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    元スレいろは「せーんぱいっ」八幡「」

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    201 = 198 :





    家に着く頃には涙は止まっていた。
    おかしい、家に着くまで冷たい風を浴びていたはずなのに…

    俺が玄関を開けて中に入る。家の中はしーんとしていた。だがリビングへの戸を開けた瞬間、ばぁっ!!!と小町が死角から飛び出してきた。
    一瞬たじろぎはしたが、すぐに小町のおでこにチョップをくらわす。


    小町「DVだっ!これDVってやつだ!この前保健の授業で習ったもんっ!小町はお兄ちゃんにDVされましーーー」



    喚く小町に今度は少し強めにデコピンをする。


    小町「いったぁ〜〜〜………。うぅ、お兄ちゃんが小町を虐めるよぉ。これは雪乃さんに連絡だっ!」



    後ろを向いて携帯を取り出す小町の後頭部を再びチョップする。



    小町「うっ、うぅ。なんで黙って痛い事するのお兄ちゃん?そういう趣味なの?親父にもぶたれた事ないのにぃっ!」


    八幡「そんな趣味ねぇよ。ただお前にはお説教が必要なだけだ。それとお前が親父なんて呼んだら絶対自殺しちまうからやめろよ」

    小町「お説教?」



    はて?と首をかしげる小町。
    んーむむむ、と自分が何かしたのかと少し考え込んだがさっぱり心当たりがなさそうだ。


    202 = 198 :





    八幡「お前、昨日俺の帰りが遅かったことまで由比ヶ浜と雪ノ下に教えただろ」


    小町「違うよっ!それを教えたのは結衣さんだけだよっ!雪乃さんに言ったらその場で警察に連絡されそうだから言わなかったの。あぁ、なんて小町は兄思いの良い妹n」


    再びチョップ。


    八幡「ばか、由比ヶ浜にも言うなよ。おかげで今日の由比ヶ浜はビーストアウトすっ飛ばしてビーストオーバーしちまってたんだぞ。俺が殺されるかと思ったわ。お前の方がDVだ」


    小町「ぷっ、お兄ちゃんはばかだなぁ。DVは身体を傷付けることを言うんだよ?」


    八幡「お前の方がバカだろ。DVは精神的暴力も含まれるんだよ」


    小町「うそっ?!」


    俺の方が嘘だと信じたいよ。この前聞いた内容をもう忘れちゃってるなんて、受験生として大丈夫なのかお兄ちゃん心配しちゃうよ。



    小町「まぁそんなのはどうでも良いんだけどさ、どうだったの?ちゃんと答出せた?」



    203 = 198 :





    DVの内容範囲はどうでも良いけどお前の記憶力はどうでもよくねぇよ。
    俺が黙ったままでいると、あちゃーと言って倒れこむ小町。
    だが およ?と声を出してすぐに顔を上げる。



    小町「じゃあなんでこんな早いの?きっとそれならかなり暗黒な世界になってたんじゃない?」


    八幡「……確かに俺の答は出てねぇけど奉仕部としての答は出たんだよ」


    小町「ん?どゆこと?」


    204 = 198 :





    八幡「俺のこんな話より勉強の方は良いのか?さっきまでしてたんだろ?」


    炬燵の上には勉強道具が広がっている。
    だが小町は良いの良いのっと手を振って俺の話を促す。
    …………良いのかホントに……。



    小町「ちゃんと話聞かなきゃ勉強にも身が入らないよっ。だから教えて、お兄ちゃんっ」


    はぁ、と溜め息をついて、カバンを近くに下ろすと炬燵の中に入る。小町もそれに続くが、広くもない炬燵なのに小町は俺の横へと押し入って来た。そして肩と肩をキッチリ合わせると にししっと笑顔を向けてくる。

    ………絶対に誰にもやらん、絶対にだ。

    自分の中で決意表明してから、1つ咳払いを入れる。
    それから今日の事をザックリ話した。
    その間、小町は黙ってじっと聞いていた。



    205 :

    由比ヶ浜「おちんぽみるくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅおいしいよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

    206 :

    そこはせめて小町にしとけよ

    207 :

    なんか暴力的なヒロインばかりだな。
    常に生理みたいな女に囲まれて八幡可哀想……
    もうこの八幡は戸塚に走った方がいい

    208 :

    どうした?
    大丈夫か?

    209 :





    小町「これだからごみぃちゃんは…」



    俺が話し終えると小町は額に手を当てやれやれと首を横に振る。
    そのポーズ雪ノ下みたいだからやめろ。
    そのまま小町は続ける。


    小町「そもそも小町言ったよね?その時になったらただ黙ってるだけで良いよ、って」


    八幡「いやだって俺は当然話を振られるだろ?そもそも誰も喋ろうとはしねぇし。つかなんで黙ってるだけで良かったんだ?俺には全くそうは見えなかったが…」

    小町「こぉれだからごみぃちゃんはごみぃちゃんって言われるんだよっ!」


    いや、言うのお前だけんですがねぇ…。


    小町「初めは誰も喋んなくたっていづれ誰かが口を開くでしょ。その後お兄ちゃんは何にも喋らなくても良かったんだよ。そしたら皆さんお兄ちゃんの気持ちを知りだがって、勝手に自分の想いぶちまけて、お兄ちゃんはその間皆さんの意見を聞きながら考えれて最終的には答を出してた、っていう感じになってたと思うな小町的に」



    210 :

    事件は会議室で起きてるんじゃない!
    現場で起きてるんだ!!

    211 :





    八幡「いや、そんな上手くいかねーだろ。一色はまぁアレとして、雪ノ下が自分の気持ちを素直に言うとは思えねぇし、今日の由比ヶ浜はバーサーカーだぞ?そんな風にはなんねぇよ」


    今回ばっかりは小町の言う通りにしなくて正解だったぜ、と胸を撫で下ろしていると、小町は深く溜め息をついて遠くを見やる。


    小町「お兄ちゃんどんだけ結衣さんと雪乃さんと過ごしてきたの?小町よりもずっとたくさん一緒にいたくせに。本気で言ってるなら小町的にポイント低ーい」

    八幡「あのなーーー」

    小町「結衣さんも雪乃さんもすっごく分かりやすい人だよ。むしろあそこまで分かりやすい人達はそうそういないと思うけどーーーー、あそっか!お兄ちゃん滅多に人と関わんないからそういうの分かんないかっ。ごめんねお兄ちゃん」


    八幡「おいやめるんだその同情の目を。それに俺は人を見る目は他の追随を許さんほどだぞ?千里眼と呼ばれる日も近ぇんだからな」



    俺が言うと小町は あーはいはいと面倒くさそうにあしらう。………酷ぇ…。
    でも、と今度はキャピッとした口調で喋り出した。


    小町「仮に、とはいえ彼女を作るなんて小町的にポイント高いよっ!そのまま本当に付き合って結婚までしちゃいなよっ!」

    八幡「あほ、話が飛び過ぎだ」


    そう言って横にいる小町の頭をコツンと叩く。
    全く、なんでこうリア充どもは恋愛=結婚みたいな発想なんだよ。だから別れた時に辛いんだろ。なんだよ、わざわざメアドまで彼氏や彼女の名前入れて後ろに.Fam@〜みたいなよ。お前らまだファミリーじゃねーだろいい加減にしろっ!
    しかしおかげでアド変してきた時にそういうのとれてたら爆笑もんだけどな。
    まぁ誰からもアド変とか来たことねぇけどな。

    つかリア充って、小町は俺の妹なのにリア充なのか?
    …………川崎太志か。今度あったら瞬殺だな。あんな可愛い姉まで居て、そのくせ小町にも手を出すだと?ただじゃおかねぇぞあのゲスチン野郎っ!!



    212 = 211 :

    >>208
    すいません。ここに来て重大な問題に気付いてしまって…。まぁその問題になりそうな所までは今まで通り書きますね。
    本当にすいませんでした!

    213 = 211 :





    心の中で憎しみの炎を燃やして写輪眼を開眼しかけていると、隣にいた小町は自分の元いた席に戻り勉強を始めようとしていた。
    よって俺は席を外そうとする。
    そんな俺の背中に小町がお兄ちゃん、と優しく喋りかけてくる。


    小町「よく、がんばったね。小町的にポイント、高いよ」

    八幡「…………うっせ」


    俺はそのまま部屋を後にした。
    帰って来た時から小町の目元が赤かった事には俺は最後まで触れなかったーーー。







    ーーーその日、久々に早く晩飯を食べ、現在は風呂から上がりベッドの上である。

    なんだったんだ今日は…。長い様で、短い1日だった。
    とりあえず今日の大事なこと、それは俺に彼女ができたことだ。


    ………まぁフェイクだけどな。良かった、幼馴染がいなくて。修羅場にならなくて済みそうだ。
    …もうそれ以上の恐怖を味わった気がするが。

    でも、ホントあの二人には頭あがんねぇな。
    由比ヶ浜との約束のハニトー、いつか近いうちにちゃんと行ってやろう。
    雪ノ下の願い事だって聞いてやろう、できる範囲でだが……。ならそこから飛び降りてくれるかしら?とか言いそうだなアイツ。いや、確かに出来ること事だけれどもっ!!


    そんな事を考えている内に俺は深い眠りに落ちていた。

    昨日今日と、本当に、疲れたーーー。



    214 :

    小町うぜぇ……

    215 :

    なんかおかしいと思ったら由比ヶ浜とのシーデートの約束とかなかったことになってるのか

    216 = 211 :

    >>215
    げげっ!そんなのありましたっけ?!
    完全に見落としてました、すいません。
    何巻のどの辺にありますか?

    217 :

    9巻でランド行った時にハニトーの代わりに二人でランドかシーに来ようと遠回しに約束してるよ

    218 :

    >>215>>217
    早速確認したところ、マジですね…。
    ご指摘ありがとうございます!
    これは完全に不覚でした。すいません…

    219 = 218 :




    >>213

    『由比ヶ浜との約束のハニトー、〜』
    ↓ ↓ ↓
    『由比ヶ浜との約束のディスティニー、〜』


    訂正致します。
    今後もこうした間違いがあればご指摘頂けるとありがたいです。



    220 = 218 :

    ですが実際、このssはいろはメインなので、結衣や雪乃とのデートシーンは書かないかもしれません。
    いろはの嫉妬ネタなどで書くかもしれませんが…
    まだ分からないのが正直なところです。


    ちなみに、>>212で言った重大な問題というのはデートシーンのことです。何せ僕は生まれも育ちも西日本の田舎で、遠出といったら京都に2泊3日。ディズニーランドも千葉もサイゼも行ったことないんです…。
    なのでデートシーンを書くときには周りの描写が大ざっぱになると思います。
    そこは大目に見て頂けると嬉しいです。
    本当にすいません………。

    221 = 218 :






    次の日の朝。
    時計を見るとすでに8時を回っている。遅刻が決定した瞬間である。
    昨日は21時過ぎくらいからの記憶がない。大方11時間も寝てしまっていたわけだ。
    それってほぼ半日寝てたってことだな。

    冬の朝晩の冷え込みは流石といったところだ。
    おかげで布団から出たくなくて気付けば布団に数時間も包まっているなんてのはよくあることだ。


    2日連続で疲れる日々を送ったので今日はなんだかとても気が楽な1日だった。
    まぁバリバリ遅刻していったので、平塚先生にはラストブリット決められたし、昨日の事もあって由比ヶ浜が話しかけてきたりした時はなんだか気恥ずかしいかったが…。


    部活も難なく終了。
    すでに帰宅した今日この頃。


    …………おかしい。
    …………昨日の事は嘘だったのか?
    …………確かに昨日、仮とはいえ俺は一色と付き合ったはずではなかったろうか。
    確かに仮の関係だ。だが今日は一度も一色の姿を見かけなかったぞ…。
    風邪か何かで休んでるのだろうか。



    リビングの炬燵でMAXコーヒーを飲んで至福の一時を噛み締めながら思案していると携帯のバイブ音が鳴り響いた。
    長ったらしくて煌びやかな名前が表示される。
    なんだスパムメールか。



    …………晩飯後、風呂に入って自室へとあがる。
    ふぅ、と椅子に腰掛けると携帯のバイブ音が再び鳴り響いた。今度はやたらと長い。見てみると由比ヶ浜からの電話だった。


    222 :

     

    223 :

    いろはすの声が脳内で水橋かおりになるんだよなぁ

    224 :

    みずはす?

    225 :

    >>211
    >可愛い姉

    226 :

    >>225
    サキサキ可愛いだろ!

    227 :





    結衣「ちょっとヒッキー!!なんでメールしたのに返してくんないの?!」


    通話ボタンを押すなりいきなり由比ヶ浜が大声で怒鳴ってくる。
    あぁ、あのメールこいつからだったのか。スパムかと思ったぜ。まぁ分かってたけど。



    八幡「………現在、この電話は使われておりません。ピーっという発信音のあとーーー」

    結衣「使われてないのに留守電とるのっ?!」


    ………ミスったぜ。


    八幡「でなんだよ。用がねぇなら切るぞ」

    結衣「酷過ぎだっ?!もう!ヒッキーのばか!意地悪すんなしっ!」

    八幡「すまん…。んで何の用だよ?」


    結衣「あぁ、あのね、今日いろはちゃん休みだったでしょ?」

    八幡「いや知らんが…」

    結衣「それでねーーーって、えっ?!もしかしてヒッキーいろはちゃんのアドとか知んないの?!」



    こいつ、ホント声デカ過ぎ。10cmくらい話してた方が丁度よく聞こえるな。


    八幡「そうだが、別に問題ねぇだろ。それでなんだよ」

    結衣「それ問題あり過ぎだから…。一応付き合ってるんだよ?まぁそれでね、いろはちゃん風邪みたいなんだ。だから明日土曜日だし、お見舞い行ってあげたら?」


    八幡「………いやいいわ。どうせ向こうの親だっているだろうしな」


    結衣「明日は昼からはいないんだって。だから行ってあげなよヒッキー」



    228 = 225 :

    >>226
    いや、問題は八幡がそう認識していることじゃないか
    まあ可愛いのは認めるが

    229 :

    >>228
    ですよね〜。あれは八幡的思考じゃなくて完全に僕の想いで書いてしまいましたすいません。
    正直、大志嫌いです。最終的に小町と結ばれたりしたら発狂してしまいそうですw

    230 :





    絶対行きなよっ!とだけ言って由比ヶ浜は電話を切った。
    ほとんど一方的に喋って切りやがったアイツ…。
    マジかよ、明日行かなきゃダメなのん?
    つかいきなり行っていいものなのか?

    いや、問題はそこじゃねぇ。
    絶対顔をあわせたら気まずくて無言になってしまう。アイツは大丈夫でも俺が大丈夫じゃない。
    いや、本当に問題はそこだろうか…。







    そんなこんなで夜が明け現在、一色家の前である。
    家の前で俺の様な腐った目をした人間が立ち止まっていても不審者確定なので、覚悟を決め、インターホンを鳴らした。


    いろは「はい」


    少ししてから一色がインターホンに出る。


    八幡「俺だ」

    いろは「っ?!せ、せせせせんぱッッッゴホッゴホッ…!」


    来客が俺で相当驚いているようで、咳込む一色。
    しばらく咳込んでいたが落ち着いた様で、今開けますね、と言ってインターホンを切った。



    232 :





    おそるおそる開かれたドアの先にはパジャマ姿で、おでこに熱さまシートを貼った一色が立っている。
    さっきまで咳込んでいたせいか、若干涙目だ。



    いろは「そ、それでどうしたんですか先輩?」

    八幡「お前が風邪だから見舞い行けって由比ヶ浜が。ほれ」


    そう言って来る途中コンビニで買ったゼリーやらポカリやらの入った袋を渡す。
    渡す物は渡した。言われた通り見舞いにも来た。うむ、完璧に任務はこなしたな。



    八幡「それじゃ帰るわ。お大事に。じゃあn」

    いろは「え?はっ?ちょっと待って下さいよ!え、帰るって帰るってことですか?」

    八幡「………大丈夫かお前。帰るっつったらそれしかねぇだろ。ゴーホームだよ。まだ熱あんだろ、寝とけよ。じゃあn」


    いろは「だから待って下さいってば!え、なんで?なんで帰るんですか先輩。それっておかしくないですか?」


    八幡「いや、おかしいのお前だろ。俺は由比ヶ浜に言われた通りちゃんと見舞いに来た。小町に言われた通り風邪ひいた時に欲しくなりそうな物を買ってちゃんと渡した。パーフェクトだ。任務に一つのミスもない。俺も晴れて忍の仲間入りだ。そして任務を遂行したらマイホームに帰るだろ普通。だから帰るんだ、我が家へ」


    いろは「な、なるほど。確かにおかしいの私だったかもです。ありがとうございました。先輩もお気をつけて」


    八幡「おう、じゃあな」



    そう言って俺は玄関から出て後ろ手でドアを閉めるとふぅ、と一息付いて歩き始めたーーー。



    234 :

    >>233
    そんなわけではないんですが…
    最近忙しいのと暇な時に書こうとはするんですが何だか言葉がすっと浮かんでこなくて…
    申し訳ないです……。

    235 :

    いつも更新楽しみにしてるから申し訳ないとか思わないでほしい
    書き溜め宣言して詰まってエタる人もいるし
    やりやすいように投下してくのが一番いいと思います

    236 = 234 :

    >>235
    そう言って下さるとホント嬉しいです
    ありがとうございます!

    237 :

    とにかく書き切ってくれるなら遅くてもいいかな

    238 = 234 :

    >>237
    中途半端に終わるのは好きではないので、完結はさせたいと思っています。
    優しい言葉、ありがとうございます^ ^

    239 :




    一色家玄関から三歩ほど帰路を進んだところで勢いよく玄関が開いて、中から一色が飛び出してくる。



    いろは「ーーっておかしくないですか先pゴホッゴホッッッッ!!」


    また大声で喋ろうとしてむせる一色。
    少しして落ち着いてから深呼吸して呼吸を整えると今度は咳き込まない様にゆっくりと静かに喋った。


    いろは「先輩、普通お見舞いにきたなら看病までしていくのが常識なんですよ?」


    八幡「は?そんなリア充みたいなことできるわけねーだろ。つかそんな常識知らねーよ。じゃあn」

    いろは「あぁ、先輩のせいで外に勢いよく出てきて風邪ぶり返しそーだなー。一人だとご飯も食べれませんねー。はぁ、どうしようかなー。誰か看病してくれませんかねー」



    うわっ面倒くせ!
    思わず溜め息が出る。一色はそんな俺を見て目を輝かせる。


    八幡「……わかったよ。ちょっとだけだぞ」

    いろは「はいっ!ありがとうございますー先輩っ!」


    えっへへ〜と笑う一色に連れられ一色家の中へ。そのまま一色の部屋へと案内された。



    240 :





    ふむ、少し物が出てはいるがわりかし綺麗な部屋だ。潔癖症でもないので特に気にならない。
    俺は一色に促され絨毯の上のクッションに座った。一色はボスッとベッドに腰を下ろした。



    八幡「……風邪ひいてんだからベッドん中入れよ」

    いろは「………ベッドに横たわる私を襲う気ですか?まだちょっと心の準備できてないんで無理ですごめんなさい」


    八幡「いやしねぇから。心の準備もしなくていーから」

    いろは「それはそれでショックというかー、まぁ確かに先輩は普段から雪ノ下先輩や結衣先輩と一緒にいますから目が肥えてるとは思いますけどー」



    なんだこいつ、襲って欲しいのか?さすがはゆるふわと言えどビッチなだけはある。
    いや、リア充はこんな思わせぶりなことを言うのはお手のものだ。からかっているのだろう。
    残念だったな一色。俺はその手には乗らんのだよ。フフフフフフ、フゥーーハッハッハッッー!!


    八幡「バカ言ってねぇでとっとと寝ろ。マジでこれで風邪ぶり返されたら洒落にならん」

    いろは「わかりましたよー」


    ブーブー言いながらも布団にくるまる一色。
    よし、これで看病も任務達成だな。帰るか。

    241 = 239 :





    いろは「先輩」


    帰ろうと立ち上がりかけた俺に一色が声をかけてくる。
    なんだよ、と聞き返すと一色は布団から顔を出した。


    いろは「え?ちょ、なんで帰ろうとしてるんですか?!」

    八幡「あ?お前を寝かせつけたんだから看病終了だろ。だから帰ろうとーー」


    いろは「バカですか?先輩はバカなんですか?看病といったら今日うちの親が帰ってくるまでですよ」

    八幡「おい待て冗談だろ。お前の親はいつ帰ってくんだよ?」


    いろは「早くて明日のお昼ですねー」

    八幡「なん…だと……。つかそれ今日ですらねぇじゃねえか。お断りだ。せめてお前の言うように今日までだ。そこまでが俺の最大の譲歩だ」

    いろは「……………」



    う〜む…と目を閉じて考え込む一色。
    いや考えるほどのことでもねぇだろ。
    明日までってことはつまり今日俺はここに泊まるってことだろ?無理だ。精神的に無理だ。



    いろは「わかりましたよー、それで手を打ちましょう。その代わり、今日は先輩は私の言うことちゃんと聞いて下さいね」

    八幡「……………倫理的で理性的で俺にできる内容ならな」



    ………はぁ、面倒くさいし、最悪だ…。



    242 = 239 :





    いろは「では先輩、私は少し疲れたので寝ます」


    一色はそう言うと再び布団に包まったが、しばらくすると顔を出してこちらを睨めつけてくる。
    なんだか頬が紅い…。


    いろは「あの、先輩。あたし寝ますよ?」

    八幡「あ?んなの見りゃわかんだろ。おやすみ」

    いろは「えっ、あ、いや、ホントに寝ちゃいますよ…?」

    八幡「いや寝ろよ。風邪ひいてんだろ。約束したから別に帰ったりしねぇよ」

    いろは「そ、そうじゃなくてですねー…。はぁ、こりゃ攻略大変そうですねー……」


    何やらブツブツと言っているが、再びこちらを見てくる一色。
    なんだかさっきよりも顔が紅い…。


    いろは「…なら、眠るまで頭撫でて下さい」


    うぅ、と鼻まで布団に隠して一色は恐る恐る言葉を出す。
    やべぇ、理性という名のシードが弾けそうだぜ…。


    八幡「断る」

    いろは「えっ?!なんでですか!」

    八幡「前にも言ったがそりゃ妹専用コマンドなんだよ。だから無理だ」

    いろは「か、仮にも私は先輩の彼女ですよ?!そのくらいなら別に良いじゃないですか〜」



    バカ、その単語を口にするな。意識しちゃうから。マジでやめろ下さい。



    243 = 239 :





    いろは「うぅ、彼女なのに妹よりも扱いは下…。せめて同等に扱ってくれたって……」


    八幡「仮だからな。それじゃまだ俺の小町への想いに割って入ることはできん」



    そう言ってベッドに腰掛け一色のおでこに手を乗せる。
    ふぃ〜、緊張するぅ……!!



    いろは「ホントに気持ち悪いシスコンですねー。でもまぁこれでも許してあげます」



    そう言うと一色はスッと目を閉じる。



    いろは「寝てる間に変なこと、しないで下さいよ?」

    八幡「しねぇよ」

    いろは「勝手に帰らないで下さいよ?」

    八幡「帰らねぇよ」

    いろは「私が起きるまで手を取らないで下さいよ?」

    八幡「…善処する」

    いろは「……ずっと、ずっと側にいて下さいよ?」

    八幡「………お前が起きるまでな」




    俺がそう言うとフフッと口元に笑みを浮かべて一色は眠りについた。



    244 :

    砂糖吐いた

    245 = 239 :





    ふと気がつくと部屋の中はだいぶ暗くなっていた。部屋の時計を確認するとすでに時刻は17時を回っている。
    つまるところ俺もあのあと寝てしまっていたらしいが、さすがは俺。ベッドで横になることなく、座ったまま壁にもたれかかって寝ていた様だ。
    この辺が俺とリア充とを完全に差別化できる所だろう。まぁそんなことしなくても性格も種族値的にも俺は完全にダメだからな。しかもいくら敵を倒しても努力値は上がらない。


    俺の不憫ポケモン性を脳内で確認したあと、一色の方を見る。
    まだすぅすぅと寝息を立てて寝ていらっしゃる。
    どうやら俺は自分の手をずっと一色のおでこに置いていたようだ。一色の熱がしっかりと伝わってくる。
    …………ってダメじゃねぇか。かなり熱いぞ。こりゃ熱上がってんな。
    …………俺のせいか……?


    考え込んでいると一色が寝返りをうった。少し髪の毛が顔にかかったのでそれをそっと払いのける。
    ………こんなシチュエーションは二次元の中にしかないと思ってた時期が僕にもありますた。

    少し顔に汗も浮かんでいるのでタオルで拭いてやろう。タオルを探しに行かなきゃな…。
    ちなみにおかゆくらい作っといてやるか。




    その後一色家の風呂場に行きタオルをとってリビングの冷蔵庫の中の氷を包むとそれを一色の頭に乗せてやる。
    人ん家の物を勝手に使っていると思うと罪悪感はあるが仕方ないだろう、と思って割り切った。

    次はおかゆである。



    246 = 239 :






    小町『ーーーーうん、そこで少し塩入れちゃって。風邪ひいた時は塩分欲しくなるからね。うん、でね、次はぁーーー』



    おかゆなんて家庭科で作ることもなかったので小町に頼った。電話で工程を聞きながらせっせと手を動かす。


    八幡「わりぃな。小町の邪魔して」


    小町『およ?ううん、全然いいよお兄ちゃんっ!むしろお兄ちゃんがそうやって会長さんと愛を育んでくれて小町的にポイント高いよっ!」

    八幡「育んでねぇよ。ただ約束を守ってるだけだ」


    小町『まぁた照れちゃってぇ。このこのぉ。でもちゃんと看病したげるんだよ?なんなら今日は帰ってこなくても良いからね?』


    八幡「……あほ。さすがに泊まるわけにはいかねーよ。つかそんな事したら明日の朝のプリキュア観れねーだろうが」



    そんなこんなでおかゆを作っている時だった。
    ドタッと一色の部屋から鈍い音がする。



    八幡「わり、一旦切るぞ」


    小町の返事も待たずに電話を切ると一色の部屋へと向かった。
    部屋を開けると一色が絨毯の上にうつ伏せで寝転がっていた。




    247 :

    ニヤニヤが止まらない!

    248 :

    ロマンチックが止まらない

    249 :





    一色というよりは布団の塊がモゾモゾと動く。
    ………ホラーかよ。
    とりあえず電気をつけて声をかけてみると布団からひょこっと顔を出した。



    八幡「……何してんだよ」

    いろは「せん…ぱい?」

    八幡「何寝ぼけてんだ。ほれ、とっととベッドの上に戻れ」


    俺がすぐ側まで寄ると一色はがばっと抱き付こうとするが反射的にそれをかわす。
    当然一色はドタッと床に顔から落ちた。
    ………かわさなければJKと抱き合えたのにっ!!自分の反射神経(対人用)が憎いぜ!!


    いろは「何で避けるんですかっ?!せっかくこんな可愛い後輩、がーーはれ?」



    急に立ち上がろうとした一色の身体はフラッとよろめく。
    気付いた時には俺の身体は動いていて一色の手を取り、前に引きながら背後へと身体をまわした。
    当然しりもちをつく形になって、更に一色の下敷きとなる。



    250 :




    八幡「いって…」

    いろは「す、すいません先輩っ!」

    八幡「……だからベッドで寝てろっつってんだろ。自分じゃ分からんかもしれんが熱が上がってんだろ。大人しくしとけ」

    いろは「す、すいません……」

    八幡「……いいから早くそこどいてくれ」



    未だに一色は俺に抱きかかえられている様な状態である。
    俺がそう言うと一色はなぜか黙り込んで動こうとはしない。


    八幡「……一色?早くそこをだなーー」

    いろは「も、もももう少しっ!もう少しだけこのままでいましょうよ先輩っ」

    八幡「は?何言ってんだ早くどけ」



    いやマジで早くどいて。早くどいてくれないともう一人の僕もとい相棒が深い眠りから覚醒めてしまうだろうがっ!!
    うむ、見舞いに来ることによって生じる最大の問題はコレだ。
    だが俺はエロゲやギャルゲーの主人公でもない。こんな夢のようなシチュエーションに出会えてもToLoveるは起きないんだよリト先生のバッカ野郎ぉぉぉおおっ!!!




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