元スレ巫女「来たれ!異界の勇者よ!」
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301 :
国王「クケーケケケ!!!」
完全に正気を失った国王だが、その動きは
正気の時に劣らぬほど、素早く正確なものだった。
戦い方は頭ではなく体が覚えているのだろうか?
何れにせよ傍迷惑な事には変わりないが。
国王の槍の刃先がカンダタの頬をかすめ、
鋭い切り口から血が流れる。
カンダタ「おっさん、いい加減にしろよっ!」
げんじゅつし「くふふふふ…せいぜい励むが良い!」
混乱した国王とプックルを残して、げんじゅつしが逃げようとするが、
マオに足をからめ捕られ、その場に転げる。
マオ「逃がすと思っているのか?」
そのままげんじゅつしの頭を足で蹴り付け、気絶させる
意外にあっさりとげんじゅつしは気絶した。
それよりも厄介なのは。
プックル「グルルルルルル…………。」
げんじゅつしに混乱させられたプックル、以前はキラーマシンを使って
互角に戦う事が出来たが、キラーマシンが無い今回は
生身で相手をしなくてはならない。
302 = 301 :
さらに、混乱したプックルと国王が互いに対峙してしまっては、
プックルが国王をかみ殺してしまうので、国王とプックルの
間に割って入らないといけないと言うオマケ付きだ。
ギンッ!
プックルの黄金の爪と、マオの誘惑の剣が正面からぶつかり、
激しくぶつかった金属が火花を散らす。
マオ「カンダタ!そっちは任せた!
プックルの方に近づけるな!」
カンダタ「任せたって言われてもよ!」
マオ「じゃぁ、プックルの方をやるか!?」
カンダタ「すんません、おっさんの方をやります」
マオ「私一人じゃ、プックルの相手はキツイ
持ちこたえられるウチに国王をなんとかして
正気に戻してくれ」
カンダタ「わかった、死ぬんじゃねぇぞ!マオ」
カンダタが国王を引き付けるようにして走り出し、
塔の奥の階段を駆け昇って行き、国王もそれに続く。
マオとプックルが室内に取り残される。
プックルの爪が一閃し、塔の石壁をぶち破る、
どうやら、国王以上に手加減は難しいらしい。
マオ「バギマ!」
唱えた風の呪文が荒れ狂いプックルの足を止める、
そのまま剣の峰でプックルの鼻先を叩こうとするが、プックルは
素早いステップでマオの攻撃をあっさりと躱す。
303 :
紫煙
304 :
最近アクセス出来なかったから詰みにするつもりだったけど
スレが復活した上に紫煙してくれたので続行。
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マオ「くっ!」
プックル「ガゥ!!」
すかさずプックルの反撃が来るが、プックルの爪を
再びギリギリで躱すマオ。
イシスで貰った星降る腕輪が無かったら、今ので
やられていたかもしれない。
げんじゅつし「ぎゃぁぁぁぁぁっ!」
動きの素早いマオは後回しにして、プックルは
気絶していたげんじゅつしを前足で掴むと、
喉にかぶりついて生きたまま捕食する。
辺りにげんじゅつしの血液などが飛び散り、
魔物のなんとも濃い血臭いが充満する。
マオもカンダタも国王も、一歩間違えれば
げんじゅつしと同じく、生きたまま捕食される事になるだろう。
とにかく、どうにかしてプックルを正気に戻さないと、
大変な事になる。
マオ「プックル!」
メダパニの効果を切るには、叩いて正気に戻すか
水でもぶっかけるかぐらいしか手が思いつかない。
げんじゅつし一匹では腹が満足しなかったのだろうか、
プックルは再びマオに向かって飛び掛かってくる。
人の力では真面に受け止める事は出来ない、
飛び掛かって来るプックルの力を利用するように
剣を突きの要領で構えるが、プックルは剣を避けるように
マオの背後に回り込もうとする。
305 = 304 :
しかし、右手に持った剣の攻撃はフェイク
本命はすれ違いざまに唱えた呪文を左手から放つ。
マオ「ラリホーマ!」
途端にプックルの巨体の動きが鈍くなり、
プックルは部屋の角で丸くなる。
一か八かだったが、なんとか呪文が効いてくれた。
マオ「ふぅ…正気に戻すのも命がけだ」
味方になれば心強いが、敵にすれば手強い事
この上ない、プックルに限らず、カンダタや国王でも
同じ事ではあるが。
マオ「…ったく、好き勝手暴れてくれたものだ
起きろ!」
プックル「ぷぎゃ!!」
プックルの鼻面を叩くと、驚いて飛び起きる、
驚いたように辺りを見回す。
どうやら、正気に戻ったらしい。
戦闘の果てにぶち破られた石壁、倒された石柱
辺りを見回すとまるで廃墟のような有様だ。
プックル「………くーん」
マオ「気にするな、プックル
たまたま、お前がメダパニを食らっただけだ」
正気に戻ったプックルはそれらが自分のせいだと
申し訳なさそうな顔をするが、プックルのせいではなく
ただ単に運悪くメダパニが効いてしまっただけ。
特にそれを責めるつもりは無い。
マオ「…………これは?」
プックルの攻撃により崩れた石壁の向こうは部屋になっている
らしく、その部屋から青白い光が漏れ出ている。
306 :
wktkな展開。支援!
ちゃんとスレは毎日欠かさずチェックしてるんだせ。
307 :
面白い!いつも楽しみにしてるよ
309 :
>>306-308
支援サンクス、嬉しい事を言ってくれるじゃないですかぃ。
更新速度が遅くてすまん
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◆◇◆◇ ガルナの塔(最上階) ◆◇◆◇
マオがプックルを正気に戻したその頃、カンダタは
メダパニで混乱した国王に四苦八苦していた。
国王「クケーケケケ!!」
カンダタ「おっさん!いい加減にしないと
まじでブッ殺しちまうぞ?」
とはいえ、人の首をも落とすぐらいのおおさばさみで
国王の首を落としたらシャレにならない訳で。
隙あらばハサミを装着していない側の、左で
顔にジャブでも打ち込んで目を覚まさせてやりたいところだか、
相手が槍なんてモノを振り回しているから、その隙が無い。
防戦一方のまま塔の上層まで逃げ回って来ていた。
ガルナの塔は元々、ダーマで転職した者達の
修行の場として作られたらしく、二つの塔を繋ぐために
ロープが張られている。
よりにもよってそのロープの上で絶賛戦闘中だった。
国王「ケェェェェェ!!!」
カンダタ「正気を失っている割にゃ、
ロープの上をしっかり渡れるって、どゆことよ!?」
国王はそのロープの上で器用に槍を振り回し、カンダタの右腕のハサミが
その槍の連撃を受け止める。
今まで数々の戦いを潜り抜けてきただけあって、二人とも
バランス感覚は大したものだった。
カンダタ「いい加減にしやがれっ!」
カンダタはロープの上で大きくジャンプし、国王とカンダタが乗った
ロープを大きくしならせる。
たまらず国王がバランスを崩した隙に、カンダタはロープを左手で掴み
右腕の大ばさみで足元のロープを切断する。
国王「ケエエエエェ…………」
足場を失った国王は塔の下へと落ちて行き、カンダタも落下していった
国王を追って飛び降りる。
310 = 309 :
ロープの上からは見えなかったが、ロープの下は丁度
屋根の上になっているようであり、思ったより高さがなかったようである。
元盗賊のカンダタは屋根の上に難無く着地し、不意を突かれた
国王は見事に背中から屋根に激突したようだ。
国王は大の字になって失神しており、打ちつけたであろう頭の
辺りから血が流れていた。
カンダタ「お…おい…まさか
死んじゃいねぇだろうな?」
国王「いっ…ててて…ここは何処じゃ?」
慌ててカンダタが国王に駆け寄るが、国王は何事も無かったかのように。
起き上がる、頭を思いっきり打ちつけた事で、メダパニの呪文が
解けたようである。
国王「うぉっ!?…なんぢゃこりゃぁ」
起き上がるなり、後頭部の出血に気が付き慌てて騒ぎ出す国王、
どうやら大丈夫なようだ。
カンダタ「ったく、殺さなかっただけ
有り難く思えっつーの」
国王「……お主か!
人が気絶している間に後頭部をぶん殴るとは、
なにかワシに恨みでもあるのか!?」
カンダタ「おおよ、言ってやりてぇ文句は
山ほどあるっつーの」
カンダタ「けど、そんな事よりもプックルと戦っている
マオの方が心配だ…
さっさと助けにいってやらねぇと」
カンダタは屋根の上から飛び降りれそうな所を
探すが、屋根から地面に飛び降りれそうな所は見当たらない。
仕方が無いので今立っている屋根の一部をを壊して、
部屋の中に忍び込むしかないようだ。
国王が鞄から薬草を取り出して自ら治療している間、
カンダタは大ばさみを振るって屋根板の一部を破壊する。
国王「壊す事無いじゃろ」
カンダタ「しかたねーだろ、
急がねぇと、今度はメダパニ食らったプー公に
マオが食い殺されちまうぜ」
311 = 309 :
そこまで言って、国王は自分もメダパニを食らって
大暴れしていた事に気が付いたようだ。
国王「…………迷惑をかけたか………すまなかったの」
カンダタ「貸しとくぜ
うし、行くぜ」
人が一人分くぐれるぐらいの穴が屋根板に空き、
カンダタは建物に侵入して行く。
屋根から忍び込むと、そこは小部屋になって居たようだ、
小部屋の真ん中に古い宝箱が置かれている。
カンダタ「おっと、宝箱だぜ…へへへへ」
国王「………お主、急ぐんじゃなかったんかい」
カンダタ「宝箱開けて行く時間ぐらいあるって
………お?」
宝箱を開けると、その中に赤い布が敷き詰められており
一冊の本が大事に納められている。
一見すると昼に冒険者達が手にしていた「さとりの書(偽)」の
ようにも見える。
しかし…なんというか、神々しさがあると言うかオーラがある。
カンダタ「なんだ…こいつは…」
カンダタが恐る恐るその本を開き、中を見ると見た事も無い
文字であるにもかかわらず、頭に直接入って来るような気がする。
書いて有る事は理解できる、それを言葉にしろと言われると
難しい話だが。
国王「気になるならば、持っていけば良いじゃろ!
先を急ぐんじゃろうが」
カンダタ「お…おぉ…」
国王に言われて、カンダタは自らの鞄の中に手に入れた本を
仕舞い込む、部屋の出口を探すが…見当たらない。
どうやら完全な密室なようであり、今度は室内の床を壊して
下の階に戻らなければならないようだ。
国王「ほれ!床を壊すぞ!
手伝わんかい!」
カンダタ「………下がってろや」
国王を後ろに下げて、カンダタは床のひび割れた所(古い塔のようで
ボロボロなのだ)に右手を当てて、呪文をとなる。
カンダタ「………イオ!!」
放った呪文が爆発し、老朽化した床にあっさりと大穴を開ける。
爆発を巻き起こす呪文イオ、今まではそんな呪文は全然知らなかった
312 = 309 :
今まで知っていた呪文はカザーブに来た魔法使いに酒を奢って
教わったベギラマと数種類の呪文。
それも見よう見まねで発動しているような、怪しいヘナチョコ
呪文だった訳だが、今発動した呪文は基本がしっかりした
ちゃんとした呪文だった。
カンダタ「この本…まさか…」
国王「ぼーっとしているでないわ!」
カンダタが手にした本、それはガルナの塔に隠された
本物のさとりの書だった。
床を破壊して降りた下のフロアは外に繋がっているようで、
元々げんじゅつしにメダパニを食らった所まで無事に
戻ってこれたようだ。
カンダタ「………こりゃぁ…ひでぇ」
戻って来るなり、あまりの惨状に驚く国王とカンダタ、
部屋の真ん中には食いち散らかされたげんじゅつしの遺体、
そして、崩された石柱やら、壊れた壁やら…。
国王「マオにせよ、プックルにせよ
ちゃんと生きているんじゃろうな」
カンダタ「………あいつらが簡単に
やられるとは思わねぇけどな」
カンダタは青白い光が漏れ出ている崩れた壁の
先の部屋を見て、先に進んで行く。
カンダタ「…どうやら、ここから下に行ったらしいな」
国王「何故分かるんじゃ?」
カンダタ「そこの階段の横、
小さく目印が付けられているだろ?」
部屋の中には地下へつ続く階段があり、カンダタは
国王を連れて階段を下りて行く。
313 = 309 :
◆◇◆◇ ガルナの塔(地下階段) ◆◇◆◇
国王とカンダタがマオとプックルを追ってくる
その数分前、マオとプックルは青白い光が漏れ出ている
地下室への階段を下りていた。
プックル「ガウ!」
マオ「分かっている」
階段の奥からする臭いにプックルは気が付いたのだろう、
慎重に進むべきだと注意するプックルにマオは応え、
剣を手にしたままゆっくりと進む。
────キャァァァァァァ──!!
階段の奥から、女の悲鳴が聞こえた気がした
階段の行き止まりはT字路になっており、光が漏れ出ている
方に向かって気配と音を殺しつつ進む。
半分開いた扉から、部屋の中を覗き込むと…。
体長にして10メートルぐらいの恐竜のような頭を持ち、
緑のローブと赤いマントを来た魔物と貧相な顔をした
人間の男───そして、服を脱がされて鎖で壁に吊るされた
勇者の仲間の一人、魔法使い(女)が居た。
青白い光は数々の実験用の魔法器具が放つ光のようで、
部屋の中で強い光を放っていた。
巨大な魔物「……こいつはあの勇者一味の仲間だ
こいつの魔力は一味の中でも最強だ、
少しは期待できるとおもうが、やれ」
貧相な男「わかりました、バラモス殿」
魔法使い(女)「やめてぇぇえええええぇ!!お願い!
何でもするから!!」
マオ(──あいつが…魔王バラモス──。)
だとすると、プックルと二人だけで下手に飛び込むのは危険だ、
人間の男を倒すぐらいなら訳は無いが、魔王バラモスの方は
そうはいかないだろう。
314 = 309 :
バラモスが指示すると、男は赤い宝石のようなものを手にし、
壁に吊るされた魔法使い(女)へと近づく。
男が近寄ると、魔法使い(女)は恐怖の表情を顔に貼り付け
身をよじって精一杯の抵抗を見せる。
貧相な男「ええぃ!こいつ、暴れるな!」
バラモス「ええぃ…何をしている、バルザック
よこせ、ワシがやる」
魔法使い(女)の必死な抵抗に近づけない男に業を煮やしたのか、
バラモスはバルザックと呼ばれた男から赤い宝石を奪い取り、
魔法使い(女)の前に立つ。
マオ(あの…宝石は見覚えがある、どこでだ…
それにバルザック、どこかで聞いた事がある)
左手で魔法使い(女)の顔を掴んで口を空け、右手に持った
赤い宝石のようなモノを口の奥に押し込める。
魔法使い(女)は飲まされた宝石を吐きだそうと抵抗するが
水で無理やり流し込まれてしまう。
魔法使い(女)「イイイイィィィヤァァァァァ!!」
魔法使い(女)が絶望に憑りつかれた顔で絶叫し、暴れる…
しかし鎖に縛られた状態ではどうする事も出来ずに
ただ、鎖を鳴らす事しか出来なかった。
やがて、失神したのだろうか糸が切れた人形のように…
ふと…大人しくなる。
大人しくなると同時に、バルザックは壁の鎖を外し、
魔法使い(女)の体を床に下す。
────ドクン…ドクン…ドクン。
魔法使い(女)の体から心音が聞こえたような気がした、
やがで、その音は大きくなり続け…、その音に合わせるかのように
魔法使い(女)の体が痙攣する。
315 = 309 :
そんな痙攣が何度か続き、やがて魔法使い(女)の体に異変が起きる、
華奢な魔法使い(女)の体から血管が浮き上がり、全身の筋肉が
異様に盛り上がる…。
体が徐々に膨れ上がり、口は裂けて牙のようなモノが見える。
頭からは角が伸び、背中の皮膚を裂いて大きな4枚の翼が広がる。
体がバラモスと同じぐらいの大きさまで巨大化した所で
かつて人間だった頃の体の皮膚が耐えられなくなったのだろう、
透明な体液と同時に、皮膚がボロボロに裂けて皮膚の下から、
まるで脱皮するかのように鱗の覆われた新しい皮膚がむき出しになる。
現れたのは鱗の体だけではなく、長い尻尾もついでに姿を現す。
強いて言うならば、竜と人を組み合わせたような生物に
『進化』した。
魔法使い(女)「ギャァアアアアア!!!」
魔法使い(女)…いや、竜人は
すでに人のものではなくなった声で咆哮をあげる。
声は衝撃波となって部屋の中で吹き荒れ、部屋にあった
数々の実験器具が砕け散る。
魔法使い(女)が魔物になった時、マオは赤い宝石の正体を
思いついていた。
マオ(………進化の…秘宝………。)
かつて…数代前の魔王エスタークが手にし、地獄の帝王と
呼ばれる力を手に入れるに至った禁断の秘術、神と戦い
秘術や宮殿ごと土の下の封印され。
残された一族は権力を大きく失う事になった。
マオ(それを知る者を、異世界から呼び寄せた…
と言う事だろうか。)
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ってな訳で、ちみっとだけ核心に近づいた所で
ここらで今日は引いておきます。
ダーマの話が終わるまで書きたかったけど
色々用事が有る訳でして。
318 :
なんかすごいことになってきたな・・・!
つ④
319 :
なるほど例のエスターク本人では無かったのか
321 :
>>316-320 サンクス、ここからちゃんと話を狙い通りに
回せるかプレッシャーがかかる所です。
と、言うより、いきなり初投稿から話が広がり過ぎ、
たったこれだけの投稿に、3時間ぐらいかかるといふ。
//---------------------------------------------
魔法使い(女)「シギャァアアアアア!!!」
魔物になった、魔法使い(女)は一声吠えると
手近に居たバルザックに襲いかかろうとするが、
バラモスによってあっさりと捕まえられてしまう。
バラモス「…………期待させておいてこの程度か」
バルザック「……やはり…進化の秘法を完全なものとする為には
闇の力が足りない、魔力で補えるとも思ったが
無駄だったようだ」
バラモス「………それで、闇の力とやらを補うには?」
バラモスの問いにバルザックは机の上に置いてあった一冊の
分厚い古びたノートを手に取りページをめくる。
ややあって、目的のページが見つかったようで、バラモスに
見せながら言葉を告げる。
バルザック「私の居た世界には、黄金の腕輪と呼ばれる
古代のアーティファクトがあった、これにより
闇の力を増幅させ、進化の秘法を完全なものに出来る」
バラモス「ただの、金で出来た腕輪では無いのだろう?」
バルザック「物の価値を知らぬ愚か者どもにとっては、
ただの金の腕輪だが、その実は金では無い。」
バルザック「魔界でのみ手に入る、希少金属で出来た腕輪
とか、古文書には記載されていたな
いずれにせよ…この世界には無い物だろう」
バルザックはノートを閉じ、机の上に置いてバラモスに拘束されたままの
魔法使い(女)をまじまじと見つめる。
魔法使い(女)「グルルルルル!」
バルザック「ふむ…やはり、人としての知能すら失ったか」
バルザックは小さく呟くと、棚の中から瓶を取り出し、瓶の中の液体を
布にしみこませ、魔法使い(女)に嗅がせ、
ややあって、魔法使い(女)の動きが鈍くなる。
どうやら、眠らせる何かの薬品を嗅がせたらしい。
322 = 321 :
バラモスとバルザックの注意が逸れた所で、マオはプックルに
戻るように手で合図し。
マオ「レムオル!」
キィン!!
小声で呪文を唱えマオは自らの姿をかき消し、気配と音を殺しつつ、
部屋の中に忍び込み机の上に置いてある、さきほどバルザックが手にしていた
ノートを取る。
~錬金術記録~ エドガン。
使い込まれた分厚いノートには掠れた文字でそんなタイトルが
書かれていた。
体に何も触れないように、足元にも注意し…音を立てないように
慎重に部屋をそのまま抜け出し、プックルを連れて通路を戻る。
バルザックとバラモスが居た部屋から離れた所で、盗んだノートを開いて
中を見てみると。
マオ「……大当たりか…。」
ノートには進化の秘法について、ありとあらゆる知識が
記載されていた、このノートと魔法の知識がある程度以上ある
者ならば、進化の秘法を作り出す事が可能だろう。
かつてのエスタークが地獄の帝王として、魔界の覇権を握った
究極の技術が今、この手の中にある。
そして…もう一つ。
実はバラモスやバルザックが話していた黄金の腕輪の
代りになる物も、マオには心当たりがあった。
魔界の希少金属───エビル・メタル───。
金に似た物でありながら、金より強靭であり強い魔力を秘めている物、
そう、いくらプックルの力で魔物に叩き付けても傷一つつかない
この黄金の爪こそが、エビル・メタルそのものなのだろう。
進化の秘法を完全な状態で使えさえすれば、この脆弱な
人間の体からおさらばできるだろう…、それでいて元の世界に戻れたら
魔界の全てを掌握し…人間を駆逐し、世界を魔族の手に取り戻す事も
たやすいだろう。
マオ(………本当に?……)
かつての自分ならば、それに疑問を持たなかっただろう、
喜んで進化の秘法を使い、究極の力を手にしていたかもしれない、
しかし、人間はそれすらも超える力を持って居るのではないだろうか?
ともあれ、身の振り方をどうするにせよ、このノートとプックルの黄金の爪は
切り札になるのは間違いない。
323 = 321 :
ドン!
カンダタ「…うぉわっ!?」
国王「……な…なんじゃ!?…」
考え事をしながら通路を戻る途中、T字路にまで戻った所で
突如何者かに突き当たる。
マオ「カンダタ、それに国王!」
カンダタ「よう!無事だったか?
一体ここは何なんでぇ?」
マオ「説明は後でする、とにかく今はここから────」
とにかくバラモスに気が付かれる前に離れようするが。
???「……なんだ?…そこに誰かいるのか?」
入口と、バラモス達の居る部屋では無い方の残り一方向から
声が聞こえる。
マオ達は顔を見合わせると、声がした方へと通路の奥に進む。
通路の奥は多数の牢があり、冒険者の恰好をした者達が
何十人と詰め込まれていた。
マオ達の姿を見るなり、牢に捕えられていた人々が起き上がり、
口々に騒ぎ出す、
武道家(男)「…助けだ!助けが来た!」
商人(女)「出して!バラモスが戻ってくる前に!」
魔法使い(男)「ここから出してくれ!
鍵はそこの壁にある!」
戦士(女)「馬鹿か!騒ぐなって
気づかれちまうだろ!?」
思い思い、口々に叫ぶ冒険者達、
昼にガルナの塔の前で見かけた者もその中に居た。
カンダタ「こいつぁ…一体」
マオ「人体実験の候補者…か。
どうやら…さとりの書をエサに腕の立つ冒険者達を
集めていたらしいな」
国王「……じ…人体実験
それにバラモスじゃと!?」
324 = 321 :
マオは壁に掛かっている鍵の束を取り外し、
どれがどの鍵なのかよく判らなかったので、牢の中に
放り込んだ。
マオ「これで、開けられるだろ?
後は自分達で何とかしてくれ」
冒険者達は我先にと、鍵の束を奪い合う。
プックル「…がう!」
カンダタ「どうした?プー公?」
プックルが吠える方向を見ると、奥の牢屋に一人で入れられている
男が言う、奥の牢に捕えられていたのは見覚えのある男であり、
この男なら、特別扱いで牢に入れられているのも納得出来た。
勇者(男)「……よぅ、妙な所で会うな。」
マオ「………勇者(男)…」
勇者(男)「ザマァねぇだろ?
人攫いの挙句に魔王にとっ捕まったんだぜ?」
自嘲気味に勇者が笑う。
勇者(男)「それで、オメェは何しに来たんだ?
俺を笑にでも来たのか?」
マオ「そういう積りでもない…が、
お前に言っておく事がある。」
マオはバラモスとバルザックが、魔法使い(女)に進化の秘法を使い、
化け物にした事、そしてそれを目の前で見ながらも何も出来なかった
事を告げた。
マオが勇者(男)に話す間、勇者(男)は目を閉じて
黙って聞いていた。
勇者(男)「そうか…アイツは…逝っちまったか
アリアハンからゾーマを倒すまで、ずっと
付き合ってくれたんだが…、ここで逝っちまうとはな」
勇者(男)「戦士(男)も、遊び人(男)も連れて行かれちまった…
多分、あいつらもやられたんだな
今まで星の数程の化け物を斬り殺してきたが
最後は化け物になって死ぬなんて、笑い話にも
ならねーや」
//---------------------------------------------
なんか、中途半端な終わり方な気がしますけど
今日はとりあえずこの辺りまでで。
・・・もぉ3時。
325 :
こら
久々におもしれースレみつけちまったじゃねーか
責任とってよね
326 :
ドラクエ3やりたくなってきた
327 :
勇者さまはハローワークの求人票を眺めていた。
だが、そこには派遣とバイト、しかも給与は最低クラス。正社員の募集などカケラも存在しない。
勇者さまは低学歴な脳味噌で月給を換算してみたところ、月給は約9万円ほどであった。
今まで魔王と戦ってきた勇者さまだが、ファンタジックな夢から目覚めてみれば、月給10万円にも届かない非正規労働者でしかないのだ。
まあ、「魔王」なんてもの持ち出してみたけど、この現実社会における資本主義と新自由主義の方がよっぽど魔王にふさわしいわけだ。
その魔王という名の資本主義が新自由主義の嵐の中で大暴れし、ギリシャとスペインとイタリアがやばいことになり、
過酷な円高で輸出企業は青色吐息となって生産拠点を東南アジアなど海外に移し、日本国内は産業及び雇用の空洞化が進み、
企業は固定費負担を減らすために雇用規制を次々と緩和させ、「痛みを伴う自己責任」の名の下で中産階級は没落し、
格差はさらに邁進し、若年層の多くは非正規雇用の労働者としての生活を余儀なくされ、それゆえ国内市場の縮退が進み、内需は落ち込み、
そして>>1のような頭の弱い底辺低学歴が、このスレに描かれているような中二病丸出しのファンタジーな夢の中に現実逃避をして自分を誤魔化して過ごしているのだ。
確かに慰みは必要だろう。自分は実は「勇者さま」なんだと思ってでもいなきゃ、>>1みたいな卑小で卑屈なプライドの持ち主はやってらんねーもんな。
だが、冒険の旅に出ようとも路銀は必要だし、そのためには仕事をしなきゃならない。
モンスターを斃しても金もアイテムも落としてくれないし、そもそもモンスターなんて居やしないんだから。
そんなこんなで勇者さまはハローワークを尋ねた次第である。
工場内軽作業、早番シフト8時~17時、時給670円。遅番シフト18時~翌6時、時給750円。
まあ時給は安いかもしれないけど、軽い作業なら楽かもしれないな、と、勇者さまは思った。
交通費を支給してもらえる、という条件に勇者さまは魅力を感じたのだ。
空飛ぶドラゴンや早駆けの名馬を飼ってるわけでもない以上(つか、そんなもん飼ってても維持費なんかねえよ)、
この世界の住人たちと同じく電車と地下鉄とバスを乗り継いで移動するしかない。金がなきゃ徒歩だ。
こうして勇者さまは、工場内軽作業の仕事を選んだ。これでしばらくは凌げるだろう。
328 :
とりあえず、>>24のルール4に基いて終了って事か、
>>1000まで行けずに残念だ。
330 :
自演楽しいですか?
333 :
//---------------------------------------------
◆破棄:やろうとしていた事。
//---------------------------------------------
大神官フォズ(本物)を解放?【キャラクター要検討:後の国王が抜ける穴を補完キャラ】
フォズを仲間にし、カンダタは正式に賢者扱いとなる。
フォズと勇者を連れてバラモスとバルザックの部屋へ、バラモスと戦う。
勇者とマオ一向の力に押されて、バラモスは逃げ出す。【巫女が連れて逃げるでも可?】
バルザックもバラモスに連れられて逃亡(エドガンの錬金術書がマオに盗まれてしまい、
進化の秘法を新たに作り出せなくなってしまう。)
※:黄金の爪はバラモスに回収されてしまい【プックル腕切断?】持ち帰られる。
化け物となった冒険者(魔法使い(女))との戦い、バラモスが手に入れた黄金の爪を
バルザックが、魔法使い(女)に使い、進化の秘法が完全版となる。
【手に負えなくなって、バラモス逃亡でも良いか?】
ガルナの塔とダーマ神殿は崩壊?
魔法使い(女)は無限に進化しつつ、マオや勇者やダーマの冒険者達と激闘、
最終的に仲間である勇者がアストロンを使い、勇者と共にガルナの塔の北の
湖の底に沈む。
ポルトガから船、
1.西へ向かい、街開発の話
国王(商人)と別れる(イエローオーブ)。
2.食糧の見積もり間違えて食糧難、
海賊に襲われ、逆に略奪。
>>レッドオーブの話になる
3.ブルー、パープル、グリーン、シルバー
【必要に応じてカット:1000への調整】
4.ラーミア【戦闘にも加入?】バラモス城へ
【アレフガルドは必要に応じてカット:1000への調整】
バラモスと対峙、巫女との決着【アレフガルドカットなら
ここでゾーマ出す】、魔王を異世界から呼んだ理由(進化の秘法を手に入れる為)
進化の秘法を使って、今の世界からの脱出。【ゲーム世界から脱出する為】
※:勇者が魔王を倒す永久ループの輪、ゾーマや勇者(女)はたまたまバグって
その世界の構造を知るに至った、人と魔王が争う出来レースの世界で
それを抜け出す為に、N/A【名称未設定】を倒す?【行き方が要検討、
ギアガの大穴が繋がっているとか?侵攻中に考える事】
5.N/A【名称未設定】を倒し、大団円?
人と魔物が共存する世界へ~終了?~。
//---------------------------------------------
確かに中二病臭いわな、
中二病ではない作品はあまり無いとも思うが。
支援くれた皆様に感謝を。
─ 終了 ─
334 :
>>1
お疲れ様でした。
>>19で小煩い事言ってた暇人です。
あの後、あなたが地道に投下を続けるのをずっとROMっていました。
自分で決めたルール
>4.他者の乱入(無いと思うけど)があった時点で、
そこでひとまずのEND。(プロットが狂うため)
打ち切り要請があった場合もそこまでとする。
これに則り終了、潔いけれど、読み手としてはちょっと残念。
>>19で例にあげたことが現実になるとは・・・
まず、このスレを投げなかったあなたの意志の強さと、書き続けるプロット構成に驚きました。
こう言ってはなんですが、この手のスレはたいてい数レスで終了か書き手が途中で飽きて逃亡、がパターンで、
レスに書いた通りうんざりしていたので、ずっと投下を続ける人は稀です。
これは自己弁護ですが
もしあなたが投下している間、板の中の他のスレを見ているなら
あなたの後にも単発の台詞系スレがいくつも立っては捨てられ、誰も書かないスレだけが残る状況を見たかと思います。
と同時に、一人で1000レスあるいは512kbを埋めることの労力も、感じたのではないでしょうか。
もしもそれを感じてもらえたなら、19で指摘したことをほんの少しでも理解いただけたのではないかと勝手に思っています。
(↑とても利己的ですね。申し訳ありません)
このSSにちゃんと読者がついていることは、あなた自身がよく解っていると思います。
しっかりした信念を持って地道に投下を続ける人を、創発板住人は必ず見ています。
はじめの方には少なかったレスが、だんだん増えてきたことと思います。
もちろん、レスしてないROMも大勢いたことでしょう(自分もその一人です)。
335 = 334 :
内容について。
よくある勇者魔王モノという印象でしたが、正確にはドラクエⅢをベースにした(ほかナンバリングキャラや
オリキャラも登場するため)二次創作、に分類されると思います。
独自シナリオで描写もしっかりなされ、良いと思ったと同時に、非常にもったいない! とも思いました。
個人的には、これだけ書けるのならいっそのこと
ドラクエ世界観を用いたオリジナル作品(ダイの大冒険やアベル伝説みたいな)で読みたかったな、という思いです。
人名や地名を既存作品から持ってきているのに、既存作品とのリンクが薄いのはどうか? と
思ってしまい(これは人それぞれ感じ方が違いますが)、
それならばオリジナル設定で、「>>1の考えるドラクエっぽい世界」を見たかった、というのが率直なところです。
言葉は悪いですが、これでは都合のいい所だけ借りて済ませた感が否めなく・・・
しかし2chの台詞系SSでは、十分ありです。何も悪いところはありません。
無礼かつ上から目線な意見、大変失礼しました。どうかご容赦を。
無粋な連中のせいで中断してしまうのは残念ですが、もし良ければまたこの板のどこかのスレで作品を投下して下さい。
336 :
To:皆様
感想・ご支援等ありがとうございました。
実は終了に前に、結構悩んだ次第でして、
最後に残ったのはこの三つでした。
1.このまま続行。
2.ダーマ編終了まで続行。
3.即時に終了。
物語の結末を書かずに終わるのは、この板の流儀に反するのではないか?
ここで終了するのは読んで頂いた皆様方に対して失礼ではないか?
しかし、自分で決めたルールを自ら破るのはルールの意味が無いのでないか?
それとも安価を取って続行・中止を決めるべきか?
私としましても、全工程の3割程度であるため内容に消化不良感があり、
>>328の書き込みをした後にも、続行か、中止かを散々悩みもしましたが、
>>24のルールがこの板を使わせて頂く大前提であると思い、
まことに勝手ながら、3の終了を選択させて頂きました。
感想、ご支援いただいた皆様には大変申し訳なく思います。
私の拙い文章で埋め尽くされた本スレを毎日チェックしてくれた方、
心が折れ中断しかけた時にも、読んでいるので続行して欲しいと言って下さった方、
途切れ途切れの更新であるにも関わらず、待っていて下さった方。
この板のルールをご教示頂いた方など、本当にありがとうございました。
//-------------------------------------------------------------------------
ご指摘についての回答。
>>これでは都合のいい所だけ借りて済ませた感が否めなく・・・
ご指摘の通りでございます。
実際、SSを書く際の練習として情景を読みやすくかつイメージしやすくするため
「主人公や仲間が喋らず、かつ、読み手がイメージしやすい世界観を舞台とする」
必要があり、物語の舞台としてスクウェアエニックス社の
ドラゴンクエストⅢ~そして伝説へ~を選択させて頂きました。
これにより「首都ロマリアの北部にある、山間に囲まれたのどかな田舎村カザーブ」
ではなく「北にあるカザーブ村」だけで説明が簡素に出来る利点がありますが、
欠点として良い所取りした感じが強まってしまったのかと思います。
良い所取りした二次創作品は絶対にオリジナルを越える事は出来ないため(ドラクエⅢを
越えるなんて恐れ多いのですが)独自性を多少強めたつもりですが、やはり世界観と
乖離させる訳にもいかず、中途半端感が出てしまいました。
(結果、表現すべき所を全てドラクエⅢの設定に逃がし。【良い所取り】と
映ってしまったのかもしれません【…安価で勇者を】での代筆はそうでも無かったのですが)
ともあれ、ご指摘頂いた点以外にも自らが痛感した欠点や弱点が多々浮彫となり、
とても勉強になりました。
3割程度で中断宣言を行った立場としては、再度創作発表板を使わせて頂くのは
烏滸がましく思いますが、機会がございましたらまた是非創作発表板を使わせて頂きたいと
思います。
337 :
外野がウザ過ぎ。
338 :
今度から荒らししか得しないルールはやめといた方がいいな
339 :
楽しみにしたただけに残念だ
340 :
勇者を書いてるくせに、この程度で逃亡するわけか
作者が一番勇者じゃないって点が最大の欠点だな
そんなんだから魔王に勝てないんだよ
341 :
面白くて一気読みしたけど途中で終わりか、残念。
ところで>>32で名前が出たオルテガの相棒であるサイラスは登場しなかったけどいったい何処へ……
342 :
>>341
ハロワに行ってるよ
最近まで食品加工工場の遅番やってたんだけど工場が閉鎖になったんだと
343 :
ニート「俺パソコンに詳しいんだ」
女「へー、ハッキングとかプログラミングとかできるんだ」
ニート「いや、それは出来ないよ」
女「え?CADとか、データベース管理とかできるんだ」
ニート「いや、それは出来ないよ」
女「はぁ?HTML5とか、CSSとかは?」
ニート「え?いや・・・・」
女「エクセルのVBとか、独自関数で表やグラフ作成とかは?」
ニート「ああ、俺パソコン詳しくないわ・・・・」
女「情報はそれに付随する多種多様な技術や知識があり、
それを運営する経験やノウハウがあって、
さらにそれに関係する周辺情報を得て、
初めて知っていると言った方がいいわ、」
344 :
さて、そろそろ灰汁が抜けてきた頃か
それとも、夏が終わるまで待つべきか。
345 :
このスレ自体が灰汁みたいなもんだろ
346 :
まだだったか、半年ぐらい熟成だな。
347 :
このスレも最初から別の場所に誘導すべきだったな
348 :
◆◇◆◇◆ 都内某所の区民公園 ◆◇◆◇◆
国王「……今日は生活保護費受給日だのう。
では、ちょいと区役所に赴こうかの」
カンダタ「ちょい待ち!国王さんよ。
実は先日、区民広報の掲示板に掲示しとったんだが、
今月から生活保護費申請には、住民登録の審査が行われるらしいぞ」
国王「……何?どういうことだ?」
カンダタ「いや、だからさ。
俺たちみたいに区民公園の住人だと、
登録上の住所地に現住していないわけじゃん」
国王「確かワシの住民票は、
NPO法人が運営する生活保護者用の簡易アパートに住んでいることになっておるはずだぞ。
そのためにワシは月に三万五千円もNPO法人に支払っておるんだからのう」
カンダタ「それがまずいんだよ、国王さんよ。
生活保護を受給するために書類上の住所地作っただけで、実際にはそんなアパート無いんだからさ。
第一、あのNPO法人って、民団出資の平和市民団体がスポンサードしているじゃん。
協賛団体の中にパチンコ屋の持ち株会社まであるんだし。ぼったくられてんだよ」
国王「……そんなこと言ったってなあ。住民登録しなきゃ生活保護費は支給されないからなあ」
カンダタ「いや、だからさ。今度そのことが問題になっててて、
これからは生活保護支給には登録上の住所に確かに本人が所在していることを調査することになったんだよ」
国王「んなバカな!一体誰がそんなこと決めたのだ!」
カンダタ「まあ、そりゃ政府じゃねえのか?
ほれ、このあいだ、お笑い芸人の身内が生活保護を不正受給してたって話題になってただろ?」
国王「何の話だ?知らんぞそんなの!」
カンダタ「スポーツ新聞にバンバンに出てたじゃないか。国王さまはちゃんと読んでないんか?
ったく、エロ記事と競馬欄くらいしか読んでないから、国王さまも落ちぶれるんだよ」
国王「そんなことはどうでもよいわ。それよりも不正受給って何だ!
まったく不正に生活保護費を受給するなど、許しがたいことだ」
カンダタ「(許しがたいって、お前は言える義理かよ、と内心思いつつ)
つまりだ、その芸人は年収五千万くらいあって結構贅沢してんのにも関わらず、
その母親は生活保護受給してて、扶養義務を放置してたって話だよ。
そのせいで世間は大騒ぎしてたんだよ。……本当に知らなかったん?」
349 = 348 :
国王「(しばし沈思し)
で、そのことと、ワシの生活保護の審査とがどう繋がってくるんだ?」
カンダタ「……本当に何も知らないのか?ちゃんと区民広報掲示板くらい見とけよ。
あそこは情報の宝庫だぞ。救貧バザーの日程とか、公園の日雇い清掃の募集とか、
曜日ごとのゴミ回収の内容とか……おっとそういえば、明日はアルミ缶の回収だったな」
国王「(カンダタの話を遮るように叫ぶ)
だから、その掲示板には何が書いてあったんだよ!」
カンダタ「落ち着けよ。
だからさ、これからは地元の保護司と区の担当者が、生活保護費受給世帯の生活調査をやるんだと。
何か定期的に家に訪問して、経済状況や生活実態をリポートにするんだとか。
そんで、その調査で生活保護受給の必要性あり、と認められて、
そこで初めてその証明書とやらがもらえるとか」
国王「何でそんなことするのだ!迷惑だ!
第一、ワシはNPO法人所有の簡易アパートに名義上登録して貰ってるだけで、一度も住んだことないんだぞ!」
カンダタ「つか、そのアパート自体元々無いし
あれは生活保護受給者から吸い上げるためだけの、名義上の住所だけだからな」
国王「ああっ!どうすればよいのだ!
このままではワシは生活保護費を受給できなくなってしまうではないか!」
カンダタ「どうせなら、どっかに押し入っちまわないか?
金せしめられればそれでオッケーだし、駄目なら駄目で法務省の特別な施設にしばらく住めるからさ」
国王「……何を言うのだカンダタ!ワシはおぬしのような盗人とは違うのだぞ!」
カンダタ「っつっても、国王さまも今やただのホームレスじゃん。
っていうかさ、本当にあんた、王様だったんか?
こんな区民公園の片隅で国王さま気取ったところで、
世間のみんなは国王さまをかわいそうな人を見るような目で見るだけだって」
350 = 348 :
国王「貴様、ワシを侮辱するつもりか!
ワシは魔王によって王座を追われ、王国を失い、
そしてここに流れ着いただけなのだぞ!
いつかはあの魔王を打ち倒し、
この都民公園のわんぱく山に豪華絢爛な王宮を築いて千年王国を打ち立てるのだ!」
カンダタ「んなことしたら、不法占拠で区に訴えられるわ(笑)
それにその「魔王」ったって、国王さまの町工場の抵当権を行使した信金の支店長のことだろ。
大丈夫だよ国王さま。あの信金、あの後農協系の金融機関に買収されて、
今は大手都市銀に吸収合併されちゃったから。
おそらくあのときの支店長はリストラ喰らってるって」
国王「(興奮し、怒りを抑えかねた様子で)
三日だぞ三日!たった三日待ってくれれば手形保障できたっていうのに!
そもそもあいつが運転資金を出し惜しんだのが原因じゃないか!
それに三世代落ちの自動研削機だとメーカー指定の品質精度を維持するのなんかそもそも無理だっつーの!
二年以上も新規融資を頼んだってのに、あのハゲ散らかした支店長めが、あっさりと審査拒否りやがって!
全部あいつのせいだ!あいつのせいで王妃には離縁され、プリンセスは風俗上に身を落とし……」
カンダタ「(国王さまの肩を抑えながら)
まあまあ国王さま、落ち着いて落ち着いて。
それよりも今はそれどころじゃないだろ。
どうするんだ今月分の生活保護費は。
区の厚生担当の捺印押した調査証明書を出さないと、生活保護費出ないんだぜ?」
国王「(カンダタの言葉に落ち着きを取り戻し)
……ど、どうすればよいのだ?」
カンダタ「さあな、俺の場合はとりあえず宗教団体の職員ってことにしてるけどな。
『真理の家』って新興宗教団体だけど、一応都の宗教法人認定あるんだぜ」
国王「……それ、ワシにも可能かな?」
カンダタ「可能かどうかわからんが、結構キツいぜ。
一応、在家信者ってことになると、月額で大体五万くらいのお布施が必要になるしな。
ただ、教団施設は職員住居を兼ねてるってことにしてあるから、そこの住所地で登録できるんだけどね
例の左翼系NPO法人と違って、一応生活実態らしきものあるし」
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