元スレ和「ーーー理想を抱いて溺死しろ?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
1 :
立たないはず。
2 = 1 :
立ったからコレ↓の続き。
咲「えっ、聖牌戦争…?」
3 = 1 :
――――― ???
『久、ウチを連れて逃げてぇな!! もうウチにはアンタしかおらんのや!!』
『…無茶を言わないで洋榎。私だって貴女を愛しているわ。でも…』
『…ええわ。久に捨てられたら生きてる意味なんてあらへん、いっそ道頓堀にでも飛び込んで…』
『待って洋榎! わかった、わかったから落ち着いて!! 大丈夫、私が貴女を置いて行く訳ないでしょ』
『ホンマか!? やっぱ腹割って話せば人間分かり合えるもんや… 久……?』
『………えっ?』ザクッ
『ざ、ざまあ見さらせや、おねーちゃんを惑わすこの泥棒猫がァッ!!』
『絹ッ、アンタ何してんねん!? 久、しっかりせぇや!!救急車、救急車や!!!』
『…これで、これで終いや!ウチとおねーちゃんを邪魔する奴はみぃんな消したったで!! あはははははは』
『久、しっかりせぇや!! なぁ、目開けてぇな!!』
『痛い…、寒い…… 何よ、何なのよコレ? 嘘でしょ、こんなの嘘でしょ? こん…なのって……』
4 :
はやく
5 = 1 :
―――――
ランサー(…何故今頃になってこんな記憶が)
福路「・・・ねえうえのさん、きいていますか?」
ランサー「…失礼しました美穂子様。このランサー、必ずやセイバーの首級を捧げましょう」
池田「そんなの今更誓うことじゃないし! ったく、こんな時に集中を欠かすなんて大丈夫なのかよ?」
ランサー「申し訳ございません… 時に主よ、戦いに臨む前に一つだけこのランサーからご忠告が」
池田「なんだよ …まさか臆病風に吹かれて戦いが怖くなったとでも?」
ランサー「いえ、セイバーとの闘いが始まりましたら御身を御護りすることが叶いません」
福路「ええ、それはしようちしています。うえのさんはたたかいにしゆうちゆうしてください」
ランサー「…ハッ、セイバーのマスターが策を弄してくるとは思えませんが、その間はくれぐれも御用心を」
池田「そんなこと、お前に言われなくてもわかってるし! …でも確かに危ないですから、キャプテンは離れていてくださいね」
福路「そうね、上埜さんの足手纏いにはなりたくないからそうするわ。 …あら、相手の人たちが来たみたいね」
6 = 1 :
和「…どうやらランサーたちは既に到着していたようですね」
セイバー「うん。和はここで待っていて。 …待たせたな、ランサー」
ランサー「気にしないで。待たすことはあったけど、逆はなかったからおかげで貴重な経験ができたわ」
セイバー「そう…、でも礼には及ばない」
ランサー「…いいえ、貴女にはちゃんと御礼を言っておきたいわ。勝負を受けたくれた礼を」
セイバー「…そんな必要はない。こちらも正々堂々とした闘いに臨めて嬉しい」
和(あのランサーのサーヴァント、昼間とは雰囲気がだいぶ違う… セイバーさんは大丈夫でしょうか…)
ランサー「それは良かったわ。 …それじゃあ邪魔が入らない内に始めましょうか、チャンピオン?」
セイバー「ああ、いつでも構わな… ……ん? こんな時にアイツ、一体何をしに?」
8 :
待っていたぞ
9 = 1 :
ライダー「待て待て待て~ まさかお前たち、ここで本当に闘うつもりか~?」
ランサー「…ライダー、貴女も雀霊の端くれならば勝負に水を差す無粋な真似は止めてくれない?」
セイバー「ああ、これは私とランサーの勝負。邪魔立てするのなら容赦はしない…」
まこ「そうじゃそうじゃ! コイツらが潰しあった所をワシらが叩くんじゃなかったんかい!?」
ライダー「最初はそれでもいいかなぁ~、って思ってたけどコイツら本気で決着つけるみたいだからなぁ ワハハ」
まこ「それのどこがイカんのじゃ? 勝手に潰しあってくれてワシらは万々歳じゃ… ぷげっ?!」ベチン
ライダー「全くこのワカメは… いいか、お前も麻雀部の部長なら有能な雀士はもっと大事にしろ~」
ライダー「…っていかんいかん、また話がそれちゃったぞ。 でな、セイバーとランサー。ちょっと私の話を聞かないか~?」
ランサー「 何よぉ? そこの子が言ったみたいに漁夫の利を掠め取ろうってなら本気で怒るわよ」
ライダー「あ~、そんなことする訳ないだろ~ そんなことより二人とも、私の軍門に下る気はないか~? ワハハ」
セイバー「は…!?」
10 = 1 :
ライダー「そしたら私はお前たちを友として遇し、雀士として世界を征する快悦を共に分ちあうぞ~」
ランサー「…貴女、それ本気で言ってる?」
ライダー「本気に決まってるだろ~ ワハハ」
セイバー「…そんなふざけたことのために私とランサーの勝負を邪魔したとは、度が過ぎるぞライダー」
まこ「おい、何が『私に任せろ~』だ!! お前、あいつらを手下にできるって言ったのは何だったんじゃ!?」
ライダー「…あ~、ほら何でもやってみないとなぁ~」
まこ「こんのどアホぉがあぁッ!!」
ライダー「ワハハ~、済まん済まん。 …じゃあ、もったいないけど諦めるとするか。邪魔して悪かったな二人とも~」ドサッ
ランサー「…ねぇ貴女、そんなとこに座って何しようしてるの?」
ライダー「…ん? お前ら、これから闘うんだろ? こんな面白い勝負、見逃す訳にはいかんだろ~」
セイバー「…ねぇランサー、貴女との勝負の前にアイツを始末していい?」ギュルルルル
ランサー「…ほっておきましょ。これ以上、アレにつきあっていたら時間が勿体ないわ」
セイバー「…それもそう。じゃあ気勢が削がれたけど」
ランサー「…ええ、始めましょうセイバー」ダッ
11 = 1 :
まこ「なっ、なんちゅう速さじゃアイツら…」
ライダー「…ああ、嬢ちゃんはサーヴァント同士が本気で戦うのを見るのは初めてか~」
ランサー(…クッ、まさか一合ごとに威力が増すってどういうことよ? 全く、とんでもない相手ね)カキン
セイバー(…初撃から必殺の手を出したつもりだったのに、こうも捷いと…)キィーン
和(す、凄い… セイバーさん、初めて会った学校の時よりも数段に動きが良い…)
池田(おいおい、ランサーの奴は大丈夫かよぉ~? なんか押されてる気がするしぃ!!)
ランサー(…この圧力にどこまで凌げる?耐えれるッ?? いや、躱せる… 合わせられるッ!)キン
セイバー(…照魔鏡でも映りきらなかった能力がランサーに有る? まさかここまでの打ち手だったとは…)カキン
まこ「今のとこ互角、っちゅうとこかいのぉ…」
ライダー「……いやぁ、どうだろうなぁ~」
13 = 1 :
ランサー(…想像よりも通用する。なら、あからさまに力を溜めてる右手がこない内に)
セイバー(読み難い… 定石通りの打ち合いに応じたと思ったら、いきなり訳の分からない手を繰り出す…)
ライダー「…火力なら間違いなくセイバーだろうけど、アイツの能力は全体系だからな~」
まこ「…それがどうしたっちゅうんじゃ?」
ライダー「対するランサーの能力は火力は劣る。けど、より対個向けの能力。純然な一対一ならこの差は大きいぞ~」
セイバー(当たりさえすれば今の右腕でも一発で… けど今の私や和の体が… いや、そもそもあの速度に当てれる?)
ランサー(…頃合いかしらね。 奥の手隠して勝てる相手じゃないでしょうし、先手を取って仕掛けられる内に)クッ
14 = 1 :
ランサー「…いくわよセイバー。その首、貰い受けるッ!!」
――――――――― ココイチバンデノ・ワルイマチ
鼎刻に悪待ちの横槍 ―――――――――
セイバー「……ッッ!?」パリィィン
ランサー「……外した?」
和「セイバーさんッ!?」
池田「…な、何だ今のは? 正面から突いたはずなのに真横から穂先が出てきたし!?」
まこ「物理法則もへったくれもないのぅ… それに今の何か割れる様な音はなんじゃ?」
ライダー「う~ん、私たちには見えない宝具でもセイバーが発動させてて、それが破壊されたんじゃないか~?」
セイバー「照魔鏡が…」
ランサー「ふぅん、命拾いしたわね… どうやら私の槍は見えない宝具の雀力に反応して外しちゃったってことかしら?」
池田「……や、やるじゃないかランサー! 勝てる、これなら勝てるし!! …ん、何だこのメモは?」ピラッ
『福路美穂子を殺したくなければ、声を立てずに後ろを見るっす』
16 :
ーーー
ーーー
17 = 1 :
池田(……ッッ!? キ、キャプテン!?)
福路「ン~!!ンンッん~!!」
アサシン「……」ピラッ
池田(あいつはアサシンのサーヴァント! これは…、に、二枚目のメモ? 読めってことか??)
『ランサーのマスター、池田華菜に告ぐ。人質を解放したければ速やかに以下の行動を取れ』
『残り令呪全てを費やして己のサーヴァントを…』
池田(…実行すればキャプテンを解放するだけでなく、私にも一切手を出さないってある…)
池田(こんな絶好の機会を捨てるのは正直惜しい… けど、キャプテンや自分の命には代えられないし!)
池田「ランサーよ、令呪をもって命ず……」
池田「 自 決 す る し !! 」
18 = 1 :
ランサー「………ッ??」グボッ
ライダー「…これは?」
セイバー「なっ…!?」
和「ど、どういうこと…、ですか…?」
まこ「なんでじゃ? なんで押していたランサーが…?」
ランサー「……な、なんで? どういうことよ、マスター…?」ギロッ
池田「あ、あ… だ、だってキャプテンが人質になって… 仕方ないし…」ガタガタ
19 = 4 :
さすが池田
20 = 1 :
セイバー(…そこから動かないで、和。私たちの闘いを見物してたのはライダーだけじゃなかった)
和(えっ? は、はい…)
ライダー「ふむ、そういうことかぁ~ …ん、ワカメの嬢ちゃん悪いなぁ~」
まこ「…あん?なんじゃ急n ほげっ!?」ベチン
アサシン「…しくった?」スカッ
ライダー「ワハハ~ 幾ら姿を消しても、風上から仕掛けたら臭いでわかるぞ~」
和(アサシンのサーヴァント!? あの人は夜の学校でセイバーさんが確か…?)
セイバー(…ステルス能力で消えただけで倒された訳じゃなかった、ってことみたい)
21 = 1 :
ライダー「やっぱりモモだったかぁ~ …ってことは、いるんだろユミちん?出て来いよ~」
ゆみ「……やれやれ、まさかあの蒲原に見透かされるとはな」スッ
池田「お、お前は去年の鶴賀にいた加治木ゆみ?」
ゆみ「フン… 口のきき方に気をつけろよ、貴様。サーヴァントを失ったお前はもはや無力であることを忘れるなよ」
ランサー「おのれぇぇッ、貴様が人質を取るような姦計を謀った …カハッ?」グサッ
アサシン「……死にかけのサーヴァントはとっとと消え失せるっすよ」ニィ
ランサー「許さない… 雀士として正々堂々と闘う。私のたった一つの願いすら踏み躙った貴女達を…」シュウウゥ
ランサー「絶対に……、許さ…ない……」シュン
セイバー「ランサー…」ギリッ
福路「うわああああああああああ!?!?!?うえのさんうえのさんうえのさんうえのさん!!!!!!」
22 = 1 :
ゆみ「フッ、雀霊ともあろう者がみっともない恨み言を。…何か言いたそうだな、お前たち?」
セイバー「この外道共… 雀士の誇りある闘いを汚すとは最早許せん。叩き斬ってやる!!」
アサシン「おっとセイバーさん、下手な真似はしない方がいいっすよ。アンタたちの本拠地はもう把握してるっすからね~」
和「…!?」
ゆみ「出て来い原村和…、お前がセイバーのマスターであることも先刻承知している」
和「……卑怯ですよ、加治木さん」スタスタ
ゆみ「これは戦争だ、卑怯もへったくれもなかろう? 家族と自分の命が惜しければお前もセイバーを自害させろ」
セイバー「……ッ!?」
アサシン「ライダー陣営さんたちは文句はないっすよね? 勝手に競争相手が脱落するんっすから」ニヤニヤ
23 = 1 :
まこ「…おい、ライダー」
ライダー「…うん。 ああ、ユミちんの言う通りこれは戦争だからな。別にお前たちを卑怯とは思わないぞ~」
ゆみ「ほぅ、蒲原のわりには物分りがいいじゃないか。あのお荷物も違う世界では少しは使えるのだな」フッ
アサシン「この世界の元部長さんもダメダメなんっすか? 全く、あの人が雀霊になれるってどんな世界なんっすかねぇ」ククッ
ライダー「……そっかぁ。お前たちの世界じゃ私たちは仲良しじゃなかったのか~」
ゆみ「ふん、私があの蒲原と友誼を結ぶなど冗談にも程がある。どんな世界であろうと有り得る訳なかろうが!」ククク
まこ「…あんガキやぁ、調子こきおって」
ライダー「嬢ちゃん、部長たる者この程度で自分を見失うな~ ……うん、決めたぞ~」
24 = 1 :
――――――――――
まこ「……な、なんじゃこれはッ!?」
和「こ、ここはインターハイの会場!? 観客までいますし、一体何が…」
セイバー「これは固有結界…!? 心象風景の具現化なんて大魔術をどうしてライダーのクラスが?」
ライダー「…ここは我が鶴賀がIH初出場・初優勝を遂げた会場」
ライダー「私と共に奇跡を成し遂げた友が等しく心に焼き付けた心象だぞ~!!」
ゆみ「なっ…!?」
25 = 8 :
ワハハかっこよすぎクソワハハ
26 = 1 :
間違えた。>>24の前にここだった
アサシン「…決めたって何をっすか?w」
ライダー「違う世界とはいえ見知った顔だし、我慢ならない策でもないから手出しする気なかったんだけどな~」
ライダー「…でも、お前たちのその下卑た笑い見てたら私の大事な仲間まで汚されてる気がしてきたんだ~」
アサシン「はぁ?」
ライダー「だからもうお前たちの顔は見たくないから……」
ライダー「こ こ で 消 え 失 せ ろ ~!」
ゆみ「…今回召喚された雀霊の中で最弱のサーヴァント風情がずいぶん大きな口を叩くものだな」
ライダー「ああ、私自身には大した能力はないからな~ でも、この唯一誇れる私たちの絆は絶対無敵だぞ~!!」
ドンンッ
27 = 1 :
『お聞きください、この大歓声!! 最後に入場するのは今大会、台風の目となっている鶴賀女子だ~!!』
『準決勝で優勝候補の千里山と臨海を退けたあの見事な勝負をこの決勝でも是非見せてもらいたいですね』
\ ワーワー / \ ヤッパリツルガガナンバーワン! ヤッパリツルガガナンバーワン!! / \ ワーワー /
ライダー「見よ、私たち無双の鶴賀学園を!! 身も魂も喪っても、消える事のない絆で結ばれた伝説の面子を!!」
津山「……」 妹尾「……」 東横「……」 加治木「……」
まこ「…こ、こいつら、一人一人がサーヴァントかい!?」
ライダー「――――――――これこそが私の至宝。蒲原智美が誇る最強宝具」
―――――――――― ウチオトセバイイノダロ・アイツラヲ
頂きに立つ永久の絆 ――――――――――
29 = 1 :
ライダー「…部長とはッ ――― 誰よりも鮮烈に生き、諸人を魅せる姿を指す言葉だぞ~!」
津山・妹尾・東横・加治木「「「然り!然り!然りッ!!」」」
ライダー「すべての部員の羨望を束ね、その道標として立つ者こそが、部長。故に~~!」
ライダー「部長は孤高にあらずッ! その意思は全ての部員の志の総算たるが故に!!」
津山・妹尾・東横・加治木「「「然り!然り!然りッ!!」」」
まこ「こ、これが本物の部長たる者の姿…」
ライダー「…さて、そこのユミちんとモモ、覚悟はできているかぁ? ……蹂躙しろッッ~~!!」
ライダー・津山・妹尾・東横・加治木「「「「ワ~ハハハハハハハハハ~!!」」」」
アサシン「ヒッ!?」
ゆみ「……フッ、まさか蒲原に足を掬われるとはな」
―――――――
――――――――――――――
――――――――――――――――――――
30 = 1 :
和「IHの風景とアサシンたちが、消えた…」
ライダー「…やれやれ、セイバーよ折角の一騎打ちも邪魔が入って興醒めしちゃったなぁ~」
まこ「…そこにおる風越のお二人、どうするかいのぅ?」
セイバー「令呪全てにサーヴァントも失ったマスターなど、もはや何の脅威にもならない。ほっておけ」
ライダー「うん、では今宵はここまでしておくか。行くぞ~、ワカメの嬢ちゃん」
まこ「…お、おう」
ライダー「セイバー、今度会う時はその右腕の力をとくと見せてもらうぞ~ ワハハ」
セイバー「…ああ。 …最後に一つ聞いておきたい。 ライダーよ、お前は一体どんな祈りを聖牌に託す?」
ライダー「…ん? ああ、私は生前果たせなかった約束があるからなぁ。今度こそ皆で行きたいんだぞ~」
セイバー「聖牌に託すほどの約束…だと?」
まこ(…約束? 全国制覇まで成し遂げたコイツが果たせん約束って一体何じゃ?)
31 = 1 :
ライダー「ああ、私の生涯でたった一つの心残り。この千載一遇の機会、是非とも生かしたいなぁ~ ワハハ」
セイバー「…残念だが貴様のその祈り、叶うことはない」
ライダー「そうかもなぁ~ ま、でも何事もやってみなきゃ分からんぞ。 …それでセイバー、お前は?」
セイバー「…えっ?」
ライダー「鈍いヤツだなぁ~ 祈りだ、祈り。お前はこの戦いの暁に何を望むんだ~?」
セイバー「……私は」
ライダー「…お前も訳有りみたいだなぁ~ まぁいいさ、次に会う時を楽しみにしてるぞセイバー」ブロロロロ
まこ「おい、ちゃんと前見て運転せんかい、このどアホが!!」
和「次に会う時…」
セイバー「…ああ、それは奴と決着をつける時になると思う」
和「染谷先輩と決着、ですか…」
32 = 1 :
―――――
『姫様と霞さんは本当にいつまでもお綺麗ですね。羨ましいです』
『本家の人たちはずるいですよー 私たちにもその秘術の力が欲しいですー』
(時間とは人間にとって等しく過ぎる物である)
『…初美ちゃんもある意味、いつまでも変わらない』ポリポリ
『ムッ、どういう意味ですかー? そう言う春ちゃんは黒糖の食べ過ぎで近頃はだいぶ体型が崩れきたんじゃないですかー?』
(…だが、生まれつき超常の血が流れる私達にとってそれは当てはまらなかった)
『はいはい、みんな子供じゃないのですから喧嘩はしないの。ねぇ霞ちゃん?』
『…ええ、みんな久しぶりの姫様の御前だからってはしゃいではいけませんよ』
(しかし、その血の濃さから生じる違いは歳を追う毎に、明確で残酷な事実を突きつけてきた)
(募る理不尽な嫉み。受け入れ難い現実)
(……そして、私は)
33 = 8 :
私怨
34 = 1 :
―――――
はやり「…キャスター、どうしたのぉ? 奴等、もう工房に侵入してきてるのに~★」
キャスター「…失礼しました、我がマスター。術の展開に集中していて散漫になっていました」
(この永久の若さと美貌を求めるマスターに召喚されたのも皮肉にも必然だった、ということでしょうか…)
キャスター「ですがご安心ください、美しきマスター。これも全て予定通りですから」ニコッ
はやり「ええ、そうなのぉ? でも相性的にキャスターと三騎士じゃ、直接ぶつかるのってマズくなぃ~★」
キャスター「ええ、通常でしたら。 …ですが奴等は警戒すべきセイバーとは別行動の様子」
はやり「どうやらセイバー組はランサーたちとの闘いに臨んだみたいだねぇ★彡」
キャスター「…ええ。 そして、あのアーチャーはクラスには見合わぬ雀力しか持ち合わせておりません」
はやり「…じゃあ、これはむしろチャンスってことぉ~?★彡」
キャスター「…はい、正しく絶好の好機。 奴等をここまで引き寄せ、確実に仕留めてご覧にいれます」
35 = 1 :
―――――
アーチャー「……出来過ぎているな」
咲「どうしたんですか、アーチャーさん?」
アーチャー「キャスターの工房に乗り込んだというのに、ここまで一切の罠がない…」
咲「…罠?」
アーチャー「ああ、あのような大規模な雀力蒐集を行える者が自分の工房に何の備えを施さないとは思えん…」
アーチャー「僅かながらあった、あからさまな罠を回避してここまで侵入してきたがこれも奴が意図した事なのか?」
キャスター「…へぇ、弱小サーヴァントでもアーチャークラスだと危機回避スキルを有しているのかしら?」
はやり「ま、貴女たちが使い魔で追跡させていた時点からキャスターの意図通りだったんだけどねぇ~★」
36 = 1 :
アーチャー「キャスタアアァァァッ!!」ビシュツ
キャスター「 」スカッ
はやり「はっずれぇ~♪ こんな場所でわざわざ実体を晒す訳ないのにぃ~★ ホント、駄目な弓兵さんだねぇ★彡」
キャスター「もう貴女達に引き下がる道も迂回する場所もありません。観念してこちらまで来てもらいます」ニコッ
咲「アーチャーさん…」
アーチャー「……」
キャスター(……うん、この人まさか?)
咲(…凄い、ここまでアーチャーさんの読み通り展開している)
37 = 1 :
―――――
アーチャー「…咲、恐らく工房では我等を阻む障害はないだろう」
咲「え、なんでそんなことが分かるんですか?」
アーチャー「奴等が最も警戒している筈のセイバーがいない今、私を葬る絶好の機会と考えてるだろう」
咲「でも、アーチャーさんも三騎士なんだから確か相性的には…」
アーチャー「ああ、相性では私が有利だ… しかし、残念ながら私の雀力はキャスターのそれよりも大きく劣る」
咲「え、そうなんですか?」
38 = 1 :
アーチャー「そうだ。私の雀力はライダーやアサシンと比較すれば確かに優れてはいるだろう」
アーチャー「…だが、アーチャークラスとして召喚される程の雀格とは言えないのが実情だ」
咲「…それは私がマスターとして至らないからですか?」
アーチャー「いや、咲に咎など全くない。 まぁ、奴等も力量差については十二分に理解しているだろう」
アーチャー「…だからこそ、あえて奴等の思惑に乗ったふりを装いその隙を突く。これが現状、最も効率のいい策だ」
咲「じゃあ、さっき言った私が同道するのも…」
アーチャー「…ああ、奴等の真なる目的が予想通りなら君が存在が勝利を確実にしてくれる」ニィ
39 = 1 :
―――――
アーチャー「…姑息な策を得手とするキャスター如きが自ら姿を晒すとはどういう風の吹き回しだ?」
キャスター「貴女程度の弓兵を畏れる必要がどこにあります? 汚れ仕事の掃除屋さん♪」ニコニコ
はやり「掃除屋?」
キャスター「はい。そこの弓兵、雀霊の座に招かれる程の力を持ち合わせておらぬ元は卑しき者として名を耳にしたことが」
咲「えっ、アーチャーさんが?」
アーチャー「……」
キャスター「…そう、世界と契約し“守護者”としてその手を汚した代償として雀霊に成り上がったとか」
はやり「へ~★ じゃあ、そこの弓兵さんは出来そこないの雀霊さんなんだぁ★彡」
咲「アーチャーさん、あの人達が言ってることは本当なんですか…?」
40 = 1 :
アーチャー「……ああ、確かに私は世界に招かれた奴等と違う」
アーチャー「数多の世界で雀士の守護者として命を救い、そしてそれ以上の命を奪ってきた…」
咲(…アーチャーさんがそんなことをしていた人だなんて)
キャスター「ええ、本来万能の願望器たる聖牌に近づくことすら許されぬ祈りを持たざる者。違いますか、アーチャー?」
アーチャー「そうだな、抱いた祈りなどとうに忘れた。もはやこの胸中にあるのは呪いなのかもしれんな」
アーチャー「――― だからこそ、やっと巡ってきたこの忌まわしい輪廻から解放されるのなら、私は手段を選ぶ気はない」
咲「アーチャー…さん…?」ゾクッ
41 = 1 :
キャスター「うふふ、やっと真情を吐露しましたね。貴女のような下賤の者が騎士気取りなんておかしいと思いました」ニヤリ
はやり「…ふぅん、じゃあ弓兵さんがわざわざここまでマスターを連れてきたのも看破した上でなんだぁ★彡」
アーチャー「…貴様等が雀力だけではなく生命力も蒐集し、そして失敗した時から大体の見当はついていた」
キャスター「そう、我がマスターの望みは永遠の若さとその美貌を保つこと」
はやり「聖牌に託さずとも叶える手段がある。でも、その為には大量の雀力と生命力が必要…」
アーチャー「…そして、企てに失敗した貴様等が憑代として最も雀力に優れた咲に目をつけるのは必然だろう?」
キャスター「あらあら、そこまで見通していたのに貴女たちだけで乗り込んでくるなんて自信過剰が過ぎるんじゃ?」クスクス
はやり「もしかしたら、あの学校での力を本気だと勘違いしちゃったのかなぁ? 弓兵さんはそそっかしなぁ~★彡」
42 = 1 :
キャスター「いいでしょう。ここで貴女を打ち倒すの容易いですけど、猟犬としてはまだ利用価値があります」
キャスター「…そのマスターをこちらに差し出すのならアーチャー、貴女を最後の相手になるまで見逃してもいいですよ」ニコッ
はやり「単独行動スキルってのがあるんでしょ? なら弓兵さんにはまだチャンスは残されてるんじゃないのぉ~★」
アーチャー「私は脱落したマスターと再契約すればいいだけだからな。 …ふむ、そう悪くない話だな」ギロッ
咲「えっ… 嘘でしょ、アーチャーさん…?」
アーチャー「…さて、魅力的な誘いだがどうしたものかな。裏切るのは君ほど長けていないのでなかなか悩む所だ」ニヤリ
キャスター「……ッ!?」
はやり「…裏切り? どうしたのキャスター?★彡」
43 = 1 :
アーチャー「…ん? どうやらマスターに素性を教えていなかったのは私だけではなかったようだな。主殺しのキャスターよ」
咲「…主殺し!?」
キャスター「あ…、貴女どうしてそれをッ…?!」ワナワナ
アーチャー「伊達に幾多の世界を巡ってきた訳ではない。これだけの大魔術を使える者など限られているからな、裏切りの巫女…」
はやり「…ねぇキャスター、どういう事ぉ? あの弓兵さんの言ってることは本当なのぉ~★」
キャスター「マ、マスター、あれには訳が!! い、いえ、これは出鱈目で戯言に耳を傾けては… ッ!?」ガバッ
はやり「キャスター!?」
咲「アーチャーさん、何を!?」
アーチャー「チィッ、魔術展開が間に合わぬ間隙を体を呈して防ぐかッ?!」
咲(アーチャーさん、いま躊躇せずキャスターのマスターを狙った…)
キャスター「貴女という人はどこまでも卑怯な手をッ!! もはや生きては返れぬと知れェッッ!!」グワッ
アーチャー「クゥゥッ!!」ビシュッッ
咲(出来る限り人を傷つけない。そう約束したのに… 私はあの人を信じていいのかな…)
44 = 1 :
―――――――
――――――――――――――
キャスター「もはや雀霊として最低限の誇りすら失った、いや元々持ち合わせていないのでしょうね、この鼠賊は…」ハァハァ
アーチャー「……ァ、…くハッ」ゼェゼェ
キャスター「…貴女はじっくりと嬲り殺したい所ですが、もはや一刻もその汚らわしい貌を見たくはありません」
アーチャー(くそッ… まさかここまで圧倒的な力量差があるとは誤算だった… かくなる上は……)
はやり「キャスター…」
キャスター「申し訳ございませんマスター。折角手中にした雀力源ですが、これは諦めて頂きます…」
アーチャー「…キャスター、貴様何を…?」
キャスター「…貴女のような汚らわしき者の痕跡は地上から一掃します。まずは貴女のマスターから…」
咲「…えっ!?」ガクブル
キャスター「そこで己がマスターの末路を眺めてることしかできぬ自分の非力さを嘆き、絶望だけ抱いて消えなさい」
アーチャー「…や、止めろ。咲には手を出す…… ッッ…!?」
46 = 1 :
「…戯け。身の程を違えたな雑種」
ドンドンドン
キャスター「なっ…!? マスターッッ!!」ザシュ
はやり「え?えッ?? キャスタぁ……?」
衣「道化共の足掻きを最後まで見届けるのも一興であったが… 己が分別を弁えぬか、魔術師風情がッッ!!」
咲「衣…ちゃん……?」
衣「…咲は衣の物である。これに手を出す輩にはそれ相当の罰を与えばな…」
衣「やっちゃえ、バーサーカー!!」
バーサーカー「■■■■■■■■■■■―――!!」ビシュッ
キャスター「………ァ …ッッ」ザクザクッ
はやり「キャスタアァァァツッッ?!」
48 = 1 :
キャスター「……ご、ご無事ですか…、マスター…?」ハァハァ
はやり「キャスター……!? うん、うん、私は大丈夫だからッ!!もう喋らないでッ!?」
キャスター「……良かった。…やっと、やっと望みが叶ったのですね……」スッ
はやり「…望み? キャスター貴女の望みって、祈りって何だったのッ!?」
キャスター「姫様を…、手にかけた罰を…… そして…、今度こそ主に…最期の瞬間まで御傍に……」スウッ
はやり「キャスター…、貴女はッ……!?」
キャスター「私ばかり叶ってしまって… ごめんなさいマスター… 姫様……」スウウウッ
はやり「キャスタぁぁっ~~!!!」ウワァァァン
50 :
今から読むほ
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- 響「プロデューサー、少し臭いぞ?」 (962) - [45%] - 2011/12/9 1:00 ★★★×4
- 真「ファーストキスって、どんな味?」 (123) - [44%] - 2012/5/10 8:00 ☆
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