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元スレ上条「……なんでもう布団が干してあるんだ?」C.C「腹が減った。ピザをよこせ」
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上条「?……えーと、別に何もおかしな所なんてないよーな……?」
C.C.「もう少し周りを気にするんだな、坊や。今日の昼の男達にも、私が気づかなければ,
お前はずっと気づかないままだっただろう?……まぁ、この場合は逆か」
上条「えーと、C.C.さん……?」
尚もわからないといった様子の上条に対し、C.C.は一度溜め息をついてから口を開いた。
C.C.「……ここは、こんなに人気がない場所なのか?」
上条「ッ!」
彼女に言われて初めて気づいたその異常。
怪しい人影や、おかしな様子など探して見つかる訳がない。
何故なら、そもそも周囲に人など誰一人存在していなかったから。
何故なら、自分を含めたこの空間そのものが異様なものだったから。
上条「……なぁ、C.C.。これって、確か……」
C.C.「ああ、これは間違いなく、―――――人払いだ」
二人の背後から突然聞こえてきた声。
それは、上条にとっては少し前に聞き覚えた声であり、C.C.にとっては聞き馴染んだ声であった。
二人が振り返った先にいたのは、予想通り、タバコを燻らす黒衣の神父。
ステイル「やぁ、久しぶり……でもないか。……まぁ、とりあえず、また会ったね。C.C.、上条当麻」
ステイル=マグヌス。
イギリス清教第零聖堂区『必要悪の教会』所属、ルーンを極めた天才魔術師が、夕焼けを背に立っていた。
上条「す、ステイル……?なんでまたココに?また何かあったのか?」
突然の再会に驚きを顕わにする上条。
それに対し、C.C.は冷ややかな表情を浮かべていた。
C.C.「お前、一体何をしに来た?まさか、私を連れ戻しに来たとは言わないだろうな?」
ステイル「……まったく、随分な言い様だね。今回は君の件の謝罪と感謝をイギリス清教を代表して述べるのも
仕事に含まれてたんだけどね」
C.C.「そんなこと私が知るか。文句ならあの女狐に言うんだな」
不機嫌さを隠そうともせず、嫌味を言うステイル。
だがしかし、その程度の事を魔女が気にするはずもなかった。
ステイルはいつもの事だとわかってはいても、彼女のその態度に溜め息をついた。
ステイル「元々は君が起こした騒動だろう。……まぁ、それは今はいいとしておいて。今回はそれとは違った用もあってね」
C.C.「ほう、こんな人払いまで敷かなければならないほどの事なのか?」
ステイル「この人払いは念のためさ。僕や君は目立つからね。こうでもしなければゆっくり話もできない」
そう言ってステイルは一度タバコを吹かしてから、それを道端へと投げ捨てた。
C.C.「……それで?その話とはなんだ?」
ステイル「ああ、いや、今回主に話があるのは君じゃない」
上条「…………………………えっ、俺?」
ステイルの視線は、C.C.の脇に立つ上条へと注がれていた。
その上条はというと、ステイルの視線を受けてなんとも間抜け面で自分を指差していた。
C.C.「おい、どういうことだ?」
怪訝な顔を浮かべながら問うC.C.を一瞬流し見て、ステイルは切り出した。
ステイル「簡単な話さ。今回の仕事は上条当麻にも協力してもらう」
一瞬の間の後―――。
上条「……は?はぁあああああああああッ!?」
上条の叫び声が、辺りに響いた。
ステイル「なんだい?君は僕達に困ったことがあったら、喜んで手伝ってくれるんじゃなかったのかい?」
上条「いや、確かにそうは言ったけどさ!いきなり過ぎやしませんかねッ!?」
ステイル「困った状況というのは得てして唐突に起こるものだよ。……まぁ、という訳で、手伝ってくれるね?」
そんな感じの軽い態度で協力を仰ぐステイル。
手伝う事がさも当然の事と錯覚してしまうほど、彼の物言いは図々しかった。
それに対し、上条は……。
上条「……………はぁ、わかったよ。俺自身が言った事だし。手伝うよ」
溜め息交じりながら、了承の返事を返す上条。
ステイルは、その返事を聞いてやや驚いた表情を浮かべていた。
横に立つC.C.も、やれやれといった風に額に手をあてていた。
上条「?……なんだよ?なに驚いた顔してんだ?」
ステイル「……いや、正直こうもあっさりと承諾してくれるとは思っていなかった。
もう少しごちゃごちゃと文句でも言うものと考えていたからね」
C.C.「こいつはこういう人間なんだ。この私でさえ驚かされる」
二人から呆れ顔で見られた上条は、なんとも居心地が悪そうに顔を顰めた。
上条自身は、ただ自分の言責を取ったつもりだった。
だが、どうもそれは他者から見れば『お人好し』の行動にしか見えないようだ。
上条「……まぁいいや。それで?俺は何すればいいんだよ?」
C.C.「……おい、少し待て。こいつの手伝いをするのは勝手だが、お前、巫女装束の女の方はどうするつもりだ?」
後先を少しも考えてなさそうな、目前のことにのめり込もうとする姿を見かね、C.C.は先に問いかける。
しかし、問いかけられた上条の方は、彼女の予想に反して思いのほか冷静に返答した。
上条「もちろん、そっちだってちゃんと探すつもりだ。だから、そうだな……。
ステイル、お前の仕事の手伝いってのはどのくらいで終わるんだ?」
ステイル「そんなに時間は掛からないと思うよ。今日一日あれば片が付くだろうね」
上条「よし、それなら大丈夫だな」
ステイル「……ところで、その巫女装束の女っていうのは一体何の話なんだい?」
上条「んー、まぁ、大した事じゃないさ。俺がちょっと気になってるだけだし。
……それでステイル、そろそろ仕事の内容を教えてくれ」
ステイル「……まぁ、僕には関係ないし、別にどうだっていいんだけどね」
言いながらステイルは、懐から大きな封筒を取り出した。
そして彼が何かの呪文のようなものを唱えて封筒を弾くと、封筒は上条へとくるくる飛んでいき、その手に綺麗に収まった。
その封筒の口には何かの文字が刻まれている。
ステイル「受け取るんだ」
その呟きが合図だったのか、封筒の口が綺麗に切れた。
封筒の中からは幾つかの書類が飛び出して、上条とC.C.の周囲をふわふわと浮遊している。
そして、その中の一枚が上条の目の前にひらりと飛んでくる。
上条「えーと、……『みさわじゅく』?」
ステイル「そう、『三沢塾』。なんでもこの国では一番のシェアを誇る進学予備校みたいだね。
今回はその支部校で問題が起こってるのさ」
C.C.「……その問題とはなんだ?」
それまで上条と共に書類を覗き込んでいたC.C.が先を促す。
上条も書類から目を放し、ステイルからの言葉を待つ。
二人の視線を受けながら、ステイルは事も無げに言った。
ステイル「そこに、女の子が監禁されてるんだ。それを助け出すのが今回の僕の仕事さ」
上条「……それ、ホントなのか?」
ステイル「その真偽に関しては、資料を見てもらえばわかると思うけどね」
ピン、とステイルは人差し指を立てる。
すると上条とC.C.の周りに浮かんでいた幾枚かの書類が、紙吹雪のように舞って二人を取り囲む。
一つは、『三沢塾』の見取り図。
一つは、『三沢塾』の電気料金表。
一つは、『三沢塾』を出入りする人間のチェックリスト。
赤外線などで計った実寸と見取り図との違いからわかる、いくつもの隠し部屋。
学校運営に使用したとされる電気量の合計料金とは合わない、過剰な電気消費量。
学生や教師によって持ち込まれた食料とそのゴミの食い違いから判明する、第三者の存在。
―――そして、最後の一枚。
今から約一ヶ月前、とある一人の少女が校内へ入っていくのが目撃された。
その少女の住む寮の管理人が言うには、それ以降一度も部屋には帰って来ていないとの事。
ステイル「今の『三沢塾』は科学崇拝を軸にした新興宗教と化しているんだそうだよ。
その教えについては不明だけどね」
上条「じゃあ、監禁されてるその女の子は、そこで洗脳でも受けてるのか……?」
ステイル「さぁね。それに関しては僕の知る所じゃない。それに正直、『三沢塾』がどんなカルト宗教に変質していようが
知った事じゃないんだ。現在はもう潰れている事だしね」
上条「?……どういう事だよ?」
今回のステイルの任務は、『三沢塾』に監禁されているその少女の救出のはず。
にも拘らず、その『三沢塾』がすでに潰れているとは一体どういう事なのか。
ステイル「簡単に言ってしまえば、『三沢塾』は乗っ取られたのさ。とある一人の魔術師、もといチューリッヒ学派の錬金術師にね」
C.C.「何?」
ステイルの告げた事実にいち早く反応したのは、C.C.。
彼女にしては珍しく、強く、鋭い反応だった。
コンナトコロ
ステイル「そう、まさに君の考えている通りだよC.C.。……今回、魔術なんかとは相容れない『学園都市』で、
『三沢塾』なんていう一予備校を乗っ取ったのは、―――――あの、アウレオルス=イザードだよ」
C.C.「それは確かなのか?間違いなくアイツなのか?」
ステイル「ああ、間違いないよ。『教会』の方でも、『学園都市』の方でも確認は取れてるからね」
C.C.「……そうか」
ステイルに確認を取ったC.C.は、腕を組み、静かにその瞼を閉ざした。
その表情からは、彼女が何を考えているのか読み取ることはできない。
そんな二人のやり取りを見ていた上条は、怪訝な顔を浮かべる。
上条「なんだ?知り合いなのか?その、あう、あうれるす……?」
ステイル「アウレオルス=イザード。……まぁ、昔、色々あってね。特に彼女は」
ステイルがC.C.を一瞥するのに釣られて、上条もC.C.の様子を窺う。
……どうやら今回もまた、C.C.の過去が大きく関係する出来事なようだ。
上条が少しの間そうして様子を見ていると、やがてC.C.は徐に口を開いた。
C.C.「……それで?アイツの目的は一体何なんだ?」
ステイル「アウレオルス=イザードは『三沢塾』そのものには毛ほどの興味もないよ。
今はせいぜい、建物を要塞として使う程度にしか考えてないだろうさ」
上条「じゃあ、なんでそいつは『三沢塾』を乗っ取ったんだよ?」
ステイル「奴のそもそもの目的は、そこに監禁されていた少女―――――『吸血殺し』の方にある」
上条「『吸血殺し』?」
上条の呟きにステイルは頷く。
ステイル「元々『吸血殺し』を狙っていたアウレオルスだったけど、それを『三沢塾』に先取りされてしまった。
それで奴は乗っ取りなんていう強硬手段に出たのさ」
上条「なんでそいつは『吸血殺し』を狙ってたんだ?」
ステイル「さぁ?アウレオルスが『吸血殺し』を使って具体的に何をしようとしているのかはわからないけど、
『吸血殺し』の獲得は奴の、ひいては全ての魔術師の悲願ではあるからね」
上条「?どういう事だよ?」
ステイル「『吸血殺し』っていう能力は、僕らで言うところのカインの末裔―――――吸血鬼を殺す能力なのさ」
上条「……は?」
上条はそのステイルの言葉に呆気に取られた。
吸血鬼。
オカルト カガク
そんなまさに『非科学』の代表が、何故に学園都市の『超能力』と結びつくのだろうか?
ステイル「しかも殺すだけじゃない。それがあれば、吸血鬼の捕獲さえできる可能性だってあるのさ。
吸血鬼は謂わば無限の魔力炉。件の錬金術師は、たぶんそれが狙いだろう」
上条「……お前さ、吸血鬼とか本気で言ってんのか?」
あまりにも突拍子のない話に、上条は疑いの声を掛ける。
しかし、当のステイルは至って真面目な顔で、首を横に振った。
ステイル「……もしこれが冗談だったなら、僕も気が楽だったんだけどね」
ステイルは苦笑した。
しかし彼のその苦笑には、どこか怯えのようなものを感じる。
冗談では済まされなかった、というそんなどことない恐怖、怖気、戦慄。
上条はそんなステイルの様子を初めて見た。
ステイル「……吸血鬼を殺すための能力が存在するなら、殺す対象である吸血鬼が存在しないといけないのさ。絶対にね」
上条は何も言えず、閉口する。
というのも、この『学園都市』で公式に認められた異能が、何の根拠もないモノというのは上条自身思えなかったからだ。
ステイル「……まぁ、そうは言っても実際はわからない事だらけなんだ。どこにいるのか、どれくらいいるのか、どのくらい強いのか、
何もわかっちゃいない。実際、誰も吸血鬼なんて存在を目にしちゃいないんだからね。……いや、もしかしたら目にした
人間はいたかも知れないけど、証明できなかったのかな?」
上条「?なんでさ?」
ステイル「簡単な理由さ。吸血鬼を見た者は死ぬからだよ」
上条「……」
ステイル「だからこそ、アウレオルスは『吸血殺し』を手に入れたんだろうね。自分にとっての生命線、
奴らにとってのジョーカーを持っておくために」
そこまで言うと、ステイルは大きく息をついた。
そして懐からタバコを取り出し、口に咥える。
ステイル「そうそう、言い忘れたけど『吸血殺し』の本名は姫神秋沙。元々は京都のとある山村に住んでいたそうだけど、
村はある日、彼女一人を除いて全滅したらしい」
上条「全滅って……一体何があったんだよ?」
ステイル「……そこで何が起こったのかは今でもまだ判明していない。ただ、最後に通報をしてきた村人は随分と錯乱した様子で、
化物に殺される、と電話越しで喚き叫んだそうだよ」
ステイルはタバコに火を着け、ゆっくりと吸った。
そして一呼吸置いてから、また話を続ける。
ステイル「駆けつけた人間がそこで見たのは、無人の村と、その中に立ち尽くす一人の少女。
そして、――――吹雪のごとく吹き乱れる、真っ白な灰だけだった、って話だよ」
上条「……吸血鬼は、死ぬと灰になるって、まさか……」
ステイル「……それと、『吸血殺し』の顔写真もその封筒に入ってる。助けに行く前にちゃんと確認しておきなよ」
ステイルの言葉に従い、封筒の中から一枚の写真が滑り落ちた。
それを見た上条とC.C.の目は驚きに染まる。
上条「こ、こいつは……」
C.C.「……ああ、間違いないな。どうやらお前の探す手間も省けたようだ」
そこに写っていた顔は紛れもなく、昼に出会ったあの巫女さんのものだった。
―――――――――
――――――
―――
とりあえず今回はここまでです
次回はもっと早く来れるように頑張ります
今後ともよろしくお願いします
それでは、また次回に
次回はもっと早く来れるように頑張ります
今後ともよろしくお願いします
それでは、また次回に
せ、生存報告…
できるだけ早く更新できるようにと言っておきながら、2ヶ月近く放置とか…
読んで下さっている皆様には本当に申し訳ないです…
言い訳させてもらえるならば、5月は部活が忙しすぎました…
平年なら早々と負ける春なのに、今年はかなり良い感じ勝っていってしまって…
来週中には必ず更新します
それまでもう少しだけお待ち下さい…
できるだけ早く更新できるようにと言っておきながら、2ヶ月近く放置とか…
読んで下さっている皆様には本当に申し訳ないです…
言い訳させてもらえるならば、5月は部活が忙しすぎました…
平年なら早々と負ける春なのに、今年はかなり良い感じ勝っていってしまって…
来週中には必ず更新します
それまでもう少しだけお待ち下さい…
どうもこんばんわです
読んでくださってる方々にはお待たせして申し訳ありません
今回は短い上に、あまり進展もしませんが、とりあえず投下します
読んでくださってる方々にはお待たせして申し訳ありません
今回は短い上に、あまり進展もしませんが、とりあえず投下します
第七学区・とある大通り
夕焼けに染まった街に、これからいよいよ夕闇が訪れようという時分。
その影を伸ばしながら、足並みを揃えて歩く三人の男女の姿があった。
ステイル「……それでC.C.。本当に君は付いて来る気かい?今回の仕事はさっき言った通り、
僕と上条当麻の二人でやればいいんだけど?」
C.C.「何を言っているんだお前は。私も行くに決まっているだろう」
ステイル「……まぁ、そう言うと思ってたけどね」
C.C.「そもそも、今回私にアイツの事を話したのはお前だ。初めから私に関わらせるつもりがなかったなら、
お前は『人払い』でもして、私の知らない内にコイツと接触すれば良かったはずだ。何故そうしなかった?」
C.C.は人差し指を上条へと向けながら、鋭い視線でステイルに問う。
対するステイルは、まるでその質問を待っていたかのように淡々と答えた。
ステイル「そうしなかった理由は三つ。まず一つは、君にばれずに行動する、というのがすでに至難の技だからね。
君の、こういう事件に対する嗅覚が異常なのはよくわかってる。隠していてもしょうがないと思ったからさ」
C.C.「ほう、よくわかってるじゃないか、坊や」
フフン、と胸を張り、笑みを浮かべるC.C.。
そんな彼女の様子を冷ややかに流し見て、ステイルは言葉を続ける。
夕焼けに染まった街に、これからいよいよ夕闇が訪れようという時分。
その影を伸ばしながら、足並みを揃えて歩く三人の男女の姿があった。
ステイル「……それでC.C.。本当に君は付いて来る気かい?今回の仕事はさっき言った通り、
僕と上条当麻の二人でやればいいんだけど?」
C.C.「何を言っているんだお前は。私も行くに決まっているだろう」
ステイル「……まぁ、そう言うと思ってたけどね」
C.C.「そもそも、今回私にアイツの事を話したのはお前だ。初めから私に関わらせるつもりがなかったなら、
お前は『人払い』でもして、私の知らない内にコイツと接触すれば良かったはずだ。何故そうしなかった?」
C.C.は人差し指を上条へと向けながら、鋭い視線でステイルに問う。
対するステイルは、まるでその質問を待っていたかのように淡々と答えた。
ステイル「そうしなかった理由は三つ。まず一つは、君にばれずに行動する、というのがすでに至難の技だからね。
君の、こういう事件に対する嗅覚が異常なのはよくわかってる。隠していてもしょうがないと思ったからさ」
C.C.「ほう、よくわかってるじゃないか、坊や」
フフン、と胸を張り、笑みを浮かべるC.C.。
そんな彼女の様子を冷ややかに流し見て、ステイルは言葉を続ける。
ステイル「……二つ目に、初めから君も連れて行けば、僕の戦力を分散させる必要がなくなるから。
君を独りにさせると『色々と』不安だからね。そうなった時は、突入前に『魔女狩りの王』を
君に付けて行く事も案としてはあったんだ」
C.C.「……『色々と』、を強調したのは、今回は聞かなかった事にしてやろう」
皮肉げに言葉を強調したステイルに、C.C.の冷たい視線が突き刺さる。
それを軽く受け流し、ステイルは尚も続ける。
ステイル「そして三つ目。それは今回の事件を起こした相手が、行方不明だったあのアウレオルス=イザードだったから。
インデックスはともかく、君には奴の事を話すべきかなと少し思ったからね。まぁ、理由としては一番弱いけど」
C.C.「……お前にしては気が利いた行動だったな。そこは褒めてやろう。……それでだ」
C.C.はそこで一度間を取った後、真っ直ぐにステイルを見つめて―――。
C.C.「それで、お前はあいつをどうするつもりだ?」
ステイル「……別にどうとも。ただ仕事の邪魔をするなら、その時は遠慮なく殺すよ」
なんの感情の起伏もなく、ステイルはあっさりと答えた。
ステイルにとって今回の一件はあくまで学園都市と清教から要請された仕事だ。
彼個人としては、アウレオルス=イザードという一個人に対して毛ほどの興味もない。
対象がイギリス清教やその協力関係である学園都市などに対して、何らかの害をもたらそうものならば、
命令に従い、ただこれを排除するのみ。
彼、ステイル=マグヌスは、今までそうやって生きてきた。
―――だが、そんなステイルの言葉を無視できない者がいた。
上条「……殺すって、お前、それ本気で言ってんのか?」
上条は、普段、彼が出す声よりも幾分低い声音で、ステイルに問い詰める。
ステイル「うん?もちろん本気だけど?それともなにかい?テーブルにでも着いてお茶でも飲みながら
平和的解決でもするつもりかい?」
上条「……なにも殺す事はないだろ」
ステイル「……君はまだ意識できてないかもしれないけど、今回は魔術師同士の、正真正銘の殺し合いだよ。
相手は仮にもこんな所で施設の乗っ取りなんてする奴だ。生半可な覚悟じゃないだろうし、相手は
こっちを殺すつもりで来るさ」
上条「……だから、こっちも殺すつもりで行くって?」
ステイル「まぁ、そういうことだね」
ステイルは視線を上条から外し、一度タバコを吹かす。
ぼんやりと空を見上げるその表情からは、何も読み取ることはできない。
そして、再度上条へと視線を向け、口を開く。
ステイル「……それに、あっちは『吸血殺し』なんていうものを監禁、従えてるんだ。……最悪の状況、
これは考えたくもないけど、もしかしたら『吸血鬼』さえも飼い慣らしているかもしれない」
上条「……」
ステイル「つまるところ、『吸血殺し』を助け出し、尚且つ僕たちが生き残るためにはこっちだって、
手加減してる余裕はないってことさ―――――ほら、戦場も見えてきたよ」
ステイルに促され、上条とC.C.もそちらの方向へと目を向ける。
C.C.「……やれやれ、随分と血気盛んなことだな。お前も、そして、向こうもな」
その視線の先には、夕日に照らされ、まるで血に染まったかのように佇む『三沢塾』の姿があった。
―――――――――
――――――
―――
学園都市・三沢塾前
そのビルは何とも奇妙な形をしている。
ビル一つ一つは別段おかしなものではないが、『三沢塾』は全部で四棟のビル群から構成されており、
それらのビルは十字路を中心に据えられ、漢字の『田』を形作っていた。
ステイル「……さてと、それじゃあこれから特攻をかける訳だけど、中は錬金術師によって要塞化されてるだろうし、
罠を含めて何らかの攻撃も予想されるから、油断しないようにね」
上条「……見た感じじゃ、そんな怪しい建物には見えねーけどな」
外見を観察する限りでは、ビルには目立って怪しい所はない。
時折出入りしている生徒達を見ても、ただの進学予備校にしか見えなかった。
C.C.「言った傍から油断か。馬鹿かお前は?」
上条「別に油断してる訳じゃねーよ!」
ステイル「……まぁ、気持ちはわからなくもないけどね。図面を見ても、わかるのはいくつか隠し部屋があることくらいさ。
その他には怪しい所なんて見当たらない。……専門家であるこの僕が見てもね」
タバコを口に咥えながら、目を細めてビルをジッと見つめるステイル。
表情からは、何か釈然としない様子が見て取れる。
上条「……俺は隠し部屋なんてもんがある時点で十分怪しいとは思うんですけど」
ステイル「僕が言ってるのはそんな単純な構造の問題じゃない。魔術的な視点で見て、
別におかしな所が見られないってことさ」
C.C.「無能め」
C.C.の呟きに、ステイルは「黙っていろ魔女」と短く言葉を返した。
専門家が見ても、おかしな所、怪しい所は見られない。
それはある意味で安全だと示されているとも捉えられるが―――。
上条「……逆を言えば、ただこっちが見つけられないだけで、もしかしたらとんでもない地雷が
埋まっている可能性もあるということデスカ?」
ステイル「まぁ、否定はできないね。でもどっち道、僕達は行くしかないだろう。目的は錬金術師の
殺害じゃなくて、あくまでも『吸血殺し』の救助だしね」
上条「俺としては否定して欲しかった……って、ちょっと待て。行くしかないって、まさか正面から
突入するつもりか!?」
ステイル「そのつもりだけど?要塞化されてる以上、どこから入ろうが、あまり変わりないだろうしね。
それとも君には何か相手の裏を掻くような良い策でもあるのかい?」
今更何を、というような表情を浮かべながら尋ねるステイル。
上条は一瞬言葉を失ったが、すぐに声を荒げてステイルに突っ掛かった。
上条「お、お前なッ!敵の本拠地に無策で突入する馬鹿があるかッ!」
ステイル「無策?何を言っている?何のために君を呼んだと思っているんだ」
上条「……?」
ステイルの言葉の意味を図りかね、上条はキョトンとした顔を浮かべる。
それを見たステイルは薄く笑って、さらに言葉を続ける。
ステイル「あの子の『歩く教会』を一撃で破壊し、『竜王の殺息』を受け止め、押し切り、尚且つ教会が
用意した『自動書記』を修復不可能なレベルで損壊させたその右手があれば、恐れるもの
なんて何もないじゃないか」
上条「……おい、じゃあお前が俺に協力頼んだのは……」
イマジンブレイカー
ステイル「うん、頼りにしてるよ、『都合の良い盾』」
つまり、上条に要求された役割は『幻想殺し』による絶対防御。
端的に言って、『盾』。あるいは『壁』であった。
C.C.「なるほど。確かに『盾』というのはお前に最適な役割だな」
上条「お、お前ら……」
せせら笑いを浮かべながら話すステイルとC.C.に対し、上条はこめかみをぴくつかせた。
上条自身、相手が魔術師である以上、『幻想殺し』の使用は当然想定していたが、
最初からただの『盾』としてだったとは考えていなかった。
―――上条はこの時、この性悪神父との付き合い方を改めて検討しようと心に決めた。
ステイル「さてと、それじゃあ最初の目的地はここから一番近い隠し部屋、南棟五階の食堂脇だね」
そんな上条を無視し、ステイルはゆっくりとビルの自動ドアへと近づいていく。
……が、彼は不意に立ち止まり、半身になって上条に声を掛けた。
ステイル「それと言い忘れたけど、君の『幻想殺し』の影響でこっちはビルに入った瞬間から奴に
常に位置を捕捉されるだろうからそのつもりで」
上条「……は?」
ステイル「相手の魔力が充満してる空間に、その魔力をごっそり消してしまう君がいるんだからね。
しょうがないだろう?まぁ、僕も僕の魔力で魔術を使えば同じことだけどね」
C.C.「……やれやれ、つまりお前達は歩く発信機という事か」
C.C.は一度溜め息をついて、二人を白い眼で見た。
一方の上条はステイルの言葉を聞いて黙ってはいられない。
上条「お、お前ふざけんなよ!?何なんだよその無理ゲーは!?
スネークでも尻尾巻いて逃げ出すレベルだぞッ!?」
ステイル「だから油断するなと言った。……それとも、どうする?やっぱり行くのやめるかい?」
上条「ッ!」
上条当麻は至って普通の人間だ。
あまりにもこちらに不利な状態で、罠が張り巡らされた敵の本陣になど突入したくはない。
―――だが、しかし。
上条「……行くよ」
そんな危険な所に、女の子が一人閉じ込められている事など見過ごせるはずがない―――。
―――――――――
――――――
―――
今回はここまでです
ホント進むのが遅い……
もっと頑張らなければ……
次回からは戦闘に入れればいいなと思っています
それではまた次回に
ホント進むのが遅い……
もっと頑張らなければ……
次回からは戦闘に入れればいいなと思っています
それではまた次回に
定期的に生存報告さえしてくれれば安心して待ってられるから自分のペースで構わないよ
二ヶ月以上放置とか…
ホント申し訳ありませんでした…
とりあえず生存報告です
やっと部活やらなんやらが一段落しましたので、これから頑張って書いていきたいと思います
ただ、諸事情によりバイトを増やさないといけなくなり、忙しさはあまり変わらないことに…
それでも頑張って書いていくので、皆様どうぞよろしくお願いします
ホント申し訳ありませんでした…
とりあえず生存報告です
やっと部活やらなんやらが一段落しましたので、これから頑張って書いていきたいと思います
ただ、諸事情によりバイトを増やさないといけなくなり、忙しさはあまり変わらないことに…
それでも頑張って書いていくので、皆様どうぞよろしくお願いします
生存報告と投下予告
皆様、ホント申し訳ございませんでした…ッ!
恐ろしく忙しい二ヶ月でありました…
読んで下さっている方々には弁明の余地もありませんが…
とりあえず今週中に一度投下できそうですので、もう暫しお待ちください
皆様、ホント申し訳ございませんでした…ッ!
恐ろしく忙しい二ヶ月でありました…
読んで下さっている方々には弁明の余地もありませんが…
とりあえず今週中に一度投下できそうですので、もう暫しお待ちください
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