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元スレ皇帝「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
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皇帝(しかし、報告が滞っていたとはいえ)
皇帝(最新の報告では地方都市の財政は順調だと聞いていた)
皇帝(税収も特に落ちているということはなかった)
皇帝(これはいったいどういうことだ……!?)
女召使「陛下……お顔が真っ青ですけど……大丈夫ですか?」
皇帝「え、ああ、大丈夫だ。ちょっと驚いただけだ」
皇帝「気を取り直して、役所に向かおう」
皇帝(最新の報告では地方都市の財政は順調だと聞いていた)
皇帝(税収も特に落ちているということはなかった)
皇帝(これはいったいどういうことだ……!?)
女召使「陛下……お顔が真っ青ですけど……大丈夫ですか?」
皇帝「え、ああ、大丈夫だ。ちょっと驚いただけだ」
皇帝「気を取り直して、役所に向かおう」
役所では、農民らしき男が見張りをしていた。
<役所>
女召使「あのぉ~」
農民「なんだ、おめえたちは!?」
皇帝「皇帝だ」
農民「皇帝!?」
女召使「陛下!」ボソッ
皇帝「い、いや……童貞だ」
農民「なんだ童貞だべか、ビックリしただよ」
皇帝「ここに地方都市の住民が立てこもっていると聞いてな」
皇帝「俺たちも協力したいと思い、やってきたんだ」
農民「そりゃあ、ありがたいことだ」
農民「どうぞ入ってくれい」
<役所>
女召使「あのぉ~」
農民「なんだ、おめえたちは!?」
皇帝「皇帝だ」
農民「皇帝!?」
女召使「陛下!」ボソッ
皇帝「い、いや……童貞だ」
農民「なんだ童貞だべか、ビックリしただよ」
皇帝「ここに地方都市の住民が立てこもっていると聞いてな」
皇帝「俺たちも協力したいと思い、やってきたんだ」
農民「そりゃあ、ありがたいことだ」
農民「どうぞ入ってくれい」
役所の中へ案内される二人。
ワイワイガヤガヤ……
女僧侶「どうぞ、こちらですわ」
皇帝(おお、やはり女がいた! 童貞喪失も夢ではなくなってきたな!)
皇帝(……というか)チラッ
皇帝(反乱軍と聞いてたから多少は身構えていたのだが)
皇帝(軍というか、本当にそこらの住民が集まっただけって感じだな)
ワイワイガヤガヤ……
女僧侶「どうぞ、こちらですわ」
皇帝(おお、やはり女がいた! 童貞喪失も夢ではなくなってきたな!)
皇帝(……というか)チラッ
皇帝(反乱軍と聞いてたから多少は身構えていたのだが)
皇帝(軍というか、本当にそこらの住民が集まっただけって感じだな)
リーダー「ボクが地方都市住民のリーダーだ」
リーダー「アンタは国中を旅している童貞とのことだが……」
リーダー「なんのためにここにやってきたんだ?」
皇帝「一童貞として、今回の反乱に興味があってな」
リーダー「反乱? なんのことだ?」
皇帝「ここの行政官が、すでに皇帝に報告している」
皇帝「地方都市の住民が結集して、帝国に対して反乱を起こしたと」
リーダー「な、なんだって!?」
ザワザワ……
リーダー「本当なのか、それは!?」
皇帝「ああ、まちがいない」
皇帝(俺が皇帝だしな)
リーダー「アンタは国中を旅している童貞とのことだが……」
リーダー「なんのためにここにやってきたんだ?」
皇帝「一童貞として、今回の反乱に興味があってな」
リーダー「反乱? なんのことだ?」
皇帝「ここの行政官が、すでに皇帝に報告している」
皇帝「地方都市の住民が結集して、帝国に対して反乱を起こしたと」
リーダー「な、なんだって!?」
ザワザワ……
リーダー「本当なのか、それは!?」
皇帝「ああ、まちがいない」
皇帝(俺が皇帝だしな)
リーダー「ボクらが反乱軍だと!?」
リーダー「くそっ、なんてことだ!」
女商人「まんまとやられたわね」
女商人「あの行政官に……!」
皇帝(おお、またもや女!)
皇帝「いったいなにがあったのか説明してくれないか?」
リーダー「童貞に話したところで、今さらどうにもならないが……」
リーダー「いいだろう、話してやろう」
リーダー「くそっ、なんてことだ!」
女商人「まんまとやられたわね」
女商人「あの行政官に……!」
皇帝(おお、またもや女!)
皇帝「いったいなにがあったのか説明してくれないか?」
リーダー「童貞に話したところで、今さらどうにもならないが……」
リーダー「いいだろう、話してやろう」
リーダー「この地方都市は交通の便が悪く、別段面白いもんがあるワケじゃない」
リーダー「やってくる人間なんてほとんどいない」
女商人「だからこそ、前の皇帝はここに行政官を派遣したのよ」
女商人「手の届かないところをきちんと統治できるようにってことで」
農民「最初はよかったんだがよ……」
農民「だんだんと、アイツは王様みたいに振る舞うようになったんだべ」
女僧侶「苛烈な重税をかけ、地方都市の税として国に納めた後──」
女僧侶「残りを全て自分の懐に入れるようになったのですわ……」
リーダー「いわゆるピンハネだな」
リーダー「他にも陸の孤島なのをいいことに、やりたい放題だ」
リーダー「おかげで、ここ数年で地方都市はあっという間に干からびてしまった」
女召使「そ、そんな……」
皇帝「…………」
リーダー「やってくる人間なんてほとんどいない」
女商人「だからこそ、前の皇帝はここに行政官を派遣したのよ」
女商人「手の届かないところをきちんと統治できるようにってことで」
農民「最初はよかったんだがよ……」
農民「だんだんと、アイツは王様みたいに振る舞うようになったんだべ」
女僧侶「苛烈な重税をかけ、地方都市の税として国に納めた後──」
女僧侶「残りを全て自分の懐に入れるようになったのですわ……」
リーダー「いわゆるピンハネだな」
リーダー「他にも陸の孤島なのをいいことに、やりたい放題だ」
リーダー「おかげで、ここ数年で地方都市はあっという間に干からびてしまった」
女召使「そ、そんな……」
皇帝「…………」
女召使「で、でもそんな不正、すぐバレちゃうんじゃ──」
リーダー「バレるわけがない」
リーダー「地方都市の住民はこの土地を出られないよう監視されていたし」
リーダー「ヤツの部下もみんな甘い汁を吸っていた」
リーダー「首都のヤツらも行政官を信頼しているのか、ここに来ることはなかった」
リーダー「我慢の限界に達したボクらは、役所に襲撃をかけたんだ」
リーダー「警備の兵はいるし、行政官も剣の使い手だから、用心して夜中にね」
リーダー「もちろん、役人を殺せば大問題だ。ハナから殺すつもりなどなかった」
リーダー「拘束して、帝国城に連れていくつもりだった」
リーダー「するとヤツは涙を流し──」
リーダー「“全てを皇帝に話してくるから許してくれ”“それまで役所を預ける”」
リーダー「──といった」
リーダー「ヤツが善政を敷いていた時期も知ってる我々は」
リーダー「その言葉を信用したんだが──」
皇帝「行政官はまんまとお前らを反乱軍にしたというワケだ」
リーダー「バレるわけがない」
リーダー「地方都市の住民はこの土地を出られないよう監視されていたし」
リーダー「ヤツの部下もみんな甘い汁を吸っていた」
リーダー「首都のヤツらも行政官を信頼しているのか、ここに来ることはなかった」
リーダー「我慢の限界に達したボクらは、役所に襲撃をかけたんだ」
リーダー「警備の兵はいるし、行政官も剣の使い手だから、用心して夜中にね」
リーダー「もちろん、役人を殺せば大問題だ。ハナから殺すつもりなどなかった」
リーダー「拘束して、帝国城に連れていくつもりだった」
リーダー「するとヤツは涙を流し──」
リーダー「“全てを皇帝に話してくるから許してくれ”“それまで役所を預ける”」
リーダー「──といった」
リーダー「ヤツが善政を敷いていた時期も知ってる我々は」
リーダー「その言葉を信用したんだが──」
皇帝「行政官はまんまとお前らを反乱軍にしたというワケだ」
二人きりになる皇帝と女召使。
女召使「なんだか……思ってたのとだいぶちがいますけど……」
女召使「どうしますか、陛下……?」
皇帝「決まってるだろう」
皇帝「住民と行政官の言い分がこうも食い違う以上、どちらかが嘘をついている」
皇帝「住民と行政官、両方を裁判の場に出して正式に裁く」
皇帝「……十中八九、嘘をついてるのは行政官の方だろうがな」
皇帝「来て正解だった」
皇帝(俺の目論み通り、どうやら平和的解決ができそうだ)
皇帝(そして解決したら正体を明かし、童貞を──)
すると──
農民「た、大変だべ!」
女召使「なんだか……思ってたのとだいぶちがいますけど……」
女召使「どうしますか、陛下……?」
皇帝「決まってるだろう」
皇帝「住民と行政官の言い分がこうも食い違う以上、どちらかが嘘をついている」
皇帝「住民と行政官、両方を裁判の場に出して正式に裁く」
皇帝「……十中八九、嘘をついてるのは行政官の方だろうがな」
皇帝「来て正解だった」
皇帝(俺の目論み通り、どうやら平和的解決ができそうだ)
皇帝(そして解決したら正体を明かし、童貞を──)
すると──
農民「た、大変だべ!」
農民「帝国の軍隊が、こっちにやって来てるべ!」
リーダー「軍が!?」
女商人「私たちを反乱軍として叩き潰すつもりね……!」
女僧侶「そ、そんな……」
ガヤガヤ……
役所のそばには、帝国軍が迫っていた。
女召使「兵隊がいっぱい来てますね……」
女召使「でもへっちゃらですよね! なんたって、ここには陛下がいますから!」
皇帝「…………」
皇帝「いや、これはマズイかもしれんな」
女召使「え?」
リーダー「軍が!?」
女商人「私たちを反乱軍として叩き潰すつもりね……!」
女僧侶「そ、そんな……」
ガヤガヤ……
役所のそばには、帝国軍が迫っていた。
女召使「兵隊がいっぱい来てますね……」
女召使「でもへっちゃらですよね! なんたって、ここには陛下がいますから!」
皇帝「…………」
皇帝「いや、これはマズイかもしれんな」
女召使「え?」
行政官「遠慮は無用!」
行政官「役所に立てこもるヤツらは、皆殺しにするのです!」
行政官「後から本隊を率いてくる軍団長殿の手を煩わせてはなりません!」
新兵A「はいっ!」
新兵B「はいっ!」
新兵C「しかし、皇帝陛下の捜索はいかがいたしましょう?」
行政官「…………」
行政官「どうやら知らぬうちに、追い抜いてしまったようですね」
行政官「今は陛下のことは忘れ、反乱軍の駆除に集中するのです!」
行政官「君たちのような新兵に活躍の場を与えてやるのですから、存分に働きなさい!」
新兵C「はいっ!」
行政官「役所に立てこもるヤツらは、皆殺しにするのです!」
行政官「後から本隊を率いてくる軍団長殿の手を煩わせてはなりません!」
新兵A「はいっ!」
新兵B「はいっ!」
新兵C「しかし、皇帝陛下の捜索はいかがいたしましょう?」
行政官「…………」
行政官「どうやら知らぬうちに、追い抜いてしまったようですね」
行政官「今は陛下のことは忘れ、反乱軍の駆除に集中するのです!」
行政官「君たちのような新兵に活躍の場を与えてやるのですから、存分に働きなさい!」
新兵C「はいっ!」
皇帝「軍を率いてるのは、軍団長じゃなく行政官だ」
皇帝「……それに新兵ばかりだ。多分、俺の顔なんか知らないだろう」
女召使「えっ!? ってことは──」
皇帝「行政官は、ここの住民もろとも俺を殺すつもりのようだ」
皇帝「殺した後は、それを住民の仕業だとなすりつければいい」
皇帝「そうなればもう、自分の不正が明るみに出ることはない」
女召使「ど、どうしましょう……!」オロオロ
女召使「こっちには戦えそうな人なんて、ほとんどいないのに……!」
皇帝(まもなく攻撃が始まるだろう)
皇帝(死んでたまるか……)
皇帝(──童貞のままで!)
皇帝「……それに新兵ばかりだ。多分、俺の顔なんか知らないだろう」
女召使「えっ!? ってことは──」
皇帝「行政官は、ここの住民もろとも俺を殺すつもりのようだ」
皇帝「殺した後は、それを住民の仕業だとなすりつければいい」
皇帝「そうなればもう、自分の不正が明るみに出ることはない」
女召使「ど、どうしましょう……!」オロオロ
女召使「こっちには戦えそうな人なんて、ほとんどいないのに……!」
皇帝(まもなく攻撃が始まるだろう)
皇帝(死んでたまるか……)
皇帝(──童貞のままで!)
リーダー(あの帝国軍のいきり立ちようから察するに)
リーダー(まちがいなくヤツらはボクたちを皆殺しにするつもりだ!)
リーダー(こんなことになるなんて……! どうすれば……! あああ……!)
皇帝「おい、リーダー」
リーダー「な、なんだ!?」
皇帝「帝国軍は到着したばかりで、攻撃開始までもう少し時間があるはず」
皇帝「今のうちに仲間に、窓や扉を障害物で塞ぐよう、指示してくれ」
皇帝「あとは大量の砂と、狩猟用の網を持ってこさせてくれ!」
リーダー「そんなことをして、どうなる!?」
皇帝「籠城する」
リーダー「籠城!? こっちは素人集団だ、勝負にならない!」
皇帝「向こうも新兵ばかりだ! 死にたくなければ、さっさとしろ!」
リーダー(通りすがりの童貞のくせして偉そうに……!)
リーダー(だが、なぜだろう……なんだか逆らえない雰囲気がある)
リーダー「わ、分かった……! やってみよう……!」
リーダー(まちがいなくヤツらはボクたちを皆殺しにするつもりだ!)
リーダー(こんなことになるなんて……! どうすれば……! あああ……!)
皇帝「おい、リーダー」
リーダー「な、なんだ!?」
皇帝「帝国軍は到着したばかりで、攻撃開始までもう少し時間があるはず」
皇帝「今のうちに仲間に、窓や扉を障害物で塞ぐよう、指示してくれ」
皇帝「あとは大量の砂と、狩猟用の網を持ってこさせてくれ!」
リーダー「そんなことをして、どうなる!?」
皇帝「籠城する」
リーダー「籠城!? こっちは素人集団だ、勝負にならない!」
皇帝「向こうも新兵ばかりだ! 死にたくなければ、さっさとしろ!」
リーダー(通りすがりの童貞のくせして偉そうに……!)
リーダー(だが、なぜだろう……なんだか逆らえない雰囲気がある)
リーダー「わ、分かった……! やってみよう……!」
新兵A「い、いよいよか……!」ドキドキ
新兵B「オイ、あまり緊張するなよ! しくじるぞ!」ドキドキ
新兵A「お前こそ!」ドキドキ
行政官(経験を積ませるという名目で連れてきたが、やはり頼りないですね)
行政官(しかし、反乱軍はろくな武器も持たない素人の寄せ集め)
行政官(……十分皆殺しにできる)
行政官(もうあの中にいるかもしれない、皇帝ごとね!)
行政官「よし、準備のできた者から入り口から突入するのです!」
行政官「一人も逃がしてはなりませんよ!」
新兵B「オイ、あまり緊張するなよ! しくじるぞ!」ドキドキ
新兵A「お前こそ!」ドキドキ
行政官(経験を積ませるという名目で連れてきたが、やはり頼りないですね)
行政官(しかし、反乱軍はろくな武器も持たない素人の寄せ集め)
行政官(……十分皆殺しにできる)
行政官(もうあの中にいるかもしれない、皇帝ごとね!)
行政官「よし、準備のできた者から入り口から突入するのです!」
行政官「一人も逃がしてはなりませんよ!」
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
新兵A「このドア、ビクともしないぞ!」
新兵B「こっちの窓もだ!」
新兵C「出入り口が全て封鎖されてる!」
行政官「…………」
行政官(籠城か……! てっきり逃げまどうものとばかり……)
行政官(私をあっさり逃したヤツらに、こんな知恵や度胸があるとも思えませんね)
行政官(やはり、中には皇帝がいる!)
行政官(マズイ……後続の軍団長の部隊が到着するまでに)
行政官(なんとしても皇帝を殺さなければ……!)
新兵A「このドア、ビクともしないぞ!」
新兵B「こっちの窓もだ!」
新兵C「出入り口が全て封鎖されてる!」
行政官「…………」
行政官(籠城か……! てっきり逃げまどうものとばかり……)
行政官(私をあっさり逃したヤツらに、こんな知恵や度胸があるとも思えませんね)
行政官(やはり、中には皇帝がいる!)
行政官(マズイ……後続の軍団長の部隊が到着するまでに)
行政官(なんとしても皇帝を殺さなければ……!)
ガンッ! ガンッ! ガンッ!
リーダー「ふぅ、間一髪だったな」
皇帝「この役所は頑丈だ。ヤツらの装備では壁を破壊することはできない」
皇帝「しばらくは持つだろう」
女商人「でも、私らが袋のネズミってことにはかわりないわよ!」
農民「んだんだ」
皇帝「任せろ。俺は攻めるのは苦手だが、守りには長けている」
リーダー(さすが童貞)
女召使(陛下……かっこいいです!)
リーダー「ふぅ、間一髪だったな」
皇帝「この役所は頑丈だ。ヤツらの装備では壁を破壊することはできない」
皇帝「しばらくは持つだろう」
女商人「でも、私らが袋のネズミってことにはかわりないわよ!」
農民「んだんだ」
皇帝「任せろ。俺は攻めるのは苦手だが、守りには長けている」
リーダー(さすが童貞)
女召使(陛下……かっこいいです!)
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