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元スレ京太郎「修羅場ラヴァーズ」揺杏「絶対無敵のラブラブラブ!」
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いつまで、じっとしていたんだろう。
涙が乾いて、冷たい風が身を包む。
温まりたい。温めてほしい。
けれど、それは叶わない。
頑張ったけれど、振られてしまったのだから――
「本当に、それでいいの?」
涙が乾いて、冷たい風が身を包む。
温まりたい。温めてほしい。
けれど、それは叶わない。
頑張ったけれど、振られてしまったのだから――
「本当に、それでいいの?」
屋上から立ち去ろうとする揺杏の足を止めた声。
声の方に振り向くと、誓子と爽が無表情で立っていた。
涙の跡を拭うことも忘れて、揺杏は枯れた声を返す。
「他に、どうしようもないじゃん」
自分は振られたのだ。
その理由も、わかっている。
そして、彼が振り向くこともない。
それは、揺杏の言う通り。
どうやっても、変えられない。
「よそもの、だろ」
「奪われたのよ。私たちは」
……変えられない、筈なのに。
揺杏は、2人を否定することはできなかった。
声の方に振り向くと、誓子と爽が無表情で立っていた。
涙の跡を拭うことも忘れて、揺杏は枯れた声を返す。
「他に、どうしようもないじゃん」
自分は振られたのだ。
その理由も、わかっている。
そして、彼が振り向くこともない。
それは、揺杏の言う通り。
どうやっても、変えられない。
「よそもの、だろ」
「奪われたのよ。私たちは」
……変えられない、筈なのに。
揺杏は、2人を否定することはできなかった。
少し前まで誓子は一応まだ正気っぽかったけどどうやら堕ちてしまったようだ
「これ、絶対に京太郎くんに似合いますよっ!!」
瞳をキラキラさせて由暉子が京太郎に差し出したジャケット。
ファー多め、シルバー多め、背中には大きな逆十字。
……有珠山の生徒としていいのかそれは、と思う。
「ち、ちょっと派手過ぎないか?」
「コレでも足りませんっ」
付き合い始めてからより深く知る彼女の美的センス。
なんというか――実に、闇に飲まれよだ。
「あー、でもさ……うん。ちょっと、有珠山の生徒としてなぁ……」
「そうですか……」
「ごめんな」
しゅん、と落ち込む由暉子の頭を撫でてみる。
ロップイヤーのような髪まで萎んでいるように見えるから不思議だ。
「じゃあ、次のを探してきますから。待っててください」
ジャケットを胸に抱えて、彼女は店の奥に入って行った。
お互いの服を買いに来たデート。
あれこれと探してみてはいるが、中々に理想のモノは見つからない。
由暉子の後ろ姿を見送った京太郎は、一つ深く息を吐き――
「大変だなー、少年や」
瞳をキラキラさせて由暉子が京太郎に差し出したジャケット。
ファー多め、シルバー多め、背中には大きな逆十字。
……有珠山の生徒としていいのかそれは、と思う。
「ち、ちょっと派手過ぎないか?」
「コレでも足りませんっ」
付き合い始めてからより深く知る彼女の美的センス。
なんというか――実に、闇に飲まれよだ。
「あー、でもさ……うん。ちょっと、有珠山の生徒としてなぁ……」
「そうですか……」
「ごめんな」
しゅん、と落ち込む由暉子の頭を撫でてみる。
ロップイヤーのような髪まで萎んでいるように見えるから不思議だ。
「じゃあ、次のを探してきますから。待っててください」
ジャケットを胸に抱えて、彼女は店の奥に入って行った。
お互いの服を買いに来たデート。
あれこれと探してみてはいるが、中々に理想のモノは見つからない。
由暉子の後ろ姿を見送った京太郎は、一つ深く息を吐き――
「大変だなー、少年や」
ニヤニヤしながら話しかけてきた幼馴染3人組。
デートの様子を見ていたのだろう、こっちをからかう気満々なオーラを感じた。
「ユキのお眼鏡にかなうものは中々にないからなー」
「京太郎もハッチャケちゃえばいいのに」
「難しいって、それ」
なんせ由暉子の有珠山を志望した理由は「聖書を学ぶとか格好いいから」だ。
困って頰をかく京太郎に、誓子が優しく微笑みかけた。
彼女が年上である、ということを意識させる表情だ。
「そんな京太郎に、いいものがあるのよ」
「お?」
「新作。二人が付き合った記念に作ってみたんだ」
「おお!」
「向こうで渡すからちょっと付いてこーい」
なんというサプライズか。
得意気な揺杏、優しく微笑みを浮かべる誓子、楽し気な爽。
実に頼りになる笑顔の3人に手を引かれて、京太郎はその場から立ち去った。
マナーモードにしたままの携帯への着信には、気付かずに。
「……京太郎くん?」
デートの様子を見ていたのだろう、こっちをからかう気満々なオーラを感じた。
「ユキのお眼鏡にかなうものは中々にないからなー」
「京太郎もハッチャケちゃえばいいのに」
「難しいって、それ」
なんせ由暉子の有珠山を志望した理由は「聖書を学ぶとか格好いいから」だ。
困って頰をかく京太郎に、誓子が優しく微笑みかけた。
彼女が年上である、ということを意識させる表情だ。
「そんな京太郎に、いいものがあるのよ」
「お?」
「新作。二人が付き合った記念に作ってみたんだ」
「おお!」
「向こうで渡すからちょっと付いてこーい」
なんというサプライズか。
得意気な揺杏、優しく微笑みを浮かべる誓子、楽し気な爽。
実に頼りになる笑顔の3人に手を引かれて、京太郎はその場から立ち去った。
マナーモードにしたままの携帯への着信には、気付かずに。
「……京太郎くん?」
成香は置いてきた
はっきり言ってこの闘いについていけそうにない
はっきり言ってこの闘いについていけそうにない
誓子、爽、揺杏、そして京太郎。
この4人が行方不明になったという知らせを由暉子が聞いたのは――その、翌日のこと。
「ユキ、ちゃん……」
「……」
たった二人だけの部室。
自分も辛いはずなのに、成香は気遣うように声をかける。
大丈夫です、と声を返せたらいいのに――視線を携帯から離せない。
彼からの着信が無いか、メールは来ないのか。
結局、その返事は――由暉子が卒業しても、来ることはなかった。
この4人が行方不明になったという知らせを由暉子が聞いたのは――その、翌日のこと。
「ユキ、ちゃん……」
「……」
たった二人だけの部室。
自分も辛いはずなのに、成香は気遣うように声をかける。
大丈夫です、と声を返せたらいいのに――視線を携帯から離せない。
彼からの着信が無いか、メールは来ないのか。
結局、その返事は――由暉子が卒業しても、来ることはなかった。
あのジャケット、ルシルフルさんのを連想したのは俺だけかな(現実逃避)
それが、彼女の思い出。
今の由暉子を突き動かす心の支えであり、世界の中心。
「あっ」
突然、曲がり角から飛び出してきた女の子。
背丈からして年齢は5才前後だろうか、由暉子にぶつかって転んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「ご、ごめんなさいっ」
幸いにも擦り傷はない。
今にも泣き出しそうなのは――ぶつかってしまって、怒られることを恐れているからだろうか。
「……」
由暉子は屈んで女の子に視線を合わせる。
そして、女の子の目の前に掲げて見せるのは一つの白牌。
何をするのか、目が白牌に釘付けになる女の子に、由暉子は――
「あっ! 文字がっ!」
「ふふっ」
何もない牌に、文字を浮かべる手品。
彼がいなくなってからも、ずっと練習を続けた技。
彼との繋がりを感じることができる、一つのもの。
今の由暉子を突き動かす心の支えであり、世界の中心。
「あっ」
突然、曲がり角から飛び出してきた女の子。
背丈からして年齢は5才前後だろうか、由暉子にぶつかって転んでしまった。
「大丈夫ですか?」
「ご、ごめんなさいっ」
幸いにも擦り傷はない。
今にも泣き出しそうなのは――ぶつかってしまって、怒られることを恐れているからだろうか。
「……」
由暉子は屈んで女の子に視線を合わせる。
そして、女の子の目の前に掲げて見せるのは一つの白牌。
何をするのか、目が白牌に釘付けになる女の子に、由暉子は――
「あっ! 文字がっ!」
「ふふっ」
何もない牌に、文字を浮かべる手品。
彼がいなくなってからも、ずっと練習を続けた技。
彼との繋がりを感じることができる、一つのもの。
「すっげー! おねーさん、まほーつかいか!」
「ふふ……どうでしょうね?」
「っ! そういやおねーさんテレビで見たことあるし!」
「あら、バレちゃいましたか」
泣き顔から一転、瞳を輝かせる女の子。
かつての自分を思い出して、由暉子は小さく微笑んだ。
「うん、おとーさんよくおねーさん見て泣いてる」
「な、泣き……?」
「ごめんって、あやまってた!」
「……え?」
その言葉を、聞いた瞬間に。
由暉子は、目の前の女の子以外のものが見えなくなった。
「ふふ……どうでしょうね?」
「っ! そういやおねーさんテレビで見たことあるし!」
「あら、バレちゃいましたか」
泣き顔から一転、瞳を輝かせる女の子。
かつての自分を思い出して、由暉子は小さく微笑んだ。
「うん、おとーさんよくおねーさん見て泣いてる」
「な、泣き……?」
「ごめんって、あやまってた!」
「……え?」
その言葉を、聞いた瞬間に。
由暉子は、目の前の女の子以外のものが見えなくなった。
金髪のポニーテール。
この髪型は、記憶の中で見た事がある。
この髪の色は、どれだけ時間が経っても、記憶の中で色褪せる事はない。
「じゃね! おねーさん! あたし今からちーちゃんちいくから!」
少し、つり目っぽく見える睫毛。
記憶と重なる、女の子の容姿。
由暉子は、走り去ろうとする女の子の肩に手を置いた。
「なに?」
「ふふ……今から、私とお茶しませんか?」
「おちゃ?」
「ええ――お菓子もジュースも、ケーキだって。いっぱい、ありますから」
「マジ!? いくいくっ!!」
由暉子は、女の子と手を繋いで歩きだす。
離れないように。離さないように。
「お菓子を食べたら……そうですね。ライブに行きましょう」
「ライブ?」
「ええ――特別出張ライブ、あなたのお家です」
【よそもの】
この髪型は、記憶の中で見た事がある。
この髪の色は、どれだけ時間が経っても、記憶の中で色褪せる事はない。
「じゃね! おねーさん! あたし今からちーちゃんちいくから!」
少し、つり目っぽく見える睫毛。
記憶と重なる、女の子の容姿。
由暉子は、走り去ろうとする女の子の肩に手を置いた。
「なに?」
「ふふ……今から、私とお茶しませんか?」
「おちゃ?」
「ええ――お菓子もジュースも、ケーキだって。いっぱい、ありますから」
「マジ!? いくいくっ!!」
由暉子は、女の子と手を繋いで歩きだす。
離れないように。離さないように。
「お菓子を食べたら……そうですね。ライブに行きましょう」
「ライブ?」
「ええ――特別出張ライブ、あなたのお家です」
【よそもの】
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