよ!)

    清掃「……」

    「…? け、ケル君? どうしたの固まって──」

    清掃「…ファック…」スッ ばたこぉーん!

    129 = 124 :

    次の日

    受付「ありゃ重傷だ。想像してみ、あの温厚なケルケル君がさ、流暢な英語で罵詈雑言の場面をね」

    「ハイ…マジ気安く頼んでスンマセンでした…っ」ドンヨリ

    受付「君がダメージ受ける必要ないのに、どったの?」

    「いえ、無視してください…儚い俺の夢が砕け散っただけの話です…」

    受付「うむぅ、にしても見逃せない状況になっちゃったなぁ。従業員が認めちゃえば対策を講じないとね、流石にさ」

    「…何か案でもあるんですか?」

    受付「御札貼ろっか。あと部屋の隅に塩盛って、部屋の空気の出入り口にちょっとお高いお香を焚いてみよう」スッ

    受付「そういや昨日の晩酌のお酒、残ってたっけ。神棚上げてないけど、まっいっか」

    「え、えっ? あれ、意外としっかり考えてたんですねっ?」

    受付「おいおい、失礼なやっちゃなチミ。言っとくケドお姉さん、これでも現職の巫女さんよ?」

    「はぁっ!? 嘘でしょそんなん!?」

    受付「ハイ傷ついた~~お姉さんのやる気全てその反応でブチ折られたので、もう帰りまーす」

    「ま、待ってください! ごめんなさい! 謝りますから、どうか戻ってきてください! 何でもしますから!」

    受付「…いったなぁ~?」キラリン


    夜 44号室


    (確かになんでも、とは言ったけども…)

    受付「ほれっ、もっとツマミもってこォーい! ゲラゲラゲラゲラ!」

    130 = 124 :

    (一晩、晩酌につき合えって。後で使うっぽいお酒飲んじゃってるし、しかし無碍にしても解決しない…)

    受付「げぇえぇぷ」プヒー

    「……。敢えて突っ込みますけど、豪快ですね本当に」

    受付「にゃははー、おねえひゃんらんはぁ~すろいのれす!」

    「呂律ヤバいヤバい。…だ、大丈夫なんすか?」

    受付「んぐっんぐっんぐっ──ううん、大丈夫じゃない、明日地獄みると思うよん?」

    「なら何故そんな無茶を…」

    受付「知らないのー? 騒ぎは一種の厄払い、だから世の中にお祭りって概念があるんだから」

    受付「人が居て、皆騒いで、血の通った空間は、吹き溜まった厄を洗い流すの」コトリ

    「へぇ~そりゃ凄いっすね、なんだか格好いいです、受付さん」

    受付「ほめろー! もっとお姉さんをうやまえー!」

    「へへぇ…どうかご贔屓にお願いしやす…へへっ…」トクトク…

    受付「ん…」

    「でも、これぐらいにしておいて下さい。あんま飲み過ぎて辛い目にあってる姿も見てて辛いですし」

    受付「ん? んん、うん…」くいっ

    「って、聞いてねーなこの人。ま、まあ除霊的なことしてもらってる立場ですし多くは言いませんけども…」

    受付「……。なんか、きみ、イイね」ジッ

    「へっ?」びくっ

    131 = 124 :

    受付「慣れてるじゃん、めんどーな大人の相手シカタさ。前から思ってたけど、本当に高校生なりたて?」ジィー

    「そう、ですけど、いやっ一週間前ぐらいにみたでしょ? 俺の制服姿を…」

    受付「くす、そうだったね。確かに、そうだった」ニコ

    受付「でも好きだよ。君のそういった気苦労多そうな部分、魅力的だと思う」クス

    「──ゴクッ」

    (はぁうっ!? な、なんだこの空気!? 視線逸らしたいのに逸らせない!)

    受付「……」じぃー

    (どうして無言で見つめてくるんだ!? やばい、何がやばいか知らんがとにかくヤバい!)

    受付「どしたのよ、見るからに緊張しちゃってさ。いつも余裕ある君らしくないじゃん」ススス

    「なっなーに言ってるんですかーっ? 意味不明ッス、理解不能ッス、全くもって!」ススス

    受付「──意識、しちゃった? お姉さんと一緒の部屋に、二人っきりだもんね」ズズズイッ

    「あっははまっさかー! んな冗談はたち悪いッスよほんっとにぃ~~~……っ!」ズサァッ

    トン!

    (おぅあ!? 壁まで追いつめられたァ!?)

    受付「……」

    「…な、なんですか…?」ダラダラダラダラ

    受付「──騒ごっか?」ニヘラ

    「え”っ?」

    受付「ふたりでいっしょ、おんなじことシて、わいわいきゃっきゃって──お姉さんと、君で」スッ ぐいっ

    「や、厄払いって意味でっ? うぉおっ?」ドサッ

    受付「んふふ。そうそう、二人で一緒に厄払いだよ~~」すとん

    132 = 124 :

    「……何故、俺の腹の上に座るんスか……」バクバクバク…

    受付「君に、近づかなきゃ騒げないからじゃん、ね? 後のことはお姉さん任せで良いから…」スススッ…

    「うッ、受付さんッ!? それ以上は流石に変な感じにッ、つか服を捲るのは一体どんな理由があって…っ!?」

    受付「ほほぉー…」コショコショ

    「わぁひぃ!!??!」

    受付「やるやないの、君。ちょっと驚いた、坊ちゃん育ちかと思ってりゃ中々どうして」サスサス

    「だぁーーーーッッ!!」びびくん

    受付「くふふ、おなか触れて「だぁー!」とか叫ぶ人はじめて見たし。ね、ね、じゃあこっちはどぉーかなぁ~?」

    (くひっ、おひぇっ!? っっっ……た、耐えるんだ俺最後までッ! ここで機嫌損なわせる訳にいかないのだ!)

    (知ってる、分かってる、この状況がモロに危ない一歩手前だということはッ! しかし…ッ)

    (しかし、だ…ッ!!)チラ


    ぽたり ぽたり ぽたぽた…


    (──シャワールームのドア隙間から水がこぼれ落ちてるんですけど! なんか真っ赤な奴が!)ゾゾゾォ

    受付「こことかどぉ?」


    ビシャッ! バシャバシャ…


    「わあああああああああああああああッッ!!??」

    受付「絶叫は凄すぎ、敏感すぎでしょー」ケラケラケラ

    (しくされこの…っ…のんきに笑っとる場合かアンタ!)

    (だが、後ろの状況を知られ逃げられたらかなわない…ッ! 耐えろ、迎える転機までこの状況下を…っ)

    133 = 124 :



    ──ぴちょん


    (…? なんだ、音が収まった?)

    受付「ふむふぅー、たいへん満足した。やっぱ若いこ良いなぁ、ふれてるだけでお姉さん元気になっちゃうなー」

    受付「──それじゃ、いただきます」ぱん

    「って、ちょ、ちょっとぉー!? 今、はっきりと不可解な言葉を発しましたよねアンタぁー!?」

    受付「大丈夫。ヒドいことはしないしなーい」ズリズリ

    「きゃああああああああああ!!!!」

    受付「うへへ…生娘でもあるめーし、なまっちょろい悲鳴あげてるんじゃねーよ…かまととぶりやがってぇ…」ウェヘヘ

    受付「ここは正直に身を任せなさ───」

    「っ…っ…っ…」ぶるぶるぶる

    受付「──妙に怖がってると思ってたけど、きてたか幽霊っ!」

    ばばっ!

    受付「今日こそ年貢の納め時! 現職巫女さん厄払い、世に残った残留思念ぱやっと祓ってみんぜようッ!」



    叔母「……」



    受付「そして続きをぱぱっとはじめ、ちゃ、…う」

    叔母「…で?」シュボッ

    受付「……………………」ダラダラダラ

    叔母「何か、ほかに【お前が】言い残す言葉は?」フゥー

    受付「え、ダーイ…な、感じ…ですか…?」

    叔母「ダァ~~~イ、だなぁ」ぷかぁ

    受付「──ほんっとすみませんでしッぷげらぁッッ!!??」ゴッッ!!

    叔母「お、いいの入った」ヒュ~

    (高速土下座に膝の超反応カウンター…えぐい…)

    134 = 124 :

    ~~~


    叔母「私は怒っているよ。珍しく君にね」

    叔母「──居もしない幽霊で周りを騒ぎ立てて、経営に支障が出たらどうするつもり?」

    「で、でも…っ」

    叔母「話を聞く限りじゃ、水漏れ程度で騒いでたらしいじゃないか」

    叔母「ケルケル君だって「ナニモミテナイヨ」と断言していたし」

    (忘れてたいんだろうなあ…深く追求するのは可愛そうだから良いけども…)

    叔母「いい加減にこれっきりにして、二度と騒がないように。良いね?」

    「わかり、ました。本当にすみませんでした…」ペコリ

    叔母「素直に謝るのは良いことだ。許そう」ウム

    「…ありがとう、ございます…」ションボリ

    叔母「まあ、あのさ。君がこの部屋が嫌なのは別にかまわない」

    「……」

    叔母「今日から私と一緒に住めば良いと思うんだけど、どうかな…って」チラ

    「あの。ちょっと良いですか?」

    叔母「何?」キラリン

    「少し気になってることがあって。ごめんなさい、もう一回だけ幽霊の話題を掘り下げさせて下さい」

    叔母「…………、どうぞ」ムスッ

    (ううっ、やはり機嫌を悪くさせてしまったか。けど気になってる「あの現象」は追求しておきたい)

    「叔母さんは一度も、幽霊的な現象を見たことないんですよね?」

    叔母「いないよ、そんなモノは」

    「…そうですか、だから気になったことが一つだけ」

    135 = 124 :



    「音が、鳴り止んだんですよ。叔母さんが44号室に訪れた途端に」


    叔母「水漏れが収まったって? へぇ、それが何?」

    「ほぼ、毎日ラブホに来てるハズの叔母さんが幽霊未経験で、なのに受付さんやケル君は少しばかり経験してる」

    「つまり、これらに繋がりがあるとは思えませんか?」

    叔母「まったく感じない」フリフリ

    「です、よね。こじつけにも程があるし、それじゃあまるで怖がっているのは【幽霊のほう】になるし…」

    叔母「……」ぴくっ

    「そんな馬鹿げた話あるわけないっすよね、ごめんなさい」ペコ

    叔母「……………」

    「……、ん? え?? ある、んですか…? その可能性…が…?」

    叔母「……………、無い!」

    「うそつき! 叔母さんの嘘つき! 可能性感じちゃってる顔してた絶対! 絶対に絶対に!」ビシッビシッ

    叔母「あれ…おかしいな…胸ポケットに入れた煙草がなくなってるなぁ……」キョドキョド

    「年がら年中タンクトップだろうに!」ジトー

    叔母「いやっ違う、だってあり得ないからっ、そんなことっ」

    「何を隠そうとしてるんですか」じぃー

    叔母「……………」ダラダラダラ

    「本当は幽霊が実際に居ることを隠してるんじゃ…」

    叔母「それは本当に知らない! 私は…っ」

    「──それは?」

    叔母「あが、ぱく、うぅ~~っ……はぁ~~……っ」カックシ


    従業員室

    「──幽霊じゃない…? それどういう意味ですか…?」

    叔母「私が知ってることは一つ、過去に、悲惨な目にあった女性が居たってことだけ」

    136 = 124 :

    「44号室で、ですか?」

    叔母「今からだいたい十数年前に、とある学生カップルがラブホテルを使用したんだ」シュボッ

    叔母「二人ともラブホテルは初体験らしくって、そりゃもう楽しみ半分緊張半分で44号室に訪れたらしい」

    ふぅー

    叔母「そして悲劇が起こったんだ…」

    「いきなり!? い、一体どんな悲劇が…!?」

    叔母「うん。フられたの」コクコク

    「…はいっ?」

    叔母「彼女のほうが、ココに来ていきなりフられた。実は彼氏のほうが常々鬱憤が溜まってたらしくて…」

    叔母「ラブホテルまで着といて、彼女がうにゃむにゃ難癖付け始めたんだ。やっぱり私たちには早いよ、みたいな感じで」

    「それで呆れた彼氏さんが、その彼女さんをフったと…? ここまで来ておいて…?」

    叔母「結果論だけど、どっちもどっちだよね」

    「いやっ、まあ確かに悲劇的っちゃあ悲劇ですけどその別れ話がどう幽霊騒動と繋がってくるんですかっ?」

    叔母「この話には続きがあって、フられた方の彼女が周りに自慢してたんだ。とうとう彼氏が出来た、今度ラブホテルに行っちゃうって」

    (女子って自慢するんだ、そんなこと)

    叔母「でも結果があれだったことで失墜したまた呆然と44号室に佇んでた彼女さんの所に…」

    叔母「──当時、彼女の先輩で、極秘バイト中だった私が掃除にやってきた」

    「うわあぁぁ~~……」

    叔母「あのときの、彼女の顔は忘れようにも忘れられない」フゥー

    137 = 124 :

    「……。え、えっと、もしかしてその…?」

    叔母「それからだったね。幽霊騒ぎが出始めたのって」

    叔母「そう、その時の彼女のショックもとい【怨念】が44号室に染み着いたと言っても過言じゃないんだ」グリグリ

    叔母「特に私が来たら超常現象が収まる、ってところが関連性が見受けられるし」

    「んな馬鹿な話が…」

    叔母「馬鹿な話なんだよ。でも原因を突き詰めると必ず、あの日からでしか考えられない」

    (そりゃ叔母さんも認めないよなあ…)

    叔母「ちなみに、そのフられた彼女である私の後輩は元気だから安心して」

    「あ、そうなんですか…生き霊って奴なんですかね、よくわからないですけども、生きてるならよかったです…」ホッ

    叔母「というか君の学校の教師だけれども」

    「ぐッ……ここにきてまさか聞かなきゃ良かったと思わされるとは……ッ!!」

    叔母「後輩と色々話してみたけど、全く認めないしむしろしつこいと、嫌われちゃったしさ」

    叔母「出来ればこの話はもう金輪際したくないんだ、個人的に」

    「…はい、わかりました。でも原因だけでも知れて良かったです」

    叔母(これは一緒に住むと言われる流れかな?)わくわく

    「でもやっと安心しました、ならここで住み続けても平気ですね!」

    叔母「今日は記念にぱーっと出前を──うん?」

    「ただの怨念程度で起こる現象なら、なにも怖くない。俺が一番怖いのは正体不明なことなんで」ニコニコ

    138 = 124 :

    叔母「え、え、えっ? あれ? あの、でも超常現象は起こっちゃうかもだよ…?」

    「でも叔母さんの後輩が原因なんでしょう?」キョトン

    叔母(え、なに言ってんだこの子?)

    「というか実家の方がやばかったですよ、ガチもんでしたもん」

    「夜に誰もいないのハズの庭から酒盛りする声聞こえたりして。あと確実に戦時中の若い兵士っぽい会話だったり」

    「後で調べ尽くして、近所に特攻隊の基地があったのが分かって安心しましたけどね」

    叔母「…ぇぇぇ…」ドンビキ

    「あ、そうだ。後輩さんのことも調べないとダメな流れかなコレ、こうしちゃいられない。明日から備えないとな」バッ

    「それじゃあ叔母さん、言い辛い事情話させてしまってすみませんでした! もう金輪際しませんので! ではっ!」


    パタン


    叔母「……うん」スッ

    叔母「やっぱ、あの子すごいな」


    【叔母は深く考えるのをやめた】


    第五話 上編 終

    139 = 124 :

    学校 教室 放課後

    「……」

    「……」

    「あの、女さん? 出来ればクラス委員長として意見を頂きたいんだけど…?」

    「ふん。貴方の好きにしたら良いでしょ、私のような不出来な人間の言葉より、貴方の意見のほうが通りやすいわよ」

    「…きっとねっ」キッ

    「そう、言われても。今回は委員長二人で今月のクラス目標決めるって話だったじゃないか」

    「なによ、不良のくせに優等生ぶっちゃって」

    「だからそれは誤解だ!」

    「なーにが誤解よばーかばーか! 日本全国どこ探しても、入学式当日に原チャリでぶっ転ける奴がいますってーの!」

    バン!

    「なのにっ…誰一人信用しないどころか、私が何故か変な奴だと周りから思われる始末…!」ぶるぶるぶる

    「う、うん、えと大丈夫? 手痛くない?」

    「うっさいッ! なんでよ…なんでこうなるのよっ、どうして貴方が一年代表の最優秀生徒なのよ…っ!」

    「またその話か…」ハァ

    「このインテリ不良! 人を騙して悦を得る変態男子ぃー!」

    「ちょっと!? あんまり大声だすなってば…!」

    「なによ! 触らないでよっ!」バッ

    140 = 124 :

    「いや、あんまり騒いでるとまた変人だと思われるんじゃないかなってさ…」

    「おぐッ」

    「あのね、入学式の日に一緒に謝られなかったのは本当に申し訳ないと思ってるよ。許してくれとまでは言わないから」

    「騒ぐのだけはやめとこう。お互いのために、俺は俺で君の手助けができればそれでいいよ」

    「…なによ、まったく」ブツブツブツ

    「…というか、君まで委員長になる必要あった?」

    「はぁっ!? そりゃあるに決まってるじゃない!」

    「てっきり面倒な仕事は全部、俺がやれってことかと思って」セイセイ

    「だって委員長って優等生っぽいじゃない…! なって損なんて考えられないし! 格好いいと思うの!」

    「……あぁ~、そういう…」

    「今ッ、アホっぽい理由だと思ったでしょ…ッ!」ブルブル

    「いやっ!? 無い無い無い! まったくもって!」ブンブン

    「──私はならなくちゃダメなの、優等生に。ダメな大人にならないよう、これからずっと頑張らなきゃいけないのよ」

    「志は素晴らしいと、思う。それを初っぱなから挫かせてしまったのも申し訳ないと思ってます…!」

    「本当にその通りよ全く…」ハァ

    「なら、頑張って考えないと。今月の目標をさ、格好いい委員長としての最初の仕事なんだし」

    「元気な挨拶ぐらいで良いじゃないの」

    「言う割にはテキトウに決めるね、君。もっとこう他にある気がしない?」

    「じゃ貴方のほうには良い案があるってわけっ?」

    141 = 124 :

    「……。この前、男子グループと女子グループが衝突した雰囲気があった」

    (え、全然知らないんだけど…)

    「周りは今後一切、その事は触れないでおこうって空気だけど、少し気になるし、仲直りを促す的なものにすれば…」

    サラサラ

    「うん。これでどーだろう?」

    「『男女で挨拶を心がける』…えぇ~? こんなの明らかに意識してますってアピールしてるようなもんじゃない」

    「…やっぱそうなるか」シュン

    「はぁーん、優等生不良は同級生間での雰囲気把握は苦手なようね、良いこと知ったわ」クスクス

    「………」

    「な、なによ? 急に黙って」

    「優等生不良ってどういう意味?」

    「私も知るかんなモン! 目標なんてちゃっちゃと決めて、雰囲気変えたいならもっと現実的なことしなさいよ!」

    「今月クラス目標なんて誰も気にしない。高校生にもなって小学生な無垢さ持ってるワケないじゃない!」

    「へぇー、じゃあ例えば何をすれば良いと?」ジトー

    「え、ぇえと、そりゃ考えてるわよ、勿論」

    「……。クラスの男女仲が悪いなら、代表的な男女が仲良くしていけば──どうのこうの上手く影響が広まったりとか?」

    「代表的な男女って?」

    「え? そりゃ君と私になるけど…」


    「……」

    「……」


    (あれ、突然なにを言い出したんだろ、私)ドキ

    142 = 124 :

    「確かに良い案かも知れないな…」

    「…マジで言ってるのそれ?」

    「他に思いつく案があるわけでもない。よし、それでいこう」ガタ

    「ちょ、ちょっと本気なの!? わ、私と貴方と二人で、率先して仲良くするってことよそれ!?」

    「良いじゃないか、むしろ望んでた機会だと思ってるし」

    (な、なによその行動力は)

    「? なにしてるの? 早く一緒に帰ろう、確か同じ方向の駅だったよね」がらり

    「へっ?」

    「早いうちから始めていこうじゃないか、仲直り作戦って奴」

    「……あ、うん…」ぽかん


    数日後

    (──うそでしょ、本当に?)キョロ

    わいわい がやがや

    (たった数日で、確かにギスってた雰囲気が収まった気がする。これも作戦のお陰…?)

    「ねえねえ女さん。ちょっといい?」

    「あの噂ほんとっ?」

    「へいっ!? な、なんのことかしら…っ?」

    「委員長二人がつき合ってるって話だよ~」

    「よく一緒に帰宅してるの、見てる人多いよ~?」

    「──…ハァッッ!? んなワケ、もがぐごっ」ぐいっ

    「すぐ大声出すのは悪い癖だよ、女さん」しぃー

    143 = 124 :

    「けほこほっ、貴方ねえちょっと力加減考えなさいよ!? 死ぬかと思ったじゃない!」

    「あ、ごめん。でも、いつも女さんは唐突に騒ぐし…この前も…」

    「あーっ!? ゲーセンの時のやつまだ言ってるの!? クレーンゲームで景品とれて騒がない方がばかじゃない!」

    くすくす

    「そればっかりは貴方が納得するまで言い続け──…え、何よ?」

    「ねー、やっぱ付き合ってるよねww」

    「お幸せにー」フリフリ

    「なぬッ!? なにを馬鹿なことを言って…! かふッ!」グイッ

    「…ちょっとこっち来て」ズリズリ

    廊下

    「否定しても良い、けど必死になって騒ぐのはダメ。わかった?」

    「必死に否定しなきゃ勝手に勘違いされるでしょ…!? さっきみたいに!」

    「だったら言われる度に否定すればいい、躍起になって作戦内容を暴露しない自信あるの、女さん」

    「……、何気に私の扱い方わかってきてるわね、貴方」

    「自分で言うな。ほらそーいうところだ、この数日で君がどれほど率直に物事をぶっちゃけるかを身を持って理解したんだ」

    「もう少しだけ我慢して。嫌だろうけど、あとちょっとで今の雰囲気なまま定着しそうな感じはするから」

    「う、うす…」コ、コクコク

    「後で散々に俺のこと罵倒してくれ良いから、それじゃあね」フリ

    144 = 124 :

    スタスタ…

    「ま、待ちなさいよっ。 …貴方の方はそれで良いの? 周りから勘違いされたままでも」

    「自分は平気。慣れてるから」

    「…変な返事しないでよ、不安になるじゃない」

    「うーん、でも、嫌な気はしないよ? だって女の子と付き合ってると噂されるのは男として悪くないし」ポリ

    「あとで散々ボロクソに言われる前提だったとしてもね、うん」ニッ

    「じゃあ、また放課後で」フリフリ

    「………」ムスッ

    (なによそれ、変に意識してるの私だけみたいじゃないっ)プンスカプン

    (フン! 良いわよ、だったら私なりのやり方で楽しんで行こうじゃない。始めはそうね、貴方の余裕綽々の顔剥いでやったるわ!)


    ~~~


    「どうしたの? 急に自転車で帰ろうって」

    「送って行きなさいよ、私のこと」

    「それぐらいお手のモンでしょー? 原付で二人乗りしてた奴が、規則が~~なんて生っちょろいこと言わないでよね」ぷいっ

    「これ、荷台無いけど大丈夫?」

    「え”?」

    「流石に後ろをスカートで立ち乗りは辛いと思うけど…?」

    145 = 124 :

    ギィ ギィギィ…

    「ふぬりゅうううううー!!」ギィコギィコ

    「アンタ本当にガッツというか諦め悪さ凄いよね…」グラグラ

    「やるといったらッ、やるッ、んのよぅ! どうッ!? 参ったかしら!?」ブモモォーッ

    「う、うん、今ちょっと女子としてやらかした顔してるけど概ねオッケーです」コクコク

    ~~

    「ん」グイッ

    「え、何? 弁当箱? これ、くれるの?」

    「作ってきたわ、超! 完璧にね、代わりにアンタの食べさせなさいよ」

    「……」スッ

    「どうも。じゃない! ふん! 有り難く思いなさいよね! …どれどれ…」シュルシュル

    ぺかー!

    「え…超綺麗…」ぽけー

    「がりぼりがりっ、すげぇ…全部の卵焼きの中に巨大殻入ってるんですケド…カルシウムばっちし…」

    「くッ! いいわよもうッ、交換は無し! ハイ終わり!」ササッ

    「あ。でもご飯の炊き方は凄い好みだ、いいよね固めに炊くの」のほほん

    「あぐっ…あ、ういッ…いいわよね、固い方が口触りいいし…お姉ちゃんもそっち好きでさ…」モジモジ

    「うんうん。どうせなら二人の弁当分のオカズ合わせて食べようか?」

    「…うん」コク

    ~~

    「──…」ボォー

    (今日は何をしよう。一昨日はカラオケで点数超えてやったし、中間テストの見直しもやっちゃったし)

    (あ。そうだ、まだケータイのアドレス知らないじゃない)ハッ

    「くくく、さすれば機会が多く訪れるというものよ…」ケケケ

    146 = 124 :


    カァーカァー


    「…遅いなぁ、アイツ…」ボソリ

    (何してるんだろ、この時間帯いつもならすぐに教室に来るのに)

    がらり

    「! ばかねっ、この私を待たせるなんて良い度胸じゃない!」バッ

    「今日という今日は堪忍袋の尾が切れたわ! 駅前クレープおごりジャンケン、受けて立ってもらうわよ──」チラ


    「ずいぶん楽しそうね、貴女」


    「──おね、ちゃ!?」サァーー

    「失言よ、それ。学校では絶対に姉と呼ばないよう散々注意したのに、まだ理解できてないの?」

    「ちゃんと先生と呼びなさい。良いわね」

    「ご、ごめんなさい先生…」シュン

    「もういいわ。無駄に残ってないで早く帰りなさい、折角、私が親に掛け合って塾を免除させてあげたのに」ハァ

    「…はい…」

    「貴女が自主勉強を頑張ると言い切ったの、忘れたのわけじゃないでしょうね」

    「……」コクリ

    「──でも、今回の中間テストは良かった」

    「えっ?」

    「勉強したのね、ちゃんと。しかしまだ甘い、ニアミスの酷さが教員連中で話題のネタになるぐらい酷かったわ」

    「…ウッス…」

    「けれど個人的に評価してあげる。貴女の頑張りは認めるわ。きっと良い──」

    「──良い、クラスメイトが居たのね」フッ

    「……!」

    147 = 124 :

    「暗くなる前に帰りなさい。良いわね、絶対よ」

    「あ、おね、えぇと先生…!」

    「なに?」クル

    「あ…その…えと…これからも、頑張りますっ」ピシッ

    「くす。ええ、勿論。だって期待の妹ですから」ニコ


    電車内

    (えへへ、お姉ちゃんに褒められちゃった)デュフフ

    (しばらく嬉しさに呆然としちゃってて、さらに帰宅時間が遅くなったのは我ながらアホっぽいけど…)

    すたすた

    「頑張ったね、だって…期待の妹ですから、だって…んふふ~」ニヨニヨ

    (でも、あれかしら。認めるのは癪だけど、ほんの数歩は貴方のお陰って考慮しても良いかもね)クス


    がたんことーん がたんことーん


    「……今日のこと報告したら、なんて言うかしらアイツってば」

    (なーんてね、お姉ちゃんのことも知らないだろうし、言っても意味不明だけだろうし)

    「ってあれ!? 既に降りる駅通り過ぎてない私!?」ガバァッ

    ぷしゅー

    148 = 124 :

    (やばいやばい! これ以上遅くなったらお姉ちゃんが先に家に着いちゃう! 早く対向車線に乗り換えないと…!)

    「はやくはやく───」ダダッ


    「……」

    「……」


    「───…ぇ…」

    「お姉ちゃん、に。どうして隣に、貴方が居て…」ピタ

    「…」スタスタ
    「…」スタスタ

    (そのまま駅を降りていく…? こんないかがわしい繁華街しかない駅で、二人でっ、どうして…!?)

    「…っ…」ゴクリ すた、すたすた…

    ~~~

    (どこまで行くんだろう、というか二人は知り合いだった? 二人で一緒に出歩くぐらいに? いつのまにっ?)スタ…

    (いや、待って、でも確かに)


    『──良い、クラスメイトが居たのね』


    (──お姉ちゃん笑ってた、あんまし人を評価しないで普段もピクリとも揺るがない鉄仮面お姉ちゃんが…)

    (知ってた、の? 誰に教わってたのか、一体誰が良いクラスメイトだったって…)

    「あ! 見逃してしまった…!?」キョロキョロ


    たったったったっ

    149 = 124 :

    (やだ、なんかやだ、こんなの嫌だ…っ)ドッドッドッドッ

    (これ以上追いかけたら駄目な気がするのに、でも、足は止められない───)

    ババッ

    「………」ドサリ


    『スィート・ラブホテル』


    「…あ…」


    「…っ…」スタ、スタスタ…

    「………」スタスタ…


    「…嘘、あはは…そんなの、だって…っ」

    「ッ…!!」くるっ ばっっ!


    たったったったっ……


    第五話 中編 終

    150 = 124 :

    三日後ノシ


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