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元スレ京太郎「私は、瑞原はやりです☆」
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不穏な空気になったところで寝落ちでしょうか。
とりあえず乙&次回に期待
とりあえず乙&次回に期待
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はやり「ばいばーい、京太郎くん!またねー!」
京太郎「ええ、また明日です…はやりさん」
向こうも手を振りながら、挨拶をしてくれたので、こっちも手を振ってそれに答えた
あの、はやりさんの不機嫌な状態は、あの後すぐに治まった。というか、一瞬で霧散したというか
あれは、一体何だったんだろう?
いくら、はやりさんがスサノオ嫌いの乙女だったとしても、あの反応は少し変だった
たぶん、俺にも分からないような、彼女の内面の深くデリケートな部分を、意図せず触れてしまったんだ
途中まで、結構いい雰囲気だったのに、悪いことしちゃったな。俺ってほんとアホ…
京太郎「…入るか」
あまり深刻に考えたって、しょうもない。今日のことは忘れよう
家の中に入ろうとカバンから鍵を取り出して、ドアに差し込む
すると、後ろから
戒能「グッドイーブニン、須賀くん」
京太郎「か、戒能プロ!?、こんなところで何やって…」
戒能「君と、それにはやりさんの様子を見に、ちょっとね」
京太郎「そ、それはわざわざどうも」
戒能「勝手なこと言って悪いんだけど、寒いから早く中に入れてもらえると嬉しいかな」
京太郎「ああ、すみません。すぐに鍵開けますから」
戒能「…しかし、須賀くん。もうお互い下の名前呼び合っているとは──実は年上キラーなのかな?」
京太郎「違いますっ!」
京太郎「先に連絡してもらえれば、もうちょっとマシなおもてなしができましたのに」
戒能「より自然な状態を観察したくてね。授業参観では、実際の子供の様子なんて分からないよ」
京太郎「はあ。それで、何か分かりました?」
戒能「いや、何も。ただ、仲睦まじくて、軽くジェラシーを感じたくらい」
京太郎「めちゃめちゃ、個人的なだけの意見じゃないすか…」
戒能「なんだ、須賀くん。もっと、洞察溢れた超自然的な答えでも望んていたのかな?」
京太郎「そこまででは…」
戒能「私は、普通の人間だよ。そういうのは、恐山のイタコにでも聞くといい」
俺にとっちゃ、あなたも十分イタコです
戒能「さて、もう話すことなくなっちゃった」
京太郎「ほんとに様子を見に来ただけなんですね…」
戒能「そうだ、確か君は清澄だったね。インターハイに来ていたってことは、麻雀は打てるのかな?」
京太郎「打てるもなにも、俺部員ですから最低限のことならできますよ」
戒能「えっ、須賀くんが?これはソーリー…マネージャーか何かと…」
京太郎「アハハ…別にいいっすよ。俺なんて、石ころ帽子を被った人間よりも存在感が薄いって評判の人間ですからね…」
戒能「Oh…」
京太郎「いいんだ、いいんだ…どーせ、俺なんか県予選敗退の、面汚し…清澄が誇る、面目丸潰し男なんだ…」
戒能「ほ、ほら、だったらネトマしよう、ネトマ!私が、少し教えてあげるから、ねっ?」
京太郎「…うぅ、同情が心に沁みる」
_______
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京太郎「ハハ…3位が一回で他が4位…ハハ…ヤッタゼ」
戒能「うーん」
京太郎「どうでした?」
戒能「酷いもんだね」
京太郎「あんまりだ」
戒能「しかし…」
京太郎「?」
戒能「例えば…ここなんだけど、なぜこの牌を切ろうと思ったの?」
京太郎「えーと、そこは正直恥ずかしい話なんですが──勘です」
戒能「…なるほど」
京太郎「ダメでした?」
戒能「うんそうだね、ダメダメだね」
京太郎「うわーん」
戒能「けど、終わった今になって考えてみると、まるで……いや、偶然?…しかし」ボソボソ
京太郎「はい?」
戒能「君は、変な打ち方をするんだね」
京太郎「キュアリアス?」
戒能「イエス、キュアリアス」
京太郎「みんなにもよく言われますよ。あんまりにも弱いんで、せめてもの情けって、やつですね」
戒能「ふふっ…確かに高校生ではそうかもね。分からないだろうね、これは」
京太郎「?」
戒能「ねえ、須賀くん。今すぐそんな、勘に頼った変な打ち方は忘れるんだ」
京太郎「え、えと」
戒能「私が教えてあげるよ。麻雀の打ち方を」
京太郎「えっ」
戒能「須賀くん、私の弟子になってみない?」
京太郎「はい!?」
戒能「これからは、ぜひ"師匠"と呼んでくれていい。なんだったら、"マスター"でも」
京太郎「はい!?」
戒能「私も、今から君のことを"京太郎"と呼ぶことにしよう。もしくは、"パダワン"かな」
京太郎「はい!?」
戒能「私達の関係も、これでまた一歩完璧に近づいたね」
京太郎「いつから見てたんですかっ!?」
戒能さんはルー大柴みたいな話し方をする
ルー大柴は男、そりゃ男っぽい話し方になるだろうな、うん
ルー大柴は男、そりゃ男っぽい話し方になるだろうな、うん
>>159
戒能プロの敬語での喋り方は、原作の方でもそこそこサンプルがありますけど
年下に対する喋りが、11巻の愛宕洋榎に対する台詞の一つだけだったので、正直全く自信がありません
違和感を与えてしまって申し訳ありません
戒能プロの敬語での喋り方は、原作の方でもそこそこサンプルがありますけど
年下に対する喋りが、11巻の愛宕洋榎に対する台詞の一つだけだったので、正直全く自信がありません
違和感を与えてしまって申し訳ありません
──11月上旬 長野 文化祭前日
─瑞原はやり
はやり「竹井先輩、どうでした?」
久「んー…やっぱりダメだったわ。たった一人の個人のために、体育館の使用許可は与えられない、って」
はやり「…そうですか」
久「ごめんね。まあ、ほぼ決まってたものを取り消すってのはどうかと思うけど、校長の言い分も分からなくはないわ」
はやり「文化祭はみんなのもの、ってことですね」
久「うちの校長頑固だから、たぶん考えは変えないと思うわ」
はやり「なるほど…いや、無理言ってすみませんでした。受験だってあるのに」
久「いいのよ、気にしないで須賀くん。それにまだあなた、諦めてないでしょ」
はやり「あはは、バレましたか」
久「あなたが何をやろうとしてるのか知らないけど、部活のあと和と一緒にやってることと関係があるのは確かね」
はやり「何のことだか」
久「まっ、楽しみにしてるわ須賀くん。じゃね」
はやり「はい、お疲れ様です」
はやり「うーん、どうしよっか…このままじゃ、プロデューサー失格だよ」
京太郎くんに相談してみようかな
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
─2週間前
はやり「今日のレッスンもよく頑張ったな」
和「いや、私なんてまだまだ。プロデューサーさんに比べたら…」
はやり「俺のようになるには、長い訓練と経験が必要だ」
和「訓練と、経験…?」
はやり「練習だけではダメだ。頭の中で描いた理想を、現実で表現することができて初めて、人を感動させることができる」
和「プロデューサーさん…」
プロデューサーさんってすごい…、みたいな顔してるけど、当たり前のことだからね、これ
チョロ過ぎるよ、和ちゃん
はやり「んんっ…さて、そこでだ」
和「?」
はやり「来たる2週間後、文化祭が待ち構えているのは知っているな」
和「は、はい」
はやり「そこでだ!!、そこで和には、単独ライブを行ってもらう!」
和「…………ええっ!?」
はやり「場所はもうすでに確保した。体育館の演目のトリだ。おいしいだろう?」
和「む、むむむむ無理ですよ!?、歌だってダンスだって、まだまだなのに、いきなりそんな!?」
はやり「無理だから、できないからやらないでは、いつまで経ってもできないままだ」
和「そ、それはその通りですけど」
はやり「舞い込んだチャンスをモノにする…これもアイドルに必要な資質だ」
和「で、でも」
はやり「そう、そしてそれは麻雀であっても同じこと」
和「!!」
はやり「また一つ強くなるチャンスだ、和。やってみないか?」
和「はい!!」
やっぱりチョロい
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
確かに、あの時点ではきちんと場所を確保できていた
しかし、あれからすぐのこと
体育館のスケジュール表が出来上がったとのことで、実行委員に渡された用紙を見てみると
なんと、私の指定した時間帯には、まったく別の部活動のためにに割り振られていたのだ
校長先生に直訴しに行ったんだけど…
校長『ダメだ。文化祭中の体育館のスケジュールは、厳正なルールの元に決められている』
校長『残念ながら、優先順位と言うものが存在するのだよ。うちでは、部活優先と決まっている』
校長『なに?、実行委員との口約束など、この場合無効だ』
校長『それに、君はなにか裏で手を回していたようじゃないか。ネックは時間帯かな?』
校長『まあ、なんでもいいが。しかし、学生生活には公正さというのが必要なのだよ』
校長『さあ、帰りたまえ』
とかなんとか
まあ……内木くんをマホちゃんの体操服姿の写真で買収してさ、便宜図ってもらったのは確かだし悪かったけどさ…
しかし、困ったなあ。これじゃあ、和ちゃんの初ライブが台無しになっちゃうよ
久ちゃんには、学生議会にあたってもらったけどダメだった
校長は、結局折れることはなかった
もう、こうなったらゲリラライブをするしか…
いやいやいやいや、和ちゃんみたいな正統派アイドルにそういうイメージはそぐわない
やはり、なんとかして校長を説き伏せるしかない
京太郎くん、もし可能なら、私に知恵を貸して
─須賀京太郎
ピンポーン
京太郎「はいはい、なんですか勧誘ですかお断りですよ」
はやり「やっ」
京太郎「ああ、はやりさんですか。どうかしました、こんな時間に?」
はやり「京太郎くんに、ちょっと相談があるの。お願い、聞いてくれる?」
京太郎「そりゃあ…他でもない、はやりさんの頼みなら」
はやり「ありがとうっ」ダキッ
京太郎「はいはい、分かりましたからどいてくださいね」
飲み物を用意する
京太郎「さて、どんなお願いなんでしょうか?」
はやりさんレベルの人間が、他の人に何かを頼むということは、かなりの難題だぞこれは
はやり「えーと、その…」
珍しく言いにくそうにモジモジしている
はやり「あー…明日、文化祭があるよね」
京太郎「そうですね」
はやり「それで、私、体育館の使用許可を取ろうとしたんだけど──」
事情を要領よく、簡潔に俺に説明してくれるはやりさん
しかし、何のために体育館を使うのか、そこだけはスルスルとかわされてしまった
京太郎「はい、何となく分かりましたけど」
はやり「お願い、私に力を貸して…」
京太郎「……」
いつになく謙虚な態度のはやりさん
そりゃ、俺だってはやりさんの力になりたいんだけど、校長ねえ…
あの人頑固って有名だから、たぶん妥協なんかしてくれないと思うぞ
はやり「ちっ、なにか弱みに付け込むことができさえすれば…」
怖いこと言ってるよ、この人…
校長の弱みなんて、俺──
校長『我らがはやりんはオンリーワンということだよ』
京太郎「あ」
はやり「あ?」
京太郎「んー…」
いやでもいいの、これ?、確かに、これをネタにすれば、校長を説得できる可能性は高い
しかしもし、はやりさんが校長の正体を知ったなら、たぶん彼女は自分のファンに対して厳しく出られなくなる
そうしたら、校長との交渉も自ら辞退するかもしれない。なぜなら、はやりさんはアイドルなのだから
はやり「どうしたの?」
逆に校長の立場になって考えてみよう
もし、俺が校長だったら、自分の関知しないところで、はやりさんにファンであることを知られたくないと思うだろう
特に、校長は社会的地位もある、分別も理性もある大人なのだ。趣味はアレだけど…
そして、校長は瑞原はやりの熱狂的なファンであり、俺のファンなのだ
瑞原はやりだったら、ファンを大切にしなくてはならない
はやり「京太郎くん?」
でも、はやりさんだって、俺にとっては大事な人であって
京太郎「ぬおー…!」
はやり「どうしたの!?」
悩ましい。板挟みとはこのこと
そうだ、瑞原はやりだったら、こういう時どういう風に考える?
二人とも傷つかない、スペシャルな方法を見つけ出すはず。それは
『では、皆さん行きますよー。一足す一はー?』
『『はやっ!』』
集合写真!
京太郎「……」
はやり「ど、どうしたの?急に立ち上がったりして…」
引き出しの中を探す。あった、この写真をうまく使えさえすれば
はやりさんには見えないように、厚手の封筒にそれを入れる
京太郎「はやりさん、これを」
はやり「これは?」
京太郎「これを校長に見せれば、俺の見立てではまず間違いなく大丈夫です」
はやり「えぇ…?」
京太郎「ですけど、お願いです。この中身は決して覗いていけません、決して」
はやり「で、でも、中身がなんなのか分からないと、どういう風に交渉すればいいのか分からないよ?」
京太郎「大丈夫です。はやりさんのアドリブ力なら、問題ありません」
はやり「そ、そう?」
京太郎「あと、もう一つ、これは瑞原はやりからのお願いです」
はやり「う…うん」
京太郎「校長のこと、嫌いにならないでほしいの」
はやり「う、うん…京太郎くんがそこまで言うなら」
京太郎「ありがとうございます」
はやり「あー…でも、あの人どっかで見たことあるような気がするんだよね、気のせいかな?」
京太郎「…きっと、気のせいですよ」
つーかいろいろはやりやりすぎじゃね?
元に戻ったときどうするつもりなんだろ
元に戻ったときどうするつもりなんだろ
もう戻るつもりないんじゃね?
十歳以上若返ってるし(男になってるけど)
十歳以上若返ってるし(男になってるけど)
京太郎がトーク番組を無難な仕事とやり切ったり、麻雀番組で初心者指導出来ていたから戻っても何とかなるのじゃね。しらんけど
このままお互いにかつて自分が誰であったのかを忘れてしまえば思い悩むことはなくなるけどな。
まぁBADENDなんですけどね
まぁBADENDなんですけどね
──11月上旬 長野 文化祭当日
─須賀京太郎
文化祭当日。爽やかな秋晴れ。絶好の文化祭日和
まだ、朝早くなので、人はそんなにいないようだ
ちなみに本日は男装ではなく、あくまで女性のいでたちである。マスクとサングラスはしているけど
今日はいつもより入念に変装を済ませ、久し振りに清澄高校に来た
もちろん、文化祭を見に来たからだ
はやりさんに呼ばれたから、というのもあるけど、みんなの様子を見に来たというのも理由の一つ
ああ、今から楽しみだ
はやり「あっ、京太郎くーん!」
はやりさんだ、俺のこと待っていてくれたのか。思いっきり、手を振ってくれている
京太郎「お出迎え、ありがとうございます」
はやり「いいのいいの、私が案内してあげるんだから!」
京太郎「俺の高校ですよ?」
はやり「私の高校だよ」
京太郎「はっ、言いますね」
はやり「そうだ、案内する前にちょっと付き合ってもらいたいんだけど、いいかな?」
京太郎「なんですか?」
はやり「今から、校長室行くから一緒に来てほしいかなー、なんて」
京太郎「ええー…まだ済ませてなかったんですか?、一人で行ってきてくださいよ」
はやり「お願い、一人じゃ不安なの…」
うーん…
京太郎「まあ、いいですけど。途中までついていくだけですからね」
はやり「ありがとうっ!」ダキッ
京太郎「はいはい、勘違いされる前にどいてくださいね」
本当に久々の校舎、スリッパに履き替えて中に入ると、あの学校独特の活気に満ちた雰囲気が漂ってくる
特に今日は文化祭、今まで違う校内の様子は。俺をノスタルジックな気分にさせるのには十分過ぎた
京太郎「かるくジェラシーですね」
はやり「なに、良子ちゃんみたいなこと言って」
京太郎「本音ですよ…っと、着きましたか」
京太郎「じゃあ、封筒の中身は見ないこと、校長が何か変なこと言っても無用な詮索をしないこと」
京太郎「これだけは、気を付くださいね」
はやり「うんうん、分かってるって。んじゃ」
京太郎「あと、これ、後で校長に渡すつもりだったんですけど、ついでにあげておいてください。きっと喜びますから」
はやり「アフターケアってやつだね。さすが京太郎くん。行ってくるよ!」
京太郎「大丈夫かなぁ…」
俺は不審者よろしく、はやりさんがわざと少し開けてくれたドアの隙間から、中の様子を伺うことにする
はやり「失礼します」
校長「ん、おや…また君か、何の用だね?」
はやり「ふっふっふっ…要件の方は変わりありませんよ。体育館の使用許可をいただきに、ね」
俺そんなキャラじゃねえし
校長「懲りんな、君も。できんもんは、できんのだ」
はやり「ほう……これを見ても、まだそんな台詞を言えますかねえ…くっくっく」
校長「なにぃ?、なんだね、この封筒は?」
はやり「見れば分かりますよ」
校長「どうせ、大したものでは…………って、ほ、ほあっ!?、こ、この写真は!?」
はやり「写真…?」
校長「どこで、一体これを…!?」
私です
はやり「ある筋の者から、ちょいとね」
校長「ま、まさか内木くんか…いや、彼はそんなことをするようには……」ボソボソ
はやり「?」
校長「ならば、アイドル原理主義組織の──過激派の仕業!……無理やり改宗を迫るという、あのっ!」
はやり「え、えーと…」チラッ
こっちを見られても困る。俺だって分からない
はやり「な、なんのことか分かりませんが、俺はそんなんじゃありませんよ。ただ、あなたと交渉しに来ただけです」
校長「くっ、白々しい!、私は、テロリストとは交渉せんぞ!」
テロリスト、ってなんだよ
はやり「ほう…ならその写真、ご家族の方にお見せしてしまってもよろしんですね?」
校長「な、なっ…」
はやり「教頭先生から聞きましたよ、ご家族とは大変仲がよろしいようで」
校長「……」
なるほど、流石はやりさん。既に外堀は埋めていたか。この勝負、勝ったな
はやり「家族写真も見せてもらいましてねえ…娘さんが今度、大学に進学するため東京に行ってしまわれるとか」
校長「お、おのれぇ…」
はやり「その、可愛らしい娘さんに、この写真を見せたら、どういう反応をしてくれるでしょうねえ…」
校長「娘は、娘は関係ないだろうっ!」
はやり『パパって、そんな人だったんだ……私、もうお家には帰らないで東京でカレシー↑と幸せに暮らすことにするね』
はやり『子供の名前は、金星(まあず)にするから。し・く・よ・ろ☆』
はやり「なあんて、ね…ククク」
校長「うっ…く、うぅ………」
校長がちょっと可哀想になってきた
校長「……な、何が望みだ?」
はやり「今日の体育館の使用許可を、時間は最後でお願いします」
校長「今更変更はきかんからな…仕方ない、時間を延長してそこに入れることにしよう」
はやり「ありがとうございます」
校長「くっ…私など校長失格だ」
はやり「あなたはあなたの仕事をし、俺は俺の仕事をしただけですよ。たまたま、それが相容れなかったいうだけで」
はやり「ああ、そうそう、その写真は好きにしてもらって構いません。安心してください、複製したものはもう手元にありませんので」
校長「信用なるものかっ…」
はやり「ああ、それと、これは京太──じゃなくて、せめてものプレゼントです。今回のお礼ということで受け取っておいてください」
校長「な、情けなどむよ……こ、これは…!?」
はやり「?」
校長「出版社の都合で、ついに市場に出ることなかった言われる、あのっ…!」
はやり「え、えーと…」
校長「べ、別に嬉しくなんてないんだからねっ!!」
はやり「ま、まあ…喜んで頂けたようでなによりです」
はやり「では、失礼します」
バタン
京太郎「さすがです。うまくいきましたね」
はやり「だね。京太郎くんのおかげだよ」
京太郎「うーん、ちょっと卑怯な手だったような気もしなくはないですけど、結果オーライですかね」
はやり「そうかもね。でもこれで、和ちゃんのライ──」
京太郎「ライ…?」
はやり「ライチュウも安心して育てることができるよ」
京太郎「ポ、ポケモン…?」
はやりさん達もポケモンやるのか…俺もやろうかな
京太郎「そういや、はやりさんは午前が自由時間なんでしたっけ?」
はやり「そそ、私と一緒に回れるのが待ち遠しかったんだね。もー、仕方ない子だなあ、京太郎くんは!」
京太郎「別にそういうわけでは…」
嬉しそうだな、はやりさん
?「プロデューサーさーん!」
プロデューサー…?、学校ではまず耳にすることのない言葉が、俺たちに方に向けらたような気がした
ああ、今文化祭期間だから、劇かなにかの練習だろう
普通に考えて、誰かにそんな呼び方をさせる変態は、この学校にはいないはずだから
そんな奴がもし知り合いにいたら、絶対他人の振りをする
はやり「おう、和か」
和「はい!」
京太郎「……」
京太郎「……」
京太郎「……」
京太郎「って、あんたかああああぁ!!?」
和「!!」ビクッ
京太郎「ちょっおおっと!、どういうことですか、これはっ!?」
はやり「え、えーと…これには伊勢湾くらいのふかーい事情があってだな…?」
京太郎「伊勢湾の深さなんか知ったこっちゃないですよ!」
どどどどど、どういうことだ…?
俺と和の関係は、あくまでも部活仲間とういうだけで、それ以上ではなかったはず
いや、そいつが俺の勘違いで、実はそれ以上の関係にあったとしても、いつの間に俺が和にプロデューサーと呼ばれるように…?
ま、まあでもね、俺だって和みたいな美少女に、そんな呼び方されるのはやぶさかでないのだけど
でも、だからといって、いくらなんでもそりゃあねえよ!
はやり「ちょ、ちょっと…京太郎くん」ヒソヒソ
京太郎「あっ」
やべっ、思わず大声出しちまったし、口調もいつものはやりさんに対するそれそのままだったし
和「?」
ああああ、和がキョトンとしてるぅ。なんか絶対疑われてるぅ!ピンチ、俺っ!
和「えーと…プロデューサーさん、この方は?」
はやり「え、え~と……」
和「?」
はやり「あっ!、の、和のファン第一号さっ!!」
和「そうなのですか?」
はやり「そうそう!、インターハイで活躍しているの見て、それで!」チラッ
こちらを見てくるはやりさん、話を合わせろということか
二人の間に何があったのかよく分からないけど、そいつは後ではやりさんに聞こう
京太郎「うん、そうなの。あの時の原村さん、スゴカッタナー」
和「はあ、ありがとうございます」
はやり「『はあ、ありがとうございます』、じゃなあああい!!」
和「!!」ビクッ
はやり「ファンに対して、そいつじゃダメだ!、もっと笑顔で、真心を込めて」
和「うっ、難しいんですね」
はやり「次からは、気を付けるんだぞ?」
和「はい、プロデューサーさん!」
なんだこれ…
和「ところで、あなたはプロデューサーさんとはどういったご関係なのですか?」
京太郎「はうっ!?」
突っ込むなー、和の奴…
はやり「え、え~とな、この人はな…」
和「はい」
はやり「わた…じゃなくて、実はな、俺のな」
和「はい」
はやり「俺の彼女なんだっ!!」
和「……」
そうきたかー
和「そうだったのですか」
和の奴クールだな
和「紹介してくれていたら、よかったのに」
はやり「いやぁー、なんだか恥ずかしくて」
和「もうっ、プロデューサーさんはシャイなんですから」
はやり・和「あははは」
なんだこれ…
和「じゃあ、私もクラスの方がありますので、これで失礼します」
はやり「おう、頑張ってな。あと……午後の体育館のこと、大丈夫だな?」
和「…はい!」
はやり「そうか、じゃあまたな」
京太郎「……」
はやり「……」
京太郎「行きましたね」
はやり「行ったね」
京太郎「それでは、説明を求めましょうか」
はやり「たはは、やっぱりそうくるよねー……」
_______
____
__
京太郎「へぇ、和がアイドルねえ……慧眼ですね!」
はやり「でしょー」
京太郎「目の付けどころがシャープ過ぎて、エッジ効きまくって俺の高校生活に切れ込み入っちゃってますよ!」
はやり「ご、ごめん……許してくれる?」
京太郎「はぁ…別に構いませんよ。まあ黙っていたのは、ちょっとどうかと思いますが」
はやり「ごめん…」
京太郎「その反応、まるで高校生みたいですよ」
はやり「え、そ、そうかな?…えへへ」
褒めてはいない
しかし、とすれば、はやりさんがあんなにも熱心に体育館の使用許可を求めた理由は…
おそらくは和の……いや、これは黙っておこうか。楽しみは後に残しておこう
これについて、はやりさんが述べなかったということは、つまりはそういうことなのだ
はやり「じゃあ、そろそろ見て回ろっか」
京太郎「そうですね」
まだ、文化祭が始まって間もないから、そんなに一般の客はいない
ただ、生徒たちに緊張感というか、少しのぼせてフワフワとした感覚があって、それは伝わってきた
本来なら、俺もその中にいたのだと思うと、なんだかモヤモヤとした気分になってくる
はやり「ねえねえ、京太郎くん。どこ行きたい?」
いつになく、はやりさんが楽しそうだ。これが、男子高校生の純粋さなのか?
なぜ、そこまで学生生活を楽しむことができるのだろうか?
はやりさんらしくない、無鉄砲な楽観主義にも思えてしまう。自分はそうではなかったか?
俺だって、男友達と猥談にふけったり、咲や優希をイジったりイジられたり、部活でみんなにコテンパンにされたり
それなりに、学生生活を謳歌してきたし、そうだど思ってる
しかし、はやりさんの表情とか、さっきの和のこととか、そういうのを見た後だと、今までの俺の人生がひどく希薄に思えてくる
俺の人生って、薄めすぎて味のなくなったカルピスの原液くらい、意味のないものだったのだろうか?
いや、それこそ逆かもしれない。なぜなら、俺だって瑞原はやりというものを満喫しつつあるから
これは、役割の分担なんだ。適材適所。合う合わないの違い
はやりさんが須賀京太郎を楽しんで、俺が瑞原はやりを楽しめたのなら、それはそれで好いことのはず
京太郎「なんで、そんなに楽しめるんですか?」
少し、突っ込んでみる
はやり「私が、須賀京太郎だから」
自分で自分の顔を直接見ることができないように、その表情からは、なにも読み取ることができなかった
しかし、それが嘘であることだけは何となく分かった
先週は更新できずに申し訳ありませんでした
今週はできると思います
今週はできると思います
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