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    元スレ女「────好き嫌いなんて、許さないんだからね?」

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    201 = 32 :

    この辺りの河原の風景には、郷愁を禁じ得ない

    それは当然のこと

    私とお兄ちゃんが、二人きりでよくぼんやりと過ごした場所だからだ

    家に帰れば、暴力と罵倒が待っていたあの当時

    遅く帰ればありもしない門限を破ったと殴られ、早く帰れば意味も無くとにかく殴られた

    どうせ殴られるなら、時間が短い方がいい

    だから、できるだけ家に帰るのを遅らせるために、お兄ちゃんと二人で時間を潰す場所がここだった

    あのとき、私達は何を考えながら、ここに佇んでいたのだろう

    家のことを考えると憂鬱な気分になるから、そのことは極力頭から追い出すようにしていた

    ……ああ、そうだ。一つ思い出したことがある

    ここにいるときは、いつも、ずっと、お兄ちゃんが手を握ってくれていたっけ

    私の体温が高いのか、お兄ちゃんの体温が低めなのかは分からないけど、お兄ちゃんの手はいつだって冷たかった

    それなのに、私の心にはいつも暖かいものが満ちて、私はそれが泣きたくなるくらい嬉しくて、

    絶対に、その手を振り解こうとしなかったんだ────

    203 = 32 :

    私の昔の家が見えてきた

    お父さんとお母さんとお兄ちゃんと私の四人が住んでいた場所

    目的地なんて定めていたつもりなかったのに、自然と、こちらに足が向いてしまった

    「あ、はは……」

    まともに声にもなっていない、掠れた自嘲の残滓が、潰れた喉から絞り出される

    こんなになってまで、まだ、私は、家族の愛を求めているんだ

    なんて、無様で、滑稽な──────

    自分の大切なものを自分自身で傷つけたゴミ屑風情が、何を一丁前に人間様の崇高な情愛を求めているのだ

    「ははは、はは……ごほッ……げほッ……」

    自分が余りに惨めなので、嗤ってやった

    とても苦しくて、咳が出て、その咳がいっそう喉を痛めつけるのだけれど、そんなの知ったことじゃない

    そして、そうだ、いっそこのまま大嗤いしながら喉をつぶしてやろうと、そう自棄になって、

    一拍置いてから、一際息を吸い込んだとき、

    「駄目だよ。そんなことしちゃ」

    ──────あの、クソ忌々しい女がそこにいた

    204 = 32 :

    ***

    住宅街で大声を出されてはすぐに警察の御厄介となるだろう

    人気のない河原に場所を移そうと提案すると、妹ちゃんは、その真意は読めないながらも、私に従ってくれた

    「……で、何のよう?」

    妹ちゃんの声は綺麗だった

    つい数刻前までのような濁った声ではなく、透き通った美しいソプラノで、いつまでも耳を傾けていたいと思わせる魅力があった

    でも、それは逝く者の見せる最後の輝きにも似て、私は、激しい焦燥感に胸を突かれた

    「喉、痛いでしょう? 喋らなくていいから。ね? 手話で構わないから」

    できるだけ刺激しないように、優しく告げたつもりだった

    「うるさい、黙れ……この売女」

    柔和であれと自戒しつつそっと押し出した私の声色は、しかし、彼女の憤悶の琴線に触れてしまったようだ

    「あんたの精液臭い媚びた声が耳に触ると鳥肌が立つのよ。むしろお前が手話を使えよ。その気持ちの悪い声を二度とこの世に生み出すな、この淫乱が」

    額に青筋を浮かべて淡々と語るその態度は、その先にある暴虐の嵐を予期させて、足が竦む

    206 = 32 :

    「さっきから、売女とか、淫乱とか、そんな言葉を使うのはどうして?」

    「はぁん? 何、清純キャラで行きたいわけ? 人の兄貴に股ぐら開く淫売の分際で」

    嘲弄めいた言葉を投げかけてくるが、顔はひくりとも笑っていない

    ────仕方がない

    覚悟を決めて、下腹に力を込めると、恐怖に竦んでいた背筋に一本の芯が通った

    カチリ、と思考が切り替わり、透徹した心性が身体の隅々に遍満する

    何事につけても巧遅と評されがちな彼女の戦闘態勢が、事ここに至り、今ようやく整ったのであった

    「……何か勘違いしているようだけど、私、自分の兄と寝る趣味はないわ」

    真実だ。兄に欲情したことなど一度もないし、これからもあり得ないだろう

    「貴女の方こそ、一緒にお風呂に入って、一緒のベッドで寝てるそうじゃない? 聞いたわよ」

    「淫売はどっちかしら。貴女、私のお兄ちゃんに懸想してるの?」

    『私の』を殊更に強調し、意図的に皮肉な物言いをする

    普段であればこんな安い挑発には乗ってこないだろう

    だが今の彼女の心理防壁は、とても薄い

    「お前みたいなクソ女と一緒にするな! それに、『お前の』じゃない! 『私の』だ!」

    207 = 40 :

    ぺろいもしえん

    208 = 32 :

    「あら、確かにそうね。貴女と一緒にされたのでは、たまったものじゃないわ」

    「自分のために殺人まで犯してくれた心優しい兄を、ナイフで突き刺す……なんてね? 私にはとても真似できないもの」

    私には手持ちの武器などない

    彼女が凶器でもって襲い掛かってくることがあれば、ひとたまりもないだろう

    私に使えるのは拘束力のない言葉だけ、信じられるのは自分の頑強な信念だけ

    「よく、も……抜け抜けとぉ……」

    だが私は、きっと彼女が、先ほどのようにナイフを持って襲い掛かってくることはないだろうと踏んでいる

    今の彼女は、刃物で人を傷つけることは疎か、それに触れることすら恐ろしいはずだからだ

    「お前のせいだ! 私が悪いんじゃない! お前を護って、お兄ちゃんは怪我を負ったんだ!」

    じゃりっと大きく一歩、足を踏み出して、断末魔の叫びの如き様相で咆哮する

    「お前のッッ、せいだろぉがああぁぁッッ!!!」

    裂帛の気迫……それでも、私はぶれない、動じない、こんなことでは決して揺るがない

    210 = 32 :

    「そうね。確かにお兄ちゃんは、『私を』護った」

    ひくっ──と、痙攣したような響きが彼女の喉から軋んで聞こえる

    「貴女の言う通りよ? お兄ちゃんは、『敵』である貴女から、『私を』護ってくれたの」

    「……ち、ちが……それは、ちがう!」

    不動なる強固な信念でもって、彼女を見下ろし、告げる

    「違わないわ。貴女はお兄ちゃんの敵。私がお兄ちゃんの妹」

    その粛とした佇まいは、相対する少女に、神厳なる託宣と見紛うほどの威容を感じさせた

    「……ひッ……ぁ、……ち……ぃ、ちがう、ちがうちがうッッ!!!」

    「何も違わない。貴女はお兄ちゃんを傷つけた。お兄ちゃんが護ってくれたのは私」

    「ちがう! ……ちが、……うぅぅぅうううッッ!」

    「いいえ、違わない。貴女はこの世で最も大切な人に嫌われてしまった不幸な存在。私は実の兄から大切に想ってもらえている幸せな存在。これが……全てでしょう?」

    「ぃ、ぁ……や、ぁ……ち、が……」

    「これの……どこに『違う』と否定できる要素があると言うの?」

    「ふふ、まったく────可哀想な、子」

    ────ぶちん、と、そう切れる音が実際に響いたわけではないのに、まるでそう錯覚させるほどの現象が、眼前に立ち現れた

    212 = 32 :

    「ッッッがあああああああああああああああああッッッ!!」

    僅かな理性の欠片すら吹き飛ばして、自身の身体そのものを凶器と化した存在が、襲いかかってきた

    私は、そんな彼女の狂態を眼前にしながら、慌てることなく、取り乱しもせず、彼女の動作をつぶさに観察して、

    それまで通り、激情から心を乖離させ、至って冷静なままに────

    「がッッ────!!」

    ────彼女を、思いっきり殴り飛ばした

    「……あら、ごめんなさい。私、腕力だって特別ないし、実は喧嘩だってしたことないんですけどね、ふふ」

    「ただ、お兄ちゃんと同じで、頑固者なの」

    「一度、こうと決めたことを簡単に曲げたり、変えたりできない性分だから……」

    「貴女を『無様に這いつくばらせる』という当初の目標…………それだけは、土を喰んででも絶対に完遂しますよ?」

    「……ッ、が、あぁ……」

    両親に殴られたときの恐怖でも思い出したのだろうか、意思で抑えようとしても身体の震えは止まらないだろう

    「はぁ……とんだ根性無しの期待外れ。やっぱり、お兄ちゃんに見捨てられる程度の存在ってことよね」

    「……ッッッッ!!!!!」

    ……そう、意思で抑えてどうにもならないのなら、逆に感情を爆発させてやるまでだ────

    213 :

    やっと追い付いた
    何か引き込まれるな

    214 = 32 :

    「────ぐッッ!?」

    ガン、と頬に重い衝撃が走る

    痛い、怖い、蹲ってしまいたい、涙が出そうだ、いや、生理的反射で涙が自然と流れる

    「ッッ……ぁあああ"あ”ッッ!!」

    でも、負けられないんだ

    「ぐぎッッ────」

    殴り返す……もちろん手加減抜き、本気も本気、大本気のグーパンチだ

    人を平手でぶったこともないこの手が、拳を固めて、相手の顔を殴る

    たったの二回殴っただけで、手の表皮が破れて血が流れる

    でも、今は気にしていられない

    蹲って震える少女に声をかける

    「ほんと愚図……私の方がほんの一歳、年齢が上というだけなのに、……心の強さには天地の開きがあるみたい」

    「貴女のように見た目も心もお子様なガキは、一生そうやって一人っきりで震えて生きるのがお似合いよね?」

    あからさまに苛烈な物言い、わざとらしいくらい熾烈な口振り

    けれどもその言葉によって、世界で一番私を嫌っているであろう少女の瞳に、また、激情の光が灯る────

    215 = 32 :

    ***

    無様に地べたに這いつくばる

    挑発されて、怒りや憎しみで目の前が真っ赤になって、猛り狂いながら殴りかかる

    私の拳を受けた忌々しいクソ女は、ぶべッ、とか女性にあるまじき情けない声を出した

    ざまあみろッ! これでようやく涙交じりの顔で許しを乞うて戦意を喪失────

    「ギぎゃッッ!!!」

    ────真正面からの痛打を受けて2メートルほど後ろにふっ飛ばされる

    私が倒れ伏す間は絶対に追い討ちをかけてこない

    一発殴った後は、必ず、一発殴らせる、その余裕の態度が、また、気に入らない

    その顔が、その声が、その振舞いが、その全てが忌々しくて

    「大切な人を、横から出てきた女に掻っ攫われて、本当に惨めで可哀想……ふふ」

    ──────殺すッッッ!!!!

    そんな風にしか考えることができなくなって、また拳を固めて立ち上がって、そして、いつしか私は

    お兄ちゃんの怪我のことも、お父さんやお母さんから受けた虐待のことも、何もかも忘れて

    いつの間にか、この下らない殴り合いに没頭していた────

    216 = 32 :

    ────── あいつは、そう、いつだって忌々しい存在だった

    何が忌々しいって、あいつはお兄ちゃんだけじゃなくて、私まで懐柔しにかかったってこと


    『……煮浸し好きだろ。食べるか?』

    妹 ── うん。食べる

    『……』

    『……ん?』

    『……どうした、欲しいのか?』

    『えっ、あ、違うの! いや、ううん……違わなくて……』

    『ほ、欲しい……かな』


    お兄ちゃんの不用意な言葉で、私の好物が煮浸しだって、あいつにバレてしまった

    そうしたら調子にのって、あいつ、色々な種類の煮浸しを三週間も連続で作ってきやがったんだ

    嫌らしい女……私のためって顔をしてるけど、どうせあれだってお兄ちゃんに媚を売るための一環に過ぎないくせに

    217 = 32 :

    ────── あいつが作ってきたゴーヤのお漬物は、確かに美味しそうだった


    『お前も食えよ、ほら』

    妹 ── いらない

    『……』

    『……』

    『……お気に召さないか。悪い』

    『え、いや、気にしないで! うん、気にしないでいいから! ……へへ』


    でも、お兄ちゃんが美味しそうに食べてたのが、何だかムカついて、いらないって答えた

    冷たくされても、ちっとも可愛くなんてない卑屈な笑顔を振りまいて平気だよって健気なフリをして……

    そうやって、少しずつ人の心の隙間に入り込もうとしてるんだ

    汚い女、嫌らしい女、忌々しい女……不快、不快不快不快

    218 = 39 :

    219 = 32 :

    ────── なにより一番、腹に据えかねたのは、あの女が猫の死体の件で同情をひいたこと

    お兄ちゃんはあの女にまんまと騙されて、ハンバーグが好物だって、バラしてた

    馬鹿なお兄ちゃん……謀られてるだけなのに


    『お前食ってみろよ』

    妹 ── 私は味見でおなかいっぱいだからいいの

    『……はぁ』

    妹 ── あいつの料理は、うまいって食べてたくせに

    『え? いまの手話、速すぎてよく分かんなかったんだけど』

    妹 ── なんでもない


    お兄ちゃんがあいつのハンバーグに舌鼓を打つのを想像してムカついたので、その日の晩に滅多にしない料理なんてものをした

    ハンバーグは黒焦げになっちゃって、ちっとも美味しくなさそうだったし、実際お兄ちゃんもまずいって言ってた

    でも、お兄ちゃんは文句を言いながらも残さず全部食べてくれた

    お兄ちゃんは優しい

    220 = 32 :

    ────── 傑作だったのは、私のトマト嫌いが原因であいつとお兄ちゃんが喧嘩したこと


    『あ、あのね、トマトが安かったからね、今日はラザニアにしてみたの』

    『……』

    『たくさん作ってきたから、その……よかったら食べてみてね』

    妹 ── いらない。トマト嫌い

    『……』

    『……』

    『……え、と、もしかしてトマトアレルギー、とか?』

    『いや……その、単なる食わず嫌い、みたいなんだが』

    『す、好き嫌いは、よくないと、お……思うな!』


    あのあと、あいつってば、お兄ちゃんから逆に説教されて涙目になってた……はは! ざまぁみろ

    おかげで私はその日は一日中、機嫌がよかった

    お兄ちゃんとお風呂に入っている途中に、お兄ちゃんが変なことを言うから、せっかくのいい気分が台無しだったけど

    221 = 32 :

    ────── でも、あの喧嘩のあと、二人は結局すぐに仲直りしてた

    というか、むしろ、前よりももっと仲良くなってそうな感じだった


    『き、今日はね、ピーマンの肉詰めを作ったんだ。もし良かったら食べてみてね』

    妹 ── いらない。食べない

    『……』

    『あ……』

    『も、もしかして、ピーマンも苦手だったり、するのかな』

    『いや、ピーマンはむしろ好物だったはずだ』

    『だったはずって……へへ、へ……』

    『まぁいい。一個頂くぞ』


    ピーマンは好きだし、ピーマンの肉詰めなんてもう大好物だけど、あいつが作ったものは食べたくない

    いらないって言われて傷ついた顔をしてたけど、いくらでも傷つけばいいんだ

    あいつがどんなに傷つこうと、私はなんとも思わない

    222 = 213 :

    さるよけ

    223 = 32 :

    ────── あいつは笑顔で近寄ってくる

    臆病者のくせに、卑屈な笑みを浮かべるくせに、でも、打たれても打たれても、打たれ負けずに、こっちに擦り寄ってくる

    芯が強い……ううん、違う。頑固者なんだ

    お兄ちゃんと喧嘩したときもそうだった。自分の考えを簡単に変えたりしない

    そういう意味では、お兄ちゃんとよく似ているのかもしれない

    でも、……そこがまた、腹が立つのだ

    根暗な私とは違って、周囲に笑顔を振りまくあいつがムカつく

    お兄ちゃんと似て、頑固なところのあるあいつがムカつく


    『いや、お前って普段から無駄に身振り手振りが多いよな、って言ったんだ』

    『そ、そうかな?』

    『それ、別に必要ないと思うんだが』

    『え……あ、でも……仲良く、なりたいから……』


    私のために……わざわざ手話を覚えて、尻尾ふって寄ってきて会話したがってるのが、たまらなくムカつく──────

    224 = 32 :

    「あ"あ"ぁ"ぁ"ああああああ────ッッ」

    もう何度目になるか分からない殴打を叩き込む

    あいつの温室育ち然とした白い肌は、血と青痣だらけで、見るに耐えない有り様だった

    「────ぁッッ、ギッ」

    ……でも、きっとそれは私も同様だろう

    殴り返されて地面に顔から突っ込んで、もう痛みに因るのか悔しさに因るのかも分からない涙で顔をぐしゃぐしゃにして

    ふと、……いったい私、なんでこんなことしてんだっけ?

    そんな疑問が頭を掠めたけど、心よりも、立ち上がった身体の方が止まらなかった

    そしてふらふらになりながら近づいて、渾身の力でアイツの鼻っ柱を殴りつけてやったけど

    お返しとばかりに脳が揺れるほどの強烈な一撃を頬に叩きこまれて

    それで……

    ああ、もうさすがにだめだ────

    ……ムカつくとか、忌々しいとか、悔しいとか、死んじまえとか、確かに色々あるんだけど

    それ以上にもう疲れ果ててしまって、考えるどころか、憎むことすら億劫になってしまった私は、

    矜持も何もかも手放すかのように、あいつの胸の中に、倒れこむようにして意識を失った──────

    226 = 32 :

    そして>>1も意識を失った────

    すんません限界です寝ます
    ここからが本編なので……できれば保守してもらえると有難いですすみませんすみません

    228 = 39 :

    何時間書いてたんだよ氏ね











    230 :

    やっと追いついた

    234 :

    ここからが本編ってどういうこっちゃ…

    235 = 234 :

    保守いないのか

    237 = 213 :

    最近過疎ってるしこの時間帯なら一時間くらい保つだろ

    238 = 39 :

    240 :

    (谷亮子)

    241 = 39 :

    242 :

    ここから本編とかどういうことだ…終盤かと思ったぞ…
    ほしゅ

    243 :

    まさかの二人のお昼ごはんではなく三人のお昼ごはんだったとは…喋らないからわからなかったよ

    244 = 39 :

    245 :

    やっと追い付いたー
    保守

    246 = 39 :

    247 = 32 :

    保守ありがとうございました再開します

    248 = 32 :

    ***

    「──────ん、ぁ」

    私の膝の上に頭を乗せた少女が、夜風が起こす草葉の音に身じろぎして、暫しの休息から目を覚ます

    「おはよう。妹ちゃん」

    「……ッッ!!」

    「駄目、まだ安静にしてて」

    頭上にある私の顔を見た途端、慌てて起き上がろうとする彼女を窘めるように、肩を抑えて身動きを取れなくする

    「ふざけるなッッ!! 離せ!!!」

    「離さないわ。あなたが嫌がっても」

    無理矢理離れようとするが、まだ力が入らないのだろう

    どう藻掻いても抜け出せないと知り、次第に抵抗が収まる

    「あんた……一体、なんのつもり?」

    それでも瞳には怒りの色が見えて、血の繋がりが薄いとは言え、やっぱり彼女もお兄ちゃんの妹らしく頑固者のようだ

    十年という歳月は、私よりもむしろ彼女の方をこそ、お兄ちゃんに近しい存在に育て上げてしまったのではないか

    249 = 32 :

    「こんな真似して、一体……ッ!?」

    妹ちゃんの質問には直接答えず、私は、私のペースで会話をする

    「……話を、聞いて欲しいの」

    「……」

    私の神妙な気配に何かを感じ取ったのか、彼女も一端引いてくれたようだった

    「……私の、幼い頃の話」

    「あなたも知っての通り、私のお父さんとお母さんは芸能人だったの。一昔前では、日本では知らない人がいないくらい有名だった」

    「そして、二人は不倫関係にあった」

    「……」

    「マスコミは、二人が不倫旅行中に事故に合って死んだことをセンセーショナルに取り上げたわ。面白おかしく」

    「当然、隠し子であるお兄ちゃんや私も、好奇の目に晒されることになった」

    「まだほんの子供だった私にはよく分からなかったけど、遺産相続でかなり揉めたってことだけは伝え聞いてるわ」

    「父さんには本当の奥さんが、お母さんには本当の旦那さんがいて、さらにそれぞれ子供がいたみたいだし、親戚も多かった。もう無茶苦茶ね」

    「そして、私達はそんな大人たちの思惑に振り回されて、最終的に、別々に暮らすことになったの」

    250 = 39 :

    起きたのか


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