元スレ咲「ノドカの牌」
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51 = 1 :
――
玄「ロン……!」ゴッ
淡「え――!? そ、そんな……嘘……!!?」ゾッ
玄「……あれだけカンすれば狙われるよ、当たり前」
淡「けど……! 私がどの牌で暗槓するかなんて……わかるはずないっ!!」
玄「淡ちゃんのカンはドラになるんでしょ……? ドラが来なくなっても……私にはドラが見える……ドラが見えるなら……槓材が何かもわかる……」
淡「で、でも……暗槓を槍槓できる役は……!!」
玄「うん。一つしかない、よね」パララララ
淡「……っ!!!?」
玄「国士無双。32300だよ」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
53 :
速報行った方がいいんじゃないかな
54 = 1 :
淡「こ……こんなのって……!!!」
玄「さあ……次は私の親番だね……」
淡「い、いい気になるのは早いよっ!! これだから浮き沈みの激しいタイプは嫌だよねっ!! マグレで一発当てたからって調子に乗るなってのっ!!」
玄「淡ちゃんこそ、こんなマグレに振り込んだくらいで動揺するなんて……ちょっと精神的に未熟なんじゃない?」
淡「こ……の……!!!」
玄「淡ちゃん、淡ちゃんは強いから、私みたいな雑魚に負けることはないんだよね?」
淡「そうだよっ!! 負けるわけないじゃん!!!」
玄「じゃあ……私に負けたらさっきの言葉は撤回して。穏乃ちゃんは弱くなんかない。先生だって、他のみんなだって……私より強いよ。
私はうちの門下のお荷物だから……そんな私を倒せないような淡ちゃんに……みんなを雑魚呼ばわりする資格はない……そうでしょ?」
淡「いいよっ!! もし玄さんが私に勝てたらね!! その代わり、玄さんが負けたら、みんなの前で頭下げてよねっ!!
雑魚門下が調子に乗ってすいませんでしたって!! 大声で言ってもらうからっ!!!」
玄「きゃんきゃん騒がしいよ、淡ちゃん。まるで喧嘩に負けた犬みたい」
淡「~~~~~~~~~っ!!!!!」
55 :
糞生意気な子が凹られるのを見ると最高にスカッとするね
56 = 6 :
しえん
57 = 1 :
――
憧(玄……よかった。なんとか持ち直せたみたい。ドラには……まだ拒否されてるみたいだけど……けど、別にドラだけが玄の麻雀じゃない……! 頑張って、玄……!!)
憧(っとっとっと……って、他人の心配してる場合か、私。起家でがきんちょのハネ満親っ被りして、今のところラスだってのに……)
憧(やっぱり……ハルエの言う通りだったな……私はまず……私自身がしっかりしなきゃ……!!)
58 = 1 :
――
晴絵「玄が連敗してる? へえ、そうなのか……」
憧「そうなのかって……冷たくない!? 今は大事なプロ試験中なんだよっ!? 院生の順位戦でちょっと調子を崩してるのとは違う!!」
晴絵「誰にだって勝てないときはある。絶望して牌を握れなくなることも、な。けど、連敗ってことは、玄はまだ戦いを完全にやめたわけじゃないんだろう?
だったら大丈夫だよ。少なくとも、憧の出る幕じゃない」
憧「で、でも……私、玄のこと心配で……」
晴絵「心配、か。そんなことより、お前は自分の心配をしたらどうだ?
玄が調子を崩したんなら、四位のお前は遠からず合格圏内に入るだろう。けど、玄が調子を取り戻したら、一体お前はどうするつもりなんだ?」
憧「そ、それは……玄や和やあのがきんちょに勝てば……」
晴絵「勝てるのか? 本当に? 現状だけ見れば、お前は四位、上位三人よりも僅かに下なんだぞ……?」
憧「それは……」
60 = 1 :
晴絵「憧……お前はいいやつだよ。
年のわりにしっかりしてるし、周囲のこともよく見えてる。誰とでもすぐ仲良くなるし、目上の人に気配りもできる。感情的なようでいて、いざとなればスイッチの切り替えも上手い。
純粋な麻雀の技術だって……うちの門下で一番センスがあるのは、お前だと思ってる。飲み込みは早いし、言ったことはちゃんと聞き入れて、応用までしてみせる。
正直、お前ほど育て甲斐のある弟子はいないよ」
憧「ハルエ……」
晴絵「けど、だからって甘えるな」
憧「っ……!!!」
晴絵「私はな、憧。別に学校の先生じゃないんだ。聞き分けのいい子供を育てたいわけじゃない。色んなことに気を回せるしっかり者を世の中に送り出したいわけでもない」
晴絵「私がお前を弟子にしているのは……他でもない、麻雀のプロになってほしいからだ。その辺りを勘違いするな。お前はただ、今は、自分のことだけを考えろ。
和だってあの二週間で化けたんだ。お前だって、そろそろ殻を破らなければ前に進めないぞ」
晴絵「いいか、憧、何度でも言うぞ……?」
晴絵「プロになれ。お前なら絶対になれる。穏乃にも、和にも、玄にも……宥や灼……それに私にも遠慮は要らない」
晴絵「今は自分のためだけに打て、憧。落ちていくやつに気を取られて脇目を振るな。ひたすら前だけを見て走るんだ。わかったな……?」
憧「…………はい……先生……」
61 = 1 :
――
憧(ハルエ……ハルエの言った通り……和は自分で道を切り開いて強くなった……玄だって自分の力で前に進み始めた……私も今のままじゃダメなんだ。
ただのいい子や……上手い子じゃダメ……! プロに……プロになるためには……もっともっと強くならなきゃ……!!!)
憧(和……今の私の目標は和だよ……! 実際……少しずつだけど……差を縮めることができてる……!!
今まで……ハルエのところでは……玄たち先輩三人がちょっと特殊だから……完全デジタル派の雀士と打つ機会が少なかった……)
憧(けど……そこにあんたが現れた……!!
和の打ち筋は私の理想に近い……ただ、私には和みたいな頭はないから……完全デジタルってわけにはいかないけど……それでも……参考になる部分はいっぱいある……!!)
憧(感謝するよ、和。和と打つたびに……私、自分が強くなってるのがわかる。もちろん……和の真似をしたって和に勝てるわけないってのも……わかってる!
だから……そこは私らしく行くんだ……!!)
憧「チーッ!!」
63 = 1 :
憧(スピード勝負よ……和っ!! ダブリーを仕掛けてくるがきんちょにスピードと手数で勝り、完璧なまでの和了効率を誇る和だけど……こと速攻では――負けられないっ!!)
和(憧さんの打牌から……迷いが消えた……? 玄さんがやる気になってくれたからでしょうか……それとも、憧さんの中で何かが吹っ切れた……?)ヒュン
憧「ロンッ!! 3900ッ!!」
和(む……さすが鳴き麻雀を得意とする憧さんですね。時折見せるキレのある副露……真似できる気がしません……!!)
憧(っしゃあ!! これで三位浮上っ!! がきんちょが玄に気を取られている隙に……二位に滑り込んでやるっ!!)
65 = 1 :
――終局
淡「うううううううううううう…………!!!!!」ダッダッダッ
シズ「う、うわっ、大星さんっ!!?」
淡「あ……む……え…………ごめんなさい……」
シズ「え? ええ?」
淡「か、勘違いしないでよねっ!! 別にあんたのことを認めたわけじゃないんだから!! ただ……あんたの先輩は……そこそこやるなってだけで……」
シズ「よ、よくわからないけど、う、うん」
淡「じゃあね!! あ、あと……あんたたまにすごい粘り強いときあるから……あんま早打ちしないで、じっくり考えればもっと和了率上がるんじゃない!?
知らないけどねっ!!!」ダッダッダッ
シズ「い……一体何が……?」
憧「おー、シズ。そっちも終わりー?」
シズ「憧さん……えっと、な、何があったんですか?」
憧「ああ、がきんちょね。玄を怒らして返り討ちにされたのよ。こりゃまた長いトイレタイムが始まりそうね~」
シズ「えっ……玄さんがって……それじゃあ!!」
憧「そういうこと。ね、玄?」
玄「え、えっと……ご心配をおかけしてすいませんでした」ペコリ
66 = 45 :
しえん
67 :
っしゃキターー! そして追い付いてしまった!!
支援!
68 = 1 :
シズ「玄さん……!! よかった……本当によかったですっ!!」
憧「玄ったら、ドラなしでもけっこう打てるのよ。さすがは万年院生一位」
和「それは褒め言葉じゃないような……」
シズ「おっ、玄さんと……憧さんが勝ったんですか!?」
憧「そういうこと。ま、先輩の意地よね」
和「次は負けませんよ」
シズ「くー! いいなぁ!! 私も混ざりたいっ!!」
憧「あっ、確か、明日また私と和とシズが揃うわよね。じゃあそこで勝負よ、シズっ!」
シズ「望むところですっ!!」
ワイワイ
玄「あ、あの……みんな……」
69 = 1 :
玄「その……本当に、ごめんなさい。心配もかけちゃったし……ずっと一緒に頑張ろうって言ってきたのに……年長の私が……こんなことになっちゃって……」
シズ「いいんですよ、玄さん。玄さんがまた勝ち始めたっ! それだけで十分ですっ!!」
玄「ありがとう……でも、お願い。言わせてほしいの。私ね……あのとき、心の中で……みんなを裏切ったの」
玄「チョンボして……チョンボしたっていう自覚もあったのに……みんななら見逃してくれるんじゃないかって……私……自分が勝つために……みんなとの仲を利用しようとした」
玄「本当に……ごめんなさい。許してほしいなんて言わない……けど……この先も……みんなさえよければ……私と友達でいてください……お願いします……」
シズ・和「玄さん……」
憧「あははっ!! 玄ったらバッカねー! そんなつまんないこと気にしてたのっ!?」
玄「えっ……憧ちゃん……?」
憧「私たちはさ、玄、友達でライバルなのよ? どんな手を使ってでも勝ちたいって思うのは、当然でしょ!!
むしろ、友達だから負けてもいいとか……そういう甘っちょろいこと考えるやつのほうが、私はヤダっ!」
玄「憧ちゃん……」
71 = 1 :
憧「私たちは雀士だもん。本気で勝とうとしてるからこそ……友達を裏切ることもある。けど……それでいいじゃない。本当の友達なら……裏切られたくらいでとやかく言わない。
それどころか、喜ぶべきよ! この人は、自分に本気で勝とうとして打ってるんだって……そのことを幸せに思うべきなの! それが私の思う友達よ!」
玄「そんな……だって、私はズルいこと考えて……」
憧「じゃあ、玄はどうなの!? 私だってあのときズルいこと考えてたよ? 玄がチョンボすれば私の勝ち星が増えるって、卑怯かもしれないけど内心ではラッキーとか思ってたよ?
だって……私はプロになりたいもん。せっかく格上の玄に勝てるチャンスだったんだから……そりゃ喜んじゃうでしょ?
ねえ、玄……玄はこんな私のこと、嫌いになる? 玄は、私が勝つためにズルいこと考えてたって知って……友達じゃなくなっちゃう?
ねえ、どうなの……!!?」
玄「そんなことない……!! みんな……ずっと友達だよ……!!」
憧「なら、もういいじゃん。私らみんな、玄と同じ気持ちだよ」
シズ「そうですよっ、玄さん!! 私は玄さんのこと大好きですよっ!!」
和「玄さんのあれはミスですから。イカサマとは違います。あれくらいのことで玄さんを見限ったりはしません」
玄「みんな……あ……ありがとう……!!」ポロポロ
憧「おーおー、よしよし」ナデナデ
玄「わ……私……あれから……ドラに見放されて……!! それで……同じように……みんなにも見放されるんじゃないかって……恐くて……恐くて……!!!」
憧「そんなわけないでしょ。本当にバカねー、玄は」
玄「みんな……ごめんなさい……ありがとうございましたっ……!!」
73 = 1 :
憧「ま、でも、玄が私らやハルエや有姉や灼に迷惑かけたことに変わりはないわよね」
玄「そうだよね……」コテンテキイシガーン
憧「だから、玄は罰として、これからのプロ試験、最終日まで全力で打って……本気でプロを目指すことっ!! それで許してあげるわよっ!!」
玄「えっ……憧ちゃん……?」
憧「どうしたの? この罰じゃ納得いかない?
ハルエと一日タメ口で話す罰とか、有姉の服を剥ぎ取る罰とか、灼の目の前でネクタイにケチをつける罰とかのほうがいい?」
玄「むりむりむりむり」ブルブルブルブル
憧「でしょ。だったら言うこと聞く」
玄「でも……それじゃあ憧ちゃんが……」
憧「私が、なに?」
75 = 1 :
玄「ううん。なんでもない。今のは聞かなかったことにして。そうだね……私、頑張るよ。図々しいかもしれないけど……やっぱり……プロになりたいから」
憧「上等。ただ、悪いけど、玄がぼやぼやしてる間も私たちは勝ち続けてきたからね。簡単にプロになれるだなんて思わないでよ?」
玄「うん、わかってる。改めて、みんな、明日からもよろしくお願いします」ペコリ
松実玄:91勝49敗(四位)
シズ「こちらこそっ!!」
高鴨穏乃:48勝92敗(十一位)
和「よろしくお願いします」
原村和:103勝37敗(二位)
憧「よろしくねっ!!」
新子憧:98勝42敗(三位)
76 = 1 :
――帰り
ワイワイガヤガヤ
和「(あ……あれは……?)あ、すいません。皆さんは先に帰っていてください。お疲れ様です」タッタッタッ
憧・玄・シズ「お疲れ様~」
――日本麻雀院・駐車場
和「あ、あの……どうしたんですか……月なんか見上げて……」
久「なによ、私が感傷的になってたら変かしら? こう見えて、心はけっこうか弱い乙女なのよ」
和「何があったんですか……?」
久「決まってるじゃない。崖から手が離れちゃったの」
和「あ……」
久「和のお友達の……新子さんだっけ。あの子が今日、和に勝って……98勝。私は今71勝でね。対局はあと27半荘……どう足掻いても同着三位が限界」
竹井久:71勝69敗(六位)
久「参ったわ。麻雀の腕にはそこそこ自信があったんだけどね。それでも……ちょっと遅過ぎたかしら。
昔の後輩の影をネットに見つけて……プロになればその影の正体を掴むことができるかもしれないって思って、プロ試験を受けられるぎりぎりの年齢で挑戦してみたけれど……。
こんなブランク明けの錆び付いた腕で越えられるほど、プロの壁は低くなかったってことよね。それはもちろん喜ばしいことだけれど……今はただ、自分の力のなさが口惜しいわ」
77 = 1 :
和「久さんは……弱くないと思います。むしろ、トップ合格してもおかしくないんじゃないかって……本戦前の合宿では思ってました」
久「受ける前は、私もそう思ってたわ。でも、ダメね。気楽に打てるネット麻雀や、みんなとわいわい打てる合宿と違って……ここでの勝負は真剣勝負。
どうにも……ここ一番って場面になると……手が震えちゃって。うまくツモることができないの。
残念だわ、試験中に一度はあなたに見せたかったのに。私の必殺技――ダイナミックツモ・ザ・スカイ牌を……」
和「そんなものは見たくありません。というか、ツモることができないってツモり方の話ですか。妙な曲芸をすると鹿倉さんが黙ってませんよ?」
久「冗談よ。とにかく、私はここまでってこと。ま、幸い教員免許があるから、再就職先はほどなく見つかると思うんだけどね」
和「そうですか……」
久「ああ……けど、なんだかむしゃくしゃするわね。和……あなた、ちょっと私の憂さ晴らしに付き合いなさいよっ!!」
和「え、い」
久「さあ行くわよっ!!!」ガシッ
和「いやあああああああああ!!!!」ズルズル
79 = 1 :
久「夜は車が少なくていいわねええええええええ!!!!!」
和「ひゃああああああああああああああああああ!!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
久「和あああああああ!! あなた本当に強くなったわよおおお!!!!」
和「えええええ? 何を言ってるですかああああああああ!!!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
久「私みたいなアラサーはもう世代じゃないのよおおおおおお!!!」
和「だから聞こえませんってえええええええ!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
久「だああああかああああらああああああ!!!!!」
和「えええええええええええええええええ!!!!?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
久「プロになるのはあなたに任せた!!!!」
80 :
ずっと疑問だったんだがなんでsageるん?
投下すればするほど落ちてしまうぞ
81 = 67 :
名言キターーーーーー!!!
82 = 50 :
支援、もういっこ支援
83 :
ずっと疑問だったんだがなんでsageるん?
投下すればするほど落ちてしまうぞ
84 = 1 :
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドド
ドドド
ドドキイイイイ
和「久……さん……?」
久「後輩のことは、もちろんあるけれど、それだけが私がプロになろうとした理由じゃない。麻雀からは……しばらく離れていたんだけどね、たまたまコンビニで麻雀雑誌を立ち読みして……驚いたわ」
久「九年前のインターハイ。そこで私と一緒に夏を過ごした選手たちの多くが……今はプロになって活躍していた。がつーんって来たわ。
それで、思ったわけよ、私はこんなところで何を遊んでいるんだろうって」
久「確かにね、ちょっとだけ大変なことがあったの。でも、私以外のみんなは、それを乗り越えて、今でも麻雀を続けている。それを知った瞬間……涙が溢れてきた……」
久「私が、どれだけ麻雀を好きだったか。あの夏がどれだけ楽しい――夢のような夏だったか。私以外のみんなは……その夢の続きを今でも……必死に追っている。
そこに……また混ざりたかったのよね……もう一回……私もあのお祭りに参加したいって思った……」
久「けど、現実はそう甘くない。私はプロになるには年を取り過ぎたわ。今はもう、和たち新しい子の時代なのよ。
私みたいな行き遅れの旧世代は……遠くから見てるのがお似合い」
久「だから……和。プロになるのはあなたに任せた。私の夢は……あなたに預ける。明日からのプロ試験も……頑張ってね。あなたなら、きっと合格できると思うわ」
久「今日は付き合ってくれてありがとう。確か、和の家ってここでよかったわよね。それじゃ……ゆっくり休むといいわ。バイバイ……」
86 = 1 :
和「ま、待ってくださいっ!!!」
久「あら……どうしたの?」
和「その……久さん……九年前のインターハイに出たんですよね!?」
久「そうよ」
和「個人戦の決勝卓って……誰だったか覚えていますか……?」
久「四人のうち、一人はあなたの知らない人よ。私の後輩」
和「他の三人は……?」
久「天江五段と、神代二段。有名でしょ?」
和「残りの……一人は…………?」
久「ふふ、聞いて驚かないでね……なんと――この私よ」
和「そ、そんな人が……どうしてたった一回の失敗で諦めるんですか!!?」
久「仕方ないじゃない。私はもう忘れられた人間なの。今更になって表舞台に立とうって思ったのが間違いだったのよ。
時代は変わる。今は、和たちの時代。私なんてお呼びじゃないのよ」
和「そんなことはありません……!! 久さんのことを……待ってる人だっていますっ!!!」
久「そんな人……」
和「バイク、出してくださいっ!! 久さんに……会わせたい人がいます……!!!」
87 = 1 :
久「ここは……?」
優希「あっれー!? のどちゃんじゃないか!!? どうしてここへ?」
和「優希!? と……」
まこ「おう、久し振りじゃのう、和。おっ、ちょっと見んうちにまた胸を肥やしよって」
和「染谷先輩まで。どうしたんですか?」
まこ「今日はここで小学生の地区大会があってのう。ちょうど今終わったとこで、わしはこいつの応援じゃ」
和「ということは、花田先輩も?」
優希「花田先輩はあっちでマホムロと話してるじぇ。呼んでくるか?」
和「あ、いえ……それよりも、先生は今どこにいますか?」
まこ「あぁ、先生なら……」
美穂子「優希ちゃーん、表彰式をするわよー。ロビーに集まって……って……原村さ…………ん?」
和「あ、先生。夜分にすいません。その……」
美穂子「……あ……あなたは…………!!!?」
久「……み…………美穂子……」
美穂子「上埜さあああああああああああん!!!!!!!」ガバァ
88 :
淡さんツンデレだったのか
89 = 1 :
美穂子「上埜さんっ!!!? 今まで何をしていたんですか!!?
ずっと心配していたんですよ!!! 連絡は取れないし、引っ越してしまうし……麻雀界でも話を聞かないしっ!!!!」ギュウウウウ
久「あは……ちょっと、家庭の事情とか、色々あって」
美穂子「でも……本当によかったです。生きていたんですね……!!! もう……二度と会えないと思っていました……!!!!」ギュウウウウ
久「大袈裟よ……まったく、美穂子は昔から、思い詰めると思考が極端になるわよね」
美穂子「上埜さんのことだけは特別なんですっ!!!」ギュウウウウ
久「ははは……で、でも、ちょっと周りの目をはばかってほしいというか、お子様たちの目が点になってるわよ……?」
美穂子「っ……!! 失礼しました……!!?」バッ
和(こんなに取り乱している福路先生は初めて見ました……)
優希(というか、先生の右目……)
まこ(オッドアイじゃったんか……)
90 = 1 :
美穂子「それで……上埜さん、どうしてここに?」
久「それは……えっと……」
和「先生、聞いてください。この久さん、今一緒にプロ試験を受けてるんですが……今日の結果でもう合格の可能性がほぼ消えてしまったんです。
で、久さん、自分はもうプロになるのは諦めるとか言うんです。先生は、どう思いますか?」
美穂子「それは……そんなの……許しませんよっ!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
久「あは……やっぱり……?」
91 = 1 :
美穂子「上埜さんはプロになるべきです。
何年かかっても……絶対にです。弘世さんも、愛宕さんも、天江さんも神代さんも皆さん強いですが……私たちの世代は上埜久なくしては語れませんっ!!
そんな上埜さんがなんですか……? たった一回の挑戦で諦めるんですか? まだ二十七じゃないですか。あと三回もプロ試験を受けられるのにっ!!」
久「い、いやでも……私ほら……ちょっと昔のトラウマがあって調子が出ないというか……」
美穂子「それなら、私と一緒に、ここの教室で子供たちと触れ合いましょう。きっと辛い思い出だって克服できるはずです。
かつて、赤土九段も同じようにして苦難を乗り越えたと聞いたことがあります」
久「えっと、でも就職とか……」
美穂子「私が養いますっ!!!」
久「」
和「い、いや、福路先生……それは……あの、久さん教育免許を持っているそうなんで……臨時講師とかそういう……」
まこ「む、教員免許じゃと? それは……高校の教師になることは可能なんか?」
久「まあ、別にそんなほいほいなれたら苦労はないけど、不可能ではないわよ」
優希「おっ、染谷先輩……これはついに見つけた感じかもしれないじょ……!?」
まこ「おお、そうじゃな。竹井久さん、じゃったか。その……清澄高校に就職することはできんのか!?」
久「えっ、どうして……?」
93 = 67 :
そうそうすぐに教師に就職できるのか……
清澄って私立だっけ?
94 = 1 :
優希「染谷先輩たちは今年のインターミドルで全国優勝したんだじょっ!!
でも、染谷先輩たちが進学する清澄高校に麻雀部はない……たとえあったとしても、ちゃんと麻雀の指導ができる顧問がいないと……さすがにインターハイで勝ち上がるのは難しいじぇ……!!」
まこ「ほういうわけで、ずっと麻雀の強い先生を探しとったんじゃ!! さすがに学校の顧問をプロに頼むわけにはいかんけえ……その点、まだプロになってない竹井さんなら大丈夫じゃ!!
よう知らんが、竹井さんはインターハイの個人戦で決勝卓に着いたことがあるんじゃろ? ほんで、そこでなんか嫌なことがあった、と。
じゃったら……わしらともう一回インターハイに出て……その過去を乗り越えたらええ!!」
美穂子「それは名案ですね。わかりました。上埜さんを麻雀部顧問に雇うよう、私からも学校にお願いしてみます。
学校側だって、インターミドル王者の染谷さんたちを受け入れるのに、まともなコーチがほしいと思っているでしょうから、たぶん大丈夫でしょう」
95 = 1 :
優希「やったじぇ染谷先輩っ!! これで清澄高校麻雀部の誕生だじぇっ!!」
まこ「ほうじゃな。どうなることかと思ったが、竹井さんみたいな人に巡り会えるなんて……これは天が味方してくれてるとしか思えんのう!!」
久「いやいや、だから私は……」
和「引き受けたらいいじゃないですか、久さん。久さんだって、無職になるのは避けたいでしょう? (それに、これを断ると福路先生に囲われるコースですよ)」コソッ
久(た、確かに……!)コソッ
和「それに、以前久さんが言ってた私の守護霊さん? も、やったらいいよって言ってます」
咲(しばらく黙ってたけど、ここで喋り損ねたらすんごい仲間外れになる予感がしたよっ!!)
97 = 88 :
咲さんもうすぐ消えるのに出番ないなあ
98 = 1 :
久「そうね……じゃあ、まあ、そういう方向で話を進めてもらってもいいかしら? 悪いわね……何からなにまで……」
美穂子「いいえ、全ては上埜さんにプロになってもらうためです」
久「えっと、どうしてもプロにならなきゃダメ……?」
美穂子「当然です」
久「何年掛かるかわからないわよ? そもそも、私がちゃんと昔のように打てるようになる保障がないし……」
美穂子「大丈夫です。私は上埜さんの力を信じてますから」
久「仮に、私が全盛期の力を取り戻したとして……高校の教師になってインターハイに出るんだったら……来年の夏はプロ試験なんて受けてられないわよね?
そうすると……私がプロになるのは最長で三年後ってことになっちゃうけど……」
美穂子「上埜さんのプロ入りが三年伸びるくらい、なんともありません。私は九年間……ずっと上埜さんのことを待っていたんです。今更三年くらい……いくらでも待ちますよ」
久「なんか……ごめんなさいね」
美穂子「上埜さんが謝ることじゃありません。私は……上埜さんのことが好きですから。いくらでも待っています。心配しないでください。待つのは……慣れっこですから」
久「……ありがとう、少し、頑張れる気がしてきたわ」
99 = 1 :
美穂子「それはそうとして、上埜さんには高校麻雀部の顧問、うちの教室のお手伝いのほかに、当然ですが、プロ試験に向けての特訓をしてもらわないといけませんっ!」
久「えっ……?」
美穂子「まずは、私が指導麻雀をします。それから、高校の頃に上埜さんに敗れて借りを返したいと思っているプロを、片っ端から集めます」
久「あの、その……福路さん……?」
美穂子「私の指導はスパルタですよ?」ニコッ
久「ちょ」
美穂子「教え子のためなら平手打ちも辞さないですよ?」ニコッ
久「ま」
美穂子「『久ァァァァァ! なんだあの六筒切りはァァァァ!!!』とか言っちゃいますよ?」ニコッ
久「え」
美穂子「ふふふふふ……上埜さん上埜さん上埜さん上埜さん上埜さん上埜さんが帰ってきた上埜さんと特訓特訓二人きりで上埜さんと上埜さんと……」ウフフフフ
100 :
まこって敬語使えたんだな
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