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    元スレ咲「ノドカの牌」

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    101 = 1 :

    (の、和……!! あなたとんでもない人に私を会わせたわね……!!! 何かあったら責任取ってよ!!!)コソッ

    (わ、私だってこれは予想外でしたよ!!!)コソッ

    (ああ……もう。けど、まあ……なんていうか……楽しくなってきたわ……!! いいわよ、やってやるわよ!!!
     和、すぐに追いつくから……先に行ってなさい!!! 遅くとも三年で……私もプロの世界に殴り込むわっ!!!)

    (ま……待ってますっ!!!)

    (よし、そうと決まれば和……)

    (なんですか……!?)

    (今日のところはズラかるわよっ!! これ以上私がここにいると、美穂子が興奮でおかしくなっちゃうわっ!!)

    (そうですねっ!!)

    「じゃ、私はこれで!!!」ダッ

    「私も明日があるので!!!」ダッ

    美穂子「あっ……上埜さ」

     ドドドドドドドドドドドドドドド

    美穂子「もう……ちょっとくらいゆっくりしていってもいいじゃないですか……いけずです……次は逃しませんよ……!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

    優希(ふ、福路先生ってこんな恐い人だったのか……!?)

    まこ(麻雀界のトップは全員狂ってるって噂もあるほどじゃしの……)

    102 = 67 :

    >>97
    佐為さんも後半空気の期間が長かったからね、ちかたないね

    103 = 1 :

     ――プロ試験本戦・四十日目終了(160半荘目)

    「(ふう……今日も際どかったですね……)ありがとうございました」

     和:113勝47敗(二位)

    南浦「(まさか南場で逆転されるとは思っていなかった。最後の和了りは想定外……この子もプロ試験中に腕を上げたか……)お疲れ様」

     南浦:92勝68敗(五位)

    シズ「やったねっ、莉子!! すごいよ、まさか南浦さんに勝っちゃうなんて……!!」

     高鴨穏乃:45勝115敗(十一位)

    莉子「自分でもびっくりです。時々だけど、こんな麻雀が打てるから……プロになるの……諦められないんですよね」

     安福莉子:38勝122敗(十二位)

    シズ「諦めたら終わりだよ! 私ら、今年はまだまだだったけど……来年の今頃、再来年の今頃はきっともっと強くなってるっ! だから、一緒に頑張ろう!!」

    莉子「うん……ありがとう、穏乃ちゃん」

    104 = 67 :

    麻雀で時々上の人に勝てるのは、ただの運だと思います。

    105 = 1 :

    「よっすー、シズ、和、お疲れっ!!」

     新子憧:104勝56敗(三位)

    「憧さん、勝ったんですか?」

    「なんとかね。そういう和も勝ったみたいね。今日はこれで四戦全勝、っと。ちぇー、とうとう最後まで走りきったか。おめでとうっ!! これで和はプロ入り決定だねっ!!」

    「ありがとうございます。あとは、気になるのは玄さんですが……」

    「わ、私もなんとか勝ったよ……」フラフラ

     松実玄:103勝57敗(四位)

    シズ「玄さん、大丈夫ですかっ!?」

    「ド……ドラがこないってこんなに大変なんだね。私と対局してたみんなはこんな苦労してたんだ……」

    「とかなんとか言って、普段より調子いいくらいなんじゃない? もう四十日目で一勝差とかさー! ほっっんとありえないからっ!!」

    107 = 1 :

    「あと……七半荘ですか。二人の直接対決は、まだ残っているんですか?」

    「一応、明日の午後に一回。でも、あとはずっと別々よね。これ……勝ち星が並んだ場合ってどうなるんだっけ?」

    シズ「トップ率順ですよ。それも同率だったら……次はポイント順です」

    「トップ率とポイント……か。どっちも玄のほうが上よね、普通に。となると……私がプロになるにはこの一勝差を守りきるしかないってことか」

    「憧ちゃん……」

    「まったまたー。そんな顔しないの、玄。私たちは同じゴールを目指して細い一本道を歩いてんのよ。こういう衝突は、これから何度だって起こる。お互い、ベストを尽くしましょ」

    「憧ちゃんは……やっぱり強いなぁ」

    「まっ、そりゃ玄よりはねっ!! じゃ、私はもう少し検討やって帰るから、玄たちは先行ってて。また明日っ!!」

    「うん。またね」タッタッタッ

    「お疲れ様でした」タッタッタッ

    108 = 1 :

     ――帰り

    「あれ……シズ、来ませんね。置いてきて大丈夫だったでしょうか」

    「穏乃ちゃんは、憧ちゃんと一緒にいるんだよ。だから、心配要らない。それより、和ちゃん」

    「はい、なんでしょう?」

    「プロ入り、改めておめでとう。
     懐かしいなぁ……去年の春だっけ。和ちゃんが龍門渕さんたちと一緒に来て、初めて打って、ドラは私にしか集まらないって憧ちゃんが言ったら、和ちゃん、そんなオモチはありえませんって」

    「オカルトですよ」

    「いーや、オモチだよ。和ちゃんのおもちは……衝撃的だった。これが小学五年生のおもちっ!!? ありえない!!! ってなったもん」

    「そういえば、会うなりセクハラしてきましたよね、玄さん……」

    「だね。ま、ありえないのはおもちだけじゃなくて麻雀の成長振りもだけど。
     本当に……和ちゃんはすごいよ。私が何年も超えられなかった壁を、あっさり飛び越えた。本戦で何度も打ったけど……まるで羽が生えてるみたいだなって、思ってたよ」

    「私なんて、ただ……運がよかっただけです」

    「運も実力のうち、それが麻雀でしょ?」

    「そう……ですね」

    109 = 1 :

    「私ね、このプロ試験が終わって、プロになれなかったら、一年間、旅に出ようと思ってるの」

    「えっ……!? その話、赤土さんには……?」

    「まだ、してない。おねえちゃんにも話してない。和ちゃんに今ここで言ったのが初めて」

    「どうして私に……?」

    「和ちゃんの真似だからだよ。和ちゃん、予選と本戦の間に……私たちから離れて、びっくりするくらい強くなって戻ってきた。
     私も……ずっとみんなとやってきたけど、一度くらいは一人になって……自分とちゃんと向き合ってみようって思ったの。本当に麻雀を続けたいのか。どうして麻雀を打つのか。なんで私は勝ちたいのか……。
     とりあえず、その辺りから始めないと、私、いつまでも変われない気がするんだ。
     それでね、自分に自信が持てるようになったら……きっとドラも帰ってきてくれると思う。で、つきましてはお願いがあるんだけど、和ちゃん」

    「……なんですか?」

    「私が帰ってきたときに、和ちゃんと一局打たせてほしいの。
     和ちゃんと、憧ちゃんと、穏乃ちゃんと。私のせいで台無しになっちゃったあの一局を、もう一度打ちたいの。いいかな……?」

    「もちろんですよ。憧さんや穏乃だって、いいって言うに決まってます。待ってますよ、玄さん」

    「はは、まあ、でも、あくまでプロになれなかったときの話だから。なっちゃえばいんだよね、なっちゃえば!」

    「最後まで、応援してます」

    「ありがとう、和ちゃん……」

    110 = 1 :

     ――日本麻雀院・ロビー

    「いいの、シズ。和たち行っちゃったよ?」

    シズ「それじゃ憧さんが一人になっちゃうじゃないですか」

    「……シズ、あんたってやっぱ最高だわ。大好き」

    シズ「小さい頃からの付き合いですから。憧さんのことは、大体わかります。私でよければ……なんなりと言ってください」

    「あははっ、さすがシズ。じゃあ……お言葉に甘えようかな。シズ、少しの間でいいから、気をつけしてて……」

    シズ「はい……」

    「ふふ……相変わらずシズは細くって小さいなぁ……ホントに成長しないわねぇ……」ギュウウウ

    シズ「そんなことないですよ、背だって伸びてますし、他の部位だって色々……そんなことより、憧さん」

    「なに……?」

    シズ「気をつけをしたままだと……その……憧さんの背中に手を回せないのですが……」

    「そっか……じゃあ、気をつけ解除。自由にしていいよ……」

    シズ「はい……」ギュッ

    111 = 1 :

    「ううっ……シズ……シズ……!! シズ……!!」ポロポロ

    シズ「大丈夫ですよ。憧さんなら……きっと最後まで戦えます。最後まで……私が傍にいますから……」

    「だって……シズ……!! 玄が……普通に戦ったら玄のほうが強いもん……私……やっとここまで来たのに……!! 嫌だよ……プロになりたいよ……!!」ポロポロ

    シズ「なれます。きっとなれます。憧さんなら……大丈夫です……」

    「むりむり……! 無理だよ……!! みんなわかってる……!! 玄がここから追い上げるんだって……きっとみんなそう思ってる……!!
     私が逃げ切ってプロになれるなんて……そんな風に思ってる人……どこにもいない……!! いるわけないよ……!!」

    シズ「そんなことはありません……!!」

    「あるわよ!! どうしてそんなことが言えるのっ!!?」

    シズ「まず一人……ここにいます……っ!!!」

    「っ……!!?」

    112 = 1 :

    シズ「私は、憧さんが今年プロになれるって思ってます! それで、玄さんは来年で、私もいつか必ずプロになりますっ!!
     そして……またみんなではしゃぎましょう……!! プロの舞台で……遊びましょうっ!!!!」

    「……シズ……あんた……」

    シズ「憧さん、先に行ってください。あと七半荘で……プロへの扉が開くんです。私の運……残ってる分は全部憧さんにあげます。
     だから……勝ってください……!!」

    「……!!」

    シズ「どうですか……元気、出ましたか……?」

    「ありがと……震え……止まったわ……!!」

    113 = 6 :

    しえん

    114 = 1 :

     ――プロ試験本戦・最終日・日本麻雀院・教官室

    (今年のプロ試験も……これで終わりね)

    (同じ門下の二人で……一勝差の三位争い……最後の二日間……この最終局まで……二人とも落とした星は一つだけ)

    (一足先に最終局を白星で飾ったあの子は……今……どんな気持ちで待っているのかしら……)

    115 = 1 :

     ――食堂

    (憧ちゃん……最後は淡ちゃんと同卓してるんだっけか……随分と長引いてるみたいだけど……点数状況はどうなってるんだろう……)

    (私……やっぱりズルいなぁ……後輩の負けを願ってるなんて……先輩失格だよね……)

    (ああ……なんか緊張したら喉が渇いちゃった……お茶お茶……)コポコポ

     ザワ

    (あ……)ビクッ

     ザワザワ

    (ど……どうなったの……どっちが勝ったの……?)

     ザワザワザワザワザワザワザワザワ

    (で……でも、もし憧ちゃんが負けたんだったら……誰かが私のところに来るよね……トップ率なら私のほうが上なんだから……誰かが……『合格おめでとう』って……)

     ザワザワ  ダッダッダッ      バァン

    「………………」

    「あ……淡ちゃん……?」

    116 = 1 :

    「138勝29敗」

    「えっ……?」

    「これが、今年のプロ試験トップ合格者……つまり私の成績なわけだけど」

    「あ、淡ちゃん?」

    「そんなトップ合格者の私に、唯一、順位で勝ち越した人がいる。その人と同卓すると……私は二位になってばっかりだった」

    「え、え……?」

    「けど、その人は、何があったんだか知らないけど、途中でちょっと調子を崩して……三位争いなんてダサいことをしてて……私的にはそれが悔しかった。
     私より強いくせに……なんで他の雑魚相手にもたついてるんだって……ムカムカして……ちょっと言い過ぎちゃったこともあったりなかったり……」

    「あの……」

    「松実玄っ!!!」

    「は、はいっ!!!?」

    「あんたのことは、私のライバル二号ってことにしとくからっ!! 光栄に思ってよねっ!! ライバル一号はあの宮永照で、あんたは二号なんだからっ!!」

    「あ、ありがとう?」

    「私……あんたとは、プロの世界で決着をつけたいって思ってる。だから……だから…………いつか絶対プロになってよねっ!!!」

    「あ…………」

    117 :

    >>83

    118 = 1 :

    「あんたの後輩……最後の半荘……勝ったよ。手加減したつもりはなかった。けど、最後の最後で持っていかれた。
     雑魚にしては、よく頑張ってたんじゃないかな、知らないけど」

    「そっ、か……わざわざありがとう、淡ちゃん」

    「……勝ち逃げなんて許さないから。何年かかってもいい。私は……あんたを待ってる。じゃあ、それだけ……」タッタッタッ

    「うん…………」

    (……憧ちゃん……おめでとう……和ちゃん……淡ちゃん……おめでとう……)

    (あれ……なんでだろう……みんなのこと……お祝いしなきゃいけないのに……)

    (涙が……止まらないよ……!)ポロポロ

    (ああ……悔しいなあ……!!)ポロポロ

    (どうして……私じゃなかったんだろう……!!!)

    (今まで……私はいつも待つほうだったのに……!!!!)

    (プロに……プロになりたかったよ…………!!!!!)

     ――松実玄:プロ試験本戦最終成績:109勝58敗(四位・不合格)

    120 = 88 :

    和あっさり合格したな

    121 = 1 :

     ――小鍛治邸

    健夜「そうですか……三位は一勝差。随分と接戦だったんですね。淡は楽勝とか余裕とか適当なことしか言わないので……」

    『淡ちゃんらしいわね。それで、いかがかしら、自身の門下生と、同世代最大のライバルである晴絵ちゃん門下の有望株二人……こんなにそそる卓はないんじゃない……?』

    健夜「そうですね、それに……五花戦が近いこの大事な時期に、熊倉さんを煩わせるわけにはいきませんし」

    『あらあら……五花戦が近いのはどこかの誰かさんも同じだったはずだけれど……まあ、あなたがいいならいいわ。
     じゃあ、よろしくね。去年の郁乃ちゃんみたいに暴れちゃダメよ』

    健夜「善処します」

    『へえ……? 思ったよりも乗り気なのね。意外だわ。誰か目当ての子が……ああ……いたわね。あの子でしょ……あの胸の大きな、原村和ちゃん』

    健夜「石戸さんが胸とか言うと皮肉にしか聞こえませんよ」

    『ん……誤魔化したわね……?』

    健夜「なんのことでしょう」

    『ま、詮索はよしましょう。また詳しいことが決まったら連絡するわ』

    健夜「はい。よろしくお願いします」

    『楽しみにしてるわよ……では、失礼するわね』

    健夜「失礼します……」

    124 = 1 :

    恒子「すこやん、新初段シリーズ受けたのかー? せっかくオフの日だったのに。スケジュール詰め込み過ぎだよ」

    健夜「新初段シリーズはタイトルホルダーって慣例があるから……私、九冠だし」

    恒子「強過ぎるっていうのも大変だ」

    健夜「そうだね、対局って、基本、勝てば勝つほど増えるから」

    恒子「すこやんってば滅多に負けないからね。あぁあー、赤土さんがもっと頑張ってくれればなー。すこやんの休みが増えるのに。
     そしたら、すこやんがもっと私と遊べるようになるのに」

    健夜「あれ? それって結局私の休みにはならないんじゃ……?」

    恒子「細かいことは気にしないっ!!
     で、ぶっちゃけたところどうなの? 今年の新初段に……気になる子がいるんでしょ。淡じゃないってことは……赤土さんの門下生か」

    健夜「うん。二年前かな……ほら、こーこちゃんも覚えてるでしょ? まだプロになってなかった照と、誠子と尭深をトバした小学生のこと」

    恒子「ああ、いたなーそんな子が。そっかそっか。もうプロになったのか。で、その子をどうするつもり? もしかして、すこやんお得意の若芽摘みか?」

    健夜「そんなの得意にしてないよ!? 言いがかりだよ!!?」

    125 = 1 :

    恒子「冗談はさておき。すこやんが他の雀士と積極的に関わろうとするなんて珍しいよね。赤土さんと照……その子で三人目。なんか、特別な子なの?」

    健夜「どうだろう。それを確かめたい。っていう感じかな」

    恒子「ははっ、確かめるのはいいけれど、これ以上家族が増えるとさすがに引っ越しを考えなきゃいけなくなるぞ」

    健夜「いや、照のときとは違うから、大丈夫」

    恒子「けど、照絡みではあるんだよね?」

    健夜「まあ……たぶん」

    恒子「早いもんだなぁ、照がうちに来て九年か。すこやんもすっかりアラフォーが板について……」

    健夜「あの頃は、よく、私がインターハイに出たのは二十年前だとか、冗談で言ってたけど……今は冗談にならないもんね。普通に事実だもんね」ズーン

    恒子「けど、時が経っても変わらないことだってあるよ」

    健夜「え、例えば……?」

    恒子「二十年前も……九年前も今も……すこやんは最強」

    健夜「年齢は関係ないよって? こーこちゃん、いいこと言うね」

    126 = 1 :

    恒子「私は今も昔もすこやんのファンだから。ハードスケジュールで、一緒に遊んでくれることが少なくなったって、すこやんが麻雀打ってるとこを見れるだけで満足」

    健夜「ありがと。もうちょっとで……一段落するはずだから。そしたら、温泉とか行こうか」

    恒子「いいねー!! 若返りの湯に入って、すこやん(17)とかになって帰ってこよーぜー!!」

    健夜「おっ、十七歳か。そしたら、私の持ってる最年少記録を悉く塗り替えられるね」

    恒子「うわっ、せっかく若返っても麻雀しかしないつもりだこの人。結婚相手探したりしなくていいの?」

    健夜「え? だって、こーこちゃんがいるし」

    恒子「わおっ!? そういうこと言うなよー! 照れるだろー!!」ガバァ

    健夜「ちょ、え、こーこちゃんそんないきなり……!!!?」

    恒子「よいではないかーよいではないかー!!!」

    健夜「もうっ!! 年齢考えてよー!!」

    127 = 67 :

    いちゃいちゃしやがってアラフォーのくせに

    128 = 1 :

     ――初段授与式・昇段式

    「私たちの出番はあっという間だったわね。並んで写真取ったら、あとはカメラマンさんも記者さんもみんな昇段者のほうに行っちゃうんだもんなー」

    「まあ、どの世界でも新人の扱いなんてそんなものでしょう。実績のある方に話題が集まるのは当然のことです」

    「宥姉も六段昇格で、灼も四段昇格。あとは、弘世さんがとうとう八段かぁ」

    「私たちも、一つ一つ階段を上っていきましょう」

    「ま、中には一つ飛ばしで階段を上っていきそうなやつもいるけど……」

    「続いては、新人賞の発表です。宮永照新二段、壇上へどうぞ」

    「はい」エイギョウスマイル

    (照さん……)

    129 :

    しえん

    130 = 88 :

    アラフォーの百合とか誰得

    131 = 1 :

    「うわ……いつ見てもあいつの笑顔だけは受け付けないわ。普段と違い過ぎ。
     ほら、和、あんなやつのスピーチなんて聞かなくてもいいでしょ。あっちにハルエたち集まってるよ。私たちも行こうっ!」

    「は、はい……」

    「おーいっ!! 宥姉、灼、ハル――」

    晴絵「おう……やっと来たか、二人とも」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

    「っ!」ビクッ

    晴絵「ようこそ……プロの世界へ」ゴッ

    「……よろしくお願いします」ペコリ

    132 = 6 :

    しえん

    133 = 1 :

     ――自宅

    「ふう……プロになれたのはよかったですが、結局、照さんとはまともに話せませんでしたね。私、まだ避けられてるのでしょうか……」

    (そんなことはないと思うよ。今日だって、向こうはかなり和ちゃんのこと意識してたっぽかったし。ただ、公の場だから、気軽に話しかけられなかっただけだって)

    「だといいんですが。それにしても、咲さん。まさかプロ入りして早々、咲さんの願いを叶えられるとは思ってもみませんでした」

    (新初段シリーズ、か。去年は赤阪九段って人の大勝だったんだっけ)

    「憧さんから聞いた話だと、新初段シリーズで新初段が勝つケースは極めて稀だそうです。特に、小鍛治九冠と戦って生きて帰った新初段はいなかったとか……」

    (じゃあ……今年はきっと歴史が変わるね)

    「咲さん……本気ですか……?」

    (当たり前だよ。私は今、あの人と戦うために現世にいるようなものだしね。平安時代も、江戸時代も、それに九年前も、私はただ最強を証明するために打ってきた)

    134 = 67 :

    和死んでまうん?

    135 = 29 :

    遂にすこやんとの対局か

    136 = 1 :

    「へえ……どの時代の相手が一番強かったですか?」

    (たぶん現代じゃないかな。平安とか、楽勝過ぎてつまらなかったよ。ちょっと嶺上開花したらもう顔真っ青にしてさ)

     ――平安時代

    末原「う、生まれてきてすいませんでしたあああああああ!!!!」

     ――

    「なんていうか、相手の方が不憫ですね……」

    (そんなことないよ。弱ければ負ける、強ければ勝つ……それだけのこと)

    「咲さん……咲さんは、麻雀、楽しいですか?」

    (楽しいよ、楽しいに決まってる)

    「そう……ですか」

    (咲さん……なんだか……ここのところずっと……思いつめているみたいです……強過ぎる人の気持ち……今の私にはわかりませんが……小鍛治九冠なら……或いは……)

    137 = 1 :

     ――新初段シリーズ・日本麻雀院

    (憧さんと大星さんは……まだですか)

    「あら、和ちゃん。おはよう」

    「霞先生……おはようございます」

    「対局室はこっちよ。まだ入ったことなかったわよね。案内するわ」

    「ありがとうございます」

    138 :

    末原ちゃん虐めたら許さへんで~

    139 = 1 :

     ――幽玄の間

    「毎年新初段シリーズはここで行われるの。たくさんの新初段たちが……ここからプロの道を歩き始めたわ」

    「霞先生もですか?」

    「ふふふ……和ちゃん、世の中には知らないほうがいいこともあるわ」

    (この人本当にいくつなんだろう……)

    「じゃ、ごゆっくり」

    「はい……(ごゆっくり……?)」

    (和ちゃん……感じない?)

    (感じるとか感じないとか、そういうオカルトを前提に話さないでください)

    (ま、扉を開ければわかることだけどね。もう……中にいるよ)

    (緊張しますね)

    (卓を囲むのは二年振り……あのときは途中で和ちゃんが飛び出しちゃったから、まともに打つのはこれが初めてか。感慨深いよ)

    (じゃあ、行きましょう)

    (そうだね)

    「……失礼します」

    140 = 1 :

     ガラッ

    「っ……!!」ゾワッ

    健夜「あなたが一番に来たか……おはよう。今日はよろしくね」ゴゴッ

    「よろしくお願いします(オカルトに疎い私でもわかる……すごいプレッシャー……これが世界最強の雀士……!!)」

    ()スッ

    (さ、咲さん……!)

    健夜「どうしたの、原村さん。座らないの?」

    「あ、いや……その……(座りたくても座れないというか……)」

    (……あれ?)

    (ど、どうしたんですか、咲さん?)

    141 = 88 :

    まさか末原さん出番これで終わりなの・・・

    142 = 1 :

    (和ちゃん……なんだかこれ、点棒がおかしいよ? 小鍛治さんのとこだけ1000点で……あとの三人は33000点……?)

    (ああ、それはハンデですよ。新初段とタイトルホルダーが普通に打つわけないじゃないですか)

    (なっ……そんな大事なことなんで教えてくれなかったの!!!?)

    (えっ?)

    (確かに私は小鍛治さんと打ちたいって言ったけど、別に打てればなんでもいいってわけじゃないんだよ!? 真剣勝負じゃないと意味がないんだよっ!!)

    (ええええ……そんな……私だってついこの間まで知りませんでしたし……)

    (危なかったよ。和ちゃんのせいで、大事な一局が台無しになるところだった)

    (な、なんですかその言い方!?
     私だって……私にとっても小鍛治プロと打てる機会は大事なものだったんです。それを……咲さんが打ちたいっていうから……)

    (ハンデを背負ってる人に勝ったって、なんの意味もないよ。私が興味あるのは、あくまで最高状態のこの人だから)

    ()カチーン

    143 = 1 :

    (…………本当に勝てるんですか?)

    (は?)

    (咲さんの強さは、よく知っています。けど……小鍛治九冠だって、間違いなく強いです。案外、ハンデを背負ってても、小鍛治九冠が勝っちゃうんじゃないですか?)

    (和ちゃん、それどういう意味かな)

    (言葉通りの意味です。咲さんは、ハンデがあったら小鍛治九冠に勝てるみたいに言ってますけど、私には、ちょっと信じられないです)

    (ふうん……和ちゃん、これだけ一緒にいるのにまだ私の強さがわからないんだね。いいよ……わかった、そこまで言うなら、打つよ。
     ただし……私がハンデを背負ってね!!)

    (えっ……?)

    (私の点数を、32000点、小鍛治さんにあげる。子の役満直撃分。それで勝てば文句ないでしょ?)

    (あ、いや、別にそういうことをしてほしかったわけじゃ……)

    (なんだか燃えてきたよっ!!)ゴッ

    (き、聞こえてない……)

    144 = 1 :

    健夜「(ん……なんだか妙な気配を感じる……)あ、あの原村さ――」

     ドタドタッ ガラガラッ

    「おっはよーございまーすっ!!!」

    健夜「淡……扉は静かに開けなさい」

    「(あ、小鍛治九冠……もう来てたんだ、早っ!)お、おはようございます!」

    健夜「おはよう、新子さん。さあ、全員揃ったことだし、まだ対局開始までは時間があるけれど、場決めをしましょうか」

    三人「はいっ!!」

    145 = 1 :

     ――観戦室

    晴絵「おっ、やってるやってる」ガラッ

    シズ「あっ! 赤土先生!! それに宥さんと灼さんも!」

    「来ちゃった……」

    「まあ、来ないわけにはいかないよね」

    南浦「(赤土門下の人たち……)あ、あの……」

    晴絵「ん、君は確か……南浦さんか。どうした?」

    南浦「松実さん……松実玄さんは、お元気ですか?」

    晴絵「ああ、玄な。元気そうだぞ。この間、中国から手紙が届いた」

    146 :

    昨日、気づいたときには落ちてたから、続きないのかと思ってた。
    よかったよかった

    147 = 1 :

    南浦「ちゅ……中国ですか……」

    晴絵「言葉に慣れるのが大変だそうだ。麻雀そのものは、言葉が通じなくても打ててるみたいだけどな」

    南浦「そうですか。まあ、元気ならよかったです」

    晴絵「心配してくれてありがとう。何か、あいつに言いたいことがあれば伝えておくが」

    南浦「いえ、会ったときに、自分で直接言います。お気遣いありがとうございます」

    「ハルちゃん……玄のことも大事だけど、なんか和が大変なことになってるっぽい……」

    晴絵「え?」

    148 = 67 :

    中国って麻雀のルール結構違うよね……

    149 = 1 :

    「これは……何があったの……?」

    晴絵「シズ、東一局の配譜、あるか?」

    シズ「どうぞどうぞ!」

    晴絵「…………なんだ、これ? 小鍛治さんの先制リーチに……和が三連槓……?」

    「嶺上開花和了り拒否……そのまま小鍛治九冠に放銃」

    「カン裏モロ乗りで……小鍛治九冠はリーチドラ十二……数え役満。子だから32000……」

    晴絵「わけがわからないぞ……和。というか……これじゃまるで……」

    トシ「わざと放銃した……そんな風に見えるねぇ」

    晴絵「うわっ!? 熊倉さん……なぜここに……!!?」

    トシ「もちろん、注目の好カードだからだよ。去年よりよっぽど面白そうな卓じゃないか。特に……あの原村和」

    晴絵「和が、なにか……?」

    トシ「何か、とはね。あんた、あの子の近くにいて何も感じなかったのかい? 私はちらっと見ただけでビビビっとカンが働いたもんだけどねぇ」

    晴絵「カン、ですか。非科学的ですね」

    トシ「私のカンを甘く見てるうちは、いつまで経ってもタイトルを獲れないよ」

    晴絵「ご忠告痛み入ります」

    150 = 1 :

    トシ「小鍛治も……あの子のことは気にかけているみたいだね。この新初段シリーズ、石戸九段の誘いに、二つ返事で承諾したそうだよ。
     私を煩わせるわけにはいかないから……とかなんとか言ってたそうだが」

    晴絵「まあ、小鍛治さん……というか、小鍛治さんの門下の宮永照ですね。
     彼女と原村和は、以前、ちょっとした衝突をしてまして、そのときに小鍛治さんも一度和と卓を囲んでいます。それなりに気になってはいたはずですよ」

    トシ「宮永家の生き残りとも因縁があるのかい。ますます面白いじゃないか、原村和」

    晴絵「それで、さっき和がわざと放銃したとか、そんなことをおっしゃっていましたが、仮にそうだとして、なぜそんなことをしたんだと思います?」

    トシ「決まってるだろ、ハンデをあげたのさ」

    晴絵「は……? ハンデ? 和が、小鍛治さんにですか? そんなバカな」

    トシ「私だってそう思うよ。けど、そうとしか見れないじゃないか。ただのリーのみにわざわざカンドラを加えて、嶺上開花を和了り拒否してまで差し込み。
     これで、小鍛治と原村和の点数がひっくり返った。対局が始まったときは小鍛治が背負っていたハンデを、今度は丸々原村和が負っている。あからさまじゃないか」

    晴絵「しかし、小鍛治さん相手にハンデを背負って……一体何が狙いなんです」

    トシ「もちろん、勝つことだろうね」

    晴絵「ありえない」

    トシ「私だってそう思うよ。小鍛治健夜は名実ともに世界最強の雀士だ。その小鍛治相手にハンデを背負って勝てる人間なんて……現世にはいないだろうね」


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