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元スレ皇帝「ど、ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!」
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それからというもの──
皇帝「この制度は煩雑すぎる。もう少し簡略化すべきだろう」
皇帝「地方都市からの報告が滞っているな。一度自ら視察してみるか……?」
皇帝「あの地域は慢性的な水不足だ。用水路の開発を急がせろ」
皇帝「盗賊団の動きがだいぶ掴めた。軍団長に討伐隊を組織させろ」
皇帝「なにっ、隣国の王子が結婚しただと!? お、俺より年下なのに……くそっ!」
~
側近「陛下、近頃は今までにもまして政務に励んでおられますな」
皇帝「まあな」
側近「あの事件なら、もう気にすることはありませんよ」
皇帝「ああ、分かっている」
皇帝(──というか、暇をしているとあの事件を思い出してしまうからな)
皇帝(それに……仕事をバリバリやってると部下の能力が見えてくる)
皇帝(女召使をめとるにふさわしい男を、俺が見極めてやる!)
皇帝「この制度は煩雑すぎる。もう少し簡略化すべきだろう」
皇帝「地方都市からの報告が滞っているな。一度自ら視察してみるか……?」
皇帝「あの地域は慢性的な水不足だ。用水路の開発を急がせろ」
皇帝「盗賊団の動きがだいぶ掴めた。軍団長に討伐隊を組織させろ」
皇帝「なにっ、隣国の王子が結婚しただと!? お、俺より年下なのに……くそっ!」
~
側近「陛下、近頃は今までにもまして政務に励んでおられますな」
皇帝「まあな」
側近「あの事件なら、もう気にすることはありませんよ」
皇帝「ああ、分かっている」
皇帝(──というか、暇をしているとあの事件を思い出してしまうからな)
皇帝(それに……仕事をバリバリやってると部下の能力が見えてくる)
皇帝(女召使をめとるにふさわしい男を、俺が見極めてやる!)
そんなある日のこと、城に物騒な報せが届く。
<帝国城>
側近「皇帝陛下、大変です!」
皇帝「どうした?」
側近「地方都市で、反乱が起こった模様です!」
皇帝「反乱……!?」
皇帝「たしかあそこには、行政官を派遣していたな」
側近「はい、行政官のいる役場を徒党を組んだ住民が襲撃したとのことです」
側近「幸い、行政官は手勢とともに逃れてきたため無事でしたが──」
皇帝「……分かった。とにかく、行政官に話を聞いてみるとしよう」
<帝国城>
側近「皇帝陛下、大変です!」
皇帝「どうした?」
側近「地方都市で、反乱が起こった模様です!」
皇帝「反乱……!?」
皇帝「たしかあそこには、行政官を派遣していたな」
側近「はい、行政官のいる役場を徒党を組んだ住民が襲撃したとのことです」
側近「幸い、行政官は手勢とともに逃れてきたため無事でしたが──」
皇帝「……分かった。とにかく、行政官に話を聞いてみるとしよう」
行政官「おおっ、皇帝陛下! お久しぶりでございます!」
皇帝「反乱が起こったと聞いたが、状況を説明してもらえるか?」
行政官「ははっ!」
行政官「ヤツらは三日前の夜、役所に襲撃をかけてきたのでございます」
行政官「むろん警備もいたのですが、反乱軍の勢いに押されてしまいました」
行政官「しかし、どうにか私と手勢は脱出に成功いたしました」
行政官「現在も、ヤツらは役所にたてこもっているものと考えられます」
皇帝「うむ……」
側近「なんということだ……!」
行政官「私はいわば皇帝陛下の手足として、地方都市に派遣されたのです」
行政官「これは明らかな反逆行為でございます!」
行政官「大至急! 討伐軍の編成をお願いしたい!」
皇帝「反乱が起こったと聞いたが、状況を説明してもらえるか?」
行政官「ははっ!」
行政官「ヤツらは三日前の夜、役所に襲撃をかけてきたのでございます」
行政官「むろん警備もいたのですが、反乱軍の勢いに押されてしまいました」
行政官「しかし、どうにか私と手勢は脱出に成功いたしました」
行政官「現在も、ヤツらは役所にたてこもっているものと考えられます」
皇帝「うむ……」
側近「なんということだ……!」
行政官「私はいわば皇帝陛下の手足として、地方都市に派遣されたのです」
行政官「これは明らかな反逆行為でございます!」
行政官「大至急! 討伐軍の編成をお願いしたい!」
皇帝「……ところで」
皇帝「反乱軍とやらの主張は?」
行政官「え? な、なぜそんなことを──」
皇帝「反乱軍とて、まさか暇だから反乱を起こしたのではあるまい」
皇帝「なにか理由があるはずだろう」
行政官「……皇帝を倒すだの、自分たちが国を変えるだのと叫んでおりました」
皇帝「…………」
側近「おのれ……!」
皇帝「側近の意見は?」
側近「地方都市の情勢は堅調だと報告が入っております」
側近「反逆に至る要因があるとは考えにくい」
側近「まして皇帝陛下を打倒するなどと、口にするだけでも許せぬ暴挙!」
側近「私も行政官と同様、彼らを反逆者として処理すべきと考えます」
皇帝「うむ」
皇帝「反乱軍とやらの主張は?」
行政官「え? な、なぜそんなことを──」
皇帝「反乱軍とて、まさか暇だから反乱を起こしたのではあるまい」
皇帝「なにか理由があるはずだろう」
行政官「……皇帝を倒すだの、自分たちが国を変えるだのと叫んでおりました」
皇帝「…………」
側近「おのれ……!」
皇帝「側近の意見は?」
側近「地方都市の情勢は堅調だと報告が入っております」
側近「反逆に至る要因があるとは考えにくい」
側近「まして皇帝陛下を打倒するなどと、口にするだけでも許せぬ暴挙!」
側近「私も行政官と同様、彼らを反逆者として処理すべきと考えます」
皇帝「うむ」
皇帝「では、どうすべきだと思う?」
側近「ただちに軍を派遣して討伐すべきでしょう」
側近「これを許せば、陛下の威厳は失墜し、国が乱れます」
側近「陛下の温和な気質は理解しておりますが、ここは心を鬼にするべきかと」
皇帝「…………」
皇帝「側近、軍団長に命じて討伐軍を組織させろ」
皇帝「明日中には出動させるように」
側近「はっ!」
行政官「おおっ……! ありがとうございます!」
側近「ただちに軍を派遣して討伐すべきでしょう」
側近「これを許せば、陛下の威厳は失墜し、国が乱れます」
側近「陛下の温和な気質は理解しておりますが、ここは心を鬼にするべきかと」
皇帝「…………」
皇帝「側近、軍団長に命じて討伐軍を組織させろ」
皇帝「明日中には出動させるように」
側近「はっ!」
行政官「おおっ……! ありがとうございます!」
その日のうちに、軍団長は兵士たちに反乱の件を伝えた。
軍団長「──これは陛下の温厚なる性質につけこんだ、悪質な反乱である!」
軍団長「役所にたてこもる賊どもを、我が軍の誇りにかけて叩き潰すのだ!」
ワアァァァァァ……!
~
側近「頼むぞ」
側近「陛下に落ち度があるならともかく、同情の余地などまったくない!」
行政官「側近様のおっしゃるとおりでございます」
行政官「どうか手心など加えぬよう、お願いいたします」
軍団長「無論です」
軍団長「──これは陛下の温厚なる性質につけこんだ、悪質な反乱である!」
軍団長「役所にたてこもる賊どもを、我が軍の誇りにかけて叩き潰すのだ!」
ワアァァァァァ……!
~
側近「頼むぞ」
側近「陛下に落ち度があるならともかく、同情の余地などまったくない!」
行政官「側近様のおっしゃるとおりでございます」
行政官「どうか手心など加えぬよう、お願いいたします」
軍団長「無論です」
<皇帝の部屋>
女召使「城内は地方都市の反乱の話題で持ちきりですよ」
女召使「どうしてこんなことになっちゃったんですかねぇ……」
皇帝「心配するな」
皇帝「明日には軍が出動する。軍団長らがすぐに解決してくれるだろう」
女召使「……そうですね!」
女召使「では、失礼します。おやすみなさい!」スタスタ
皇帝「おやすみ」
皇帝「…………」
女召使「城内は地方都市の反乱の話題で持ちきりですよ」
女召使「どうしてこんなことになっちゃったんですかねぇ……」
皇帝「心配するな」
皇帝「明日には軍が出動する。軍団長らがすぐに解決してくれるだろう」
女召使「……そうですね!」
女召使「では、失礼します。おやすみなさい!」スタスタ
皇帝「おやすみ」
皇帝「…………」
翌朝──
<帝国城>
側近(さて、昼には討伐軍を出動させねばならん)
側近(皇帝陛下からも、兵たちを鼓舞してもらわないとな)
側近「…………」キョロキョロ
側近(そういえば、今日は朝から陛下の姿が見えないな……)キョロキョロ
召使「側近様」
側近「なんだ?」
召使「側近様宛に封書が届いております」
側近「おお、ありがとう」
<帝国城>
側近(さて、昼には討伐軍を出動させねばならん)
側近(皇帝陛下からも、兵たちを鼓舞してもらわないとな)
側近「…………」キョロキョロ
側近(そういえば、今日は朝から陛下の姿が見えないな……)キョロキョロ
召使「側近様」
側近「なんだ?」
召使「側近様宛に封書が届いております」
側近「おお、ありがとう」
側近(なんだこれは、差し出し人が書いてないじゃないか)
側近(郵便を介した形跡もない)ビリッ
側近(ということは、直接城の郵便受けに手紙を入れたということか)
側近(だれだ、こんなことをするのは……)ガサガサ…
側近「どれどれ……」
『側近へ ちょっと反乱軍のところに行ってくる。 皇帝より』
側近「ふうん……」
側近「…………」プツン
側近「なにをやってやがるんだ、あの童貞はァ!!!」
側近(郵便を介した形跡もない)ビリッ
側近(ということは、直接城の郵便受けに手紙を入れたということか)
側近(だれだ、こんなことをするのは……)ガサガサ…
側近「どれどれ……」
『側近へ ちょっと反乱軍のところに行ってくる。 皇帝より』
側近「ふうん……」
側近「…………」プツン
側近「なにをやってやがるんだ、あの童貞はァ!!!」
その頃、皇帝は女召使を背に、馬を走らせていた。
パカラッ パカラッ
皇帝「──今頃、側近のヤツ激怒してるだろうな」
女召使「本当ですよ、まったく!」
皇帝「……で、なんでお前がついてくるんだ」
女召使「だってあたしの仕事は皇帝陛下のお世話をすることですから!」
皇帝「はぁ……」
パカラッ パカラッ
皇帝「──今頃、側近のヤツ激怒してるだろうな」
女召使「本当ですよ、まったく!」
皇帝「……で、なんでお前がついてくるんだ」
女召使「だってあたしの仕事は皇帝陛下のお世話をすることですから!」
皇帝「はぁ……」
~ 回想 ~
皇帝(反乱軍、か)
皇帝(行政官の話だけだと、どうにも腑に落ちない点が多すぎる)
皇帝(もしそれが分かれば、和解も可能かもしれん)
皇帝(側近を始めとした重臣たちはみな、激怒していたから)
皇帝(俺から和解案など出しても、“甘い”といわれてしまうだろう)
皇帝(それに──)
皇帝(地方都市では、俺の童貞は知られていない)
皇帝(反乱軍にも女はいるはず)
皇帝(正体を隠して現地に出向き、うまい具合に解決した後──正体を明かす)
皇帝(惚れられて、抱いて、童貞卒業!)
皇帝(イケる!)
皇帝(これは……ドラマチックに童貞を捨てるラストチャンスなんだ!)
皇帝(反乱軍、か)
皇帝(行政官の話だけだと、どうにも腑に落ちない点が多すぎる)
皇帝(もしそれが分かれば、和解も可能かもしれん)
皇帝(側近を始めとした重臣たちはみな、激怒していたから)
皇帝(俺から和解案など出しても、“甘い”といわれてしまうだろう)
皇帝(それに──)
皇帝(地方都市では、俺の童貞は知られていない)
皇帝(反乱軍にも女はいるはず)
皇帝(正体を隠して現地に出向き、うまい具合に解決した後──正体を明かす)
皇帝(惚れられて、抱いて、童貞卒業!)
皇帝(イケる!)
皇帝(これは……ドラマチックに童貞を捨てるラストチャンスなんだ!)
皇帝(よぉ~し、では側近に手紙だけ残してさっそく……)
女召使「へーいーか」
皇帝「!?」ビクッ
女召使「こんな夜遅くに、ど~こに行くんです?」
皇帝「ちょ、ちょっと地方都市までな」
女召使「ほうほう」
女召使「じゃあ、あたしも行きます」
皇帝「は!?」
女召使「あそこは遠いですし、道も険しいですよ」
女召使「絶対あたしが必要になりますって!」
皇帝「……分かった、ついてくるがいい」
女召使「ありがとうございますっ!」
女召使「へーいーか」
皇帝「!?」ビクッ
女召使「こんな夜遅くに、ど~こに行くんです?」
皇帝「ちょ、ちょっと地方都市までな」
女召使「ほうほう」
女召使「じゃあ、あたしも行きます」
皇帝「は!?」
女召使「あそこは遠いですし、道も険しいですよ」
女召使「絶対あたしが必要になりますって!」
皇帝「……分かった、ついてくるがいい」
女召使「ありがとうございますっ!」
~ 現代 ~
パカラッ パカラッ
皇帝「そういえば、久しく馬には乗っていなかったな」
皇帝「しっかり俺につかまっているのだぞ」
女召使「はいっ!」ギュッ
皇帝(背中に胸が……! これはいかん!)
女召使「皇帝陛下の背中、おっきいですね!」
皇帝(俺のナニもおっきくなっている……!)
パカラッ パカラッ
パカラッ パカラッ
皇帝「そういえば、久しく馬には乗っていなかったな」
皇帝「しっかり俺につかまっているのだぞ」
女召使「はいっ!」ギュッ
皇帝(背中に胸が……! これはいかん!)
女召使「皇帝陛下の背中、おっきいですね!」
皇帝(俺のナニもおっきくなっている……!)
パカラッ パカラッ
<帝国城>
皇帝の独走が、側近を通じて重臣たちに伝えられる。
軍団長「なんですと!?」
行政官「皇帝陛下がお一人で!?」
ドヨドヨ……
側近「召使も連れてはいるだろうが……護衛にはならん。マズイことになった」
行政官(ま、マズすぎる……!)
行政官「……軍団長殿!」
軍団長「なんでしょうか」
行政官「私にも、緊急時には兵の指揮権がございます」
行政官「先行部隊として、100騎ほどお貸し下さい!」
皇帝の独走が、側近を通じて重臣たちに伝えられる。
軍団長「なんですと!?」
行政官「皇帝陛下がお一人で!?」
ドヨドヨ……
側近「召使も連れてはいるだろうが……護衛にはならん。マズイことになった」
行政官(ま、マズすぎる……!)
行政官「……軍団長殿!」
軍団長「なんでしょうか」
行政官「私にも、緊急時には兵の指揮権がございます」
行政官「先行部隊として、100騎ほどお貸し下さい!」
軍団長「いかがいたしましょう、側近殿」
側近「たしかに行政官の方が、地方都市への道は詳しい」
側近「陛下が反乱軍と接触するまでに、追いつけるかもしれん」
側近「行政官の先行を認めよう」
側近「反乱軍の討伐より、陛下の確保を優先的に頼む」
行政官「ありがとうございます!」
行政官(よし!)
側近「たしかに行政官の方が、地方都市への道は詳しい」
側近「陛下が反乱軍と接触するまでに、追いつけるかもしれん」
側近「行政官の先行を認めよう」
側近「反乱軍の討伐より、陛下の確保を優先的に頼む」
行政官「ありがとうございます!」
行政官(よし!)
夜になった。
皇帝(しまった……!)
皇帝(時間を考えずめいっぱい飛ばしてきたから、寝る場所とメシのこと忘れていた)
皇帝(仕方あるまい、今夜はメシ抜きで寝るか……)グーキュルル…
女召使「陛下! 陛下!」タタタッ
女召使「木の実と野草とキノコを採ってきました!」
皇帝「お、おい……なんかマズそうだが食えるのか?」
女召使「大丈夫です!」
女召使「調理しますんで、ちょっと待ってて下さいね」
火をおこし、木の実を砕き、野草をちぎり、キノコを裂く。
皇帝(す、すごいな……)
皇帝(しまった……!)
皇帝(時間を考えずめいっぱい飛ばしてきたから、寝る場所とメシのこと忘れていた)
皇帝(仕方あるまい、今夜はメシ抜きで寝るか……)グーキュルル…
女召使「陛下! 陛下!」タタタッ
女召使「木の実と野草とキノコを採ってきました!」
皇帝「お、おい……なんかマズそうだが食えるのか?」
女召使「大丈夫です!」
女召使「調理しますんで、ちょっと待ってて下さいね」
火をおこし、木の実を砕き、野草をちぎり、キノコを裂く。
皇帝(す、すごいな……)
皇帝「──うむ、うまい!」モグモグ
女召使「ありがとうございます!」
皇帝「……しかし、お前にこんなサバイバル能力があるとは意外だったぞ」
皇帝「連れてきて正解だった」
女召使「あたしが住んでた村は貧しかったですから」
女召使「あ、でも、先代様や陛下のおかげでだいぶ豊かになったんですよ!」
皇帝「……ありがとう」
皇帝「お前のいうとおり、この国にはまだまだ貧しい地方がある」
皇帝「地方都市もそうだが、俺が行ったことすらない土地も多い」
皇帝「こうやって馬でも飛ばさねば、通行すらままならんからな」
皇帝「今回の反乱も、きっとそういうところが起因しているはずだ」
皇帝「できれば平和的に解決したいものだが……」
女召使「陛下……」
女召使「ありがとうございます!」
皇帝「……しかし、お前にこんなサバイバル能力があるとは意外だったぞ」
皇帝「連れてきて正解だった」
女召使「あたしが住んでた村は貧しかったですから」
女召使「あ、でも、先代様や陛下のおかげでだいぶ豊かになったんですよ!」
皇帝「……ありがとう」
皇帝「お前のいうとおり、この国にはまだまだ貧しい地方がある」
皇帝「地方都市もそうだが、俺が行ったことすらない土地も多い」
皇帝「こうやって馬でも飛ばさねば、通行すらままならんからな」
皇帝「今回の反乱も、きっとそういうところが起因しているはずだ」
皇帝「できれば平和的に解決したいものだが……」
女召使「陛下……」
皇帝「おやすみ」
女召使「おやすみなさい!」
皇帝(草で作った布団か……。こういうのも新鮮だな)ガサ…
女召使「すぅ……すぅ……」
皇帝(可愛い寝顔をしてるな……)
皇帝(コイツ、こんなに可愛かったのか……)
皇帝(──っていかんいかん!)
皇帝「ぐぅ……」
女召使「おやすみなさい!」
皇帝(草で作った布団か……。こういうのも新鮮だな)ガサ…
女召使「すぅ……すぅ……」
皇帝(可愛い寝顔をしてるな……)
皇帝(コイツ、こんなに可愛かったのか……)
皇帝(──っていかんいかん!)
皇帝「ぐぅ……」
…
……
………
先代皇帝「どうじゃ、息子は」
側近「非常に優秀で、次々に知識を吸収していきますよ」
側近「ただ……皇后様が亡くなられてから、精神的に塞いでいるようで……」
側近「特に女性には心を開かなくなってしまい……」
先代皇帝「ふむぅ……」
先代皇帝「やむをえん部分もあるが、アイツはいずれ上に立つ身」
先代皇帝「このままではいかんな」
先代皇帝「そういえば、この前城で雇われたいといってた女の子がいたと聞いたが」
側近「はい」
先代皇帝「その子に、息子の世話係になってもらうというのはどうじゃ」
……
………
先代皇帝「どうじゃ、息子は」
側近「非常に優秀で、次々に知識を吸収していきますよ」
側近「ただ……皇后様が亡くなられてから、精神的に塞いでいるようで……」
側近「特に女性には心を開かなくなってしまい……」
先代皇帝「ふむぅ……」
先代皇帝「やむをえん部分もあるが、アイツはいずれ上に立つ身」
先代皇帝「このままではいかんな」
先代皇帝「そういえば、この前城で雇われたいといってた女の子がいたと聞いたが」
側近「はい」
先代皇帝「その子に、息子の世話係になってもらうというのはどうじゃ」
皇太子「なんだ、お前は?」ジロ…
少女召使「今日から太子の召使になりました」
少女召使「よろしくお願いします!」
皇太子「ふん」
皇太子(新しい召使が来たと思ったら、俺よりも子供じゃないか)
皇太子(父上はなにを考えてるんだ)
皇太子「いいか、俺は女が嫌いだ」
皇太子「なぜなら母上より、すばらしい女などいないからだ」
皇太子「徹底的にイジメ抜いてやるから、覚悟しろよ」ギロッ
少女召使「はいっ!」
皇太子(はいっ、って……アタマ大丈夫かコイツ)
少女召使「今日から太子の召使になりました」
少女召使「よろしくお願いします!」
皇太子「ふん」
皇太子(新しい召使が来たと思ったら、俺よりも子供じゃないか)
皇太子(父上はなにを考えてるんだ)
皇太子「いいか、俺は女が嫌いだ」
皇太子「なぜなら母上より、すばらしい女などいないからだ」
皇太子「徹底的にイジメ抜いてやるから、覚悟しろよ」ギロッ
少女召使「はいっ!」
皇太子(はいっ、って……アタマ大丈夫かコイツ)
………
……
…
皇帝「……ん」
皇帝(朝か……)
皇帝(ずいぶんと懐かしい夢を見たな)
女召使「むにゃ……」ゴロン
皇帝「オイ、起きろ。討伐軍に追いつかれてしまう」ユサユサ
女召使「は、はい!」
女召使「うわっ、よだれが! す、すみません!」ジュル…
皇帝「いや、お前はそれでいいんだ」
女召使「へ?」
皇帝「なんでもない」
……
…
皇帝「……ん」
皇帝(朝か……)
皇帝(ずいぶんと懐かしい夢を見たな)
女召使「むにゃ……」ゴロン
皇帝「オイ、起きろ。討伐軍に追いつかれてしまう」ユサユサ
女召使「は、はい!」
女召使「うわっ、よだれが! す、すみません!」ジュル…
皇帝「いや、お前はそれでいいんだ」
女召使「へ?」
皇帝「なんでもない」
その後も皇帝は全速力で馬を走らせ、出発から三日後──
パカラッ パカラッ
皇帝「どうどう」
皇帝「この辺は、まったく道が整備されていないな」
皇帝「城下と地方都市を行き来する人が少ないのも無理はない」
皇帝「しかしこの分なら、今日中にはたどり着けそうだ」
女召使「着いたらどうします?」
皇帝「一般人を装って、役所に向かう」
皇帝「いったい地方都市でなにが起きているのか、たしかめねばならん」
パカラッ パカラッ
皇帝「どうどう」
皇帝「この辺は、まったく道が整備されていないな」
皇帝「城下と地方都市を行き来する人が少ないのも無理はない」
皇帝「しかしこの分なら、今日中にはたどり着けそうだ」
女召使「着いたらどうします?」
皇帝「一般人を装って、役所に向かう」
皇帝「いったい地方都市でなにが起きているのか、たしかめねばならん」
昼になり、二人はようやく地方都市にたどり着いた。
<地方都市>
皇帝「なんだこれは……」
女召使「なんというか……静かな町ですね」
皇帝(……活気がまるでない)
皇帝(まだ日も高いというのに、どこを見ても暗く沈んでいる)
皇帝(本当にここは城下町と同じ国なのか……!?)
<地方都市>
皇帝「なんだこれは……」
女召使「なんというか……静かな町ですね」
皇帝(……活気がまるでない)
皇帝(まだ日も高いというのに、どこを見ても暗く沈んでいる)
皇帝(本当にここは城下町と同じ国なのか……!?)
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