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    元スレP「かまいたちっぽい夜」

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    51 = 33 :

    伊織「…………」

    そして伊織はと言えば予想通り苦戦していた。

    小さな手で布巾を広げたまま拭くものだから、汚れが広がってしまう。

    おまけにキチンと絞ってないのか水気が残って、拭いた端から蛇腹模様になっていった。

    本人も上手くできていないことを自覚しているのかさっきから眉間にシワを寄せっぱなしだ。


    P「伊織、一回絞りなおしてきたら?」

    伊織「うっさいわね! わかってるわよ!」

    プリプリ怒りながらも素直に洗面所へ歩いていった。


    俺は……


    A 伊織についていった

    B 双子が遊ばないか監督した

    C やよいとおしゃべりした

    >>55

    55 :

    56 = 33 :

    やる気はあるのだが伊織にはいかんせん経験値が足りない。

    人生の先輩としてアドバイスしてやろうと思った俺はこっそりと後をつけた。

    堂々と行くと怒られるからだ。


    談話室を抜け共同のトイレに入ったのを見届けると、素早く中に滑り込んだ。

    伊織「まったくもう……、このくらいちょっとやればすぐ覚えるわよ」

    ブツブツいいながら水を贅沢に使って布巾を洗っている。


    P「なぜトイレで台拭きを洗うのだ」

    突っ込まずに入られなかった。

    伊織「ひぃ!?」

    真後ろに立って声をかけたのがいけなかった。

    飛び上がった伊織がそのままこちらに倒れこんでくる。

    小さな体をキャッチすると、ひどく軽くてやはり女の子なのだと実感した。

    58 = 33 :

    伊織「な、なによ! ビックリしたじゃない!」

    P「俺も驚いた。なぁ伊織、そういうものは食堂で洗うんじゃないのか?」

    指摘すると恥じらいと怒りを同時に浮かべて

    伊織「そ、そんなの知らないわよ! 知ってるなら教えてくれたっていいじゃない!」

    怒鳴り散らしてきた。


    わかり易い情動に大人の余裕で微笑んでみる。

    伊織「なにがおかしいのよ!」

    スコーン、と脛をけられた。


    食堂の隅に設置された手洗いで伊織に絞らせてみる。

    P「うーん、まだ甘いな」

    台拭きを全力で締め付けるとボタボタと水気が漏れた。

    P「広げて拭くと逆に時間がかかるから」

    伊織「わかったわよ! バカ!」

    そう毒突きながらもチマチマと四つに折りたたんでくれた。

    59 = 33 :

    歪なテーブルは伊織には難易度が高かったようで

    伊織「く……この……」

    中央に腕を伸ばして四苦八苦していた。

    爪先立ちになった足がプルプルと震えて、スカートの中が見えそうだ。


    目を逸らすと伊織の担当するテーブル以外はすでに作業を終えていて、
    料理が順次運ばれてくる。

    P「なぁ、俺がやろうか?」

    伊織「い、い、わ、よ……!」

    服がテーブルに着かないように左腕で体を支えているのだが、危なっかしくて見ていられない。

    怒られるだろうなぁ。

    そう思いながら俺はおせっかいをすることにした。

    60 = 33 :

    腰の辺りをつかんで軽がると持ち上げる。

    先ほどキャッチして重さを確認していなかったら後ろに投げてしまうほど軽かった。

    フワフワとした感触とあいまって羽毛のようである。

    伊織「ちょ、ちょっと! なにしてるのよ! おろしなさい!」

    P「だってこのままじゃ終わらないでしょ。さっさと拭いてくれれば降ろすよ」

    伊織「ぐぅ……」

    変な鳴き声が喉から漏れていた。

    腕を精一杯伸ばしてから気がついたが、この姿勢はけっこう辛い。

    妥協を許さないタイプの彼女は、何度も何度も職人みたいにテーブルを磨いていた。

    P「ま、まだ~?」

    伊織「もうちょっと……」

    昼間のスキーで乳酸が増えきった俺は、腕を震わせながらじっと耐えた。

    明日は間違いなく筋肉痛だろう。

    61 :

    わざと長引かせてるいおりん可愛い

    62 = 33 :

    満足いくまで磨き終えた伊織は、文句を言おうと口を開きかけてやめた。

    たぶん俺があんまりにも情けない顔をしていたからだろう。

    額の汗を、感覚が失せた腕でぬぐって

    P「お、お疲れ様」

    ねぎらいの言葉をかけた。


    伊織「……ふん」

    感謝して欲しかったわけではないが、やっぱり少しさびしい。

    今しがた伊織が綺麗にしたテーブルに腰掛けて脱力した。


    P「ひょぅ!」

    首筋に冷たいものを感じて奇矯な声をあげてしまう。

    すわ誰かのイタズラかと振り返ると

    伊織「にひひ、さっきのお返しよ」

    悪童が楽しそうに笑っていた。


    差し出された缶ジュースはよく冷えていて体に染みるようだった。

    63 :

    シンかよ

    64 = 33 :

    一皿ずつ運ばれてくる料理を待っている間に、匂いを嗅ぎつけた野獣が一人、また一人と集まってくる。

    厨房のほうをじっと見ていると隣に誰かが座った。

    伊織「なによ」

    P「何も言ってないよ」

    伊織「私が拭いたんだから座ったっていいでしょ?」

    P「だから何も言ってないって」

    あえて隣に座ってくる辺りに彼女の性格が垣間見えて頬が緩んだ。

    伊織「なに笑ってるのよ?」

    P「なんでもない」

    美しい木目のテーブルはピカピカに光っていた。

    65 = 33 :

    ちょっと休憩していいっすか

    67 = 48 :

    いいっすよ

    68 :

    ちゃんと完結するなら

    69 :

    ピンクのいおり
    金のいおり

    70 = 38 :

    綺麗なジャイアン

    72 :

    誰も死んでほしくないが…

    74 :

    最初の犠牲者は>>1だったようだな

    75 = 33 :

    メニューは金色のポタージュ、海草と海老のサラダ、
    醤油ベースのソースが堪らない牛肉だ。

    ご飯の上にすりおろした大根とローストビーフ調の牛肉を乗せると、明日の活力がみなぎってくる。

    伊織「ちょっと、あんまりがっつかないでよ。みっともないわね」

    P「ごめんごめん。でもこれ旨くて……」

    証拠にあちらこちらから賞賛の声が上がっている。

    やよい「こんな美味しいお肉初めてですー!」

    やよいも顔一杯の笑顔で舌鼓を打っていた。

    P「ん?やよい、あごにご飯粒がついてるぞ」

    やよい「え。あ、本当だ。えへへ……」

    気分は保護者だ。

    ほぼ全員が食べ盛りと言ってもいい集団からは矢継ぎ早にお代わりの声が飛んでいた。

    77 = 33 :

    伊織「……あんたもついてるわよ」

    P「マジですか」

    ほっぺたを手のひらで探ってもそれらしい痕跡はない。

    P「どこ?」

    伊織「そこじゃなくて……、あぁもう面倒くさいわね!」

    小さな手が唇に触れた。

    伊織「まったく子供なんだから」

    P「お言葉ですが男はいくつになっても少年なんです」

    伊織「そういうのはもっと渋みが出てからいいなさい。今のアンタじゃただのガキよ」

    P「うぬぬ」

    何とかやり込めようと言葉を探していると、伊織が取ったご飯粒をじっと見ていた。

    親の敵でも見るような目で睨みつけている。眼力すげえ。

    78 :

    これは、いっちゃうのか?

    79 = 61 :

    こんな時間帯に食事シーン入れるなよばかばか

    80 = 33 :

    P「……食べるの?」

    素朴な疑問だった。

    伊織「そんな訳ないでしょ!」

    腹に響くほどの大声を上げると、指を口に突っ込んできた。

    P「うぶっ」

    伊織「ちゃんと自分で食べなさい!」


    ペローン

    第二間接まで突っ込まれた指を反射的に舐めてしまった。

    伊織「あ……」

    左手で指を握り締めると真っ赤な顔で横を向いてしまう。

    P「あ、ごめん。歯が当たった?」

    伊織「別に……」

    伊織はからかい甲斐があるなぁ、と思った。例によって口にはしなかったが。

    やよいがポカンとしているのが面白くて笑っていたら、つま先を踏んづけられたのは内緒だ。

    81 = 33 :

    心行くまで食事を堪能した俺は談話室のソファーに深く腰掛けた。

    P「んー……」

    体がぽかぽかと温まって、美希じゃないけど眠ってしまいそうだ。

    腕をグッと伸ばして関節を鳴らしていると、鳩時計が9時を鳴いた。


    分厚い二重構造の窓を見れば、外は荒れ狂う風雪で黒と白しか見えない。

    P「明日帰れるのかな」

    ちょっと不安になった。

    予定は一泊二日で、明日の昼にはスキー場を出ているはずだ。


    伊織「なにしてんの?」

    窓ガラスに伊織が映った。

    P「すごい風だなーって」

    そのまま鏡像の伊織に話しかける。

    伊織「中にいれば平気でしょ。いい大人が怖がってるんじゃないわよ」

    むむ。 少しばかりカチーンときて、言い返そうと思ったときだった。

    82 = 33 :

    激しくガラスの割れる独特の音が二階から聞こえた。


    その場にいる全員が音源を探るように視線を飛ばす。

    先ほどまでのさざめきが嘘のように止まっていた。


    P「聞こえたよな?」

    当たり前のことを確認すると何人かがうなずき返した。


    律子「参ったわね……、みんなちょっと確認してきてくれる?」

    まずは千早とあずささんが立ち上がり、それに続いて居合わせた全員がノロノロと動き出した。

    二人並べば一杯の階段を、無言で並ぶ姿は通夜の参列を思わせてなんだか陰気だ。

    冗談の一つも飛ばそうかと思ったけど、そういう雰囲気でもないので止めておいた。

    83 :

    しえん

    84 = 63 :

    いおりん√なんか

    85 = 33 :

    階段をのぼるとすでに何人かが部屋から出てきていた。

    何も言わないところを見ると彼女達の部屋ではないのだろう。


    俺は手持ちの鍵を差し込んで

    P「あれ?」

    鍵がかかっていないことに気がついた。

    そういえばかけた記憶がない。

    オートロックだと勘違いしていたようだ。

    86 = 33 :

    ドアノブを回すと中から力強く押された。

    P「うわっ……」

    隙間から冷気が吹き荒れる。

    笛のような強い風の音が聞こえた。


    腕で顔を覆って踏み入ると、窓ガラスが綺麗になくなっていた。

    春香「プロデューサーさん! 大丈夫ですか!? 」

    手を振って答えながらガラスを踏まないように気を付けて奥へ進む。

    87 :

    良牙だと思ったのに

    89 = 33 :

    部屋の半ばまでいくと原因がわかった。

    俺の腕よりも太い枝がベッドで寝ていたのだ。


    P「こりゃあひどいな」

    部屋は白く塗り込められて外と大差ない気温まで下がっていた。

    全身に大粒の雪が体当たりしてきて、目を開くのにも苦労する。

    クローゼットから荷物を取り出して、慌てながら廊下に退避した。


    1,2分の出来事なのに、特に被害の多かった上半身は雪まみれになっていた。

    律子「プロデューサー殿でしたか。どうなってました?」

    俺の姿を見て察したのか律子が心配そうに聞いてきた。

    P「枝が折れて飛び込んできたみたい。ちょっとあそこで寝るのは無理だな」

    困ったものだ。

    90 = 63 :

    いおりん!いおりん!

    91 = 33 :

    荷物を抱えて呆然としていると、部屋の確認を終えたやつらが俺を取り囲んだ。

    こんな時だと言うのに、ロックスターになったみたいで楽しい。

    「なにニヤニヤしてるんだ? ちょっと気持ち悪いぞ……」

    P「んっんっ!」

    強く咳払いをして誤魔化した。


    しかしどうしたものだろうか?

    惨状は凄惨でこの部屋で一夜を明かすのは自殺行為に等しい。

    困っていると、

    A 伊織が声をかけてきた

    B 律子が声をかけてきた

    C 真美が声をかけてきた

    >>+5

    96 = 38 :

    C

    97 = 74 :

    いおりん遠慮しちゃったかー

    98 :

    真美!

    99 = 33 :

    真美「兄ちゃん部屋使えないの?」

    P「あぁ、これじゃ無理だな」

    ドアの隙間から覗かせてみると、目がバッテンになった。


    真美「そっかそっか→」

    亜美「あ、亜美いい事思いついたYO!」

    いい事。

    淫猥な響きはなかった。

    なんだか嫌な予感がした。

    亜美「兄ちゃん亜美たちの部屋で寝ればいいんだよ!」

    俺を含めた何人かが絶句した。

    100 :

    貴音かわいいよ貴音


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