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元スレ上条「……なんでもう布団が干してあるんだ?」C.C「腹が減った。ピザをよこせ」
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『吸血殺し』。
能力の実体は不明、真偽も不明の、異端の能力。
ただそれは『とある生き物』を殺すための能力と言われている。
魔術師の間では『カインの末裔』という隠語で語られるその生き物は――――――吸血鬼。
それは不死身と言われる存在。
抉り取られても動き続ける心臓。無尽蔵の魔力。生ける魔道具。
魔術師であるならば、その神秘に触れてみたいと思う反面、決して出会いたくはない存在。
それが吸血鬼。
誰も見た事がない、否、見たら死ぬと言われる、その生き物。
故に、今までその存在が確認された事はなく、多くの魔術師達の間でもただの伝承として扱われている。
……だが、もしも『吸血殺し』などという能力が本当に存在するのなら。
それはすなわち殺す相手の存在を、吸血鬼の存在を証明する事になる。
吸血鬼が存在するからその能力が在るではなく、その能力が在るから吸血鬼が存在するという逆証明。
アレイスター「ふむ、能力者だけなら問題はない。あれは私が保有する超能力の一つなのでね。
……問題なのは、今回この件に本来立ち入ってはならない君達が関わった事だ」
君達、つまりはステイルら魔術師の事だ。
今回、問題となっているのは件の『吸血殺し』が、魔術師に監禁されているということだった。
アレイスター「魔術師の一人や二人をただ排除するのは、私が有する230万の能力者を使えば造作もないことだが、
問題なのは科学者が魔術師を倒してしまうという点だ」
科学者と魔術師、科学と魔術という世界の二大領域の交戦。
それは優劣や勝敗という点でも、お互い秘技の情報漏洩という点でも問題のある事だ。
ステイル「そうなると、そちらの増援を迎えるのも難しいですね……」
そしてそれらの問題は、同時に能力者と魔術師との統合部隊というのも現実不可能にしていた。
協力し合っていても、所詮は違う領域に住む人間同士。
故に、相手の技術を盗み見る、盗み取るにはまたとない機会となってしまうからだ。
アレイスター「だからこそ、私は君を呼んだ。君ならば、はぐれ魔術師の一人や二人倒すのに問題はないのだろう?」
ステイル「……そうですね。確かに、その通りです」
科学側の人間が魔術側の人間を倒すのは問題があるが、魔術側の人間が魔術側の人間を潰す分には何の問題もない。
それに彼、ステイル=マグヌスはイギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会』に所属する、若年ながらもルーンを極めた天才魔術師だ。
所属、実力含め、魔術師を狩る人間としてはこれ以上ない存在とも言えるのである。
アレイスター「それで、問題となる『戦場』の縮図だが……」
アレイスターの言葉に呼応して、暗闇に透視図のようなものが浮かび上がる。
正方形の4つの角に配置された4棟のビル。それぞれは渡り廊下で結ばれている。
見取り図の端には『三沢塾』という名が振ってあった。
アレイスター「建設時の設計図と衛星の各種映像から内部分析したものだ。魔術的な仕組みは一切不明」
ステイル「……」
アレイスター「『三沢塾』が『吸血殺し』を監禁しただけなら、対処する方法は無数にある。しかし、件のはぐれ魔術師が
『吸血殺し』を確保し、そのまま建物を乗っ取ってしまうとはな。……まったく厄介な事だ」
学園都市内部の問題に、外部の魔術師が闖入した事。これが今回の問題の全てだった。
ステイル「……つまり、私は単身この建物に乗り込み、魔術師を排除すればいい訳ですね?」
そして、ステイルに求められるのは、言わば特攻。
領域の違う場所で、増援もなく、ただ一人孤独に戦う事。
それが今回の任務。
ステイル(……要するに、今回もまたいつものように生きるか死ぬかを賭けた戦いになるって事か。
……まぁ、能力者が溢れかえるこの街で、ただ一人の孤独っていうのも愉快なものだね)
アレイスター「いや、そうでもない」
ステイルの思考に割り込むかのように、アレイスターは淡然と言葉を告げた。
アレイスター「先ほどはああ言ったが、今回は私の有する能力者を一人貸し出そう。君達、魔術師にとって天敵となる能力を持つ者を」
その言葉で、ステイルの脳裏に先月の出来事が思い起こされた。
先月、この学園都市に来た時に出会った一人の高校生。
イギリス清教の秘蔵たる『禁書目録』の『歩く教会』を破壊し、『首輪』を無理矢理外して、あまつさえ『竜王の殺息』を受け止めた。
その男が持つ謎の能力――――――『幻想殺し』。
確かに、あれほど自分達、魔術師にとって厄介な存在はなく、まさにジョーカーのようなものだ。
ステイル「……しかし、いいのですか?魔術師を倒すのに、能力者を使ってしまうのは……」
アレイスター「なに、問題はない。アレは無能力者であり、価値ある情報は何も持っていない。
魔術師と共に行動したところで、魔術側に科学側の情報が漏れる事はない」
ステイル「……」
アレイスター「そしてその逆も然り。アレには魔術側の技術を理解、再現する脳もない。故に、科学側に魔術側の情報が流れる事もない」
アレイスターの言うように、出会ったあの少年はあまり頭が良さそうではなかった。
とても魔術の秘奥を理解できるとは思えない。
だが、あの稀有な能力が役立たずの無能力者、というのはどういうことだろうか?
確かに、あの能力を教会に持ち帰る事はステイルには不可能だ。
あれを理解する事さえできていないのだから。
だからこそ恐ろしい。理解を超えた能力。神秘を触れただけで壊すという異常性。
それをぞんざいに扱おうとするこの人間の意図が、思考がまったく読めない。
ステイル「……『幻想殺し』に、『吸血殺し』、か」
ステイルはポツリと呟いた。
今回、関わる事になる二つの能力。どちらも稀少であり、理解の範疇を超えた力。
それがどのように作用するのか、現状では予想する事すらできない。
そして、さらにステイルにはどうしても憂慮しなければならない事がある。
それは、今現在この学園都市に在住し、件の『幻想殺し』の傍にいる、C.C.の事だった。
『幻想殺し』の少年、上条当麻と関われば、まず間違いなくあの魔女も首を突っ込んでくるだろう。
除け者にされるのを黙って見過ごすような性格ではない。
そして最大の問題となるのが、今回の事件を起こしたはぐれ魔術師――――――アウレオルス=イザード。
この男とC.C.、そしてインデックスの間には深い因縁がある。
できるなら、秘密裏に上条当麻とコンタクトを取って、C.C.が関わる前に事を終えたいと思うが、
あの鼻の良い魔女がそれを許すとも思えなかった。
ステイル(……やれやれ、今回の仕事も、楽じゃなさそうだね)
そしてその後もステイルはアレイスターと会話を続けながら、内心では深い考えを巡らせ続けた。
―――――――――
――――――
―――
短いですが、とりあえずここまでで…
2月の1、2週はテストやらなんやらでまた書く暇もないと思います…
ですが、それが終わったらかなり時間に余裕ができるので、できる限り早く更新していきたいと思っています
どうぞこれからもよろしくお願い致します
……こんなに長い間書けなかった全ての原因は化学の実験のせいだ
一回の実験でレポート20枚近く書かせるとかおかしいだろjk…
2月の1、2週はテストやらなんやらでまた書く暇もないと思います…
ですが、それが終わったらかなり時間に余裕ができるので、できる限り早く更新していきたいと思っています
どうぞこれからもよろしくお願い致します
……こんなに長い間書けなかった全ての原因は化学の実験のせいだ
一回の実験でレポート20枚近く書かせるとかおかしいだろjk…
お久しぶりです
生存報告と予告アゲをば
2月が思いの外忙しく、また3月も忙しくなりそうです…
頑張って書いていくつもりですので、気長に待って頂ければ幸いです
とりあえず今週中に一度投下できそうなので、読んで下さっている方々はしばしお待ち下さい
生存報告と予告アゲをば
2月が思いの外忙しく、また3月も忙しくなりそうです…
頑張って書いていくつもりですので、気長に待って頂ければ幸いです
とりあえず今週中に一度投下できそうなので、読んで下さっている方々はしばしお待ち下さい
>>419
楽しみに待ってます。
楽しみに待ってます。
こんばんわ
長らくお待たせしました
また短いですが投下していきます
>>422
『とある星座の偽善使い』さんの事ですか?
意識してないとは言いませんが、正直あまり関係はありませんよ?
ただあの文章力は常々参考にさせてもらっています
長らくお待たせしました
また短いですが投下していきます
>>422
『とある星座の偽善使い』さんの事ですか?
意識してないとは言いませんが、正直あまり関係はありませんよ?
ただあの文章力は常々参考にさせてもらっています
学園都市・とあるファーストフード店
???「――――――食い倒れた」
上条・青ピ「……」
そこには異様な空間が広がっていた。
夏休みの昼時、ファーストフード店の二階、満員満席の中の窓際の一角にあるテーブル。
他の席は人の往来が激しいというのに、そこだけは何故か人通りが異様に少ない。
そんな場所に上条、C.C.、青髪ピアスの三人は座っていた。
その彼らの前には、机に突っ伏した、一人の巫女さんがいる。
巫女装束に身を包み、長い黒髪をテーブルに広げて突っ伏しているその姿は、嫌でも人目を引く。
そして同時にこの学園都市で、こんな服装をしてファーストフード店に入るなど普通ではないと。
それ故に、人々はそこを避けている訳だが……。
C.C.「……おい、それで?食い倒れたとはどういう事だ?」
上条「なに普通に会話しようとしてるんですか、C.C.さん……」
どうやらこの魔女には興味の対象にしかならないらしい。
???「――――――食い倒れた」
上条・青ピ「……」
そこには異様な空間が広がっていた。
夏休みの昼時、ファーストフード店の二階、満員満席の中の窓際の一角にあるテーブル。
他の席は人の往来が激しいというのに、そこだけは何故か人通りが異様に少ない。
そんな場所に上条、C.C.、青髪ピアスの三人は座っていた。
その彼らの前には、机に突っ伏した、一人の巫女さんがいる。
巫女装束に身を包み、長い黒髪をテーブルに広げて突っ伏しているその姿は、嫌でも人目を引く。
そして同時にこの学園都市で、こんな服装をしてファーストフード店に入るなど普通ではないと。
それ故に、人々はそこを避けている訳だが……。
C.C.「……おい、それで?食い倒れたとはどういう事だ?」
上条「なに普通に会話しようとしてるんですか、C.C.さん……」
どうやらこの魔女には興味の対象にしかならないらしい。
C.C.「別におかしくはないだろう?せっかくの相席だ。会話の一つや二つしたところで何も問題はない」
上条「……相手が、普通、ならな。上条さんの第六感はものすごい警鐘を鳴らしているのですが……」
そもそも上条当麻は不幸な人間である。
彼はそれを自分で十二分に自覚している。
アクシデントに巻き込まれる事は多々あっても、自分から巻き込まれたいと願った事など一度もない。
とは言うものの、彼のお人好しな性格故に、自分から面倒事に突っ込むことはしばしばある訳だが。
そんな風に二人が会話していたその時。
今までテーブルに顔を突っ伏していたその巫女さんが、むくりと起き上がった。
???「その言い方は。すごく失礼」
上条「うおッ!?」
突然声を掛けられた上条は慌てる。
一方、顔を上げたその巫女さんはなんとも眠そうな目で、上条をジトーと見つめている。
その目には僅かばかりの非難が込められていたが、攻撃的なものは一切なく、どこか安心すらできるものだった。
そして何より……。
上条(……メチャクチャ美人じゃねーか)
テーブルから上げられた顔は、上条の予想に反してかなりの美人だった。
日本人らしい白い肌、大和撫子と言うに相応しい長い黒髪と黒い瞳。
それらがさっきまでは奇抜と思われた巫女装束を自然なものにしていた。
ただ、あくまでもそれを着る姿が自然なのであって、このような場所では明らかに浮いていたが。
???「……その言い方は。すごく失礼」
上条「いや、二回も言わなくてもわかりますよ……。あー、まぁ、確かに悪かったな。ごめんなさい……」
???「うん。わかれば。別に構わない。……それにしても」
言葉を漏らしながら、視線を上条から緩やかに外し、またしてもテーブルに突っ伏そうとする巫女さん。
上条「……それにしても?」
上条がその様子を見ながら、言葉の続きを促すと……。
???「――――――食い倒れた」
上条「どうしてもそこに突っ込んで欲しいみたいだなッ!?」
先ほどから度々呟かれる、聞かれるのを待っているかのようなそのフリに、上条は反射的に激しい突っ込みを入れた。
そしてそれを横で見ていた青髪ピアスは目を見開き、呆然とした様子で両者を交互に見やる。
青ピ「か、カミやんが、会って間もない女の子と楽しく会話しとる……。そのフラグ建築能力に際限はないんかッ!?」
上条「お前はこれが楽しい会話に見えんのかッ!?それにフラグなんて立ててねぇ!」
青ピ「黙らっしゃいッ!こんな短期間で妖艶系美少女と不思議系美人巫女さんと知り合いになっといてよく言うわ!」
ギャーギャーと騒ぐ二人を、C.C.は鬱陶しそうに横目で流し見ながら、テーブルに突っ伏す巫女さんへと視線を移す。
C.C.「……それで?食い倒れた、とはどういうことだ?」
???「1個58円のハンバーガーの。お徳用の無料券がたくさんあったから」
C.C.「ふむ」
???「とりあえず30個ほど頼んでみたり」
C.C.「……バカなのか?」
思わず口に出してしまったが、本心でそう思っているのだから仕方がない。
インデックスのように驚異的な胃袋の持ち主なら話は別だが、普通は一人でそんなに一気に注文はしないだろう。
上条「……なんつーか、お徳すぎだろ、それ。しかもそれ全部は食えないの目に見えてただろ?」
青髪ピアスと口論しながらも、二人の会話を聞いていた上条も突っ込みをいれる。
ハンバーガーを一気に30個も頼めるほど無料券があった事に対して、そしてそれを実行するこの巫女さんに対して。
???「……」
二人の率直かつ正確な突っ込みを受けて、巫女さんは一切動かなくなり、全身から悲しいオーラが漂う。
そのあまりにも露骨に悲しいオーラをひしひしと感じる上条の方も何ともバツが悪くなった。
上条「……あー、そんなに落ち込まなくても。……な、なんか理由があったのか?三日三晩何も食わなかったとか?」
???「……やけぐい」
上条「はい?」
不意に聞こえてきたそんな言葉に、上条はポカンとした。
???「帰りの電車賃。400円」
上条「……それで?」
???「全財産。300円」
上条「……その心は?」
???「買いすぎ。無計画」
上条「……」
???「だからやけぐい」
上条は思った――――――バカだ、と。
自棄になる気持ちはわからなくもないが、学園都市の賃金事情を知っていればそこまで無計画な買い物はしないだろう。
上条(しかし上条さんは紳士ですのことよ?女の子に真っ正直に『バカだろ?』なんて言いまs)
C.C.「どうやら真正のバカのようだな」
上条「……っておいC.C.!?せっかく上条さんが飲み込んだセリフを…………はっ!?」
???「……」
上条が目を向けると、そこには先程にも増して真っ暗に沈んだオーラを醸し出す巫女さんの姿があった。
ここまで来ると、さすがにもう掛ける言葉も思いつかない。
上条「……C.C.さん、これは明らかにあなたのせいだと思うのですが?」
C.C.「私は客観的事実を述べたまでだ。そう言うお前も同意していただろう?」
上条「うっ……。確かに、それは、そうですが……」
確かに普通の人間から言えば、些かおかしな行動であろう。
上条は、自分はあり得ないくらい不幸な人間だとは思うが、常識から逸脱した人間ではないと思っている(そう信じている)。
C.C.「それにだ。300円分だけでも電車に乗って、残りは歩くことだってできるだろう?もしくは乞食のように、
誰かの下に這いつくばって100円くらい請うとかな」
上条「なんでお前の言葉はそう悪意が篭もるんだよ……。しかも初対面の相手だぞ?
……いや、そういやお前は初対面の俺にも図々しかったなー」
C.C.「ふん、私はC.C.だぞ?初対面の相手だろうがなんだろうが遠慮などしない」
上条「……さいですか」
さすが『魔女』と言われるだけの事はあると、上条は改めて思う。
彼女の、良く言えば豪胆、悪く言えば傍若無人な所に、一体どれほどの人間が振り回されたのだろうか。
上条「……まぁ、でも良い案だよなそれ。……あの、どうですか?それでなんとか帰っては?」
テーブルに突っ伏している巫女さんに提案すると、巫女さんはその表を上げる。
そして上条の目をまっすぐに見て、おもむろに右手を上条に突き出した。
???「じゃあ100円」
上条「は?」
???「あなたたちの案は。良いと思う。だから100円」
その差し出された右手を見ながら、上条は目を丸くした。
この巫女さんは、C.C.に勝るとも劣らない図々しさ、傍若無人ぶりだった。
上条「……無理だ。貸せない。貸せる金が無い」
???「……チッ。たかが100円も貸せないなんて」
上条「お前の方こそ、そのたかが100円も持ってねーだろうが」
上条はジト目で巫女さんを睨むが、巫女さんはどこ吹く風といった様子だ。
一体どこまでマイペースなのだろうかと上条は思う。
青ピ「か、カミやん。一体どうしてしまったん……?以前のカミやんなら、こんなナチュラルに女の子と話せるはずが……ッ!」
上条「……青髪。お前はもう黙ってろ。てか、お前が貸してやれ」
青ピ「残念なんやけど、僕ももうお金ないんよ。あとは帰りの電車賃だけや」
ポケットの中をひっくり返し、金が無いことアピールする青髪ピアス。
上条はそれを見てまた溜め息をついた。
上条「……まぁ、そういうわけだから、300円分歩いて、残り100円分は頑張って歩いてください」
???「……チッ。使えない」
上条「て、テメェ…」
頬を引き攣らせ、ギリギリと拳を握る上条。
さらなる文句でも言おうとしたその時、横に座っていたC.C.が何やらくつくつと笑みを浮かべているのに気づく。
上条「おい、C.C.?何がおかしいんだ?」
C.C.「いやなに、中々見所のある奴だなと思ってな。ここまで自然にふてぶてしい態度をとれる奴はそうはいない」
上条「……お前が言うのか?それ」
C.C.「ふん、私だから言うんだ」
上条「……はぁ」
今日もう何度目になるかもわからない溜め息をつく上条。
なけなしの金を叩いて買った参考書、暑い日差しの中の徒歩、そして巫女さんとの遭遇。
上条はもう色々と限界を感じていた。
とその時。
C.C.「――――――なんだお前達は?」
すぐ隣から突如聞こえてきた、C.C.の鋭い声。
それは今までの軽薄で、遊びのある声音などではなく、明らかな敵意を持った声質だった。
上条はその声にハッとし周囲を見渡すと、いつの間にか自分達のテーブルを取り囲むかのように、10人ほどの人間が立っていた。
上条「……ッ!」
それを見てまず上条の脳裏を過ぎったのはC.C.の事だった。
以前、『猟犬部隊』に襲われた時のように、C.C.を目的としてやってきた者達なのかと。
自然と上条の体は緊張する。
両拳を力強く握り締め、鼓動は自然と速まり、神経は尋常じゃなく鋭敏に。
それと同時に、あの時の、拳銃を突きつけられた時の恐怖が蘇る。
そしてさらに恐ろしいのは、この者達の接近にまったく気づかなかった、否、気づけなかった事だった。
注文を取りに来たウェイトレスほどの距離しかないのに、C.C.の声を聞くまでまったく気づく事がなかった。
そんな暗殺者のような連中に、上条の背筋は凍る思いだった。
上条(こいつら、一体……。すぐ、C.C,を連れて逃げるべきか?でも、青髪やこの巫女さんはどうする……?)
上条が内心焦りながら打開策を見出そうとしていたその時。
目の前に座っていた巫女さんがスッと席を立った。
そして、その表情はこんな状況だというのに、何の色も浮かんではいない。
???「あと100円」
巫女さんが告げると、上条たちを囲んでいた男達の内の一人が、律儀に巫女さんに100円を手渡す。
その両者の動作には一切淀みがなく、限りなく自然であった。
上条「え、な、お前の、知り合い、なのか……?」
???「……そう。塾の先生」
一瞬、彼女の目線が泳いだように見えたが、上条にその真意はわかりようがなかった。
そしてそのまま巫女さんは一階への階段に向かう。
そのあとに、ぞろぞろと男達はまるで護衛のように続き、やがて階下へと消えて行った。
一方、その場に残された上条だったが……。
上条(……とりあえず、目的はC.C.じゃなかったんだな。良かった……。はぁ……)
男達が消えたのを確認すると、まず安堵の溜め息をつく。
とりあえずC.C.の危機ではなかった事。
それが確認でき、上条の体からようやく緊張がとれる。
上条「それにしても、一体なんだったんだ……?」
青ピ「塾のセンセ言うても、限度があると思うんやけどねぇ……」
巫女さんと男達が消えて行った階段を見つめ、上条と青髪は呟く。
あの異常とも言える集団は、一体なんのために巫女さんを迎えに来たのだろうか。
青髪ピアスの言うとおり、塾の先生、というにしても、あれは限度を越えているだろう。
C.C.「……いけ好かない連中だったな。良い気分だったのが台無しだ」
上条「……」
容器に入った残りのシェイクを飲み干しながら、C.C.は不機嫌さを隠そうともせずに言葉を吐く。
上条はC.C.のその呟きを耳に入れながら、静かに階段から視線を外した――――――。
―――――――――
――――――
―――
とりあえず今回はここまで
中々進めないなぁ……
でもこれからももっと頑張って書いていきますので、よろしくお願いします
それではまた次回に
中々進めないなぁ……
でもこれからももっと頑張って書いていきますので、よろしくお願いします
それではまた次回に
乙
>>上条「……まぁ、そういうわけだから、300円分歩いて、残り100円分は頑張って歩いてください」
酷いよ上条さんw
>>上条「……まぁ、そういうわけだから、300円分歩いて、残り100円分は頑張って歩いてください」
酷いよ上条さんw
どうもお久しぶりです
一ヶ月以上放置とか、遅筆にもほどが…
読んでくれた&くれている皆様には本当に申し訳なかったです…
もっと努力していくので、どうかこれからもよろしくお付き合い下されば幸いです
それでは、続きを投下します
一ヶ月以上放置とか、遅筆にもほどが…
読んでくれた&くれている皆様には本当に申し訳なかったです…
もっと努力していくので、どうかこれからもよろしくお付き合い下されば幸いです
それでは、続きを投下します
夏の夕暮れ。
ファーストフード店での休憩後、モヤモヤとした気分を取り除くかのようにあちこち遊び倒した上条達は、
完全下校時刻を告げる声に従い帰路についていた。
共に遊んでいた青髪ピアスも先刻別れを告げ、夕暮れの街へと消えていき、今は上条とC.C.の二人きりである。
二人の間に会話はなく、ただ足並みを揃えて二人の住む学生寮に向かってトボトボと歩いていた。
しばらくして、駅前の大通りをそうやって歩いていたある時。
上条「……なぁ、C.C.」
不意に上条は口を開き、隣を歩くC.C.に声を掛ける。
C.C.「……なんだ?」
声を掛けられたC.C.は、歩みを止める事なく、視線は前へと向けたまま静かに答えた。
上条「……昼間のアレ、何だったんだろうな」
思い起こすのは、昼に出会った謎の巫女さん。
そして、彼女を取り巻き、連れ去ったスーツ姿の男達。
結局、この日いくら遊ぼうとも、上条は忘れようにも忘れる事などできなかった。
C.C.「私が知るものか。ただ一つ言えるのは、あの男達はただの塾の先生などではないという事だけだ」
上条「……やっぱり、そう思うよなぁ」
腕を組みながら、うーん、と唸って首を傾げる上条。
それを横目に見て、C.C.はピタリとその歩みを止め、上条に向き直った。
C.C.「……気になるのか?」
C.C.のその問いに対し、上条もまた歩みを止めて彼女へと向き直る。
上条「……そりゃあ、な。どう考えてもアレは普通じゃなかったし。気にするなっていう方が無理な話だろ」
不思議な雰囲気を持つ巫女さん。異常な空気を纏った男達。
そして、消える間際の一瞬の視線の揺らぎ。
上条「……なんつーか、嫌な予感がすんだよ。あの巫女さんの事もそうだけど、なんかもっと、無視できない、
無視しちゃいけないような、さ……」
C.C.「回りくどい言い方はやめろ。結局、お前は一体どうしたいんだ?」
問いかける彼女のその黄金の瞳は、真っ直ぐに上条へと向けられている。
対する上条も、それを正面から受け止め、口を開いた。
上条「……あの巫女さんを探したい。それで何か事件に巻き込まれてるんだったら―――――助けたい」
決意と覚悟をその目に宿し、上条は力強くそう答えた。
C.C.は少しの間そんな上条をジッと見つめていたが、やがて溜め息をついて、その視線を外した。
C.C.「……ふっ、お前のお人好しには、呆れを通り越して笑えてくるな」
上条「俺は別にお人好しって訳じゃ……」
C.C.「いや、お前はお人好しだ。ある種、異常とも言えるくらいにな。普通の人間は、多少気にする事はあっても、
お前のように実際に行動する奴は中々いない」
上条「……」
C.C.「私はそれを悪い事とは言わない。だが、あまりにそれが過ぎると、いつか身を滅ぼす事になるぞ。
日頃、お前は不幸不幸と嘆いているが、それはお前自身が厄介事に首を突っ込むからだ。
……まぁ、それだけが原因とは言わないがな」
彼女の言うことは至極真っ当な事である。
上条自身の不幸体質に加え、さらに他人の不幸までも上乗せすれば、それは碌な事にはならないだろう。
上条「……肝に命じておくよ。でも、俺は困ってる人がいるなら、出来る限り助けたい。俺は所詮、『偽善使い』だからさ。
そして、誰かを助けるためになるんだったら―――――『力』だって使う」
『幻想殺し』、『絶対遵守のギアス』。
ただの高校生である上条当麻に宿った、世界を揺るがす力。
誰かのためになるというのなら、彼はそれを使う事を厭わない。
一方のC.C.は、真剣な眼差しを向け、上条の宣言を聞いていた。
そしてしばらくすると、彼女はやれやれと肩を竦め、静かに口を開いた。
C.C.「……まぁ、結局はお前の勝手だ。好きにするがいいさ」
上条「……ありがとな、C.C.」
いつも自分に助言をくれ、口は悪いながらもそれとなく心配をしてくれる。
そんな彼女には感謝してもしきれない。
C.C.「礼など必要ない。……だが、勝手に行動する前に、―――――気づいているか?」
上条「え?……ッ!」
突如として、C.C.の目つきが変わる。
その瞳には今までのような真剣さではなく、警戒、敵意といった感情が宿っていた。
それを見た上条は、瞬時に自分達の周囲に目を向ける。
―――だが、怪しい人影や、おかしな様子は見当たらない。
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