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元スレココア「シャロちゃん。10万円あげるから指の骨へし折らせて?」
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ココア「……」
しばしの間、恨めしげにチノを睨み付けていたココアだったが、
その大きな瞳から涙をいつくか零すと立ち上がり、
ドアからけたたましい音を立てさせて、部屋を出て行ってしまった。
チノ「あ……っ、ココアさん……」
たまらず立ち上がり、追いかけようとしたチノだったが、
横にいるシャロと、ドアを交互に見比べて、
やや迷ったのちに、すとんと椅子に腰を降ろした。
しばしの間、恨めしげにチノを睨み付けていたココアだったが、
その大きな瞳から涙をいつくか零すと立ち上がり、
ドアからけたたましい音を立てさせて、部屋を出て行ってしまった。
チノ「あ……っ、ココアさん……」
たまらず立ち上がり、追いかけようとしたチノだったが、
横にいるシャロと、ドアを交互に見比べて、
やや迷ったのちに、すとんと椅子に腰を降ろした。
シャロ「……」
疲れ切った顔で自室へと戻ると、
シャロは安物のベッドに身を投げた。
いつものように「ぎい」と軋む音に、少しだけ心が安堵する。
もう口を開くのも億劫で、
ここ数日、まともにしゃべっていないような気がした。
シャロ「……」
世話を始めた頃は、チノとココア、
二人の仲を取り持とうとしていたシャロだったが、
自分が口を開くと状況が悪化するので、
最近はなるべく沈黙を守ることにしていたのだった。
疲れ切った顔で自室へと戻ると、
シャロは安物のベッドに身を投げた。
いつものように「ぎい」と軋む音に、少しだけ心が安堵する。
もう口を開くのも億劫で、
ここ数日、まともにしゃべっていないような気がした。
シャロ「……」
世話を始めた頃は、チノとココア、
二人の仲を取り持とうとしていたシャロだったが、
自分が口を開くと状況が悪化するので、
最近はなるべく沈黙を守ることにしていたのだった。
チノが自身の指を折れと迫ってきたとき、
最初、シャロは当然断った。
しかし。チノの剣幕と、誤解を広められたくないという気持ちに負け、
結局言いなりになることを選んだ。
思えばそれが間違いだったのだと、シャロは今にして思う。
シャロ「はぁ……」
狭い部屋を、ため息が支配していた。
最初、シャロは当然断った。
しかし。チノの剣幕と、誤解を広められたくないという気持ちに負け、
結局言いなりになることを選んだ。
思えばそれが間違いだったのだと、シャロは今にして思う。
シャロ「はぁ……」
狭い部屋を、ため息が支配していた。
シャロ「ココア!? 何してるの!?」
翌日。ラビットハウスのドアを開けたシャロは、
異様な光景を視界に捉え、叫んだ。
久々に大きな声を出したため、
シャロは喉の奥に震えと痛みを覚えたが、それを振り切り、
今しがた開けたドアからラビットハウスの中へと飛び込む。
部屋の中心部には、血の赤に染まったココアが地べたに座り込んでいた。
ココア「ぁ……。シャロ……ちゃん」
シャロの姿を認め、ココアは弱々しい微笑みを浮かべた。
そして、大きく体を震わせながら、右腕を顔の横に掲げる。
ココア「ぇへへ……。私の右手……、無くなっちゃったよぉ……」
シャロ「ココア……!? いったい、何したのよ……!」
ココアの手首からは真っ赤な鮮血が滴り落ち、
白い骨と、きれいなピンク色の肉をその隙間から覗かせていた。
翌日。ラビットハウスのドアを開けたシャロは、
異様な光景を視界に捉え、叫んだ。
久々に大きな声を出したため、
シャロは喉の奥に震えと痛みを覚えたが、それを振り切り、
今しがた開けたドアからラビットハウスの中へと飛び込む。
部屋の中心部には、血の赤に染まったココアが地べたに座り込んでいた。
ココア「ぁ……。シャロ……ちゃん」
シャロの姿を認め、ココアは弱々しい微笑みを浮かべた。
そして、大きく体を震わせながら、右腕を顔の横に掲げる。
ココア「ぇへへ……。私の右手……、無くなっちゃったよぉ……」
シャロ「ココア……!? いったい、何したのよ……!」
ココアの手首からは真っ赤な鮮血が滴り落ち、
白い骨と、きれいなピンク色の肉をその隙間から覗かせていた。
ごちうさって萌え豚アニメかと思ってたけどこういう作品だったのか
シャロ「……」
ココアが、ギプスをとったばかりの手はまだ痛むというので、
シャロはココアの左の手首を握っていた。
数週間振りの、病院からの帰り道。
楽しげに笑う声。
ココア「全治”死ぬまで”、だねぇ!
入院の最初の方は、シャロちゃんに会えなくて寂しかったけど……」
手首から先の無い右手を、大きく振りながらココアは歩く。
包帯の巻かれたそれを、時たまうれしそうに眺めていた。
ココア「”これからも”よろしくね! シャロちゃん!」
シャロは、その太陽のような笑顔を見て、意識が遠のくのを感じた。
ココアが、ギプスをとったばかりの手はまだ痛むというので、
シャロはココアの左の手首を握っていた。
数週間振りの、病院からの帰り道。
楽しげに笑う声。
ココア「全治”死ぬまで”、だねぇ!
入院の最初の方は、シャロちゃんに会えなくて寂しかったけど……」
手首から先の無い右手を、大きく振りながらココアは歩く。
包帯の巻かれたそれを、時たまうれしそうに眺めていた。
ココア「”これからも”よろしくね! シャロちゃん!」
シャロは、その太陽のような笑顔を見て、意識が遠のくのを感じた。
二人の世話……、いや。介護は、来る日も来る日も続いた。
シャロはほとんど喋らなくなり、日に日に痩せ衰えていった。
ココア「シャロちゃん、過度なダイエットは体に毒だよ?
ちゃんと食べないとね!」
シャロは無言のまま、コクリと頷く。
口を半開きにしたココアが、顔を近づけてきた。
ココア「ひゃんとてゃべないほねぇ」
――ちゃんと食べないとねぇ。
――ちょっとココア。そんなことしなくても、左手があるでしょ?
つい先日、そう答えたシャロは、包丁を持ち出したココアに殺されかけた。
表情を失った顔で、シャロはココアが顔を近づけてくるのを待ち。
そして。口移しで食事を受け取るのだった。
シャロはほとんど喋らなくなり、日に日に痩せ衰えていった。
ココア「シャロちゃん、過度なダイエットは体に毒だよ?
ちゃんと食べないとね!」
シャロは無言のまま、コクリと頷く。
口を半開きにしたココアが、顔を近づけてきた。
ココア「ひゃんとてゃべないほねぇ」
――ちゃんと食べないとねぇ。
――ちょっとココア。そんなことしなくても、左手があるでしょ?
つい先日、そう答えたシャロは、包丁を持ち出したココアに殺されかけた。
表情を失った顔で、シャロはココアが顔を近づけてくるのを待ち。
そして。口移しで食事を受け取るのだった。
ようやく。ようやく、この日が来た。
シャロの虚ろな瞳にも、やや光が戻ったように思う。
『チノの骨折が完治する日』
この日を、シャロはどれだけ待ちわびたことか。
少なくとも、負担はこれで半分になるのだ。
自由になった右手を忌々しげに眺めるチノを尻目に、
ウキウキとした気分でシャロは家路につくのだった。
シャロの虚ろな瞳にも、やや光が戻ったように思う。
『チノの骨折が完治する日』
この日を、シャロはどれだけ待ちわびたことか。
少なくとも、負担はこれで半分になるのだ。
自由になった右手を忌々しげに眺めるチノを尻目に、
ウキウキとした気分でシャロは家路につくのだった。
朝7時から夜22時まで。
これがシャロの”介護”の時間だった。
起床、着替え、朝食、身支度に始まり、
掃除、洗濯、昼食、ラビットハウスの仕事、
夕食、お風呂、トイレ、そして夜の世話……。
これを二人分。
休む時間も無いほどなので、当然学校とバイトはやめた。
どこから湧いて出てくるのか、
チノとココアから受け取る金は結構なもので、
金銭面で困ることは無かったが。
ともかく。
この仕事量が半分になると言うことは、
今までにほとんど無かった、自由な時間が与えられると言うことだ。
シャロは、明日から空いた時間は何をしようかと、
そればかりを考えながら眠った。
これがシャロの”介護”の時間だった。
起床、着替え、朝食、身支度に始まり、
掃除、洗濯、昼食、ラビットハウスの仕事、
夕食、お風呂、トイレ、そして夜の世話……。
これを二人分。
休む時間も無いほどなので、当然学校とバイトはやめた。
どこから湧いて出てくるのか、
チノとココアから受け取る金は結構なもので、
金銭面で困ることは無かったが。
ともかく。
この仕事量が半分になると言うことは、
今までにほとんど無かった、自由な時間が与えられると言うことだ。
シャロは、明日から空いた時間は何をしようかと、
そればかりを考えながら眠った。
シャロ「おっはよぉー!」
ラビットハウスの扉を開け放ち、シャロは声を張り上げる。
朝の挨拶なんて、もう何年もしていないような気がした。
シャロにとってのこの3か月は、それほどまでに長く感じられていたのだ。
今朝は祝杯代わりに、コーヒーをマグカップ半分だけ口にしていたことも、
彼女が上機嫌なことの一因になっているかもしれない。
シャロ「……あれ。二人とも、いないじゃない」
いつもなら少なくとも、起こす前にチノだけはいるはずなのに。
怪我が治ってしまって拗ねているのだろうか。
シャロは不思議に思いながらも、チノの部屋へと向かった。
ラビットハウスの扉を開け放ち、シャロは声を張り上げる。
朝の挨拶なんて、もう何年もしていないような気がした。
シャロにとってのこの3か月は、それほどまでに長く感じられていたのだ。
今朝は祝杯代わりに、コーヒーをマグカップ半分だけ口にしていたことも、
彼女が上機嫌なことの一因になっているかもしれない。
シャロ「……あれ。二人とも、いないじゃない」
いつもなら少なくとも、起こす前にチノだけはいるはずなのに。
怪我が治ってしまって拗ねているのだろうか。
シャロは不思議に思いながらも、チノの部屋へと向かった。
怪我が治ったチノのことは、もう世話をする必要なんてないのに。
シャロはそのことにすら気付かず、
いつものように長い廊下を歩く。
シャロ「チノちゃーん。おはよー」
ガチャリ。
扉を少し開け、シャロは中の様子を窺うように見回す。
チノの部屋は、カーテンを閉め切っているのか、真っ暗だった。
手探りでスイッチを探し、電気をつけると、
こんもりと膨らんだベッドがシャロの目に入った。
シャロ「寝坊なんて、珍しいわね」
ベッドへと歩みより、シャロは無造作に布団を剥ぐ。
シャロはそのことにすら気付かず、
いつものように長い廊下を歩く。
シャロ「チノちゃーん。おはよー」
ガチャリ。
扉を少し開け、シャロは中の様子を窺うように見回す。
チノの部屋は、カーテンを閉め切っているのか、真っ暗だった。
手探りでスイッチを探し、電気をつけると、
こんもりと膨らんだベッドがシャロの目に入った。
シャロ「寝坊なんて、珍しいわね」
ベッドへと歩みより、シャロは無造作に布団を剥ぐ。
ブチブチブチ。
何か湿り気のあるものが千切れる感触を、
シャロは布団を鷲掴みにした手に抱いた。
ブチブチブチブチ。
そして、シャロの目が驚愕に見開かれる。
手に嫌な感触を残した”物”は、真っ赤な糸を引いて、
布団と、ベッドに横たわるチノを繋いでいるのだった。
チノ「あは……、あっはははは……」
仰向けに寝ているチノが、
焦点の合わない目を剥いて、口元に笑みを貼り付けている。
そして。ゆっくりと両腕を上げた。
左右の手首が、きれいな断面を覗かせていた。
何か湿り気のあるものが千切れる感触を、
シャロは布団を鷲掴みにした手に抱いた。
ブチブチブチブチ。
そして、シャロの目が驚愕に見開かれる。
手に嫌な感触を残した”物”は、真っ赤な糸を引いて、
布団と、ベッドに横たわるチノを繋いでいるのだった。
チノ「あは……、あっはははは……」
仰向けに寝ているチノが、
焦点の合わない目を剥いて、口元に笑みを貼り付けている。
そして。ゆっくりと両腕を上げた。
左右の手首が、きれいな断面を覗かせていた。
シャロ「きゃあああああああっ!!!!!!」
叫び、シャロは手に持った布団を放り投げる。
作り物のような土色をした二つの手が、ゴロゴロと床を転がっていった。
シャロ「あ……。あああ……」
首をゆっくりと横に振り、荒い呼吸を吐きながら、
シャロは震える足を引きずるようにして後ずさる。
壁にぶつかり、そのまま体を滑らすように、
ぺたりと地面に尻餅をついた。
チノ「あはははははははははは…………」
叫び、シャロは手に持った布団を放り投げる。
作り物のような土色をした二つの手が、ゴロゴロと床を転がっていった。
シャロ「あ……。あああ……」
首をゆっくりと横に振り、荒い呼吸を吐きながら、
シャロは震える足を引きずるようにして後ずさる。
壁にぶつかり、そのまま体を滑らすように、
ぺたりと地面に尻餅をついた。
チノ「あはははははははははは…………」
目の前のベッドの上では、チノが狂ったように笑い続けている。
シャロはまるで悪夢の中にいるかのような気分で、
それをただ茫然と眺めていた。
やがて。
ぴたりと笑い声が止むと。
低く。けれど、うわずった声が、室内に響く。
チノ「シャロさーん……。私の両手、無くなっちゃいましたー……」
再び、狂気を含んだけたたましい笑い声が、二人の居る空間を占めた。
シャロは力なく、首を左右に振り続けている。
シャロ「いや……。いやぁああ……」
荒い呼吸を続けるシャロのその動きは徐々に激しくなり、
やがて、頭を抱えて床に突っ伏した。
シャロ「いやあああああああああああっ!!!!!!!!!」
彼女の”介護”は、まだ終わらない。
終わり
シャロはまるで悪夢の中にいるかのような気分で、
それをただ茫然と眺めていた。
やがて。
ぴたりと笑い声が止むと。
低く。けれど、うわずった声が、室内に響く。
チノ「シャロさーん……。私の両手、無くなっちゃいましたー……」
再び、狂気を含んだけたたましい笑い声が、二人の居る空間を占めた。
シャロは力なく、首を左右に振り続けている。
シャロ「いや……。いやぁああ……」
荒い呼吸を続けるシャロのその動きは徐々に激しくなり、
やがて、頭を抱えて床に突っ伏した。
シャロ「いやあああああああああああっ!!!!!!!!!」
彼女の”介護”は、まだ終わらない。
終わり
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