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元スレ皇帝「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
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<帝国城>
皇帝「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
側近「どうしたんですか、いきなり」
皇帝「今、俺に向かって、童貞といっただろう!」
側近「童貞ではなく、皇帝陛下と申し上げたんですよ」
皇帝「あ、そうだったのか……すまんな」
側近「いえいえ」
側近「でも皇帝陛下って──」
側近「童貞ですよね」
皇帝「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
側近「どうしたんですか、いきなり」
皇帝「今、俺に向かって、童貞といっただろう!」
側近「童貞ではなく、皇帝陛下と申し上げたんですよ」
皇帝「あ、そうだったのか……すまんな」
側近「いえいえ」
側近「でも皇帝陛下って──」
側近「童貞ですよね」
皇帝「あっ、いいやがったな!」
皇帝「童貞っていった方が童貞なんだぞっ!」
側近「残念ながら、私はもう捨てました」
側近「妻も子もいますからね」
皇帝「ぐぬぬ……」
側近「まあまあ、落ち着いて下さい」
側近「陛下は先代である父君がご病気で退位されて即位されましたから、まだお若い」
側近「お世継ぎのことを考える時期もないですし、焦ることはありませんよ」
皇帝「童貞っていった方が童貞なんだぞっ!」
側近「残念ながら、私はもう捨てました」
側近「妻も子もいますからね」
皇帝「ぐぬぬ……」
側近「まあまあ、落ち着いて下さい」
側近「陛下は先代である父君がご病気で退位されて即位されましたから、まだお若い」
側近「お世継ぎのことを考える時期もないですし、焦ることはありませんよ」
皇帝「いや……焦る!」
皇帝「父を含め、歴代皇帝は成人する前に童貞を捨ててきたと聞く」
皇帝「──が、俺はすでに成人の儀式をしたが未だに童貞だ」
皇帝「このままではマズイ」
皇帝「今のうちに捨てておかないと、ズルズルいってしまう気がするのだ」
側近「ならばせっかく皇帝の座にあるのです」
側近「権力を行使して、女性を城に呼び寄せてはどうです?」
側近「例えば隣国の王は、正妻や側室など、幾人もの女性と交わってますよ」
皇帝「父を含め、歴代皇帝は成人する前に童貞を捨ててきたと聞く」
皇帝「──が、俺はすでに成人の儀式をしたが未だに童貞だ」
皇帝「このままではマズイ」
皇帝「今のうちに捨てておかないと、ズルズルいってしまう気がするのだ」
側近「ならばせっかく皇帝の座にあるのです」
側近「権力を行使して、女性を城に呼び寄せてはどうです?」
側近「例えば隣国の王は、正妻や側室など、幾人もの女性と交わってますよ」
皇帝「いや、それはならぬ」
側近「なぜです?」
皇帝「こちらから女性を呼び寄せたら、俺がリードしなければならないだろう」
皇帝「未経験である俺に、そんな大役を果たせるハズがない!」
側近「だったら──」
側近「ボク童貞なんで手取り足取り教えて下さい、っていえばいいじゃないですか」
側近「なにせ国で一番偉いんですから、きっと優しく教えてくれますよ」
皇帝「ダメだ!」
皇帝「そんなの……みっともなさすぎる!」
側近「なぜです?」
皇帝「こちらから女性を呼び寄せたら、俺がリードしなければならないだろう」
皇帝「未経験である俺に、そんな大役を果たせるハズがない!」
側近「だったら──」
側近「ボク童貞なんで手取り足取り教えて下さい、っていえばいいじゃないですか」
側近「なにせ国で一番偉いんですから、きっと優しく教えてくれますよ」
皇帝「ダメだ!」
皇帝「そんなの……みっともなさすぎる!」
側近「ではいっそ、こちらから城下に繰り出しますか?」
側近「いいソープを紹介しますよ」
皇帝「ダメだっ!」
側近「どうしてです?」
皇帝「なにしろ、一生に一度のことだ」
皇帝「できればプロは避けたい……!」
側近「強いこだわりがあるんですね」
側近「いいソープを紹介しますよ」
皇帝「ダメだっ!」
側近「どうしてです?」
皇帝「なにしろ、一生に一度のことだ」
皇帝「できればプロは避けたい……!」
側近「強いこだわりがあるんですね」
側近「さっきから拒否してばかりですが、皇帝陛下に何かお考えがあるのですか?」
皇帝「うむ……」
皇帝「最近読んだ恋愛小説にこういうのがあった」
皇帝「ある国の王子が、身分を隠して町を歩き回るのだ」
皇帝「そこで王子は町民である美少女と出会う」
皇帝「身分のちがい、城内の権力闘争、さらには迫りくる敵国──」
皇帝「さまざまな試練が二人を襲うが」
皇帝「二人はみごと結ばれ、幸せになるという内容だ」
側近「その小説がどうかしたのですか?」
皇帝「まだ分からんのか?」
皇帝「俺は──ああいうのがやりたいんだよっ!!!」
側近(だいぶこじらせてるな、この人……)
皇帝「うむ……」
皇帝「最近読んだ恋愛小説にこういうのがあった」
皇帝「ある国の王子が、身分を隠して町を歩き回るのだ」
皇帝「そこで王子は町民である美少女と出会う」
皇帝「身分のちがい、城内の権力闘争、さらには迫りくる敵国──」
皇帝「さまざまな試練が二人を襲うが」
皇帝「二人はみごと結ばれ、幸せになるという内容だ」
側近「その小説がどうかしたのですか?」
皇帝「まだ分からんのか?」
皇帝「俺は──ああいうのがやりたいんだよっ!!!」
側近(だいぶこじらせてるな、この人……)
側近「では、陛下も庶民に変装をして城下に出てみますか?」
側近「もしかしたら、小説のようないい出会いに恵まれるかもしれませんよ」
側近(ま、ないと思うけど)
皇帝「おお、ナイスアイディアだ!」
皇帝「よぉし……」
皇帝「さっそく召使に命じて、庶民っぽい服を集めさせるか」
側近「もしかしたら、小説のようないい出会いに恵まれるかもしれませんよ」
側近(ま、ないと思うけど)
皇帝「おお、ナイスアイディアだ!」
皇帝「よぉし……」
皇帝「さっそく召使に命じて、庶民っぽい服を集めさせるか」
<皇帝の部屋>
女召使「よいしょ、よいしょ」
女召使「町で買ってきた服をお持ちしましたです!」ドサッ
女召使「ご命令通り、なるべく庶民的な服を選びました!」
皇帝「うむ、ご苦労」
女召使「しっかし、皇帝陛下ともあろう方がこんな服をどうするんですか?」
皇帝「着て、城下を歩いてくる」
女召使「なんのために?」
皇帝「童貞を……捨てるためだ!」
女召使「ほうほう」
女召使「よいしょ、よいしょ」
女召使「町で買ってきた服をお持ちしましたです!」ドサッ
女召使「ご命令通り、なるべく庶民的な服を選びました!」
皇帝「うむ、ご苦労」
女召使「しっかし、皇帝陛下ともあろう方がこんな服をどうするんですか?」
皇帝「着て、城下を歩いてくる」
女召使「なんのために?」
皇帝「童貞を……捨てるためだ!」
女召使「ほうほう」
庶民の服に着替える皇帝。
皇帝「──どうだ?」
女召使「おぉ~似合ってますよ! かっこいいです!」
皇帝「うむ、そうか」ニヤッ
皇帝「よし、では出かけるとするか」
女召使「陛下、一言だけ」
皇帝「なんだ?」
女召使「陛下は立派な方です。童貞がどうとか、あまり気にすることないですよ」
皇帝「嬉しい言葉だが、そうもいかぬ」
皇帝「皇帝が童貞では格好がつかないからな」
皇帝「では行ってくる」ザッ
女召使「頑張って下さい!」
皇帝「──どうだ?」
女召使「おぉ~似合ってますよ! かっこいいです!」
皇帝「うむ、そうか」ニヤッ
皇帝「よし、では出かけるとするか」
女召使「陛下、一言だけ」
皇帝「なんだ?」
女召使「陛下は立派な方です。童貞がどうとか、あまり気にすることないですよ」
皇帝「嬉しい言葉だが、そうもいかぬ」
皇帝「皇帝が童貞では格好がつかないからな」
皇帝「では行ってくる」ザッ
女召使「頑張って下さい!」
<城下町>
皇帝(ふ~む、見慣れているハズなのに、庶民として来ると雰囲気がちがうな)
皇帝(せっかく変装しているのだ)
皇帝(童貞を捨てる前に、俺が民にどう思われているか聞いてみるか)
皇帝「おい、そこの」
町民「ん、なんだよ」
皇帝「数年前、この国の皇帝が代替わりしただろう」
町民「ああ、したな」
皇帝「どう?」
皇帝(ふ~む、見慣れているハズなのに、庶民として来ると雰囲気がちがうな)
皇帝(せっかく変装しているのだ)
皇帝(童貞を捨てる前に、俺が民にどう思われているか聞いてみるか)
皇帝「おい、そこの」
町民「ん、なんだよ」
皇帝「数年前、この国の皇帝が代替わりしただろう」
町民「ああ、したな」
皇帝「どう?」
町民「どうって……いい人なんじゃないか?」
町民「皇帝なのにえらぶってないし、政治もしっかりやってるし」
町民「先代が倒れられた時はどうなるか心配だったけど、あの方なら大丈夫だろ」
皇帝「ハハハ、照れるな」
町民「いや、別にアンタは褒めてないよ」
皇帝「あ、そういえば、そうだったな」
皇帝(ほっ、評判がいいみたいでよかった……)
町民「ただ──」
町民「童貞なのが玉にキズだけどな!」
皇帝「え!?」
町民「皇帝なのにえらぶってないし、政治もしっかりやってるし」
町民「先代が倒れられた時はどうなるか心配だったけど、あの方なら大丈夫だろ」
皇帝「ハハハ、照れるな」
町民「いや、別にアンタは褒めてないよ」
皇帝「あ、そういえば、そうだったな」
皇帝(ほっ、評判がいいみたいでよかった……)
町民「ただ──」
町民「童貞なのが玉にキズだけどな!」
皇帝「え!?」
皇帝「ちょ、ちょっと聞きたいんだが」
町民「なんだよ」
皇帝「な、なんで皇帝が童貞……と知ってるのだ?」
町民「なんでって、常識じゃん」
皇帝「え!?」
町民「城下じゃ、だいぶ広まってるよ」
皇帝「え、え!?」
町民「というか、城下じゃ知らない奴はいないんじゃないかな」
皇帝「え、え、え!?」
町民「下手すりゃ子供だって知ってるかも……」
皇帝「え~~~~~っ!?」
町民「なんだよ」
皇帝「な、なんで皇帝が童貞……と知ってるのだ?」
町民「なんでって、常識じゃん」
皇帝「え!?」
町民「城下じゃ、だいぶ広まってるよ」
皇帝「え、え!?」
町民「というか、城下じゃ知らない奴はいないんじゃないかな」
皇帝「え、え、え!?」
町民「下手すりゃ子供だって知ってるかも……」
皇帝「え~~~~~っ!?」
その後──
女「皇帝はすばらしい方よ、童貞だけど」
老婆「陛下はええ男じゃなぁ、童貞じゃがのう! ひょっひょっひょ!」
中年「皇帝陛下? 童貞だが、いい君主だと思うぜ」
旅人「色んな国を見てきたが、彼はまちがいなく名君だね。童貞ではあるけどね」
幼女「陛下はえらくって、かっこよくって、チェリーなんだよ」
主婦「皇帝陛下っていい人だけど、雰囲気が童貞っぽいわよねえ」
少年「俺も大きくなったら、皇帝みたいな“どうてい”になるんだ!」
オカマ「皇帝陛下っていい男よねえ、童貞らしいし狙っちゃおうかしら」
女「皇帝はすばらしい方よ、童貞だけど」
老婆「陛下はええ男じゃなぁ、童貞じゃがのう! ひょっひょっひょ!」
中年「皇帝陛下? 童貞だが、いい君主だと思うぜ」
旅人「色んな国を見てきたが、彼はまちがいなく名君だね。童貞ではあるけどね」
幼女「陛下はえらくって、かっこよくって、チェリーなんだよ」
主婦「皇帝陛下っていい人だけど、雰囲気が童貞っぽいわよねえ」
少年「俺も大きくなったら、皇帝みたいな“どうてい”になるんだ!」
オカマ「皇帝陛下っていい男よねえ、童貞らしいし狙っちゃおうかしら」
<帝国城>
皇帝「──どういうことだ、これは!?」
側近「今この国は平和ですし、こういう醜聞が流布しやすいのでしょうね」
側近「まあいくら隠しても、皇帝が童貞なのは事実ですし」
側近「君主としては評価されてるようですし、よかったじゃないですか」
皇帝「よくない!」
側近「民が君主に親近感を持つというのはいいことですよ」
皇帝「親近感ってレベルじゃないぞ!」
皇帝「くっそぉ~……! どうしてこうなったんだ……!」
皇帝「俺を童貞呼ばわりする者は、いっそ罰してやろうか」
側近「皇帝侮辱罪、でですか?」
皇帝「いや、国家機密漏洩罪でだ」
側近「もう国家機密でもなんでもないですよね」
皇帝「うわぁ~~~~~っ!」
皇帝「──どういうことだ、これは!?」
側近「今この国は平和ですし、こういう醜聞が流布しやすいのでしょうね」
側近「まあいくら隠しても、皇帝が童貞なのは事実ですし」
側近「君主としては評価されてるようですし、よかったじゃないですか」
皇帝「よくない!」
側近「民が君主に親近感を持つというのはいいことですよ」
皇帝「親近感ってレベルじゃないぞ!」
皇帝「くっそぉ~……! どうしてこうなったんだ……!」
皇帝「俺を童貞呼ばわりする者は、いっそ罰してやろうか」
側近「皇帝侮辱罪、でですか?」
皇帝「いや、国家機密漏洩罪でだ」
側近「もう国家機密でもなんでもないですよね」
皇帝「うわぁ~~~~~っ!」
皇帝「……そういえば、我が国の歴代皇帝は退位するか死ぬかしたら」
皇帝「性質やら業績やらを反映して“~帝”と名を冠せられるだろう」
側近「お父上である先代は、慈悲深い方ですので“慈帝”」
側近「先々代は農業に力を入れたので“農帝”といった具合ですね」
皇帝「うむ、それで少し思ったんだが」
皇帝「もしかしてこのままいくと、俺は“童帝”にされてしまうのでは……」
側近「童帝……ぷっ」
皇帝「笑うな!」
側近「いいじゃないですか、絶対歴史に残りますよ……ぷぷっ」
側近「ぷぷっ、ぶっ! ど、童帝……ぶふっ! ふふふっ!」
皇帝「笑うなぁぁぁ!」
皇帝「性質やら業績やらを反映して“~帝”と名を冠せられるだろう」
側近「お父上である先代は、慈悲深い方ですので“慈帝”」
側近「先々代は農業に力を入れたので“農帝”といった具合ですね」
皇帝「うむ、それで少し思ったんだが」
皇帝「もしかしてこのままいくと、俺は“童帝”にされてしまうのでは……」
側近「童帝……ぷっ」
皇帝「笑うな!」
側近「いいじゃないですか、絶対歴史に残りますよ……ぷぷっ」
側近「ぷぷっ、ぶっ! ど、童帝……ぶふっ! ふふふっ!」
皇帝「笑うなぁぁぁ!」
<皇帝の部屋>
皇帝「はぁ……」
女召使「どうでしたか?」
女召使「童貞、捨てられましたか?」
皇帝「いや……色々あってな。結局捨てられなかった」
女召使「そうですか……」
皇帝「だが、俺は諦めてはいない! いつか必ず……捨ててみせる!」
女召使「さっすが陛下です!」
皇帝「ありがとう」
皇帝「もし捨てられたら、真っ先にお前に伝えるからな」
女召使「はい!」
皇帝(こうなったら、あんまり気が進まないが父上に相談してみるか……)
皇帝「はぁ……」
女召使「どうでしたか?」
女召使「童貞、捨てられましたか?」
皇帝「いや……色々あってな。結局捨てられなかった」
女召使「そうですか……」
皇帝「だが、俺は諦めてはいない! いつか必ず……捨ててみせる!」
女召使「さっすが陛下です!」
皇帝「ありがとう」
皇帝「もし捨てられたら、真っ先にお前に伝えるからな」
女召使「はい!」
皇帝(こうなったら、あんまり気が進まないが父上に相談してみるか……)
<先代の部屋>
皇帝「父上」
先代「どうしたのじゃ、童貞息子」
皇帝「うぐっ」ピクッ
皇帝「いきなりそれですか、あなたのどこが慈悲深いのか理解に苦しみます」
先代「事実をありのままにいってやるのも、慈悲というものじゃよ」
先代「ほっほっほ」
皇帝「くっ……」
皇帝「まあいいです。ここに来たのは他でもありません」
皇帝「どうすれば童貞を捨てられるか、相談に来たのです」
先代「お前、まァ~だ初体験は素人がいいとか、ドラマチックに捨てたいとか」
先代「無謀極まりないワガママをいっておるのか」
皇帝「当然でしょう! 一生に一度のことなのですから!」
皇帝「父上」
先代「どうしたのじゃ、童貞息子」
皇帝「うぐっ」ピクッ
皇帝「いきなりそれですか、あなたのどこが慈悲深いのか理解に苦しみます」
先代「事実をありのままにいってやるのも、慈悲というものじゃよ」
先代「ほっほっほ」
皇帝「くっ……」
皇帝「まあいいです。ここに来たのは他でもありません」
皇帝「どうすれば童貞を捨てられるか、相談に来たのです」
先代「お前、まァ~だ初体験は素人がいいとか、ドラマチックに捨てたいとか」
先代「無謀極まりないワガママをいっておるのか」
皇帝「当然でしょう! 一生に一度のことなのですから!」
先代「あえて不可能に挑むのもまた一興、か」
先代「う~む、まあそうじゃな」
先代「ドラマチックに童貞を捨てたいのなら、やはり押しの一手じゃな」
先代「お前は優秀だが、ガンガン押すというタイプではないからのう」
皇帝「ガンガン押していく……」
皇帝「つまり男らしさに欠けている、ということですか」
先代「う~ん、まあそういうことになるんかのう」
皇帝「……なるほど」
皇帝「父上、アドバイス感謝いたします!」
先代「う~む、まあそうじゃな」
先代「ドラマチックに童貞を捨てたいのなら、やはり押しの一手じゃな」
先代「お前は優秀だが、ガンガン押すというタイプではないからのう」
皇帝「ガンガン押していく……」
皇帝「つまり男らしさに欠けている、ということですか」
先代「う~ん、まあそういうことになるんかのう」
皇帝「……なるほど」
皇帝「父上、アドバイス感謝いたします!」
<帝国城>
軍団長「側近殿」
側近「これは軍団長殿、どうかしましたか?」
軍団長「先ほど皇帝陛下が、甲冑を借りに来られたのですよ」
側近「甲冑を……?」
軍団長「なんでも“男らしさの象徴といえば甲冑だ”などとおっしゃられて……」
軍団長「もちろんお貸ししましたが、なにかご存じないでしょうか?」
側近「いや、私はなにも──」
兵士「軍団長!」
軍団長「どうした!?」
兵士「城下町で不審者を捕えたので、報告に参りました!」
軍団長「側近殿」
側近「これは軍団長殿、どうかしましたか?」
軍団長「先ほど皇帝陛下が、甲冑を借りに来られたのですよ」
側近「甲冑を……?」
軍団長「なんでも“男らしさの象徴といえば甲冑だ”などとおっしゃられて……」
軍団長「もちろんお貸ししましたが、なにかご存じないでしょうか?」
側近「いや、私はなにも──」
兵士「軍団長!」
軍団長「どうした!?」
兵士「城下町で不審者を捕えたので、報告に参りました!」
側近「不審者……?」
兵士「はい、甲冑を着込んで“だれか俺の童貞をもらってくれ”と連呼しておりました」
兵士「幸い、町民に危害を加える様子はなく──というか無視されてました」
兵士「かなり抵抗しましたが、兵数人がかりでなんとか取り押さえました」
軍団長「うむ、ご苦労だったな」
軍団長「新手の変態というやつか。まったく困ったものだ」
側近(まさか……)
兵士「はい、甲冑を着込んで“だれか俺の童貞をもらってくれ”と連呼しておりました」
兵士「幸い、町民に危害を加える様子はなく──というか無視されてました」
兵士「かなり抵抗しましたが、兵数人がかりでなんとか取り押さえました」
軍団長「うむ、ご苦労だったな」
軍団長「新手の変態というやつか。まったく困ったものだ」
側近(まさか……)
側近「──なにやってんです、アンタは!?」
皇帝「ハハハ、すまんな」
側近「…………」ギロッ
皇帝「……すみませんでした」
皇帝「男らしく童貞を捨てようと思いまして……」
皇帝「考えに考えた結果、あのような行動に出た次第でして……」
側近「町民に正体がバレてたら大変でしたよ!」
側近「あ~……ったく!」
側近「当分は、童貞がどうとかは忘れて下さい!」
側近「真面目にやっていれば、あなたはまちがいなく良き君主となれるのですから!」
皇帝「はい……」
皇帝「ハハハ、すまんな」
側近「…………」ギロッ
皇帝「……すみませんでした」
皇帝「男らしく童貞を捨てようと思いまして……」
皇帝「考えに考えた結果、あのような行動に出た次第でして……」
側近「町民に正体がバレてたら大変でしたよ!」
側近「あ~……ったく!」
側近「当分は、童貞がどうとかは忘れて下さい!」
側近「真面目にやっていれば、あなたはまちがいなく良き君主となれるのですから!」
皇帝「はい……」
<皇帝の部屋>
皇帝「はぁ……」
女召使「陛下、どうしました?」
皇帝「いや、童貞を捨てたい一心で、とんだバカをやってしまってな……」
皇帝「死にたい……」
女召使「なっ、なにをいってるんです!」
皇帝「いや、わりと本気だ」
皇帝「今回の件は、いいきっかけだったかもしれないな」
皇帝「玉座にふんぞり返って、この国の未来に想いをめぐらせていると」
皇帝「たまになにもかもどうでもよくなるんだ」
皇帝「国も、民も、部下も、自分自身さえも──」
皇帝「なにもかも捨ててしまいたくなるんだ」
皇帝「はぁ……」
女召使「陛下、どうしました?」
皇帝「いや、童貞を捨てたい一心で、とんだバカをやってしまってな……」
皇帝「死にたい……」
女召使「なっ、なにをいってるんです!」
皇帝「いや、わりと本気だ」
皇帝「今回の件は、いいきっかけだったかもしれないな」
皇帝「玉座にふんぞり返って、この国の未来に想いをめぐらせていると」
皇帝「たまになにもかもどうでもよくなるんだ」
皇帝「国も、民も、部下も、自分自身さえも──」
皇帝「なにもかも捨ててしまいたくなるんだ」
女召使「そうですか……本気なんですね」
女召使「じゃあまず、あたしが先に死にます」
皇帝「は?」
女召使「うぅ……っ!」ググ…
皇帝(自分で自分の首を!?)
女召使「うえぇ……」グググ…
皇帝「おい……なにをしているんだ! やめろっ!!!」
女召使「じゃあまず、あたしが先に死にます」
皇帝「は?」
女召使「うぅ……っ!」ググ…
皇帝(自分で自分の首を!?)
女召使「うえぇ……」グググ…
皇帝「おい……なにをしているんだ! やめろっ!!!」
女召使「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ!」
皇帝「バカ! なにを考えてるんだ!」
女召使「す、すみません……」
女召使「でも……陛下が本気で全てを捨てるというのなら」
女召使「無能ではありますが、召使であるあたしが第一号になるべきかと……」
皇帝「…………」
皇帝「すまんっ!」ギュッ
女召使「ちょ、陛下!?」
皇帝「俺は間抜けだった」ギュゥゥ…
皇帝「たかだか童貞を捨てられぬくらいで、全てを捨てるなどと!」
皇帝「バカ! なにを考えてるんだ!」
女召使「す、すみません……」
女召使「でも……陛下が本気で全てを捨てるというのなら」
女召使「無能ではありますが、召使であるあたしが第一号になるべきかと……」
皇帝「…………」
皇帝「すまんっ!」ギュッ
女召使「ちょ、陛下!?」
皇帝「俺は間抜けだった」ギュゥゥ…
皇帝「たかだか童貞を捨てられぬくらいで、全てを捨てるなどと!」
皇帝「それに──」
皇帝「童貞さえ捨ててないのに、全てを捨てるというのもバカげた話だ」
皇帝「俺は生きる!」
皇帝「生きて必ずや童貞を捨ててやる!」
皇帝「そしてこんな最低男に命を賭けてくれたお前には──」
皇帝「全権を賭して、俺が必ず最高の男をあてがってやる!」ギュゥゥ…
女召使「へ、陛下……」
女召使(ちょっと苦しいけど、気持ちいい……です……)
皇帝「童貞さえ捨ててないのに、全てを捨てるというのもバカげた話だ」
皇帝「俺は生きる!」
皇帝「生きて必ずや童貞を捨ててやる!」
皇帝「そしてこんな最低男に命を賭けてくれたお前には──」
皇帝「全権を賭して、俺が必ず最高の男をあてがってやる!」ギュゥゥ…
女召使「へ、陛下……」
女召使(ちょっと苦しいけど、気持ちいい……です……)
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