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    元スレクリス「私とまゆりのどっちかが死ぬはずだった?」 岡部「そうだ」

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    101 = 1 :


    ここで、思い出さなかったら、たぶん二度と思い出す事はできない。
    それは絶対に嫌だ。

    俺はもう後悔なんてしたくないんだ。

    今!この時!この瞬間!全てをかけてでも思い出してやる!

    104 = 40 :

    さるか

    105 = 40 :

    落としはしない

    107 :


    あと数センチ。
    渾身の力を振り絞って、手を伸ばす。

    もう少し。

    もう少しで手が届く。

    踏ん張れ。全力でそれを掴め。

    まゆりのため、そして、今働いてるラボメンたちのために。

    思い出すんだ。

    109 :


    そして、指がそれに触れた瞬間。

    風が

    駆け抜けた。






    力強い旋風のような。だけど荒々しさは全くない。

    一瞬のうちに夜の嵐から、春の高原に移ったみたいに。

    頭の中の景色が、色を変えた。






    記憶はよみがえった。

    112 = 109 :


    岡部「…………………………」

    紅莉栖「ちょ、ちょっと……、岡部、大丈夫……?」

    岡部「………………」

    紅莉栖「岡部ったら!」

    岡部「…………見つけた……」

    紅莉栖「…………え?」

    岡部「……ダル、紅莉栖……出かけるぞ」

    ダル「ほぇ?」

    紅莉栖「……どういうこと?」

    岡部「IBN5100を見つけた」

    113 = 109 :


    紅莉栖「……っ!?」

    ダル「まじで!?」

    岡部「紅莉栖は人数分の手袋、ダルはスコップとシャベルを用意してくれ」

    ダル「オーキドーキ!さすがオカリン!」

    紅莉栖「ちょ、ちょっと岡部!事情を説明してよ!」

    岡部「事情を説明するよりも、現場に来てもらったほうが早い」

    紅莉栖「現場?、現場って……?」

    岡部「…………墓地だ」





    【土蝉のメッセージコード】 13章 前半 完

    114 :

    明日の昼まで残ってればいいなぁ・・・

    115 :

    お猿さんくらっちゃった。

    117 = 109 :



    椎名まゆりの祖母 墓地


    紅莉栖「……さて、いい加減説明してもらうわよ」

    ダル「オカリン、墓地にシャベルなんてもってきて何をする気?墓荒らしはマジで勘弁なのだぜ……」

    岡部「…………6年前に、まゆりの祖母が亡くなって、まゆりがしばらく失声症の様な状態になっていた事は話したな……」

    紅莉栖「え、えぇ……でもそれが?」

    岡部「まゆりは祖母が亡くなってから、毎日、本当に毎日ここに来てたんだ」

    ダル「…………」

    岡部「俺も毎日まゆりを見てた。ちょうどこの立ち位置、視線は少し違うが」

    紅莉栖「…………」

    岡部「俺があの頃を思い出すと、浮かんでくる光景はいつもこれだ。この立ち位置から、この視点からの光景だ」

    紅莉栖「……それで?」

    118 :

    しえん

    119 = 109 :


    岡部「そして、それは数ヶ月前の記憶でも同じだ」

    紅莉栖「数ヶ月前?、それって世界改変の前の話?」

    岡部「あぁ、俺がシュタインズゲートに到達しようと四苦八苦してる時のことだ。その時も、まゆりはここに来ていた」

      「そして、俺はその様子をまたここから見ていた。」

      「いつもと変わらない光景だった。6年前から見続けてきた光景だ。」

      「俺はさっき、その懐かしい光景をひたすら思い浮かべていたんだ」

      「すると一つおかしな記憶があった」

      「現在の年と同じ背格好のまゆりが、墓場に居る光景だ」

    紅莉栖「……?それの何がおかしいの?」

    岡部「最初は俺も気づかなかった。違和感も何も感じなかった。ただまゆりが墓場に居る光景だからな」

    ダル「…………?」

    岡部「だが、おかしいんだ。その記憶は。」

    紅莉栖「……どういうこと?」

    120 = 109 :


    岡部は、コメカミに手を当てつつ、先ほどまで立っていた墓場側面から移動する。反対側へ。

    岡部「その記憶では、まゆりはこちら側から写っていた。ちょうど先ほどの立ち位置から真逆のこちら側だ」

    紅莉栖「…………」

    岡部「おかしいんだ。そんな事絶対にありえない」

    紅莉栖「……ど、どうして?」

    岡部「入り口から墓をまたぐ位置にある、こちらから『俺がまゆりを眺める』事はありえない」

    紅莉栖「………意味がわからない」

    岡部「要するにだ。俺はこちらからまゆりを眺めた事は一度も無い。ただの一度もだ。」

    ダル「で、でも、一回ぐらいは有ったんじゃない?オカリンの記憶違いでさ」

    岡部「いや、絶対にありえない。」

    122 = 109 :


    紅莉栖「どうしてなの?」

    岡部「俺がまゆりより先にこの墓地に来た事がないからだ。俺は必ずまゆりよりも遅れてここに来る。当然だ。まゆりを探しにここに来ているのだから」

    紅莉栖「……なるほどね。……要するにまゆりが居る光景って事は、まゆりを探しに来た記憶ってことで」

    岡部「そうだ。……探しているなら、そしてまゆりが祈っている光景が見えるという事は、まゆりの後ろを通って、まゆりに気づかれる事なく、こちら側から眺めているはずが無いのだ」

    紅莉栖「……、確かにその光景がおかしい事は理解できたわ。…………でもそれが?」

    岡部「さっき、この光景の違和感差に気づいた時、ふと疑問が思い浮かんだんだ。」

    ダル「…………」

    岡部「この光景は俺の記録には無い。だが俺の記憶にはある。それは一体何故だ」

    紅莉栖「夢でも見ていたとか……?」

    岡部「あそこまで鮮明な記憶は夢ではないと断言できる。」

    紅莉栖「……ならいったい」

    岡部「結論は一つだ。あれは俺の記憶じゃない」

    124 :

    面白い

    125 = 109 :


    紅莉栖「……は?………ならなんだって言う………………、………………リーディングシュタイナー?」

    岡部「……あぁ、間違いない。この記憶はリーディングシュタイナーによって得た物だ。」

    紅莉栖「ちょ、ちょっと待ってよ。それはいくらなんでも結論が早急すぎじゃない?」

    岡部「確かに無茶苦茶に聞こえるかもしれん。……だが、なんと言えばいいのか……。一度そうだと思ったら、認識できてしまったのだ」

    紅莉栖「……?、リーディングシュタイナーの力を……ってこと?」

    岡部「あぁ、今なら断言できる。……この光景はリーディングシュタイナーによって得た記憶だ」

    ダル「それよりさ、オカリン。このシャベルとかは何のためにもってきたん?」

    岡部「……この記憶は、俺に『思い出せ』と言って来た」

    ダル「……ほぇ?」

    127 = 109 :


    ダル「……ほぇ?」

    岡部「希望にただ縋っただけのように見えるが、俺には、この記憶こそが、この現状を打破する鍵になると確信している」

    紅莉栖「……現状……?…………IBN5100のこと?」

    岡部「……あぁそうだ」

    紅莉栖「……って事はまさか……」

    岡部「あぁ。今から墓の周辺を掘り返す」

    ダル「ちょちょちょ!待った待った!オカリン!それって犯罪じゃね!?」

    岡部「犯罪だろうが、なんだろうが、もう俺にはこの第六感を信じる以外無い」

    ダル「ていうか!記憶がおかしいからって墓地を掘り返す事に何もつながらない件について!」

    岡部「……俺は確信してる」

    ダル「なにが?」

    岡部「俺の中にある、なんというか、本能みたいな物が、ここを探れと言ってるんだ……」

    ダル「……これで、本当にIBN5100が埋まってたらご都合主義すぎるだろ……jk」

    岡部「……今は、そのご都合主義こそ、望んでやまない物だがな……」

    128 :

    後は任せた
    昼まで頼む

    130 = 124 :

    131 = 109 :


    紅莉栖「……岡部……。本当に自信があるのね?」

    岡部「……この予想が外れてたら……、俺にはもう手がない」

    紅莉栖「……本当に……、その記憶は岡部のものじゃないのね……?」

    岡部「その答えは、…………ここにある」

    紅莉栖「…………わかったわ。掘りましょ」

    ダル「……オカリン……夜うなされたら添い寝を希望するのだぜ……」

    岡部「……余計うなされるだろ……」





    そうして墓を掘り返す事にした岡部一行。

    「どこから掘り返すか?」という題に、全員一致でまず墓裏から、となった。

    132 = 108 :

    前もこのスレ建ててなかった?

    133 = 109 :


    ダル「それじゃ、いくぜよ……」

    岡部「……うむ……」

    ザクザク、と小気味良い音を立てて、シャベルが土をすくって行く。
    橋田が豪快に土を掘り、横で岡部がスコップで細部を調べる。
    そうして作業していく事3分。


    ある程度、穴も深くなったところでダルが言った。


    ダル「……あれ?シャベルの先に何か当たったかも」

    岡部「っ!?本当か!?ダル!」

    ダル「う、うん!もうちょい掘り返してみるお!」


    慎重に作業すること2分。

    ついに地面深くから、箱のような物の上部が見えた。


    ご都合主義万歳だ。

    俺は、心の中でそう思った。

    134 :

    >>132
    おまえタイムリープしてきたのか?

    135 = 108 :

    どうやら俺のリーディングシュタイナーが発動してしまったらしいな・・・

    136 = 109 :


    紅莉栖「……信じがたいけど……、本当に出てきたわね……」

    岡部「あぁ……、だが……この大きさは……」



    見えてきた箱上部の大きさは、大体A4タイプの紙よりちょっとだけ大きい物だった。




    岡部「……そんな……、まさか……」

    大体箱中部まで見えてきたところで、岡部はたまらずスコップ片手に手で掘り返そうと躍起になった。

    そうして出した箱は、腐敗しにくそうな銀色のものだった。

    だが、その大きさは到底IBN5100が入るようなものではなく、

    またその重さも、IBN5100のそれとは決定的に違っていた。

    墓の前に箱を置き、一同はそれを呆然と見下ろす。

    137 = 109 :


    ダル「……オカリン、開くよ」

    岡部「……あぁ」

    ガコッという重苦しい音と共に蓋が外された。

    そして、中にあったのは、

    果たして白い紙だった。

    一枚ではない。その量はゆうに100枚はあるようだった。


    岡部「…………これは……?」

    岡部はそれらの半分を手にとって眺めてみる。

    限りなく茶色に近いそれらの紙は、歴史を感じさせる。

    138 = 109 :


    そして、そこに記されていたのは、数字と、アルファベット、そして記号だ。

    英語の様な、しかしちゃんとした文章ではない。

    なんだこれは。

    岡部はそれらを眺めて、思案に耽る。

    「……ん?これってプログラミング言語じゃない?」

    ダルの声が聞こえた。

    139 = 109 :


    紅莉栖「プログラミング言語?」

    ダルは、残された半分の紙のうち数枚を手に取り言う。

    ダル「うん。これってプログラム言語の構文規則と意味規則について書いた紙じゃね?」

    どの言語かはさっぱりだけどさ。


    そう言い閉めるダルの言葉は、岡部の耳に届かない。

    紅莉栖の言葉も全く聞こえない。

    いや、誰の、どんな言葉も今の岡部には届かない。




    岡部「………………」

    紅莉栖「……?岡部?」

    岡部「………ついに見つけた」

    141 :

    私よく読んでないけど、この紅莉栖っていう超絶かわいい娘と岡部っていうイケメンがくっついたらいいと思う

    142 :

    臭いのがわいてるぞ

    143 = 109 :


    紅莉栖「……え?」

    ダル「……ん?」

    岡部「……IBN5100だ…………」


    紅莉栖「ちょ、ちょっと……岡部?」

    ダル「き、気持ちはわかるけどさ……、IBN5100は無かったっしょ……」

    岡部「違う!今、たった今見つけたのだ!お前が見つけたのだ!」

    ダル「……オカリン……」

    岡部「そんな目で俺を見るな!これだ!これがIBN5100だと言ってるんだ!」

    左手に持った紙束を右手でパンパンと叩いて見せる。

    その顔は笑みを隠し切れず、また興奮も滲み出ていた。

    144 :

    そういや現物見つけた即日でダルがコンパイラ作ってたな

    145 = 109 :


    紅莉栖「……どういう事?」

    岡部「こ、これは!このファイルは!IBN5100の機能の規則書だ!」

    紅莉栖「IBN5100の機能って……、あの独自のプログラムを解析するって言う?」

    岡部「そうだ!そのユニ-クな言語は、IBN5100でしか解析できないが、これがあれば違う!」

    ダル「……って事は、これってIBN5100で使われてる言語について書かれてるってこと?」

    岡部「あぁ!それしか考えられん!」

    紅莉栖「……橋田。本当にその紙で、IBN5100の言語がわかるの?」

    ダル「……た、確かに、ちゃんとした規則について書かれた物があれば、それを使ってデコードソフトを作れるけど……」

    紅莉栖「……本当にIBN5100なの……?」

    岡部「絶対だ!ここに来てIBN5100以外なぞ有り得ん!」

    紅莉栖「信じられない…………」

    岡部「だが事実だ!やはり俺の力は正しかった!」

    146 = 121 :

    支援
    朝まで頼むぞ

    147 = 109 :



    紅莉栖「……じゃあついに見つけたのね……」

    岡部「あぁ、ついに、俺たちの計画の一歩目が始まった!ようやくスタートできるんだ!」

    手を空に伸ばし、高らかに宣言する岡部の右ポケットが揺れる。

    携帯の着信バイヴだった。

    開くと、一通のメールが着信していた。


    149 = 109 :



    岡部は確信した。

    これは、この書類は、間違いなくIBN5100の物だ、と。


    この場面。このタイミングで、このメールが送られてくる事の意味。

    おそらくは、俺の望む人物が、俺の望む物を持って、そこに居る。

    岡部はそう胸に秘め、足を進めた。






    【土蝉のメッセージコード】 13章 後半 完

    150 :

    期待してる


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