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    元スレ上条「食蜂って可愛いよな」御坂「え?」

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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - 上条美琴 + - 下条 + - 心理掌握 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    851 :

    乞食というか…餓鬼?

    852 :

    日本人じゃない気がするなあ

    853 = 831 :

    そりゃインさんはイギリス人だろ。

    854 :


    隙につけこまない余裕を持つインさんかっけええ、美琴はそうはいかねーのよな

    855 :

    追いつ期待

    856 :

    まだかなまだかな

    858 :

    待ちきれないぜ!

    859 :

    期待してるぜ!

    860 :

    上がったぁぁぁきたぁぁぁぁ!!


    >>859、おまえ歯を食いしばれ

    861 :

    んだよ最後まで埋めろよクソ福岡
    全く使えねーヤツだな

    862 :

    食蜂一人の為に不幸な奴居すぎてメロドラマに集中出来ないのが残念無念
    特に縦ロールは可愛すぎてむしろ食蜂に寝取られてる気分になる

    863 :

    >>861
    逆に考えろ

    福岡は中途半端に埋めるというある意味作者に対して最悪の嫌がらせをしたんだ

    864 :

    口調のせいか上銀に見えて若干イライラする

    865 :

    でもみさきちは超電磁砲でもほぼ銀様

    866 :

    みさきちがかわいすぎる

    868 = 858 :

    早く投下しろ
    間に合わなくなっても知らんぞ

    869 :

    >>1さんマジお気の毒
    タチ悪いのに目付けられたなぁ…

    870 :

    なあに、次のスレにいっちゃえばいいさ

    871 :

    福岡はみさきちに洗脳されてたんだよ

    872 :

    おはようございます

    874 :

    次のスレ立てるのが嫌だからって無理やり終わらせるのはやめてくれよ?

    876 :

    ふぁいとー

    877 :

    こんばんは。>>1です。
    今回で本編は最終回ということで、一応の区切りとなります。
    では投下します。いつもよりちょっとだけ長めです

    878 = 877 :

    ――――


    「あら? 貴女……新入生の方?」

    食蜂「はい……? そうですけどぉ」

    「タイが曲がっていてよ……お気をつけなさい」

    食蜂「ぷっ……!」

    「何かおかしなことでもありまして?」

    食蜂「アハハぁっ、いえいえぇ。本で見た通りのお嬢様学校なんだなって思ってぇ」

    「そう。でも貴女も今日からその一員ですのよ。常盤台生としての自覚と誇りを持って行動なさいまし」

    食蜂「私ぃ、超能力者なんです」

    「あら……そう。そう言えば今年は二人のレベル5が入学するとお姉様から伺っておりましたわ。
     でもだからと言って身なりを整えなくていいことには」

    食蜂「うーん、私と仲良くしてもいいことないですよぉ?」

    「……え?」

    食蜂「あらぁ、動揺してますねぇ。うん、でも他の子に比べたらぁ、貴女優しい人なんですねぇ。
        私に悪意が無いです。嫉妬はしてるみたいだけどぉ」

    「な、何を言ってますの……? 貴女は……」

    食蜂「あら、無自覚? 可愛いですね。けど知らない方がいいですよ。
        それじゃ、ごきげんよぉ。なんて、クスクス……!」

    879 = 877 :


    「……お待ちなさい」

    食蜂「……?」

    「貴女、そのような態度ではお友達にも疎まれてしまいますわよ」

    食蜂「友達なんてぇ、必要無いので。私の改竄力でどうとでもなっちゃうんですものぉ」

    「……可哀想な子」

    食蜂「ちょっとムカっときてますねぇ」

    「……ギリッ」

    食蜂「アハぁっ、笑顔は淑女の嗜みですよぉ? 美人が台無し」

    「……わたくしが、貴女を導いてさしあげますわ」

    食蜂「は? ……ロ、ロザリオでも交換するんですか!?」

    「お友達になりましょう」

    食蜂「……」

    「……」

    食蜂「ぷっ……アハハハハぁっ……。純粋なんですねぇ。……クスクス、どうなっても知らないですけどぉ。
        それじゃぁ、ご指導お願いいたしますわぁ。

       


                            お姉様 



    880 = 877 :

    ――――


    学舎の園 ゲート前



    御坂「ごめん! 遅くなった……!」

    上条「寮抜け出して大丈夫なのか? 厳しいんだろ?」

    御坂「まあバレる前に帰れば大丈夫よ」

    上条「あとは操祈の友達が来れば行けるな」

    御坂「えっ、あの人まだ来てないの?」

    上条「ああ。そういや昼間一旦別れる時やっておくことがあるって言ってたな」

    御坂「ふぅん。なんだろ、どうする?」

    上条「結構遅くなっちまってるしな……常盤台生なら自分で入れるだろ」

    御坂「まぁあの人は学舎の園の寮だし大丈夫だと思うけど……」

    上条「じゃあ悪いけど先に行こう。操祈が寝ちまってるかも知れないし」

    御坂「んなもん襟首掴んで引きずり起こしなさいよ」

    上条「おいおい、操祈はかよわい女の子だぞ? そんなこと出来るわけないだろ」

    881 = 877 :


    御坂「あんた何しに行くか分かってんでしょうね……」

    上条「冗談だって。で、どうやって入るの?」

    御坂「ん? そうね、ゲートに警備員は常駐してるし……」

    上条「考えてなかったのかよ」

    御坂「し、仕方ないでしょ! 黒子に夜外に出してもらうのを説得するので精一杯だったんだから!」

    上条「お前なー……はぁ、まぁいいか。それなら適当にどっかの壁昇ろうぜ」

    御坂「無理無理、センサーが反応して一瞬で警備ロボに取り囲まれるわよ。
        街中のお掃除ロボの数より多いんだからね。ゲート以外から外に出ることも出来ないし、
        警備員(アンチスキル)のお世話になりたいの?」

    上条「そっかぁ……どうするかなー」

    御坂「簡単よ」 スタスタ

    上条「お、おい御坂……?」

    警備員「……? あなた、こんな時間に何の用ですか? 常盤台の子ね、寮の先生はご存じなの?」

    御坂「こうするのよ」 ガシッ 


    ビリリッ!

    882 = 877 :


    警備員「」 ドサッ

    御坂「よっと。後は警備員室で寝かせておけば大丈夫でしょ」

    上条「お前無茶苦茶するな……。操祈のこと言えないだろ」

    御坂「ちょっと乱暴なやり方だったけど、これが一番てっとり早いじゃない」

    上条「まあそうだけど……っつかこの方法なら昼間から入れたんじゃないのか?」

    御坂「周りに人がいたら出来ないじゃない」

    上条「そっか……ってお前すごいな」

    御坂「さて、じゃあ行ってらっしゃい」

    上条「え?」

    御坂「ここ無人にしとく訳にはいかないでしょ。あんたみたいに中入ろうとする馬鹿が現れないとも限らないし。
        警備の代わりやっとくから、一人で行ってきなさいよ」

    上条「それでもそうだな。それじゃ悪いけど頼む」

    御坂「はいはい。しっかりね」

    上条「おう!」 ダッ!


    タッタッタッ


    御坂「……」

    御坂「……失敗しちゃえばいいって思ってる自分がムカつくわ」


    883 = 877 :

    ――――

    食蜂の寮



    深夜、誰もいない寮の中、寝室にて食蜂を発見した上条。
    大きなベッドの上に髪を乱して大の字に倒れ込み、天井を見上げていた彼女は、こちらの姿に気づいてもその視線を向けてくることはない。
    だが無論上条はその程度のことで諦めるはずもなかった。


    上条「このでかい家も一人だと何か寂しいな」

    食蜂「……上条さん。私ぃ、帰ってって言ったはずだけど」


    上条の言葉を遮り食蜂が平坦な声でそう返した。
    いつもの媚びるような甘い声でなく、上辺に塗りつけられた虚飾を排した、彼女の本来の声だった。


    上条「帰って、戻ってきただけだ」


    応じる上条。今こうして話しているときも、彼女は心が読めないことをどう思っているのか。
    精神系能力者ではない上条には知る由も無いが、それを理解しなくてはならないのだ。


    食蜂「屁理屈ねぇ。……で? 上条さんはどぉするの?
        今は寮内に誰もいないわぁ。私への復讐? まぁやろうと思えば私をどうにでも出来ちゃう訳だしねぇ」


    くすくすと笑う食蜂。
    胸元を開けたシャツと制服のプリーツスカート、レースによって蜘蛛の巣のような意匠がこらされたオーバーニソックス。
    夏服のベストとオペラグローブはベッドの脇に放り出されているのが視界の端に映って生々しく思えた。

    885 = 877 :


    上条「操祈、お前、怖いのか?」


    上条の問いかけに、食蜂がピクリと反応した。


    食蜂「……怖い?」


    彼女らしからぬ平坦な声。
    普段の天真爛漫で無邪気な仮面はとうに剥がれ落ちていた。


    上条「俺の心が見えなくて、怖いんだろ。だから俺を遠ざけたんだ」

    食蜂「……自意識過剰もその辺にしといたらぁ? 心が読めないのが厄介であることは認めてあげるけどぉ、
        特に貴方に思い入れがある訳じゃないもの」


    ベッドから起き上がる様子も見せない。
    心底興味の無さそうな顔つきで天井を見上げて小馬鹿にするような笑みが浮かんだ。


    上条「……好きだ、操祈」

    食蜂「……!」


    食蜂のパッチリとした瞳が大きく見開かれる。
    彼女はようやく起き上がり、信じられないものを見るような視線で上条を真っ直ぐに見つめた。

    886 :

    何か真面目な展開の時にAA混じっててワロタ

    887 = 877 :


    食蜂「……はぁ? 何言ってるのぉ、貴方は私の話を聞いてたのかしらぁ。
        私はねぇ、上条さんんことなんて何とも思ってないのよぉ。
        勘違いもいい加減にしてね」

    上条「やっとこっち向いてくれたな」

    食蜂「!」


    一瞬だが引きつる口元。
    食蜂は慌てた様子で上条から視線を逸らす。
    その様子で上条は確信した。
    心なんて見えなくても分かる。食蜂は少なくとも、自分のことを何とも思っていないなどと言うことは無い。
    微かに震えた手と、揺らめく瞳がそれを如実に示していた。


    上条「お前が俺を騙してたっていいんだ。お前がどんな酷い奴だっていいんだ。
        お前が俺が何を考えているか分からなくて、不安に思ってるって言うんだったら、
        何度だって言ってやる。
        


        お前が好きなんだよ、操祈!!」




    食蜂「やめてよっ!」


    声を荒げる食蜂。
    両手で頭をかきむしるようにして髪を掴み、奥歯をギチギチと噛み鳴らす。
    彼女の胸中が痛い程伝わってくる。
    しかし上条は構わず続ける。
    彼女の傷痕を穿り返すかのように


    上条「これが最後でいい。だから聞いてくれ。
        俺はお前にちゃんと伝えなくちゃいけないんだ。
        お前が俺の心が見えなくて、それをもし不安に思ってるって言うんだったら、そいつは間違いなんだって」

    888 = 877 :


    食蜂「……」

    上条「俺は心なんて見える便利な力は持ってないから、操祈の言葉を全部信用するしかないけど、
        やっぱりどこかに不安はあったからさ、気持ちは分かるんだ。
        操祈。俺のことが怖いっていうなら、怖くなくなるまでいくらでも本音を言ってやる。
        だから……」

    食蜂「……もういいわぁ」


    話の途中で食蜂が割って入る。
    俯き、ヴェールのような金色の髪で表情が隠されてよく見えない。
    だがその声は昨日病院で泣いていた時の如く、確実に震えていた。


    食蜂「そうねぇ、上条さん……確かに何度か口を滑らせてしまったように、私が貴方に特別な感情を抱いていたのは事実。
        貴方と一緒にいるとドキドキしたし、貴方からの好意は嫌な気分にはならなかった。それは認めてあげてもいいわぁ」


    ベッドの上でへたり込み、俯いたまま言葉を紡ぐ食蜂。
    上条は、彼女が心の奥底に隠した本音を話そうとしてくれていると気付いて耳を傾ける。


    食蜂「でもねぇ、それだけよぉ。貴方の気持ちがどうであるかなんて私には確かめようがない。 
        確かめられなければ、それは真実ではないし、私は私じゃいられないの。
        それにね、上条さん。私は貴方が思っているような子じゃないわよぉ?」


    ようやく顔をあげた食蜂。
    その瞳には涙が浮かんでいた。
    動揺する上条だったが、同時に少し安堵する。
    感情を溢れさせるほどの心の動きが、彼女にはあったのだから。


    食蜂「私はね、たくさんの派閥の子達を傷つけてきたわぁ。
        貴方も見たでしょぉ? あんなことを今日までずっとやってきたのよ。
        そんな私に、貴方はそれでも本当に好きだって言えるの……?」

    889 = 877 :


    膝の上で硬く拳を握り震わせる食蜂。
    自嘲気味に語られた言葉に、だが上条は一切の迷いなく答えを返す。


    上条「……いいよ」


    だが上条は食蜂を否定しない。


    食蜂「え……」


    言葉に詰まる食蜂。


    上条「今日からやめればいい。そしてあいつらに頭を下げて、もう一度やり直せばいいんだよ。
        お前の行動を肯定してやることは出来ないけど、それで俺がお前を嫌いになるなんてことは無いんだ。
        俺が、お前の恋人でいちゃいけない理由にはならねぇ!」


    それが、上条の心からの本音。
    初めは、食蜂が好きだと言ってくれたから、自分も彼女の事が好きになっていったのかもしれない。
    思い返しても、確かに特別に何かをしてもらったという記憶は無く、他愛の無い会話をしていただけだったような気がする。




    食蜂「―――――――ッ」



    けれど
    いつだって彼女は自分の隣で屈託なく微笑み、時折思い出したように誘惑を繰り返す。
    それが例え自分の気を惹くための嘘偽りだったとしても、彼女の挙措の一つ一つに魅かれていったのは事実で。
    自らの心の変化に揺れ惑い悩まされる彼女を愛しく思った。
    掴みどころ無く振る舞っているだけで、食蜂操祈はただの一人の少女でしかない。
    抱き締めた肩はか細く、泣き濡れる瞳は寂しげで、しかし超能力者の矜持のために己を欺こうとするその心の在り方は真っ直ぐだった。


    「自分の心にだけは負けられない」


    行動の全てが間違っていようとも、彼女の今日まで過ごしてきた日々が何一つ褒められたものではなかったとしても、
    その在り方だけは尊敬できる。
    彼女もまた、超能力者という強靭な自我を持つ人間なのだ。
    だから上条は、耐えず晒される他人との心の軋轢に苦しめられてきた彼女を守ってやりたいと思った。
    そして

    890 = 877 :


    食蜂「……」


    黙りこくる食蜂。
    本当はもっと早く気付くべきだった。
    いくら心が読めないからとは言え、彼女自身が上条のところまで出張ってくる必要なんてなかったはずなのだ。
    御坂に対する悪戯の一環なら、適当な女生徒を操って任せておけばよかったのだ。
    にも関わらず、彼女は上条の傍にいた。


    上条「俺も一緒に謝ってやる。代わりにだって殴られてやる。
        お前が誰にも許してもらえなくたって、俺がお前をずっと守ってやる。
        聞きたくもねぇ他人の声を聞かずにいられねぇって言うんなら、この右手でずっとお前の頭を撫でていてやるよ!」


    彼女は本当は望んでいたのではないか。
    心の見えない相手、己が道理の通らぬ相手との対話を。


    食蜂「……何よ……私のこと、何も知らないくせに……分かったようなこと」


    たじろぐ食蜂。
    上条は応じる。言葉を続ける。
    彼女に伝えるべきことは全て伝える。
    彼女が吐き出したいことは全て受け止める。


    上条「だから、もう自分の心に嘘を吐くのは止めろ!
        怖いんだったら! 怖いって言っていいんだ!
        不安なら、不安って言えよ操祈! 心なんて読めなくたって、改竄なんて出来なくたって、
        お前一人の心くらい俺が守ってやる!!」

    食蜂「何なの……心なんて見えないくせに……私のことなんて、何一つ知らないくせに……」


    それこそが、上条がこの場所に戻って来たことの意味。
    高尚な議論をするつもりは毛頭無い。
    好きだから、傍にいたい。
    彼女に齎された心の動きは、恐れるべきものでは無いということを教えてやらなくてはならない。





    食蜂「何なのよぉ貴方はぁっ……!!」



    891 = 877 :


    上条「……操祈!」


    食蜂「知った風な口を聞かないでっ!!!」


    声を荒げる。立ち上がり、上条のシャツの胸ぐらを掴んで、星屑が煌めく瞳で真っ直ぐに睨みつける。
    涙によって揺らめくそれはまるで水面に映る夜空のようで。
    その美しさと曇りの無さに、彼女のねじ曲がってしまった心根の純粋さを知った。


    食蜂「駄目……駄目駄目駄目……! 私を見ないで……見透かさないで……!
        見えない……見えないの……貴方は何を考えてるの。
        あれだけ酷いことされて、どうして私にそんな優しい言葉がかけられるのぉ!?
        そんなの信用できないわぁ……そんなの見たことないもの……!
        心の中は、私への憎しみでいっぱいなんでしょぉ!
        嫉妬と羨望を胸の中に隠して私に近づいてきたあの子達のようにっ!!
        お友達のような顔をして一度だって私を信用しなかったあの子達のようにぃっ!!」


    片手で上条を掴んだまま、食蜂は髪を掻き毟る。
    白い肌に浮かぶ玉の汗と焦りの表情は、彼女の胸中がざわめいていることの何よりの証。


    上条「……」


    余裕の笑みなど無く、煙に巻くような軽口も無く、そこに在るのは一人の少女の動揺。
    全てを吐き出せばいい。
    誰もが彼女に他人を信ずることを許さなかった。
    許されなかった彼女は歪に歪むより他無かった。
    その性根を叩き治してやろうなどとは思わない。
    彼女自身が己の変革を望むまで、ただ傍で助けになってやりたい。
    だから


    食蜂「貴方の何を信用しろと言うの……! 何が貴方の心を証明してくれるのよぉ!?
        私は自分が怖いのよぉ! 貴方なんかに惹かれていくのが手に取るように分かるの!
        貴方はいつだって優しくて、私のことを好きだって言ってくれて……!
        私だって貴方と同じだもの! 心が見えないから、貴方の言葉に惑わされる!
        貴方なんてただの玩具のはずなのに、愉快に踊る馬鹿な男の子だったはずなのに、
        制御しきれない自分の心が、私は許せないのよぉ……!
        上条さん、教えてよぉ! じゃあどうすれば私は貴方を信用できるのぉ!?
        どうすれば私は貴方の心を―――」


    堰を切ったようにまくしたて、荒ぶる心を吐き散らし、混乱と動揺と、そして耐えがたい恐怖の中に在る彼女の腕を取って




    上条「分かった……教えてやるよ」



    強く引き寄せた。


    893 = 877 :


    食蜂「……なっ!」

    上条「可哀想な奴だな、お前は。心なんてもんが見えるから、見なくていいもんまで知ってさ、 
        そんな風に思っちまうんだ」

    食蜂「は……離してよぉ……」


    きつく握りしめる手を決して離さない。
    吐息のかかるほどの距離で、星屑が揺れる瞳を、真っ直ぐに見つめる。


    上条「お前が何人の心の中を覗いて他人を信用できなくなったのか分からねぇ。
        でもなぁ、人間の心ん中なんて、そんな一括りに出来る程単純なもんじゃねぇってことは、
        お前が一番よく分かってんだろうが!」

    食蜂「っ!」


    そう。
    それは他ならぬ彼女自身が体感してきたこと。
    一つの想いでしか構成されない心なんて、在りはしない。
    揺れ動き、絶えず変化を遂げていく。
    その全てを『掌握』するなんてことは出来なくて。
    それを彼女は痛い程理解してきた。
    やがて目を大きく見開いて、動きを止めた食蜂を抱きしめる。

    894 = 877 :


    上条「お前が今本音を話してくれたことの中に、答えはあったじゃねぇか。
        心なんて、変わっていくもんだろ。
        お前は変えようとしたのかよ! 誰も信用できないって思ってる奴が、人から信頼されるはずねぇんだよ!
        操祈……お前がまだ俺のことが信用できないって言うなら、
        いいぜ……―――」


    考えれば考える程深みにハマる、『掌握された心の檻』から今、『食蜂操祈』を解放する。


    食蜂「上条さ……」


    名前を呼ぶ彼女の声は、世界に放たれない。
    何故ならば




    上条「まずは……――――――



                ――――――そのふざけた幻想をブチ殺すッッッ!!!」




    月明かりの差し込む仄暗い部屋。
    二つの影は重なる。
    言葉で語るより、余程心の動きを確かめられる方法がそこにはあったから。


    895 :

    上条Δ

    897 :

    えんだあああああああああああ

    898 = 877 :

    ――――


    食蜂「―――――……っ……」


    泊まっていた思考は今動き出す。
    上条によって突如抱き締められ、口づけられた。
    まるで昨夜の続きの始まりに、食蜂は呆けたように口を開け放ちパチパチと瞬きを繰り返す。
    同じ目線の高さに少し恥ずかしげな彼の顔があった。


    食蜂「……ぁ、あっ……!」


    素早く鼓動を刻む心臓は胸を突き破って出て来そうだ。
    身体はひどく熱を帯びていて、溶けてしまいそうだ。。
    いつも自分が彼にしていたことはもっと恥ずかしいことのはずなのに、
    はにかむ彼から捧げられた下手くそな口付けは、今までのどれよりも食蜂の拍動に加速をつけた。


    上条「……好きだ、操祈」


    何度も告げられる愛の言葉。
    理解不能の感情。
    何も考えられない。
    脳が痺れるような感覚と、ふわふわとした浮遊感。
    そして、当然のように震える胸の内。


    食蜂「ぁ…………」


    食蜂はもはや受け入れるより他なかった。
    抱き締められた腕によって、心の動きを制御することなど不可能で。
    だから今自分は


    食蜂「…………お馬鹿さぁん」


    『ただの女の子』に成り果てた自分は、赤くなった顔を月明かりに晒さぬよう、俯き悪態をついた。

    899 :

    そげぶきたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


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