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    元スレ叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」

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    1 :

    「──ここが約束の場所、だよな」

    ピンポーン

    「……」ドキドキ

    ガチャ

    叔母「ん~…」ボリボリ

    「あ、あのっ! 今日からお世話になります! えっと、その…!」

    叔母「……」じぃー

    叔母「え? あ、うん。男くんだっけ、そっか今日だったね…忘れてたわ…」

    (わ、忘れてた?)

    叔母「んーーッ…!」のびー

    叔母「日差しが目に響く…上がっていいよ、ほら…」キィ

    「は、はい…」

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1464445806

    2 = 1 :

    ぱたん

    (こ、この人がパ、…親父サンの妹なのか)

    (何か兄妹って気がしない。あの人の血筋だからてっきり…)

    叔母「ねぇ男くん」

    「はいっ!? なんスかね!?」

    叔母「君、汚れてる部屋って平気なほう?」

    「…限度によりますけど…まぁ潔癖症ってほどでは…」

    叔母「そっか」

    叔母「あんな嫁さんの息子だから、心配してたんだけどね。じゃあ大丈夫か」スタスタ

    (心配…俺が来る日忘れてたのに…深く考えるのはよそう…)

    叔母「はい。じゃあ、ココが今日から君が住む部屋ね」

    ガチャ キィ

    (ゴクッ、ああ、ここが三年間住む部屋──……)

    「……」ピクッ

    「汚ねぇッッ!!!」

    叔母「あ。やっぱり?」

    3 = 1 :

    「な、なんスかコレ……? え、ここ、倉庫か何かなんですか…っ?」ダラダラ

    叔母「違う違う。ちゃんと人が住める立派な場所だから、全然住めるから」

    「寝るスペースすら無いぐらい…モノで溢れかえってるって言うか…」

    叔母「それはココ」

    「…そこはドアが開く空間じゃ…」

    叔母「そうともいう」コクコク

    (な、なんなんだ、俺はトンデモナイ所に住まわせられそうになってるんじゃ、いや、なってるよな!?)

    (くそぅ、いやに出来た話だと思ったんだ! 都会に住めるからって釣られたら、倉庫に押しやられると来たもんだ…!)ホロリ

    叔母「ま。やっぱりこうなるか、そっかそっか」スタスタ

    「……?」

    叔母「よいしょっと」ズボァ!

    「……??」

    叔母「お昼のドラマっはと…」ブゥーン…

    「……………、もしかしてココに住んでるんスか」

    叔母「そうだよ?」

    4 = 1 :

    「え、えぇ~…」

    叔母「意外とイケるけど…」

    「意外と思ってる時点でココがやべぇって分かってますよね!?」

    叔母「あんまり嫁さんに似てないね、君」くすくす

    「人となりの感想タイミング考えて! つうか、その待ってください…!」

    叔母「?」

    「ということはもしかして、俺と一緒に住む気だったんですか…っ?」

    叔母「あ。やっぱりダメだった?」

    「あぁーッ! もう全部ダメーッ! 初対面から今まで、一つ足りとも全部ダメダメなんですけどッー!?」

    叔母「君、意外と声がデカイね。それじゃ隣人さんに迷惑かけるよ」

    「今後の不安なんて駆け足過ぎる! …もう、もうもうもう…なんでうこうなるんだ、まったくぅ…」ドサ

    (やっと…やっと俺に転機が回ってきたと…なのにこの仕打はないよ…)

    叔母「男くん」

    叔母「君の保護者監督に選んだのは、君のお母さんだ」

    「は、はい?」

    叔母「だから文句は親に言いなさい」

    (モロに責任転嫁し始めたこの人…)

    5 = 1 :

    (…でも、確かにその通りではあるんだよな)ガサゴソ

    ピッ プルルルル

    「もしもし…」

    『あ。我が愛しの息子ぉー? もうそっち着いた? ん?』

    「ああ、着いたよ…着いて数秒で初対面の叔母さんに突っ込み入れたよ…」

    『ガハハ! 良いよなぁーアイツの妹、ワタシも好きだわ』

    「……で?」

    『うんうん。言いたいことは分かる、けど我慢しろ。そこで高校三年間、過ごせ』

    『こっちはアイツとの離婚調停で依然、てんてこマイッチングだっつーの』

    「はぁ…もう気持ちは決まってるなら、さっさと別れちまえよ…」

    『そうは出来ねーのが大人だ。制約、婚約、夫婦関係、どれも笑っちまうぐらいに枷になる』

    「……」

    『つかワタシも言ったろ? 幾つか代わりの候補見せてやっただろ。そこを選んだのテメーじゃねえか』

    「そうだったとしても…ッ! まさかこんな、色々とあるだろ!?」

    『こんな人の所に、って言いかけたろ。ガハハ、いいじゃん別にぃ~、おっぱい大きいじゃん?』

    「……っ…何を言ってんだ、まったく…!」

    『あれ? 喜ぶと思ったから秘密にしてたのに…』

    「何を言ってんだまったくッ!」

    6 = 1 :

    『まーとにかく、今日からそこがお前の住む場所だ。覚悟を決めろ、もうどうにもならんって』

    「ちょ、ちょっと待て!? なに電話切ろうなんて雰囲気出してやがる…!」

    『ぶちぐちうるせえな。本当にワタシの息子かよ』

    『男見せて頑張りやがれ。親父の妹とドロドロカンケー持っちまっても、ちゃんと母親として褒めてやるぞ』

    「ちっとも嬉しくねぇ!」

    『んじゃ、ちょっと弁護士殴ってくるから切るわ。あと電話あんまかけてくんな、メンドイから』ピッ

    「……………」ツーツー

    叔母「ん。電話終わった?」

    「ええ…ついでに俺の貴重な三年間も終わりました…」ずーん

    叔母「考えすぎだ、青少年」ドドドバババーッ! アルピージィー!

    (いつの間にかゲームしてる…はぁ…もうどうにも為らないのか、この状況は…)

    叔母「取り敢えず、男くん」

    「え、あ、はい…?」

    叔母「ご飯食べようか。お昼、まだでしょ」ガチャガチャガチャ

    「え、ええ、まぁ…」

    叔母「そこに子機があるから、ピザでも頼んで」

    (え、どこに?)

    7 = 1 :

    ~~~


    叔母「煙草吸ってもいい?」

    「ご馳走様でした。え? あ、はい、別に構わないッスけど」

    叔母「ん」シュボッ

    「……」

    叔母「……、いっしょ吸う?」

    「本気で保護者する気あります?」

    叔母「ぱぁ~…最近の子は硬いね…」じぃー

    「…? な、なんですか、じっと見つめて…」

    叔母「ん? ああ、童貞なのかなって」

    「ぶぅっ!?」

    叔母「さっきから胸ばっか見てるし」ぷかぁー

    「ど、どどど童貞かどうかは関係ないでしょ!?」

    叔母「確かに」コクコク

    (だぁ~ッ…もうッ…本当に俺はここで、この人と、暮らしていけるのか…っ)

    叔母「君ってえらいね」

    「え?」

    叔母「もうココに慣れようとしてる。嫌だ嫌だ言う割には、物分りが良い」

    8 = 1 :

    「そ、そりゃ文句もありますけど…部屋の汚さとか…でも居候する身ですし…」

    叔母「だから煙草も我慢するの?」

    「……」ピク

    叔母「だから、えらいねって思う。君、大人になったら大変そう」

    「…別に、良いじゃないっすか」プイ

    叔母「そうだね。私は喫煙所だったら子連れいようがパンパカ吸うけど」

    「………………」

    叔母「例えそれに文句を言われようが、マナー云々以前に人として説かれようが、」

    叔母「結局は自分を取る。それが性格なのかもしれないし、我慢強い君と比べちゃ失礼だけどね」

    「あの、何が言いたいんですか…?」

    叔母「フゥー、うん」グリグリ

    叔母「外でようか、外」

    ~~~

    (どこに行くんだろう…)キョロキョロ

    叔母「この辺り、迷わなかった?」

    「え? ああ、確かに。変に入り組んでて…」

    9 = 1 :

    叔母「ん」スタスタ

    「………」すたすた

    叔母「この近くに、今じゃ廃れた繁華街があるんだ。昔はよく人で溢れかえってた」

    叔母「バブル期なんてそりゃもう凄いことになってたよ」

    「は、はあ…」

    叔母「ん」スタスタ

    ぴたり

    叔母「ここ」

    「…ここが?」

    叔母「どう思う?」

    「どう思うって、そりゃ感想言うなら───」

    「───もろ、ラブホテルですよね、これ」

    叔母「入ろうか」

    「ん?」

    叔母「……」ガシッ

    「ん!?」

    10 = 1 :

    叔母「行くよ」ズンズンズン

    「ちょ、ちょっとォー!? えなにコレ!? ま、待ぁああ!?」ズリズリ

    うぃーん

    叔母「うぃーす」

    「何考えてるスかぁッ!? マジで!? や、やめっ!?」

    受付「ん? オーナーじゃないっすか」

    叔母「サボるなよ」

    受付「一言目がそれってなんですかもー、あり? なんです見るからに青いの連れて…」

    受付「はっ! そこまで飢えてたんスか?」

    叔母「お前も大概だよ」

    「うっ…やっ…ひっ…!」ビクビク

    受付「んでー今日は見回りで? それともお客さんとかだったり?」チラチラ

    叔母「44号室は空いてる?」

    受付「……。そこが埋まるわけ無いデショ」

    叔母「たしかにな。男くん、それじゃ行くよ」ズンズン

    「えぇええぇええッッ!?」

    受付「ハイ、これ鍵ね。一応、中からでも手動で鍵が閉められるけどオススメしないなぁ」

    受付「錠前みたいになってるから、ぷち監禁用なのよ。まー頑張ってねー」ヒラヒラ

    11 = 1 :

    「っ…!? っ……!!?」

    叔母「エレベーター、乗り方わかる?」

    「わか、わかるっていうか、本気でこんなところ連れて来て何考えてるんだアンタ!?」

    叔母「ここ。私の所有物、オーナー」

    「…へ…?」

    叔母「このラブホテルの経営者」チーン

    叔母「私の収入源は全部ココで稼いでるってこと。ほら着いたから降りな」

    「………」

    叔母「うん。そしてココに連れてきたのには理由があるの」

    「り、理由?」

    叔母「この部屋。好きに使っていい、というかココに住めばいい」

    「…………………」

    叔母「コレ鍵ね。じゃ」シュビッ!

    「…………………」

    叔母「あ。あと晩飯食べたくなったら部屋おいで、出前とってあげるから」


    ウィーン バタン

    12 = 1 :

    「………ぇ、ぁ…」

    フラフラ

    「……」ガチャ キィ パタン

    フラフラ…

    「……」ポスン…



    (理由は……ココにッ…連れてこられた理由は何処に…ッ…!?)ズゥウウン



    「もぅ滅茶苦茶だぁ…今日一日で色々なことありすぎだよ…あの人一人でトンデモナイねぇ…っ」

    「……」チラ

    (よく見なくてもラブホテルだ…凄いよ、見たことねえけど漫画や雑誌通りの光景だよ…)

    「ぐぁー!」ぱたり

    「……疲れたな、今日は…」


    ~~~


    叔母「…」チーン

    受付「おや。お早いお帰りで。一分そこらとは随分テクニシャンっすなぁー」

    叔母「大事な預かりモンだよ」シュボッ

    受付「ん? あ~! あの子が噂の! へぇー! 全然似てないっスね母親と!」

    13 = 1 :

    叔母「私も驚いてる」フゥー

    受付「そいで結局、何をしに来たんで?」

    叔母「今日からあの子をココに住ませる。よくしてやって」

    受付「そんな重要なこと一分で済ませたんスか!?」

    叔母「まったくいい子だよ、うん」

    受付「絶対にココに連れて来るまで説明してないデショ…」

    叔母「……」

    叔母「本当は私の部屋で一緒に住む予定だったんだ。でも、嫌がられた」

    受付「ウチも嫌ッスよ、あんな汚部屋」

    叔母「給料減らすぞ。そうじゃない、煙草…煙草がダメらしい」

    受付「ヘビーっすもんね、オーナー。そりゃキツイ」

    受付「でもでも、ここも大概デショ? 五十歩百歩、芳香剤で誤魔化されてるだけだし」

    受付「というかそもそも、あの青いの何歳なんスか」

    叔母「高校生」

    受付「……捕まりますよ、アンタ」

    叔母「バレなきゃイケる。実のところ困ってたんだ、ああまで『似てない』とは思わなかった」

    14 = 1 :

    受付「……」

    叔母「軽い気持ちで引き受けるんじゃなかったと…今では…うん…後悔、してる」

    受付「ほぇー! オーナーも後悔って言葉を知ってるんスね!」

    叔母「減給な」

    受付「冗談冗談、それで?」

    叔母「ああ、取り敢えずは様子見してみる。ダメだったら糞兄貴を説得しに行ってくる」フゥー

    受付「出来ますかねぇ…」

    叔母「出来るじゃない、やるんだ」

    受付「そんときゃ呼んでくださいな。あの人がぶっ飛ばされて説教されてるのを隠れて見ていたいッスから!」

    叔母「ああ」スタスタ

    ウィーン

    叔母「まぶし…」

    prrrrrr

    叔母「もしもし」

    『あーワタシワタシ、妹ちゃん? アイツはどうなった?』

    15 = 1 :

    叔母「とりあえず私のところのラブホテルで決着させました」

    『相変わらずスゲーな! とんでもねえことになってやがる!』

    叔母「義姉さん」

    『ん、なによ?』

    叔母「あの子は本当に貴女の子なんですか?」

    『ん、ああ? うん、正真正銘にワタシの子だよ。びっくりするぐらい似てないけどな』

    『喧嘩すりゃ女子にも負け、口喧嘩には噛んでボロ負け、絡まれりゃすぐ金払う』

    叔母「全部真逆ですね、義姉さんと」

    『ワタシがSなら息子はNだな。昔からワタシに対してだけは反抗的だった』

    『とんでもねえぞ。幼稚園通ってる時に自分で名前入りワッペン縫ってたわ、ワタシのやり方じゃ嫌だっつってな』

    叔母「やりますね」

    『やるんだよ。その通り、そこが唯一ワタシに似た部分かもしれん。偉そうな奴に反抗的な?』

    叔母「…義姉さん」

    『あいよ』

    叔母「ラブホテル、良いですか」

    『よくねえよ。もう決まったのなら引っ張りだしてこい、そこに住まわせるぐらいなら無理やり『こっち』に持っていくわ』

    16 = 1 :

    叔母「……」

    『アイツはまだガキだ。そもそも妹ちゃん、アンタの所に行くのも反対してるんだよ、ワタシはな』

    叔母「義姉さん」

    『文句か?』

    叔母「彼は、私の胸を気にしてるようです」

    『……ん?』

    叔母「多感な時期に私のような身体は少し、厳しいと思うのです」

    『うん。じゃあラブホテルもやめようぜ!』

    叔母「大丈夫ですよ。室内テレビが全チャンネル、エロいぐらいで…」

    『超ワタシの息子かわいそう! 友達との会話ネタ厳しそうじゃん!』

    叔母「彼は我慢強いので…きっと頑張って友達作ると…」

    『それは同意するが、なに、逆に自分の身体は我慢できないだろうってか』

    叔母「はい」キッパリ

    『その意味不明な自信はすごく好きだぜ…』

    『まあ、なんだ、少しだけ気になるんだが。どうして息子の肩を持つ?』

    『いや、全然息子のために行動してないけどさ。むしろ追い詰めてるけどさ、選択をさ』

    17 = 1 :

    『言っちゃえば妹ちゃん。アンタ、ワタシの所に息子を戻そうって思ってないだろ?』

    叔母「ええ、まあ…概ねその通りです」

    『なんで?』

    叔母「……」

    『理由次第では認めてやらんでもない。納得できなきゃ、そうだな、うん…』

    『取り敢えず今、持ってる権力振りかざしてホテルぶっ潰すぐらいする』

    叔母「……」

    叔母「そうですね、正直にいいますけど」


    ~~~~


    『…………………………………………そう、なんだ』


    叔母「ええ。だから彼には一人の時間が必要だと思います」

    叔母「この三年間。彼は彼なりの時間を過ごすべきだと、私は思いました」

    『…………………』

    『はっ、こりゃまいったね。まったくもって、本当に』

    叔母「ご理解ほどよろしくお願いします」

    18 = 1 :

    『ご理解も何も、ったく。いいよ、良いって、好きにしていい』

    『ワタシのほうも大変なんだ。息子一人を思い馳せる時間なんてもったいないわ』

    叔母(電話してきたのに…)

    『くれぐれも問題は起こすな。問題はワタシだけが起こす、厄介事は全部ワタシだけだ』

    叔母「キャパは既にギリギリと」

    『さっき弁護士殴ったしな。また新しいの雇わんと』

    『……じゃあ後、頼む』ピッ

    叔母「はい、義姉さん。ふぅー…」

    叔母(色々と言っちゃった。でも、いっか)


    ~~~


    叔母(男くん来ないな…ピザ冷めちゃう…)そわそわ

    prrrrr

    叔母「もしもし? 受付またサボって…」

    『オーナー! ちょ、来てくださいよ! 早く!』

    叔母「なに? どうした?」

    『なんていうか、そのっ、説明しづらいって言うかっ』

    叔母「彼に何か?」

    『え、ええ、そうッスね! そうとしか言いようが無い!』

    19 = 1 :

    ~~~


    叔母「はぁ…はぁ…どうなってる、彼は…?」ウィーン

    受付「あ、オーナー!」モグモグ

    叔母(もぐもぐ?)

    受付「あの子マジで何者なんスか!? こんな、こんな…!」

    受付「──こんな美味いチャーハン食ったことねぇッスよ!」ポロポロ

    叔母「どういうことだゴラ」

    受付「今まで聞いたことも無い声!? こわこわ…っ」

    受付「ゴクン、えっと、あはは! 気になるなら44号室に行ってみては…?」


    ~~~


    叔母「君は…」ズゥーン

    「あ。叔母さん、来てたんスか」

    ジュゥウウ

    「今、買ってきたお肉焼いてるんですけど。食べます?」

    叔母「……………………」

    20 = 1 :

    「えっと、アレ? ん~…あっ! やっぱ匂い系ダメっスか!?」

    叔母「え? あ、いやっ、別にホテル内でも食事できるし…販売機もあるし…」

    「よ、良かった~…一応そこは心配してたんですよね、ほら、換気扇一個しか無いし」チラ

    「あとIH調理器持ち込んでも衛生面とか気になってて」

    「そしたら受付さんが除菌一式を貸してくれて」ニコニコ

    「あ! それとそれと! 水場が完璧じゃないから、汚水等はスタッフ室の掃除用下水に流していいですか?」

    叔母「え、うん、えっと、うん、いいよ…?」

    「ありがとうございます! よし!」

    叔母(この子は…なんというか…)

    「ん? 肉もいい感じかな…」

    叔母「似てなくないね、むしろそっくりだ」

    「美味しく焼けた、…ッ…!? 今、絶対にお袋と似てるみたいな含めた言い方しましたよね!?」

    叔母「勘の鋭さもクリソツ」

    「マジそれだけは言わないで下さい…! 俺が唯一許せないことなんです、本当に!」

    21 = 1 :

    叔母「そっか。うん、わかった」ストン

    「本当っすか…?」

    叔母「うん」ニコ

    「っ…なら、イイッスケド…」もごご

    叔母「また胸見た?」

    「焼いてるお肉加減を見たんですぅー!」

    叔母「そっか。それより美味しそう」

    「…た、食べます? 一緒に?」

    叔母「うんうん」こくこく

    受付「うんうんッス」コクコク

    「どぅあッ!? い、いつの間に!?」

    受付「いい匂いしたッスよ~! こんな芳醇なのは販売弁当じゃムリムリっすからね!」ニパー

    叔母「働け」

    「ああ、外に流れた匂いが一階の受付に流れ着くのか…後の課題だな…」ブツブツ

    受付「なんかこの子すごいッスね」

    叔母「私も驚いてる。けど、今は食べよう」ぐー

    22 = 1 :

    「三人か…じゃあ残りのお肉も焼いてしまおう、シチュー用に買ってきたんですけどね」ガサゴソ

    受付「あちゃ~シチューも捨てがたい! しかししかしながら、お肉オンリーの破壊力もまた捨てがたいぃい!」

    叔母「あ。ピザ忘れてた」

    「ピザ? ああ、また頼んだんですか…」

    叔母「うん。あとで食べる? 朝ごはんとか」

    「流石に重いんじゃ…」

    叔母「案外イケるよ」

    「危機感機能して!」

    叔母「あ。それと男くん」

    「え、あ、はい? なんですか?」

    叔母「……」


    叔母「ようこそ、我がラブホテル『スィートランド』へ」


    「──……」

    「…はい、こちらこそ、よろしくお願いします」ペコ

    叔母「三年間。楽しもうね」

    「…うん」コク

    受付「おにくぅううう! お肉こげちゃうううう!」

    「ハッ!? うぃ、えッと!? た、食べましょうね! ほらいただきまーす!」

    受付「だっきまーーす!」

    祖母「いただきます」

    23 = 1 :

    第一話 終

    きまぐれに更新

    24 :

    期待てか祖母どっからきた

    25 :

    ばーちゃんww

    26 :

    ワロタ

    祖母→叔母 で

    27 :

    楽しみ

    28 :

    デショってカタカナ語尾すげえ嫌い

    29 :

    ラブホテル 44号室


    叔母「いますっごく」

    叔母「煙草吸いたい」


    受付「…」

    「…」


    ジュゥウウウ


    「あ、えーと、そうなんですか」

    受付「エレベーター前に据え置きあるデショ、行ってきたらどうッスか」

    叔母「ん、行ってくる」スッ ガチャ パタン

    「……」

    受付「おにっくーおにっくー♪」

    「あの。あの人って、何時もあんな感じなんですか?」

    受付「オーナー? ヘビーもヘビーで笑えるぐらい煙草に金かけてる人って感じよ、うん」

    30 = 29 :

    「へぇ…」カチャカチャ

    受付「ナニソレ?」

    「お肉のタレです。でも叔母さん、煙草吸う人の割には匂いさせてないですよね」

    受付「ま! 匂いフェチ?」

    「話の流れおかしくないですか?」

    受付「あははー! まあ匂いがしないのはお姉さんも同意ヨ」

    受付「見た目と雰囲気と違って、あと汚部屋と違って匂いだけはしっかりしてるんだよなぁ」

    (なんかポリシーでもあるのかな…)ジュワワワワ

    受付「んふふ」

    「な、なんですか? 急にコッチ見て笑って…」

    受付「やっぱり気になる? おっぱい大きいオトナのお姉さん気になっちゃうっ?」ムフフノフ

    「むっ、胸は関係ないでしょう!」

    受付「ごめんねぇ~受付のお姉さんはおっぱいちっちゃくてぇ~つまんないよねぇ~」くいっくいっ

    (…つまんないとか以前に、会話しづらいテンションが苦手、とは言わないでおこう…)

    31 = 29 :

    「…受付さんも煙草吸うんですか」

    受付「吸わないよ? 金無駄じゃんか、あんなの金に火ぃ点けて吸ってる様なモンだし」

    「意外としっかりしてますね」

    受付「意外とは何かね? お姉さんびっくりしちゃうワ!」

    「はい、出来ましたよ」スッ

    受付「ありがとー!」もしゃもしゃもしゃ

    (叔母さんそろそろ戻ってくるかな…)

    受付「うめぇ」


    がちゃ


    叔母「ただいま」パタン

    「もうお肉が出来てますよ、白飯つけます?」

    叔母「食べる」コクコク

    「じゃあチンしちゃいますね、受付さんは?」

    受付「ビールビール! ビールがのみたいです!」

    叔母「部屋の飲み物使うなよ、使うなら金払え」

    受付「あんなの飲まないッスよ! まっずい馬の骨すらわからん銘柄…」

    32 = 29 :

    叔母「減給な」

    受付「墓穴掘っちった☆」

    チーン

    「じゃ、コレどうぞ」

    叔母「どうも。それにしても物がしっかりしてきたね、ココも」チラリ

    受付「さらっと電子レンジあるし。電気無断使用ってやつ?」

    「い、一緒に運んでくれたじゃないッスか受付さん…」

    受付「スタッフルーム用だと思ったのよ、さらっとココに運ばれたのはビビったね」 

    叔母(いつの間にか仲良くなってるな、この二人)モグモグ

    「あの、叔母さん、駄目でした…?」チラ

    叔母「ごくん。別にかまわないよ、好きに使っていいから」

    「ほ、本当っすか!?」

    受付「え~携帯の充電したら起こるクセに~」

    叔母「金払え」

    「良かった。じゃあ候補に入れてたスロークッカーとか、炊飯器とかも」ニヤニヤ

    叔母「好きにしたらいいよ」モグモグ

    受付(甥っ子に甘ェなこのおばさん…)モグモグ

    33 = 29 :

    叔母「そんなコトよりも男くん。学校の方の準備は?」

    「あ。そろそろ入学式なんで、一応はしてます」

    叔母「一応?」

    「実は配達予定の制服がまだ…」

    叔母「……あ」

    受付「ハイ! 分かっちゃったッスよー!」

    受付「等の既に受け取ってたけど汚部屋過ぎて何処しまっちゃったか分か熱づづづづーィッッ!?」

    「えっ?」

    受付「ひぃー!? 急に肉を頬に当てないでくださいッスよぉ~…!?」ヒリヒリ

    叔母「………」

    「えっと、ホントに、そんな感じだったり…?」

    叔母「探してくる」ダッ

    「ちょっとッ!? 逃げるように去らないでくださいよーッ!」

    叔母「…っ…ごめん、すっかり忘れてた」

    「いや、まあ、来てるなら別に構わないんですけど」

    34 = 29 :

    「一応は聞いておきます。それ、今日中に見つかります?」

    叔母「……………………絶対できるよ」

    「よくそんな表情と間のとり方で断言出来ましたね!?」

    叔母「ごめん、段取り良くやっても三日三晩はかかりそう」

    「貴女の部屋は魔窟か何かですか…?」

    受付「でも今日から探し始めないと入学式間に合わないッスよ」

    受付「──なんで今からみんなで探しに行きましょうか! ネ!」


    ~~~


    「おじゃまします」

    叔母「おかえり」

    「……た、ただいま…」テレ

    受付「うげぇ~本当にいつも通り変わらぬ汚さッスね」

    叔母「…? なんでお前が居るんだ?」

    受付「今日が休みだからッス! あと楽しそうだったから!」

    (休みなら、なんで俺の部屋に居たのだろう…?)

    受付「で? 検討ぐらいはついてるんスか?」

    35 = 29 :

    叔母「多分、あのあたりかもしれん。駄菓子の当たりぐらいの確率で…多分…」

    「例えが分かりにくんですけど…」

    受付「んー? なになに───一昨年のスィートホテルの決済報告書じゃないッスか…?」

    叔母「そうともいう」

    受付「弁護士ー! 警察でもいいから脱税疑惑でお縄にかけてー!」

    (聞かなかったことにしよう。住む家がなくなる、えっとこの辺はっと)

    「うッ」びくん

    (こ、これは…何気なく掴んでしまったものは疑う余地もなく紛れも無い…ッ!)

    受付「使用済みの下着ダヨ☆」

    「余計な情報が付け加えられた! って、ち、ちがっ…!」ブンブン

    受付「んまぁー」ニヤニヤ

    受付「仕方ないよね、やっぱりワンチャン狙ってたよね、今! 気づかれてない今なら盗めるヨ!」

    「思ってない! 全然思ってないッ!」カァァ

    受付「新品の方が好み…?」

    「唐突になに言ってんの!?」

    36 = 29 :

    叔母「遊んでないで探そう、見つからないと一番困るのは君なんだから」パッ

    (あ…)

    受付「今絶対に『あ…残念…』って思ったよね?」

    「う、うるさいわ!」バッ

    ずりっ

    「えっ? わっ!」


    ドッシャーン


    「痛たた…派手に転んじまった…」チラ

    (ん? コレは写真か、一枚だけ放り出してあるとは、どうなってるんだ)

    「ん、これ…」ピク


    「──大丈夫?」


    「! えっ、ハイ!! 大丈夫っす!!」ササッ

    叔母「ココで転んだら危険だよ。絶対に怪我するから」

    「本当にとんでもねぇ部屋ですね…」

    37 = 29 :

    叔母「受付。そっちはなんかありそう?」

    受付「まったく。オーナー、一張羅のタンクトップばっかり」

    叔母「そうか」

    叔母「男くん。明日に持ち越そうか、このままじゃ埒があかないし」

    「え? 明日なら大丈夫なんですか?」

    叔母「ああ、ラブホテルの従業員の一人が地元から帰ってくるから」

    受付「やっとケルケルくん帰ってくるんスか?」

    叔母「お土産楽しみにしてクダサーイ、と電話で言ってた」コクコク

    「なんだか自分のことで色々と迷惑を…」

    叔母「いや、私が原因だもの。頑張らせてもらうよ、いっぱい」ムフー

    「自信満々に言われても…」

    受付「よく考えりゃいい時間ッスね。もうこのままオーナーの家で泊まっちゃいます?」

    「何を言ってるんですか、迷惑ですって」チラ

    叔母「………」わくわく

    (──アレッ!?)バッ

    38 = 29 :

    受付「まあ三人も寝る場所ないし、やっぱ無理かー」

    叔母「そっか…」

    (やりたかったのなら掃除しましょうよ…)

    受付「キミがお酒飲めりゃお姉さん、一緒これから飲み行くのにな~」

    「高校生、高校生ですからね、俺」

    受付「お姉さん中学の頃から飲んでたヨ?」

    「ダメな大人だぁ~…」

    叔母「私は煙草もやってた」

    「なんてダメな大人たち!」

    受付「今じゃ不良ぶりでかっこつけられないんですね、カルチャーショック」

    叔母「だな…」シュボッ

    祖母「…む…」ピタリ

    グリグリ

    「? どうしたんですか、点けたのに直ぐに消して。別に俺はちょっとぐらい構わないですけど」

    叔母「………」

    受付「ムフフ。んじゃオーナーまた明日!」スタスタ

    39 = 29 :

    「あ、じゃ、じゃあ俺もこれで」

    叔母「ん」フリフリ

    (なんだろう、急にどうしたのだろうか)


    数日後 44号室


    叔母「……………」ソワソワソワソワ

    叔母「煙草吸ってくる」ガタリ

    「あ、はい? どうぞ行ってらっしゃい」


    バタン


    「なんか様子が変だな叔母さん…」

    受付「そりゃ煙草吸えてないからデショ」モグモグ

    「…さらっと居ますよね、俺の部屋に」

    受付「従業員足りなから部屋の点検中。ケルケルくん飛行機延期で戻ってこないし」

    「そうなんですか。大変ですね、あと俺の晩飯ですよソレ」

    受付「キミのご飯の匂い凄いんだもん…お姉ちゃん一本釣りよほんとぉ…」

    「お金貰ってるから別に良いですけどね…」

    受付「それよかオーナー、あのそわそわっぷりは家で煙草吸ってないと見た」

    40 = 29 :

    「え、なんで?」

    受付「みんなでやる制服家宅捜査が延期になったからじゃん? ケルケルくん帰ってきてないから」

    「えっと、それがどのように関係が?」

    受付「ズバリ、匂いデショ! キミの制服がある部屋で煙草吸ったら匂い染み付いちゃうかもって!」

    「……………」

    (え? いまさらすぎ無い……? 予想では既に半月はゆうに過ぎてるのに……?)

    受付「なんて不器用な人なんだろーね」ニヒヒ

    「ま、まあ、気にしてもらってるのは嬉しいですけども」

    受付「うん、これじゃ入学式間に合わないよねこりゃ」

    「ですよね…うん…」

    受付「ま、いざとなったらお姉ちゃんの貸してあげるからヘーキヘーキ」

    「平気じゃない、全然平気じゃない」

    受付「まだちゃんと着れるよ?」

    「性別の問題ですけど! …え、なんで試着具合を未だに知って…?」

    受付「そりゃあ」

    (ハッ!? まさか俺は下ネタの前ふりをしてしまったんじゃ!)ビクッ

    受付「ディズニーを学生料金で入るためだよ?」

    「ものっそしょうもねぇ!」

    41 = 29 :

    受付「………下ネタだと思ってたデショ?」ムフフ

    「おっ!? お、思ってないですぅー!」

    叔母「ただいま」スッキリ

    「あ、おかえりなさい…」

    叔母「うん。あと受付、働け」

    受付「ついでとばかりに! へへーい、ただいま働きますよーッス」サササ


    パタン


    「あの、大丈夫ですか、叔母さん」

    叔母「? なにが?」

    「え~と、まあ色々とあるかなと思いまして」

    叔母「私のことより、自分のことを心配した方がいいと思うけど」

    (確かにそうだ…)ダラダラ

    叔母「ケルくんが明日も帰ってこれなそうなら、もう家中ひっくり返して探すから」

    「それこそ本当に大丈夫なんですか…っ?」

    叔母「死なないと思う」

    「生死を伴なうの!?」

    叔母「大丈夫。君は来週の入学式だけ考えればいい、そもそも私が原因なんだから」

    叔母「じゃ、もう帰るよ。またね」フリ ぱたん

    42 = 29 :

    「ええ、また…」

    (マジで大丈夫かな…見つからない不安より、あの部屋で怪我しそうな方が怖すぎる…)

    「………」チラリ

    ~~~

    叔母「………」ガサゴソガサゴ

    叔母(見つかる気がまったくしない)フゥー

    叔母(改めて思うけど、なんだこの部屋。魔界にでも繋がってるのか)

    叔母(そもそも物が多すぎるせいだろうな。小金持ちって怖い、ドンキばっか行くもんなぁ)

    叔母「……!」ポクポクチーン

    叔母「もう少し大きな部屋に住めば全体的に良くなる…?」


    「根本的解決になってないッ!」スパーン!


    叔母「わっ!」ビクゥ

    「黙って聞いてれば末恐ろしいこと思いつきましたねっ」

    叔母「男くん、どうしてここに?」

    「それは…」ビクッ

    叔母「鍵はどうやって?」

    「まったくその通りですよッ!? なんで一人暮らしで夜中に鍵閉めてないんですか!? ビビりましたよッ!」

    43 = 29 :

    叔母「しー、静かに。夜中だよ」

    「じゃあ鍵閉めてくださいよ…っ! 不用心過ぎますって…!」

    叔母「わかった。善処する」コクコク

    「本当にですか…? もう、心配になりますよ…」ハァ

    叔母「それで、なにしに来たの? コッチに住むの?」

    「い、いえ、そうじゃなくて、その」

    「一緒に探そうと思って来たんです。なんだか、とても不安になりまして」

    叔母「あ…本当に、ごめんというか…」

    「──一人で探してる姿想像したら、入院コースまで浮かび上がりました」

    叔母(この子の中の私って一体)

    「とにかく俺も一緒に探します! 残りの日数も少ないですし、二人でやれば見つかりますよ!」

    叔母「でも汚いよココ?」

    「いけしゃあしゃあと言えましたね! 知ってますよもう!」

    叔母「ん、ありがと。君が一緒なら私も嬉しい」

    「え…あ、はい…」ドキ


    ゴッチャアアア…


    叔母「もうここまで来たら寝る場所もないから…手伝ってくれないと立って寝ることになる…」

    「…………………」

    44 = 29 :

    ~~~

    「ふう、あらかた片付いたかな、一応は」

    叔母「ん、ありがと」コクコク

    (寝る場所確保しただけで、未だ制服は見つかってないけどさ…)

    叔母「おや? これは…」ヒョイ

    「なんですか? あ…」

    叔母「随分と懐かしい写真だ、私が高校生の頃かな」

    (やっぱり、この前来た時に見た写真だ)

    叔母「…………」

    「なんだか当時から変わってないですね、叔母さんって」

    叔母「胸のこと?」

    「褒めてたのに! 褒めてたのにぃ…!」

    叔母「まあどうしてか当時から見た目が変わらなくてね」

    「へぇ、凄いですね。そういうのって女性的に嬉しい事でしょう?」

    叔母「いや、今でも煙草と酒買うと店員に止められるから。面倒い」ブンブン

    「まったく褒め損ですよ貴女って人は!」

    45 = 29 :

    「っていうか、よく見るとこの制服って」

    叔母「うん。その通り、君が今度から通う学校と一緒」

    「OGだったんですか。じゃあ当時から知ってる教師も居たりします?」

    叔母「というか同級生が教鞭をとってるよ」

    「おぉっ」

    叔母「もう既に甥っ子が通うからヨロシク、と伝えておいたから」

    「な、なんだか逆に緊張しますね、それ。予め相手に顔が知られてるって」

    叔母「んー…っと…胸が、小さいかな…?」

    「うん。親切心で相手のこと教えてくれたんでしょうけど、そういうの要らないです」

    叔母「大きいほうが好きだもんね」ニコ

    「アンタそういうの相手に伝えてないでしょうね!?」

    ~~~

    (駄目だ、見つかる兆しすら無い。何故に衣服系と乾燥麺が同じ箱に入ってるんだ)

    叔母「…………」ガサゴソ

    「今日はこの辺にして、また明日にしませんか? 十二時回りましたし」

    46 = 29 :

    叔母「ん? ああ、布団敷こうか?」

    「いや、今度は布団探しの旅になりそうなんで大丈夫です」ブンブン

    叔母「そっか…」

    「寝るなら部屋に戻りますよ。あと、俺から一つ言いたいことがあって」

    叔母「なに?」

    「………」じぃー

    叔母「?」

    「煙草、吸ってもいいですから、大丈夫ですよ、俺」テレ

    叔母「……」ピク

    「気にしてくれてるようなんで言っておこうかなと、確かに匂いとか煙はダメですけど」

    「──叔母さんのなら、別にいっかなって、思ってたりして…」ポリポリ

    叔母「それは…」

    「えっとぉー!? 変に深い意味は無いッスよ!? ただ俺的に気にしないって話で!」

    「例え制服に染み付いちゃっててもファブればイケるって思いますしねっ!」

    叔母「男くん」スッ

    「はいぃッ!?」ビックゥウン

    叔母「──有難う御座います、心の底から感謝します」キリリ

    「…ハイ…」

    47 = 29 :

    シュボッ スッパァー


    叔母「送って行こうか?」

    「大丈夫ですって、もし絡まれたらお金払いますから」

    叔母「君、覚悟の方向性がたまにおかしいよね」

    「よく言われます。それじゃ、また明日」

    叔母「ん…」フリフリ


    パタン


    叔母「………」スゥ

    叔母「はぁー…ダメだな、我慢できないなんて」

    叔母(このままじゃ彼と一緒に住めないな)スタスタ

    ガラガラ ヒュウウ~…

    叔母(本当に私みたいな大人は悪影響だよ。煙草もしかり、人間性もしかり)

    叔母「おっぱいもしかり…」フゥー

    叔母「…この写真と同じ歳か、最近の子は凄いしっかりしてるなあ」クル


    『○月?日 クリーニング回収日 忘れるなよ、私』


    叔母「──………」

    叔母「あ~……なる、ほど~……」

    48 = 29 :

    次の日 叔母宅


    「──クリーニング屋に出しっ放し、ってオチでしたか」

    叔母「本当に申し訳ない」ペコリ

    「い、いや見つかったなら別に…」

    叔母「じゃあ部屋を綺麗にしてもらったお礼を」

    「ええ、その点に関してだけは受け取っておきます…今を常に維持してくださいね、本当に」

    叔母「善処する」コクコク

    「本当に感謝してます?」

    叔母「もちろん」キッパリ

    「まあ、無事に見つかって何よりですよ。一時はどうなるかと思いましたけど」

    叔母「面目ない…まさか写真の裏でメモ代わりにしてたとは…」

    「俺もびっくりです。思い出のへったくれもないですよね、その扱い方」

    叔母「多分、高校生、制服、という要点を抑えとけば大丈夫だろうという感じだと思う」

    (物の下敷きになってた時点で要点もなにも…)

    「じゃあ、受け取りに行ってきますね。叔母さんはこれから仕事でしょうし」

    叔母「何から何まで…」

    「良いですって。むしろクリーニングに出して頂いて有難いです、あと、住所の方を…」

    49 = 29 :

    叔母「ん? ああ、それなら」ピラリ

    叔母「この写真の裏に書いてあるから持って行っていいよ」

    「写真の万能感やばいっすね」

    叔母「うん。ついでに捨てて良いから、それ」

    「へっ?」

    叔母「別に高校時代に思い入れあるワケじゃないし、今になって思うとそれがメモ帳に使った理由かもね」

    「いやにさっぱりし過ぎじゃないですか!?」

    叔母「だから捨てていいよ。私じゃ捨てるのも面倒くさがりそうだもの」チラ

    叔母「行く準備しなきゃ。それじゃ男くん、またラブホテルとかで」ビッ!


    パタン


    (なんちゅう人なんだ、写真を捨てろと。甥っ子に思い出の一部を捨てろと言うのか)チラリ

    「………」ドキ

    (…別に好きにしていいなら…モゴモゴ…俺が持ってても、うん、別にいいよな、良いよね!)ゴソゴソ

    50 = 29 :

    オマケ

    受付(ん。通路におとしものだい、おっとこりゃ彼のじゃないのん?)ヒョイ

    受付「意外としっかり入ってるね、まあ親切なお姉さんが届けてあげようじゃんか」スタスタ

    受付(あとでお礼に三割ほど貰おう。ご飯的な意味で)ぱかり


    【高校時代の叔母の写真】ペカー


    受付「…」パァン!

    「あ。受付さん良い所に、俺の財布見ませんでした? この辺で落としたと思うんですけど」

    受付「キミ…」ユラァ

    「? なんですか? あ、それ俺の財布…あっ!? もしかして中身みたんじゃ…っ」かぁああ

    受付「──これ複製して頂戴! なんか知り合いに高く売れそう!」カッ!

    「早く返してください」


    【取り敢えずご飯作ってあげて証拠を揉み消した。】


    第二話 終


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