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元スレ小鳥「今日は皆さんに」 ちひろ「殺し合いをしてもらいます」
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雪歩「私……行ってくるね。みんなのところに……」
伊織「……そう。いいわ、行ってらっしゃい」
雪歩は自分達とは別の選択をした。
伊織はそのことに特に傷付くことも悲しむこともなく、
落ち着いた様子でそれを受け入れた。
そしてそのまま続ける。
伊織「もし向こうが私達を探しに来たんだったら、伝言をお願いしてもいいかしら」
雪歩「あ……うん」
伊織「『私達は会う気はない。もし近付いて来るのが見えたら逃げるから、
これ以上追い回しても時間の無駄』。そう伝えて。
雪歩「……うん、わかった」
伊織「……そう。いいわ、行ってらっしゃい」
雪歩は自分達とは別の選択をした。
伊織はそのことに特に傷付くことも悲しむこともなく、
落ち着いた様子でそれを受け入れた。
そしてそのまま続ける。
伊織「もし向こうが私達を探しに来たんだったら、伝言をお願いしてもいいかしら」
雪歩「あ……うん」
伊織「『私達は会う気はない。もし近付いて来るのが見えたら逃げるから、
これ以上追い回しても時間の無駄』。そう伝えて。
雪歩「……うん、わかった」
雪歩はもう伊織からの伝言が無いことを確認し、
自分の荷物を持って出発の準備をする。
もうゲームが終わるまで雪歩に会うことはないだろう。
そのことを思い、真美は雪歩の横顔を不安げな表情で、
伊織はほんの少しだけ眉をひそめて見つめた。
が、去り際の雪歩の言葉が、その伊織の表情を僅かに変えた。
雪歩「二人とも、まだもうちょっとここに居るよね?」
伊織「……? えぇ、そのつもりだけど」
雪歩「ここに居てね。すぐ戻ってくるから!」
雪歩はそう言い残し、
伊織の返事を聞く間も惜しむように駆け出した。
自分の荷物を持って出発の準備をする。
もうゲームが終わるまで雪歩に会うことはないだろう。
そのことを思い、真美は雪歩の横顔を不安げな表情で、
伊織はほんの少しだけ眉をひそめて見つめた。
が、去り際の雪歩の言葉が、その伊織の表情を僅かに変えた。
雪歩「二人とも、まだもうちょっとここに居るよね?」
伊織「……? えぇ、そのつもりだけど」
雪歩「ここに居てね。すぐ戻ってくるから!」
雪歩はそう言い残し、
伊織の返事を聞く間も惜しむように駆け出した。
雪歩は探知機に注意を払いつつ、木々の間を駆けていく。
そしてしばらく走ったところで、前方に人影が見えた。
念の為に身を隠し、それが誰かを目で確認する。
そこに居たのは、律子、貴音、響、それからアナスタシアだった。
伊織の言っていた通りのメンバーが居る。
探知機は、そこから更に離れたところにもう一グループ居るのを示していた。
恐らくそちらに居るのが残りのみんなだろう。
雪歩は一度呼吸を整え、そしてもう一度駆け出した。
と、少し進んだところで貴音がこちらに気付く。
それに続いて他の三人も雪歩に気が付いた。
そしてしばらく走ったところで、前方に人影が見えた。
念の為に身を隠し、それが誰かを目で確認する。
そこに居たのは、律子、貴音、響、それからアナスタシアだった。
伊織の言っていた通りのメンバーが居る。
探知機は、そこから更に離れたところにもう一グループ居るのを示していた。
恐らくそちらに居るのが残りのみんなだろう。
雪歩は一度呼吸を整え、そしてもう一度駆け出した。
と、少し進んだところで貴音がこちらに気付く。
それに続いて他の三人も雪歩に気が付いた。
響「ゆ……雪歩!? 無事だったのか!」
律子「良かった……! 雪歩、本当に……!」
貴音「真、安心致しました……」
雪歩を見て、アナスタシアは少しだけ緊張していたようだが
765プロの三人は各々無事を喜び、また再会を喜んだ。
しかし雪歩は、自分も同じように喜びたい気持ちをぐっと抑え、
そして第一声から話すべき話題を切り出した。
雪歩「あ、あの……! 実は私、さっきまで伊織ちゃんと真美ちゃんと一緒に居たんです!」
律子「え……!? ど、どういうこと?」
雪歩「えっと、それが――」
律子「良かった……! 雪歩、本当に……!」
貴音「真、安心致しました……」
雪歩を見て、アナスタシアは少しだけ緊張していたようだが
765プロの三人は各々無事を喜び、また再会を喜んだ。
しかし雪歩は、自分も同じように喜びたい気持ちをぐっと抑え、
そして第一声から話すべき話題を切り出した。
雪歩「あ、あの……! 実は私、さっきまで伊織ちゃんと真美ちゃんと一緒に居たんです!」
律子「え……!? ど、どういうこと?」
雪歩「えっと、それが――」
雪歩は、皆に経緯を話した。
そして伊織からの伝言を聞き、律子は唇を噛んだ。
会って話をすること自体、伊織は拒否している。
灯台に連れ戻されることを避けるためというのももちろんあるだろう。
だが律子は、拒絶の理由はそれだけではなく、
「一度協力を決めた者達を殺し合いに参加させたくない」
という思いが伊織にあるからだと感じた。
実際律子は、灯台での協力を放棄してでも伊織達の傍に居た方がいいのではないかと、
そう考え始めていた。
また律子の他にも、その選択肢を頭に入れていた者は少なからず居る。
伊織はそれを見越して、接触すること自体を拒むことで
「協力派」を自分の戦いに巻き込む可能性を限りなくゼロにした。
それは足でまといを増やしたくなかったか、それとも優しさからか、
それはもう確認のしようがない。
だが少なくとも律子は、きっと後者だろうと思った。
そして伊織からの伝言を聞き、律子は唇を噛んだ。
会って話をすること自体、伊織は拒否している。
灯台に連れ戻されることを避けるためというのももちろんあるだろう。
だが律子は、拒絶の理由はそれだけではなく、
「一度協力を決めた者達を殺し合いに参加させたくない」
という思いが伊織にあるからだと感じた。
実際律子は、灯台での協力を放棄してでも伊織達の傍に居た方がいいのではないかと、
そう考え始めていた。
また律子の他にも、その選択肢を頭に入れていた者は少なからず居る。
伊織はそれを見越して、接触すること自体を拒むことで
「協力派」を自分の戦いに巻き込む可能性を限りなくゼロにした。
それは足でまといを増やしたくなかったか、それとも優しさからか、
それはもう確認のしようがない。
だが少なくとも律子は、きっと後者だろうと思った。
そしてだからこそ伊織の意志は固い。
ここで自分が接触をはかっても、本当に逃げて行ってしまうだろう。
律子は眉根を寄せ俯く。
そしてそのまま、
律子「……雪歩は、伊織達と一緒に行くつもりなのよね」
声を絞り出すようにしてそう聞いた。
雪歩はその問いを受けほんの少しだけ沈黙した後、
体にぐっと力を入れるようにして答えた。
雪歩「はい。ただ本当は私も……まだ、決められてないんです。
346プロの人と戦うことになったら、攻撃なんかできるかどうか、わかりません。
でも……私、伊織ちゃんと真美ちゃんのこと、守ってあげたいです。
助けてあげたいんです。だから……!」
この雪歩の言葉を聞き、律子は顔を上げた。
そして一歩近付き、微かに震えた声で言った。
律子「二人のこと……あなたに、頼むわ」
ここで自分が接触をはかっても、本当に逃げて行ってしまうだろう。
律子は眉根を寄せ俯く。
そしてそのまま、
律子「……雪歩は、伊織達と一緒に行くつもりなのよね」
声を絞り出すようにしてそう聞いた。
雪歩はその問いを受けほんの少しだけ沈黙した後、
体にぐっと力を入れるようにして答えた。
雪歩「はい。ただ本当は私も……まだ、決められてないんです。
346プロの人と戦うことになったら、攻撃なんかできるかどうか、わかりません。
でも……私、伊織ちゃんと真美ちゃんのこと、守ってあげたいです。
助けてあげたいんです。だから……!」
この雪歩の言葉を聞き、律子は顔を上げた。
そして一歩近付き、微かに震えた声で言った。
律子「二人のこと……あなたに、頼むわ」
伊織達に会うことはもう諦める。
律子の発言はつまりそういうことだったが、
これを一同は黙って聞いていた。
以前は異論を唱えた響も、伊織の意志と想いを考え、受け入れた。
伊織を心配する気持ちは皆同じだ。
しかし今の自分達には何もできない。
だから、雪歩に頼むしかない。
伊織達と共に行動することが危険を伴うのは百も承知だ。
だが雪歩もそれは十分に理解した上で、伊織と真美の傍に居たいと強く願っている。
だから律子は、自分達の想いを雪歩に託した。
律子「でも、お願い……。どうか無茶だけはしないで。
それから、もし何かあればすぐに灯台に来るようにあの子達に伝えて。
私達はずっと、あなた達のことを心配してるって……」
そう言った律子の目には涙が滲んでいる。
雪歩はそんな律子の目を見て、力強く頷いた。
律子の発言はつまりそういうことだったが、
これを一同は黙って聞いていた。
以前は異論を唱えた響も、伊織の意志と想いを考え、受け入れた。
伊織を心配する気持ちは皆同じだ。
しかし今の自分達には何もできない。
だから、雪歩に頼むしかない。
伊織達と共に行動することが危険を伴うのは百も承知だ。
だが雪歩もそれは十分に理解した上で、伊織と真美の傍に居たいと強く願っている。
だから律子は、自分達の想いを雪歩に託した。
律子「でも、お願い……。どうか無茶だけはしないで。
それから、もし何かあればすぐに灯台に来るようにあの子達に伝えて。
私達はずっと、あなた達のことを心配してるって……」
そう言った律子の目には涙が滲んでいる。
雪歩はそんな律子の目を見て、力強く頷いた。
響「ゆ、雪歩……!」
そしてとうとう我慢できなくなったのか、響が雪歩に抱きついた。
一瞬驚いて身を固くした雪歩だが、すぐに響をそっと抱き返す。
響「自分も……自分も、伝えて欲しい!
すごく心配してるって! さっきは何も言えなくてごめんって……!」
貴音「私も……いえ。この場に居ない他の皆も、同じ気持ちです」
雪歩「響ちゃん、四条さん……。はい! みんなの気持ち、ちゃんと伝えます……!」
と、ここでアナスタシアがおずおずと、一歩前へ出た。
そして雪歩に向け、小さな声で言った。
アーニャ「……私も、です……。私も……死んで欲しくない、です……」
こんなことを言える立場にないかも知れない、とアナスタシアは自覚していた。
しかしそれは紛れもなく、彼女の本音だった。
そしてとうとう我慢できなくなったのか、響が雪歩に抱きついた。
一瞬驚いて身を固くした雪歩だが、すぐに響をそっと抱き返す。
響「自分も……自分も、伝えて欲しい!
すごく心配してるって! さっきは何も言えなくてごめんって……!」
貴音「私も……いえ。この場に居ない他の皆も、同じ気持ちです」
雪歩「響ちゃん、四条さん……。はい! みんなの気持ち、ちゃんと伝えます……!」
と、ここでアナスタシアがおずおずと、一歩前へ出た。
そして雪歩に向け、小さな声で言った。
アーニャ「……私も、です……。私も……死んで欲しくない、です……」
こんなことを言える立場にないかも知れない、とアナスタシアは自覚していた。
しかしそれは紛れもなく、彼女の本音だった。
所属事務所に関わらず、全員が伊織達の身を案じていた。
また誰ひとり、「346プロと争うな」という伝言は頼まなかった。
そんなことを言ったところで、もはや意味はない。
だから、それよりも無事を願う気持ちを伝えたかった。
雪歩はアナスタシアを含む皆のその想いを汲み、再びしっかりと頷く。
そして律子に向き直り、静かに言った。
雪歩「それじゃあ……私、そろそろ行きますね」
律子「……えぇ」
と、律子は別れの挨拶をしようとしたが、思わず口をつぐむ。
雪歩が不意に、右手の探知機に目を落としたからだ。
何かあったのか。
そう思い律子が尋ねようとしたその瞬間、
雪歩はその右手を、律子に向けて差し出した。
また誰ひとり、「346プロと争うな」という伝言は頼まなかった。
そんなことを言ったところで、もはや意味はない。
だから、それよりも無事を願う気持ちを伝えたかった。
雪歩はアナスタシアを含む皆のその想いを汲み、再びしっかりと頷く。
そして律子に向き直り、静かに言った。
雪歩「それじゃあ……私、そろそろ行きますね」
律子「……えぇ」
と、律子は別れの挨拶をしようとしたが、思わず口をつぐむ。
雪歩が不意に、右手の探知機に目を落としたからだ。
何かあったのか。
そう思い律子が尋ねようとしたその瞬間、
雪歩はその右手を、律子に向けて差し出した。
雪歩「これ、あげます……。私は伊織ちゃんと一緒に居るから、もう必要ありません。
律子さん達が持ってた方がいいと思います」
これを聞き、律子は当然驚いた。
そして初めは一瞬断ろうとした。
しかし探知機から目を上げた次の瞬間には、それは諦めた。
雪歩の目が、断っても無意味だということを律子に直感させた。
だから律子は余計なことは言わずに、
律子「……ありがとう、雪歩」
一言礼だけを言ってその手から探知機と、それから説明書を受け取った。
探知機があれば他のアイドル達を見つけた場合、
同事務所のアイドルだけで交渉に向かうことが可能になる。
これで探索がずっとやりやすくなった。
律子は感謝の気持ちを込めるように、探知機を胸元でぎゅっと握った。
律子さん達が持ってた方がいいと思います」
これを聞き、律子は当然驚いた。
そして初めは一瞬断ろうとした。
しかし探知機から目を上げた次の瞬間には、それは諦めた。
雪歩の目が、断っても無意味だということを律子に直感させた。
だから律子は余計なことは言わずに、
律子「……ありがとう、雪歩」
一言礼だけを言ってその手から探知機と、それから説明書を受け取った。
探知機があれば他のアイドル達を見つけた場合、
同事務所のアイドルだけで交渉に向かうことが可能になる。
これで探索がずっとやりやすくなった。
律子は感謝の気持ちを込めるように、探知機を胸元でぎゅっと握った。
みんなにいい贈り物ができた。
そう思い、雪歩は薄く笑う。
そして、
雪歩「それじゃあ、行きます。
他のみんなに……また会おうね、って伝えてください」
そう言って背を向け、これ以上名残惜しくなる前に駆け出した。
伊織達が移動していないことも、
周りに346プロの者が居ないことも、既に確認済みだ。
あと必要なのは、勇気だけ。
人を殺せるかどうかは、まだ分からない。
でも、二人を守るための勇気だけは絶対に忘れてはいけない。
雪歩はその想いを胸に、伊織達の元へ走り続けた。
そう思い、雪歩は薄く笑う。
そして、
雪歩「それじゃあ、行きます。
他のみんなに……また会おうね、って伝えてください」
そう言って背を向け、これ以上名残惜しくなる前に駆け出した。
伊織達が移動していないことも、
周りに346プロの者が居ないことも、既に確認済みだ。
あと必要なのは、勇気だけ。
人を殺せるかどうかは、まだ分からない。
でも、二人を守るための勇気だけは絶対に忘れてはいけない。
雪歩はその想いを胸に、伊織達の元へ走り続けた。
乙
日に日に346の弱体化が浮き彫りになっているような・・・
これも人生経験の差か・・・
日に日に346の弱体化が浮き彫りになっているような・・・
これも人生経験の差か・・・
乙
雪歩熱いね
武器なくなっちゃったけど
あずささんははたしてどっち派につくのかな
やっぱりりっちゃんやピヨちゃんのいるハト派の方か
雪歩熱いね
武器なくなっちゃったけど
あずささんははたしてどっち派につくのかな
やっぱりりっちゃんやピヨちゃんのいるハト派の方か
乙
ギャグならあずささんは最後まで誰とも会えなさそうだがヘヴィすぎる状況ではわからんな
ギャグならあずささんは最後まで誰とも会えなさそうだがヘヴィすぎる状況ではわからんな
小鳥さんの初期装備ってなんか出てきたっけ?
短機関銃は卯月だし日本刀は杏だし
短機関銃は卯月だし日本刀は杏だし
10:30 水瀬伊織
伊織は真美の隣で座ったまま、探知機を見つめる。
そしてしばらく後、物音のした方へと目を上げた。
伊織「……本当に戻ってきたのね」
その視線の先には、息を切らせた雪歩の姿があった。
そして伊織は雪歩の手に探知機が握られていないことに気付き、
改めてその意思を確信する。
つまり雪歩は、これからずっと自分達と一緒に居るつもりだということを。
真美「ゆきぴょん、一緒に居てくれるの……?」
雪歩が戻ってきたことに、真美は不安の中に微かな期待を込めた声で聞く。
雪歩は息を整えて二人に近付き、にっこりと笑った。
それを見て真美はほんの少しだけ表情を明るくし、
空いている方の手で、伊織にするのと同じように雪歩の袖をきゅっと掴んだ。
伊織は真美の隣で座ったまま、探知機を見つめる。
そしてしばらく後、物音のした方へと目を上げた。
伊織「……本当に戻ってきたのね」
その視線の先には、息を切らせた雪歩の姿があった。
そして伊織は雪歩の手に探知機が握られていないことに気付き、
改めてその意思を確信する。
つまり雪歩は、これからずっと自分達と一緒に居るつもりだということを。
真美「ゆきぴょん、一緒に居てくれるの……?」
雪歩が戻ってきたことに、真美は不安の中に微かな期待を込めた声で聞く。
雪歩は息を整えて二人に近付き、にっこりと笑った。
それを見て真美はほんの少しだけ表情を明るくし、
空いている方の手で、伊織にするのと同じように雪歩の袖をきゅっと掴んだ。
雪歩はそんな真美を見つめた後、
伊織にも目線をやり、伝えるべきことを伝えた。
雪歩「あのね、二人にみんなから伝言があるの。
みんな心配してるって。もし何かあったらすぐ灯台に来ていいから、って」
それを聞き、真美は何も言わずに俯く。
伊織は一瞬目を伏せた後、
伊織「……そう。気持ちだけありがたく受け取っておくわ。雪歩も伝言ご苦労様」
なんでもないことのようにそう言った。
だがみんなの気持ちは確かに伝わったと、雪歩は薄く笑って伊織を見つめる。
その雪歩の視線を受けて伊織は、
これ以上余計なことを言われるのは御免とばかりに
わざとらしくため息をついて話題を変えた。
伊織「あんたも本当お人好しよね。探知機、律子達にあげちゃったんでしょ?」
雪歩「えっ? あ、うん……。伊織ちゃんの分があるから、もう要らないと思って……」
伊織にも目線をやり、伝えるべきことを伝えた。
雪歩「あのね、二人にみんなから伝言があるの。
みんな心配してるって。もし何かあったらすぐ灯台に来ていいから、って」
それを聞き、真美は何も言わずに俯く。
伊織は一瞬目を伏せた後、
伊織「……そう。気持ちだけありがたく受け取っておくわ。雪歩も伝言ご苦労様」
なんでもないことのようにそう言った。
だがみんなの気持ちは確かに伝わったと、雪歩は薄く笑って伊織を見つめる。
その雪歩の視線を受けて伊織は、
これ以上余計なことを言われるのは御免とばかりに
わざとらしくため息をついて話題を変えた。
伊織「あんたも本当お人好しよね。探知機、律子達にあげちゃったんでしょ?」
雪歩「えっ? あ、うん……。伊織ちゃんの分があるから、もう要らないと思って……」
伊織「じゃああんた、今丸腰ってことじゃない。
そんな状態でもし何かあったらどうする気なのよ」
この言葉に雪歩が答えるより先に、
伊織は自分の鞄を探ってその中から何かを雪歩に差し出し、言った。
伊織「これ、渡しておくわ」
伊織の手に握られたのは、円筒状の何かが二本と、紙が一枚。
そして雪歩が紙に大きく印刷された文字を読んだのを確認し、言葉を続ける。
伊織「最初に配られた私の武器よ。もしもの時のためにあんたが持ってなさい。
上手く使えば身を守るくらいはできるはずだから」
雪歩「え? でも……」
伊織「いいから。受け取らないと今すぐ律子達のとこに追い返してやるわよ」
そんな状態でもし何かあったらどうする気なのよ」
この言葉に雪歩が答えるより先に、
伊織は自分の鞄を探ってその中から何かを雪歩に差し出し、言った。
伊織「これ、渡しておくわ」
伊織の手に握られたのは、円筒状の何かが二本と、紙が一枚。
そして雪歩が紙に大きく印刷された文字を読んだのを確認し、言葉を続ける。
伊織「最初に配られた私の武器よ。もしもの時のためにあんたが持ってなさい。
上手く使えば身を守るくらいはできるはずだから」
雪歩「え? でも……」
伊織「いいから。受け取らないと今すぐ律子達のとこに追い返してやるわよ」
『もしもの時』
それは恐らく三人が離れ離れになった時のことを言っているのだと、雪歩は思った。
伊織の言う通り、今の自分には身を守る手段がまったく無い。
伊織と離れたあと再び生きて合流するために。
そのためにも、自分の身を自分で守れるようになっておくことは大切だ。
雪歩「……うん。ごめんね、伊織ちゃん。ありがとう」
自分の身を守るため、また伊織の想いを汲むため、
雪歩は二つの音響閃光手榴弾を受け取った。
伊織「……それじゃ、とっとと移動しましょ。
早くしないと一時間経っちゃうわ。説明書を読むのはその後でいいわね?」
雪歩「あ、うん……!」
雪歩の同意を得て、伊織は真美を連れ歩き出し、
雪歩もその隣に付いて歩き出した。
それは恐らく三人が離れ離れになった時のことを言っているのだと、雪歩は思った。
伊織の言う通り、今の自分には身を守る手段がまったく無い。
伊織と離れたあと再び生きて合流するために。
そのためにも、自分の身を自分で守れるようになっておくことは大切だ。
雪歩「……うん。ごめんね、伊織ちゃん。ありがとう」
自分の身を守るため、また伊織の想いを汲むため、
雪歩は二つの音響閃光手榴弾を受け取った。
伊織「……それじゃ、とっとと移動しましょ。
早くしないと一時間経っちゃうわ。説明書を読むのはその後でいいわね?」
雪歩「あ、うん……!」
雪歩の同意を得て、伊織は真美を連れ歩き出し、
雪歩もその隣に付いて歩き出した。
伊織「取り敢えず二つの集落に誰か居ないか、確認しましょう。
まずは南東側で、次に北西側。
多分北西側には居るでしょうけど、
もしかしたら居なくなってるかも知れないし、念のためにね」
と、歩き出してすぐ伊織はこれからの行き先を話した。
しかしこの言葉に雪歩は疑問を抱き、そしてすぐに口に出す。
雪歩「えっと……伊織ちゃん達も、その、北西側の集落に行ってみたの?」
伊織「『伊織ちゃん達も』ってことは、やっぱりあんたも行ってみたってこと?」
雪歩「あ、でも……私は、探知機で居ることが分かったらすぐ離れちゃって……」
伊織「……私も、行ったって程じゃないわ。
外から様子を窺ってみただけだし、大した情報は得られてない。
分かったのはそいつらがしばらくその集落に居座る気だろうってことと、
双葉杏と諸星きらりはそこには居ないっていうことくらいよ」
まずは南東側で、次に北西側。
多分北西側には居るでしょうけど、
もしかしたら居なくなってるかも知れないし、念のためにね」
と、歩き出してすぐ伊織はこれからの行き先を話した。
しかしこの言葉に雪歩は疑問を抱き、そしてすぐに口に出す。
雪歩「えっと……伊織ちゃん達も、その、北西側の集落に行ってみたの?」
伊織「『伊織ちゃん達も』ってことは、やっぱりあんたも行ってみたってこと?」
雪歩「あ、でも……私は、探知機で居ることが分かったらすぐ離れちゃって……」
伊織「……私も、行ったって程じゃないわ。
外から様子を窺ってみただけだし、大した情報は得られてない。
分かったのはそいつらがしばらくその集落に居座る気だろうってことと、
双葉杏と諸星きらりはそこには居ないっていうことくらいよ」
雪歩「そ、そう、なの? じゃあ誰が……?」
伊織「残念だけど、遠目だったからはっきり誰かまでは見えなかったわ。
飛び抜けて背が高い奴も低い奴も居なかったから
少なくともあいつらじゃないってことが分かっただけ」
雪歩「えっと、それじゃ、しばらく集落に居座る気、っていうのは……」
伊織「その三人、集落から出ない範囲でエリア移動してたみたいなのよ。
三人で固まって、家から家に移るって感じでね。
だからしばらくその集落の中で時間を過ごすつもりだって分かったの」
この質疑応答で、雪歩はおおよそは理解した。
が、その中で一つ引っかかったことがある。
それは、伊織が見たというアイドルの人数だ。
雪歩「三人……? え? そこに居たアイドルって、三人だったの?
北西の方の集落の話だよね……?」
伊織「残念だけど、遠目だったからはっきり誰かまでは見えなかったわ。
飛び抜けて背が高い奴も低い奴も居なかったから
少なくともあいつらじゃないってことが分かっただけ」
雪歩「えっと、それじゃ、しばらく集落に居座る気、っていうのは……」
伊織「その三人、集落から出ない範囲でエリア移動してたみたいなのよ。
三人で固まって、家から家に移るって感じでね。
だからしばらくその集落の中で時間を過ごすつもりだって分かったの」
この質疑応答で、雪歩はおおよそは理解した。
が、その中で一つ引っかかったことがある。
それは、伊織が見たというアイドルの人数だ。
雪歩「三人……? え? そこに居たアイドルって、三人だったの?
北西の方の集落の話だよね……?」
そう言って雪歩は地図を指し、伊織が言っている集落と
自分が考えている集落が一致していることを確認する。
伊織は雪歩の指し示した集落を見て、頷いた。
伊織「そうだけど、それがどうかした?」
雪歩「えっと……。その集落って、昨日の夜までは六人居たはずなんだけど……」
それを聞き、真美はその目に一際不安の色を濃くし、
伊織は意表を突かれたように目を見開く。
しかし特に動揺することなく、伊織は冷静に思考した。
伊織「つまり……残りの三人はどこかへ移動したってこと?」
雪歩「う、うん、多分。あっ、も、もしかしたらもう一つの集落に行ったのかも……!」
北西集落に居た六人のうち、三人は南東集落に向かった。
可能性としては十分にあり得る。
しかし伊織はそれに対し首を捻った。
自分が考えている集落が一致していることを確認する。
伊織は雪歩の指し示した集落を見て、頷いた。
伊織「そうだけど、それがどうかした?」
雪歩「えっと……。その集落って、昨日の夜までは六人居たはずなんだけど……」
それを聞き、真美はその目に一際不安の色を濃くし、
伊織は意表を突かれたように目を見開く。
しかし特に動揺することなく、伊織は冷静に思考した。
伊織「つまり……残りの三人はどこかへ移動したってこと?」
雪歩「う、うん、多分。あっ、も、もしかしたらもう一つの集落に行ったのかも……!」
北西集落に居た六人のうち、三人は南東集落に向かった。
可能性としては十分にあり得る。
しかし伊織はそれに対し首を捻った。
伊織「でも……その後もう一つの集落も見てみたけど、
少なくともその時には誰も居なかったわ。
まぁ見たって言っても、探知機を通してだけど……」
雪歩「あ、そうなんだ……。
そっちの方は直接行って調べたりはしなかったの?」
伊織「本当はそのつもりだったけど、行こうとしたらあんたが探知機に映ったから」
雪歩「え、あっ……ご、ごめんね、私のせいで……」
伊織「別に謝ることないわよ。優先順位を考えて行動したってだけ。
それより、早く集落が探知できる位置まで行ってみましょう。
あんたの言ったことも気になるしね」
雪歩「う、うん、そうだね!」
少なくともその時には誰も居なかったわ。
まぁ見たって言っても、探知機を通してだけど……」
雪歩「あ、そうなんだ……。
そっちの方は直接行って調べたりはしなかったの?」
伊織「本当はそのつもりだったけど、行こうとしたらあんたが探知機に映ったから」
雪歩「え、あっ……ご、ごめんね、私のせいで……」
伊織「別に謝ることないわよ。優先順位を考えて行動したってだけ。
それより、早く集落が探知できる位置まで行ってみましょう。
あんたの言ったことも気になるしね」
雪歩「う、うん、そうだね!」
そうして三人はエリア移動も兼ね、
まずは二つある集落のうち南東側の集落に向かって歩き始めた。
しかししばらく歩いたところで
探知機を持ち先頭を歩いていた伊織が足を止め、呟いた。
伊織「……居たわ。346プロが三人」
それを聞いて真美は身を固くし、
雪歩は緊張した面持ちで液晶を覗き込む。
すると確かに、346プロを示す点が三つ、集落内部に表示されていた。
伊織「あの時誰も居なかったのは、
移動中でまだ着いてなかっただけ、だったのかもね……」
雪歩「じゃ、じゃあやっぱり今は、どっちの集落にも346プロの人達が三人ずつ……」
伊織「多分ね。まぁ私が見た北西の三人がこっちに移動しただけの可能性もあるけど」
まずは二つある集落のうち南東側の集落に向かって歩き始めた。
しかししばらく歩いたところで
探知機を持ち先頭を歩いていた伊織が足を止め、呟いた。
伊織「……居たわ。346プロが三人」
それを聞いて真美は身を固くし、
雪歩は緊張した面持ちで液晶を覗き込む。
すると確かに、346プロを示す点が三つ、集落内部に表示されていた。
伊織「あの時誰も居なかったのは、
移動中でまだ着いてなかっただけ、だったのかもね……」
雪歩「じゃ、じゃあやっぱり今は、どっちの集落にも346プロの人達が三人ずつ……」
伊織「多分ね。まぁ私が見た北西の三人がこっちに移動しただけの可能性もあるけど」
伊織「もう少し北に行って、そっちの方も探知機で見てみましょう。
そうすればはっきりするわ」
そう言って伊織は向きを変えて進み、二人も黙ってそのあとを付いていった。
が、少し進んだところで伊織は再び立ち止まる。
その手に握られた探知機には、またしても346プロが三人表示されていた。
つまりこれで、昨晩北西側で一緒に居た六人が今
二つの集落に分かれているということがほぼ確定した。
これを見て、伊織は眉根を寄せて考える。
北西側に居る三人が自分が見た三人のままだとすれば、つまり……
伊織「さっきの、南東側に反応のあった三人……。
あれが双葉杏達のグループかも知れないわね」
その言葉に雪歩と真美は息を呑む。
そして伊織は二人に目を向けて静かに言った。
伊織「確認しましょう。今南東側に居るのが、あいつらなのかどうか」
そうすればはっきりするわ」
そう言って伊織は向きを変えて進み、二人も黙ってそのあとを付いていった。
が、少し進んだところで伊織は再び立ち止まる。
その手に握られた探知機には、またしても346プロが三人表示されていた。
つまりこれで、昨晩北西側で一緒に居た六人が今
二つの集落に分かれているということがほぼ確定した。
これを見て、伊織は眉根を寄せて考える。
北西側に居る三人が自分が見た三人のままだとすれば、つまり……
伊織「さっきの、南東側に反応のあった三人……。
あれが双葉杏達のグループかも知れないわね」
その言葉に雪歩と真美は息を呑む。
そして伊織は二人に目を向けて静かに言った。
伊織「確認しましょう。今南東側に居るのが、あいつらなのかどうか」
双葉杏と諸星きらりは現時点で確実に765プロにとっての脅威となる存在である。
だからその二人の所在を確かめることが現時点での最優先事項だと、伊織は考えていた。
だが、それを聞き最も大きく反応したのがやはり真美だ。
亜美を殺した二人の近くに行くと聞き、恐怖が蘇ってくる。
伊織は自分の袖を掴む真美の手の震えを感じ、
その手を優しく握って落ち着いた声で言った。
伊織「大丈夫よ。向こうが私達に気付くような位置には絶対行かないわ。
こっちには探知機があるんだから、安心しなさい」
その言葉を聞き、そして伊織の目を少しの間じっと見て、真美は黙って頷いた。
真美が納得してくれたのを確認し、伊織は次いで雪歩に目を向ける。
雪歩もまた、伊織の目を見て黙って頷いた。
伊織「……決まりね。それじゃ、行きましょう」
だからその二人の所在を確かめることが現時点での最優先事項だと、伊織は考えていた。
だが、それを聞き最も大きく反応したのがやはり真美だ。
亜美を殺した二人の近くに行くと聞き、恐怖が蘇ってくる。
伊織は自分の袖を掴む真美の手の震えを感じ、
その手を優しく握って落ち着いた声で言った。
伊織「大丈夫よ。向こうが私達に気付くような位置には絶対行かないわ。
こっちには探知機があるんだから、安心しなさい」
その言葉を聞き、そして伊織の目を少しの間じっと見て、真美は黙って頷いた。
真美が納得してくれたのを確認し、伊織は次いで雪歩に目を向ける。
雪歩もまた、伊織の目を見て黙って頷いた。
伊織「……決まりね。それじゃ、行きましょう」
伊織の言葉を合図に、三人は南東側の集落へ向かった。
移動中、伊織は常に探知機に注意を払っていたが、346プロを示す点に大きな動きはなかった。
そしてとうとう、木々の間から集落の様子が見える位置までやってきた。
伊織「……大丈夫。距離はまだまだあるから」
呼吸が早くなっている真美に、伊織は囁くように声をかける。
真美は返事をする代わりに、伊織の袖を更に強く握った。
伊織の言う通り、まだ十分以上に距離はある。
向こうからはまず気付かれようがない。
しかし姿が見えないのは伊織達にとっても同じこと。
今居る場所からは、敵が居るであろう建物すら見えていない。
せめて姿自体は見えなくとも、居る場所だけでも視認しておきたい。
移動中、伊織は常に探知機に注意を払っていたが、346プロを示す点に大きな動きはなかった。
そしてとうとう、木々の間から集落の様子が見える位置までやってきた。
伊織「……大丈夫。距離はまだまだあるから」
呼吸が早くなっている真美に、伊織は囁くように声をかける。
真美は返事をする代わりに、伊織の袖を更に強く握った。
伊織の言う通り、まだ十分以上に距離はある。
向こうからはまず気付かれようがない。
しかし姿が見えないのは伊織達にとっても同じこと。
今居る場所からは、敵が居るであろう建物すら見えていない。
せめて姿自体は見えなくとも、居る場所だけでも視認しておきたい。
伊織はそれを雪歩と真美に伝え、了承を得た。
三人は森の中から出ないよう、集落周辺を時計回りに移動する。
その間、伊織は探知機と実際に見える集落の様子を照らし合わせながら、
敵が潜んでいる建物を慎重に探った。
そしてもうすぐ進めば恐らくその建物が見えるはず……
というところで、三人は同時に足を止めた。
それまで何の変哲もなかった風景に、突如異様なものが混ざった。
伊織「……何、あれ。血……?」
地面の一部に、広く赤いものが飛び散ったような痕跡がある。
伊織と真美は一瞬、それが一体何を意味しているのか分からなかった。
だが雪歩はすぐに思い当たった。
雪歩「ば……爆発、したんだ……。それで、ここで誰かが……」
三人は森の中から出ないよう、集落周辺を時計回りに移動する。
その間、伊織は探知機と実際に見える集落の様子を照らし合わせながら、
敵が潜んでいる建物を慎重に探った。
そしてもうすぐ進めば恐らくその建物が見えるはず……
というところで、三人は同時に足を止めた。
それまで何の変哲もなかった風景に、突如異様なものが混ざった。
伊織「……何、あれ。血……?」
地面の一部に、広く赤いものが飛び散ったような痕跡がある。
伊織と真美は一瞬、それが一体何を意味しているのか分からなかった。
だが雪歩はすぐに思い当たった。
雪歩「ば……爆発、したんだ……。それで、ここで誰かが……」
今朝聞いた爆発音はこれだったのだと、雪歩は気付いた。
そして雪歩の言葉を聞き、伊織と真美もそれが爆発の跡だと知る。
つまり何か爆弾のようなもので、ここで誰かが負傷した。
土に染み込んだ血の量を見ると、あるいは死んでしまったのかも知れない。
まさか765プロの誰かが……と嫌な想像をしてしまった自分を伊織は戒める。
しかしそれを考えたのは伊織だけではなかった。
真美「ち……違うよね? ねぇいおりん、ゆきぴょん、違うよね?
誰も死んでないよね? 怪我しちゃっただけだよね?」
早口気味に二人にそう問う真美。
「誰も」というのが765プロの人間を指すのか、
それとも346プロを含めた全員を指すのか、それは分かりかねた。
もしかすると真美自身にも分かっていないのかも知れない。
だがとにかく今は真美の不安を払ってやらなければ。
伊織はそう思い、努めて冷静に返事をした。
そして雪歩の言葉を聞き、伊織と真美もそれが爆発の跡だと知る。
つまり何か爆弾のようなもので、ここで誰かが負傷した。
土に染み込んだ血の量を見ると、あるいは死んでしまったのかも知れない。
まさか765プロの誰かが……と嫌な想像をしてしまった自分を伊織は戒める。
しかしそれを考えたのは伊織だけではなかった。
真美「ち……違うよね? ねぇいおりん、ゆきぴょん、違うよね?
誰も死んでないよね? 怪我しちゃっただけだよね?」
早口気味に二人にそう問う真美。
「誰も」というのが765プロの人間を指すのか、
それとも346プロを含めた全員を指すのか、それは分かりかねた。
もしかすると真美自身にも分かっていないのかも知れない。
だがとにかく今は真美の不安を払ってやらなければ。
伊織はそう思い、努めて冷静に返事をした。
伊織「えぇ、その通りよ。だから変な想像をするのはやめましょう」
雪歩「そ、そうだよ! みんなきっと大丈夫だから、心配しないで?」
二人揃っての返事に、真美の表情は少し和らいだ。
伊織はそれに微かな安堵を覚えつつ、今自分が言ったことを頭の中で復唱する。
前半部分は真美を落ち着かせるための言葉だったが、
後半部分は自分に言い聞かせるためのものでもあった。
そうだ、勝手に悪い結果を想像したって何の意味もない。
それより今はやるべきことがある。
伊織「もう少し進むわよ……。
そしたら、346プロの奴らの居場所が見えるはずだから」
雪歩「そ、そうだよ! みんなきっと大丈夫だから、心配しないで?」
二人揃っての返事に、真美の表情は少し和らいだ。
伊織はそれに微かな安堵を覚えつつ、今自分が言ったことを頭の中で復唱する。
前半部分は真美を落ち着かせるための言葉だったが、
後半部分は自分に言い聞かせるためのものでもあった。
そうだ、勝手に悪い結果を想像したって何の意味もない。
それより今はやるべきことがある。
伊織「もう少し進むわよ……。
そしたら、346プロの奴らの居場所が見えるはずだから」
その後少し進むと伊織の言った通り、
346プロのアイドル達が居る民家が見えた。
今伊織達が居る場所は特に草木が深く、身を隠すのにはちょうどいい。
三人はそこでしばらく様子を窺い、
どれだけの時間が経った頃か。
伊織「っ! 出てくるわ……!」
この言葉に、雪歩と真美は民家の出入り口を注視する。
伊織は液晶と民家との間を視線を行き来させる。
そしてそれから数十秒後、ついに姿を現した。
伊織達は息を殺して目を凝らし、
それが三村かな子、赤城みりあ、諸星きらりの三人であることを確認した。
伊織の推測を外し、そこに双葉杏はおらず、
またその様子も想像していたものとは少し違っていた。
346プロのアイドル達が居る民家が見えた。
今伊織達が居る場所は特に草木が深く、身を隠すのにはちょうどいい。
三人はそこでしばらく様子を窺い、
どれだけの時間が経った頃か。
伊織「っ! 出てくるわ……!」
この言葉に、雪歩と真美は民家の出入り口を注視する。
伊織は液晶と民家との間を視線を行き来させる。
そしてそれから数十秒後、ついに姿を現した。
伊織達は息を殺して目を凝らし、
それが三村かな子、赤城みりあ、諸星きらりの三人であることを確認した。
伊織の推測を外し、そこに双葉杏はおらず、
またその様子も想像していたものとは少し違っていた。
赤城みりあが周囲を警戒し、そして三村かな子が諸星きらりを背負っている。
諸星きらりはぐったりとしていて、どうやら気絶しているようだった。
伊織達はそのまま黙って身を伏せ、
かな子達が別の家へと入っていったのを見届けた。
そして声を抑え、今見た光景について話し合いを始める。
伊織「……エリアを移っただけみたいね。あいつらもしばらくこの集落に居るつもりみたい」
雪歩「あ、あの子……気絶してたのかな。もしかして、爆発のせいで……?」
伊織「そうかもね……。細かい理由は分からないけど。
でも気絶の理由なんてどうでもいいわ。
大事なのは、これは間違いなく私達にとってチャンスってことよ」
伊織はそう言い、拳銃をぐっと握り締める。
亜美を殺した二人のうち、一人が今気を失っている。
つまりこれは仇を討つチャンスであり、
765プロにとっての脅威を一つ減らせるチャンスでもあるのだ。
諸星きらりはぐったりとしていて、どうやら気絶しているようだった。
伊織達はそのまま黙って身を伏せ、
かな子達が別の家へと入っていったのを見届けた。
そして声を抑え、今見た光景について話し合いを始める。
伊織「……エリアを移っただけみたいね。あいつらもしばらくこの集落に居るつもりみたい」
雪歩「あ、あの子……気絶してたのかな。もしかして、爆発のせいで……?」
伊織「そうかもね……。細かい理由は分からないけど。
でも気絶の理由なんてどうでもいいわ。
大事なのは、これは間違いなく私達にとってチャンスってことよ」
伊織はそう言い、拳銃をぐっと握り締める。
亜美を殺した二人のうち、一人が今気を失っている。
つまりこれは仇を討つチャンスであり、
765プロにとっての脅威を一つ減らせるチャンスでもあるのだ。
この機を逃してはいけない。
敵は今、少し離れたところに見える民家の中に入っている。
問題はどちらの選択を取るかだ。
つまり、自分から民家に突入するか、
相手が次のエリア移動のため外に出てくるまで待つか。
どちらにもそれぞれ懸念事項はある。
前者は突入に備えられている恐れがあり、
後者はその時には既にきらりが意識を取り戻している恐れがある。
だがどちらにせよ、出来ればここで始末しておきたい。
そのためにはどうするか……二人の意見も聞いておこう。
そう考え、伊織は二人に話しかけるため探知機から視線を上げようとした。
が、しかし。
その直前で伊織の目は液晶に釘付けになった。
765プロを示す点が一つ、
北西側の集落に向かって歩いていた。
敵は今、少し離れたところに見える民家の中に入っている。
問題はどちらの選択を取るかだ。
つまり、自分から民家に突入するか、
相手が次のエリア移動のため外に出てくるまで待つか。
どちらにもそれぞれ懸念事項はある。
前者は突入に備えられている恐れがあり、
後者はその時には既にきらりが意識を取り戻している恐れがある。
だがどちらにせよ、出来ればここで始末しておきたい。
そのためにはどうするか……二人の意見も聞いておこう。
そう考え、伊織は二人に話しかけるため探知機から視線を上げようとした。
が、しかし。
その直前で伊織の目は液晶に釘付けになった。
765プロを示す点が一つ、
北西側の集落に向かって歩いていた。
伊織の様子が変わったことに気付き、雪歩と真美も左右から液晶を覗き込む。
そして、二人同時に目を見開いた。
今一人で行動していると考えられるのは、
美希か、真か、あずさのうちの誰か。
だが伊織は直感的に、あずさだと感じた。
もしあずさだとすれば、
まず間違いなく346プロに対して敵意など抱いていない。
それに対し、今彼女が向かっている集落に居る者達は、
遠目から見ただけでも明らかに周囲を警戒していることは分かった。
つまり、少なくともある程度の敵意は抱いている。
もしそれが敵意で収まらず、殺意であったなら……。
伊織「ッ……急ぐわよ!」
そう叫ぶが早いか、伊織は真美の手を引いて駆け出す。
そして雪歩もそのすぐ後ろに続き、三人は北西の集落へと走った。
そして、二人同時に目を見開いた。
今一人で行動していると考えられるのは、
美希か、真か、あずさのうちの誰か。
だが伊織は直感的に、あずさだと感じた。
もしあずさだとすれば、
まず間違いなく346プロに対して敵意など抱いていない。
それに対し、今彼女が向かっている集落に居る者達は、
遠目から見ただけでも明らかに周囲を警戒していることは分かった。
つまり、少なくともある程度の敵意は抱いている。
もしそれが敵意で収まらず、殺意であったなら……。
伊織「ッ……急ぐわよ!」
そう叫ぶが早いか、伊織は真美の手を引いて駆け出す。
そして雪歩もそのすぐ後ろに続き、三人は北西の集落へと走った。
今日はこのくらいにしておきます
続きは多分土曜か日曜になります
続きは多分土曜か日曜になります
おつかれ
このあと杏の武器を伊織たちがかっさらうパターンかと期待してました
このあと杏の武器を伊織たちがかっさらうパターンかと期待してました
乙でした
しかしもしまた武器奪われたらマジで346側どうしようもねーぞ
死者3人無力化1人怪我人1人対死者1人ほぼ無力化1人怪我人2人
動けるなら怪我人でも十分な戦力になるし加えて346はショットガン、拳銃、手榴弾、探知機奪われてんだろ?
しかしもしまた武器奪われたらマジで346側どうしようもねーぞ
死者3人無力化1人怪我人1人対死者1人ほぼ無力化1人怪我人2人
動けるなら怪我人でも十分な戦力になるし加えて346はショットガン、拳銃、手榴弾、探知機奪われてんだろ?
杏(急戦派)・きらり・かな子
↓
きらり・かな子・みりあ
このグループに急戦派ひとりも居ないんだよな
↓
きらり・かな子・みりあ
このグループに急戦派ひとりも居ないんだよな
ぶっちゃけ雪歩のスコップ(シャベル)についてはどっからどうやって取り出してるかも不明
それに何より殺し合いを楽しんでるやつらなわけだから仮に着替えさせられた時に見付けられてても楽しくなるならと、見て見ぬふりしてそうだが
それに何より殺し合いを楽しんでるやつらなわけだから仮に着替えさせられた時に見付けられてても楽しくなるならと、見て見ぬふりしてそうだが
雪歩は元のゲームで穴掘って埋まったりしてねーよ
二次創作に毒されすぎ
二次創作に毒されすぎ
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