元スレ上条「恋人って具体的に何すんだ?」 五和「さ、さぁ...」
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もう一度こちらを振り返り、御坂は少女と共にいずこかへと姿を消した。
二人残された河川敷。
再び静寂が訪れる。
秋の夜風は冷たいはずなのに、五和の体は火照り、暑くて仕方がなかった。
「五和。これからよろしくな」
膝から崩れていた五和に手を差し伸べる上条。
五和はその手を取って立ち上がった。
「あの……本当に、私でいいんですよね……?」
「何言ってんだよ。当たり前だろ」
「で、でも私は上条さんに嘘を……!」
「それはもう良いって」
苦笑して、上条は五和の頭を撫でる。
いっぱい色々なことを話したいのに、混乱して何を話せばいいのかが分からない。
「で、では私っ! がんばりますからっ! 上条さんのために、いっぱいいっぱい色んな事しますからっ!」
「いいんだよ、五和。そんなにがんばらなくたって」
「え……でも」
「俺と五和は恋人同士なんだからさ。そのままの五和でいいんだよ」
その言葉に、五和は彼から目を離すことが出来なくなった。
恋人同士。
いつから毎夜思い描いていた関係。今自分はその関係になれたんだ。
五和は胸元に手を当て、微笑む。彼のくれた言葉を、大事に大事に抱えるように。
「ところで五和。上条さん初彼女なので…こういうときってさ。恋人って具体的に何すんだ?」
困ったように彼が問いかけてくる。
「さ、さぁ…」
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恋人というものに漠然としたイメージを抱いてはいたものの、実際今まで恋人がいたことのない五和は
いざ今から恋人関係スタートと言われても何をすればいいか分からない。
それはきっと彼もそうなのだろう。
二人して頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。
「ぷっ……くくく!」
「ふ……ふふふふ」
見つめあい、妙な沈黙に二人ほぼ同時に吹き出した。
「「くっ!あはははははははは!」」
そして二人でお腹を抱えて笑う。
あんなに彼と恋人になりたかったのに、次の瞬間何をすればいいかが思いつかない。
それがたまらなく可笑しかった。
だが、それもいいなと五和は思う。
こうして二人で笑顔を向けあうことができただけで、今は充分だ。
これから先、いつまでも彼と恋人でいられるのだから。
「あ、上条さん」
そのとき、五和は一つだけ彼にどうしてもしたいことを思いついてしまった。
恋人であることを具体的に証明する上で、もっとも手っ取り早く、そしてもっとも基本的なその方法。
「ん?……え?」
上条の顔に、自らの顔を近づける。
「恋人なんだから……いいですよね」
瞳を閉じて、唇を彼のそれに重ねる。
五和はようやく、己が彼の恋人であることを理解したのだった。
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―――――
三十分後、上条は河川敷で五和に濃厚なキスを迫られそれをたっぷりと堪能した後、
自分の学生寮に戻ってきた。
手を繋ぎ、幸せそうな表情で五和が隣を歩いている。
天草式の連中には既に連絡を入れておいた。
聞けば、インデックスは神裂がわざわざ学生寮まで送っていってくれたようなので、今頃部屋にいるはずだ。
「なんかすげぇ一日だった……」
「そうですね。あの子にも謝らないと……」
エレベータを降りた上条は廊下を五和と寄り添い歩く。
部屋の前まで辿り着くと、何やら室内が騒がしいようだ。
ドアノブと握ると鍵も開いている。
上条は五和と顔を見合わせ、部屋の中に入った。
「で、ですから……あなたが何も出て行くことはないと……!」
「いいんだよかおり。そうしたほうがいいんだから」
リビングでは、インデックスと神裂が揉めているようだった。
慌てて傍に駆け寄る上条。
「どうしたんだ、神裂?」
「ああ、二人ともお帰りなさい……。それがこの子が出て行くと言い出して……」
「はぁ? 何言ってんだ?」
インデックスはスフィンクスを胸に抱いてベッドの上に座っていた。
傍らには下着や日用品を詰め込んであるらしいスーパーのビニール袋が置いてあった。
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「そのまんまの意味なんだよ。
いつわとせっかく付き合うことができたのに、私がいると邪魔になるから出て行くんだよ」
「インデックスお前な。出て行ってどこ行くんだよ……」
呆れてため息をつく。
猫とスーパーの袋を抱えて家出とは。
もはや微笑ましくすらある家出スタイルだが、インデックスの顔は真剣そのもの。
いや、どちらかと言えば拗ねているように見えた。
「こもえやあいさにしばらく泊めてもらうもん……」
頬を膨らませて顔を逸らすインデックス。
どう説得しようかと上条が迷っていると、隣に五和が立って膝を曲げ、インデックスに語りかけた。
「そんな悲しいこと言わないでください。上条さんにはあなたが必要です。
私は学園都市に住むということは出来ないですし、彼の傍にいてあげてくれませんか?」
諭すような笑顔でそう告げる。
ぷいっと横を向いていた彼女はチラリと五和に視線を返した。
「……だって、私がいると二人はいちゃいちゃできないんだよ」
「イ、インデックスっ! お前らしくない気遣いするんじゃねえ!」
「私らしくないとはご挨拶かも! 私だって女の子なんだから、いつわの気持ちだって分かるんだよ!」
上条は恥ずかしくなって顔を赤くしてインデックスに詰め寄る。
慌てて二人の間に割って入る神裂。
「お、落ち着きなさい。あなたはここにいることが嫌になったというわけじゃないのでしょう?」
「……嫌じゃないけど……」
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インデックスが言いにくそうにぼやいた。
五和はくすりと笑みをこぼす。
「だったら、ここに居て良いんですよ。私に気兼ねなんかするほうがおかしいです。
せっかくお掃除もお洗濯も出来るようになったんですから、彼を支えてあげてください」
「私が……とうまを?」
インデックスの表情に少しの変化があった。
五和を見上げてパチパチと瞬きをする。
「はい。あなたが、上条さんをです。ね、上条さん?」
微笑む五和がウィンクをしてこちらに話を振る。
今まで黙って聞いていた上条は、彼女の言葉にコクコクと頷いた。
「そうだぞインデックス。お前が居てくれないと俺は寂しくて死んじまうってもんだ。
お前はうちの居候って決まってんだから、堂々と居候してりゃいいんだよ」
「と、とうま……ほんとに? ほんとにいいの?」
恐る恐る尋ねてくるインデックス。
上条は笑顔を浮かべてもう一度大きく頷き、彼女の頭を撫でてやった。
「当たり前だろ。今更何言ってんだかな。
だいたい何が私がいると二人はいちゃいちゃ出来ないだよ。いちゃいちゃの意味分かってんのか?
ははっ、まあインデックスはまだまだお子様だからな、気遣いはありがたいけど説得力はないなー。
まあ上条さんくらい大人になればそんなインデックスの余計な気遣いも微笑ましく……」
「……」
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「上条さん上条さん、そ、そのくらいで……」
「え、何が……お、おいインデックス。何で獲物を狙うライオンのような姿勢になってらっしゃるんですか……?」
五和にぽんぽんと肩を叩かれインデックスを見ると、彼女は牙をむいて前傾姿勢になり、今にも飛び掛ってこんばかりの
ギラついた殺気をこちらに向けて放っていた。
「ま、待てインデックス! 落ち着け! か、神裂、インデックスを止めてくれ!」
「申し訳ありませんが、私はこの子の側に付きます。今のはどう考えてもあなたが悪いですし」
「なにぃ! じゃあ五和!」
「えっと……その……」
「まさかの裏切り! イ、インデックス! やめろっ!」
「問答無用なんだよっ!」
「ギャァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアッッッ!!不幸だぁぁぁ―――――ッ!!!」
上条が最後に見たのは、大きく口を開けたインデックスが軽やかに宙を舞い喉笛を噛み千切ろうと
突進してくる姿だった。
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流石は上条さんだ、期待を裏切らない!
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―――――
30分後、上条が意識を取り戻したため、神裂は今日のところは退散することにした。
これから五和達は汗や泥で体が汚れてしまったので皆で入浴施設に向うらしい。
神裂もどうかと誘われたが、遊びに来たわけではないし、3人の仲直りも兼ねたイベントでもあるので
今回は辞退した。
「それでは、私は天草式の隠れ家の方に泊めてもらいますので、ここで。
五和、また明日空港で会いましょう」
「はい女教皇様(プリエステス)。今回は色々とご迷惑をおかけして……」
寮の前、道が逆方向ということで3人とはここで別れることとなった。
五和も含めた天草式は、明日にはロンドンに帰国することになっている。
学園都市内に魔術師の集団が長期間滞在するのはよろしくないし、一先ずの目的を彼女は果たしたためだ。
申し訳なさそうに謝ってくる五和を慌てて神裂は制する。
自分だって野次馬に来たようなものなので、人のことを責めることなどできない。
「確かに神裂には迷惑かけたよな、ごめんな」
「気にしないでください。それより五和、実はあなたに渡すものがあるのです」
「え?」
背負ったズタ袋の中から、神裂は厳重に布やお札で覆われ封をされた紙の箱を取り出した。
大きさは30センチ四方程度。
五和はそれを受け取ると、意外と軽かったことに首を傾げてこちらを見上げた。
「これは何ですか? 随分と厳重な封印が……ま、まさか何か重要な霊装が!?」
ギクリと神裂は肩を跳ね上げた。
五和と上条が二人で帰ってきたとき、神裂はすぐに一つのことを思いついていた。
苦い思い出の有る『例のアイテム』。平たく言うと堕天使エロメイド。
これを餞別と祝いの品ということで彼女に押し付けようという作戦だった。
もう自分には必要の無いものだし、はっきり言って身の回りに置いておきたくない。
部屋に帰ればまだ堕天使メイドもあるが、一先ずはこいつの処分が先だ。
私にそんな貴重なものをと感動している五和の様子に、チクチク胸が痛む神裂。
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「ま、まあそんなところです。来るべき時が来たら開けるとよいでしょう……」
「ありがとうございます! これでまた敵が攻めてきても戦えますっ!」
「い、いえ戦いに使うものではないのですよ……」
「え? ではこれは一体……。ということは何か補助的な効果のあるアイテムなんですねっ!?
すごい……どんな効果があるんでしょう……」
無駄に期待を膨らませてくれている五和に、神裂は一刻も早くここから立ち去りたかった。
「かおり、これ本当に何かの霊装なの? なんだか魔術的な気配が全ぜ……むぐっ!もがもが!」
「あ、あははは。魔術的な気配を絶つ特殊な封印を施しているだけです!
そうと言ったらそうなんです!」
インデックスが怪訝そうな眼差しで、余計なことを言ってくれそうだったので慌ててその口を塞いだ。
神裂は愛想笑いを五和に向ける。
「は、はぁ。でも本当に何に使うものなんですか?」
「そ、それはですね……」
正直それは自分が聞きたいくらいだ。
着て終わりだと言えばそれまでだが、それは使い道というか、服なのだから当然なわけで。
不思議そうな五和に何か言わねばと、神裂は咄嗟に土御門が言っていた言葉を思い出す。
「挟んで擦るために使うものです」
「なっ!」
「にっ!」
「?」
三者三様の反応を見せる。
何のことかはよく分からないが、確かに彼はそう言っていた。
慌てふためいている二人の様子を見るに、どうやら意味が伝わっているらしい
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「では私はこれで! 夜も遅いので気をつけて! それでは!」
「お、おう、じゃあな神裂」
「またねかおりー」
「挟んで……擦るって何をですか女教皇様ぅぅぅううう!!」
ダッと、聖人の脚力をフルに発揮してその場を立ち去る神裂。
しばらく走ったところで、神裂は口元が緩むのをどうしても止められなかった。
(くっ! くくくっ! とうとうやりました! とうとうアレを捨て去ることができました!
それだけでも学園都市に来た甲斐があったというものっ!)
闇夜を駆け抜け、神裂は意気揚々と天草式の部屋の前まで一瞬にして辿り着いた。
緩みきった表情のままドアを開け、中に入ると、そこでは不敵な笑みを称えた建宮が立っていた。
「おかえりなさいませなのよ、女教皇様」
「ええ、これにて一件落着と言ったところでしょう。
汗をかいてしまったのでシャワーを浴びてもよろしいですか?」
「ちょっとお待ちを、女教皇様。その前に渡すものがありますのよ」
嫌な予感がした。
うやうやしく牛深が先ほど五和に渡した箱と同じくらいの大きさの紙箱を建宮に手渡した。
頬を汗が一筋流れる。
「いけませんよな、女教皇様。大事な嫁入り衣装を五和にあげてしまうなんて。
ですが、女教皇様の優しさはきっと五和に伝わりましたのよな。
というわけで我々が天草式を代表して、女教皇様に新たな衣装をプレゼントいたしますのよ!」
「いりませんっ!」
513 = 435 :
おい女教皇wwwwww
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中身を見ていないが絶対ロクなものじゃない。
神裂は間髪いれずにそう叫んだ。
「ご心配には及びませんのよ。もう堕天使シリーズみたいなものは女教皇様のお気に召さないと
我々も判断し、ちゃんと純国産の上質な着物を用意させて頂きましたのよな」
「……む、それは本当ですか?」
そういうことなら話は別だ。
彼らが自分のためを思って用意してくれたのなら受け取らなければ悪い。
神裂は少しだけ期待を胸に、建宮が箱を開けるのを見守っていた。
やがて取り出されたそれを見て、神裂の顔が固まる。
「じゃーん! 此度の新作、その名も雪女ロリメイド!
本場秋葉原で職人が一着一着手作業で織った和風メイドシリーズですのよな。
今までの堕天使シリーズとは一線を隠す上質な生地と美しい縫製が魅力の
ミニスカ雪ん娘メイドなのよ!」
期待のこもった視線を向けてくる男連中と、首を振って何も言えない様子の対馬。
ぴらーんと建宮によって広げられた極端に丈の短い浴衣を基調とした怪しいデザインのメイド服を見て、
神裂の中で何かがキレた。
「余計なことすんなこのド素人がぁぁぁぁぁあああああああッッッ!!!!」
狭い室内で唯閃を放つ神裂。
だが天草式男衆はその絶妙なコンビネーションで衣装を守りきり、
見事神裂の衣装箪笥に新たな一着が眠ることになったのだった。
515 = 435 :
>雪女ロリメイド!
なんという神々しい衣装だ!
516 = 169 :
―――――
五和は上条らと共にサイドカー付きのレンタバイクをかっ飛ばし、先日も来た二十二学区にある入浴施設へとやってきていた。
インデックスと共に女湯へ入り、体を洗って湯船へ浸かろうと片足を着けたときのこと。
目の前に、何故か御坂美琴がいた。
「……えと……こんばんは」
「……ん」
気まずい空気を流しながら体をお湯に沈める。
すぐに同じく体を洗い終えたインデックスが隣にやってきた。
「あれ、短髪がいるんだよ。何してるの?」
「何って見りゃ分かんでしょうが。お風呂入りに来たのよ」
実は彼女、湯上がりゲコ太ストラップを手に入れるため、スタンプを求めて毎日のようにここに通っていた。
あと2ポイントでいよいよストラップをゲットできるということもあり、御坂はうきうきとした気分でお風呂を
楽しんでいたのだが、突然恋のライバルであった五和が現れ困惑しているようだった。
「……あの、ありがとうございます」
「……何が?」
広いお風呂でうとうとしているインデックスを横目に、五和は無言の空気を打ち払うように御坂に声をかけた。
突然のお礼に、御坂がコテンと首を傾げる。
「御坂さんのおかげで……私、彼に気持ちを伝えることができましたから……」
「……私の傷口に塩塗ろうってこと? ったく、大人しそうな顔してえげつないわねー」
「ち、違いますっ! 御坂さんが必死に彼に想いを伝えようとしているのを見て、
私もそうしなきゃって思ったんです。
だから私が最後の最後で勇気を出せたのは、御坂さんのおかげなんですよ……」
517 :
なぜ受け取ったwwwwww
518 :
男衆聖人相手にすっげえなwww
それほどまでにゲテモノメイド服の毒は強いのかwww
519 = 169 :
御坂の瞳を真っ直ぐに見つめて五和。
何を言っても嫌味に聞こえてしまうだろうか?
不安げに俯いた五和に、御坂は突如片手でお湯をぶっ掛けてきた。
「ぶへっ! な、何するんですかー」
「……私があんたに勇気をあげたとか、そんなことどうでもいいのよ。
あんたがあいつのことを好きだったって気持ちは、元からあんたの中にあったもんなんだから」
「御坂さん……」
御坂はこちらに笑顔を向けていた。
「ったく、あんたはこの美琴さんから男を勝ち取ったんだから、もっと堂々としてくれないと私が困るっつの」
「……わ、わかりました! がんばります!」
両手を握り、思い切り胸を張ってみる五和。
すると、御坂は再びお湯をぶっ掛けてきた。
「うひゃっ! な、なんでですか!」
「そのでかい胸がなんか腹立って」
「こ、これは私の所為じゃないです!」
「ごめんごめんついつい正直な気持ちが出ちゃったわ。
……あ、ところでさ、五和さん……だっけ?」
「あ、はい。なんでしょう?」
けらけらと悪気無く笑う御坂が、言葉を切って何事かを言おうとしている。
少し気恥ずかしそうに、そしてどこか期待のこもった眼差しで彼女は言った。
「湯上りゲコ太キャンペーンのスタンプって集めてる……?」
520 = 435 :
美琴がブれないwwww
521 = 169 :
―――――
「おー、風呂上りは夜風が心地いいな」
五和はお風呂から上がり、帰り道に再びバイクを走らせていた。
御坂に入浴施設のキャンペーンスタンプをあげた後、彼女はご機嫌でストラップをもらって帰っていった。
興味なさげだったインデックスも御坂にあげていたので、彼女はどうやら二つ目を手に入れようと
計画していたようだ。
二十二学区を出て、今は車通りの少ない真っ直ぐな道を思い切りかっ飛ばしている。
スピードに慣れたらしい上条も、五和の腰に手を回して機嫌よさそうに声をかけてきた。
「そうですね。でもやっぱりちょっと寒いですから、早く帰らないと湯冷めしちゃいます」
サイドカーでインデックスは眠りこけている。
今日は朝から出かけていたので疲れたのだろう。
横目で無防備な寝顔をチラリと覗き見て五和はクスリと笑みを零した。
今日の朝まで、まさか後ろに乗っている彼と恋人関係になれるなんて想像もしていなかった。
彼が自分を選んでくれた。
自分のことを好きだって言ってくれた。
思い出すとまた顔が熱くなってくる。
同時に、腰に回された腕と、背中に密着する彼の体温を強く意識してしまう。
「五和、もう明日には帰っちまうんだよな……」
風の中に消えていくような声で、上条が低いトーンでそう言った。
彼も寂しく思ってくれているのだろうと思うと、嬉しい反面、別れが名残惜しくなる。
「ええ……今回は特例で入れたようなものですし……もともとあまり長居はできなかったんです」
自分たちは住む場所があまりに違いすぎて、普通のカップルのように会いたいときに会えるような関係ではない。
もっとも、それは覚悟の上でここに来たし、彼と付き合うということはそういうことなのだと始めから分かっていた。
分かっていたが、やはり寂しさは拭いきれない。
523 = 169 :
「……ま、仕方ないな。また近いうちに来いよ」
「もちろんです! どんな手段を使ってでも会いに来ちゃいますからね!」
「危険なことは無しだぞ。俺もバイトでもしてロンドンまで会いに行くよ」
嬉しい言葉だった。
会って何をしよう。次は何を話そう。
五和は、彼と会える日までの時間もまた、そうしたことを考えることで楽しみを見出せそうだなと思った。
まだまだ彼の言葉を聞いていたい。
彼にもっともっと抱きしめてもらいたい。
名残惜しむ気持ちを無視して、学生寮は間も無く見えてくる。
「上条さん。もう一回だけ、好きだって言ってくれませんか?」
彼との数少ない二人きりの時間。
それは儚く消える夢のように短い。
だから五和は、彼に望んだ。
ただ一言を。
わずかな時間に、全てを感じられる彼の言葉を。
背中で上条の笑い声が聞こえる。
そしてそれは、五和の耳へと確かに届けられた。
「好きだぞ、五和」
「はい、私も大好きです!」
轟々と流れていく空気の音が聴こえる。
だから優しく包み込むような彼の一言は、その音の中で五和だけのものとなった。
525 = 169 :
これで本作は終了となります。
ぬう。はっきり言って今回は我ながら失敗した感が拭えないな……。
単調な展開と、五和のキャラを確実に掴みきれなかったせいでグダグダ感が否めない。
詰めが甘すぎて構成的にもかなりイマイチでしたね。
一度そう思いだすと文章もノッてこないし、中途半端なものが出来上がってしまった印象です。
まだまだ愛が足りないのと、己の力不足を思い知らされました。
ねーちんは書いてて滅茶苦茶楽しかったですけどw
次はもっと頑張ります!
読んでいただいた皆さんには申し訳ないと思いつつ、ここまで読んでくださって
本当にありがとうございました。
よろしければ感想などお聞かせ頂ければと思います。
次は前作の続きか電磁崩しを書いてみようかと思ってます。
ただ地の文書くのに少し疲れたところもあるので、セリフ形式のものを練習してみたいとも思いますが。
ところで、このスレどうしたらいいですか?
html依頼を出すのか、それとも誰かが書いてくれるまでしばらく置いておくのか。
自分は一先ずここでSS書くのは最後になります。
それではまたどこかで。
526 = 517 :
>>525
俺はすごく良かったと思う乙
527 = 435 :
>>525
楽しかった
五和スレで一番好きな作品になったよ。
本当にありがとう!!
スレは残しておいていいと思う。
528 = 509 :
お疲れ様ー!
これで単調な展開なのなww充分面白かったよ
電磁崩し楽しみにしてる
スレ自体はもう少し置いておいてもいいかも?まぁ最終的にはこれからくるだろう
意見の多数決取ればいいかとおもいますー
529 :
乙
終わってしまうのが残念でしょうがない。
次のを楽しみに待ってるよ。
530 = 463 :
これが中途半端てw
ストイックすぎるだろw
確かにグダってるというか、苦労してるなという印象受けたところはあるけど、最後綺麗にまとめる構成力はやっぱりすげえよ。
超乙!
531 :
麦恋期待
533 = 495 :
書いた人がそう言うんならそうなのかもしれないけど、俺はアンタの書いた文章大好きだよww
脳内でキャラが違和感無く動いてくれるからねwwww
スレはほっとけばまた書き手が来るかもしれないし、放置でいいんじゃね?
乙でした
534 = 517 :
この後書くって相当勇気いると思うけどな
535 :
一人の女の子の恋物語としてすっげえ楽しかったよー。
ちょっと匂いフェチ過ぎねえかとは思ったけどもww
一つの作品としてスレががっちり固まってるんでhtml化したほうがいいんじゃないかなと思う。
536 :
超GJ!せっかくだから番外編で閃光少女マジカルムギノンを是非お願いしたいです。
537 :
乙様!
これで失敗とか…
SSの真似事を少し書いてる身の自分としては血を吐くしかない素晴らしい物でした
538 :
>>525
乙
ねーちんすごいかわいかったわ
麦恋も楽しみに待ってるから、気負いすぎず頑張ってほしい
539 = 466 :
乙
もっといちゃいちゃが見たいわ!
後日談とか…書かない?
540 :
せっかくキレイに終わったのに後日談とか無粋すぎr
541 :
御坂と五和のダブル告白で上条さんマジ[ピーーー]って思ったけどインデックスよくやってくれた
542 :
ケーキでもなんでも「もっと欲しい!」ってうちにやめとくのがいいと思うんだ
543 :
ケーキ食ったら紅茶(>>536)飲みたくなったりな
544 = 463 :
っつか今気付いたら次は電磁崩し来るかもだと…!?
いやしかし麦恋も見たい…。
もうなんでもいいやw
お前さんが書いたもんが見たいのよ。
545 = 540 :
だから麦恋の続編が電磁崩しなんだろ
546 = 169 :
まさかこのスレにこんなに人がいたとは。
みなさんありがとうございます。
スレはしばらく置いておくという意見が多いようなので、一先ずしばらくはこのスレ置いておくということで。
五和SSかなり少ないので誰かほんとお願いしますw
せっかくなので最後くらいいくつかレス返しでも。いつも愛想なくて申し訳ない。
>535
匂いに興奮する女の子って可愛いと思いません?w
五和ってなんとなくそこはかとないムッツリ臭がするので匂い嗅がせてみました
>536
手乗りサイズのマスコット的存在、ちょっと無口で毒舌妖精リコりん(滝壺)が悪の軍団KIHARAから
妖精の国を守るためにごく普通の短気な少女麦野沈利に変身アイテムである
白い粉(体晶)を渡して全裸変身シーンの挙句「あなたの未来はブチコロシかくていね!」キリッ
と宣言するところまで妄想した。
でもむぎのんの魔女っ娘姿は想像すると結構キツいのでやめておきますw
あとは任せます。
>539
後日談やデート編的なものは今回はやめておきます。
前作の時はスレの残りがに程よい量だったので書かせて頂きましたが。
ここで後日談を投下すると微妙にスレが残ってしまい、他に書いてくださる方が
投下できる充分なレス数が残らないのかもしれないので、期待してくださったのに申し訳ないです。
>539氏がいちゃいちゃ甘甘の上五SSを投下してくださることを期待してますw
もちろん後日談としてそのまま続けてもらっても構いませんのでw
>545
いえ、続編はフレンダ編ですごめんなさいw
547 :
なんだよ、マジカルムギノン見たくなってきたじゃねぇかw
548 :
ん?電磁崩しってのは麦恋の続編ではないの?
麦恋で美琴×アイテムの流れがあったからそうなのかと思った
550 :
フレンダ編だと…!?
待ち遠しくてまじサバ缶だよ!このシャケ弁め!!
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