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    元スレシンジ「ヴンダーで暮らす」

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    1 :

    ※Qネタバレ

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1356450318

    2 = 1 :

    AAAヴンダー内 碇シンジ隔離室

    サクラ「シンジさーん 晩御飯ですよぉー?」カチャ

    シンジ『……あ、はい』

    サクラ「……」カチャ……

    シンジ『ありがとう、ございます』

    3 = 1 :

    シンジ『……』モグモグ

    サクラ「……」

    シンジ『……コレって、誰が作ってるんですか?』

    サクラ「え、えぇっと。当艦の調理当番は……○○さんです」

    シンジ『○○さん?』

    サクラ「はい。うちの艦の中では一番料理お上手な人ですよ」

    シンジ『そう、なんだ。うん、美味しいよ』

    4 = 1 :

    サクラ「……せやったら、もっと美味しそうに食べた方がいいですよ?」

    シンジ『ん、ごめん』

    サクラ「……はぁ」

    シンジ『あ、でも、僕が言っていたって言わないでね』

    サクラ「……そうですか」

    5 = 1 :

    艦内廊下

    マヤ「葛城艦長……!」タッタッタ

    ミサト「何か?」

    マヤ「シンz……碇シンジ隔離室周辺の修復が、先ほど完了しました」サッ

    6 = 1 :

    ミサト「そう。引き続き修復作業を続行しなさい」

    マヤ「了解しました」チラッ

    リツコ「……ご苦労様」

    マヤ「……//////」ペコリ

    青葉「……ハァ」

    7 = 1 :

    アスカの部屋

    マリ「ねぇ、どう思う?」

    アスカ「何も」

    マリ「何もーってこたぁなーいでしょー?」ニヤニヤ

    アスカ「別に、私が思うことは何もないわよ」

    8 = 1 :

    マリ「だってぇ、わんこ君ってば、

       ここに来て周り敵だらけみたいな感じだったっていうのに

       アダムスの器ちゃんのお誘い断ったんだよ?

       普通あの状況だったら脱走を選ぶと思うけどにゃー?」

    9 = 1 :

    アスカ「どうせ首輪が怖くて逃げられなかったんでしょ?」

    マリ「……模範解答すぎてツマンナイ」プイッ

    アスカ「うっざ……て言うかあんたねぇ、

        アイツに関する事があると入り浸るのやめなさいよ

        いい加減うっとうしいんだけど」

    10 = 1 :

    マリ「ニヒヒー わんこ君関係ないときは普通なのに、

       わんこ君関係あると姫はすぐカリカリするにゃー」ニヤニヤ

    アスカ「っさいわね! アンタがニヤニヤしてるのが気にいらないっつってんのよ!」ブンッ

    マリ「わっぷ」ボフッ

    アスカ「これ以上何か言うなら枕じゃないものが飛んでいくけど?」

    11 = 1 :

    マリ「……枕も結構痛い」ヒリヒリ

    マリ→退室

    アスカ「……」

    12 = 1 :

    廊下

    マリ「♪~」フラフラァ

    サクラ「……あ、おつかれさまです」

    マリ「~♪」ヒラヒラァ

    サクラ「あはは……」

    13 = 1 :

    マリ「~~♪    『さっちん』」

    サクラ「はい? 何ですか?」

    マリ「わんこ君、どうだった?」

    サクラ「えーっと……」

    マリ「……思ったとおりに言ってみ」クルッ

    14 = 1 :

    サクラ「、 はい。気持ち悪いくらいおとなしいです。遠慮の塊みたいなカンジで」

    マリ「そう、まぁ、大方予測通りかにゃ」

    サクラ「マリさんてシンジさんのことお詳しいんですか?」

    マリ「ぜんっぜーん♪ でも姫の王子様だし、興味津々!」

    サクラ「え、でも予測通りて」

    マリ「姫から聞いたわんこ君だったらそうするだろう、って思ってねー」クルッ

    15 = 1 :

    サクラ「あ、面会するなら、許可……」

    ミサト「構わないわ」

    サクラ「ひぃぃ!? 艦長!?」

    マリ「……」

    ミサト「……」

    マリ「……ありがとうございます」プイッ

    ミサト「……」

    16 = 1 :

    サクラ「えっと、艦長? いいんですか?」

    リツコ「心配には及ばないわ」

    サクラ「……はぁ、せやったら、いいんですけど」

    17 = 1 :

    碇シンジ隔離室

    シンジ『~♪……違う……~~♪』

    シンジ『こうだったかな?……~♪ あ、あれっ?』

    マリ→入室

    マリ「~~~♪」

    シンジ『!!』

    18 = 1 :

    マリ「ひさしぶり! わんこ君!」

    シンジ『えっ……?』

    マリ「覚えてない?」

    シンジ『いえ……その……』フイッ

    19 = 1 :

    マリ「んー、あー、大丈夫だよ。私はわんこ君のこと恨んでたりとかしないから」

    シンジ『……』

    マリ「信じられないかにゃ?」

    シンジ『……』

    マリ「……」

    マリ「ま、こんなガラス隔ててたらね。信用なんてできないよね」コンコン

    マリ「ってことで、権限発動ー ピッポッパ♪」

    20 = 1 :

    ガシャン

    シンジ「え!?」

    マリ「お邪魔するよ!」

    シンジ「だ、だめだよ。中に入ったら、ミサトさんに……」

    マリ「私のIDなら入ってもいいことになってるってことは、

       艦長も容認しているってことだよ」スタスタ

    シンジ「……っ」シュバッ

    マリ「お、おう?」

    21 = 1 :

    シンジ「……な、何で近づいてくるの?」タジタジ

    マリ「何もしないって、逃げるんじゃないよぉ? わんこ君」

    シンジ「……っ」プルプル

    マリ「そんな、目ぇ瞑ってまで怯えちゃってぇ……そんなに怖い?

       それはそれで失礼だよ君ぃ」

    シンジ「……」

    22 = 1 :

    マリ(聞いてた通りだと、ここで謝ってくると思ったんだけどにゃー)

    マリ「OK 近づかない。わんこ君が逃げるならこの距離で話すよ」

    シンジ「……そう、ですか」

    マリ「あー、あと、敬語いらないよ……っていうと遠慮しそうだから

       わんこ君はこれから私にタメ口で話すこと、コレ命令」ビシィッ

    シンジ「っ……わかりま……わかったよ……えっと」

    マリ「真希波マリ 要望としてはマリと呼んでほしい自称御年28歳!」

    シンジ(あれから14年……てことは)「同い年、なのかな?」

    23 = 1 :

    マリ「そ。だから気楽にいこう、気楽に」

    シンジ「……う、うん。わかったよ。マリさん」

    マリ(先は長いにゃー)ハァ

    24 = 1 :

    翌日

    サクラ「シンジさーん ご飯ですよー」

    シンジ『……どうも』

    サクラ「……!? ちょ!?」

    シンジ『……』ゲンナリ

    25 = 1 :

    サクラ「マリさん! 隔離室、入って……いや、ていうか、えぇ!?」

    マリ『んー? オハヨー さっちん』

    サクラ「どうやってそっち側に!?」

    マリ『いーからご飯頂戴よー』

    サクラ「ご飯どころの話じゃあらしまへん!!」タッタッタ

    マリ『あぁーん! ご飯……』

    シンジ(僕の分のご飯を食べるつもりだったんだ……)

    26 = 1 :

    数分後

    ミサト「マリ、出てきなさい」

    マリ『……お断りします』

    ミサト「そう。なら仕方ないわね」

    サクラ「マリさん! 早く出てこんと、処分されちゃいますよ!」

    ミサト「諦めなさい……サクラ少尉」

    サクラ「は、はい?」

    27 = 1 :

    ミサト「二人分の朝食の用意を」

    サクラ「え?」

    マリ『え?』

    シンジ(ホッ……)

    28 = 1 :

    ミサト「……一応言っておくけど、マリ。

        貴方には与えられた権限の中で自由にする権利がある。

        越権行為には口を出すけど、そうでない場合私は何も言いません」

    マリ『そうですか』

    ミサト「以上です」カツカツカツ

    29 = 1 :

    サクラ「……え? ええんですか?」

    ミサト「何か問題が?」

    サクラ「あ、いえ! 何でもありません!」ビシィ!

    ミサト「……」カツカツカツ

    30 = 1 :

    数分後 シンジ側

    サクラ『はぁ、もってきましたよー』

    マリ「ありがとねん♪ さっちん」

    サクラ『別にええですけど……マリさんが処分されへんか心配でしたよ』

    マリ「真っ先に報告しに行ったくせにー」

    サクラ『さっさと出て貰わんと、何かあってからじゃ遅いからです!』カチャカチャ……

    31 = 1 :

    シンジ「あ、ありがとうございます。いただきます」

    マリ「いっただきまーす!」

    モグモグ

    シンジ(厚切りベーコンとトースト、サラダ。

        人工肉の味と、なんか不自然な野菜の味……)

    32 = 1 :

    マリ「ごちそうさまー!」

    シンジ「早っ!」

    マリ「男の子なのにわんこ君ってば食べるの遅いぞー」

    サクラ『マリさんが早いだけと違います?』

    マリ「それは否定しないけど、でも本当に食べるの遅いね」

    シンジ「あ、ごめんなさい。今食べ終わるから」

    33 = 1 :

    サクラ『別に、急がなくてもいいですよ』

    マリ「ンフフー、わんこ君てば、気ぃ使いすぎだよ?」

    シンジ「いや、でも……」モグモグ


    サクラ『……どーせ残すんですから』ボソッ


    シンジ「……」

    マリ「……残す?」

    34 = 1 :

    サクラ『物資ギリギリやっちゅうのに、残しはるんですよ。この人』

    マリ「……」

    シンジ「……」

    35 = 1 :

    数分後

    マリ「……さっちんも居なくなったし、出るなら今かねー」

    シンジ「行くの?」

    マリ「うん。また来るね」

    シンジ「いや、もう来ない方が……」

    マリ「また来る」

    シンジ「……」

    マリ→隔離室出る

    36 = 1 :

    シンジ「……」

    シンジ「……」

    シンジ「……」

    シンジ「うっぷ……」ダダダ

    シンジ→トイレ

    シンジ「うげぇぇぇぇ……」

    37 = 1 :

    数分後 ヴンダー内 管理室

    マリ「……」キョロキョロ

    リツコ マヤ「……?」

    マリ「ちょっと、『リツコ様』。お話が……」コソコソ

    38 = 1 :

    リツコ「……忙しくはないからある程度は対応できるけど

        艦長に気付かれたくないことなのかしら?」

    マリ「艦長というか、艦内の誰にも、気付かれたくないことなんです、けど」

    リツコ「そう、なら。私に言うべきことではないわね」

    マリ「リツコ様……」シュン

    マヤ「先輩……」

    39 = 1 :

    リツコ「……それにしても、管理室は暑いわね。  そうだ、マリ」

    マリ「にゃんですか……?」シュン

    リツコ「涼しい部屋に案内して頂戴。今は忙しくないから艦内ならどこでもいいわ」

    マヤ「せんぱぁい……」キュンッ

    マリ「リツコさまぁ!」ガバッ

    リツコ「暑いって言ってるのに……」

    40 = 1 :

    碇シンジ隔離室

    シンジ『~♪ うーん、だめだ。 思い出せない……』

    ガシャン

    リツコ「なるほどね」

    マリ「えっと、その」

    リツコ「で? どうしてほしいの?」

    シンジ(マリさんがリツコさんを連れてきた?)

    41 = 1 :

    マリ「あの、わんこ君体調悪いみたいで……診てあげてくれないかにゃ、って」

    マヤ「? シンジ君の体調管理は、サクラちゃんに任せているんじゃ……?」

    リツコ「でも、わざわざ私を連れてくるくらいだから、何か考えがあってのことなのよね?」

    マリ「ええ、まぁ」

    リツコ「わかりました。  シンジ君?」

    シンジ『! は、はい』

    リツコ「診察の時間よ」

    42 = 1 :

    一時間後 サクラ自室

    リツコ「……重度の胃腸炎……ね」

    サクラ「ホンマに、すんませんでしたぁ!」

    リツコ「……このメモの通り、あとはよろしくね」

    サクラ「うぅぅ……はいぃ……」

    リツコ「サクラ少尉。シンジ君の世話係は、とても大変だと思うわ。

        だから色々考慮して今回のことは内緒にしておきます」

    43 = 1 :

    サクラ「……そこまでして貰う資格、ウチにあるんでしょうか」メソメソ

    リツコ「今回の問題は、『貴方の注意不足』程度の問題じゃないのよ

        遠慮の塊みたいなシンジ君は、注意して見ても気付かせてくれないのよ

        それと今後、定期的にマリとシンジ君を接触させるようにして」

    サクラ「え? マリさんを、ですか?」

    44 = 1 :

    リツコ「シンジ君は今、回りが自分を憎んでる人ばかりだと思っている

        まぁ、実際その通りよね。
        
        碇シンジ隔離室のドアの開閉に関する権限を

        艦内の人間全員に持たせたらどうなると思う?」

    サクラ「間違いなく、シンジさん殺されますね」

    45 = 1 :

    リツコ「そして、もちろんシンジ君は貴方も、
        
        自分を憎んでいる人間だと思っている」

    サクラ「それは……」

    リツコ「否定しなくてもいいわ。

        複雑でしょうけど、それでも隠せない敵意が、貴方にはある」

    サクラ「……」

    46 = 1 :

    リツコ「ミサトは論外 アスカもあの調子……

        だけどそこにマリというニュートラルな存在が現れた

        彼女なら、彼の心の支えになれるかもしれない」

    サクラ「……心の支え」

    リツコ「更にマリは、シンジ君との距離が一番近かったと思われるアスカから

        シンジ君に関する多くの情報を有している。

        シンジ君の不調に気付けたのもコレが理由ね」

    サクラ「……単に、彼が気を使いすぎて臆病なんと違います?」

    47 = 1 :

    リツコ「そうね。彼はとても臆病

        しかも極め付けに、敵意を持っている相手が世話係

        誰にも頼れるわけがない。
        
        頼っても面倒くさいと思われてもっと嫌われるかもしれない。

        碇シンジは、そういう人間よ」

    サクラ「……」

    48 = 1 :

    リツコ「ホンマめんどくさい人やわーシンジさんて って考えてるわね?」

    サクラ「め、めめめめ滅相も!」

    リツコ「考えて見なさい

        精神的には14歳の少年が、無意識のうちに世界を滅亡させてしまって、
        
        その被害者に、恨まれつつも世話をされる状況」

    サクラ「……」

    リツコ「頼りたくても頼れないのよ。

        でも死にたくても怖くて[ピーーー]ない。 死なせてももらえない」

    49 = 1 :

    リツコ「ホンマめんどくさい人やわーシンジさんて って考えてるわね?」

    サクラ「め、めめめめ滅相も!」

    リツコ「考えて見なさい

        精神的には14歳の少年が、無意識のうちに世界を滅亡させてしまって、
        
        その被害者に、恨まれつつも世話をされる状況」

    サクラ「……」

    リツコ「頼りたくても頼れないのよ。

        でも死にたくても怖くてできない。 死なせてももらえない」

    50 = 1 :

    サクラ「……」
     
    リツコ「……かわいそうだと思わない?」

    サクラ「……でも、大罪人です」

    リツコ「っ ごめんなさい、お喋りが過ぎたわね。

        とりあえず、薬とかはこっちで手配するから、なくなったら私に直接

        ……いいわね?」

    サクラ「はっ、はいぃ! 恐縮です!」


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