元スレ叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
151 :
まだ読んでる途中なんだが一言いいたい
スレタイで敬遠してたがメッチャ面白いんだけど
152 :
続きが気になる。
153 :
超待ってた
154 :
どんだけ待ったと思ってるんだよ!
エタってなくてよかった
155 :
おおっ!!来てる!!
待ってなんか居なかったけどスレ覗いたら更新が!!
叔母さんと一緒に住む流れに見せ掛けてわくわくさせたのは許さん
責任持って叔母さんルートも書きたまえ
156 :
えっと…これはつまり男と女は従兄弟?
従兄弟は結婚できるはず…
このまま女ルートに突入してほしい
でも受付ルートも…大穴でケルケルくんルートでも
157 :
諦めかけてた作品の更新を偶然知った時の嬉しさはパネエ
158 :
【今から時は遡り…『入学式前日』】
女姉「……」スタスタ
「今日も凛々しいよな、女姉先生」
「もう歩く姿も完璧すぎて笑える」
「大学生の頃にいかがわしいサークルを何件もぶっ潰したらしいぜ」
女姉(まったく、噂をするなら耳に届かない範囲でしなさいよ。まる聞こえじゃない)フゥ
女姉(まあ…悪い気はしないけれど、せっかくのプラス評価に水を差すきはさらさらないわ)スタスタ
「女姉先生。今日も一段と歩き方が美しいですねえ」
女姉「それ、軽度のセクハラですよ校長。おはようございます」ペコ
「これはこれは手厳しい。おはようございます」
女姉「それで、何かご用でも?」
「ええ、明日は新入生の入学式ですから。確か貴女の妹さんが入学されるとか…」
女姉「はい。不出来な妹ですが」
「またまたご謙遜を。期待していますよ」
159 = 158 :
女姉(……、そうだ。あの子がとうとう入学する──中学で問題ばかり起こしていた妹が、私が教鞭を執る学校へ…)
女姉「けれど…」
女姉(大丈夫よ、私。この私が居る限り、妹には決して問題行動を起こさせたりしないわ)
~~~
「おい!? 聞いたか、入学早々に一年女子が一年男子に喧嘩ふっかけたらしいぜ!?」
「ああ、しかも周りに舐められんようにと、目立とうとして救急車を体育館に呼び込んだんだろ…!?」
「やべえなマジでやべぇの来ちゃったよ一年坊…」
女姉「……………」
「…聞いた話によると女姉先生の妹らしいぜ…」
「まだ騒いでるって、一年女子。凄い気迫で喚いてるらしい」
「先生が完璧主義者なのって、妹さんを更正させる為らしいぞ」
女姉「………………………」ピクピクピクピクビクビクッッッ
「女姉先生」ニコニコ
女姉「こ、校長…! 今回の不祥事、教員立場という以前に姉として──」
「ええ、ええ、わかっていますよ」ニコ
女姉「え、いや、あの、…一体なにを?」
「私の【期待】、裏切らないようお願いしますねえ」ニッゴリィ
女姉「……ハイ……」ダラダラダラ
160 = 158 :
~~
女姉(これじゃあ私の完璧な人生設計に傷、いや罅、ううんそれ以上の影響が出てしまう…)ギリッ
女姉(妹に、あの騒動の理由を問いつめても意味不明なことばかりいう。なによ、復活の呪文で起きあがったってッ!)
ダァンッ!
女姉「──私はいつだって完璧じゃないと駄目なのよッ!」
女姉(なんとしてでも、今後の妹の問題の芽を潰す手段を考えないと…)グググ
ガラララ
女姉(…! こんな時間に生徒っ? しまった、さっきの殴打を聞かれた可能性が──)
男「あの、すみません…」コソ
女姉「──君、一年代表に選ばれた生徒よね?」
男「え、あっ、はいっ! 覚えていただいてたなんて嬉しいです!」
女姉(忘れるわけがないでしょう! 馬鹿妹が喧嘩ふっかけた張本人、ただの生徒ならここまで問題にならなかったというのに…!)
男「その、えーっと…」キョロキョロ
女姉「君、もう下校時刻はとっくに過ぎているのよ」
男「す、すみません! 実は部活動の勧誘を遅くまで受けてまして…断るに断りきれずこの時間帯に…」
161 = 158 :
女姉(うぐッ、超良い子そう。まったまったくあの子はなんでまた、こんな子に喧嘩売ったわけ…?!)
男「その~無理を承知でここに来たんです。実は個人的なことで先生に相談がありまして~…」チラ
女姉「個人的相談?」
~~
男「──というワケなんです、ええ」シュン
女姉(嘘、まさか本当にこの子が原付二人乗り事故を? あの子が言っていた通りの展開が起こってた…?)
男「今更、周りに真実を話しても信じてもらえずに、むしろ庇ってあげる必要ないと言われる始末でして…」
男「だから、こうなったらもう公式的に教師の方々から俺が起こした真実を発表してもらいたいんです!」
女姉「……」
男「どうにか出来ないでしょうか? このままじゃ彼女が可愛そうで…」
女姉(──駄目だわ、学校側が認めた代表一年が起こした不祥事を発表するなんて認めるわけがない)
女姉(こうなってしまえば話は別。むしろ妹が話題を肩代わりしてくれて有り難いと言わんばかり)
女姉(それにしてもこの子。わざわざそれを教師に提案しに来るなんて、ただのお人好しにしては…不可解ね)
男「あの? 先生…?」
162 = 158 :
女姉「……。君は彼女に謝罪がしたいのかしら、それとも周りの誤解を解きたいのかしら」
男「…どちらもです」
女姉「賢明な判断ね。けれど、良心の呵責から出た行動だとしても【学校側はなにもしない】が私の見解よ」
男「っ!? ど、どうしてですか…!?」
女姉「【君がそういう立場だから】。わかるでしょう? 君が起こした罪は簡単に周囲は認知できない、してはならない」
男「……」
女姉「だから──どうしたの?」
男「そう、ですか」スッ
男「有り難うございます。教師として、言いにくいこと敢えて言ってもらえて、改めてふんぎりがつきました」
女姉「私は…」
男「──一人で、頑張ってみます。何とか誤解が解けるように」ニコ
女姉(この子…まさか、始めからそのつもりで…?)ハッ
女姉(これ、は。決まったわ、今さっき咄嗟に浮かんだ名案が。きっとこの子ならやり遂げてくれるかも知れない──)
男「では、これで…」ガタ
女姉「待ちなさい! ううん、待って…! どうか最後まで私の話を、いや願いを聞いてほしいの…!」
男「願い…?」
女姉「そう、お願い。貴方でしかきっと出来ない、やり遂げられないことを教師として、一人の人間として…ううん」
女姉「──一人の姉としてお願いしたい
163 = 158 :
数日後
「えー、今日はこのクラスでの委員長二人決める。誰か立候補、また推奨する者はいるか」
女「は、はいっ! 私が委員長に立候補します!」バッ
ヒソヒソ ザワザワ
「え、あっいやぁーそのだね、君は…」
男「自分も委員長に立候補します」ガタ
「えぇっ? し、しかし、でも君は…」チラ
女「……っ」ビクッ
男「他に誰か立候補する人も、推薦する者も居ないみたいですし。どうでしょう、このまま決めてしまっては」
「ふぇぇ…?」
男「──何か問題でも?」
「そうだそうだー早く帰りたいつーの」
「先生ぇも中間テストの範囲決めで忙しいっしょー?」
キーンコーンカーンコーン
女姉「……」スタスタ チラリ
女「っ~~~! ~~!?」
男「……、…、……」
女姉(無事に二人、どうやら委員長になれたようね。これからも頼んだわよ、男くん)スッ
164 = 158 :
女姉(彼には妹の面倒を直で見てもらう。担任じゃない私では介入に限界がある、だから同士を見繕う必要性があった)
女姉「でも、よくこんな願いすぐさま承諾してくれたわね…」ハァ
女姉(──彼の謝罪と真実の露見、この件のお返しに私が手助けするとは言ったけど…彼にも無理に近いことは理解してるはず)
『もし、仮に君の願いが叶えられなかったら。また異なった願いを言って頂戴、出来る限りのことはするつもり』
『大人がそういうこと言わないで下さいよ。期待してます、先生』
女姉(大人、か。私もまだまだね、子供に諭されるなんて完璧主義者が聞いて呆れるわ)フッ
女姉「今更かもしれないけれど、立派な大人として、彼に良いところを見せなければ…」ツカツカ
~~
「聞きましたよ先生、あの問題の二人が委員長って話」
「ええ、今から胃がキリキリと…」
「やっかいごとは増やさないで欲しいもんですなあ。ただえさえ問題児が多い学校と噂されとるのに」
「過去にもいましたねぇ、繁華街のホテルで無断にバイトする生徒がおったりして」
「──まったく、学校にまで持ち込んで欲しくないもんですよ」
女姉「……」
165 = 158 :
~~
「女姉せんせーおはようございまーす」
女姉「あら。どうしたのかしら、今日は一段と良い挨拶ね」
「へへ、あのね? 一昨日からカレシと仲直り出来たんだぁ」
女姉「へぇ…」
「クラス中巻き込んでさ、変なフンイキになっちゃってたんだけど──ここだけの秘密だよ?」コソコソ
女姉「? なにかしら?」
(実はウチのクラスの委員長二人、付き合ってる噂で持ちきりなの。先生の妹さんでしょ? それって?)
女姉「え、あ、うん…?」
「あの仲悪い二人がそっこーで仲良くなってる姿みたらさぁ、ウチも喧嘩してたのばからしくなっちゃってww」
「──だから先生もはやく、良い人みつけなよー?」
女姉「馬鹿ね。大人を心配する暇があったら将来を悩みなさい、今度の中間テスト期待してるわよ」
女姉「……」
女姉(……。そこまで近づけとは言ってないのだけど、私は)
~~
166 = 158 :
『ええっ!? な、なりゆきですっ! 誤解ですってば!』
女姉「君、嘘が露骨に声に出るわね。電話越しでも動揺顔が手に取るようにわかるわよ」
『…はあ、まさかの予想外。でも、作戦は上手くいったみたいで安心しました』
女姉「作戦ですって?」
『ええ、クラス男女仲を良くする為に。仲の悪いと噂される二人が率先して一緒に帰宅すれば変わるかもと』
女姉「思い切ったことするものね。君からの提案かしら?」
『違いますよ、妹さんです。…煽ったのは俺ですけど、まあ、女姉先生から彼女の性格はよく聞いてましたし』
女姉「そう、なら油断しないことね。妹はどこで感情を爆発させるかわかったもんじゃないの、注意を怠らないように」
『あの、遅いですその助言…この数日でいやと言うほどわからされましたけどね…』
『──ぅーん、あ! こりゃナオンと電話中デショ! んな雰囲気だしてるー!──』
『ワオ! オトコってば手がはやーい──ちょっとお姉さんに変わってみ? 働け──ゴキィイインッ』
女姉「どうしたの? こんな夜中に騒がしいわね」
『ちょ、電話中だって言ったでしょさっき!? シッシッ! …い、いや、その親戚の人がお酒飲んで騒いでまして…』
女姉「? そう、なにか骨が折れた音も聞こえたような…」
女姉「まあいいわ。それよりも明日も学校なのだから早く寝なさい。良いわね」
『わかりました。では、これで』ピッ
女姉(順調そうでなにより。けど、まさか妹のほうから彼に提案するなんて少し変わったのかしら、あの子も)
167 = 158 :
~~
女「……」ザッザッ…
女(ふぅー、目についたから気まぐれに掃除してみたものの)キョロ
女「…ヤバイわね、コレ、今日中に終わるのかしら」ズーン
男「大丈夫。終わらせよう」
女「おわーっ!? びっくりした!」
男「おわーってアンタ…もう少し繊細な驚き方が出来ないのか…」
女「う、うるさいわね! 良いでしょ別に、つか驚き方まで口出すんじゃない!」
男「はいはい。口うるさくてすみませんね」ザッザッ
女「…っ…な、なによ、一緒にしてくれるのっ?」チラリ
男「素直に手伝うと言えば怒るだろうから、勝手に始めただけだよ」
女「分かってるなら口に出・す・な!」ガァンッ
男「だァー!? なにも集めたゴミを蹴ることないだろ!」
女「いちいち突っかかってくるなら手伝わなくて良いわよ馬鹿!」
男「説明しないならしないで、意味がわからないからキレ始めるだろアンタは!」
女「きぃ~~~!! 腹が立つ、なによわかったようなこと言って! ええそのとおりよバカ!」
ギャーギャー ワーワー
女姉「…ハァ…」
~~
168 = 158 :
女姉「もう少し静かに活動できないかしら…人払いできるタイミングも限られてるのよ、私でも」
男「うぐ…すみません、どうにも彼女相手だと口が止まらないようで…」
女姉「相性が良いのか悪いのか、とんとわかりづらいわね貴方達」
男「相性、良いですか俺ら?」
女姉「あの娘相手に上手くやれてる方よ。…勘違いしないように、交友関係であって交際関係では無いから」ジィー
男「まだ疑ってるんですね…」ハァ
女姉「勿論。私の監視下である限り、そのような自体は認められないわ」
男「それ、妹さんを想っての発言ですか?」
女姉「変なことを聞くのね。どうしてそう思う?」
男「…いえ、なんとなくただ、」
男「──女さんと女姉先生が話してる姿が、全然思い浮かばなくて」
女姉「そう、私もそう思うわ」スッ
男「えっ?」
女姉「でも良いのよ別に。妹にとって私は壁でいい、辛い存在で良いの。私も望んでも居ないし、彼女だって望んでいないでしょう」
男「……」
女姉「今日はここまで。遅くなりそうなら車で送っていくけれど?」
男「い、いえっ、電車はまだあるので大丈夫です! それでは…」ガララ
女姉「そう。じゃあまた明日」
169 = 158 :
女姉(…そう、私は厳しい姉として居ればいいだけ)
~~
「女姉先生。おはようございます」
女姉「! 校長、おはようございます!」サッ
「いえいえ。そう堅くならず、私も少々言い過ぎたと反省しておるのですよ」
女姉「仰る意味が…」
「目まぐるしいばかりではないですか、妹さんのご活躍は私の耳にも届いてますよ」
「率先してでの委員長立候、風紀委員で自らゴミ拾いをし、挨拶運動にも自主的に取り組んでいると」
女姉「……。それは嬉しい限りですが、彼女が起こした問題が決して無かったことになるとは思いません」
「お厳しい言葉で。ですが、過ちもまた成長。何時かの機会に妹さんへ言葉を投げかけてみては如何でしょう」
女姉(…言葉を、投げかける)
第四講義室
女姉(甘い言葉なんて必要ない。私は妹にとって厳しく、現実を突きつける嫌な姉で良いのよ)
女姉(今更彼女に優しい言葉なんて──)
ガララ
女姉「ん、来たわね。今日は遅かったじゃない」
男「少し私用な用事があって、もう終わったので安心して下さい」
パタン
170 = 158 :
女姉「? そう、ならいいわ。では早速始めましょう。今日は私の方から君へのお返しする件について──」
男「……そのことなんですが」
男「『あの件の願い』は撤回したいと思って、ここに来ました」
女姉「撤回…? 急にどうして…」
男「やはり自分の力で彼女が受けている誤解を解こうかと。その道も何とか見えてきましたし、わざわざ先生の力を借りなくても…」
女姉「……」
男「あ。でも、先生との取引は続けるつもりです。まあ、公私混同なことになりますけど…」
女姉「君は…」
女姉「ハア、なんというかお人好しという部類に入る人間ね」
男「です、かね」ポリポリ
女姉「敢えて私から言わせてもらうけれど、君がやってきたことは私の要望でもあったのよ。そして君もそれを受け入れた」
女姉「その結果、私の要望を限りなく成功させたのが君。それが事実」
男「でも…」
女姉「でもじゃない、あのね? 私が一人で成し遂げるべき私用に他人を巻き込むだけじゃなく、生徒一人を使ってやり遂げたの」
女姉「本来なら教えとくべき立場の君に、……無様にすがりついた」
女姉「こんな体たらくぶり許されるわけがない。なのに今まで嘆かず突き通せたのは、君へのお返しがあったからこそ」
女姉「それを今更になって要らないと言われたら、私はどう自分に落とし前をつけたらいいのよ」
171 = 158 :
男「どうといわれましても…」
女姉「勝手なことを言ってるのはわかってる。けど、君はそれだけの仕事をこなした、だったら見返りある報酬を受け取るべき」
男「仕事、なんですか?」
女姉「…!」
男「俺思ったんです。俺は報酬を受け取るから女さんと仲良くなったのかって、始まりはそうでも…今は違うと思ってます」
男「誤解を生んでしまったのは俺の責任です。解く方法があるならきちんとやり遂げるべきだとわかっているつもりです」
男「でも、こうじゃないって思ってしまって…結局、自分は最初から最後まで女さんを騙してるんじゃないかって…」
女姉(騙して、る…)ズキン
男「俺、ちゃんとやります」
男「先生との約束は守りますが結果としてそうなってるだけで、ちゃんと俺の意志で仲良くやっていきます」
男「だから報酬なんてものも要りません。でも、そうであっても先生が納得しないなら…」
男「…どうか女さんに一言あげてください。頑張ってるって、よくやってるねって」
女姉「な、なぜ、そんなことを私が…」
男「彼女が言ってくれたんです。頑張る理由が、駄目な大人にならない為には、」
『私、お姉ちゃんみたいにカッコいい女性になりたいの』
男「だから、どうか一言で良いので褒めて下さい。彼女を…」
男「もっと近くで見てあげて下さい。それが、俺の今の願いです」ペコリ
172 = 158 :
~~
女姉(もっと近くに居て、褒めてあげて下さい。なんて、元より求められてなかったらどうするのよ)
女姉「……、ハァ…もう腹をくくろう」がらり
女「! ばかねっ、この私を待たせるなんて良い度胸じゃない!」バッ
女「今日という今日は堪忍袋の尾が切れたわ! 駅前クレープおごりジャンケン、受けて立ってもらうわよ──」チラ
女姉(…………。この子は本当に…)ズーン
女姉「ずいぶん楽しそうね、貴女」
女「──おね、ちゃ!?」サァーー
女姉「失言よ、それ。学校では絶対に姉と呼ばないよう散々注意したのに、まだ理解できてないの?」
女姉「ちゃんと先生と呼びなさい。良いわね」
女「ご、ごめんなさい先生…」シュン
女姉(どうしようもない娘ね、本当に。何度教えても覚えない、何度壁を作っても挫折する。なのに結局諦めない根性っぷり…)
女姉「もういいわ。無駄に残ってないで早く帰りなさい、折角、私が親に掛け合って塾を免除させてあげたのに」ハァ
女「…はい…」
女姉「貴女が自主勉強を頑張ると言い切ったの、忘れたのわけじゃないでしょうね」
女「……」コクリ
女姉(ああ、ほんとうに昔の私を見ているようで嫌になるわ。頑張れば報われるなんてそうあることではないのに)
173 = 158 :
女姉(でも…)
女姉「──でも、今回の中間テストは良かった」
女「えっ?」
女姉「勉強したのね、ちゃんと。しかしまだ甘い、ニアミスの酷さが教員連中で話題のネタになるぐらい酷かったわ」
女「…ウッス…」
女姉(きちんと言うべきことは言う、厳しいことだけを見せつけても駄目。わかってる、そんなことは)
女姉(しかし、私はそうして失敗してきた)
女姉(成功だけに取り憑かれ、失敗を恐れなかった。過去に経験した苦い思い出を彼女にさせたくない)
女姉(──でもこの子にとっては大切な【今】じゃない)
女姉「けれど個人的に評価してあげる。貴女の頑張りは認めるわ。きっと良い──」
女姉「──良い、クラスメイトが居たのね」フッ
女「……!」
女姉「暗くなる前に帰りなさい。良いわね、絶対よ」
女「あ、おね、えぇと先生…!」
女姉「なに?」クル
女「あ…その…えと…これからも、頑張りますっ」ピシッ
女姉「くす。ええ、勿論。だって期待の妹ですから」ニコ
ガラリ パタン
174 = 158 :
女姉(フゥー、慣れないことするもんじゃないわ。顔、熱い)パタパタ
女姉(これでよかったのか教えてほしいものだわ。はっ、教師が聞いて呆れる。心の折り合いをご教授願うなんて完璧主義者にもほど遠い、)チラ
男「……えっと~」ポリポリ
女姉「趣味が悪いわね、覗き見? それとも聞き耳?」
男「ふっ、不可抗力です! というか教室にカバン置きっ放しですし!」ブンブン
女姉「認めないわよ。…だから、少し付き合いなさい」ツカツカ…
男「えぇっ?」
女姉「大人の私をここまで辱めた責任を取って」じぃー
男「えぇッ!? 言い方悪くないっすかそれッ!?」
~~
男(コーヒー奢り程度で良かったんだ。安心した…)ズズズ
女姉「……」コロコロ
男「あの、飲まないんですか?」
女姉「飲むと吸いたくなるのよ、煙草」
男「え、吸うんですか? なんだか意外ですね」
女姉「昔、煙草を格好良く吸う先輩に憧れて始めたの。まあその程度だったから、ぱったり止めれたりもできたんだけど…」
カシュッ
女姉「ふぅ、今日は色々と当時を思い出したから。コーヒー程度で吸いたくなりそうよ」ニコ
男「そ、そうっすか」ドキ
175 = 158 :
女姉「ねえ、質問があるのだけれど。いいかしら」
男「…どうぞ?」コク
女姉「じゃあ遠慮なく。君、まったく大人を信用してないでしょう?」
男「ぶほぉっ!? けほ、こほっ、一体なにを急に…!?」
女姉「最初に私が聞いた君の相談、あれ、前提から教師の『公式発表なし』という言質を取るためだけに出向いてきたんでしょうし、」
女姉「他にも色々と、大人を行動基準に入れずに考えた末に出た答えが、見え隠れしているもの」
男「そんなワケ、」
女姉「じゃあ今回で私の報酬を要らない、と言い切った君なりの意見は?」
男「それ、は」
女「大人がやることを信頼してないからでしょう? だから良い落とし所を考えて私に提案した。まあ、穿った見方をすればね」
女姉「聞かせて。どうして、そこまで大人を信用出来ないのかしら?」
男「違いますよ、それは…」チャポ
男「信用してないとかじゃなく、俺に出来ることと大人が出来ることを把握してるだけです」
男「やれないことは俺にもあるし、むしろ子供の俺のほうが多いでしょう」
女姉「そう、そうなのね」
女姉「信頼してないじゃなく、大人を期待してないのね。貴方は」
男「…………」
176 = 158 :
女姉「そっちのほうが問題だわ。子供らしくない、まるで大人以上に未来に道がないと言わんばかりじゃない」
男「だって、あーしてくれこーしてくれと嘆いたってしょうがないじゃないですか」
男「大人だって暇じゃない、例え先生でも生徒一人一人の都合に合わせられるわけじゃないし」
男「だから頑張るんです。無理してるなんて言われても、俺のために無理して他人を付き合わせるほうがもっと面倒くさい」
女姉「君…」
男「──先生。俺は期待するより期待される人間に成りたいんです、きっと」ニコ
女姉「……! ねえ、本当に願いは無いの?」
男「えっ? な、なんですか急にっ?」
女姉「良いから言いなさい、馬鹿ね、そんな苦労は大人になってから考えれば良いの」
男「こ、高校生も既に大人の仲間入りなんじゃ…」
女姉「それ以前の問題」
女姉(一人でなんでも出来るか、なんて大人になっても望むかどうか)
女姉(完璧主義者をうたう私であっても、他人の大切は痛感している)
女姉(この子こそ誰よりも『認めてくれる人』が必要じゃない。なのに、これ以上誰かに認められようとしてるなんて)
男「せ、先生…?」
177 = 158 :
女姉「決めた。妹を褒めるという願いの件、やっぱ無しよ。君への報酬にはならないわ」
男「はいっ!? でもこれ以上俺が女姉先生に叶えて欲しいのなんてっ」
女姉「どんなことだって良い。私という人間が出来ること、なんだってするわ」
男「ちょっ、これ他の人に聴かれたらやばいんじゃ…」ソワソワ
女姉「どうなの? 無いの? あるの? 考えつかないなら私が考えるわよ?」
男「うぐッ、マズイ本気ですね先生…ッ! うーッん、えっとぉ~…ッ」
女姉(やっぱり無いのね。ここまで言えば邪な望みぐらいでると思ったのだけれど、まあ私の考えすぎか…)
男「───…実はありました」ダラダラ
女姉「え? ある、の?」
男「だめでしょうか…?」
女姉「い、いえ、駄目じゃない、全然駄目じゃないわ。ドンときなさい、私を期待して」
男「わ、わかりました! じゃあ早速ながら今日にお願いしたいんですけど…」
男「今から俺とラブホテル行ってもらえません、か?」
第五話 中編 2/2 終
178 = 158 :
四日後にノシ
180 :
確かに家はラブホテルだが言い方ww
181 :
うん?男も根っこは馬鹿だったねw
182 :
男「今から俺とラブホテル行ってもらえませんか?」
女姉「あぁなんだ、その程度なら別に構わな──」ほっ
女姉(えっ)
──ガタン ゴトン プシュウウウ…──
女姉(えっ)
ワイワイ ガヤガヤ ニイチャン ヤスクシトクヨー
女姉(えっ)
【前回までのあらすじ 男は教師をラブホに誘った。】
男「先生、この路地裏ではぐれると厄介なんで気をつけて下さいね」
スタスタ
女姉「……」ピタ
女姉(──返事に窮していたら、とんでもない所まで着いてきてしまったわ)
ブンブンブン…
女姉(しっかり気を保ちなさい女姉。なにを戸惑っているの、バカね)
183 = 182 :
女姉(私と彼は教師と生徒)
女姉(きちんと言わないと駄目よ…例え懇意にしていた生徒の願いであっても…)
女姉(で、でも、私からああまで催促して今更無しと言うのも可愛そ、ばか! 何を考えてるの!)
男「先生? 大丈夫ですか?」ヒョコ
女姉「ひゃいっ!?」
男「……本当に大丈夫ですか?」
女姉「くっ、も、もちろん大丈夫に決まってるじゃない…っ」
男「やっぱりココは慣れない雰囲気ですよね…」
女姉「──あら、大人の女性にあまり失礼なことは言わない方が身の為よ?」キリッ
男「そ、そうですよね! ごめんなさい!」ペコペコ
女姉(あ~~~っ! ここに来て見栄を張ってる場合じゃないのに!あ~~っ!)キリリッ
男「じゃああまり遅くなるとあれなんで、急いで行きましょうか」
184 = 182 :
女姉「どこへかしら?」ニコ
男「ラブホテルです」
女姉「………………………」ダラダラダラダラダラ
~~~
女姉(なんとか説得方法を考えなければ、考えろ考えろ考えろ…)ズモモモモモ
男(なにやら居心地悪そう。やっぱり生徒と一緒じゃ駄目な場所だよな)
男(まあ一応、人気少ない路地裏を選んでるつもりだけど…)スタスタ
男(──しかし、先生が知っていたとは。俺が住んでる場所がラブホテルだって)ウンウン
男(言い方マズッたかと思ったけど、案外、普通に着いてきてくれたし)
男(事前に調べてたのかな。まあ【あの部屋】ことは覚えてるか分からないけど…)
女姉「君はこの辺に随分と土地勘があるのね…」オドオド
男「え? ええ、この制服姿じゃやっぱり目立っちゃうので」
女姉「へ、へぇ~…手慣れてるじゃない…」チ、チラ
男「頑張って探したんですよ、いつか友達を連れてきたいと思ってますので…」テレテレ
女姉「友達未満で!?」
185 = 182 :
男「えっ、あっ、それはまだ早すぎますかねっ?」ビクッ
女姉「あったり前じゃないの! 今の発言は教師として聞き逃せないわ…!」
男(やはりそうだったのか…俺も友達を家に連れていくのハードル高いと思ってたんだよな…)
女姉(嘘、この子見た目によらず肉食系なの…そう、そうよ私を連れて行こうってぐらいだもの…)
男「じゃあ先生はどれぐらいなら友達を連れても良いと思いますか?」
女姉「ええっ!?」
男「是非、先生からご教授願いたいです」キラキラ
女姉(なんて澄んだ眼をして…ううん、そうよ、教師としてやることは一つ)
女姉(この子をこっち側に引き戻すのよ、私の教えで)グッ
女姉「えっと、その…まずはお互いの気持ちを知って、分かり合ってから、きちんとした段階を踏んで…」
男「はい先生、質問です」シュバァ
女姉「はい! 男くん!」ビシィイイ
男「すると段階が一発で分かる手段はなんでしょうか?」
女姉「良い質問よ。それはもちろん──キスでしょうっ」ピッ
男「キスですか!? キスが正解ですか先生!?」
186 = 182 :
女姉「わわ私はそう思うのだけれどもっ!? ささ最近の子はそれとも違うのかしら!?」キョドキョドドド
男「俺もちょっと知らないですけどッ! キス~~ッ…てぇのは口、と口を…?」
女姉「く、くっつけて…そう、…互いの口を…」カァァ
女姉(わ、私は一体何を言って…でもこれで彼に清く正しい順序を教えられたはず…)
男「よし! 話を参考にして友達できそうになったら、なんとかやってみます!」
女姉「一切分かってないじゃない! 話し損よまったくッ!」
~~~
男(友達作りって想像以上に大変なんだな…さらに不安になってきた…)ズーン
女姉(どうやったら清く正しい交際の仕方を教えられるのかしら…)ズーン
男「先生、どうやら俺には難しいみたいです。当分のところ諦めておきます…」
女姉「そう簡単に諦められちゃ困るのよ……!」
男「うぐッ、じゃ、じゃあ先生はどうやって(友達)作ったりしましたか?」
女姉「えっ…!? ど、どうやって(恋人)作ったか…!?」
187 = 182 :
男「関係を深めるのがどうにも苦手なんですよね…」ハァ
女姉「き、君なりの悩みがあったのね…けれど教えられるほど私も経験が…」
男「え、もしかして(友達作りの)経験ないんですかっ?」
女姉「………、ハイッ!? えっ、あっ、えっ!? ちがっ」カァアアア
男「意外ですね…そうは見えないのに…」マジマジ
女姉「いやっ…そうと決まったわけじゃ…」キョドキョド
男「あ、失礼なこと言ってすみません…経験ないとか…」ペコペコ
女姉「そんなこと謝らなくても結構よ!? ていうかそうと決めつけないで!」
男「でも経験がないってさっき…」
女姉「さ・ほ・ど、よ! さほど! まるっきり無しとは言ってないじゃない!」
男「すみません! ではご教授のほどよろしくお願いします…!」
女姉(墓穴を掘ってしまった!)
男「あの、無理して嘘をつかなくても良いんですよ…?」チラ
女姉「なによその同情した顔は…ッ! 良いわよ、大胆不敵な過去話しに震えなさい!」
188 = 182 :
女姉(こうなったら見栄っ張り上等でとことん上塗りした恋愛話をぶっちゃけて──)バッ
女「………」ヒョコ
女姉(───うん?)ダラダラダラダラ
男「先生? 後ろがどうかしましたか、ぱふぃっ!?」バチン!
女姉「絶対に、振り向いちゃ、ダメ、わかった?」ミチミチミチ
男「ふぇ、ふぇい」コクコクコク
女姉(なぜにあの子が此処にッ!? 私たちの後を着いてきてた…? 一体どこから!?)チラ
男「…っ…っ…」ドキドキ
女姉(って不味い、この距離で近づいてたらあっちに勘違いされるっ)ぱっ
男「なんですか急に…びっくりしまたよ…」チラ
女姉「──行きましょうか」
男「えっ?」
女姉「さっさと行くのラブホテルに! 速攻で誰に見つかることもなく!」
男「声量考えて先生! いくら人気無くてもヤバい内容ですから!」
女姉「ごちゃごちゃいわずにさっさと行く…!」グイグイ
男「え、ええっ…やっぱり経験ないの誤魔化しにかかってるんじゃ…」
女姉「だまらっしゃい!!」ズンズンズン
189 = 182 :
女姉(あの子が居るなら悠長にしてられない! ろくに帰宅ルート覚えず来たから戻れないし…!)
女姉(手早くホテルに向かって姿をくらます。道中で妹を巻けばいいだけっ)
女姉「ほらっ! 貴方が行きたがってるホテルはどこにあるのっ?」
男「そこの通りまっすぐですけど、あの、少し声量を落として…」
女姉「今更恥ずかしがる神経持ってないでしょ貴方は!」
ずんずん ずんずん
男「ここ、です」
女姉「ここね! じゃあ早く入店して───」
『スィートランドホテル』
女姉「──ふええ?」キョトン
女姉(ここって、確か。え、あれ、見覚えあるけど、あれっ? あれれっ?)
女姉「…っ…」カツン
男「──先生」がしぃっ
女姉「ひいっ!? お、男くん!?」
男「今、逃げようとしましたよね? ダメですよ、逃がしませんから」ギュウ
190 = 182 :
女姉「まっ、待ってくれない? え、どうしてこのラブホテルに…!?」
男「何を今更知らないふりをしてるんですか」
男「俺にはどうしても解決しなければならない事があるんです。ご覚悟を」
女姉「解決…なにそれ、待ってちょっと!? やだやだやだやだ! ここはやだ!」グイグイ
男「あ! やっぱり今の今まで部屋のこと忘れてたんですね!」
男「でも諦めませんよ! これが俺の願いです! しっかり解決させてもらいます!」グイグイ
女姉「やめてやめて! ほかのラブホテルだったら良いから! 着いていくからここだけはイヤ!」
男「ここまできてなに意味不明なこと言って、るんッ、ですか…っ」ギリギリギリ
女姉「いぃ~~~~やぁあ~~~~っ」ギリギリギリ
「──大声でうちのホテルを大否定するな、迷惑だろ」シュボッ
女姉「ひぃいっ!?」ビックゥウウン
叔母「ん? あれ、お前…」フゥー
女姉「あっ…あぁあ…っ…! せ、せんぱ…っ」
叔母「とうとう生徒に手を出したのか?」
男「ちがう!! もう叔母さんは黙っててください! ややこしくなるから…!」
191 = 182 :
叔母「いや普通の心配だと思うんだけど…」
女姉「叔母…さん…?」
男「と、取りあえず店に入りましょうっ? このまま目立つよりましですから!」
女姉「え、ええ…は、はい…?」ス、スタスタ
叔母「というか会うの久しぶりだな、元気してた?」チョンチョン
男「中でやってくれ中でッ!」
スタッフルーム
女姉「──先輩の甥っ子ですって?」
叔母「言っただろ、以前に。私の甥っ子がそっち入学するって」
女姉「言ってましたねえ…街角で『来月、甥っ子がお前の所向かう』と後ろから唐突に…」ピクピク
男「なんで暗殺者みたいな報告するんですか…」
叔母「面と向かえば逃げるのが目に見えてたから?」
女姉「恐ろしさに振り返ったら、誰も居ないよりマシだと思いませんか!?」
叔母「おあいこだろ」フゥー
女姉「ど・こ・が! ですか! まったく本当に昔から先輩は変わってなさ過ぎです!」
叔母「そういうお前もまったく変わってないよな、特に胸とか」
女姉「きぃーーー!!!」
192 = 182 :
男(やっぱ姉妹だなあ。女さんと怒り方が一緒だ)
男「こほん、では早速ながら先生にお願いを叶えて欲しいんです」
叔母「まさか君…44号室の謎を…?」
女姉「えっ!? ちょ、ちょっとまだあの部屋あるんですか!?」
叔母「うん。というかこの子を住まわせてる」
女姉「当時から何も変わってないなあこん人はーッ!」
女姉「っていうか、一体なにを考えてるんですかっ?! 年端もいかない子供を住まわせるなんて…!」
叔母「ここまできたやつが言うセリフじゃないぞ」
男「そういえばここが家だと知らずどう納得して来たんですか…?」
女姉「わ、わぅ忘れなさい! いいのよもうそれは…っ」
叔母(きっとエロい勘違いしてたんだろう)ひそひそ
男(じ、実はわかってますけど黙ってて下さいっ)ひそひそ
女姉「聞こえてるわよそこの一家…ッッ!」ぴくぴく
男「と、ともかく! 俺の願いを聞いて下さい! 先生!」
193 = 182 :
【一方、その頃】
女「……」ヒョコ
清掃「……」ヒョコ
女「じゃ、じゃあ本当にさっき言ってたとおりなのね…?」
清掃「うん! ボクは見た、オトコが嫌がる女性を無理やりホテル連れってたトコロ!」フンスー
女「なんて…なんて悪辣非道なやつなの…!」ワナワナ
女(この私に近づいたのは、私のお姉ちゃんを手中に収めんが為の行動だったのね…ッ!)
清掃「ボス? どうしやすか?」わくわく
女「無論! 乗り込んでとっちめてやるわ!」
女「──大切なお姉ちゃんは私が守ってみせる! 行くわよ、手下ケルケル!」バッ
清掃「らじゃー!」ダダッ
【数十分前】
女「ひぐ、えぐ…がえりがだ…わがんばい…」ヒックヒック
女(どうしよう、このまま黒い服の人に拾われて外国に売られちゃうんだ私…っ)トボトボ
女「うぅ~っ…これも全部、アイツのせい…あの男のせいじゃない…っ」
194 = 182 :
ごしごし
女(あ。そう考えだしたら腹が立ってきた…なによお姉ちゃんといつの間に仲良くなってたワケ!?)
女「こ、この私を弄んだ挙句にそーいうところ向かっちゃうなんて上等ねッ!」クルッ
清掃「……」じぃー
女「部屋に乗り込んでとっちめて、きゃーーーーーーーー!!??」
女(あ、あれってどう見ても以前に校門前で事故ってた外国人…!?)チラ
清掃「……」じぃーーー
女(見てる! どうしてこっち凝視してるの…!? やだ、このままじゃ本当に売られちゃう…?)
清掃「アノー?」ニコニコ
女「ひいいっ!? お、おいしくにゃいから! 食べても私おいしくない…!」ガクガクガク
清掃「もしかしてオトコのトモダチなの?」
女「…え? 友達…?」ぐす
清掃「だって同じ制服きてるから、同じかなあって、トモダチかなあって」ニコ
清掃「もしや迷子してる? ならケルケルが駅に連れてってあげ──」
女「馬鹿ねッ! アイツと友達なわけ無いじゃない! 生涯かけての敵よ、ライバルよ!」
清掃「Rival…?」キョトン
195 = 182 :
女「そう! 決して心許す友じゃない…
もっとこう複雑で、心がぽかぽかして、とにかくそんな気安い関係じゃなことは確かね!」
清掃「ほほー…凄い…トモダチなくってRival…凄い…」キラキラキラ
女「ふ、ふん! そんな敵の味方の言葉にほいほいついて行くものですか…っ」チ、チラリ
清掃「ううん、ボクはもうオトコの味方ちがう」フルフル
女「えっ!? な、なぜ…?」
清掃「ボクは見た。信じてたオトコが女性むりやりホテル連れていくトコロ!」
女「それはもしや…」
清掃「相手は大人の女性だったよ。キリリってしてCoolな人だった」
清掃「──でも、オトコはワガモノ顔で引っ張ってったの! ぶんすかだよケルケル!」プンスカプン
女(お、お姉ちゃんの事だわ! あああっ、遠くで顔が見えなかったけど嫌がってたのねお姉ちゃん…!)ポロポロ
清掃「ケルケルは裏切られた…きっとオトコは優しくて格好いい素敵なオトコ思ってた…」
女「そう、そうよ。奴は人の心を弄んで悦に浸る最低最悪の人間なの!」
清掃「くッ…なんてやつなんだオトコは…!」
女「賛同してくれて有り難いわ! よし、そうと分かれば私についてきなさい!」
清掃「ワオ! ボクもパーティ入り決定しちゃった!?」パン
女「もちのロンよ! よぉーーしッ! 悪の魔の手からお姉ちゃん奪還作戦、開始よ!」
196 = 182 :
44号室前
女「覚悟して突っ込んだ割に結構、普通に入れちゃったわ…」
清掃「ケルケルここの清掃員だから! それで、オトコ達はここに居ると思うよ」
女「な、なるほど。こっ、この部屋にお姉ちゃんとアイツが…」ゴクリ
清掃「さっそく乗り込むワケですかボス?」キラキラ
女「まずは聞き耳よ! 中でどうなってるか確認しないとマズイ気がする…!」ソソソ
『──先生、覚悟は決まりましたか?』
女「こ、これって…あわわわ…」
清掃「もう始まっちゃってた?」
女「まだ…決定的な単語を聞くまではまだ…っ」ブルブル
『──ま、待って…少し準備させて、シャワーの方だってまだ…』
女「ひゃわー!?」
清掃「オトコってばせっかちさんね」ニコニコ
女「せっかちひゃん!?」
室内
男「いい加減覚悟決めて目を開けてくださいよ、先生」
女姉「いやよ…この部屋はトラウマなの、もう二度と訪れないと心誓ったのよ…」ブンブンブン
197 = 182 :
男「気持ちはわかりますが、さっさと終わらせたいのなら手短に済ませたほうが…」
女姉「うん…わかってる、わかってるのよ…!」ギュウウ
男「手洗い場だけじゃなく、シャワールームにだって超常現象起こるんですからね」ガチャ
女姉「ひっ!? ど、どこにいるの男君!? そばにいて頂戴…!」オロオロ
男「はいはい、ここですよ先生」ギュッ
女姉「うん…」ギュッ
男(なんだこの状況…)ポリポリ
女「手を握ってとか! そばにいて頂戴とか!」ボッ
清掃「意外とラブラブ? ケルケル勘違いしてた?」
女「そ、そんなしおらしいコトいうお姉ちゃんじゃない…! きっと脅されて、そうアイツに弱み握られてるんだわ…!」
清掃「オッケ! じゃあ開けて確認しちゃおう!」ガチャ
女「待って何、その突然の決断力!? もしお姉ちゃんが恥ずかしい格好だったらどうするつもりよ!?」
清掃「大丈夫。ボク、小さいお胸興味ないから」ケラケラー
女「お姉ちゃんがどう思うかの話してんのよコッチは!」
女(でも、このままじゃ埒が明かない…強行突破もやむなしかしら…!?)
『──俺は何処にも行きませんよ、側に居ますから』
198 = 182 :
『男くん…』
女(っ! お姉ちゃん騙されちゃダメ──)
『うん、今だけは貴方に素直な気持ちで告白するわ…』
女「──…!」
〈自分も委員長に立候補します〉
〈? なにしてるの? 早く一緒に帰ろう、確か同じ方向の駅だったよね〉
女(…なによ、それ)
女(誰にだって言うんじゃない。誰でも、アンタにとっちゃ【そーなのね】)
女(ふん、どーせそういうことだろうと思ったわよ。私みたいなやけっぱちな人間なんて、)
〈──良い、クラスメイトが居たのね〉
女(…誰からの評価も、得られないんだって)クル
清掃「ボス?」
女「いいの、もう。だってわかっちゃったから、私が頑なに認めたくなかっただけ」
女「二人は何処か遠くまでとってもとっても仲良くなってたの。…私が知らないうちに」
スタスタ
女(私はただ認めてほしかっただけ。ただ憧れの人に「頑張ったね」と言ってほしかっただけ)
199 = 182 :
女(なのに私はひとりぼっち)グス
女(お姉ちゃんも、貴方も。二人だけでどこか遠くにいってしまった)ゴシゴシ
女「…結局何がしたかったのかしらね、私ってば」
清掃「……」
女「もう帰る。あとお願い、駅まで送ってくれる?」ニコ
清掃「オトコは本当にサイテーだ」
女「うん? その話はもう…」
清掃「違うよ。ボスは今、オトコのせいで泣いてる。ケルケルそれがわかっちゃう」
女「えっ?」
清掃「はっきりとボクはオトコがサイテーだって思った。ケルケルはきっとそんなオトコを困らせたい!」
女「こ、困らせたい? 一体何を言ってるの?」
清掃「オトコ好きなんでしょ?」
女「ぶぅぅぅぅッ! ゲホゴホッ、急になに言い出した!?」
清掃「なら立ち向かう! 諦めちゃそこで試合終了だよーーー!」ダダァッ!
女「えっ、ちょまっ、引っ張らないでやあああああああ!!」ズルルルルルッ
ガチャッ!!
女「待って、いや! ごめんなさいッ──」ギュウウ
200 = 182 :
男「ナマイダブナンマイダブ…」ブツブツ…
女姉「ドーマンセーマン、ナンミョウホウレンゲッキョウ…」シャラン…シャラン…
女「…………、なにやってんのお姉ちゃん達」ドンビキ
女姉「え? きゃあ!? な、なぜ貴女がここまで来てっ!?」
男「一体どうやって…!?」
清掃「それはケルケルだよ~」フリフリ
男「余計に意味不明なったよケル君?!」
女「待ってお姉ちゃん、何、さっきの『ここまで来て』って…」ハッ
女「──私が追ってきてたの知ってて、ここまで来たの?」
男「え、そうだったんですか?」
女姉「かっ、勘違いされると思ったからよ! だって、二人でこんな繁華街に居たら絶対に貴女勘違いするでしょう…!?」
女「その妙な様子じゃ違う目的だったみたいだけど、じゃあどうして逃げたの…?」ブルブル
女姉(私がやらしい勘違いしてたなんて説明できるわけ無いじゃないッ!)
女「説明してくれれば良かったじゃない…やっぱり期待、とか嘘だったんだ…」ポロポロ
女姉「な、泣かないでっ?」
女「だから誤解よ、ここに来たのは初めてだもの。だからそんなワケない、私はちゃんと貴女のことを思って…」
女「本当に…? 嘘ついてない…? ぐすっ」
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