のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:127,062,861人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報

    元スレいろは「せーんぱいっ」八幡「」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 俺ガイル + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

    451 :

    土曜フラゲしてからこっちずっといろはすの妄想
    ヤバイヤバイ

    452 :





    八幡「…そうか。なら俺チャリ取ってくるから少し先で待っててくれ」


    そう言って俺が外に出ようとすると再びマフラーを引っ張られる。
    一瞬息がつまるのを耐えて、一色へと振り返った。



    八幡「なんだよ…?」

    いろは「……そろそろ良いんじゃないですか?」

    八幡「…何が?」



    疑問に疑問で疑問を返した。
    一色は察しろよ…と言いたげなジト目でムスッとして睨んでくる。
    まぁ何が言いたいかはおおよそ分かるが、あえて自分からは言わない。
    いやだって恥ずいし…



    いろは「…色んな人に見られたって、別に良いじゃないですか。堂々と見せつけてやれば良いじゃないですか…」

    八幡「………」



    思った通りだ。
    だが悪いが一色よ。俺はここで折れるワケにはいかんのよなぁ。



    八幡「……俺たちはそんな堂々と他人にアピールできるような関係じゃねぇだろ。俺たちの今は仮の関係なんd」

    いろは「あぁもうっ!仮、仮、仮、仮って、私がなんか言えば先輩はそればっかですよねー!」

    八幡「い、一色さん?」

    いろは「そんなに仮、仮、って言われたら私はカリカリしちゃいますっ!」

    八幡「…え、なんだって?」



    いやそこで上手く言ってやった!みたいな顔されたら、もうこう返すしかないよね?
    あぁ、ついに俺も小鷹先輩の仲間入りかー。
    つうかなんで夜空、他人家の家でモナピーしてるロン?この八幡、思わず前屈みです。



    453 = 452 :





    いやだって考えてもみろよ。
    俺が自分いえの風呂場を開けると美少女(戸塚)が俺の名を呼びながらモナピーしてるとかさー。
    もうそれ、前屈みどころの問題じゃねぇな。
    俺もその場でモナピー始めちゃうわ。
    俺ん家の風呂場で戸塚がモナピー、俺ん家の風呂場で戸塚がモナピー……ぐ、ぐふふふふ、キィマシタワァァ!!!
    そんな俺の天才的妄想も一色の言葉で掻き消される。



    いろは「いっ、いい今のはナシですっ!忘れて下さい!ていうかああいう時は聞き流して下さいよっ!だから先輩はボッチで目が腐ってるんですっ!」

    八幡「なんで俺がディスられてんだよ…」



    ホントなんでこいつらって一々俺をディスらなくちゃ気がすまないの?
    俺のこと好きなの?好きな相手の前では素直になれなくて想いとは裏腹なこと言っちゃうの?なにそのツンデレのテンプレ。この世界ツンデレだらけじゃん…
    あっ、でもデレはねぇな。ならツンの嵐だな。なにそれ生きるの辛い……orz。



    いろは「ていうか、じゃあ先輩はこの関係がもし仮じゃなくなったら堂々と一緒に帰ってくれるんですかー?」

    八幡「……。ないな」

    いろは「はぁ、ダメだこの先輩…」

    八幡「うっせ。ほれ、身体冷えてまた風邪ひくからとっとと帰るぞ」

    いろは「その時はまた看病して下さいねっ」

    八幡「………さぁな」



    むふふーと笑う一色を置いてチャリ置き場へと急ぐ。
    あぁ、くそ…





    ……ドキがムネムネしちゃう自分が情けねぇ…




    455 = 452 :





    いろは「せんぱーい」

    八幡「………」

    いろは「無視ですかー?」

    八幡「……なんだよ?」

    いろは「なんでもないでーすっ」

    八幡「………」




    学校を出てからずっとこんな調子だ。
    やたらと呼んでくるくせに聞き返すとなんでもないの一点張りだ。
    よって無視することに決めたのがついさっき。
    とは言っても別段おかしな所は見受けられない。いやだから余計におかしく思うわけだが。
    えへへーと笑って横を歩く一色を一瞥して、溜め息混じりに息を吐く。



    八幡「一色」

    いろは「はい?」

    八幡「お前今週は3日も一緒に俺と帰ってるけど、つまんなくないのか?」

    いろは「んん?それはつまり、先輩は私と居るのがつまらない、と言ってるんですか?」

    八幡「そうじゃねぇよ。逆だ。自慢じゃねぇけど俺は自分から上手く話題を振る事ができねぇからな。こうしてお前を送ってる間お前はつまらなくないのか?」



    かなり素直な質問だった。
    いや一色の好意は充分過ぎるほど伝わってくる。
    だがいくら相手に好意を抱いていても話をしていてつまらなかったり、いつも自分から話を振っていて自分のネタが尽きれば無言…それに嫌気がさして別れるなんてのはよくある話だろう。
    カップルで行く遊園地あるあるの一つだ。
    それがリア充どもの間でも日常茶飯事の様に起きているのだ、ぼっちの俺なら尚更だろう。
    だが俺の質問に対して、一色はきょとんとした顔で俺を見つめてくる。



    いろは「先輩って……やっぱ、バカですよね?」


    456 = 452 :





    八幡「は?」


    俺って今なんかバカな事言ったか?
    俺がむむむ…と先ほどの自分の発言を見直していると、一色はクスッと笑って再び前を向く。



    いろは「だって、別に先輩に面白い話なんて求めてませんからっ。普段誰とも喋れない先輩にそんなの求める方が間違ってると思います。酷過ぎますっ!」

    八幡「……お前の言葉の方が酷なわけだが…」



    まぁそれは一理ある。
    ぼっちやニート、引きこもりといった普段日の光を浴びない人間が面と向かって他人と対峙した時、中々喋れないのはそういう経験が滅多にないからだろう。
    これはコミュ症なんかじゃない。
    そんな取って付けた様な病気認定されてたまるかっ!
    ただ俺たちに日の光を浴びさせてくれない、この暗黒に染まった社会がいけないんだっ!!(責任転嫁)
    それはそうと俺は一色に一つ言い返さねばならない。



    八幡「それと一色、俺は誰とも喋れないんじゃない。喋らないんだ。俺は孤高、一匹狼、受動的ではなくて能動的なぼっちなんだ。そこを間違えるな」

    いろは「……へー」



    心底、超どうでもいいみたいに流された。
    くっ、これだからリア充はっ!
    こほん、と一色は小さく咳払いをすると話を続ける。



    いろは「先輩は私と海辺で夕日をバックに『せんぱーいっ、待って下さいよぉ、あははははっ』みたいなのがしたいんですか?」



    ふむ、想像してみる。
    浜辺で追いかけてくる麦わら帽子と白のワンピース姿の一色。
    ふむ、これは中々…
    そしてそんな一色に追いかけられる俺。
    俺も満面の笑みと腐った瞳で『早く来いよぉ、一色ぃ!はははははっ』……
    やべぇ、気分悪い…



    八幡「……ないな、マジで…」

    いろは「何を想像したんですか…」



    457 = 452 :





    こほん、今度は俺のの咳払い。



    八幡「だけどお前はどうなんだ?やっぱそういうなんつーか、ザ・青春!、みたいなのに憧れてるんじゃねぇのか?」

    いろは「んー、私は今はそんなの全く思わないですねー。だって私が今付き合ってるのは先輩ですからっ!」

    八幡「……なんかわりぃな。お前の憧れを壊しちまって…」

    いろは「えっ?!あっ、いやそういう意味じゃなくてですねっ!その、なんと言いますかぁ、んー、その、今こうして先輩といるのは、そんなの考える必要ないくらい、私にとっては幸せ、っていうか何というか…………せ、先輩?」



    俺が黙りこくっているのを不思議に思ったのか一色が俺の顔を覗き込んでくる。
    見るな、マジで今見るな。
    マジで絶対顔真っ赤だから見るなっ!
    そんな俺の横顔を見て、自分の今言ったことを頭の中で反芻したのだろうか、一色の顔もまたみるみる紅く染まる。



    いろは「い、今のはえっとその…」


    あわわわ、とオロオロしている一色を横目で見ていると何だかこの照れが可笑しくなって、つい口元が緩みそうになる。
    いや、実際には緩んでいたのだろう。
    それを一色に指摘されたのだから。



    いろは「ちょっ、何わらってるんですかーっ!」

    八幡「別に笑ってねぇよ」

    いろは「先輩がにやけてるとキモいだけなんでやめて下さい呪われそうですっ」

    八幡「ひでぇ…」



    それはあんまりだろう?
    俺の笑顔を見た者は呪われるとか闇の組織から正式にオファーきちゃうんじゃねぇの俺?
    もうオカルトなんて、言わせない!
    こほん、と一色の咳払い再び。


    いろは「とにかくっ、私が言いたいのは先輩との沈黙なら別に気になりませんないし、むしろ全然OKウェルカムばっちこいってことですよっ!」

    八幡「お、おぉ…」




    その後、しばらく2人を静寂が包んだ。




    458 = 452 :

    僕の中でもうあと10レスかかんないくらいで終わる雰囲気…

    459 :

    なん…だと…

    460 :

    なん...だと...

    461 :

    なん…だと…

    465 :

    僕はついていけるだろうか
    残りのレスの展開のスピードに

    466 :

    関係にひと段落ついても、イチャイチャしてるとこみたいです

    467 :

    ちょ、冗談きついわwwwwwwwwwwww
    え…?

    468 :

    ああ おれたちは
    目を開けたまま
    このスレの終わる夢を見てるんだ

    469 :

    10巻の見開きのいろはかわいすぎじゃね?

    470 :

    いろはす可愛すぎて生きるのがつらい

    471 :

    お待ちしてナス!

    472 :

    ぼくは ただ このスレに
    さよならを言う練習をする

    474 :





    いろは「じゃあ先輩、この辺で」

    八幡「………あぁ」



    いつもの別れる場所。
    いつもよりノロノロと歩いていたハズなのに、気が付けばもうここだ。
    ………なんか、早いな…
    そんな事を思いながらも歩き去っていく一色の背中を少しの間見送り、俺も帰路へと着く。


    ……このままで良いのだろうか?


    一色と別れた後、何度も考えていた。
    いや、実際はずっと考えていたのだ。
    一色とこの仮の関係になった時から。
    最初は俺が答を出せるのか、という事が心配だった。
    次は俺が好きというものを理解できるようになるかどうか。
    そして今は、この想いをどう伝えるか。いつ伝えるか。
    それに悩まされている。
    こんな経験は前にもあった。折本とだ。
    そしてそれによってトラウマができた、と言って、俺は再び逃げている。


    一色と別れておよそ10分。
    黙々とチャリを引きながら歩いていたその足は止まっていた。


    ………なぜだ?
    なぜ今、俺の足は止まっているのだ?
    俺は基本的には論理的で理性的のはずだ。
    大衆に常識というモノを無理矢理叩き込まれて、そこに違和感を持たずに生きてる奴らとは違う。
    そういう奴らはいつだって他人のせいにして、他人の力に頼って、ろくに勉強もしねぇくせにいつも言うことは一人前だ。
    自分が負けそうになるとすぐに感情論を持ち込んで論理の壁をぶち壊す。
    そんな感情的で衝動的な奴らは俺の苦手とする人間だ。
    だからこそ俺は理性的だと言える。
    それはあの雪ノ下陽乃に理性の化け物と言われたことでも証明できる。
    なのに、なのに今の俺は…………



    自分でも気付かない間に俺はあの公園に来ていた。
    我ながらアホくさいと思う。
    常に屁理屈と言う名の歪んだ論理を説き、数え切れないトラウマを元に理性の化身と化したはずの俺が、今こうしてそんな壁をぶち壊してここに来ているのだから。
    一色に、告白された公園。
    いや実際、最初に告白されたのはあの別れ道付近だったわけだが。
    でも一色とはさっき別れた。
    だからこそ今の俺を俺は理解できなかった。
    でも理屈じゃない。
    なぜかここに来ていたのだ。





    ーーーきっとあのベンチに座っている彼女もーーー




    476 :






    公園の出入り口に無造作に自転車を停めると、ベンチに佇む彼女、一色いろはの元へと向かう。
    彼女の元へ向かいながらふと考える。
    こういう時って何て言って話しかけるのが正解なんだ?
    『よお』か?んーむ、キザっぽいな。
    『やっはろー』か?どこのビチヶ浜だよ。
    うむ、こういう時はやっぱ聞きたい事を率直に聞くのが無難だろう。



    八幡「何してんだ?」

    いろは「ひっ?!?!」



    一色は俺が話しかけると同時に身体を硬直させると、ギギギッと音がしそうな程ゆっくり顔を動かした。
    ふむ、どうやら俺だと分かっていなかったらしい。



    いろは「せせっ先輩?!驚かせないでくださいよっ!!」

    八幡「いや、俺の歩く音してただろ…」

    いろは「全然してなかったですよ!あぁ、もうホント怖かったですー」

    八幡「足音響かねぇほどステルスヒッキー強力なのかよ…」

    いろは「て、ていうか話しかけ方下手くそ過ぎですよ。相手に気付かれてもないのにいきなり疑問で来るとか残念過ぎですからねっ」

    八幡「………すまん…」



    ダメだったのかあの話しかけ方…
    一応色々とシュミレートしたんだが…
    まぁ以前、材木座にすら『流石の我も引くレベル』だか言われたからなぁ…あぁ、あの豚殴りたい…



    いろは「……それで、なんで先輩来たんですかー?」

    八幡「あー、いや、まぁ別に、ほらアレだ、何となく?みたいな」



    俺の解答が腑に落ちない様で、ジト目で俺を見てくる。
    まぁこれが解答というには流石に無理があるのも事実だ。
    だが自分でも気付かぬままここに来たのもこれまた事実だ。


    八幡「いや、ホント何となくっつーか、気が付いたらここに居た、みたいな感じだ」


    俺が事実を告げると一色はサッと自分を抱き締める。


    いろは「霊かなんかですか?よく思い出して下さい。私と別れた後、車に轢かれたりしませんでしたか?」

    八幡「ちげーから。ちゃんとさっきそこにチャリも置いてきたから」

    いろは「本当にそこに自転車あると良いですね…」



    おいやめろ。不安になるだろ。
    常日頃からゾンビとか言われてるんだから、ちょっぴし心配になっちゃうだろ。
    目が腐ってて、しかもリアルゾンビとかもうやべーから…えっ、ホント違うよね?




    477 :

    クライマックスが近いかな

    478 :






    その後、なぜか訪れる沈黙になんだか居心地が悪くて、俺もベンチに座り込む。
    一色が何も話す素振りがないので、俺から話を切り出した。



    八幡「それで、お前こそなんでここにいるんだよ」

    いろは「先輩に私の行動理由を一々教える必要はないんじゃないですかー?」

    八幡「俺だけ話すのは損した気分だからな。何事もWIN-WINが望ましいだろ?そしたら戦争も起こらない」

    いろは「また先輩の意味不理論ですか」



    いや分かるだろ。
    まぁ実際にはそうできないから現在も内戦やら何やらが起きてるんだけどな。フレア団のボスが言ってたぜ。
    まっ、世界中の人間がぼっちになれば戦争も何も起こらないという俺の超理論に辿りつけねぇ時点でダメダメだな。
    俺の世界を導く者としての可能性を見出していると、一色はフッと息を吐いて小さな声で喋った。



    いろは「私も、何となく、ですよ…」



    どこか含みを持たせた様な言葉につい俺も同様にジト目で一色を見てしまう。
    その視線に気付くと、クスッと笑った。



    いろは「………ホントは、先輩に送ってもらった後、いつもここに来て20分くらいボーッとしてるんですよねー。なんでかは、分かんない、ですけど……」

    八幡「…………」



    再び訪れた静寂が、冬の寒さと相まって俺の中に強く降り積もる。
    ……そういうこと、なんだろうな。
    こいつの今の感情の原因が俺であることは明白だ。
    いや、例えそうでないとしても、このままこの関係を続けたらいずれ問題はやってくる。
    先送りにすればするほど、深刻になる…



    いろは「何かこんな事してるとまるで病んでますよアピールしてる人みたいで嫌ですよねーすいません」

    八幡「別にんな事ねーよ…」

    いろは「なら、良かったです…」

    八幡「あぁ…」




    479 :

    kwskさんが様々なシチュエーションでフラレるssはよ

    480 :

    >>479
    お前が書け…ってフラれるのかよ

    481 :

    >>480
    振られて涙目のkwskさんがかわいいんだろうが

    482 :

    八幡の発言を勝手に勘違いして一人でワクワクしてるkwskさんも良いと思います。

    483 :

    10巻読んでからわいのいろはす愛に火がついたんだかどうしたらいい?

    484 :

    くわしくさんって誰だと一緒考えてしまった...
    まだまだ愛が足りんな

    485 :




    仮の恋人関係。
    正直、居心地は良い。
    俺は現在一色からの好意を一方的に貰っている。それゆえの仮の関係だ。
    一色のその想いが冷めればそこまでなのだが、この関係になってからのコイツの態度や行動を見ているとそれは今のところなさそうだ。
    むしろ、何年たっても俺の言葉を待ってる可能性まである。何それ俺愛され過ぎ…。
    いや、冗談事ではない。
    だからこそ俺は一色を傷付けてしまっているのだ。
    一色にとっては現在のこの関係はもどかしいのだろう。
    俗に言う友達以上恋人未満が今の俺たちだ。……友達いねーから友達以上かは分からんが…。



    八幡「………なぁ、一色…」

    いろは「はい?」



    冬の夜は、辺りは暗く、空気は冷たく、世界に音がなくなったようにとても静か。
    それゆえに俺たちの声はどれだけ小さく呟いても互いに聞き取れてしまう。
    まるで世界そのものが俺たちの交わす言葉に聞き耳を立てているようにさえ感じる。
    だから自分の声が震えているのが分かる。
    一色の声に包み込む様な優しさがあるのも分かる。



    八幡「……お前に言われた事、俺なりにだが、かなり真剣に考えてみた」

    いろは「私に言われたことですか?」



    ふむ?と顎に指を立てて思考する一色。
    察してくれよぉ、自分で言うの恥ずかしいんたから。
    だが一色はどれの事か分からない様で、んー…と唸りながら頭を悩ませている。



    八幡「……その、ほら、アレだ。す、す、す、好き、っつう気持ちがどういうものかみてぇなヤツだよ」

    いろは「あぁ、それでしたかっ。なんだか先輩とはたくさんお喋りしてるんでー、どれか分かんなかったです」



    ふぅ、『好き』という単語を言うのに若干汗かいちゃったよ、俺の草食力もかなりのもんだ。
    日本では今、草食系男子がモテるんだろう?
    俺もおそらくその部類に入るから、つまり俺もモテるという事だ。
    今日から俺も人生薔薇色だなー(遠い目)
    ………草食系のどこが良いんだ?
    草食系と付き合う女って自分のこと雑草って言われてるのと同じじゃね?
    実際、俺が草食系に分類されていたとすると、俺が女なら俺みたいな奴は絶対に嫌だ。死んでも嫌まである。
    つかなんだよ〜系、〜系ってよ…
    何でもかんでも分類しなくて良いからな。
    何?近い将来、図鑑に『ヒト科・オリーブオイル系』とか付いちゃうの?
    ………なんだよオリーブオイル系男子って…狂気感じるの俺だけ?



    486 = 485 :





    八幡「それで、お前の言った『別のす、好き』に対して俺なりの答が出た」

    いろは「そう、ですか。……なら、聞かせてもらえますか?」

    八幡「……その前に、お前に言っとかなくちゃいけないことがあるんだが…」

    いろは「なんですか?」


    一色の頭には?が浮かんでいる。
    うむ、やはり知らないようだ。
    俺は軽く息を吸ってから口を開いた。



    八幡「……由比ヶ浜に告白、された…」

    いろは「ぇっ」

    八幡「すまん、もっと早く言うべきだったな…」

    いろは「………」

    八幡「……それで、だな、その、俺はーーー」

    いろは「聞きたくないですっ!!」

    八幡「ーーー由比ヶh……え?」



    急に怒鳴られたもので、柄にもなく驚いてしまう。
    えっ?なんで怒鳴られたの?
    一色の方に顔を向けると、一色は俯いて、強く握りしめた手が膝の上で小刻みに震えている。
    …………これはもしや…



    いろは「聞きたく、ないです…。結局、やっぱずっと一緒に居て、ずっと先輩を想ってた結衣先輩をとるんですね…。そりゃそうですよねっ。私なんか、つい最近先輩と知り合ったばっかで、大きな思い出といったら生徒会選挙や、クリスマス、イベント、看病、してもらっ、た、ぐらい、で…グスッ……」


    八幡「えっと、一色?俺はだなーーー」

    いろは「やめて下さいっ!私に気を使って今まで黙っててくれたんですよね。あはは、バカだなー私。なんで早く気づかなかったんだろう…。だから、だから……。すいません、帰ります」



    えっ?は?え?
    目の前の出来事に脳がまだ追いついてこない。
    俺が呆気にとられていると、一色はスックと立ち上がって俺の前を通過しようとする。
    ーーーが、俺の手が完全に通過しかけた一色の手をパシっと捉えた。
    こんな時、きっと俺が主人公的な何かや、或いは魔王の様なそういった物語のメインキャストならこの手を引っ張って抱き締めたり、そのまま唇を奪ったりするのだろう。
    だが俺は、比企谷八幡は、そんなかっこいい奴じゃない。
    醜くて、低俗で、モブで、弱っちい。
    ……だけど、それでも俺はーーー



    八幡「待てよ」



    487 = 485 :





    いろは「離してくださいっ」

    八幡「まだ話の途中だろうが」

    いろは「途中でも聞きたくないんです!結衣先輩が先輩のこと好きなのなんて皆分かってます!先輩が結衣先輩のこと意識してるのだって見てれば分かります!それでも私は先輩に告白したんです!こんな仮の恋人でも、私は嬉しかったんです!でも、でもやっぱり本当の恋人同士になりたかったんです!なのに!なのに、なんで…なんで……」

    八幡「………」



    一色の頬を伝う涙。
    漏れる嗚咽。
    これは一色の盛大な早とちりである。
    話の流れからして、俺が由比ヶ浜をフった事は少し考えれば分かるだろう。
    普段の一色ならそのくらい分かるだろう。
    実際察してくれると思ってた。
    でも今の一色は違う。
    もうそんな話の流れという過程を飛躍して自分で勝手に答を決めつけてしまうくらいに、彼女の心には余裕がないのだ。
    そして一色をそうさせているのは他ならぬ俺だ。
    告白してきた時から一色はじっと俺の答を待ってくれていた。
    きっと不安や期待、もどかしさ、その他色々の感情を押し込めて俺の答を待ってくれていたのだ。
    ホント、ビッチっぽい女って意外と一途だよな。
    今の俺たち二人を包む空気は確かに暗いはずなのに、なぜか感動している俺がいる。
    つい口元が緩みそうになるのを堪えた。
    そして一色の手を握っている手に力を込め、立ち上がる。



    八幡「いいから聞け」

    いろは「うっ………ぐすっ……」



    言わねばなるまい。
    泣いてる一色のため?それもあるだろう。
    この関係に導いてくれた奴らのため?それもある。
    だけど、だけど一番は俺のためだ。
    俺が、俺がこの手を離したくないのだ。
    なぜならーーー








    八幡「一色。俺はお前とも、……いや、お前とは、一番の、本物が欲しい…」





    488 = 485 :





    だから言うんだ。
    勇気を振り絞れ俺。
    今まで特に何もしてこなかったんだ。
    確かに高校2年生になって、奉仕部に入らされて、彼女たちと出会って、忙しい一年だった。
    でもそれまでは特に何もしてこなかった。
    だから力ならまだ余ってる。
    勇気なら心の中で眠ってる。
    それを今使うんだ。
    俺のーーー望んだモノのためにーーー。







    八幡「だからっ………だから俺と…本物の関係に、なってくれよ……。その……つ、付き合って、くれ…」







    一色の手を離して顔を背ける。
    自分がこんな事を再び言う日が来ることを脳自体が諦めていたようで、一色の目を見て告白はできなかった。
    でも、言えた。
    ようやく、言えたのだ。
    かくいう一色は現状に頭が付いてきていない様で、え?へ?あれ?ふぇ?とか涙をポトポト落としつつも思考を整理している。



    いろは「え?でも…はれ?先輩、結衣先輩と……ぇ?」

    八幡「由比ヶ浜のことは、その、フった…」

    いろは「へ?え、でも、なんで……?」



    それを聞くの?
    さっき俺が言ったこと忘れたのかな?
    もうこの、おバカさんっ☆
    なんて考えてる余裕もなく、自分の顔に血が巡ってくるのを感じる。
    つい頭をポリポリかいてその問いに応えた。



    八幡「……それはホラ、アレだ。その……まぁ、他に、つつ付き合いたい奴、いた、からな…」

    いろは「じゃ、ぐすっ、じゃあさっきまでのは全部、私の、ひっく、勘違いって、こと、ですか?」

    八幡「だから話聴けって言っただろ…」



    一色の泣き止みかけていたはずの目に再び涙が溜まっていく。
    何度手の甲で拭っても溢れるように流れ出る涙は止まらない様だ。
    だがすぐに諦めたのか、伝い落ちる涙も気にすることなく、うわーんと大声で泣き叫びながら俺に抱き付いてくる。



    いろは「ぜんぱ〜〜いっ!!良がっだぁ、良がっだですぅぅっ!!」



    俺は初めて泣きじゃくる一色の頭をワシワシと撫でてから、抱き付いてくる一色の背中に手を回して、そっと抱き締めた。


    489 = 485 :




    八幡「ほらよ」


    そう言ってベンチに力なく座り込む一色に公園の出入り口の自販機で買ったあったか〜い飲み物を渡す。
    あの後しばらくお互いに抱き合っていたわけだが、一色の泣き叫ぶ声を聞いた近所のおばさんが見に来たので強制的に離れた。
    ……もうちょっとあの抱き心地を堪能したかったのに…あのババア、いつか絶対叩きのめす…



    いろは「ありごとうございますー」



    盛大に泣いたためか、どうやら一色は身体の力が抜けてしまった様で、ふにゃあっとベンチに崩れ落ちた。
    そして今に至る。
    互いに喉を潤して一息ついた。



    八幡「落ち着いたか?」

    いろは「はい。その、さっきはすみません。何かすっごい勘違いしちゃって…」

    八幡「別に気にしてねぇよ。大体謝るのは俺の方だろ。悪かったな由比ヶ浜との事も、その、気持ち、伝えるのも、遅くなって…」

    いろは「いえ。終わりよければ全て良しってやつですよっ!」

    八幡「…そうか」

    いろは「はいっ。それで先輩、先輩の見つけた『好き』って、どんなのなんですか?」

    八幡「……それ、マジで言わなくちゃダメなやつなの?終わりよければ全て良しなんだろ?なら良いと思うんですがね…」

    いろは「ダメですっ!絶対絶対ダメですっ!もうっ!ほら、ちゃんと言って下さいっ!」



    んーむ、どうやらこの娘は俺に辱めを受けろと言っているようだ。
    いわゆるこれが言わせたがりか…。
    やだこの娘、そんな性癖持ちだなんて聞いてないわっ!
    俺Mじゃないんだけどなぁ。
    いや、日々雪ノ下に訓練もとい調教を受けてるからもうMじゃないとは言い切れないかもなぁ。恐るべし雪ノ下…。



    八幡「お前が考えてるのとは違うかもしれないんだけど…」

    いろは「それでも良いですよっ。だから先輩、先輩にとって『好き』ってなんですか?」


    490 = 485 :





    もう告白だってした。
    まぁあの時は俺も少し感情的だったから言えたのだろうけど…。
    いざこうして冷静になって、見つめられるとやっぱ恥ずかしい。
    でもそこで足踏みしていられる時はすで過ぎたのだ。
    もうただ進むことしか許されていない。
    彼女の視線から、言葉から、想いから、もう俺は逃げられない。背を向けられない。
    だから俺は、自分の答をただ言葉にする。



    八幡「……よく分からない…ってのが、答だ」



    一色は俺の答に動揺しない、口を挟まない。ただ聴いていてくれる。
    それだけでなんだか気持ちが軽くなって、言葉がスラッと出てくれた。



    八幡「俺はお前があの時言ったみたいに、恋愛的な好意ってのは『その相手とずっと一緒にいたい』みたいなヤツだと思ってた。でも由比ヶ浜に告白された時気付いた」



    ほんの少しだけ間を置く。
    一緒に居ると楽しいとか、ずっと一緒に居たいとか、そういうのが恋愛的な『好き』なら俺はもう奉仕部のあの二人にも恋してる事になる。
    それにそれなら戸塚は言うまでもなく、小町に恋してるまである。
    でも一色に対しては、確かにそう思うのだが何かが違って、確かにそこで差別化できるのだ。



    八幡「それが『好き』なら俺はもう由比ヶ浜や雪ノ下の事を恋愛的に『好き』って事になる。でもそうじゃないのは、もう言葉じゃ表現できねぇよ。少なくとも俺にはな」



    キルラキルでも言ってたろ?
    この世界はよく分かんねーもんで溢れてるって。
    そのよく分かんねーもんを見つけた時、それはそいつの大切なモノになるのだろう。
    論理や理性や理屈の範囲では説明しきれないモノ。
    そんなモノがきっとこの欺瞞に溢れた世界の中で隠された、いや息を潜めてる真実で、本物なのだろう。
    いや、本物だからこそ、それは言葉や論理や理性で表現されてはいけないのだ。
    仮にそうでなくとも、そうであって欲しいと俺は切に願う。




    491 = 485 :





    俺の見つけたよく分かんねーもんは、世界全てじゃない。
    別にこんな世界を守りたいわけじゃねぇ。
    むしろいつも俺に厳しいこんな世界は敵ですらある気がする。
    ……世界を敵にまわすとか俺カッコ良すぎ…。
    俺は世界を守りたくなんかねぇし、変えたいとも思わない。
    変える力なんて持ってねぇしな。
    よく大人たちが言うだろう?
    お前の人生はお前が主役だ、って。
    アレをしばしば勘違いしちまう奴らが犯罪なんかを起こすわけだが、そんな奴らに俺が真理を教えてやろう。
    お前の人生では確かにお前が主役だ。だが、世界の主役はお前じゃない。
    話が脱線したが、つまるところ俺が見つけたモノは約30cmほど離れた所でちょこんと座る少女なのだ。



    八幡「まぁアレだ。ふとした時にどうしようもねぇ気持ちになるみたいなヤツだ。ホント何て言ったら良いか分からん。こんなのが答で悪いな」

    いろは「いえ」



    それだけ答えると、一色は立ち上がり俺の目の前まで歩いてくる。



    いろは「返事、まだしてなかったですね」

    八幡「は?いや別にお前の気持ちは前に聞いたし、それに、充分なくらい、伝わってるぞ?」

    いろは「いえ、それはそれですよっ。これは先輩の出した答への返事ですっ!聞いてくれますか?」

    八幡「……あぁ」

    いろは「……私も、私も先輩の事が大好きですっ!なので、よろしくお願いします」

    八幡「……こちらこそな」



    お互い少し照れながらも、プッと笑みがこぼれる。
    これにて俺たちの仮の関係は、終了だ。



    492 = 485 :




    人生ってのは嫌な事、辛い事が多い。
    こんな高校2年生という青春真っ只中なハズの人間がこうやって人生というものを評価できるほどにはこの世界は残酷だ。

    ……人生は苦いからこそ、コーヒーくらいは甘くていい…。

    この先もそうだろう。
    辛い事ばっかで、幾重もトラウマをつくっていくのだ。
    俺は人の成長とか変化とか、そんなものを信じてはいない。
    何もそんな上手くいかない。
    頑張った所で報われねぇし、正義は負ける。
    HONDAのCMでも言ってたな。
    だから俺はこの先もMAXコーヒー飲み続けるさ。
    でもーーーでもーーーーーー

    俺の目の前にすっと手が出される。
    ん?と一色の顔を見つめるとニコッと笑顔を返してきた。



    いろは「帰りましょうよ、せーんぱいっ」

    八幡「……おう」

    いろは「せっかく付き合ったので手繋ぎましょうっ」

    八幡「断る」

    いろは「即答?!ちょっ、それ酷いですー!もう!えいっ」


    立ち上がった俺の手を一色がギュッと握ってくる。


    八幡「………恥ずかしいだろ」

    いろは「もうホントの恋人なんだから良いじゃないですかー」

    八幡「………なら、仕方ねぇか…」

    いろは「はいっ」


    その手を俺も握り返す。
    絡まった手。伝わってくる体温。
    なぜか胸のあたりが熱くなる。
    人生は苦いから、コーヒーくらいは甘くていい……。
    でもーーーでもーーーーーー







    ーーーコイツといる時は、微糖くらいが、ちょうどいい





    お わ り

    493 = 485 :

    これにて終ですっ!
    くぅ疲っ!←(一度言ってみたかった)
    とにかく初めてssを書いてみたものの、自分の語彙力のなさを痛感しましたorz
    なるべくオリジナル設定は付加しないように努めました。

    もともと2部構成で書こうかなぁ、と考えていたので、もしかしたら2部を書くかもしれないです。
    あるいは、いろはとサキサキのどっちでss書こうか悩んでたので、サキサキか、または別のヒロインで書くかもです。
    その時はまたよろしくお願いしますっ!

    途中色々とご指摘してくださった方、乙!だけでもレスしてくれた方、ありがとうございましたっ!

    494 :

    おつ
    次も期待してるぞ
    いろはすって声優誰になるのだろうか

    495 :

    乙です。終わるのは惜しいけど面白かったです。

    496 :

    乙です
    いろはす好きな俺には楽しみで仕方なかった

    497 :

    おつおつ
    もう終わりか…
    初めてなのに大作だったな
    また次も期待してる

    498 :



    2部分のレス数残ってるな

    499 :

    やっと折り返しか(ゲス顔)

    500 :

    サキサキかめぐりんお願いします


    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS+一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - 俺ガイル + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について