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元スレ勇者「パーティ組んで冒険とか今はしないのかあ」
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男「もしかしたらあの子は魔王になってからも、うちの国に来たことがあるんじゃないのか?」
戦士「うおぉっ!? びっくりしたなあ……急に背後から話しかけないでくれよ。
ていうか、本を読んでたんじゃないの? 例の女王の手記を」
男「うん。読んでいて、ちょうど休憩に入ったところ」
僧侶「それで、どうして魔王……じゃないけど、魔王でいいか。魔王がうちの国に来たことがあると思ったんだ?」
男「んー、なんとなくだけどさ。この手記の中に書いてあるんだけど、姫様は魔王と一緒に色んな国や街を見て回ってるんだ。
だから、あの子も影響を受けて、そうしていたんじゃないのかなって思って」
戦士「あの子って彼女、勇者くんの四百倍以上の年月を生きてるんだけど……まあそれはいいけど。なかなか勇者くんの意見はアリかもね」
僧侶「姿を変える能力があれば、たしかにリスクも少なく、それをすることはできるな」
男「だろ? なかなかいい発想だと思うんだけど」
戦士「勇者くんにしては、なかなかいい推理だと思ったよ」
男「へいへい。そういうお前は、なんかアイディアあるのか?」
戦士「まあ、勇者くんと似たようなのだけど、一応一個ぐらいはね」
男「どんなのだよ?」
戦士「一時期、彼女がボクらの前に一切姿を現さなかったことがあったろ?」
男「あったな」
戦士「あれって、実は魔王を復活させるために、研究所にこもってたりしてたんじゃないのかなあって思うんだ。所詮は憶測だけど」
魔法使い「続けて」
戦士「で、うちの国って軍事技術とかでは魔界に負けている。けど、医療技術では間違いなく、魔界より勝ってるんだ」
僧侶「つまり、戦士が言いたいのは、医療技術を魔王復活に利用するために、私たちの国となんらかの関りを以前からもっていたってことか?」
戦士「そういうこと。案外、勇者くんが言ったように、自らうちの国へ乗り込んでたりしてね」
男「本当にそうだったら、あの子すげえな」
戦士「まあこんなのは、全部妄想に近い発想だけどさ。ていうか、こんなことよりもさ。勇者くんは帰ってからどうするんだい?」
僧侶「なにせ魔王になるチャンスをふいにしたわけだからな。一つや二つ、やりたことがあるから、断ったのだろ?」
男「あー……」
魔法使い「ないの?」
男「そうじゃない。ただ、ふとオレが魔王の件を断ったときの、あの子の顔を思い出してさ」
戦士「ん? またなんで彼女の顔を?」
男「深い理由があるわけじゃないけど、オレが断ったらあの子、『やっぱりか』って顔をしたからさ。
なんでかなって思って。だって、あの子は自分から頼んできたのに……」
戦士「……ダメでもともとって言葉が世の中にはある。それが答えだよ」
男「そうなのかな……」
戦士「それに、勇者くんはやりたいことがあるんだろ、実際のところ」
男「まだはっきりとプランが決まってるわけじゃないけどな」
僧侶「なにがしたいんだ?」
男「ずばり、冒険」
戦士「……今、やり終えたじゃん」
男「だから、新しい旅をしたいんだ。そして、もっと色んなものを見たい。もっと色んな人と会いたい。
もっと色んなことを知りたいんだ」
魔法使い「……自分のことは?」
男「もちろん、自分のことも……と思ったけど、今はいいかなって。
結局あの子は、なにか知ってる風だったけど、時間の関係で聞けなかったし。
ていうか教えてくれる気があったのかも、わかんないけど」
戦士「自分探しの旅をしたいってわけじゃないんだね」
男「そうだな。あの子の話とか、みんなとの今日までのことを浮かべたら、自分がなにものかってそんなに重要じゃない気がしたんだ」
戦士「なるほどね……」
戦士(彼女は勇者くんのこの考えを、見抜いていたんだろうな……)
男「自分がなにものかって、結局あとから付いてくるんだなあって。だから、今はそういう難しいことはいいやって」
戦士「さすが勇者くん。難しいことは全部後回しだよ。
最終的には最後まで、自分のことを放置しておくんじゃないのかい?」
男「うるせー。オレだって一応は考えているよ」
戦士「本当にかい?」
男「……たぶんな」
僧侶「……旅に出たいなら出ればいい」
男「……僧侶?」
僧侶「ただ、私たちには国に戻っても、やるべきとはあるし、それにお前の問題はどうなるか……」
男「まあな。でも、きっとなんとかなるよ。いや、なんとかする!」
僧侶「そうか、頼もしいな。でも、勇者。お前はまさか忘れていないよな?」
男「忘れる? なんかオレ、忘れてたことってあるか?」
魔法使い「……私に、奢る約束」
男「あ……そうだった」
戦士「ボクの演劇の脚本作りに協力するって話。当然、忘れてないよね?」
僧侶「私に料理を作ってくれる件もだ。やりたいこともいいが、やるべきこともたくさんあるぞ」
男「……全部楽しみだよ。やらなきゃいけないことも、今のオレにとってはやりたいことなんだ」
戦士「まったく……能天気なのか、頼もしいのか」
魔法使い「……両方?」
僧侶「まあ、いいんじゃないか。私たちの勇者はこんな感じで」
彼の最初の冒険はまもなく終わろうとしていた。そして、新しい彼の冒険の始まりは、もうそこまで迫っている。
お わ り
乙
久々にスッキリ終わった面白いSS見れて俺自身もスッキリしたわ
久々にスッキリ終わった面白いSS見れて俺自身もスッキリしたわ
青年の剣が、その最後に残った魔物の肉体を切り裂いた。
これで、ここら一帯の魔物は全部始末した。
周りを見回せば、青年の雷の呪文によってほとんどの魔物が跡形もなく、消え失せていた。
この程度か――青年は淡々と独りごちた。
王の命令によって、ここまで赴き魔物を排除した。
が、彼自身はこの魔物の拠点がどうなろうが、どうでもよかった。
ただ、命令されたからそのまま命令通りに行動した。行動理由はそれだけ。
ふと、青年は額をおさえる。彼は、ここ何日間かずっと頭痛に悩まされていた。
まるで脳がなにかを訴えるように、悲鳴をあげているようだった。
記憶がどこか曖昧でぼんやりとしている。しかし、それがなんなのか。そもそもその記憶は必要か、なにもわからない。
俺は勇者だ――青年は自分の掌を開いた。今まさに魔物を殺した手だ。
自分はかつて、この手でなにかとても大切なものを掴みとった。
しかし、それがなんなのか。記憶は闇の向こうから一向に姿を見せない。
だが、今の魔物との戦闘で一つ思い出せることがあった。自分が一人で戦っているという事実が、過去の自分と食い違っていることに。
かつて、自分には仲間がいた。だが、今は――
空を見上げた。澄み切った青空に一つだけ雲が浮いていた。
そう言えば――王がこの時代について説明してくれていた内容を思いだす。
そして彼は――勇者は呟いた。
勇者「パーティ組んで冒険とか今はしないのかあ」
終
ようやく終わりました。
色々と解決していない話もありますし、自分でもあれ?となる部分はあります。
けどひとまずはこれでこの話は終わりです
ここまで読んでくれた人、ありがとうございました
関連ss
神父「また死んだんですか勇者様」
魔王「姫様さらってきたけど気まずい」
またべつのssで
感想ありがとうございます
続きはいずれ書けたらいいなあと思い、こんな終わり方にしました
過去作
関連ss
魔王「姫様さらってきたけど二人きりで気まずい」
神父「また死んだんですか勇者様」
その他
勇者「魔王が仲良くしようとか言い出したけどそんなの関係ねえ!」
妹「くちゃくちゃくちゃ」兄「……」
女「せっかくだしコワイ話しない?」
かきふらい「え? けいおん!の続編を書けですって?」
八九寺「阿良々木さんはけいおん!をご存知ですか?」
梓「1レスごとに私のおっぱいが1センチずつ大きくなります」
じゃあまた
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