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    元スレ晴絵「個人戦は見学していくからね」

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    801 = 1 :

    華菜ちゃん多重属性につきどこを取り上げればいいのかわからない問題

    日付変わって優希の誕生日です。ゆうたんイェイ~
    明日はみはるんと九月生まれ多すぎる…

    ちまちま京タコ書き溜めてたけど間に合わなかったよ畜生!

    803 :

    乙だし!そしてゆーきたんイェイ~

    そういやタコスがメインってあったっけ?

    805 :

    >>803まだだし!そのうち書きますかね

    次回の予定は未定ですが今回姉妹の話振ったし照にするかもしれません…あまり間開けたくないので一週間以内には投下したいです
    みはるん誕生日おめでとう!みはたんイェイ~

    806 :

    特典出そろったみたいですね。前回はかなり悩んだんですけど今回は…とりあえず閑無ちゃん杏果ちゃんのメロンにしようかなぁ
    正直とらみたいなのは下品で購買意欲わかないんですよね…

    投下します。灼と照で

    807 = 1 :



    いくらすごいと言っても、やっぱり同じくらいの女の子なんだ


    808 = 1 :


    「「あ……」」

    伸ばした手と手が触れあう

    一昔前の少女漫画なら恋が始まるところだ

    ……咲なんかは好きなシチュエーションなのではないだろうか

    図書館とか好きみたいだしもしかしたら既にこのシチュエーションには遭遇済みの可能性も……

    ああ、恋人はいないって言ってたっけか

    ……それはともかく、引かないなこの人

    普通譲り合うものじゃないのか

    というか、最後のひとつとはいえ、コンビニスイーツぐらい譲ってくれてもいいじゃないか

    「……あれ? チャンピオン?」

    「……阿知賀の、鷺森さん?」

    あ、さりげなく商品手元に持ってったな

    油断した私が悪いのか

    809 = 1 :


    「……すごい量ですね?」

    チャンピオンは買い物かごに大量のおかしを積み重ねている

    部の買い出しだろうか? チャンピオンの仕事とは思えないけど……

    「……違う。 私だけの分じゃない。 ちゃんと、みんなにも……分ける。 分けるよ?」

    あ、これは一人で全部食べるやつだな

    「……麻雀で頭使うから、カロリーは充分に消費できる。 というか私は食べても……そんなに、そんなには太らないタイプだから。 太らないから」

    聞いてもいないのに言い訳をはじめた

    しかもこれ太っちゃうやつだ

    「……こっちは新商品だし、これはこの前淡がおいしそうに食べてたから気になって……あ、あれはこの前誠子が」

    「そんなに食べると太りますよ」

    「……太らないもん」

    なにもそんな、涙目にならなくても……

    810 = 1 :


    「2670円です」

    「はい」

    ……コンビニでどれだけ買うんだ

    「……あの、鷺森さん?」

    「なんですか?」

    「……100円貸してもらえませんか?」

    「……少し諦めたらいいんじゃ」

    「お願い、貸して……?」

    「……どうぞ」

    だから泣かないでほし……

    811 = 1 :


    「ありがとう。 この恩は一生忘れない」

    もぐもぐ

    「……いや、そんなに恩にきせるつもりは」

    「でも、本当に助かった」

    もぐもぐ

    「あの、話すのは食べ終わってからでいいですから」

    「わかった」

    チャンピオンはコンビニを出てすぐに……お礼を言う前に、シュークリームの袋をあけて食べはじめた

    どれだけ食べたかったんだ

    というかおいしそうだな

    「……一口食べる?」

    「……いただきます」

    「おいしい?」

    「おいし……」

    812 = 1 :


    「やっぱり甘いものはいい」

    そう言ってチャンピオンはエクレアの袋を開封する

    「……まだ食べるんですか?」

    「こんなに買ったってバレたらまた怒られるから……少し食べてから帰らないと」

    やっぱり買いすぎじゃないか

    というか毎回怒られるほど買ってるのか

    「……おいしい」

    ……そんなにいい笑顔をされると、なにも言えなくなる

    813 = 1 :


    「鷺森さん、鷺森さん、せっかくだから一緒に食べよ? まだまだたくさんあるから……」

    「ん……ありがとうございます」

    ……メディア関係ではしっかりものの優等生、そんなイメージを持ってた

    実際に全国大会で打ってみると……打ったのは玄だけど、少し怖いぐらいのイメージだった

    しかしこうして話してみると、ちょっとおかしが好きな……いや、すごくおかしが好きな、自分達と変わらない普通の女の子なんだと思う

    「こんなにおいしいのに……菫は少し量を抑えろと言う……意味がわからない」

    「あ、口のとこクリームついてますよ」

    「え? こっち?」

    「反対……よいしょ」

    ポケットからハンカチを取り出して、拭き取ってあげる

    「ん……ありがと」

    「いえいえ」

    ……気づいたらチャンピオンはポテチを開封している……いったいどういうことなの

    814 = 1 :


    「……甘いものとしょっぱいものを交互に食べることで飽きずに食べ続けることができる」

    聞いてもいないのにまた言い訳をはじめた

    「……太りますよ?」

    「……太らないもん……意地悪言わないで」

    「……ごめんなさ」

    こう、ちょっと涙目になるのが年上なのにかわいらしい

    ……その目や、特徴のある跳ねた髪とか……やっぱり、咲のお姉さんなんだよね?

    喧嘩してるって、咲は言ってたけど……

    「……あの」

    「なに?」

    「……長野の」

    「私に妹はいない」

    815 = 1 :


    「……まだなにも言ってませんけど」

    「ん……? あ……」

    「やっぱり……」

    「いや、違う。……これは、その、間違い」

    「間違い?」

    「口が滑った」

    「それは妹がいるって白状したようなものでは……」

    「あ、違う……その、咲は妹じゃなくって……たまたま、たまたま名字が同じだけ」

    「私、咲がどうとか言ってませんけど」

    「……本当だ」

    「…………」

    大丈夫なんだろうか? いろいろ心配だ

    816 = 1 :


    「見事な誘導尋問だった……」

    「いや、勝手に全部喋ってたような……」

    「私がおかしを食べている間はおかしのことしか考えられないのを見越して……?」

    「……そうなんですか?」

    それはちょっとどうなんだろうか

    「ま、まさか100円貸したのもその布石だった……?」

    「それは考えすぎ……」

    「あ、この新商品おいしい……」

    ……本当におかしのことしか考えられないのだろうか?

    「食べる?」

    「……ども」

    うん、おいしい

    817 = 1 :


    「……咲とは、友だちで」

    「……そうなんだ」

    「詳しくは、知りませんけど……」

    「うん……まぁ、ちょっとね……」

    「……すみません」

    「いや、私も……どうにか、しないといけないとは、思ってるんだけど……」

    ……やっぱり、あまり踏み込まない方がいいだろうな

    私のせいでこじれちゃったら、咲にも悪い

    「……あ、こっちのもおいしいですね」

    「……本当だ……おいしいね」

    「……鷺森さん」

    「はい?」

    「……咲は……その、元気、なのかな?」

    「……元気ですよ。 麻雀も、練習頑張ってます」

    「……そっか」


    818 = 1 :


    「……あ、ごめん、電話」

    「どうぞ」

    「もしもし? 菫? どうしたの?」

    「うん、買いもので……人と会って……」

    「……違う。 知ってる人。 淡じゃないんだから、そんな心配はいらない」

    「おかし? 食べてるけど……違う、釣られたりしてない。ついてってない。 子供じゃないんだから……」

    ……チャンピオン、いったい仲間にどういう風に思われてるんだろうか

    「練習……? ね、今何時かな?」

    「ん……」

    黙って時計を見せる

    「……違う、忘れてない。 ちょっと、ちょっと時間を間違えただけ」

    ……おかしのことしか考えられなかったから仕方ないね

    819 = 1 :


    「うん……わかった。わかったから……うん、じゃあ」

    「……大丈夫ですか?」

    「少し怒られた」

    「……練習ですか?」

    「うん……ごめんね? 戻らないと」

    「いえ、楽しかったです。 ありがとうございました」

    「こちらこそ……話を聞けて、よかった」

    ……やっぱり、本当に嫌っていたり、気にかけていないわけじゃないんだ

    この人も、いろいろと悩んで、苦しんでいるんだと思う

    ……当然だよね。私や咲とも変わらない、18歳の女の子なんだから……

    「……その、また会えるかな?」

    「え……」

    「あの……100円借りちゃった、から」

    「……連絡ください。 待ってますから……照さん」

    「……ありがとう、灼」

    820 = 1 :


    ――――――

    「……咲」

    「灼ちゃん、こんにちは」

    「どう? 調子の方は」

    「うん……いい方だと思う」

    「そっか」

    「この調子で……お姉ちゃんと仲直りできるように、頑張るんだ」

    「……咲」

    「なぁに?」

    「きっと、うまくいくよ」

    「……うん!」


    カン!

    821 = 1 :

    宮永姉妹は物語の重要なポイントなので触れづらいっちゃ触れづらい。本編の進行が楽しみなとこです
    しょっちゅうポンコツ姉妹扱いされてる気がしますが公式的にはポンコツ娘って優希を指すんですよね…風潮って恐ろしい。クロチャーの「ですのだ」とか…一回も言わせてないと思うけど

    ブルーレイも来たことだし時間作って全国編見直さなきゃ!

    822 :

    おつてるてる

    823 :

    乙ー 因みに照は2月生まれだからあらたそとは17の同い年だよー

    825 :


    テルーの月の小遣いは本とおかし代で全部消えてそう

    826 :

    二次だと咲ってかなりの方向音痴で書かれてるけど記憶違いじゃなければ原作だと建物の中でしか迷ってないんだよね

    827 :

    >>823あらたそ視点では一つ上の先輩だから許しておくれ
    >>826ある程度の拡大解釈は仕方ないんですけどね…アコチャーのあれはただの風評被害で許せませんが

    次回三尋木プロにします。大人担当ハルちゃん回で
    早ければ明日、というか金曜夜にでも投下しますのでよろしくお願いします

    829 :

    咲日和で早朝ランニングの途中で迷いそうとかタコスや和に言われてたから普通に方向音痴なんだろう

    830 :

    咲日和も二次だけどね

    831 :

    おつ
    詠さんの相手はハルちゃんでも苦労するだろうな

    832 :

    乙です
    「咲日和であったことは本編でもあったことにさせてもらってる」ってりつべブログで言ってたし咲日和は公式みたいなものじゃね?
    まあそこまで激しく迷った描写は今のところはないけど

    833 :

    言葉が足りない上に余計なこといいましたね、失礼しました。
    >>832でおっしゃられている通り、立さんの発言から>>1は咲日和を実際にあったことと認識しています。
    それで、咲でいえば方向音痴なのは公式だけど別にポンコツではないよな、とか反対に照は空前絶後の不用意な発言とか割とポンコツっぽいけど方向音痴ではないよな、とか思っただけでして…

    復旧したみたいなので投下します

    834 = 1 :



    どうしてこんなことになったのか


    ……わっかんねー


    835 = 1 :


    私は今、ついこの間……瑞原さんと野依さん、小鍛治さんと打ったバーにいる

    そして隣には……

    「…………」

    圧倒的な火力でチームを優勝に導き、数々の賞を授賞。 さらに日本代表チームの先鋒でエースとして活躍している……横浜ロードスターズ所属、三尋木咏プロだ

    ……すごい勢いで飲んでるけど、大丈夫なのか?

    「ねぇ、赤土さん?」

    晴絵「は、はい……?」

    「あっはっは! 赤土さんだ! 赤土晴絵だ! 隣で飲んでるよ! なんで!? わっかんねー!!」

    晴絵「あ、あはは……」

    ……あんたが無理矢理引っ張ってきたんでしょうが

    っていうか大丈夫なの? できあがっちゃってないか? いや、普段からこんなテンションなのか?

    836 = 1 :


    引っ張ってこられたからにはなにかしら話があったんだろうけど……

    「おおぅ……ちょっとこれ、なかなかおいしいねぃ……あんま高い酒飲むのはじめてだからつい……」

    晴絵「だ、大丈夫ですか?」

    「あぁ、敬語はいいっすよ? 私の方が若いし」

    ……せめて年下って言えよ! なんか私がおばさんみたいじゃないか……年の差も、たしかひとつかふたつだろ?

    晴絵「……わかった。 で、なにか話があるんだよね?」

    道を歩いていたら、捕まって、バーに連れ込まれたと言っていい

    初対面でこんな強行手段を使うわけだから用がないってことはないだろう

    「そうなんだけど……ちょっとタンマ……み、水取って……」

    晴絵「……どうぞ」

    お酒、慣れてないみたいだな……ペース配分が酷すぎる

    そんな、ジュースみたいに飲んだら頭痛もするだろうさ

    837 = 1 :


    「あー……で、なんだっけ?」

    晴絵「……話があるのはそっちですよね?」

    「そうだっけ? わっかんねー」

    晴絵「はぁ……」

    この子……いったいなに考えてんだか……思考を読まれないってのはプロ雀士としては強みだけど……

    いや、もしかして話しづらいことなのか?

    「……ちょっと待ってくださいね、赤土さん……少し、まとめてから話すんで」

    晴絵「……ええ、構いませんよ、三尋木プロ」

    「あ、プライベートだしプロはやめましょうってー」

    晴絵「それじゃあ、三尋木さん?」

    「もっと気軽に咏ちゃんとかでいいけどねぃ……ね、ハルちゃん?」

    晴絵「……あんまりからかわないでくださいよ、咏さん」

    「敬語もいいって言ってんのに……ハルちゃんはつれないねぇ」

    けっこう妥協して咏さんなんだけど……いくら年下でも、世界クラスの雀士相手ではこちらも気が引けるってもんだ

    838 = 1 :


    「あー……そうだ、阿知賀女子、インハイ、おめでとうございます」

    晴絵「え、あ、どうも……ありがとうございます」

    「…………」

    晴絵「…………」

    ……気まずい

    そりゃそうだ、初対面なんだから

    一人ですごい勢いで飲んじゃうし、どうすりゃいいんだよ私は……

    「……すみません、本題入りますわ」

    晴絵「……よろしく」

    「…………」

    晴絵「…………」

    ……早く話せよ!

    「……あのさ、うちら、もう友達な?」

    晴絵「……ん?」

    「咏ちゃんハルちゃんの仲だし、友達な?」

    ……やっぱり普通には話しづらいってことかな、これは

    ずいぶんと飲んでいるのも、踏ん切りをつけたいのかな

    晴絵「……OK、一緒に酒まで飲んだんだ……友達だよ、咏ちゃん」

    「……サンキュー、ハルちゃん」

    839 = 1 :


    「……学生時代、小鍛治さんと打ってるよねぃ?」

    晴絵「……ああ」

    ……最近、この話をすることが多いな……私自身、考える時間が増えたことでもあるけど

    教え子たちとインターハイの舞台に戻ってきて……あの頃向き合えなかった分、今からでもしっかり自分の中で昇華しなきゃいけない問題だとは思ってる

    晴絵「……それを知ってるなら、結果も知ってるだろう?」

    「もちろん……ボロ負けだったねぃ」

    晴絵「……ああ」

    「……それでも、あの対局は小鍛治さんの中に残り続けていたんだ」

    晴絵「……!」

    「団体戦準決勝、私はすぐにわかったよ……小鍛治さんの話した、たった一度の跳満……相手はあんただ」

    「あの人は国内無敗……世界でも最前線で戦って、多くの雀士を屠って来た……」

    「結局世界二位まで登り詰めて……結局、途中で地方リーグに隠居しちまった。こっちは対局の機会もないのに昔の牌譜まで引っ張り出して研究して!ずっと追いかけてたってのに……!」

    「なにがあったのかは知らんけど、少なくともあの人は世界のトップだったんだ! 世界のトップクラスの雀士と戦い続けて……なのに、あの人の中にいる雀士は! 世界の強敵たちじゃなくって!あんたなんだよ……!」

    840 = 1 :


    晴絵「…………」

    「……私の戦績、知ってるかぃ? 知らんけど」

    晴絵「……ロードスターズと日本代表のエース、首位打点王、ゴールドハンド他多数の賞……あなたも国内じゃほぼ敵なしだ」

    「そう! そうなんだよ! ……でも、私がインターハイに参加したときには入れ違いであの人はプロに行っちまってた!」

    「私がプロになったときにはあの人は戦場を世界に移してた! ……私が辿り着いたときには、あの人はもう、そこにはいなかった……」

    「小鍛治健夜……国内無敗の史上最年少八冠、永世七冠、恵比寿時代は毎年リーグMVP……」

    「私がどれだけの大会を制しても! どれだけ賞を取っても! あの人がいないのに、それになんの意味があるんだよ!?」

    晴絵「…………」

    「わっかんねーんだ……私は、どうすれば……」

    ……なんというか、小鍛治コンプレックスとでも言えばいいのか?

    いわゆる小鍛治世代は彼女の他にも瑞原はやり、野依理沙らトッププロが名を連ねているが……反対に言えば、トッププロ以外にはほとんどプロ人口が存在しない

    ……大きすぎる才能と実力に押し潰され、その道を諦めた人間も多いのだ

    例えば……私とか、ね

    841 = 1 :


    三尋木咏は、ひとつ下の世代に当たる

    そこで小鍛治健夜のように先頭に立って、現在の日本麻雀界を牽引している彼女は比較対象にされることも多いだろう

    「国内最強の雀士は誰か?」なんて話題になると二人の名前は必ず挙がるが、対戦機会に恵まれなかったこともあり結局議論に決着はつかない……なんてことはざらだ

    どれだけ勝っても、小鍛治さんに勝たなければ真の最強の名は手に入らない……」

    ……まあ、やってられないよな

    晴絵「……でも、どうして私に?」

    「……小鍛治さんが認めた、あんたと打ちたい」

    「納得できないんだよ……あの小鍛治さんが……悪いけど、はっきり言うぜ? あんた程度の雀士に気持ちを置く理由がわっかんねー……日本リーグ時代の牌譜も見せてもらったけど、あんな縮こまった手を打つようなヘタレ雀士に、拘る意味がわからんね」

    晴絵「……なるほど、ね」

    随分とはっきり言ってくれるもんだ……

    だけど、それは私自身認めているところだ……日本リーグ時代も、小鍛治さんの影に怯えて、踏み込んだ打牌ができなかった自覚はある

    だけど……今はもう違う! あの子達のお蔭で、私の止まっていた時は再び動き始めたんだ……過去と、麻雀と向き合うことで!

    晴絵「こちらこそ、望むところだ……日本代表の力、見せてもらうよ」

    「ふん……威勢がいいねぃ……少しは楽しませてみろよ? 阿知賀のレジェンド……!」

    842 = 1 :


    「ここなら、余計な情報が漏れる心配もない……マスターも口が固いしね」

    晴絵「……それなら、小鍛治さんを直接誘えばいいんじゃないのか?」

    「わかってるくせに言うなよなー……私と小鍛治さんはマスコミにマークされてるからね……二人揃って麻雀バーに入ったら、さすがにわっかんねーでかわせないっつーの」

    晴絵「ま、だよな……」

    「マスター! 卓借りるよ!」

    晴絵「ふぅ……じゃ、始めるか?」

    「もち!」

    晴絵「で、面子は?」

    「……ん?」

    晴絵「いや、二人じゃ打てないだろ?」

    「……おお?」

    晴絵「……面子は?」

    「……存じ上げぬ」

    晴絵「……あんたさぁ」

    「いや、知らんし! だってハルちゃん見つけてつい反射的に引っ張ってきたから……」

    晴絵「あんた一応プロだろ!? そんな無計画でどうすんだよ!」

    「わっかんねー! 全てがわっかんねー!」

    ……結局、仕方ないから二人で飲むことになった

    843 = 1 :


    「つーかなんなの!? めっちゃはずいんですけど! 散々煽った挙げ句、楽しませてみろよ? キリッ! とかやっちゃったんですけど! 」

    晴絵「あっはっは! マジで恥ずかしいなあんた! 楽しませてみろよ(笑) こっちが楽しいっつーの!」

    「うっせー! 知らんし! 阿知賀のレジェンド(笑)」

    晴絵「あぁ!? マジでそれやめろって! 洒落になんないぞお前!」

    「さっきはノリノリだったじゃんよー」

    晴絵「そっちが決め顔してたから付き合ってやったんだよ!」

    「は? 知らんし! 実は気に入ってんだろ? 阿知賀のレジェンド(笑)」

    晴絵「あーあー! マジふざけんなお前! ちょっと卓につけよ!」

    「やっべー! 必殺のレジェンドツモ(笑)されるんですけど! 」

    晴絵「また言ったなお前!? あんまり調子乗んなよチビ!」

    「はぁ!? チビじゃねーし! 身長は関係ねーし! そういうあんたはいくつあんだよ!?」

    晴絵「174だよ! どーせデカ女だよ! 悪かったな!」

    「え……ひゃ、174……? う、羨ましくねーから!身長とかわっかんねー!」

    ……他に客がいなかったからまだよかったものの……二人して相当酷い酔い方をしていたと思う

    それこそ、恥ずかしさとか鬱屈した気分とか、酔わなきゃやってらんない感じだったんだけどね

    ……そこから先は、よく覚えていない

    844 = 1 :


    ――――――

    晴絵「……あたま、いったぁ」

    どうも、飲みすぎたようだ……周囲を見回せば、今はもう見慣れたホテルの部屋で

    一応、しっかり帰ってこられたらしい

    晴絵「うぅ……水……灼、いるか……?」

    隣のベッドに灼の姿はない……時計が視界に入るが、もうお昼になろうかという時間だ

    ……そりゃあ、まだ寝てたりはしないだろうな

    気を遣ってそっとしておいてくれたのだろうか?

    というか、学校の部活の引率で来てるのに二日酔いで動けないなんて……教師失格だ

    晴絵「はぁ……しっかりしないとな」

    とりあえず、水は自分で用意しないといけないらしい

    845 = 1 :


    ……それにしても体が重い

    立ち上がるのにこんなに力がいるなんて……ん?

    晴絵「……なんだ?」

    腰に絡みついた……腕?

    晴絵「……あれ? 三尋木プロ……?」

    昨日一緒に飲んだのは覚えてるけど、なんで私のベッドに……?

    しかも、なんで下着姿で……!?

    晴絵「っ!? え? なにこれ?」

    とりあえず、私は服着てるぞ? いや、同性だし間違いはないと思うけど! ないよな!? いくら酔ってたと言っても!

    846 = 1 :


    ガチャ

    「……あ、ハルちゃん起きたの? 大丈夫?」

    晴絵「あ、灼!? ちょ、ま、待って……!」

    「いいよ、遠慮しなくても……水持って、き……な、なに? その人……」

    晴絵「ち、違う! 誤解だ誤解! なんもない! なんもないから!」

    ……なんで浮気がバレた男みたいになってんだ私!?

    タイミング悪すぎ! せめてもう少し落ち着いてから来てくれれば……

    「ん? 灼さんどしたの? ……え、ハルエ……と、三尋木プロ? な、なんでそんな格好……ま、まままさか!? お、男と縁がないからってそっちの道に!?」

    晴絵「違うって! あーもう! 入って! 説明するから余計なこと言わないで! お願いだから! 頼む!」

    847 = 1 :


    「……で?」

    晴絵「え、いや……ちょっと待って……その、なんで」

    「文句あるの? 二日酔いの引率教師が?」

    晴絵「……ないです、はい」

    生徒に正座させられて尋問される教師……最高にカッコ悪いな

    「……なんで三尋木プロが? 知り合いだったっけ?」

    晴絵「……いや、昨日はじめて会ったんだけど……いろいろあって、飲みに行った」

    「いろいろ?」

    晴絵「あ、うん……いろいろ」

    「説明しろって言ってるんだけど」

    晴絵「あ、はい……」

    「灼さんこーわーいー」

    「ハルちゃんが悪いし」

    「あはは、だよねー! 心配かけといて女の子連れ込んでるとか……」

    ……味方はいないらしい

    しずや玄、宥を呼ばれてこれ以上失態を晒すことになるよりはいいけど

    848 = 1 :


    晴絵「えーと、町を歩いてたら、三尋木プロに声をかけられて、そのまま飲みに行きました……」

    「で? 酔いつぶしてお持ち帰りしたの? 好みだった?」

    晴絵「だから違うってば!」

    なんでこの子はそういうことを……!

    「あはは! 図星? ちっちゃい子が好みなんだ? 灼さんと同室になったのはそのためかなー?」

    「……生徒に手を出すつもりだったの?」

    晴絵「いや、違うって! 本当に! 誤解だから!」

    くそっ! 本当に望にそっくりだな!? 面白がって煽って……

    「じゃあなんで? 三尋木プロがハルちゃんのベッドで一緒に寝てるの?」

    晴絵「それは……」

    正直、あまり覚えてません……とは言えないよなぁ

    晴絵「……二人ともけっこう飲んで、三尋木プロがつぶれちゃったんだ」

    「やっぱりつぶしてお持ち帰りのパターン……」

    晴絵「宿がわからなかったから! 仕方なく! 連れてきたの!」

    ……たぶん、そのはずだ

    849 = 1 :


    「……まあ、ここにいる理由はわかったけど」

    「なんで脱がした上に同衾してるわけ?」

    晴絵「えー……それは……」

    ……なんでだろう? 全然覚えてないぞ……

    「あー……うっさいぞー……ひとが、きもちよくねてるってーのに……」

    晴絵「三尋木プロ! 目が覚めましたか!」

    よし! 当人である三尋木プロに、なにもなかったことをしっかり説明してもらえばとりあえず切り抜けられるだろ!

    「んー……ハルちゃん? ちょっとみず、ちょうだい……あたまいてー」

    「……ハルちゃん?」

    「ほほう……」

    あ、これなんかヤバい?

    850 = 1 :


    晴絵「はい、水! そんでさ、とりあえずいろいろ説明してあげてよ! なんか誤解されてるから!」

    「んー……なんの? だれに?」

    晴絵「うちの生徒がさ、ほら! ね? なんでここにいるのかとか! いろいろ!」

    「ん……昨日私が誘って、飲み行って……ちょっと酒回って宿がわっかんねー感じになったんで……泊めてもらった? んだよな? 知らんけど」

    晴絵「ほら! なんもないだろ? 咏ちゃんはただの友達だから!」

    「……咏ちゃん?」

    「へぇ……で、なんでハルエと一緒に寝てて、服も着てないんですかぁ?」

    「ん……?」

    晴絵「ほ、ほら……こいつらちょっと、そういう誤解をしててさ! そういう年頃だから! なんとか言ってやってくれよ!」

    「そりゃ、寝る場所ないし、着物に皺とかついたら……あ」

    晴絵「あ?」

    「……ほうほう」

    晴絵「ほうほう?」


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