元スレ吹雪「この鎮守府は何かがおかしい」空母棲姫「……」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
301 = 291 :
ご飯食べる。たぶん今日は此処までかも
303 :
この提督は鈍感なのかスルーしてるだけなのか有能なのか無能なのかわかりにくいな
305 :
ごめんなさい。もう少しイベントやらせて
何もかも戦艦水鬼が悪い
306 :
大和「外は少し冷えますね……」
提督「熱燗を拝借してきました。よろしければどうですか?」
大和「頂きます」
大和「……」
大和「貴方もどうですか?」
提督「頂きます」
提督「……」
大和「……お飲みにならないのですか?」
提督「今飲めば呂律が回らないと思うので」
307 = 306 :
大和「お酒に弱いのですね」
提督「恥ずかしながら……」
大和「それと、丁寧語はやめてください」
提督「……わかった」
提督「姫と始めてあった時は、そう――」
提督「――今日のように月が綺麗な日の夜のことだった」
309 = 306 :
提督「配属になる一ヶ月前」
提督「俺がこの鎮守府の下見に来たその日の夜」
提督「ちょうど俺はこの場所から海を眺めていた」
提督「深海棲艦――艦娘の指揮を取って倒さなければならない、我が国の敵」
提督「そう遠くない戦い日々を想い、決意を固めていた時のことだ」
提督「ふと視界の端に――あそこの砂辺に、僅かに動く黒い影が見えた」
提督「急いで駆け寄って見ると、地面に倒れている彼女が深海棲艦だと一目で気付いたよ」
310 = 306 :
提督「血の気の引いた真っ青な身体に、壊れてはいるが艤装にも似た装備」
提督「服は青色の血で染みており、砂辺を這った後がそのまま血の跡になっていた」
提督「誰の目から見ても重傷は明らか」
提督「そしてそんな彼女を俺は、殺そうとした」
311 = 306 :
大和「!?」
提督「意外か?」
大和「いえ……」
提督「今なら銃弾の一発でも仕留められる」
提督「せめて苦しまぬように、そう思い引き金に指をかけた時だった」
提督「私を見上げた彼女の口が僅かに動いた」
提督「目の焦点すら合っていない、そんな彼女の口から微かに絞り出された――波の音に掻き消される程の小さな声で彼女は何かを言った」
312 = 306 :
大和「……なんて言ったんですか?」
提督「残念ながら、波の音に掻き消えて聞こえなかった」
提督「だからこそ彼女の口元まで耳を寄せて、彼女の言葉を待った」
提督「――助けてくれ」
提督「――沈みたくない、そう彼女は呟いていたよ」
大和「……」
313 = 306 :
提督「思うところは多々あった」
提督「深海棲艦が何をしたか。彼女達のせいでこの国がどのような状況に陥ったか」
提督「それでも俺は、助けを求める彼女を殺せなくなっていた」
提督「敵であるはずの彼女を助けようと思った」
提督「……馴れ初めはこんなところか」
314 = 306 :
大和「……」
提督「君も思うかい? 深海棲艦を助け、現を抜かしている俺は提督失格であると」
大和「……そうなのかもしれません」
大和「ですが、その優しさは人間として間違っていないと思います」
大和「まぁ、艦娘の私が人間を語るのも変な話ですけどね」
提督「そう変な話じゃないさ」
315 = 306 :
提督「艦娘は限りなく人に近い」
大和「……やはり、優しい人だと思いますよ。貴方という人は」
提督「そうでもない」
提督「1人の少女の願いすら、叶えようとしない男だよ。私は」
大和「……」クス
316 :
提督「何かおかしいかったか?」
大和「いえ、私の思う通りの人なら、貴方は彼女とケッコンしますよ」
提督「……俺は彼女以外とケッコンするつもりは――」
大和「今のままだとそうなるかもしれません」
大和「ですが結果は同じ事だと思いますよ」
提督「……」
317 = 316 :
大和「貴方はケッコンを勘違いしています」
大和「その事については、おそらく私の提督から通達があるでしょう」
提督「元帥殿から……」
大和「はい。ケッコンカッコカリは絆の証」
大和「絆の形というのは様々です」
大和「愛情も、有情も、信頼も。全てが含まれます」
大和「端的に言いますと、ケッコンするのに愛情はなくてもいいんです」
大和「彼に彼女が欲しいかと問われ、貴方は肯定した」
大和「上が言うケッコンする資格はそれだけで十分なのです」
大和「さて、優しい貴方は此処に居たいと願う彼女を引き取るか否か」
大和「どちらに転ぶと思いますか?」
318 = 316 :
提督「……酒をもらってもいいか?」
大和「もちろんです」
提督「……」
大和「いい飲みっぷりです」
提督「……視界が歪むな」
大和「一気に飲むからですよ」
提督「話は十分だろう。そろそろ戻ろうか」
319 = 316 :
大和「……ちょっと待ってください」
提督「……?」
大和「私はまだ許すなんて一言も言っていませんよ?」
提督「……なっ」
大和「というわけでもう少しお話しましょうか」
提督「……」
320 = 316 :
空母棲姫「どうぞ」
大和「こんばんは」
提督「……」
空母棲姫「随分飲んだようね」
提督「……」
大和「ちょっと飲ませ過ぎたみたいで……」
空母棲姫「そう。わざわざありがとう」
大和「いえいえ、こちらこそ」
321 = 316 :
空母棲姫「……」
大和「……」
空母棲姫「手は出してないでしょうね?」
大和「それはないです」
空母棲姫「冗談よ」
空母棲姫「さて、貴女もあがっていったら?」
大和「……え?」
空母棲姫「なに、私とは飲めないって言うの?」
空母棲姫「深海棲艦(私)でも酒が飲みたい時ぐらいあるわ」
空母棲姫「もっとも、こっちに来て知った楽しみだけど」
大和「……頂きます」
322 = 316 :
今日は寝ます。
なんか更新できない日々が続いたら似たようなタイトルのSS上がってて驚いた。(ステルス宣伝
325 :
提督「……ん」
空母棲姫「起こしたかしら」
提督「姫……?」
空母棲姫「少し狭いけど、布団で我慢してね」
提督「……俺はいつ戻ってきた?」
空母棲姫「大和が二時間前ぐらいに運んできたわ」
提督「それで……彼女は?」
空母棲姫「酔い潰れたから寝かしてる」
326 = 325 :
空母棲姫「それと大和に話したようね。色々と」
提督「……すまない」
空母棲姫「いいわよ。私も色々と話したし」
提督「……彼女は何処まで知っている?」
空母棲姫「ほとんど。私達が何処から来て、何が目的だったのか」
提督「それはそれは……彼女も驚いただろうか」
327 = 325 :
空母棲姫「ええ。信じられないって顔をしていたわ」
提督「そうか。まあ、そうなるよな」
空母棲姫「……」
提督「……姫? 少し苦しいのだけど」
空母棲姫「今日の事、怒ってる?」
提督「少しだけ怒っているし、感謝しているよ」
提督「すまない。ありがとう」
提督「次は必ず君を守るから」
空母棲姫「ううん。貴方には十分守ってもらった」
空母棲姫「だから、私が貴方を守ってみせる」
提督「……そういうところは頑固だな」
空母棲姫「それはお互いさまね」
提督「さて、姫もそろそろ寝た方がいい」
空母棲姫「そうね。だから――」
空母棲姫「――今だけはもっと甘えてもいいかしら?」
328 = 325 :
イムヤ(……本日、この鎮守府に配属になったイムヤです)
イムヤ(突然ですが――)チラッ
初風「そんなにキスマーク付けて、昨夜は随分とお楽しみだったようで」
提督「……」
初風「ほら、そこイージーミスしてるわよ」
初風「……翌日に影響出るまでやるなんて、何考えてるの?」
提督「……すまん、初風。吐きそう
だからバケツを――っ!」
初風「はぁああああ!? ちょ、ちょっと待ってなさい!」
329 = 325 :
イムヤ(……)チラッ
大和「二日酔いですか……少しだけ罪悪感を感じますね」
空母棲姫「……」
大和「ところでまだですか」
空母棲姫「待っ――」
大和「――待ったはもう使い切りましたよ?」
空母棲姫「ぐぬぬぬぬぬ……」
金剛「hey! 紅茶のお代わりはどうデースか?」
大和「ありがとうございます」
金剛「姫は?」
空母棲姫「……」
金剛「それどころじゃないみたいネー」
330 = 325 :
イムヤ(……)チラッ
ル級【――?】
ヲ級【――っ】
ル級【――っ?】
ヲ級【――っ!】
吹雪【――っ】
ル級【――っ……】
イムヤ(……)チラッ
ヲ級F【……】ジー
イムヤ(……っ!)ビクッ
イムヤ(こ、この鎮守府は何かがおかしい!)
331 = 325 :
とりあえず一段落
次は五航戦あたりを出そうかと
334 :
翔鶴「翔鶴型航空母艦、翔鶴。着任しました」
瑞鶴「同じく、妹の瑞鶴よ。よろしくね」
提督「ようこそ。君達を歓迎するよ」
空母棲姫「……」
提督「早速だがこの後、彼女と演習を行ってもらう予定だ。まずは君達の力を見せてくれ」
瑞鶴「……ふーん」
335 = 334 :
提督「その前に、君達用の艦載機を渡さなくてはな」
提督「工廠に君達用の艦載機を用意してある。姫、案内を頼めるか?」
空母棲姫「もちろん」
提督「演習後の案内は吹雪に頼んである。わからないことがあったら彼女に聞いてくれ」
空母棲姫「ついて来なさい」
翔鶴「……」
瑞鶴「……」
336 = 334 :
空母棲姫「これが貴女達の艦載機よ」
瑞鶴「嘘!これって烈風!?」
翔鶴「烈風だけじゃない。流星改や彗星一二型甲まで……」
空母棲姫「早くなさい」
大和「何やってるんですか?」
空母棲姫「大和……」
瑞鶴「え、大和さん?」
大和「どうも初めまして」
翔鶴「初めまして」
瑞鶴「は、初めまして」
337 = 334 :
大和「なるほど、艦載機の換装中でしたか」
大和「どうです? 気に入ってもらえましたか?」
瑞鶴「はい! まさか烈風があるなんて思ってもみませんでした!」
空母棲姫「……」
大和「良かったですね。喜んでもらえて」
瑞鶴「え?」
空母棲姫「五月蝿い」
空母棲姫「準備はできたかしら?」
翔鶴「はい」
瑞鶴「まあ、うん」
空母棲姫「ならついて来なさい」
338 = 334 :
空母棲姫「今回の演習では私と航空戦をしてもらう」
空母棲姫「お互いの背後にある的の撃破率で判定するわ」
空母棲姫「ハンデとしてそっちは二人掛かりでいいわ」
瑞鶴「馬鹿にしないで。一人で十分よ」
翔鶴「……」
空母棲姫「そう、なら好きにしなさい」
空母棲姫「妾の子の癖に」ボソッ
339 = 334 :
空母棲姫「そのチンケな誇りごと叩き潰してあげる」
瑞鶴「――っ!」
大和「少し言葉がキツイですよ」
空母棲姫「余所者(あなた)は黙ってなさい」
大和「やはり五航戦が気になるのですか?」
空母棲姫「黙りなさい。一航戦と二航戦は未来永劫この鎮守府にこない」
空母棲姫「消去法で彼女達しかいない。それだけの話に過ぎない」
翔鶴「……?」
340 = 334 :
大和「結局一人づつやることになりましたね」
大和「貴女はどちらが勝つと思いますか? 吹雪さん」
吹雪「……姫が負けるのは考えられないです」
大和「私もそう思います」
大和「人の知恵を得た深海棲艦は恐ろしいものです」
341 = 334 :
(あっ、数ヶ月経ってる描写するのは忘れてた)
342 = 334 :
大和「彼女達がただの深海棲艦なら、私の鎮守府が演習で負けることもなかったでしょう」
吹雪「……引き分けだと聞きましたが?」
大和「戦術的勝利、戦略的敗北」
大和「勝ちであり、負けでもある」
大和「捉え方の問題ですね」
大和「それで、ヲ級さんはこの演習どう思いますか?」
ヲ級【わざわざ姫が相手するまででもない】
大和「ですよね」
344 :
乙
つうかこのヲ級って、フラヲ改だったよね?
姫じゃなくても、ヲ級だけで五航戦二人を相手できそうな気が……。
345 :
だからこそのこの台詞なんでしょうねえ
なんだかんだで構ってしまうんですね
346 :
空母棲姫「仮にも姫級に対して一人で十分? それこそ慢心ね」
瑞鶴「ぐぬぬぬぬ」
空母棲姫「さて、二人の実力はだいたいわかったわ」
翔鶴「……」
空母棲姫「新鋭機を使ってこれとは……七面鳥撃ちとは、まさにこの事ね」
瑞鶴「七面鳥ですって!?」
空母棲姫「五月蝿い」デコピン
瑞鶴「アヒャン」
347 = 346 :
空母棲姫「搭載機数が違うとはいえ、制空を取られ、多数の艦載機を撃ち落とされ、目標をより多く破壊される」
空母棲姫「貴女達が航空戦で艦載機を落とさなければ、誰が落とす」
空母棲姫「中途半端な仕事をして、残りを随伴艦に投げるのか?」
瑞鶴「それは……」
空母棲姫「最新鋭の深海棲艦と戦うということは、私かそれ以上の子と戦うということ」
空母棲姫「覚悟はしておきなさい」
翔鶴「……」
348 :
瑞鶴「何なのよアイツ! 何なのよアイツ!!」
翔鶴「落ち着きなさい瑞鶴」
瑞鶴「翔鶴姉はなんとも思わないの!?」
翔鶴「そんなわけないでしょ」
翔鶴「でも、私達の実力が足りなかった。それは事実よ」
瑞鶴「それは……」
翔鶴「だから、何が足りなかったのか」
翔鶴「これから何をすればいいのか考えていきましょう」
瑞鶴「……そうだね」
翔鶴「とにかく、提督の所に行ってみる?」
瑞鶴「えっ、さっき……それに提督は」
翔鶴「提督は提督でしょ?」
瑞鶴「それはまぁそうだけど……」
翔鶴「そう。なら行きましょう♪」
349 = 348 :
空母棲姫「それでノコノコやって来たと」
瑞鶴「最悪……」ボソッ
空母棲姫「七面鳥が何か鳴いているわね」
瑞鶴「なにぃっ!」
空母棲姫「だいたいそのぐらい――」
提督「――向上心旺盛でいいじゃないか」
空母棲姫「……ふん」
350 = 348 :
提督「さて、簡潔に言うのなら君達はひたすらに練度を上げてくれればいい」
瑞鶴「……それだけ?」
提督「ああ。他の鎮守府と同じでシンプルだろ?」
瑞鶴「そうかもだけど……」
提督「ただし、要求する練度は極めて高いぞ」
提督「君達二人で姫を圧倒する。そのぐらいでなくては困る」
瑞鶴「コイツを……?」
空母棲姫「まぁ、期待してないけど」
瑞鶴「ふん!」
提督「姫……」
空母棲姫「……ふん」
みんなの評価 : ☆
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